説明

車両用表示装置

【課題】アンビエント表示部の表示エリアの拡大及びウォーニング表示部の増加に対応しながらも、ウォーニング表示部の表示時の視認性を向上することのできる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】車両用表示装置は、車両の正常状態を光源の点灯により表示するアンビエント表示部20と、車両に発生した異常状態を光源の点灯により表示する複数のウォーニング表示部35a〜35e、53a,53bと、アンビエント表示部20の光源及びウォーニング表示部35a〜35e、53a,53bの光源の点灯及び消灯を制御するメータ制御装置とを備える。アンビエント表示部20の表示エリア内に、ウォーニング表示部53a,53bを配置し、メータ制御装置は、ウォーニング表示部53a,53bの光源の点灯時にアンビエント表示部20の光源を消灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用表示装置の従来例としては、車両の異常状態をそれぞれ光源の点灯により表示する複数のウォーニング表示部を有する集中インジケータと、集中インジケータとは別に設けられて車両に異常状態が発生していない状態(すなわち正常状態)を光源の点灯により表示するアンビエント表示部とを備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このため、車両の正常状態がアンビエント表示手段により表示されることにより、車両の乗員は、集中インジケータにより表示されるべき異常状態が車両に発生していないことを認識することができる。また、車両に異常状態が発生したときには、その異常状態が集中インジケータのウォーニング表示部により表示されることにより、車両の乗員は、ウォーニング表示部により異常状態を認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−79847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、車両用表示装置のニーズとして、高級感を演出し、商品性を向上するため、アンビエント表示部の表示エリア(発光エリア)を拡大する傾向にある。これとともに、車両に対する新システムの採用が増加する傾向にあり、それにともない、ウォーニング表示部も増加する傾向にある。しかしながら、様々な運転姿勢を考慮した視認エリアは、一般的に設計要件で規定されており、そのエリア内で、メータ及びゲージ並びにウォーニング表示部を配置する必要がある。
【0005】
したがって、前記従来例では、複数のウォーニング表示部を有する集中インジケータとアンビエント表示部とが個別に設けられているため、アンビエント表示部の表示エリアの拡大及びウォーニング表示部の増加に対応することが難しいという問題があった。
また、このような問題の対策としては、例えばアンビエント表示部の表示エリア内に、複数のうちの少なくとも1つのウォーニング表示部を配置することが容易に考えられる。しかしながら、法規または人間工学要件で、ウォーニング表示部の光源の点灯時(「表示時」という)の視認性を保証する必要があるため、アンビエント表示部の表示エリア内に配置されたウォーニング表示部の表示時の視認性を保証することが難しくなることが懸念される。仮に、アンビエント表示部の表示色とウォーニング表示部の表示色とが同系色である場合、ウォーニング表示部の表示時の視認性を保証することが一層難しくなる。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、アンビエント表示部の表示エリアの拡大及びウォーニング表示部の増加に対応しながらも、ウォーニング表示部の表示時の視認性を向上することのできる車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とする車両用表示装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載された車両用表示装置によると、車両の正常状態を光源の点灯により表示するアンビエント表示部と、車両に発生した異常状態を光源の点灯により表示する複数のウォーニング表示部と、アンビエント表示部の光源及びウォーニング表示部の光源の点灯及び消灯を制御する制御装置とを備える車両用表示装置であって、アンビエント表示部の表示エリア内に、複数のうちの少なくとも1つのウォーニング表示部を配置し、制御装置は、アンビエント表示部の表示エリア内に配置されたウォーニング表示部の光源の消灯時にはアンビエント表示部の光源を点灯させ、ウォーニング表示部の光源の点灯時にはアンビエント表示部の光源を消灯させることを特徴とする。したがって、アンビエント表示部の表示エリア内に複数のうちの少なくとも1つのウォーニング表示部を配置することによって、アンビエント表示部の表示エリアの拡大及びウォーニング表示部の増加に対応することができる。これとともに、制御装置により、アンビエント表示部の表示エリア内に配置されたウォーニング表示部の光源の点灯時にはアンビエント表示部の光源が消灯されることによって、アンビエント表示部の表示エリア内に配置されたウォーニング表示部の表示時の視認性を向上することができる。
【0008】
また、請求項2に記載された車両用表示装置によると、車両は、複数の走行モードを有し、車両の走行モードに応じてアンビエント表示部を異なる色で表示する構成としたことを特徴とする。したがって、車両の走行モードに応じて、アンビエント表示部の表示色が異なるため、その表示色によって乗員が現在の走行モードを容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施の形態にかかるコンビネーションメータを示す正面図である。
【図2】アンビエント表示部の周辺を示す側断面図である。
【図3】アンビエント表示部のウォーニング表示部を示す側断面図である。
【図4】集中インジケータのウォーニング表示部を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。本実施の形態では、車両用表示装置として、乗用車の車室内に設けられたインストルメントパネルに配置されたコンビネーションメータについて例示する。図1はコンビネーションメータを示す正面図、図2はアンビエント表示部の周辺を示す側断面図、図3はアンビエント表示部のウォーニング表示部を示す側断面図、図4は集中インジケータのウォーニング表示部を示す側断面図である。なお、説明の都合上、コンビネーションメータについては、乗員すなわち運転席に着座した乗員すなわち運転者と対向する側を前側(正面側)として説明を行う。これにともない、図2〜図4における左側を前側すなわち乗員側とする。
【0011】
図1に示すように、コンビネーションメータ10は、スピードメータ12、水温ゲージ14、フューエルゲージ16、集中インジケータ18及びアンビエント表示部20等を備えている。スピードメータ12、水温ゲージ14、フューエルゲージ16、集中インジケータ18及びアンビエント表示部20は、ハウジング22内に組付られている。図2に示すように、ハウジング22は、前面を開口する断面コ字状のケーシング23と、ケーシング23の前部内に装着された環状の見返し板24と、見返し板24及びケーシング23の前面側開口を閉鎖する無色透明な表ガラス(フロントパネルとも呼ばれる)25とにより構成されている。見返し板24に形成された開口部内には文字盤27が装着されている。なお、図2において、符号28は、インストルメントパネルが示されている。また、図1では表ガラス25が省略されている。
【0012】
図1に示すように、前記スピードメータ12は、当該乗用車の車速を指示するもので、前記文字盤27に付された目盛部27a、指針30a及び回動内機(図示省略)を備えている。なお、回動内機は、前記ケーシング23内に設けられた内機本体、及び、内機本体から文字盤27の目盛部27aの中心部を回動可能に貫通する指針軸を備え、指針軸の先端部に指針30aが支持されている。指針30aは、指針軸と一体でかつ目盛部27aの表面側(前面側)に沿って回動される。また、文字盤27の前面には、目盛部27aを取り囲む円環状の遮光リング32aが配置されている。
【0013】
前記水温ゲージ14は、当該乗用車のエンジン冷却系統の水温を指示するものである。また、フューエルゲージ16は、当該乗用車の燃料タンク内の燃料の残量を指示するものである。水温ゲージ14及びフューエルゲージ16は、前記スピードメータ12と実質的に同様の構成を有する。なお、前記文字盤27には、水温ゲージ14の目盛部27b及びフューエルゲージ16の目盛部27cが付されている。また、図1における各符号30b、30cは、水温ゲージ14及びフューエルゲージ16の指針がそれぞれ示されている。また、図1において、各符号、32b,32cは、水温ゲージ14及びフューエルゲージ16のC型の遮光リングが示されている。
【0014】
前記集中インジケータ18は、前記文字盤27の下部に形成された横長形状の開口部34に設けられている。集中インジケータ18は、複数(図1では5個を示す)のウォーニング表示部(インジケータ部とも呼ばれる)35a〜35eにより構成されている。例えば、第1ウォーニング表示部35aは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車の燃料タンク内の燃料不足を表示する。また、第2ウォーニング表示部35bは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車のエンジン系統の異常を表示する。また、第3ウォーニング表示部35cは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車のオルタネータ系統の異常を表示する。また、第4ウォーニング表示部35dは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車のABS系統の異常を表示する。また、第5ウォーニング表示部35eは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車のエアバッグ系統の異常を表示する。
【0015】
前記集中インジケータ18の構成について説明する。図4に示すように、集中インジケータ18は、透明な樹脂製の表示板37を備えている。表示板37は、前記文字盤27の裏面に対して開口部34を閉鎖するように装着されている。表示板37の表面には、各ウォーニング表示部35a〜35eにそれぞれ対応するマーク(図示省略)が印刷等によって付されている。また、文字盤27の裏面側には、配線基板39が該文字盤27と平行状をなすように配置されている。配線基板39の表面(前面)には、各ウォーニング表示部35a〜35eに対応しかつ電圧の印加により点灯して赤色光を発する光源40がそれぞれ配設されている。また、配線基板39と表示板37との間には、各ウォーニング表示部35a〜35eに対応する位置にて、当該各ウォーニング表示部35a〜35eの各光源40をそれぞれ包囲する円筒状の各リフレクタ41が介装されている。なお、図4では、第1ウォーニング表示部35aの光源40及びリフレクタ41が示されている。また、第1ウォーニング表示部35aを例にとれば、光源40が点灯することにより、ウォーニング表示部35aが赤色に照明すなわち表示される。これによって、当該異常状態すなわち燃料タンク内の燃料不足が表示される。なお、光源40としては、例えば赤色発光ダイオード(LED)が用いられている。
【0016】
前記各光源40の点灯及び消灯は、CPU、ROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータ等により構成されたメータ制御装置43によって制御される。メータ制御装置43(「メータECU」とも呼ばれている)は、メータに関連する光源、回動内機を制御するもので、車両に設けられたエンジン制御装置(図示省略)から発せられた異常信号に基づいて、当該ウォーニング表示部35a〜35eの光源40を点灯し、その異常が解消された場合及び正常状態のときは、エンジン制御装置(図示省略)から異常信号が発せられないので、当該ウォーニング表示部の光源40を消灯するように設定されている。また、メータ制御装置43は、エンジン制御装置からの出力信号に基づいて、前記スピードメータ12、前記水温ゲージ14及び前記フューエルゲージ16の回動内機を駆動制御するするように設定されている。なお、エンジン制御装置は、各種センサから入力された信号に基づいて、メータ制御装置43に関連する信号を出力する。
【0017】
次に、前記アンビエント表示部20の構成について説明する。図1に示すように、アンビエント表示部20は、前記文字盤27の上部すなわち前記したスピードメータ12、水温ゲージ14及びフューエルゲージ16の上方空間部に設けられている。また、アンビエント表示部20は、加飾パネル45を備えている。図2に示すように、加飾パネル45は、その主体をなすパネル本体45aと、パネル本体45aの上端部に形成された左右一対の導光部45bとを有している。
【0018】
図1に示すように、前記パネル本体45aは、概ね横長四角形状に形成されており、前記文字盤27の前面に重ね合わされている(図2参照)。パネル本体45aの下縁45eは、前記文字盤27の各遮光リング32a,32b,32cの上部における外形にほぼ沿うような波形状に形成されている(図1参照)。また、パネル本体45aの前面の上部(導光部45bを含む)は、前記見返し板24の上側部によって隠蔽されている(図2参照)。見返し板24の上側部の下縁24aは、中央部が上方へ凹む緩やかな円弧状の曲線をもって形成されている(図1参照)。また、パネル本体45aにおいて、見返し板24から露出した部分が、アンビエント表示部20の表示エリアに相当する。
【0019】
図2に示すように、前記両導光部45bは、前記パネル本体45aの上端部から後方へ突出する角柱状に一体形成されている。両導光部45bは、前記文字盤27の上方空間に配置されている。また、パネル本体45aの前面と両導光部45bの上面となす隅角部分には反射面45cが形成されている。また、パネル本体45aの後面には、しぼ等に散乱面45dが形成されている。散乱面45dは、導光部45bからパネル本体45aに入射した光を散乱させる。
【0020】
前記両導光部45bの後端面の後側には、左右一対をなす光源部47が、左右対称状に2組配置されている(図1参照)。なお、光源部47は、左右対称状に構成されたものであるから、右側の光源部47の構成について説明し、左側の光源部47の構成についてはその説明を省略する。
図2に示すように、光源部47は、電圧の印加により点灯して白色光を発する左右一対の光源48,49と、特定色の波長光を透過させるカラーフィルタ部材50とを備えている。左右の光源48,49(図1参照)は、前記配線基板39の表面(前面)に、前記導光部45bに対応するようにして縦に3個ずつ配設されている。また、光源48,49としては、例えば白色発光ダイオード(LED)が用いられている。なお、説明の都合上、左側の光源48を「第1光源48」といい、右側の光源49を「第2光源49」という。また、各光源48,49の個数は適宜増減することができる。
【0021】
図2に示すように、前記配線基板39と前記各導光部45bとの間には、両光源48,49を包囲する角筒状のリフレクタ51が配置されている。また、前記カラーフィルタ部材50は、リフレクタ51内において前記導光部45bの後端面に重ね合わされている。カラーフィルタ部材50において、第1光源48に対応する部分すなわち左半部は青色に着色され、また、第2光源49に対応する部分すなわち右半部は赤色に着色されている。カラーフィルタ部材50の左半部すなわち青色部は前記第1光源48に対応し、また、その右半部すなわち赤色部は前記第2光源49に対応している。
【0022】
前記車両は、複数の走行モードを備えている。複数の走行モードしては、例えば、制駆動力制御特性が異なるノーマルモード、エコモード、スポーツモードの3モードが設定されている。例えば、スポーツモードの制駆動力制御特性は、ノーマルモードと比較して同程度でアクセル操作しても車両の加減速度(制駆動力)が大きく、また、エコモードの制駆動力制御特性は、ノーマルモードと比較して同程度でアクセル操作しても車両の加減速度が小さい。
【0023】
前記第1光源48と前記第2光源49の点灯及び消灯は、前記メータ制御装置43によって制御される(図2参照)。メータ制御装置43は、車両の走行モードに応じて両光源48,49を選択的に点灯するように設定されている。すなわち、メータ制御装置43は、ノーマルモード又はエコモードにおいては、第1光源48を点灯する一方、第2の光源49を消灯し、また、スポーツモードにおいては、第1光源48を消灯する一方、第2の光源49を点灯する。
【0024】
図1に示すように、前記アンビエント表示部20の表示エリア内には、左右2個のウォーニング表示部53a,53bが配置されている。右側のウォーニング表示部53aを「第6ウォーニング表示部53a」といい、左側のウォーニング表示部53bを「第7ウォーニング表示部53b」という。また、アンビエント表示部20の表示エリアに配置されるウォーニング表示部53a,53bとしては、点灯頻度の少ないウォーニング表示部が好ましい。本実施形態では、例えば、第6ウォーニング表示部53aは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車のエンジン潤滑系統の異常を表示する。また、第7ウォーニング表示部53bは、その光源の点灯により赤色に表示されることにより、当該乗用車のエンジン冷却系統の高水温を表示する。なお、第6ウォーニング表示部53aと第7ウォーニング表示部53bとは実質的に同様の構成を有するものであるから、第6ウォーニング表示部53aの構成について説明し、第7ウォーニング表示部53bの構成についてはその説明を省略する。
【0025】
図3に示すように、前記加飾パネル45のパネル本体45aの前面下部には、第6ウォーニング表示部53aに対応するマーク(図示省略)が印刷等によって付されている。また、前記配線基板39の表面(前面)には、第6ウォーニング表示部53aに対応しかつ電圧の印加により点灯して赤色光を発する光源55が配設されている。また、配線基板39とパネル本体45aとの間には、第6ウォーニング表示部53aに対応する位置にて、当該ウォーニング表示部53aの光源55を包囲する円筒状のリフレクタ56が介装されている。光源55が点灯することにより、第6ウォーニング表示部53aが赤色に照明すなわち表示される。これによって、当該異常状態すなわちエンジン潤滑系統の異常が表示される。なお、光源55としては、例えば赤色発光ダイオード(LED)が用いられている。
【0026】
前記ウォーニング表示部53a,53bの各光源55の点灯及び消灯は、前記メータ制御装置43によって制御される。メータ制御装置43は、前記ウォーニング表示部35a〜35eの各光源40と同様、エンジン制御装置(図示省略)から発せられた異常信号に基づいて、当該ウォーニング表示部53a,53bの光源55を点灯し、その異常が解消された場合及び正常状態のときは、エンジン制御装置(図示省略)から異常信号が発せられないので、当該ウォーニング表示部の光源55を消灯するように設定されている。これとともに、メータ制御装置43は、当該ウォーニング表示部53a,53bの光源55の点灯と同時に、前記アンビエント表示部20における点灯中の第1光源48又は第2光源49を消灯し、また、光源55の消灯と同時に、第1光源48又は第2光源49を点灯するように設定されている。なお、メータ制御装置43は、本明細書でいう「制御装置」に相当する。
【0027】
次に、前記コンビネーションメータ10の作動について説明する。
[通常時]
前記コンビネーションメータ10において、車両の各部位のいずれにも異常状態が発生しておらず、いずれのウォーニング表示部35a,35b,35c,35d,35e,53a,53bも点灯していない状態、すなわち正常状態においては、車両のイグニッションスイッチをオンすると同時に、車両の走行モードに応じて、メータ制御装置43によりアンビエント表示部20の第1光源48又は第2光源が選択的に点灯される。すなわち、走行モードがノーマルモード又はエコモードであるときは、メータ制御装置43により第1光源48が点灯される一方、第2光源49が消灯される。すると、第1光源48の光がカラーフィルタ部材50の青色部を透過することにより青色光となって加飾パネル45の導光部45bに入射する。導光部45bに入射した青色光は、反射面45cでパネル本体45aに沿って下方へ向けて反射される。そして、パネル本体45aを透過する青色光により、パネル本体45aの表示エリア全体が照明される。このとき、青色光はパネル本体45aの散乱面45dで散乱される。このように照明(表示)されたアンビエント表示が前方の運転者により視認される。また、パネル本体45aの表示エリアにおける青色光は、光源からパネル本体45aの出射部分までの透光距離の違いによって、透光距離が短い部分では明るく、また透光距離が長くなるにしたがって暗くなるグラデーション状の照明光となる。
【0028】
また、走行モードがスポーツモードであるときは、メータ制御装置43により第2光源49が点灯される一方、第1光源48が消灯される。すると、第2光源49の光がカラーフィルタ部材50の赤色部を透過することにより赤色光となって加飾パネル45の導光部45bに入射する。導光部45bに入射した赤色光は、反射面45cでパネル本体45aに沿って下方へ向けて反射される。そして、パネル本体45aを透過する赤色光により、パネル本体45aの表示エリア全体が照明される。このとき、赤色光はパネル本体45aの散乱面45dで散乱される。このように照明(表示)されたアンビエント表示が前方の運転者により視認される。また、パネル本体45aの表示エリアにおける赤色光は、前記青色光の場合と同様、透光距離が短い部分では明るく、また透光距離が長くなるにしたがって暗くなるグラデーション状の照明光となる。
したがって、通常時には、アンビエント表示部20が第1光源48又は第2光源49の選択的な点灯により、青色又は赤色に表示(照明)されることにより、意匠部品としての照明演出を行うことができる。
【0029】
[異常時]
また、アンビエント表示部20における第6ウォーニング表示部53a及び第7ウォーニング表示部53bの少なくとも一方の光源55が点灯されたときには、メータ制御装置43によりアンビエント表示部20の点灯中の第1光源48又は第2光源49が消灯される。したがって、計器部品としての機能表示を行うことができる。また、点灯されたウォーニング表示部53a,53bの光源が再び消灯されたときすなわち正常状態に復帰されたときには、メータ制御装置43によりアンビエント表示部20の第1光源48又は第2光源49が再点灯される。
【0030】
また、本実施形態では、集中インジケータ18におけるウォーニング表示部35a〜35eが、アンビエント表示部20と別個に設けられている。このため、ウォーニング表示部35a〜35eの少なくとも1つの表示時(光源40の点灯時)の視認性が確保されるため、アンビエント表示部20の点灯中の第1光源48又は第2光源49は点灯を継続しても差し支えない。しかし、ウォーニング表示部35a〜35eの少なくとも1つの表示時(光源40の点灯時)においても、メータ制御装置43によりアンビエント表示部20の点灯中の第1光源48又は第2光源49を消灯させるようにしてもよい。
【0031】
前記したコンビネーションメータ10によると、アンビエント表示部20の表示エリア内に複数(本実施形態では7個)のうちの2つのウォーニング表示部(第6ウォーニング表示部35a、第7ウォーニング表示部35b)を配置することによって、アンビエント表示部20の表示エリアの拡大及びウォーニング表示部の増加に対応することができる。また、アンビエント表示部20の表示エリア(発光エリア)を拡大することにより、そのエリアが運転者の前方視界に入りやすくなる。
【0032】
また、メータ制御装置43により、アンビエント表示部20の表示エリア内に配置された第6ウォーニング表示部35a及び第7ウォーニング表示部35bの光源55の点灯時には、アンビエント表示部20の第1光源48又は第2の光源49が消灯されることによって、アンビエント表示部20の表示エリア内に配置された第6ウォーニング表示部35a及び/又は第7ウォーニング表示部35bの表示時の視認性を向上することができる。ひいては、本実施形態のように、車両のスポーツモードにおけるアンビエント表示部20の表示色(赤色)を、アンビエント表示部20の表示エリア内に配置された第6ウォーニング表示部35a及び第7ウォーニング表示部35bの表示色(赤色)と同色又は同系色とした場合でも、第6ウォーニング表示部35a及び/又は第7ウォーニング表示部35bの表示時の視認性を向上することができる。すなわち、アンビエント表示部20の第1光源48又は第2光源49の点灯時と消灯時の見え方の変化によって、運転者(ユーザー)に第6ウォーニング表示部35a及び/又は第7ウォーニング表示部35bの光源55の点灯を気付かせやすくすることができ、視認性すなわち運転者の認知性を向上することができる。
【0033】
また、車両の走行モードに応じてアンビエント表示部20の表示色が異なる。すなわち、車両のノーマルモード及びエコモードにおけるアンビエント表示部20の表示色を青色とし、車両のスポーツモードにおけるアンビエント表示部20の表示色を赤色としたため、その表示色によって乗員が現在の走行モードを容易に認識することができる。
【0034】
また、アンビエント表示部20の表示切替(走行モードに応じた演出と、異常時の計器機能)の見せ方により、コンビネーションメータ10の照明の精緻感を高めることができる。これにより、コンビネーションメータ10の商品性を向上することができる。
【0035】
また、メータ制御装置43によりアンビエント表示部20の光源48,49及びウォーニング表示部53a,53bの光源55の点灯及び消灯の制御を、同一のメータ制御装置43により行うことによって、点灯及び消灯にかかるタイミングのタイムラグの発生を防止することができる。また、メータ制御装置43によりアンビエント表示部20の光源48,49のフェードイン/アウトの演出点灯、即時消灯、条件が揃った場合の再点灯等を行うことも可能である。
【0036】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明は、乗用車に限定されるものではなく、バス、トラック、自動二輪車等の車両にも適用することができる。また、前記実施形態では、アンビエント表示部20の光源の点灯により表示する色を、車両の走行モードに応じて2色の異なる色としたが、走行モードにかかわらず1色としてもよいし、走行モードのぞれぞれのモードに応じて3色としてもよいし、また、走行モードが4モード以上の場合には複数の異なる色(2〜4色以上)とすることができる。また、前記実施形態では、アンビエント表示部20の光源48,49の点灯により表示する色は、前記実施形態の青色、赤色に限らず、適宜変更することができる。また、アンビエント表示部20の第1光源48に青色光を発する光源(例えば、青色発光ダイオード(LED))を用いたり、第2光源49に赤色光を発する光源(例えば、赤色発光ダイオード(LED))を用いたりすることにより、カラーフィルタ部材50を省略することもできる。また、アンビエント表示部20に配置するウォーニング表示部は、前記実施形態の2個に限らず、適宜増減することができる。また、アンビエント表示部20に配置するウォーニング表示部の表示対象は、前記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、集中インジケータ18に配置するウォーニング表示部の個数及び表示対象も、前記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。また、集中インジケータ18及びアンビエント表示部20以外の部位にウォーニング表示部を配置することもできる。
【符号の説明】
【0037】
10…コンビネーションメータ(車両用表示装置)
18…集中インジケータ
20…アンビエント表示部
35a〜35e…ウォーニング表示部
40…光源
43…メータ制御装置(制御装置)
48…第1光源
49…第2光源
53a,53b…ウォーニング表示部
55…光源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の正常状態を光源の点灯により表示するアンビエント表示部と、
前記車両に発生した異常状態を光源の点灯により表示する複数のウォーニング表示部と、
前記アンビエント表示部の光源及び前記ウォーニング表示部の光源の点灯及び消灯を制御する制御装置と
を備える車両用表示装置であって、
前記アンビエント表示部の表示エリア内に、前記複数のうちの少なくとも1つのウォーニング表示部を配置し、
前記制御装置は、前記アンビエント表示部の表示エリア内に配置されたウォーニング表示部の光源の消灯時には前記アンビエント表示部の光源を点灯させ、該ウォーニング表示部の光源の点灯時には前記アンビエント表示部の光源を消灯させる
ことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用表示装置であって、
前記車両は、複数の走行モードを有し、
前記車両の走行モードに応じて前記アンビエント表示部を異なる色で表示する構成とした
ことを特徴とする車両用表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−61874(P2012−61874A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205406(P2010−205406)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】