車両用表示装置
【課題】 車両表示装置が報知対象物を検知したことを報知したとき、運転者がその報知を確実に気付くことができるようにすること、かつその報知によって運転に支障が生じないようにすることである。
【解決手段】 車両用表示装置の一例であるナイトビュー装置100において、自車両の前方領域の歩行者Mが検知され、コンビネーションメータ4に表示された歩行者Mに歩行者検知枠22を表示するとともに、画面の所定領域を予め設定された形態にしたがってフラッシングを行う。例えば、透過率がピーク値となるように急激に立ち上がり、その後透過率がなだらかに増大する形態のフラッシングを3回繰り返す。
【解決手段】 車両用表示装置の一例であるナイトビュー装置100において、自車両の前方領域の歩行者Mが検知され、コンビネーションメータ4に表示された歩行者Mに歩行者検知枠22を表示するとともに、画面の所定領域を予め設定された形態にしたがってフラッシングを行う。例えば、透過率がピーク値となるように急激に立ち上がり、その後透過率がなだらかに増大する形態のフラッシングを3回繰り返す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間に、赤外線カメラによって車両の前方領域を撮影して表示する車両用表示装置(「ナイトビュー装置」と称されている。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線カメラによって車両の前方領域を撮影して表示する車両用表示装置が公知である。また、撮影した映像の中から、自車両の走行に影響を与える可能性のあるもの(歩行者等の報知対称物)を判定して表示することも知られている。例えば特許文献1では、報知対象物を報知対象枠で囲み、更に前方領域を写した画像の外周を着色した外枠(特許文献1では、「HUD枠」と記載されている。)で囲うことにより、運転者に報知対象物の存在を知らせることが開示されている。また、この外枠(HUD枠)を点滅させることにより、運転者が気付きやすくなることも記載されている。
【0003】
運転者に対して、報知対象物の存在を確実に知らせるためには、表示画面をフラッシングさせることが有効である。フラッシングは、外枠と比較すると画面全体を変化させることができるので、運転者が変化を認識しやすくなる。
【0004】
ここで、フラッシングの一般的な方法としては、通常の画像と全面白色画像との間を連続的に変化させるものである。しかし、表示画面の全面が白色に近くなると、その背景画像を認識することが困難となり、運転者に実際に伝達したい報知対象物の位置までもが認識困難になるおそれがある。また、フラッシングが連続的になされると運転者への刺激が強くなってしまい、運転者がフラッシングを鬱陶しく感じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−87336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した不具合に鑑み、車両表示装置が報知対象物を検知したことを報知したとき、運転者がその報知を確実に気付くことができるようにすること、かつその報知によって運転に支障が生じないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための本発明は、
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフラッシングを、予め定めた領域及び/又は形態に従って行うフラッシング手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記したように構成され、検知結果表示手段が報知対象物を検知したときに、表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフラッシングがなされる。そして、このフラッシングは、表示手段における予め定めた領域及び/又は形態に従って行われる。このため、運転者は、報知対象物が検知されたことを確実に気付くことができるとともに、その報知によって運転に支障が生じることもない。
【0009】
表示手段における予め定めた領域及び/又は形態は、各種のものが考えられる。例えば、前記表示手段が、自車両の前方領域を表示する前方領域表示画面と、自車両の車両情報を表示する車両情報表示画面とを含むものである場合、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面内で行うことができる。
【0010】
また、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面内の上部で行うことができる。
【0011】
また、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面内と、前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域とで行うことができる。
【0012】
また、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面を除き、かつ前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域で行うことができる。
【0013】
また、前記検知手段が自車両の前方領域に報知対象物を検知すると、前記表示手段における前方領域表示画面に前記報知対象物を囲む報知対象物検知枠が表示される場合、前記フラッシングを、前記前方領域表示画面内で、かつ前記報知対象物検知枠内を除く領域で行うことができる。
【0014】
そして、前記フラッシングは、前記前方領域表示画面の中心から周辺にかけての明るさが連続的に異なるように、グラデーションをかけて行うことができる。
【0015】
上記の発明におけるフラッシングは、表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフものであるが、表示手段を照明する背面光源(バックライト)の輝度を変化せるフラッシングを行うこともできる。即ち、本発明の車両用表示装置は、
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を照明するためにその背面部に配置される背面光源と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記背面光源の発光光度を変化するフラッシングを行うフラッシング手段を備えることを特徴としている。
【0016】
この場合のフラッシングであっても、フラッシングの領域及び/又は形態は、各種のものが考えられる。例えば、前記フラッシングを、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を徐々に低下し、設定された最小値に到達した後、徐々に増大する形態で行うことができる。
【0017】
また、前記フラッシングを、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達した後、徐々に増大する形態で行うことができる。
【0018】
また、前記フラッシングを、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達してから所定時間その最小値を維持した後、急速に増大する形態で行うことができる。
【0019】
また、前記フラッシングを、前記検知手段が報知対象物の検知を開始してからその検知を終了するまでの間に複数回に亘って行うことができる。
【0020】
そして、前記フラッシング手段が連続して複数回のフラッシングをするとき、2回目以降のフラッシングをしたときにおけるフラッシング領域の光の透過率の最小値は、その直前のフラッシングをしたときの最小値よりも大とすることができる。
【0021】
上記した各種形態のフラッシングは、連続して3回なされることが望ましい。連続して3回であれば、運転者がフラッシングを鬱陶しく感じる度合いは小さいため、運転に支障をきたすおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ナイトビュー装置100の説明図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】ナイトビュー装置100の構成を示す図である。
【図4】ナイトビューECU5が歩行者Mを検知するアルゴリズムを示す図である。
【図5】映像表示部104が歩行者Mを検知した状態を示す図である。
【図6】従来の映像表示部14が、歩行者Mの検知を開始してから終了するまでのタイムチャートである。
【図7】本実施例の映像表示部が、歩行者Mの検知を開始してから終了するまでのタイムチャートである。
【図8】(a)〜(c)は第1態様のフラッシングの例である。
【図9】第2態様のフラッシングの例である。
【図10】(a)〜(c)はフラッシングをする領域を説明するための図である。
【図11】同じく、フラッシングをする領域を説明するための図である。
【図12】グラデーションをかけてフラッシングをする状態の作用説明図である。
【図13】1人目の歩行者Mを検知した後、一定時間t3の経過後にフラッシングをすることを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1はナイトビュー装置100の説明図、図2は図1の平面図、図3はナイトビュー装置100の構成を示す図、図4はナイトビューECU5が歩行者Mを検知するアルゴリズムを示す図である。
【実施例1】
【0024】
最初に、車両用表示装置(以下、ナイトビュー装置100と記載する。)について説明する。図1に示されるように、車両1(自動車)の前面部には、近赤外線を自車両1の前方に向かって照射する投光器2が取り付けられている。また、車両1のフロントガラスの上部には、投光器2から前方に向かって照射された近赤外線の反射を受光するための近赤外線カメラ3が取り付けられている。近赤外線カメラ3で撮影された映像は、車両1のインストゥルメントパネル(図示せず)に取り付けられたディスプレイに表示される。このディスプレイは、後述するコンビネーションメータ4やカーナビゲーション装置のディスプレイを利用することができる。
【0025】
図2は、投光器2から照射された近赤外線が届く領域を示している。即ち、車両1のロービームライトが照射される範囲は、車両1の前方約50m(照射角度は約15°)であり、一般的に外光がない状態で、運転者は自車両1の前方50m以上の領域を目視することは困難である。これに対して、近赤外線が照射される範囲は、車両1の前方約100mである。このため、近赤外線では、車両1のロービームライトが照射される範囲よりも更に前方領域の歩行者Mを検出することができる。
【0026】
なお、近赤外線を使用したのは、近赤外線の波長領域が800〜1200nmであり、可視光の波長(最大800nm)に近いので自然な映像が得られるためである。しかし、遠赤外線を使用してもよい。遠赤外線の場合、受光器だけで済み、投光器が不要となる。また、悪天候であっても検知できるという利点がある。
【0027】
図3に示されるように、近赤外線カメラ3で撮影された映像は、ナイトビューECU5を構成するADC6(Analog Digital Converter)によってデジタル変換され、歩行者検知部7と画像遅延部8とで所定の処理が施された後、枠描画部9により、自車両1のコンビネーションメータ4に表示される。
【0028】
ナイトビュー装置100が歩行者Mを検知するときのアルゴリズムについて、簡単に説明する。図4に示されるように、近赤外線カメラ3が撮影した映像がデジタル変換されてナイトビューECU5に入力される(ステップS10)。すると、ナイトビューECU5は、入力された画像の中から、歩行者Mと思われる対象物候補を抽出し、それらを概略辞書12が有している画像と比較する(ステップS20)。そして、誤りフィルターを通して、明らかな誤検出画像を却下する(ステップS30)。残った画像の細部の特徴を、詳細辞書13が有している画像と比較し、その画像が歩行者Mであることを確定し(ステップS40)、その画像をコンビネーションメータ4に表示する。
【0029】
次に、コンビネーションメータ4について説明する。図5に示されるように、ナイトビュー装置100の作動中、近赤外線カメラ3が撮影した映像は、コンビネーションメータ4(必要な情報や警告を的確に運転者に伝えるために、全体的な統一を考えてメータやランプ等をまとめたものをいう。)の一部の領域(本実施例の場合、中央部)を占める映像表示部14に表示される。コンビネーションメータ4における映像14の周辺部15(映像14と重ならない領域)には、車両1の各種車両情報(車速を示す車速表示部16、燃料の残量を示す燃料残量表示部17、走行距離を示すトリップメータ18、平均燃費を示す通算平均燃費表示部19、エンジン冷却水の温度を示す水温表示部20、外気温を示す気温表示部21等)が表示されている。
【0030】
図6のタイムチャートに示されるように、ナイトビューECU5が、近赤外線カメラが撮影した映像の中に歩行者Mが存することを検知すると、その歩行者Mの周囲を枠(歩行者検知枠22)で囲む(図5参照)。同時に、映像表示部14の周囲が枠(注意喚起枠23)で囲まれる。この注意喚起枠22は、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知すると、所定時間t’(例えば1.2秒)内に複数回(例えば3回)に亘って断続的に表示され、その後そのまま表示されることにより運転者に注意を促す。歩行者検知枠22と注意喚起枠23は、例えば黄色で表示される。そして、歩行者Mが映像表示部14から消滅すると、歩行者検知枠22と注意喚起枠23も消滅する。なお、各タイムチャートにおいて、縦軸は映像表示部14の透過率であり、映像表示部14が真っ白になって画像が全く見えない状態を透過率0%で示し、画像が通常通りに見える状態を透過率100%で示す。また、ナイトビュー装置100の作動中には、映像表示部14の右下部に作動インジケータ24が、例えば緑色で表示される。
【0031】
なお、ナイトビュー装置100は、夜間(車両1のライトスイッチがオンの状態)で、車速が所定値以上(かつ所定値以下)の状態で、運転者がナイトビュー装置100の起動スイッチをオンにすることによって作動する。また、雨天時(車両1のワイパー装置の作動によって検出される。)のように、近赤外線によって歩行者Mの検知が困難となると、作動インジケータ24の表示が緑色から、例えば橙色に変化する。
【0032】
以上が、従来のナイトビュー装置100における映像表示部14の作用である。次に、本発明の実施例の映像表示部14の作用について説明する。本実施例のナイトビュー装置100における映像表示部14は、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知してその周囲に歩行者検知枠22を表示したとき、注意喚起枠23を表示するとともに映像表示部14をフラッシングさせるという特徴を有している。
【0033】
最初に、第1態様のフラッシングについて説明する。第1態様のフラッシングは、映像表示部14に全面白色画像を微小時間(1〜2秒)だけ挿入するものである。これにより、運転者は、映像表示部の全体又は一部の領域が瞬間的に発光したように感じる。
【0034】
図7に示されるフラッシングは、ナイトビューECU5が歩行者Mの検知を介ししてから、所定時間t1の間に複数回のフラッシングをするものである。運転者に過度の刺激を与えないようにするため、フラッシングの周期(フラッシング時間t1)は1〜2秒間で、回数は2〜3回、ピーク時の透過率は25%程度(背景画像が少し見える状態)とすることが望ましい。第1態様のフラッシングでは、1.2秒の間に3回のフラッシング(即ち、0.4秒に1回)をしている。このフラッシングは、緩やかに立ち上がり、透過率がピーク値(最小値)となった後、緩やかに終了する形態のフラッシングを3回繰り返すものであり、全体として柔らかいイメージとなる。歩行者検知枠22の表示は、従来と同様である。また、注意喚起枠23の表示は、フラッシングと干渉しないように、ナイトビューECU5が歩行者Mの検知を開始してから断続的に表示させるのではなく、連続表示させることが望ましい。
【0035】
図8の(a)に示されるフラッシングは、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知すると同時に透過率がピーク値となるように立ち上がり、その後なだらかに増大する形態のフラッシングを3回繰り返すものである。このフラッシングの場合、フラッシングの開始時に急激に映像表示部14が変化するので、運転者が認識しやすく、かつ映像表示部14がゆっくりと最初の状態に戻るため、運転者に過度の負担を強いることが回避できる。
【0036】
図8の(b)に示されるフラッシングは、(a)のフラッシングの形態で、2回目以降のフラッシングのピーク値を変化させる(少しずつ透過率を増大する)形態である。このフラッシングの場合、フラッシングの開始時(ナイトビューECU5が歩行者Mを検出したとき)に運転者が気付きやすいという(a)のフラッシングの利点に加えて、映像表示部14が自然に通常状態に戻るため、運転者が、自身の意識をスムーズに通常状態に戻らせることができるという利点がある。
【0037】
図8の(c)に示されるフラッシングは、急激に開始して急激に終了するフラッシングが繰り返される形態なので、運転者にインパクトのある注意喚起をすることができる。
【0038】
次に、第2態様のフラッシングについて説明する。本実施例のコンビネーションメータ4は、画面(液晶パネル)の背面部に装着されたバックライト(図示せず)を光源として表示をする形式の透過型の液晶ディスプレイよりなる。このため、その液晶を照明するためのバックライト(図示せず)が取り付けられている。第2態様のフラッシングは、このバックライトの輝度を変化させることによって、運転者は、映像表示部14の全体又は一部の領域が瞬間的に発光したように感じる。
【0039】
図9に示されるフラッシングは、バックライトの輝度を100%(通常状態)から200%に増大する操作と、輝度を200%から100%に戻す操作を3回繰り返すことにより、映像表示部14にフラッシングをする形態である。このフラッシングの場合、バックライトの輝度の調整で済み、白色画像を画面に貼り付けるという制御が不要となる。
【0040】
次に、第1態様又は第2態様のフラッシングにおいて、フラッシングをする領域について説明する。図10の(a)に示されるように、映像表示部14とその周囲の領域を含むコンビネーションメータ4の全面に対して、前述した第1態様又は第2態様のフラッシングをすることができる。この場合、フラッシングをすることにより、車速表示部15や燃料残量表示部16等の車両情報を表示している部分も通常状態と比較して見えにくくなる。このため、フラッシングをしたときの透過率を低くしないこと(例えば、フラッシングをしたときの透過率のピーク値が50%程度)にすることが望ましい。
【0041】
図10の(b)に示されるように、映像表示部14の全面と、映像表示部14以外の領域における上部(即ち、コンビネーションメータ4における映像表示部14以外の領域で、各車両情報が表示されていない部分)に対してフラッシングをすることができる。この場合、フラッシングをしても、車速表示部15や燃料残量表示部16等の車両情報を表示している部分は通常のように視認できる。
【0042】
図10の(c)に示されるように、映像表示部14の全面のみにフラッシングをすることができる。この場合にも、上記と同様な作用効果が奏される。
【0043】
図11の(a)に示されるように、コンビネーションメータ4の上部で、映像表示部14と重なる部分を除いた領域に対してフラッシングをすることができる。この場合、フラッシング領域が狭いため、運転者がフラッシングによって受ける衝撃を小さくできる。
【0044】
図11の(b)に示されるように、映像表示部14の全面に対してフラッシングをすることができる。この場合、歩行者検知枠22の内側(フラッシングがなされるときには、必ず歩行者検知枠22が表示される。)と、作動インジケータ24の部分に対してはフラッシングをしないことが望ましい。これにより、運転者が、映像表示部14内の歩行者Mを見失うことが回避されることに加えて、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知したことを確実に報知することができる。なお、このときに、コンビネーションメータ4の上部を同時にフラッシングしてもよい。
【0045】
図11の(c)に示されるように、映像表示部14の上部だけにフラッシングをしてもよい。通常の場合、歩行者Mは映像表示部14の高さ方向の中央部よりも下方の領域で検知されることが多い。換言すれば、映像表示部14の上部には歩行者検知枠22が表示されることが少ないため、運転者は歩行者Mを見失うことがなくなるとともに、道路上の障害物を見失うこともない。
【0046】
図12に示されるように、映像表示部14の全面で、歩行者検知枠22の内側と作動インジケータ24とを除く領域に対してフラッシングをする場合、グラデーションをかけてもよい。例えば、映像表示部14の中央部(映像表示部14の対角線の交点)から周辺部に向かって画面の明るさが変化するようなグラデーションとすることができる。この場合、通常のフラッシングと比較して画面の明るさ(勾配)を変化させることができるため、運転者に対する刺激の調整が容易である。
【0047】
次に、ナイトビューECU5が歩行者Mを連続して検知した場合について説明する。図13の(a)に示されるように、ナイトビューECU5が1人目の歩行者Mを検知してフラッシングをしている間に2人目の歩行者Mを検知した場合や、図13の(b)に示されるように、ナイトビューECU5が1人目の歩行者Mを検知してフラッシングをした後、僅かな時間(t2)の経過後に2人目の歩行者Mを検知した場合には、連続して又は僅かな時間をおいてほぼ連続してフラッシングがなされる場合がある。これにより、運転者に過度の刺激を与えてしまうおそれがある。このため、図13の(c)に示されるように、1人目の歩行者Mを検知してから一定時間t3(秒)だけ経過した後でなければ、2人目の歩行者Mを検知してもフラッシングをしないようにすることができる。
【0048】
即ち、図13の(c)に示されるように、ナイトビューECU5が1人目の歩行者Mを検知してフラッシングをしてから一定時間t3以上を経過しなければ、その間にナイトビューECU5が2人目の歩行者Mを検知してもフラッシングをしないようにする。そして、t3以上の時間が経過した後で、ナイトビューECU5が2人目以降(この場合、3人目)の歩行者Mを検出すると、この歩行者Mを1人目の歩行者Mとみなしてフラッシングをする。
【0049】
この一定時間t3は、フラッシング時間t1よりも長くする。例えば、フラッシング時間t1を1.2秒とした場合、一定時間t3を2秒とすることができる。
【0050】
本明細書では全面白色画像を挿入するフラッシングの場合について説明したが、挿入する画像は着色されていてもよい。
【0051】
本実施例のナイトビュー装置100を構成するコンビネーションメータ14は、バックライトを用いた透過型の液晶パネルよりなる。しかし、それ以外の表示装置、例えばプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタ、CRT、ヘッドアップディスプレイであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、車両(例えば、自動車)に搭載され、夜間に自車両の前方領域を撮影して表示する車両用表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
3 近赤外線カメラ(撮影手段)
4 コンビネーションメータ(表示手段)
5 ナイトビューECU(検知手段、検知結果表示手段)
7 歩行者検知部(検知手段)
9 枠描画部(検知結果表示手段)
14 映像表示部(前方領域表示画面)
15 周辺部(車両情報表示画面)
16 車速表示部(車両情報)
17 燃料残量表示部(車両情報)
18 トリップメータ(車両情報)
19 通産平均燃費表示部(車両情報)
20 水温表示部(車両情報)
21 気温表示部(車両情報)
22 歩行者検知枠(報知対象物検知枠)
100 ナイトビュー装置(車両用表示装置)
M 歩行者(報知対象物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間に、赤外線カメラによって車両の前方領域を撮影して表示する車両用表示装置(「ナイトビュー装置」と称されている。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
赤外線カメラによって車両の前方領域を撮影して表示する車両用表示装置が公知である。また、撮影した映像の中から、自車両の走行に影響を与える可能性のあるもの(歩行者等の報知対称物)を判定して表示することも知られている。例えば特許文献1では、報知対象物を報知対象枠で囲み、更に前方領域を写した画像の外周を着色した外枠(特許文献1では、「HUD枠」と記載されている。)で囲うことにより、運転者に報知対象物の存在を知らせることが開示されている。また、この外枠(HUD枠)を点滅させることにより、運転者が気付きやすくなることも記載されている。
【0003】
運転者に対して、報知対象物の存在を確実に知らせるためには、表示画面をフラッシングさせることが有効である。フラッシングは、外枠と比較すると画面全体を変化させることができるので、運転者が変化を認識しやすくなる。
【0004】
ここで、フラッシングの一般的な方法としては、通常の画像と全面白色画像との間を連続的に変化させるものである。しかし、表示画面の全面が白色に近くなると、その背景画像を認識することが困難となり、運転者に実際に伝達したい報知対象物の位置までもが認識困難になるおそれがある。また、フラッシングが連続的になされると運転者への刺激が強くなってしまい、運転者がフラッシングを鬱陶しく感じてしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−87336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した不具合に鑑み、車両表示装置が報知対象物を検知したことを報知したとき、運転者がその報知を確実に気付くことができるようにすること、かつその報知によって運転に支障が生じないようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための本発明は、
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフラッシングを、予め定めた領域及び/又は形態に従って行うフラッシング手段を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明は上記したように構成され、検知結果表示手段が報知対象物を検知したときに、表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフラッシングがなされる。そして、このフラッシングは、表示手段における予め定めた領域及び/又は形態に従って行われる。このため、運転者は、報知対象物が検知されたことを確実に気付くことができるとともに、その報知によって運転に支障が生じることもない。
【0009】
表示手段における予め定めた領域及び/又は形態は、各種のものが考えられる。例えば、前記表示手段が、自車両の前方領域を表示する前方領域表示画面と、自車両の車両情報を表示する車両情報表示画面とを含むものである場合、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面内で行うことができる。
【0010】
また、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面内の上部で行うことができる。
【0011】
また、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面内と、前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域とで行うことができる。
【0012】
また、前記フラッシングを、前記表示手段における前記前方領域表示画面を除き、かつ前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域で行うことができる。
【0013】
また、前記検知手段が自車両の前方領域に報知対象物を検知すると、前記表示手段における前方領域表示画面に前記報知対象物を囲む報知対象物検知枠が表示される場合、前記フラッシングを、前記前方領域表示画面内で、かつ前記報知対象物検知枠内を除く領域で行うことができる。
【0014】
そして、前記フラッシングは、前記前方領域表示画面の中心から周辺にかけての明るさが連続的に異なるように、グラデーションをかけて行うことができる。
【0015】
上記の発明におけるフラッシングは、表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフものであるが、表示手段を照明する背面光源(バックライト)の輝度を変化せるフラッシングを行うこともできる。即ち、本発明の車両用表示装置は、
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を照明するためにその背面部に配置される背面光源と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記背面光源の発光光度を変化するフラッシングを行うフラッシング手段を備えることを特徴としている。
【0016】
この場合のフラッシングであっても、フラッシングの領域及び/又は形態は、各種のものが考えられる。例えば、前記フラッシングを、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を徐々に低下し、設定された最小値に到達した後、徐々に増大する形態で行うことができる。
【0017】
また、前記フラッシングを、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達した後、徐々に増大する形態で行うことができる。
【0018】
また、前記フラッシングを、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達してから所定時間その最小値を維持した後、急速に増大する形態で行うことができる。
【0019】
また、前記フラッシングを、前記検知手段が報知対象物の検知を開始してからその検知を終了するまでの間に複数回に亘って行うことができる。
【0020】
そして、前記フラッシング手段が連続して複数回のフラッシングをするとき、2回目以降のフラッシングをしたときにおけるフラッシング領域の光の透過率の最小値は、その直前のフラッシングをしたときの最小値よりも大とすることができる。
【0021】
上記した各種形態のフラッシングは、連続して3回なされることが望ましい。連続して3回であれば、運転者がフラッシングを鬱陶しく感じる度合いは小さいため、運転に支障をきたすおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ナイトビュー装置100の説明図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】ナイトビュー装置100の構成を示す図である。
【図4】ナイトビューECU5が歩行者Mを検知するアルゴリズムを示す図である。
【図5】映像表示部104が歩行者Mを検知した状態を示す図である。
【図6】従来の映像表示部14が、歩行者Mの検知を開始してから終了するまでのタイムチャートである。
【図7】本実施例の映像表示部が、歩行者Mの検知を開始してから終了するまでのタイムチャートである。
【図8】(a)〜(c)は第1態様のフラッシングの例である。
【図9】第2態様のフラッシングの例である。
【図10】(a)〜(c)はフラッシングをする領域を説明するための図である。
【図11】同じく、フラッシングをする領域を説明するための図である。
【図12】グラデーションをかけてフラッシングをする状態の作用説明図である。
【図13】1人目の歩行者Mを検知した後、一定時間t3の経過後にフラッシングをすることを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1はナイトビュー装置100の説明図、図2は図1の平面図、図3はナイトビュー装置100の構成を示す図、図4はナイトビューECU5が歩行者Mを検知するアルゴリズムを示す図である。
【実施例1】
【0024】
最初に、車両用表示装置(以下、ナイトビュー装置100と記載する。)について説明する。図1に示されるように、車両1(自動車)の前面部には、近赤外線を自車両1の前方に向かって照射する投光器2が取り付けられている。また、車両1のフロントガラスの上部には、投光器2から前方に向かって照射された近赤外線の反射を受光するための近赤外線カメラ3が取り付けられている。近赤外線カメラ3で撮影された映像は、車両1のインストゥルメントパネル(図示せず)に取り付けられたディスプレイに表示される。このディスプレイは、後述するコンビネーションメータ4やカーナビゲーション装置のディスプレイを利用することができる。
【0025】
図2は、投光器2から照射された近赤外線が届く領域を示している。即ち、車両1のロービームライトが照射される範囲は、車両1の前方約50m(照射角度は約15°)であり、一般的に外光がない状態で、運転者は自車両1の前方50m以上の領域を目視することは困難である。これに対して、近赤外線が照射される範囲は、車両1の前方約100mである。このため、近赤外線では、車両1のロービームライトが照射される範囲よりも更に前方領域の歩行者Mを検出することができる。
【0026】
なお、近赤外線を使用したのは、近赤外線の波長領域が800〜1200nmであり、可視光の波長(最大800nm)に近いので自然な映像が得られるためである。しかし、遠赤外線を使用してもよい。遠赤外線の場合、受光器だけで済み、投光器が不要となる。また、悪天候であっても検知できるという利点がある。
【0027】
図3に示されるように、近赤外線カメラ3で撮影された映像は、ナイトビューECU5を構成するADC6(Analog Digital Converter)によってデジタル変換され、歩行者検知部7と画像遅延部8とで所定の処理が施された後、枠描画部9により、自車両1のコンビネーションメータ4に表示される。
【0028】
ナイトビュー装置100が歩行者Mを検知するときのアルゴリズムについて、簡単に説明する。図4に示されるように、近赤外線カメラ3が撮影した映像がデジタル変換されてナイトビューECU5に入力される(ステップS10)。すると、ナイトビューECU5は、入力された画像の中から、歩行者Mと思われる対象物候補を抽出し、それらを概略辞書12が有している画像と比較する(ステップS20)。そして、誤りフィルターを通して、明らかな誤検出画像を却下する(ステップS30)。残った画像の細部の特徴を、詳細辞書13が有している画像と比較し、その画像が歩行者Mであることを確定し(ステップS40)、その画像をコンビネーションメータ4に表示する。
【0029】
次に、コンビネーションメータ4について説明する。図5に示されるように、ナイトビュー装置100の作動中、近赤外線カメラ3が撮影した映像は、コンビネーションメータ4(必要な情報や警告を的確に運転者に伝えるために、全体的な統一を考えてメータやランプ等をまとめたものをいう。)の一部の領域(本実施例の場合、中央部)を占める映像表示部14に表示される。コンビネーションメータ4における映像14の周辺部15(映像14と重ならない領域)には、車両1の各種車両情報(車速を示す車速表示部16、燃料の残量を示す燃料残量表示部17、走行距離を示すトリップメータ18、平均燃費を示す通算平均燃費表示部19、エンジン冷却水の温度を示す水温表示部20、外気温を示す気温表示部21等)が表示されている。
【0030】
図6のタイムチャートに示されるように、ナイトビューECU5が、近赤外線カメラが撮影した映像の中に歩行者Mが存することを検知すると、その歩行者Mの周囲を枠(歩行者検知枠22)で囲む(図5参照)。同時に、映像表示部14の周囲が枠(注意喚起枠23)で囲まれる。この注意喚起枠22は、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知すると、所定時間t’(例えば1.2秒)内に複数回(例えば3回)に亘って断続的に表示され、その後そのまま表示されることにより運転者に注意を促す。歩行者検知枠22と注意喚起枠23は、例えば黄色で表示される。そして、歩行者Mが映像表示部14から消滅すると、歩行者検知枠22と注意喚起枠23も消滅する。なお、各タイムチャートにおいて、縦軸は映像表示部14の透過率であり、映像表示部14が真っ白になって画像が全く見えない状態を透過率0%で示し、画像が通常通りに見える状態を透過率100%で示す。また、ナイトビュー装置100の作動中には、映像表示部14の右下部に作動インジケータ24が、例えば緑色で表示される。
【0031】
なお、ナイトビュー装置100は、夜間(車両1のライトスイッチがオンの状態)で、車速が所定値以上(かつ所定値以下)の状態で、運転者がナイトビュー装置100の起動スイッチをオンにすることによって作動する。また、雨天時(車両1のワイパー装置の作動によって検出される。)のように、近赤外線によって歩行者Mの検知が困難となると、作動インジケータ24の表示が緑色から、例えば橙色に変化する。
【0032】
以上が、従来のナイトビュー装置100における映像表示部14の作用である。次に、本発明の実施例の映像表示部14の作用について説明する。本実施例のナイトビュー装置100における映像表示部14は、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知してその周囲に歩行者検知枠22を表示したとき、注意喚起枠23を表示するとともに映像表示部14をフラッシングさせるという特徴を有している。
【0033】
最初に、第1態様のフラッシングについて説明する。第1態様のフラッシングは、映像表示部14に全面白色画像を微小時間(1〜2秒)だけ挿入するものである。これにより、運転者は、映像表示部の全体又は一部の領域が瞬間的に発光したように感じる。
【0034】
図7に示されるフラッシングは、ナイトビューECU5が歩行者Mの検知を介ししてから、所定時間t1の間に複数回のフラッシングをするものである。運転者に過度の刺激を与えないようにするため、フラッシングの周期(フラッシング時間t1)は1〜2秒間で、回数は2〜3回、ピーク時の透過率は25%程度(背景画像が少し見える状態)とすることが望ましい。第1態様のフラッシングでは、1.2秒の間に3回のフラッシング(即ち、0.4秒に1回)をしている。このフラッシングは、緩やかに立ち上がり、透過率がピーク値(最小値)となった後、緩やかに終了する形態のフラッシングを3回繰り返すものであり、全体として柔らかいイメージとなる。歩行者検知枠22の表示は、従来と同様である。また、注意喚起枠23の表示は、フラッシングと干渉しないように、ナイトビューECU5が歩行者Mの検知を開始してから断続的に表示させるのではなく、連続表示させることが望ましい。
【0035】
図8の(a)に示されるフラッシングは、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知すると同時に透過率がピーク値となるように立ち上がり、その後なだらかに増大する形態のフラッシングを3回繰り返すものである。このフラッシングの場合、フラッシングの開始時に急激に映像表示部14が変化するので、運転者が認識しやすく、かつ映像表示部14がゆっくりと最初の状態に戻るため、運転者に過度の負担を強いることが回避できる。
【0036】
図8の(b)に示されるフラッシングは、(a)のフラッシングの形態で、2回目以降のフラッシングのピーク値を変化させる(少しずつ透過率を増大する)形態である。このフラッシングの場合、フラッシングの開始時(ナイトビューECU5が歩行者Mを検出したとき)に運転者が気付きやすいという(a)のフラッシングの利点に加えて、映像表示部14が自然に通常状態に戻るため、運転者が、自身の意識をスムーズに通常状態に戻らせることができるという利点がある。
【0037】
図8の(c)に示されるフラッシングは、急激に開始して急激に終了するフラッシングが繰り返される形態なので、運転者にインパクトのある注意喚起をすることができる。
【0038】
次に、第2態様のフラッシングについて説明する。本実施例のコンビネーションメータ4は、画面(液晶パネル)の背面部に装着されたバックライト(図示せず)を光源として表示をする形式の透過型の液晶ディスプレイよりなる。このため、その液晶を照明するためのバックライト(図示せず)が取り付けられている。第2態様のフラッシングは、このバックライトの輝度を変化させることによって、運転者は、映像表示部14の全体又は一部の領域が瞬間的に発光したように感じる。
【0039】
図9に示されるフラッシングは、バックライトの輝度を100%(通常状態)から200%に増大する操作と、輝度を200%から100%に戻す操作を3回繰り返すことにより、映像表示部14にフラッシングをする形態である。このフラッシングの場合、バックライトの輝度の調整で済み、白色画像を画面に貼り付けるという制御が不要となる。
【0040】
次に、第1態様又は第2態様のフラッシングにおいて、フラッシングをする領域について説明する。図10の(a)に示されるように、映像表示部14とその周囲の領域を含むコンビネーションメータ4の全面に対して、前述した第1態様又は第2態様のフラッシングをすることができる。この場合、フラッシングをすることにより、車速表示部15や燃料残量表示部16等の車両情報を表示している部分も通常状態と比較して見えにくくなる。このため、フラッシングをしたときの透過率を低くしないこと(例えば、フラッシングをしたときの透過率のピーク値が50%程度)にすることが望ましい。
【0041】
図10の(b)に示されるように、映像表示部14の全面と、映像表示部14以外の領域における上部(即ち、コンビネーションメータ4における映像表示部14以外の領域で、各車両情報が表示されていない部分)に対してフラッシングをすることができる。この場合、フラッシングをしても、車速表示部15や燃料残量表示部16等の車両情報を表示している部分は通常のように視認できる。
【0042】
図10の(c)に示されるように、映像表示部14の全面のみにフラッシングをすることができる。この場合にも、上記と同様な作用効果が奏される。
【0043】
図11の(a)に示されるように、コンビネーションメータ4の上部で、映像表示部14と重なる部分を除いた領域に対してフラッシングをすることができる。この場合、フラッシング領域が狭いため、運転者がフラッシングによって受ける衝撃を小さくできる。
【0044】
図11の(b)に示されるように、映像表示部14の全面に対してフラッシングをすることができる。この場合、歩行者検知枠22の内側(フラッシングがなされるときには、必ず歩行者検知枠22が表示される。)と、作動インジケータ24の部分に対してはフラッシングをしないことが望ましい。これにより、運転者が、映像表示部14内の歩行者Mを見失うことが回避されることに加えて、ナイトビューECU5が歩行者Mを検知したことを確実に報知することができる。なお、このときに、コンビネーションメータ4の上部を同時にフラッシングしてもよい。
【0045】
図11の(c)に示されるように、映像表示部14の上部だけにフラッシングをしてもよい。通常の場合、歩行者Mは映像表示部14の高さ方向の中央部よりも下方の領域で検知されることが多い。換言すれば、映像表示部14の上部には歩行者検知枠22が表示されることが少ないため、運転者は歩行者Mを見失うことがなくなるとともに、道路上の障害物を見失うこともない。
【0046】
図12に示されるように、映像表示部14の全面で、歩行者検知枠22の内側と作動インジケータ24とを除く領域に対してフラッシングをする場合、グラデーションをかけてもよい。例えば、映像表示部14の中央部(映像表示部14の対角線の交点)から周辺部に向かって画面の明るさが変化するようなグラデーションとすることができる。この場合、通常のフラッシングと比較して画面の明るさ(勾配)を変化させることができるため、運転者に対する刺激の調整が容易である。
【0047】
次に、ナイトビューECU5が歩行者Mを連続して検知した場合について説明する。図13の(a)に示されるように、ナイトビューECU5が1人目の歩行者Mを検知してフラッシングをしている間に2人目の歩行者Mを検知した場合や、図13の(b)に示されるように、ナイトビューECU5が1人目の歩行者Mを検知してフラッシングをした後、僅かな時間(t2)の経過後に2人目の歩行者Mを検知した場合には、連続して又は僅かな時間をおいてほぼ連続してフラッシングがなされる場合がある。これにより、運転者に過度の刺激を与えてしまうおそれがある。このため、図13の(c)に示されるように、1人目の歩行者Mを検知してから一定時間t3(秒)だけ経過した後でなければ、2人目の歩行者Mを検知してもフラッシングをしないようにすることができる。
【0048】
即ち、図13の(c)に示されるように、ナイトビューECU5が1人目の歩行者Mを検知してフラッシングをしてから一定時間t3以上を経過しなければ、その間にナイトビューECU5が2人目の歩行者Mを検知してもフラッシングをしないようにする。そして、t3以上の時間が経過した後で、ナイトビューECU5が2人目以降(この場合、3人目)の歩行者Mを検出すると、この歩行者Mを1人目の歩行者Mとみなしてフラッシングをする。
【0049】
この一定時間t3は、フラッシング時間t1よりも長くする。例えば、フラッシング時間t1を1.2秒とした場合、一定時間t3を2秒とすることができる。
【0050】
本明細書では全面白色画像を挿入するフラッシングの場合について説明したが、挿入する画像は着色されていてもよい。
【0051】
本実施例のナイトビュー装置100を構成するコンビネーションメータ14は、バックライトを用いた透過型の液晶パネルよりなる。しかし、それ以外の表示装置、例えばプラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、プロジェクタ、CRT、ヘッドアップディスプレイであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、車両(例えば、自動車)に搭載され、夜間に自車両の前方領域を撮影して表示する車両用表示装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
3 近赤外線カメラ(撮影手段)
4 コンビネーションメータ(表示手段)
5 ナイトビューECU(検知手段、検知結果表示手段)
7 歩行者検知部(検知手段)
9 枠描画部(検知結果表示手段)
14 映像表示部(前方領域表示画面)
15 周辺部(車両情報表示画面)
16 車速表示部(車両情報)
17 燃料残量表示部(車両情報)
18 トリップメータ(車両情報)
19 通産平均燃費表示部(車両情報)
20 水温表示部(車両情報)
21 気温表示部(車両情報)
22 歩行者検知枠(報知対象物検知枠)
100 ナイトビュー装置(車両用表示装置)
M 歩行者(報知対象物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフラッシングを、予め定めた領域及び/又は形態に従って行うフラッシング手段を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、自車両の前方領域を表示する前方領域表示画面と、自車両の車両情報を表示する車両情報表示画面とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面内で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面内の上部で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面内と、前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域とで行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面を除き、かつ前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記検知手段が自車両の前方領域に報知対象物を検知すると、前記表示手段における前方領域表示画面に前記報知対象物を囲む報知対象物検知枠が表示され、
前記フラッシングは、前記前方領域表示画面内で、かつ前記報知対象物検知枠内を除く領域で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記フラッシングは、前記前方領域表示画面の中心から周辺にかけての明るさが連続的に異なるように、グラデーションをかけて行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を照明するためにその背面部に配置される背面光源と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記背面光源の発光光度を変化するフラッシングを行うフラッシング手段を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項10】
前記フラッシングは、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を徐々に低下し、設定された最小値に到達した後、徐々に増大する形態で行われることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
前記フラッシングは、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達した後、徐々に増大する形態で行われることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項12】
前記フラッシングは、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達してから所定時間その最小値を維持した後、急速に増大する形態で行われることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項13】
前記フラッシングは、前記検知手段が報知対象物の検知を開始してからその検知を終了するまでの間に複数回に亘って行われることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項14】
前記フラッシング手段が連続して複数回のフラッシングをするとき、2回目以降のフラッシングをしたときにおけるフラッシング領域の光の透過率の最小値は、その直前のフラッシングをしたときの最小値よりも大であることを特徴とする請求項13に記載の車両用表示装置。
【請求項15】
前記フラッシングが連続して3回なされることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項1】
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記表示手段に全面白色を含む着色画像を挿入するフラッシングを、予め定めた領域及び/又は形態に従って行うフラッシング手段を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、自車両の前方領域を表示する前方領域表示画面と、自車両の車両情報を表示する車両情報表示画面とを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面内で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面内の上部で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面内と、前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域とで行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記フラッシングは、前記表示手段における前記前方領域表示画面を除き、かつ前記車両情報表示画面に表示された車両情報の表示を妨げない領域で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記検知手段が自車両の前方領域に報知対象物を検知すると、前記表示手段における前方領域表示画面に前記報知対象物を囲む報知対象物検知枠が表示され、
前記フラッシングは、前記前方領域表示画面内で、かつ前記報知対象物検知枠内を除く領域で行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記フラッシングは、前記前方領域表示画面の中心から周辺にかけての明るさが連続的に異なるように、グラデーションをかけて行われることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
自車両の前方領域を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した前方領域の画像を表示する表示手段と、
前記表示手段を照明するためにその背面部に配置される背面光源と、
自車両の前方領域に報知対象物が存在するかどうかを検知する検知手段と、
前記検知手段が前記報知対象物を検知したときに、その検知結果を前記表示手段に表示する検知結果表示手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記検知結果表示手段が前記報知対象物を検知したときに、前記背面光源の発光光度を変化するフラッシングを行うフラッシング手段を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項10】
前記フラッシングは、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を徐々に低下し、設定された最小値に到達した後、徐々に増大する形態で行われることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
前記フラッシングは、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達した後、徐々に増大する形態で行われることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項12】
前記フラッシングは、前記表示手段におけるフラッシング領域の光の透過率を設定した最小値に急速に到達してから所定時間その最小値を維持した後、急速に増大する形態で行われることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項13】
前記フラッシングは、前記検知手段が報知対象物の検知を開始してからその検知を終了するまでの間に複数回に亘って行われることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【請求項14】
前記フラッシング手段が連続して複数回のフラッシングをするとき、2回目以降のフラッシングをしたときにおけるフラッシング領域の光の透過率の最小値は、その直前のフラッシングをしたときの最小値よりも大であることを特徴とする請求項13に記載の車両用表示装置。
【請求項15】
前記フラッシングが連続して3回なされることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の車両用表示装置。
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図11】
【図12】
【図7】
【図8】
【図9】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−66606(P2012−66606A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210625(P2010−210625)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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