車両用表示装置
【課題】 質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板を備えた車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板4と、この表示板4を透過照明する複数のバックライト52,53,55と、前記車両情報に応じてバックライト52,53,55を点灯/消灯制御する制御手段54と、を備え、表示板4は、バックライト55の点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯3を含む表示灯エリア45と、前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部1,2を含む計測表示エリア44とが形成され、表示灯エリア45における透明基板43の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層451と、計測表示エリア44における透明基板43の表示面側に、計測情報表示部1,2の背景が印刷されてなる表示面印刷層441とを設けてなる。
【解決手段】 車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板4と、この表示板4を透過照明する複数のバックライト52,53,55と、前記車両情報に応じてバックライト52,53,55を点灯/消灯制御する制御手段54と、を備え、表示板4は、バックライト55の点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯3を含む表示灯エリア45と、前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部1,2を含む計測表示エリア44とが形成され、表示灯エリア45における透明基板43の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層451と、計測表示エリア44における透明基板43の表示面側に、計測情報表示部1,2の背景が印刷されてなる表示面印刷層441とを設けてなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷によって意匠が形成された表示板を備えた車両用表示装置に関し、特に、複数の車両情報を表示する複合式の車両用表示装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用表示装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるように、回路基板と、この回路基板に搭載された光源と、この光源に対応する位置に透光性の表示部を備えた表示板とを有しており、光源の点灯により透光性の表示部を発光表示させるものである。
【0003】
そして表示板は、透光性の基板と、この基板の背面側に形成された遮光層と、この遮光層の一部をインジケータマークの形状に抜き形成してなる表示部と、この表示部に対応した抜き部を有して基板の前面に形成された遮光性を有する地色層と、抜き部を覆うように基板の前面側に形成される光吸収性層(スモーク層)とを備えており、光源の消灯時は、光吸収性層の作用により表示部が殆ど見えなくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら車両用表示装置にあっては、車両情報として計測値など表示される値が刻々と変化して、比較的更新周期の高い情報を、強調して表現するために、加飾した表示板を用いることがある。また、表示領域以外を隠す見返し部材や、装飾リングなどによって他の表示と区画した印象を与えるものがあった。
【0006】
しかしながら、複数の車両情報を一枚の表示板を用いて表示する構成の場合にあっては、充分に区画した印象を与えるに至らず、特に、警告灯が消灯時にあっては、車両利用者の視線を該更新周期の高い情報の表示へ誘導する点で充分でなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、上述した課題に着目してなされ、質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板を備えた車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用表示装置は、車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板と、この表示板を透過照明する複数のバックライトと、前記車両情報に応じて前記バックライトを点灯/消灯制御する制御手段と、を備える車両用表示装置であって、前記表示板は、前記バックライトの点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯を含む表示灯エリアと、前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部を含む計測表示エリアと、が透明基板に印刷して形成され、前記表示灯エリアにおける前記透明基板の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層と、前記計測表示エリアにおける前記透明基板の表示面側に、前記計測情報表示部の背景が印刷されてなる表示面印刷層と、を設けてなることを特徴とする。
【0009】
また、前記表示面印刷層は、前記計測表示エリアの背景を示す第1の背景層と、前記計測表示エリアと前記表示灯エリアを含むように形成される透光性のオーバーコートと、このオーバーコートの表示面側に前記計測表示エリアの背景を示す第2の背景層を部分的に形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、印刷によって意匠が形成された表示板を備えた車両用表示装置に関し、質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板を備えた車両用表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態である車両用計器の断面図。
【図2】同上の実施の形態における表示例を示す図。
【図3】同上の実施の形態における表示板等の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の車両用表示装置の実施の形態として、自動車やオートバイなどに搭載される車両用計器に適用したものを例に挙げて、図面を用いて説明する。
【0013】
図1,2に示すように、車両用計器Aは、アナログ計器1と、液晶表示パネル2と、表示灯3とによって車両情報を表示するもので、表示板4と、回路基板5と、ケース6とを共用する複合計器である。
【0014】
アナログ計器1は、回路基板5に実装されたモータからなる駆動源51によって回動する指針11と、この指針11によって指示される目盛りや数値などの指標部41が表示板4に印刷されてなる。なお、指針11や指標部41には、それぞれ専用のバックライト52,53が回路基板5に実装されている。また、駆動源51は、回路基板5に実装されたマイクロコンピュータ等から構成される制御手段54による制御プログラムと、車両用計器A外から通信によって得られる車両情報とによって、指針11が計測値に応じた所望の指標部41を指示するように駆動制御される。従って、車両利用者は、指針11と指標部41との対比判読によって、計測値を読み取ることができる。この場合、車両の走行速度について確認できる。
【0015】
液晶表示パネル2は、図2に示すように、アナログ計器1に示す車両情報(走行速度)以外の車両情報を表示するため、制御手段54の制御によって車両情報を数値やバー表示などによって表現することができる。液晶表示パネル2は、制御手段54からの制御信号を入力できるように回路基板5の配線と接続されるとともに、表示領域を表示板3の切り欠き窓42を介して臨めるように設けられる。また、液晶表示パネル2は、背面側の回路基板5に対向するバックライトが実装されている。
【0016】
この場合、液晶表示パネル2は、バー表示にて示される燃料残量や、数値にて示される燃料消費率や積算走行距離(ODO)、区間走行距離(TRIP)などが表示され、この他、図示しない操作スイッチによる操作信号に応じて、画面切り換えして、他の車両情報、例えば、車両外温度(外気温度)や平均燃料消費率、平均走行速度、時刻、メンテナンス情報などを表示することができる。
【0017】
表示灯3は、図2,3に示すように、インジケータや警告灯などの車両情報を表示するものであり、車両利用者による操作状態や車両の警告状態を表示するものである。また、表示灯3は、制御手段54からの駆動制御によって点灯/消灯が切り換えられるバックライト55と、表示板4によってバックライト55の照明を所定形状で透過するように設けてなる。
【0018】
また、表示灯3には、回路基板5における被透過照明部分に対向する位置にバックライト55が実装され、バックライト55が対象外の表示部分を照らさないように、表示板4と回路基板5とのスペーサとして兼用される遮光壁61が設けられる。この場合、表示灯3は、パーキングブレーキや前照灯のインジケータ、エンジンやバッテリの異常状態を知らせる警告灯が用意される。
【0019】
表示板4は、合成樹脂からなる透明基板43に、印刷形成することによって、アナログ計器1や液晶表示パネル2などの計測値などを含む計測表示エリア44と、表示灯3などの状態表示を行う表示灯エリア45と、を設けている。
【0020】
計測表示エリア44には、透明基板43の表示面側に、アナログ計器1や液晶表示パネル2からなる計測情報表示部の指標部41や背景が印刷されてなる表示面印刷層441が形成されている。この場合、表示面印刷層441は、透明基板43面に設けられる指標部41(例えば、光透過性の白色)の指標層441aと、指標部41以外の背景として、指標部41部分を切り欠いた第1の背景層(例えば、遮光性の青色)441bと、この指標層441aや第1の背景層441b、表示灯エリア45の透明基板43の表示面側を含む表示板4の全面を覆う光透過性のオーバーコート441cと、このオーバーコート441c上で、かつ第1の背景層441bに対応する位置で所定パターンにて設けられる第2の背景層(例えば、第1の背景層441bと同様の遮光性の青色)441dとが設けられる。この場合、オーバーコート441cは、光拡散剤を含む透明な層(所謂、艶消し層)が適用され、外光による反射によって、視認性が悪くなることを防止できる。
【0021】
また、第2の背景層441dは、所定間隔おいて設けられる帯状にて形成され、第1の背景層441aとオーバーコート441cを介して部分的に設けられることによって、第1の背景層441aから浮いているような立体感を与えた表示となるだけでなく、表示灯エリア45のオーバーコート441cによる質感と、第2の背景層441dによる部分的な印刷による表面変化のある質感とが、大きく異なるようにできる。なお、第2の背景層441dは、第1の背景色441aと同様の色にて帯状に設けるものを示したが、デザインによって、第1の背景色441aとは異なる色で、ドット状や、不均一な形状などでもよく、例えば、カーボン調、木目調、金属調などにすることもできる。
【0022】
表示灯エリア45には、透明基板43の背面側(バックライト55側)に、背面印刷層451が形成される。背面印刷層451は、車両情報を示す表示意匠の形状が透過照明されるように切り欠き、表示面印刷層441と異なる色にて、表示灯エリア45の背景を形成する第3の背景層(例えば、遮光性の黒色)451aと、前記表示意匠の対応位置においてバックライト55の照明光に対して光透過性の着色顔料を含む透過層(例えば、スモーク層)451bと、が印刷されてなる。なお、表示面印刷層441と第3の背景層451aとを異なる色にて形成することで、色によるエリアの区別ができる。
【0023】
表示灯エリア45は、オーバーコート441cと透明基板43とを介して、第3の背景層451aが視認される。従って、表示灯エリア45は、透明基板43などを介さずに視認される表示面印刷層441を設けた計測表示エリア44に対して奥まって視認されるため、単一の表示板4であっても立体感を与えることができるだけでなく、印刷位置の関係で各エリア44,45を区分することができる。また、計測表示エリア44を表示面側に設けることによって、消灯状態の表示灯エリア45に対して、より目立つように構成できるため、計測値の視認性を高めることができる。
【0024】
回路基板5は、駆動源51、バックライト52,53,55、制御手段54などの電子部品を実装してなり、液晶表示パネル2や、電源や通信等のため外部接続するためのケーブルなどと接続している。回路基板5は、車両情報に応じて各表示を制御するものであり、表示板2の背面側に所定間隔おいてケース6に保持されている。
【0025】
ケース6は、前述遮光壁61と、アナログ計器1や液晶表示パネル2、表示灯3による表示を視認できるように合成樹脂からなる透明な窓部62と、回路基板5など非表示部分を隠して収納する遮光性のカバー63とを設けてなり、ビスやフックによる組み付けによって、表示板4や回路基板5を保持しながら収納できる。
【0026】
斯かる車両用計器にあっては、車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板4と、この表示板4を透過照明する複数のバックライト52,53,55と、前記車両情報に応じてバックライト52,53,55を点灯/消灯制御する制御手段54と、を備える車両用表示装置であって、表示板4は、バックライト55の点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯3を含む表示灯エリア45と、前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部1,2を含む計測表示エリア44と、が透明基板43に印刷して形成され、表示灯エリア45における透明基板43の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層451と、計測表示エリア44における透明基板43の表示面側に、計測情報表示部1,2の背景が印刷されてなる表示面印刷層441と、を設けてなる。
【0027】
従って、質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板4となり、車両利用者は、視認領域を判別しやすい車両用表示装置となる。
【0028】
また、表示面印刷層441は、計測表示エリア44の背景を示す第1の背景層441aと、計測表示エリア44と表示灯エリア45を含むように形成される透光性のオーバーコート441cと、このオーバーコート441cの表示面側に計測表示エリア44の背景を示す第2の背景層441dを部分的に形成してなることによって、計測表示エリア44と表示灯エリア45との表面質感を異ならせることができるため、車両用表示装置を視認する車両利用者に対して、区画された印象を与えることができる。
【0029】
本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに表示の変更が可能なことは勿論である。例えば、計測表示エリア44は、計測値に応じて回動する指針11の指標部41が印刷形成されているが、指標部41だけでなく、指針11の回動範囲が、バックライト53によって、透過照明されてなることによって、夜間等においても計測値を表示する部分の判別性を高めて、視認性をさらに向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、車両に搭載して各種車両情報を表示する車両用表示装置に関して、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される表示装置に適用でき、特に、建設機械などの特殊車輌の表示モニタにあっては、多種多様な情報を表示する複合計器として好適である。
【符号の説明】
【0031】
1 アナログ計器(計測情報表示部)
11 指針
2 液晶表示パネル(計測情報表示部)
3 表示灯
4 表示板
41 指標部
42 切り欠き窓
43 透明基板
44 計測表示エリア
441 表示面印刷層
441a 第1の背景層
441b 指標層
441c オーバーコート
441d 第2の背景層
45 表示灯エリア
451 背面印刷層
451a 第3の背景層
451b 透過層
5 回路基板
51 駆動源
52 バックライト(指針用光源)
53 バックライト(指標部用光源)
54 制御手段
55 バックライト(表示灯用光源)
6 ケース
61 遮光壁
62 窓部
63 カバー
A 車両用計器(車両用表示装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷によって意匠が形成された表示板を備えた車両用表示装置に関し、特に、複数の車両情報を表示する複合式の車両用表示装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用表示装置として、例えば、下記特許文献1に開示されるように、回路基板と、この回路基板に搭載された光源と、この光源に対応する位置に透光性の表示部を備えた表示板とを有しており、光源の点灯により透光性の表示部を発光表示させるものである。
【0003】
そして表示板は、透光性の基板と、この基板の背面側に形成された遮光層と、この遮光層の一部をインジケータマークの形状に抜き形成してなる表示部と、この表示部に対応した抜き部を有して基板の前面に形成された遮光性を有する地色層と、抜き部を覆うように基板の前面側に形成される光吸収性層(スモーク層)とを備えており、光源の消灯時は、光吸収性層の作用により表示部が殆ど見えなくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−196976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら車両用表示装置にあっては、車両情報として計測値など表示される値が刻々と変化して、比較的更新周期の高い情報を、強調して表現するために、加飾した表示板を用いることがある。また、表示領域以外を隠す見返し部材や、装飾リングなどによって他の表示と区画した印象を与えるものがあった。
【0006】
しかしながら、複数の車両情報を一枚の表示板を用いて表示する構成の場合にあっては、充分に区画した印象を与えるに至らず、特に、警告灯が消灯時にあっては、車両利用者の視線を該更新周期の高い情報の表示へ誘導する点で充分でなかった。
【0007】
そこで本発明の目的は、上述した課題に着目してなされ、質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板を備えた車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用表示装置は、車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板と、この表示板を透過照明する複数のバックライトと、前記車両情報に応じて前記バックライトを点灯/消灯制御する制御手段と、を備える車両用表示装置であって、前記表示板は、前記バックライトの点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯を含む表示灯エリアと、前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部を含む計測表示エリアと、が透明基板に印刷して形成され、前記表示灯エリアにおける前記透明基板の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層と、前記計測表示エリアにおける前記透明基板の表示面側に、前記計測情報表示部の背景が印刷されてなる表示面印刷層と、を設けてなることを特徴とする。
【0009】
また、前記表示面印刷層は、前記計測表示エリアの背景を示す第1の背景層と、前記計測表示エリアと前記表示灯エリアを含むように形成される透光性のオーバーコートと、このオーバーコートの表示面側に前記計測表示エリアの背景を示す第2の背景層を部分的に形成してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、印刷によって意匠が形成された表示板を備えた車両用表示装置に関し、質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板を備えた車両用表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態である車両用計器の断面図。
【図2】同上の実施の形態における表示例を示す図。
【図3】同上の実施の形態における表示板等の要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の車両用表示装置の実施の形態として、自動車やオートバイなどに搭載される車両用計器に適用したものを例に挙げて、図面を用いて説明する。
【0013】
図1,2に示すように、車両用計器Aは、アナログ計器1と、液晶表示パネル2と、表示灯3とによって車両情報を表示するもので、表示板4と、回路基板5と、ケース6とを共用する複合計器である。
【0014】
アナログ計器1は、回路基板5に実装されたモータからなる駆動源51によって回動する指針11と、この指針11によって指示される目盛りや数値などの指標部41が表示板4に印刷されてなる。なお、指針11や指標部41には、それぞれ専用のバックライト52,53が回路基板5に実装されている。また、駆動源51は、回路基板5に実装されたマイクロコンピュータ等から構成される制御手段54による制御プログラムと、車両用計器A外から通信によって得られる車両情報とによって、指針11が計測値に応じた所望の指標部41を指示するように駆動制御される。従って、車両利用者は、指針11と指標部41との対比判読によって、計測値を読み取ることができる。この場合、車両の走行速度について確認できる。
【0015】
液晶表示パネル2は、図2に示すように、アナログ計器1に示す車両情報(走行速度)以外の車両情報を表示するため、制御手段54の制御によって車両情報を数値やバー表示などによって表現することができる。液晶表示パネル2は、制御手段54からの制御信号を入力できるように回路基板5の配線と接続されるとともに、表示領域を表示板3の切り欠き窓42を介して臨めるように設けられる。また、液晶表示パネル2は、背面側の回路基板5に対向するバックライトが実装されている。
【0016】
この場合、液晶表示パネル2は、バー表示にて示される燃料残量や、数値にて示される燃料消費率や積算走行距離(ODO)、区間走行距離(TRIP)などが表示され、この他、図示しない操作スイッチによる操作信号に応じて、画面切り換えして、他の車両情報、例えば、車両外温度(外気温度)や平均燃料消費率、平均走行速度、時刻、メンテナンス情報などを表示することができる。
【0017】
表示灯3は、図2,3に示すように、インジケータや警告灯などの車両情報を表示するものであり、車両利用者による操作状態や車両の警告状態を表示するものである。また、表示灯3は、制御手段54からの駆動制御によって点灯/消灯が切り換えられるバックライト55と、表示板4によってバックライト55の照明を所定形状で透過するように設けてなる。
【0018】
また、表示灯3には、回路基板5における被透過照明部分に対向する位置にバックライト55が実装され、バックライト55が対象外の表示部分を照らさないように、表示板4と回路基板5とのスペーサとして兼用される遮光壁61が設けられる。この場合、表示灯3は、パーキングブレーキや前照灯のインジケータ、エンジンやバッテリの異常状態を知らせる警告灯が用意される。
【0019】
表示板4は、合成樹脂からなる透明基板43に、印刷形成することによって、アナログ計器1や液晶表示パネル2などの計測値などを含む計測表示エリア44と、表示灯3などの状態表示を行う表示灯エリア45と、を設けている。
【0020】
計測表示エリア44には、透明基板43の表示面側に、アナログ計器1や液晶表示パネル2からなる計測情報表示部の指標部41や背景が印刷されてなる表示面印刷層441が形成されている。この場合、表示面印刷層441は、透明基板43面に設けられる指標部41(例えば、光透過性の白色)の指標層441aと、指標部41以外の背景として、指標部41部分を切り欠いた第1の背景層(例えば、遮光性の青色)441bと、この指標層441aや第1の背景層441b、表示灯エリア45の透明基板43の表示面側を含む表示板4の全面を覆う光透過性のオーバーコート441cと、このオーバーコート441c上で、かつ第1の背景層441bに対応する位置で所定パターンにて設けられる第2の背景層(例えば、第1の背景層441bと同様の遮光性の青色)441dとが設けられる。この場合、オーバーコート441cは、光拡散剤を含む透明な層(所謂、艶消し層)が適用され、外光による反射によって、視認性が悪くなることを防止できる。
【0021】
また、第2の背景層441dは、所定間隔おいて設けられる帯状にて形成され、第1の背景層441aとオーバーコート441cを介して部分的に設けられることによって、第1の背景層441aから浮いているような立体感を与えた表示となるだけでなく、表示灯エリア45のオーバーコート441cによる質感と、第2の背景層441dによる部分的な印刷による表面変化のある質感とが、大きく異なるようにできる。なお、第2の背景層441dは、第1の背景色441aと同様の色にて帯状に設けるものを示したが、デザインによって、第1の背景色441aとは異なる色で、ドット状や、不均一な形状などでもよく、例えば、カーボン調、木目調、金属調などにすることもできる。
【0022】
表示灯エリア45には、透明基板43の背面側(バックライト55側)に、背面印刷層451が形成される。背面印刷層451は、車両情報を示す表示意匠の形状が透過照明されるように切り欠き、表示面印刷層441と異なる色にて、表示灯エリア45の背景を形成する第3の背景層(例えば、遮光性の黒色)451aと、前記表示意匠の対応位置においてバックライト55の照明光に対して光透過性の着色顔料を含む透過層(例えば、スモーク層)451bと、が印刷されてなる。なお、表示面印刷層441と第3の背景層451aとを異なる色にて形成することで、色によるエリアの区別ができる。
【0023】
表示灯エリア45は、オーバーコート441cと透明基板43とを介して、第3の背景層451aが視認される。従って、表示灯エリア45は、透明基板43などを介さずに視認される表示面印刷層441を設けた計測表示エリア44に対して奥まって視認されるため、単一の表示板4であっても立体感を与えることができるだけでなく、印刷位置の関係で各エリア44,45を区分することができる。また、計測表示エリア44を表示面側に設けることによって、消灯状態の表示灯エリア45に対して、より目立つように構成できるため、計測値の視認性を高めることができる。
【0024】
回路基板5は、駆動源51、バックライト52,53,55、制御手段54などの電子部品を実装してなり、液晶表示パネル2や、電源や通信等のため外部接続するためのケーブルなどと接続している。回路基板5は、車両情報に応じて各表示を制御するものであり、表示板2の背面側に所定間隔おいてケース6に保持されている。
【0025】
ケース6は、前述遮光壁61と、アナログ計器1や液晶表示パネル2、表示灯3による表示を視認できるように合成樹脂からなる透明な窓部62と、回路基板5など非表示部分を隠して収納する遮光性のカバー63とを設けてなり、ビスやフックによる組み付けによって、表示板4や回路基板5を保持しながら収納できる。
【0026】
斯かる車両用計器にあっては、車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板4と、この表示板4を透過照明する複数のバックライト52,53,55と、前記車両情報に応じてバックライト52,53,55を点灯/消灯制御する制御手段54と、を備える車両用表示装置であって、表示板4は、バックライト55の点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯3を含む表示灯エリア45と、前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部1,2を含む計測表示エリア44と、が透明基板43に印刷して形成され、表示灯エリア45における透明基板43の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層451と、計測表示エリア44における透明基板43の表示面側に、計測情報表示部1,2の背景が印刷されてなる表示面印刷層441と、を設けてなる。
【0027】
従って、質感の違いや立体感を与える印刷によって表示領域を区画できる表示板4となり、車両利用者は、視認領域を判別しやすい車両用表示装置となる。
【0028】
また、表示面印刷層441は、計測表示エリア44の背景を示す第1の背景層441aと、計測表示エリア44と表示灯エリア45を含むように形成される透光性のオーバーコート441cと、このオーバーコート441cの表示面側に計測表示エリア44の背景を示す第2の背景層441dを部分的に形成してなることによって、計測表示エリア44と表示灯エリア45との表面質感を異ならせることができるため、車両用表示装置を視認する車両利用者に対して、区画された印象を与えることができる。
【0029】
本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに表示の変更が可能なことは勿論である。例えば、計測表示エリア44は、計測値に応じて回動する指針11の指標部41が印刷形成されているが、指標部41だけでなく、指針11の回動範囲が、バックライト53によって、透過照明されてなることによって、夜間等においても計測値を表示する部分の判別性を高めて、視認性をさらに向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、車両に搭載して各種車両情報を表示する車両用表示装置に関して、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される表示装置に適用でき、特に、建設機械などの特殊車輌の表示モニタにあっては、多種多様な情報を表示する複合計器として好適である。
【符号の説明】
【0031】
1 アナログ計器(計測情報表示部)
11 指針
2 液晶表示パネル(計測情報表示部)
3 表示灯
4 表示板
41 指標部
42 切り欠き窓
43 透明基板
44 計測表示エリア
441 表示面印刷層
441a 第1の背景層
441b 指標層
441c オーバーコート
441d 第2の背景層
45 表示灯エリア
451 背面印刷層
451a 第3の背景層
451b 透過層
5 回路基板
51 駆動源
52 バックライト(指針用光源)
53 バックライト(指標部用光源)
54 制御手段
55 バックライト(表示灯用光源)
6 ケース
61 遮光壁
62 窓部
63 カバー
A 車両用計器(車両用表示装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板と、
この表示板を透過照明する複数のバックライトと、
前記車両情報に応じて前記バックライトを点灯/消灯制御する制御手段と、
を備える車両用表示装置であって、
前記表示板は、
前記バックライトの点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯を含む表示灯エリアと、
前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部を含む計測表示エリアと、が透明基板に印刷して形成され、
前記表示灯エリアにおける前記透明基板の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層と、
前記計測表示エリアにおける前記透明基板の表示面側に、前記計測情報表示部の背景が印刷されてなる表示面印刷層と、
を設けてなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示面印刷層は、前記計測表示エリアの背景を示す第1の背景層と、前記計測表示エリアと前記表示灯エリアを含むように形成される透光性のオーバーコートと、このオーバーコートの表示面側に前記計測表示エリアの背景を示す第2の背景層を部分的に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項1】
車両情報を表示するための意匠を形成してなる表示板と、
この表示板を透過照明する複数のバックライトと、
前記車両情報に応じて前記バックライトを点灯/消灯制御する制御手段と、
を備える車両用表示装置であって、
前記表示板は、
前記バックライトの点灯/消灯によって、車両の状態を表す表示灯を含む表示灯エリアと、
前記車両情報の計測値を表す計測情報表示部を含む計測表示エリアと、が透明基板に印刷して形成され、
前記表示灯エリアにおける前記透明基板の背面側に、前記車両情報を示す表示意匠及びその背景が印刷されてなる背面印刷層と、
前記計測表示エリアにおける前記透明基板の表示面側に、前記計測情報表示部の背景が印刷されてなる表示面印刷層と、
を設けてなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示面印刷層は、前記計測表示エリアの背景を示す第1の背景層と、前記計測表示エリアと前記表示灯エリアを含むように形成される透光性のオーバーコートと、このオーバーコートの表示面側に前記計測表示エリアの背景を示す第2の背景層を部分的に形成してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2013−113699(P2013−113699A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259804(P2011−259804)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】
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