説明

車両用表示装置

【課題】車両状態の認識が容易な車両用表示装置を提供することにある。
【解決手段】設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行う車載ナビゲーション装置100に用いられる車両用表示装置は、互いに視覚的に識別可能な第1表示像121及び第2表示像122を相対的に可変の表示位置に表示する表示部110と、表示部110の表示を制御する制御部を成す制御装置108とを有する。そして、制御装置108は、推奨経路の情報に基づいて交差点における推奨進路を表示部110に表示させる際に、第1表示像121と、第1表示像121に対して推奨進路の方向に相対的に移動する第2表示像122とを表示させる。第1表示像121の進路前方には直進矢印123および右折矢印124等が表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来の車両用表示装置が開示されている。この車両用表示装置には、平均燃費に対する瞬間燃費の偏差を下向きの指針で表示する指針式の燃費メータが設けられている。燃費メータは、指針式のスピードメータの下部に配設されている。燃費メータの指針は、最下点に設定された目盛の中立位置を基準とし、支軸を支点として左右方向に揺動するようになっている。中立位置はトリップ平均燃費を表しており、瞬間燃費がトリップ平均燃費よりも高い場合には偏差に応じて指針が右方向に振れ、瞬間燃費がトリップ平均燃費よりも低い場合には偏差に応じて指針が左方向に振れるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3990716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両用表示装置は、複数の指針式メータを備えた通常の車両用表示装置に対して指針式の燃費メータがさらに追加された構成となっている。このため上記の車両用表示装置では、指針や目盛が多くなってしまうため、見た目に煩雑となり、運転者が車両状態を認識し難くなってしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明の目的は、車両状態の認識が容易な車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。すなわち本発明では、設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行う車載ナビゲーション装置に用いられる車両用表示装置であって、互いに視覚的に識別可能な第1表示像及び第2表示像を相対的に可変の表示位置に表示する表示部と、表示部の表示を制御する制御部とを有し、制御部は、推奨経路の情報に基づいて交差点における推奨進路を表示部に表示させる際に、第1表示像と、第1表示像に対して推奨進路の方向に相対的に移動する第2表示像とを表示させることを特徴とする車両用表示装置である。
【0007】
これにより、第2表示像の第1表示像に対する動きによって、現状の車両進行方向と推奨進路との関係を視覚的に示すことができる。したがって、現状の車両状態と次に進むべき推奨進路との関係を使用者に対し容易かつ直感的に認識させることができる。
【0008】
また、本発明では、第1表示像と第2表示像とは、互いに接近して重なって表示される状態と、第2表示像が第1表示像に対して先行して互いに離間して表示される状態とを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態における車載ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態における表示部に表示される表示画像の例を示す図である。
【図3】上記実施形態における表示部に表示される表示画像の例を示す図である。
【図4】上記実施形態における表示部に表示される表示画像の例を示す図である。
【図5】上記実施形態における表示部に表示される表示画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図5を用いて説明する。本実施形態の車両用表示装置は、車載ナビゲーション装置に用いられる表示装置である。図1は、車載ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、車載ナビゲーション装置100は、位置検出器101、地図データ記憶装置106、操作スイッチ群107、メモリ109、表示部110、DSRC通信装置111、音声コントローラ112、スピーカ113、音声認識装置114、マイク115、リモコンセンサ116、リモートコントロール端末(以下、「リモコン」という)117と、これら各装置が接続された制御装置(制御部)108とを備えている。
【0012】
制御装置108は、CPU、ROM、RAM及びI/Oポート等を備えている。ROMには、制御装置108が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0013】
位置検出器101は、車両の絶対方位を検出するための地磁気センサ102、車両の相対方位を検出するためのジャイロスコープ103、車両の走行距離を検出する距離センサ104、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するグローバルポジショニングシステム(GPS)のためのGPS受信機105を有している。
【0014】
これらのセンサ等102、103、104、105は、いずれも周知のものである。これらのセンサ等102、103、104、105は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサ等102、103、104、105により各々を補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部で位置検出器101を構成してもよく、さらに、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0015】
地図データ記憶装置106は、例えばハードディスク、メモリーカードなどの図示しない記憶媒体を有している。記憶媒体にはデジタル地図データが記憶されており、地図データ記憶装置106は、その記憶媒体に記憶されているデジタル地図データに含まれている各種データを制御装置108へ出力する。
【0016】
操作スイッチ群107は、表示部110と一体になったタッチスイッチ又は表示部110の周辺に設けられるメカニカルなスイッチ等からなる。リモコン117には、図示しない複数の操作スイッチが設けられ、その操作スイッチの操作により操作スイッチ群107と同様の入力操作が行える。リモコン117に入力された入力操作を表す信号は、リモコンセンサ116を介して制御装置108へ供給される。
【0017】
メモリ109は、EEPROM等の不揮発性メモリであり、画面データ、テキストデータ、音声データ、及び使用者によって設定された場所の位置データ等を書換え可能に記憶する。
【0018】
表示部110には、使用者の操作に基づいて、また、車両走行状態に応じて、種々の画面が表示される。例えば、経路案内中には、所定の地図表示領域に車両周辺の道路地図が表示され、目的地設定モードにおいては、目的地を入力する入力フィールドを含む目的地設定画面が表示される。
【0019】
通信装置111は、車両外部の通信装置と無線通信を行う装置であり、例えば、道路交通情報通信システムの外部通信装置との間で通信を行う。
【0020】
スピーカ113は、音声コントローラ112から入力された音声出力信号に基づき種々のメッセージを外部に出力する。このスピーカ113から出力されるメッセージとしては、経路案内のためのメッセージ、画面操作説明のためのメッセージ、音声認識結果を表すメッセージなどがある。
【0021】
マイク115は、使用者が発生した音声を電気信号として音声認識装置114に入力する。音声認識装置114は、マイク115から入力された使用者の入力音声と、内部に記憶する認識辞書(不図示)中の語彙データとを照合し、最も一致度の高いものを認識結果として音声コントローラ112に入力する。
【0022】
音声コントローラ112は、音声認識装置114を制御するとともに、音声入力した使用者に対し、スピーカ113を通じてトークバック出力制御を行う。また、音声認識装置114の認識結果を制御装置108に入力する処理も行う。
【0023】
制御装置108は、入力される信号に基づいて種々の処理を実行する。制御装置108が実行する処理としては、例えば、位置検出器101からの信号に基づいて車両の現在位置を逐次決定する位置決定処理がある。
【0024】
また、制御装置108に入力される信号としては、使用者の入力操作に基づく信号があり、使用者の入力操作に基づいて制御装置108が実行する処理としては、例えば、メニュー表示処理、地図縮尺変更処理、目的地設定処理、経路探索処理、経路案内処理、現在位置修正処理などがある。
【0025】
また、制御装置108は上記種々の処理に伴い、表示部110に種々の画面を表示させる画面表示処理を実行する。画面表示処理としては、例えば、経路探索処理により求められた推奨経路の情報と自車両の現在位置情報とに基づいて、進路変更(右折、左折等)すべき交差点での進路案内を行う交差点案内表示処理などがある。さらに、制御装置108には、車速パルス信号が逐次供給されるようになっており、この車速パルス信号に基づいて、車両の停止及び走行開始を検知する。
【0026】
図2乃至図5は、交差点での右折が推奨される場合に表示部110に表示される交差点案内表示の例を示している。右折すべき交差点に自車両が接近すると、制御装置108は表示部110の表示制御を行い、交差点までの距離情報(図示せず)と共に、図2に示すような表示画像130を表示画面に表示させる。
【0027】
表示画像130には、画面上方を向いた仮想車両形状の第1表示像121が含まれる。第1表示像121の前方(画面上方)の左寄りには、前方に向かって延びてそのまま前方を指し示す直進矢印123が配置されている。
【0028】
また、第1表示像121の前方の右寄りには、前方に向かって延び、途中で右側に曲折して右方を指し示す右折矢印124が配置されている。直進矢印123と右折矢印124とは互いに色や明るさが異なっており、右折矢印124は直進矢印123よりも視認性が高くなるように強調表示されている。表示画像130は、交差点での右折が推奨されることと、当該交差点では直進と右折が可能であることを示唆している。
【0029】
図2の表示画像130が所定時間表示された後、制御装置108の制御に基づき、表示部110には、図3に示すような表示画像131が表示される。表示画像131には、第1表示像121と、例えば第1表示像121を半透明化した第2表示像122とが含まれる。
【0030】
第1表示像121の表示位置は、表示画像130の第1表示像121の表示位置と同一である。第2表示像122は、第1表示像121の右前方にずれて、右折矢印124上に配置されている。第2表示像122の向きは第1表示像121の向きと同一である。
【0031】
図3の表示画像131が所定時間表示された後、制御装置108の制御に基づき、表示部110には、図4に示すような表示画像132が表示される。表示画像132には、表示画像131と同様に第1表示像121と第2表示像122とが含まれる。
【0032】
第1表示像121の表示位置は、表示画像130、131の第1表示像121の表示位置と同一である。第2表示像122の表示位置は、表示画像131の第2表示像122の表示位置よりも前方やや右寄りであり、右折矢印124上に重なっている。
【0033】
第1表示像121と第2表示像122との間の距離は、表示画像131での第1表示像121と第2表示像122との間の距離よりも離れている。第2表示像122の向きは右前方である。すなわち表示画像132の第2表示像122は、表示画像131の第2表示像122が右折する途中の状態を表現している。
【0034】
図4の表示画像132が所定時間表示された後、制御装置108の制御に基づき、表示部110には、図5に示すような表示画像133が表示される。表示画像133には、表示画像131、132と同様に、第1表示像121と第2表示像122とが含まれる。
【0035】
第1表示像121の表示位置は、表示画像130、131、132の第1表示像121の表示位置と同一である。第2表示像122の表示位置は、表示画像132の第2表示像122の表示位置よりも前方右寄りであり、右折矢印124のうち右側に曲折した先端付近に重なっている。
【0036】
第1表示像121と第2表示像122との間の距離は、表示画像131での第1表示像121と第2表示像122との間の距離よりも離れている。第2表示像122の向きはほぼ右方向である。すなわち表示画像133の第2表示像122は、表示画像132の第2表示像122が右折し終える直前の状態を表現している。
【0037】
その後、表示部110には、制御装置108の制御に基づき、図3乃至図5に示す表示画像131、132、133が、この順に繰り返し表示される。この繰り返し表示は、自車両が例えば推奨進路通りに右折して交差点を通過した後に終了する。
【0038】
本実施形態では、表示部110の表示画面上において、非透明の第1表示像121が固定位置に表示され、半透明の第2表示像122が移動して表示される。第1表示像121は、現状の車両進行方向を示唆している。
【0039】
第2表示像122は、第1表示像121を起点として交差点での推奨進路の方向に、第1表示像121に対して相対的に移動している。これにより表示画面には、推奨進路を示す矢印が表示されるだけでなく、第2表示像122の第1表示像121に対する動きによって現状の車両進行方向と推奨進路方向との関係が視覚的に示される。
【0040】
第2表示像122の第1表示像121に対する動きを見た運転者は、交差点における推奨進路を容易かつ直感的に理解できる。このように本実施形態によれば、現状の車両状態と次に進むべき推奨進路との関係を運転者に対し容易かつ直感的に認識させることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、第2表示像が第1表示像を半透明化した画像である例を挙げたが、第2表示像は、第1表示像の輪郭線により構成される画像等の他の画像であってもよい。
【0042】
また上記実施形態では、液晶表示パネルを備えた表示部を例に挙げたが、表示部は有機EL表示パネル等の他の表示装置を備えていてもよい。
【0043】
さらに上記実施形態では、第1表示像の表示位置を固定して第2表示像の表示位置を可変とした例を挙げたが、第2表示像の表示位置を固定して第1表示像の表示位置を可変としてもよいし、第1表示像の表示位置と第2表示像の表示位置との中心位置等を固定してもよい。
【符号の説明】
【0044】
100 車載ナビゲーション装置
108 制御装置
101 位置検出器
110表示部
130、131、132、133 表示画像
121 第1表示像
123 直進矢印
124 右折矢印
122 第2表示像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された目的地までの推奨経路を探索して案内を行う車載ナビゲーション装置に用いられる車両用表示装置であって、
互いに視覚的に識別可能な第1表示像及び第2表示像を相対的に可変の表示位置に表示する表示部と、
前記表示部の表示を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記推奨経路の情報に基づいて交差点における推奨進路を前記表示部に表示させる際に、前記第1表示像と、前記第1表示像に対して前記推奨進路の方向に相対的に移動する前記第2表示像とを表示させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第1表示像と前記第2表示像とは、互いに接近して重なって表示される状態と、前記第2表示像が前記第1表示像に対して先行して互いに離間して表示される状態とを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−40957(P2013−40957A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−242849(P2012−242849)
【出願日】平成24年11月2日(2012.11.2)
【分割の表示】特願2009−21874(P2009−21874)の分割
【原出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】