説明

車両用表示装置

【課題】
車両用表示装置全体としてのデザインの統一感を向上させ、さらにデザインの統一感を向上させることにより、警告灯の瞬間認知性を向上させることができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】
指標部21は、エンジン回転数またはモーターの出力の動力情報に応じた指標を表示し、警告領域表示部22は、この指標部21に対応し、動力源の所定領域をレッド表示し、表示制御手段50は、エンジン回転数またはモーターの出力の動力情報が所定の閾値未満の場合、警告領域表示部21をレッド表示させないように、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンやモーター等の動力源を搭載した車載に搭載され、特に前記動力源の出力値(エンジン回転数、モーター出力)を表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用表示装置において、車両の燃費の良否によって、アンビエント表示部の発光状態を変化させるものが、例えば、特許文献1に開示されている。
このような、車両用表示装置は、車両ECUから取得した車両の燃費情報をもとに、表示板の背後にある光源の発光状態を変化させるものである。(例えば発光色を緑青白赤などに変化させる)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−93380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような車両用表示装置は、車両の燃費の良否に応じて、走行中に絶えず、アンビエント表示として、表示板のバックライト照明色が変化(通常走行時、緑青白色など)するため、ドライバーはアンビエント表示の照明色で車両情報を直感的に認識するような環境に順応しようとするが、エンジンの回転数またはモーター出力などの動力情報を示すタコメーターにおいて、高回転、高出力の領域は、常に赤色で表示されているため、車両用表示装置全体としてのデザインの統一感が低下する可能性があり、また、車両の異常状態を示す警告表示部(赤色)が表示された場合でも、常時赤色が表示されているため、警告表示部に対する意識度の低下、認識の遅れなどが生じるおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、前述の問題点に着目し、車両用表示装置全体としてのデザインの統一感を向上させ、さらにデザインの統一感を向上させることにより、警告灯の瞬間認知性を向上させることができる車両用表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
すなわち、本発明は、エンジン回転数またはモーターの出力の動力情報に応じた指標を表示する指標部と、この指標部に対応し、動力源の所定領域をレッド表示する警告領域表示部と、を備える車両用表示装置において、動力情報が所定の閾値未満の場合、警告領域表示部をレッド表示させない表示制御手段を備えること、をその要旨とする。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するため、第1の発明は、車両に関する情報に応じて発光状態を変化させるアンビエント表示部と、前記アンビエント表示部の背後に配置された第1の光源と、エンジンの回転数またはモーターの出力の動力情報に応じた指標を表示する指標部と、前記指標部に対応し、前記動力情報の所定範囲をレッド表示する警告領域表示部と、前記警告領域表示部の背後に配置され、少なくとも赤系の発光色を有する第2の光源と、前記警告領域表示部の背後に配置され、前記第2の光源の光を前記警告領域表示部の領域に区画するライトガイドと、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、前記警告領域表示部をレッド表示しないように前記第2の光源を制御する表示制御手段と、を備えるものである。
このように、動力情報が所定の閾値未満の場合、警告領域表示部をレッド表示しないようにすることにより、アンビエント表示部の照明色に対し、レッド表示によるデザインの統一感の低下を防ぐことができ、さらに常時暖色系統の表示をなくすことにより、異常時の警告表示部の瞬間認知性を向上させることができる。
【0008】
また、第2の発明では、前記表示制御手段は、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、前記第2の光源の発光色を、前記第1の光源の発光色と同系色で発光させるものであり、斯かる構成により、警告領域表示部とアンビエント表示部の照明色が同系色になり、警告領域表示部もアンビエント表示部と同様に車両情報に応じて照明色が変化するため、第1の発明に対し、さらに車両用表示装置全体としてのデザイン統一感を向上させることができる。
【0009】
また、第3の発明では、前記指標部の背後に配置される第3の光源をさらに備えた車両用表示装置において、前記表示制御手段は、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、前記第2の光源及び前記第3の光源の発光色を、前記第1の光源の発光色と同系色で発光させるものであり、このように、第2の発明に対し、さらに指標部もアンビエント表示部に同調させることにより、さらに車両用表示装置全体としてのデザイン統一感を向上させることができる。
【0010】
また、第4の発明では、前記表示制御手段は、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、前記第2の光源の発光色を、前記第3の光源の発光色と同系色で発光させるものであり、斯かる構成により、指標部と警告領域表示部とのデザインの統一感を向上させることができる。
【0011】
また、第5の発明では、車両情報に基づき、警告表示をする警告表示部と、
前記警告表示部の背後に配置された第4の光源と、をさらに備える車両用表示装置において、前記表示制御手段は、前記警告表示部が表示された際、前記第1の光源を白色発光または消灯させるものであり、斯かる構成により、異常時の警告表示部の瞬間認知性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
車両用表示装置全体としてのデザインの統一感を向上させ、さらにデザインの統一感を向上させることにより、警告灯の瞬間認知性を向上させることができる車両用表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における車両用表示装置の正面図である。
【図2】上記発明の一実施形態における車両用表示装置の構成図である。
【図3】上記発明の一実施形態における車両用表示装置の警告領域表示部の表示方法のフロー図である。
【図4】本発明における車両用表示装置の警告領域表示部の表示方法の第2実施形態フロー図である。
【図5】本発明における車両用表示装置の警告領域表示部の表示方法の第3実施形態フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の車両用表示装置1の実施形態を図1乃至3を用いて説明する。図1は、本実施形態における車両用表示装置1の正面図である。図2は、本実施形態における車両用表示装置1の構成図である。図3は、車両用表示装置1の警告領域表示部22の表示方法を示すフロー図である。
【0015】
本発明の車両用表示装置1は、スピードメーター10と、タコメーター20と、アンビエント表示部30と、警告表示部40と、表示制御手段50と、を備える。
【0016】
スピードメーター10と、タコメーター20は、駆動源により回動する指針と、この指針の指示対象となる目盛りなどを設けたアナログ式計器である。制御ECU(図示しない)は、車両ECU2から出力された車両情報に基づいて、計測された車速とエンジン回転数(またはモーター出力)をそれぞれ指示表示するように促す指針制御信号を、該駆動源に出力させて、運転者に車速情報、エンジン回転数情報を表示させる。
【0017】
タコメーター20は、指標部21と、警告領域表示部22と、を有する。
指標部21は、車両のエンジン回転数またはモーターの出力の動力情報に応じた目盛りや文字を表示するものである。指標部21の背後には、複数色で発光する第3の光源21aが配設され、この第3の光源21aは、指標部21とその近傍を照明するもので、例えば、多色発光LEDや異なる色で発光する複数のLEDなどにより構成される。
【0018】
警告領域表示部22は、指標部21の近傍の例えばエンジン回転数が5500rpm以上の領域に配設され、背後に配設される第2の光源22aの出射する光を透過することにより、光輝して視認されるものである。
第2の光源22aは、少なくとも赤系の発光色を有する複数色を発するものであり、例えば、多色発光LEDや異なる色で発光する複数のLEDなどにより構成される。
また、警告領域表示部22の背面には、ライトガイド(図示せず)を有し、このライトガイドは、第2の光源22aの光をライトガイドの外部へ漏らさず、効率よく第2の光源22aの光で警告領域表示部22を照明するためのものである。
【0019】
アンビエント表示部30は、スピードメーター10の指針周辺の領域であり、アンビエント表示部30の背後に配設される第1の光源30aの出射する光を透過することにより、光輝して視認されるものであり、例えば、多色発光LEDや異なる色で発光する複数のLEDなどにより構成され、車両の燃費情報等の良否に応じて、発光状態を変化するものである。
本実施形態において、アンビエント表示部30はスピードメーター10の指針の周辺領域に具備されているが、タコメーター20内の領域や、スピードメーター10やタコメーター20の周縁部に設けられても良い。
【0020】
警告表示部40は、タコメーター20内の領域にそれぞれオイル警報、ABS警報等からなる警報表示を表示するものであり、背後に配設される第4の光源40aの出射する光を透過することにより、光輝して視認されるものである。
警告表示部40の配置については、車両用表示装置1内であればよいので、本実施形態に示すように、タコメーター20内の配置に限らない。
【0021】
表示制御手段50は、マイクロコンピュータから構成され、光源を発光させるためのプログラムを記憶するROM、前記プログラムを実行するCPU、演算結果やデータを一時的に記憶するRAMなどで構成される。
表示制御手段50は、図2に示すように、アンビエント表示部30を照明する第1の光源30aと、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aと、指標部21を照明する第3の光源21aと、警告表示部40を照明する第4の光源40aと、を制御するものである。
【0022】
詳細に述べると、表示制御手段50は、車両ECU2から出力される燃費情報を入力し、この入力された燃費情報に基づくプログラムで第1の光源30aの発光色を変化させる。例えば、燃費状態が良い場合、第1の光源30aを緑色で発光させ、燃費状態が悪い場合、第1の光源30aを青色で発光させ、さらに第2の光源22aと、第3の光源21aとを、第1の光源30aと同系色で発光させるものである。
そして、表示制御手段50は、車両ECUからエンジン回転数またはモーターの出力などの動力情報が、ROMに予め設定されている閾値以上になると、第2の光源22aを赤色で発光させる。
【0023】
これより図3のフロー図を参照し、警告領域表示部の表示方法を説明する。
ステップS11において、表示制御手段50は、車両ECU2から動力情報(エンジン回転数またはモーターの出力)を入力する。
ステップS12において、表示制御手段50は、ステップS11で入力した動力情報が予め設定されている閾値未満であるかを判定する。
動力情報が閾値以上の場合、ステップS13において、表示制御手段50は、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aと、指標部21とその近傍を照明する第3の光源21aの発光色を、アンビエント表示部30を照明する第1の光源30aの発光色と同系色にする。
動力情報が閾値以上の場合、ステップS14において、表示制御手段50は、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aを、レッド表示させる。
【0024】
本実施形態の車両用表示装置1において、警告領域表示部22は、動力情報が閾値未満の場合、指標部21とともに、アンビエント表示部30と同系色で表示され、動力情報が閾値以上の場合、レッド表示するものであり、斯かる構成により、アンビエント表示部の照明色に対し、レッド表示によるデザインの統一感の低下を防ぐことができ、さらに常時暖色系統(赤色)の表示をなくすことにより、異常時の警告表示部の瞬間認知性を向上させることができる。
【0025】
つづいて以下に、本発明の車両用表示装置1の変形例について、図4,5を参照して説明する。
【0026】
(第2実施形態)
図4のフロー図を参照し、警告領域表示部の表示方法の第2実施形態を説明する。
ステップS21において、表示制御手段50は、車両ECU2から動力情報(エンジン回転数またはモーターの出力)を入力する。
ステップS22において、表示制御手段50は、ステップS21で入力した動力情報が予め設定されている閾値未満であるかを判定する。
動力情報が閾値以上の場合、ステップS23において、表示制御手段50は、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aを、アンビエント表示部30を照明する第1の光源30aの発光色と同系色にする。
動力情報が閾値以上の場合、ステップS24において、表示制御手段50は、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aを、レッド表示させる。
斯かる構成により、アンビエント表示部の照明色に対し、レッド表示によるデザインの統一感の低下を防ぐことができ、さらに常時暖色系統(赤色)の表示をなくすことにより、異常時の警告表示の瞬間認知性を向上させることができる。
【0027】
(第3実施形態)
図5のフロー図を参照し、警告領域表示部の表示方法の第3実施形態を説明する。
ステップS31において、表示制御手段50は、車両ECU2から動力情報(エンジン回転数またはモーターの出力)を入力する。
ステップS32において、表示制御手段50は、ステップS31で入力した動力情報が予め設定されている閾値未満であるかを判定する。
動力情報が閾値以上の場合、ステップS33において、表示制御手段50は、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aを、指標部21とその近傍を照明する第3の光源21aの発光色と同系色にする。
動力情報が閾値以上の場合、ステップS34において、表示制御手段50は、警告領域表示部22を照明する第2の光源22aを、レッド表示させる。
斯かる構成により、斯かる構成により、指標部と警告領域表示部とのデザインの統一感を向上させることができる。
【0028】
(第3実施形態)
また、車両情報に基づき、警告表示部40の背後の第4の光源40aが点灯し、警告表示部40が光輝して表示された際、表示制御手段50は、第1の光源30aを白色発光または消灯させる。斯かる構成により、異常時の警告表示の瞬間認知性をさらに向上させることができる。
【0029】
(第4実施形態)
また、アンビエント表示部30が、タコメーター20内に配置された場合、アンビエント表示部30を照明する第1の光源30aと、指標部21とその近傍を照明する第3の光源21aと、を共通光源としてもよい。斯かる構成により、光源などの部品を削減しつつ、デザインに統一感をもたせることができる。
【0030】
(第5実施形態)
また、表示制御手段50は、第2の光源22aと第3の光源21aの発光色を、第1の光源30aに対して、色相、明度を所定の値だけシフトさせてもよい。斯かる構成により、車両用表示装置全体のデザイン統一感を維持しつつ、ある部分を強調表示させることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用表示装置
2 車両ECU
10 スピードメーター
20 タコメーター
21 指標部
21a 第3の光源
22 警告領域表示部
22a 第2の光源
30 アンビエント表示部
30a 第1の光源
40 警告表示部
40a 第4の光源
50 表示制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に関する情報に応じて発光状態を変化させるアンビエント表示部と、
前記アンビエント表示部の背後に配置された第1の光源と、
エンジンの回転数またはモーターの出力の動力情報に応じた指標を表示する指標部と、
前記指標部に対応し、前記動力情報の所定範囲をレッド表示する警告領域表示部と、
前記警告領域表示部の背後に配置され、少なくとも赤系の発光色を有する第2の光源と、
前記警告領域表示部の背後に配置され、前記第2の光源の光を前記警告領域表示部の領域に区画するライトガイドと、
前記動力情報が所定の閾値未満の場合、前記警告領域表示部をレッド表示しないように前記第2の光源を制御する表示制御手段と、を備えること、を特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、
前記第2の光源の発光色を、前記第1の光源の発光色と同系色で発光させること、を特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記指標部の背後に配置される第3の光源をさらに備えた車両用表示装置において、
前記表示制御手段は、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、
前記第2の光源及び前記第3の光源の発光色を、前記第1の光源の発光色と同系色で発光させること、を特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記動力情報が所定の閾値未満の場合、
前記第2の光源の発光色を、前記第3の光源の発光色と同系色で発光させること、を特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
車両情報に基づき、警告表示をする警告表示部と、前記警告表示部の背後に配置された第4の光源と、をさらに備える車両用表示装置において、
前記表示手段は、前記警告表示部が表示された際、前記第1の光源を白色発光または消灯させること、を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−47609(P2013−47609A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185385(P2011−185385)
【出願日】平成23年8月28日(2011.8.28)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】