説明

車両用表示装置

【課題】
車両運転者が自ら行うアイドリングストップ操作を認識し、アイドリングストップ操作による独自制御を行う車両用表示装置を提供する。
【解決手段】
入力部は車両センサから車両情報を入力し、前記車両情報を表示する表示部31と、前記入力部における車両のイグニッションキーのOFF操作信号入力に際し、前記入力部において、車速ゼロの車速信号と、シフトポジションがニュートラルまたパーキングにあることを示すシフトポジション信号と、ブレーキ操作がされたことを示すブレーキ操作信号と、の全ての信号が入力される所定条件が成立した場合に、前記車両がアイドリングストップにより停止していると判定し、通常のイグニッションキーOFF操作時の動作とは異なるアイドリングストップ制御を行う制御部32と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などに搭載される車両用表示装置において、特に車両運転者のアイドリングストップ操作を検知する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運行に必要なエネルギーの消費を抑えるアイドリングストップ操作が有力とされ、これを自動的に行うアイドリングストップ装置を備えた車両が普及し始めている。(例えば、特許文献1)
斯かるアイドリングストップ装置を備えた車両は、例えば、信号待ちなどで車両が停止している間にシフトポジションをD(ドライブ)からN(ニュートラル)に切り替えると、車両のイグニッションスイッチ(IGN)がONしていても、エンジンを自動停止させ、これにより車両の消費燃料量を抑えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−256397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アイドリングストップ装置を備えた車両は自動車全体の一部であり、大多数の自動車はアイドリングストップ装置を備えていない。
そのため、アイドリングストップ装置を備えない車両においては、運転者が自らの意思でIGNをOFFにしてエンジンを停止させるアイドリングストップ操作を行ったとしても、通常のエンジン停止と同様に、単に車両用表示装置及びその他の車両機器等の車両システムへの電源がOFFにされるだけであり、アイドリングストップ操作として認識されていなかった。
【0005】
そこで本発明は、前述の問題点に鑑みなされたものであり、車両運転者が自ら行うアイドリングストップ操作を認識し、アイドリングストップ操作による独自制御を行う車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するため、第1の発明は、車両センサから車両情報を入力する入力部と、前記車両情報を表示する表示部と、前記入力部における車両のイグニッションキーのOFF操作信号入力に際し、前記入力部において、車速ゼロの車速信号と、シフトポジションがニュートラルまたパーキングにあることを示すシフトポジション信号と、ブレーキ操作がされたことを示すブレーキ操作信号と、の全ての信号が入力される所定条件が成立した場合に、前記車両がアイドリングストップにより停止していると判定し、通常のイグニッションキーOFF操作時の動作とは異なるアイドリングストップ制御を行う制御部と、を備えたものである。
斯かる構成により、車両運転者が自ら行うアイドリングストップ操作を認識し、IGN−OFFにおいてもアイドリングストップ操作による独自のアイドリングストップ制御を行うことができる。
【0007】
また、第2の発明では、前記制御部は、前記アイドリングストップ制御において、前記シフトポジション信号が所定期間パーキングにある場合、前記通常のイグニッションキーOFF操作時の動作と同様の制御を行うものであり、斯かる構成により、シフトポジションがパーキング位置にするアイドリングストップ操作を、車両運転者が自ら行うアイドリングストップ操作と駐車操作とで区別して認識することができる。
【発明の効果】
【0008】
車両運転者が自ら行うアイドリングストップ操作を認識し、アイドリングストップ操作による独自の演出制御を行う車両用表示装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の車両用表示装置における構成を説明するブロック図である。
【図2】上記発明の一実施形態の制御部におけるアイドリングストップ判定の処理を説明するフローチャートである。
【図3】上記発明の一実施形態のアイドリングストップ制御における処理を説明するフローチャートである。
【図4】上記発明の一実施形態における車両用表示装置の動作を説明するタイミングチャートであり、(a)は、停車してからIGN−OFFする具体例であり、(b)は、減速時にIGN−OFFする具体例であり、(c)は、シフトをPに入れて長時間経過した場合の具体例である。
【図5】本発明の第2実施形態における車両用表示装置の動作を説明する図であり、(a)は、停車確認後に所定時間経過した後、IGN−OFFする具体例を示すタイミングチャートであり、(b)は、フローチャートである。
【図6】本発明の第3実施形態における車両用表示装置の動作を説明する図であり、(a)は、IGN−OFFした後に所定時間経過後、停車する具体例を示すタイミングチャートであり、(b)は、フローチャートである。
【図7】本発明の第4実施形態における車両用表示装置の動作を説明する図であり、(a)は、停車確認後に所定時間経過した後、IGN−OFFを促す注意喚起を行う具体例を示すタイミングチャートであり、(b)は、フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の車両用表示装置30の実施形態を図を用いて説明する。図1は、本実施形態における車両用表示装置30の構成を説明するブロック図である。
本発明の車両用表示装置30が搭載される車両システム1は、車両センサ10と、車両ECU20と、車両用表示装置30と、から構成される。
【0011】
車両センサ10は、イグニッションスイッチのON、OFFを検出するイグニッションスイッチ検出部11と、車両の車速を検出する車速検出部12と、シフトポジションを検出するシフトポジション検出部13と、ブレーキペダルの状態(ブレーキペダルの踏込み量)を検出するブレーキ検出部14と、エンジンの回転数を検出する回転数検出部15と、から構成され、それぞれ検出結果をアナログ信号として、後述する車両ECU20に出力する。
【0012】
車両ECU20は、アナログ/デジタル変換するA/D(Analog/Digital)変換器,プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory),ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM(Random Access Memory),ROMのプログラムにしたがって制御動作を行なうCPU(Central Processing Unit),外部との信号の入出力を行うI/Oポート,およびこれらを接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成される電子制御装置(Electlic Control Unit)である。
車両ECU20は、車両センサ10からアナログ信号として出力された車両情報(IGN情報,車速情報,シフトポジション情報,ブレーキ情報,回転数情報)を入力する。その後、車両ECU20は、A/D(Analog/Digital)変換器を用いて、アナログ信号をデジタルデータに変換した後に、変換したデータを、例えば、CAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに準拠した車内LANによって車両用表示装置30へ車両情報(OFF操作信号、車速信号、シフトポジション信号、ブレーキ信号、回転数信号)を送信する。
【0013】
車両用表示装置30は、車両ECU20からの車両情報(OFF操作信号、車速信号、シフトポジション信号、ブレーキ信号、回転数信号)を入力する入力部(図示しない)と、車両情報を表示する表示部31と、車両ECU20からの車両情報に基づき、車両がアイドリングストップであるかを判定し、判定結果に基づき、表示部31または車両機器40と、をアイドリングストップ制御する制御部32と、を備える。
【0014】
以上が、本発明の車両表示装置10の構成であるが、これより図2,図3を用いて、アイドリングストップ判定処理及びアイドリングストップ制御処理について説明する。
【0015】
(アイドリングストップ判定処理)
ステップS11において、制御部32は、IGN検出部11によるIGNのOFFの判定をする。IGN−OFFが検出されない場合は、ステップS12において、通常制御を継続する。
ステップS13乃至S15において、制御部32は、車速検出部12による車速ゼロ検出と、シフトポジション検出部13によるニュートラル(N)またパーキング(P)の検出と、ブレーキ検出部14によるブレーキ操作の検出と、の全ての条件(請求の範囲における所定条件)の取得により、車両の状態がアイドリングストップであると判定する。IGN−OFF,車速ゼロ,シフトポジションNまたはP,ブレーキ操作,のいずれかが検出されない場合は、ステップS12により、車両表示装置10は通常制御する。
【0016】
(アイドリングストップ制御処理)
ステップS13乃至S15において、制御部32が車両の状態をアイドリングストップ状態であると判定した場合、ステップS20において、制御部32は、アイドリングストップ制御を開始する。
【0017】
ステップ21において、制御部32は、表示部31を減光表示し、さらにアイドリングストップ信号を車両ECU20に出力し、車両ECU20を介して、車両の空調やオーディオなどの車両機器40の電源をOFFにする。
または、表示部31のみ減光表示し、車両機器40はIGN−OFFしたときの通常動作と同様に動作してもよい。
ステップ22において、制御部32は、アイドリングストップ継続時間(IS継続時間)tisの計測を開始する。
【0018】
ステップS23において、制御部32は、シフトポジションがPであるかを判定し、シフトポジションがPであれば、ステップS24において、パーキング継続時間(P継続時間)tpの計測を開始する。すでにパーキング継続時間tpの計測が開始されていれば、このステップS24においては、数値をリセットすることなく、そのままパーキング継続時間tpの計測を継続する。
ステップS25において、制御部32は、計測中のパーキング継続時間tpと、予め制御部32のROMに記憶された第1閾値taとを比較し、パーキング継続時間tpが第1閾値taに達していた場合、制御部32は、ステップS26にて、車両が駐車状態であると判定し、アイドリングストップ継続時間tisとパーキング継続時間tpとの計測を停止し、ステップS27において、通常のIGN−OFF時の動作と同様に、車両用表示装置30及び車両機器40の電源をOFFにする。
【0019】
ステップS23において、シフトポジションがPでないと判定された場合、ステップS28において、IGN−ONが検出されるまで、ギアポジションの検出を継続し、IGN−ONが検出された場合、ステップS29において、車両ECU20はエンジンを始動させ、制御部32は、アイドリングストップ継続時間tisの測定を停止し(ステップS30)、制御部32のRAMにこのアイドリングストップ継続時間tisを格納する(ステップS31)。
【0020】
また、イグニッションスイッチ検出部11にて、IGN−ONが検出された場合、表示部31はwelcome表示は行わず、表示開始から所定の期間は、アイドリングストップ継続時間tisと、単位燃料消費量(L/sec)にアイドリングストップ継続時間tisを乗して、エンジン始動にかかる始動燃料消費量(L)を減ずることにより求められるアイドリングストップ節約燃料量と、を表示する。
【0021】
上記の車両用表示装置30の動作を図4を用いて、具体的に説明する。
図4(a)は、車両が停車してから、IGN−OFFする具体例を示したタイミングチャートである。時間Ta1において車両は減速を開始し、時間Ta2において車両は停車する。その後時間Ta3においてIGN−OFFされると、制御部32は、車両がアイドリングストップ判定(IS判定)し、アイドリングストップ継続時間tisの測定を開始する。時間Ta4においてIGN−ONされると、制御部32は、IS継続時間tisの測定を終了し、IGN−ON後の所定期間、表示部31にアイドリングストップ継続時間tisおよびアイドリングストップ節約燃料量などを表示し、車両運転者にアイドリングストップ操作の成果などを車両運転者に報知する。
【0022】
図4(b)は、車両が減速中にIGN−OFFする具体例を示したタイミングチャートである。時間Tb1において車両は減速を開始し、時間Tb2においてIGN−OFFし、制御部32は、IS継続時間tisの測定を開始する。時間Tb3において車両は停車し、制御部32はIS判定する。このように、IGN−OFFが検出された場合に、IS継続時間の測定を開始し、その後にIS判定を行っても良い。
【0023】
図4(c)は、シフトをPに入れて長時間経過した場合の具体例を示したタイミングチャートである。時間Tc3において制御部32はIS判定し、シフトポジションがPである場合、IS判定と同時にパーキング継続時間tpの測定を開始し、P継続時間tpが第1閾値taより長ければ、制御部32は車両が駐車状態であると判定し、IS継続時間tisの測定とP継続時間tpの測定を停止する。
【0024】
以上のように、本発明の車両用表示装置は、所定条件(車速ゼロ、ギアポジション、ブレーキ)の成立と、IGN−OFFの検出に際し、車両がアイドリングストップであると判定することで、車両運転者が自ら行うアイドリングストップ操作を認識することができ、IGN−OFF後に通常のIGN−OFF時とは異なる制御を行うことにより、アイドリングストップ操作による独自制御を行うことができる。
【0025】
これより、図5乃至7を用いて、本発明の変形例を説明する。
【0026】
(第2実施形態)
図5は、車両が停車してから、予め定められた第2閾値txaの間、IGN−OFF操作がされなかった場合、アイドリングストップ制御(IS制御)が実行されないことを説明する図である。
図5(a)は具体例を示すタイミングチャートであり、図5(b)はフローチャートである。
図5(a)の時間Te2において車両は所定条件を満たし、制御部32は経過時間txの計測を開始する。時間Te3において、経過時間txが第2閾値txaに達すると、時間Te4においてIGN−OFFされた場合でも、制御部32はアイドリングストップ判定(IS判定)はするものの、アイドリングストップ制御(IS制御)は行わない。
このように、停車してもしばらくIGN−OFFせずに、アイドリング状態が継続された場合、アイドリングストップ制御を行わないことにより、車両運転者に早めのIGN−OFF(アイドリングストップ操作)を促すことができる。
【0027】
(第3実施形態)
図6は、車両がIGN−OFFしてから、予め定められた第3閾値txbの間、所定条件が満たされなかった場合、アイドリングストップ制御(IS制御)が実行されないことを説明する図である。
図6(a)は具体例を示すタイミングチャートであり、図6(b)はフローチャートである。
図6(a)の時間Tf2において車両はIGN−OFFし、制御部32は経過時間txの計測を開始する。時間Tf3において、経過時間txが第3閾値txbに達すると、時間Te4において所定条件が満たされた場合でも、制御部32はアイドリングストップ判定(IS判定)はするものの、アイドリングストップ制御(IS制御)は行わない。
このように、IGN−OFFしてもしばらく所定条件を満たさない場合、アイドリングストップ制御を行わないことにより、車両運転者に早めのアイドリングストップ操作(所定条件の成立)を促すことができる。
【0028】
(第4実施形態)
図7は、車両が停車してから、予め定められた第4閾値txcの間、IGN−OFFがされなかった場合、IGN−OFFを促す注意喚起を行うことを説明する図である。
図7(a)は具体例を示すタイミングチャートであり、図7(b)はフローチャートである。
図7(a)の時間Tg2において車両は停車し、制御部32は経過時間txの測定を開始し、経過時間txが第4閾値txc経過すると、車両運転者にIGN−OFFを促す注意喚起情報を表示部31にを表示するものである。
このように、停車してもしばらくIGN−OFFせずに、アイドリング状態が継続された場合、車両運転者に早めのIGN−OFF(アイドリングストップ操作)を促すことができる。
【符号の説明】
【0029】
1 車両システム
10 車両センサ
11 イグニッションスイッチ検出部(IGN検出部)
12 車速検出部
13 シフトポジション検出部
14 ブレーキ検出部
15 回転数検出部
20 車両ECU
30 車両用表示装置
31 表示部
32 制御部
40 車両機器



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両センサから車両情報を入力する入力部と、
前記車両情報を表示する表示部と、
前記入力部における車両のイグニッションキーのOFF操作信号入力に際し、
前記入力部において、車速ゼロの車速信号と、シフトポジションがニュートラルまたパーキングにあることを示すシフトポジション信号と、ブレーキ操作がされたことを示すブレーキ操作信号と、の全ての信号が入力される所定条件が成立した場合に、
前記車両がアイドリングストップにより停止していると判定し、通常のイグニッションキーOFF操作時の動作とは異なるアイドリングストップ制御を行う制御部と、を備えたこと、を特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記アイドリングストップ制御において、前記シフトポジション信号が所定期間パーキングにある場合、前記通常のイグニッションキーOFF操作時の動作と同様の制御を行うこと、を特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92079(P2013−92079A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233588(P2011−233588)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】