説明

車両用覚醒システム

【課題】乗員が車両用シートで所定時間の睡眠を取った後、乗員を快適に覚醒させることができる車両用覚醒システムを得る。
【解決手段】車両用覚醒システム10では、リクライニングシート12に着座した乗員36が睡眠を取る場合には、着座乗員36はリクライニングシート12をリクライニング状態にさせて睡眠を取りやすい姿勢にすると共に、タイマーに所望の睡眠時間を設定すればよい。タイマーに設定された時間が経過すると、ECU22がモータを作動させてシートバック16、シートクッション14、及びオットマン18をそれぞれ所定の起立位置、降下位置、及び格納位置へ傾動させる。これにより、着座乗員36が覚醒しやすい姿勢にされる。またこのとき、ECU22がバニティランプ30によって着座乗員36へ光を照射し、着座乗員36の周囲が覚醒しやすい照度になる。これにより、着座乗員36を快適に覚醒させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗員が車両用シートで所定時間の睡眠を取った後、乗員を快適に覚醒させるための車両用覚醒システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者の居眠りを防止するための運転席用座席システムが考案されている(例えば、特許文献1参照)。この座席システムでは、運転者が居眠りに至る直前の状態を検出し、運転席のシートバックを前又は後に傾動させることで、運転者を刺激して覚醒状態に復帰させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−344613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のような座席システムは、車両走行時などにおける運転者の居眠り防止を目的としているが、運転者が駐車して仮眠を取る場合や、運転者以外の乗員が助手席などで睡眠を取る場合に所定時間で快適に覚醒させるためのシステムの開発も望まれている。
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、乗員が車両用シートで所定時間の睡眠を取った後、乗員を快適に覚醒させることができる車両用覚醒システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、車両用のリクライニングシートと、前記リクライニングシートのシートバックを傾動させるシートバック駆動手段と、前記リクライニングシートに着座した乗員に対して光を照射する照射手段と、時間を設定可能な時間設定手段と、前記時間設定手段に設定された時間が経過した後に、前記シートバック駆動手段によって前記シートバックを所定の起立位置へ傾動させると共に、前記照射手段によって前記着座乗員へ光を照射する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の車両用覚醒システムでは、リクライニングシート(車両用シート)に着座した乗員が睡眠を取る場合には、着座乗員はリクライニングシートのシートバックを後傾させて睡眠を取りやすい姿勢にすると共に、時間設定手段に所望の時間(睡眠時間)を設定すればよい。時間設定手段に設定された時間が経過すると、制御手段がシートバック駆動手段によってシートバックを所定の起立位置に傾動させる。このため、睡眠状態の着座乗員の上体がシートバックによって起こされて、着座乗員が覚醒しやすい姿勢にされる。またこのとき、制御手段が照射手段によって着座乗員へ光を照射し、着座乗員の周囲が覚醒しやすい照度になる。これにより、着座乗員を快適に覚醒させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項1に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記照射手段は、車両の天井部に設けられたルームランプを有することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の車両用覚醒システムでは、制御手段は、時間設定手段に設定された時間が経過すると、車両の天井部に設けられたルームランプによって着座乗員に光を照射する。このように、ルームランプを照射手段として兼用するので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項1又は請求項2に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記照射手段は、車両のサンバイザに設けられたバニティランプを有することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の車両用覚醒システムでは、制御手段は、時間設定手段に設定された時間が経過すると、車両のサンバイザに設けられたバニティランプによって着座乗員に光を照射する。このように、バニティランプを照射手段として兼用するので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項3に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記サンバイザは、所定の使用位置と所定の退避位置との間で移動可能に車両に取り付けられると共に、前記サンバイザを前記使用位置と前記退避位置との間で移動させるサンバイザ駆動手段を有し、前記バニティランプは、前記サンバイザが前記使用位置に配置された状態で前記着座乗員に対向すると共に、前記制御手段は、前記バニティランプによって前記着座乗員に光を照射する前に、前記サンバイザ駆動手段によって前記サンバイザを前記使用位置へ移動させることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の車両用覚醒システムでは、制御手段は、バニティランプによって着座乗員に光を照射する前に、サンバイザ駆動手段によってサンバイザを所定の使用位置へ移動させる。これにより、バニティランプが着座乗員に対向する。このように、サンバイザが自動的に使用位置へ移動されて、バニティランプによる着座乗員への光の照射が可能になるので、着座乗員は睡眠状態に入る前に予めサンバイザを使用位置に移動させる必要がない。したがって、着座乗員の操作手順を簡略化することができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、乗員が任意に調節した前記シートバックの通常使用位置を記憶すると共に、前記設定時間経過後に前記シートバックを前記起立位置へ傾動させ且つ前記照射手段によって光を照射した後で、前記シートバックの通常使用位置へ前記シートバックを傾動させることを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の車両用覚醒システムでは、制御手段は、時間設定手段に設定された時間が経過すると、シートバック駆動手段によってシートバックを所定の起立位置へ傾動させ且つ照射手段によって着座乗員に光を照射した後で、予め記憶していたシートバックの通常使用位置(着座乗員が任意に調節した位置)へシートバックを傾動させる。このため、シートバックの起立位置への傾動及び照射手段による光の照射によって覚醒した着座乗員がシートバックを通常使用位置へ傾動させる手間を省くことができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記リクライニングシートのシートクッションは、車両に対して上下方向に移動可能とされると共に、前記シートクッションを車両に対して上下方向に移動させるシートクッション駆動手段を有し、前記制御手段は、前記設定時間経過後に前記シートクッション駆動手段によって前記シートクッションを所定の降下位置へ下方移動させることを特徴としている。
【0016】
請求項6に記載の車両用覚醒システムでは、リクライニングシートに着座した乗員が睡眠を取る際には、着座乗員は好みに応じてシートクッションを車両に対し上方移動させて睡眠を取りやすい姿勢にすることができる。そして、時間設定手段に設定された時間が経過すると、制御手段がシートバック駆動手段によってシートバックを所定の起立位置へ移動させると共に、シートクッション駆動手段によってシートクッションを所定の降下位置へ下方移動させる。したがって、着座乗員はリラックスした姿勢を保ちながら覚醒しやすい姿勢へと移行されるので、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0017】
請求項7に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項6に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記シートクッション駆動手段の各作動停止時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載の車両用覚醒システムでは、シートバックが起立位置に到達する時刻と、シートクッションが降下位置に到達する時刻とを同時にすることができる。したがって、着座乗員に違和感を与えることなく快適な覚醒を提供することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項7に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記シートクッション駆動手段の各作動開始時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴としている。
【0020】
請求項8に記載の車両用覚醒システムでは、シートバックが起立位置へ向けて傾動し始める時刻と、シートクッションが降下位置へ向けて移動し始める時刻とを同時にすることができる。したがって、シートバックの傾動およびシートクッションの移動を開始する際に、着座乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0021】
請求項9に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、乗員が任意に調節した前記シートクッションの通常使用位置を記憶すると共に、前記所定時間経過後に前記シートクッションを前記降下位置へ移動させ且つ前記照射手段によって光を照射した後で、前記シートクッションの通常使用位置へ前記シートクッションを移動させることを特徴としている。
【0022】
請求項9に記載の車両用覚醒システムでは、制御手段は、時間設定手段に設定された時間が経過すると、シートバック駆動手段によってシートバックを所定の起立位置へ傾動させると共にシートクッション駆動手段によってシートクッションを所定の降下位置へ移動させ、且つ照射手段によって着座乗員に光を照射した後で、予め記憶していたシートクッションの通常使用位置(着座乗員が任意に調節した位置)へシートクッションを移動させる。このため、シートバックの起立位置への傾動、シートクッションの降下位置への移動、及び照射手段による光の照射によって覚醒した着座乗員がシートクッションを通常使用位置へ移動させる手間を省くことができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0023】
請求項10に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記リクライニングシートは、前記シートクッションに対して移動可能に取り付けられたオットマンを有すると共に、前記オットマンを前記シートクッションに対して移動させるオットマン駆動手段を有し、前記制御手段は、前記設定時間経過後に前記オットマン駆動手段によって前記オットマンを所定の格納位置へ移動させることを特徴としている。
【0024】
請求項10に記載の車両用覚醒システムでは、リクライニングシートに着座した乗員が睡眠を取る際には、着座乗員は好みに応じてオットマンをシートクッションに対して移動させて睡眠を取りやすい姿勢にすることができる。そして、時間設定手段に設定された時間が経過すると、制御手段がシートバック駆動手段によってシートバックを所定の起立位置へ移動させると共に、オットマン駆動手段によってオットマンを所定の格納位置へ下方移動させる。したがって、着座乗員はリラックスした姿勢を保ちながら覚醒しやすい姿勢へと移行されるので、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0025】
請求項11に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項10に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記オットマン駆動手段の各作動停止時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴としている。
【0026】
請求項11に記載の車両用覚醒システムでは、シートバックが起立位置に到達する時刻と、オットマンが格納位置に到達する時刻とを同時にすることができる。したがって、着座乗員に違和感を与えることなく快適な覚醒を提供することができる。
【0027】
請求項12に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項11に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記オットマン駆動手段の各作動開始時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴としている。
【0028】
請求項12に記載の車両用覚醒システムでは、シートバックが起立位置へ向けて傾動し始める時刻と、オットマンが格納位置へ向けて移動し始める時刻とを同時にすることができる。したがって、シートバックの傾動及びオットマンの移動を開始する際に、着座乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0029】
請求項13に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記照射手段は、輝度を調節可能とされると共に、前記制御手段は、前記照射手段によって光を照射する際に前記照射手段の輝度を徐々に増加させることを特徴としている。
【0030】
請求項13に記載の車両用覚醒システムでは、制御手段は、照射手段によって着座乗員に光を照射する際に照射手段の輝度を徐々に増加させる。したがって、着座乗員に違和感を与えることなく快適な覚醒を提供することができる。
【0031】
請求項14に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項13に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記シートバック駆動手段の作動開始時に前記照射手段を点灯させると共に、前記シートバック駆動手段の作動停止時に前記照射手段の輝度を最大にさせることを特徴としている。
【0032】
請求項14に記載の車両用覚醒システムでは、シートバックが傾動し始める時に照射手段が点灯される。そして、シートバックの傾動に伴って照射手段の輝度が徐々に増加され、シートバックが起立位置に到達した時に照射手段の輝度が最大にされる。このように、照射手段の輝度が徐々に増加されるので、着座乗員に違和感を与えることを抑制できる。また、シートバックが起立位置に到達した時(すなわち着座乗員の上体が起こされた時)に照射手段の輝度が最大にされるので、着座乗員を覚醒させる強度を強くすることができる。
【0033】
請求項15に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項13に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記シートバック駆動手段の作動停止後に前記照射手段を点灯させることを特徴としている。
【0034】
請求項15に記載の車両用覚醒システムでは、シートバックが起立位置に到達した後で照射手段が点灯され、照射手段の輝度が徐々に増加される。このため、着座乗員は、シートバックが起立位置に到達するまでの間にシートバックの傾動によって覚醒されると共に、シートバックが起立位置に到達した後、徐々に輝度を増加される照射手段からの光によって更に覚醒される。したがって、着座乗員を覚醒させるための時間を長くすることができ、これにより、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0035】
請求項16に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、請求項13に記載の車両用覚醒システムにおいて、前記制御手段は、前記照射手段の輝度が最大になった後で前記シートバック駆動手段を作動させることを特徴としている。
【0036】
請求項16に記載の車両用覚醒システムでは、照射手段が点灯されて照射手段の輝度が最大になった後で、シートバックの傾動が開始される。このため、着座乗員は、照射手段が点灯されてから照射手段の輝度が最大になるまでの間に照射手段からの光によって覚醒されると共に、照射手段の輝度が最大になった後で、シートバックの傾動によって更に覚醒される。したがって、着座乗員を覚醒させるための時間を長くすることができ、これにより、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0037】
請求項17に記載の発明に係る車両用覚醒システムは、着座乗員の着座姿勢が変化するように変形可能とされた車両用シートと、前記車両用シートを変形させる駆動手段と、前記着座乗員に対して光を照射する照射手段と、時間を設定可能な時間設定手段と、前記時間設定手段に設定された時間が経過した後に、前記駆動手段によって前記車両用シートを所定の形態に変形させると共に、前記照射手段によって前記着座乗員へ光を照射する制御手段と、を有することを特徴としている。
【0038】
請求項17に記載の車両用覚醒システムでは、車両用シート(座席)に着座した乗員が睡眠を取る場合には、着座乗員は車両用シートを変形させて睡眠を取りやすい姿勢にすると共に、時間設定手段に所望の時間(睡眠時間)を設定すればよい。時間設定手段に設定された時間が経過すると、制御手段が駆動手段によって車両用シートを所定の形態に変形させる。このため、睡眠状態の着座乗員の姿勢が変化される。またこのとき、制御手段が照射手段によって着座乗員へ光を照射し、乗員の周囲が覚醒しやすい照度になる。これにより、着座乗員を快適に覚醒させることができる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、請求項1に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、乗員が車両用シートで所定時間の睡眠を取った後、乗員を快適に覚醒させることができる。
【0040】
請求項2に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、部品点数の増加を抑制することができる。
【0041】
請求項3に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、部品点数の増加を抑制することができる。
【0042】
請求項4に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員の操作手順を簡略化することができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0043】
請求項5に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、覚醒した着座乗員がシートバックを通常使用位置へ傾動させる手間を省くことができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0044】
請求項6に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員はリラックスした姿勢を保ちながら覚醒しやすい姿勢へと移行されるので、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0045】
請求項7に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員に違和感を与えることなく快適な覚醒を提供することができる。
【0046】
請求項8に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、シートバックの傾動およびシートクッションの移動を開始する際に、着座乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0047】
請求項9に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、覚醒した着座乗員がシートクッションを通常使用位置へ移動させる手間を省くことができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0048】
請求項10に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員はリラックスした姿勢を保ちながら覚醒しやすい姿勢へと移行されるので、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0049】
請求項11に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員に違和感を与えることなく快適な覚醒を提供することができる。
【0050】
請求項12に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、シートバックの傾動及びオットマンの移動を開始する際に、着座乗員に違和感を与えることを抑制できる。
【0051】
請求項13に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員に違和感を与えることなく快適な覚醒を提供することができる。
【0052】
請求項14に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員に違和感を与えることを抑制できると共に、着座乗員を覚醒させる強度を強くすることができる。
【0053】
請求項15に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員を覚醒させるための時間を長くすることができ、これにより、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0054】
請求項16に記載の発明に係る車両用覚醒システムでは、着座乗員を覚醒させるための時間を長くすることができ、これにより、着座乗員に快適な覚醒を提供することができる。
【0055】
請求項17に記載を発明に係る車両用覚醒システムでは、乗員が車両用シートで所定時間の睡眠を取った後、乗員を快適に覚醒させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
<第1の実施形態>
【0057】
図1及び図2には、本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システム10の構成が概略的な斜視図にて示されている。また、図3及び図4には、この車両用覚醒システム10の部分的な構成が概略的な側面図にて示されている。なお、図中矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示し、矢印Wは車幅内側方向を示している。
【0058】
これらの図に示されるように、本第1の実施形態に係る車両用覚醒システム10は、車両用のリクライニングシート12を含んで構成されており、このリクライニングシート12は、シートクッション14、シートバック16、及びオットマン18を備えている。なお、本第1の実施形態では、上述のリクライニングシート12が車両(図示省略)の助手席として採用されており、リクライニングシート12の前後左右上下の方向性は、このリクライニングシート12が搭載された車両(車体)の前後左右上下の方向性と一致している。
【0059】
このリクライニングシート12のシートバック16は、下端部がシートクッション14の後端部に回動可能に連結されており、図1及び図3に示される後傾位置と、図2及び図4に示される起立位置との間でシートクッション14に対して傾動可能とされている。このシートバック16には、シートバック駆動手段としてのリクライニングモータ20(以下、単に「モータ20」という)が設けられており、このモータ20が作動することで、シートバック16が後傾位置と起立位置との間でシートクッション14(車体)に対し傾動(回動)されるようになっている。このモータ20は、制御手段を構成するECU22(制御装置)に電気的に接続されている(図5参照)。
【0060】
また、モータ20には、制御手段を構成する回転検出センサ20A(本第1の実施形態では、磁気センサ)が設けられている。この回転検出センサ20Aは、モータ20の出力軸に取り付けられた磁石(共に図示省略)に対応しており、出力軸の回転によって磁石が回転検出センサ20Aの近傍を繰り返し通過すると、磁石によって生じる磁気を検知して所定の電気信号をECU22に出力するようになっている。この場合、ECU22は、回転検出センサ20Aから出力された信号に基づいてモータ20の出力軸の回転数を検出すると共に、検出した回転数からシートバック16の車体に対する傾動角度(リクライニング角度)を検出するようになっている。
【0061】
一方、シートクッション14は、後端部が車体に対して回動可能に連結されており、図1及び図3に示される上昇位置と、図2及び図4に示される降下位置との間で車体に対して傾動可能とされている(車体に対する座面14Aの角度を調整可能とされている)。このシートクッション14には、シートクッション駆動手段としての座面角調整モータ24(以下、単に「モータ24」という)が設けられており、このモータ24が作動することで、シートクッション14が上昇位置と降下位置との間で車体に対し傾動(回動)されるようになっている。このモータ24は、前述したECU22に電気的に接続されている。
【0062】
また、モータ24には、前述した回転検出センサ20Aと基本的に同様構成の回転検出センサ24Aが設けられており、ECU22は、この回転検出センサ24Aから出力された信号に基づいてシートクッション14の車体に対する傾動角度を検出するようになっている。
【0063】
一方、オットマン18は、上端部がシートクッション14の前端部に回動可能に連結されており、図1及び図3に示される突出位置と、図2及び図4に示される格納位置との間でシートクッション14に対して傾動可能とされている。このオットマン18には、オットマン駆動手段としてのオットマンモータ26(以下、単に「モータ26」という)が設けられており、このモータ26が作動することで、オットマン18が突出位置と格納位置との間でシートクッション14に対し傾動(回動)されるようになっている。このモータ26は、前述したECU22に電気的に接続されている。
【0064】
また、モータ26には、前述した回転検出センサ20Aと基本的に同様構成の回転検出センサ26Aが設けられており、ECU22は、この回転検出センサ26Aから出力された信号に基づいてオットマン18のシートクッション14に対する傾動角度を検出するようになっている。
【0065】
なお、上述のECU22には、車室内の所定位置(例えば、シートクッション14の側部)に設けられた図示しないスイッチが電気的に接続されており、ECU22は、このスイッチの操作に応じてモータ20、24、26を作動させるようになっている。このため、リクライニングシート12に着座した乗員36(以下、単に「着座乗員36」という)は、このスイッチを操作することでシートクッション14、シートバック16、及びオットマン18を駆動させる(リクライニングシート12を変形させる)ことができ、好みの着座姿勢に応じてリクライニングシート12の形態を変化させることができるようになっている。
【0066】
また、上述のECU22には、車両のサンバイザ28に設けられたバニティランプ30とサンバイザモータ32(サンバイザ駆動手段、以下単に「モータ32」という)とが電気的に接続されている。サンバイザ28は、車室の天井部の前端部に回動可能に取り付けられており、モータ32の駆動力によって図1に実線で示される使用位置と、図1に二点鎖線で示される退避位置との間で回動されるようになっている。
【0067】
一方、バニティランプ30は、サンバイザ28が使用位置に配置された状態で車両後方側を向くように(着座乗員36に対向するように)サンバイザ28に取り付けられている。このため、サンバイザ28が使用位置に配置された状態でバニティランプ30が点灯すると、着座乗員36に光が照射されるようになっている。
【0068】
なお、このバニティランプ30には、その輝度(明るさ)を調節するための輝度調節機構(図示省略)が設けられており、バニティランプ30の点灯・消灯の制御及び輝度調節をECU22が行うようになっている。
【0069】
さらに、上述のECU22には、時間設定手段としてのタイマー34が電気的に接続されている。このタイマー34は、例えばシートクッション14の側部に取り付けられている。このタイマー34には、着座乗員36が操作可能な操作部(図示省略)が設けられており、着座乗員36はこの操作部を操作することでタイマー34に所望の時間を設定できるようになっている。また、ECU22には、車両のインストルメントパネルに設けられたディスプレイ(共に図示省略)が電気的に接続されており、着座乗員36がタイマー34に設定した時間がディスプレイに表示されるようになっている。
【0070】
ここで、本第1の実施形態では、ECU22には、前述したモータ20、24、26、32、及びバニティランプ30を制御するための制御プログラムが記憶されており、ECU22は、タイマー34に時間が設定されると、この制御プログラムを起動させるようになっている。
【0071】
次に、図6に示されるフローチャートに従って、本第1の実施形態の作用について説明する。
【0072】
上記構成の車両用覚醒システム10では、リクライニングシート12に着座した乗員36が睡眠を取る場合には、着座乗員36は、リクライニングシート12をリクライニング状態にさせることで(すなわち、シートバック16を後傾位置側へ傾動させると共に、シートクッション14を上昇位置側へ傾動させ、且つオットマン18を突出位置側へ傾動させることで)、睡眠を取りやすいリラックスした姿勢にすることができる(図3参照)。
【0073】
また、着座乗員36は、シートクッション14の側部に設けられたタイマー34の操作部を操作して、所望の睡眠時間をタイマー34に設定することができる。このようにタイマー34に時間が設定されると、ECU22が制御プログラムを起動させる。この制御プログラムでは、ECU22は、先ずステップ100において、タイマー34に設定された時間が経過したか否かを判断する。この判断が肯定された場合にのみ次のステップ102に移行する。
【0074】
ステップ102では、ECU22は、タイマー34に設定された時間が経過したため、モータ32を作動させてサンバイザ28を退避位置から使用位置へと移動させる。これにより、サンバイザ28に設けられたバニティランプ30が着座乗員36に対向する。このステップ102での処理が終了すると、次のステップ104に移行する。
【0075】
ステップ104では、ECU22は、モータ20、24、26の作動を制御するための演算を実施する。この演算としては、例えばECU22は、回転検出センサ20A、24A、26Aの検出結果に基づいて、シートバック16の現在位置から起立位置までの傾動角度と、シートクッション14の現在位置から降下位置までの傾動角度と、オットマン18の現在位置から格納位置までの傾動角度とを演算によって算出する。そして、ECU22は、モータ20、24、26の作動によってシートバック16、シートクッション14、オットマン18をそれぞれ起立位置、降下位置、格納位置まで傾動させる際に、モータ20、24、26の各作動開始時刻と各作動停止時刻とが同時になるように、モータ20、24、26の各回転速度を上記算出結果に基づいて算出する。このステップ104での処理が終了すると、次のステップ106に移行する。
【0076】
ステップ106では、ECU22は、ステップ104において算出したモータ20、24、26の各回転速度に対応させて、モータ20、24、26を同時に作動させる。このため、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18がモータ20、24、26の駆動力によって同時に駆動され、それぞれ起立位置、降下位置、格納位置へと傾動し始める。したがって、睡眠状態の着座乗員36はリラックスした姿勢を保ちながら、覚醒しやすい姿勢へと移行される。しかも、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18の傾動が同時に開始されるので、睡眠状態の着座乗員36に違和感を与えることを抑制できる。このステップ106での処理が終了すると、次のステップ108に移行する。
【0077】
ステップ108では、ECU22は、バニティランプ30を点灯させる。この場合、ECU22は、シートバック16、シートクッション14、オットマン18が、それぞれ起立位置、降下位置、格納位置に到達した時にバニティランプ30の輝度が最大になるように、バニティランプ30の輝度を徐々に増加させる。したがって、着座乗員36の周囲が徐々に明るくなるため、睡眠状態の着座乗員36に違和感を与えることを抑制できる。
【0078】
なお、ステップ104からステップ108までの処理は、ECU22によって瞬時に実施されるため、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18の傾動と、バニティランプ30の点灯とは同時に開始されるものとみなすことができる。このステップ108での処理が終了すると、次のステップ110に移行する。
【0079】
ステップ110では、ECU22は、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18が、それぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置に到達したか否かを、回転検出センサ20A、24A、26Aの検出結果に基づいて判断する。この判断が肯定された場合にのみ次のステップ112に移行する。
【0080】
ステップ112では、ECU22は、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18が、それぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置に到達したため、モータ20、24、26の作動を同時に停止させる。このため、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18の傾動が同時に停止されるので、着座乗員36に違和感を与えることを抑制できる。
【0081】
そしてこの状態では、図4に示されるように、降下位置に配置されたシートクッション14と、起立位置に配置されたシートバック16とによって着座乗員36の身体が支持され、着座乗員36が覚醒しやすい姿勢にされる。またこのとき、バニティランプ30の輝度が最大にされ、着座乗員36の周囲が覚醒しやすい明るさになる。これにより、所定時間の睡眠を取った着座乗員36を快適に覚醒させることができる。
【0082】
しかも、この車両用覚醒システム10では、サンバイザ28に設けられたバニティランプ30が乗員覚醒用の照射手段として兼用されているので、部品点数の増加を抑制することができる。
【0083】
また、この車両用覚醒システム10では、タイマー34に設定された時間が経過した後、ステップ102において自動的にサンバイザ28が使用位置へ移動され、バニティランプ30による着座乗員36への光の照射が可能になる。このため、着座乗員36は、睡眠状態に入る前に予めサンバイザ28を使用位置へ移動させる必要がない。したがって、着座乗員36の操作手順を簡略化することができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0084】
さらに、この車両用覚醒システム10では、ステップ110において、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18が、それぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置に到達したとき、すなわち着座乗員36が覚醒しやすい姿勢にされたときに、バニティランプ30の輝度が最大にされ、着座乗員36の周囲が覚醒しやすい明るさにされる。このため、着座乗員36を覚醒させる強度を強くすることができる。
【0085】
なお、上記第1の実施形態では、ECU22は、ステップ106において、モータ20、24、26の各作動開始時刻及び各作動停止時刻が共に同時になるように、モータ20、24、26の各回転速度を制御したが、これに限らず、ECU22が、モータ20、24、26の各作動開始時刻を変える(ずらす)ことで、モータ20、24、26の各作動停止時刻を同時にするようにしてもよい。この場合、例えば、ECU22は、ステップ104において、回転検出センサ20A、24A、26Aの検出結果に基づいて、シートバック16の現在位置から起立位置までの傾動角度と、シートクッション14の現在位置から降下位置までの傾動角度と、オットマン18の現在位置から格納位置までの傾動角度とを演算によって算出する。そして、これらの算出結果に基づいて、ECU22は、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18がそれぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置に同時に到達するように、モータ20、24、26の各作動開始時刻を演算する構成になる。この場合、ECU22がモータ20、24、26の回転速度制御を行う必要がないので、当該回転速度制御のための構成が不要になり、システムを簡素化することができる。この点は、以下に説明する本発明の他の実施形態においても同様である。
【0086】
また、上記第1の実施形態では、着座乗員36が睡眠を取る際に自らの操作によってリクライニングシート12をリクライニング状態にさせる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、着座乗員36がタイマー34に所望の睡眠時間を設定した後で、ECU22がモータ20、24、26を作動させて、予め設定されたリクライニング状態(例えば、乗員が好みに応じて設定した状態)へ自動的にリクライニングシート12を変形駆動させる構成にしてもよい。
【0087】
さらに、上記第1の実施形態では、サンバイザ28に設けられたバニティランプ30が乗員覚醒用の照射手段として用いられた構成にしたが、本発明はこれに限らず、車室の天井部に設けられたルームランプが乗員覚醒用の照射手段として用いられる構成にしてもよいし、バニティランプ30とルームランプとの両方が照射手段として用いられる構成にしてもよい。この点は、以下に説明する本発明の他の実施形態においても同様である。
【0088】
また、上記第1の実施形態では、車両用覚醒システム10を構成するリクライニングシート12が、車両の助手席として採用された場合について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明に係るリクライニングシート(車両用シート)が運転席やミニバン等の2列目又は3列目の座席として採用された構成にしてもよい。この点は、以下に説明する本発明の他の実施形態においても同様である。
【0089】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成・作用については、前記第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0090】
<第2の実施形態>
【0091】
本発明の第2の実施形態は、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成とされているが、この実施形態では、ECU22に記憶された制御プログラムが前記第1の実施形態に係る制御プログラムとは異なっている。
【0092】
図7には、本発明の第2の実施形態に係るECU22の制御プログラムの概略がフローチャートにて示されている。なお、前記第1の実施形態に係る制御プログラムと同様の処理については、前記第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0093】
この実施形態では、ECU22は、ステップ112においてモータ20、24、26の作動を停止させると、次のステップ114に移行する。このステップ114では、ECU22は、ステップ112においてモータ20、22、24を停止させてから所定時間経過したか否かを判断する。そして、この判断が肯定された場合にのみ次のステップ116に移行する。
【0094】
ステップ116では、ECU22は、シートバック16及びシートクッション14をそれぞれの通常使用位置へ傾動させるために、モータ20、24を作動させる。なお、上述の通常使用位置は、リクライニングシート12への通常の着座状態(睡眠を取る前の状態)で、乗員36が任意に調節したシートバック16及びシートクッション14の使用位置のことであり、ECU22によって予め記憶されていたものである。このステップ116での処理が終了すると、次のステップ118に移行する。
【0095】
ステップ118では、ECU22は、シートバック16及びシートクッション14が、それぞれの通常使用位置に到達したか否かを、回転検出センサ20A、24Aの検出結果に基づいて判断する。この判断が肯定された場合にのみ次のステップ120に移行する。
【0096】
ステップ120では、ECU22は、シートバック16及びシートクッション14が、それぞれの通常使用位置に到達したため、モータ20、24の作動を同時に停止させる。
【0097】
すなわち、この実施形態では、ECU22は、ステップ100〜ステップ112において、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18を、それぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置へ傾動させ、且つバニティランプ30によって着座乗員36に光を照射させた後で、予め記憶していたシートバック16及びシートクッション14の各通常使用位置(着座乗員36が任意に調節した位置)へシートバック16及びシートクッション14を傾動させる。
【0098】
このため、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18の傾動及びバニティランプ30による光の照射によって覚醒した着座乗員36が、シートバック16及びシートクッション14を通常使用位置へ傾動させる手間を省くことができ、システムの操作性を向上させることができる。
【0099】
<第3の実施形態>
【0100】
本発明の第3の実施形態は、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成とされているが、この実施形態では、ECU22に記憶された制御プログラムが前記第1の実施形態に係る制御プログラムとは異なっている。
【0101】
図8には、本発明の第3の実施形態に係るECU22の制御プログラムの概略がフローチャートにて示されている。なお、前記第1の実施形態に係る制御プログラムと同様の処理については、前記第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0102】
図8に示されるように、本第3の実施形態に係る制御プログラムは、前記第1の実施形態に係る制御プログラムと基本的に同様の処理内容になっている。但し、この制御プログラムでは、前記第1の実施形態に係るステップ108(バニティランプ30を点灯させる処理)が省略されており、その代わりにステップ112の後にバニティランプ30を点灯させる処理(ステップ122)が追加されている。なお、このステップ122では、ECU22は、バニティランプ30の輝度を徐々に増加させる。
【0103】
すなわち、この実施形態では、ECU22は、ステップ106〜ステップ110においてシートバック16、シートクッション14、及びオットマン18を、それぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置へ傾動させると共に、ステップ112においてモータ20、24、26の作動を停止させた後で、バニティランプ30を点灯し、その輝度を徐々に増加させる。
【0104】
このため、着座乗員36は、シートバック16、シートクッション14、オットマン18がそれぞれ起立位置、降下位置、格納位置に到達するまでの間に、これらの傾動によって覚醒されると共に、シートバック16、シートクッション14、オットマン18がそれぞれ起立位置、降下位置、格納位置に到達した後で、徐々に輝度を増加されるバニティランプ30からの光によって更に覚醒される。したがって、着座乗員36を覚醒させるための時間を長くすることができ、これにより、着座乗員36を快適に覚醒させることができる。
【0105】
<第4の実施形態>
【0106】
本発明の第4の実施形態は、前記第1の実施形態と基本的に同様の構成とされているが、この実施形態では、ECU22に記憶された制御プログラムが前記第1の実施形態に係る制御プログラムとは異なっている。
【0107】
図9には、本発明の第3の実施形態に係るECU22の制御プログラムの概略がフローチャートにて示されている。なお、前記第1の実施形態に係る制御プログラムと同様の処理については、前記第1の実施形態と同符号を付与し、その説明を省略する。
【0108】
図9に示されるように、本第3の実施形態に係る制御プログラムは、前記第1の実施形態に係る制御プログラムと基本的に同様の処理内容になっている。但し、この制御プログラムでは、前記第1の実施形態に係るステップ108が省略されると共に、ステップ104とステップ106との間に、ステップ124とステップ126とが追加されている。ステップ124では、ECU22は、バニティランプ30を点灯させ、その輝度を徐々に増加させる。また、次のステップ126では、ECU22は、バニティランプ30の輝度が最大になったか否かを判断する。この判断が肯定された場合には、次のステップ106においてモータ20、24、26の作動を開始し、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18を、それぞれ起立位置、降下位置、及び格納位置へ傾動させる。
【0109】
すなわち、この実施形態では、ECU22は、バニティランプ30を徐々に明るくして、その輝度が最大になった後で、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18の傾動を開始させる。このため、着座乗員36は、バニティランプ30が点灯されてからバニティランプ30の輝度が最大になるまでの間にバニティランプ30からの光によって覚醒されると共に、バニティランプ30の輝度が最大になった後で、シートバック16、シートクッション14、及びオットマン18の傾動によって更に覚醒される。したがって、着座乗員36を覚醒させるための時間を長くすることができ、これにより、着座乗員36を快適に覚醒させることができる。
【0110】
なお、前記第1の実施形態〜上記第4の実施形態では、リクライニングシート12がオットマン18を備えた構成にしたが、本発明はこれに限らず、オットマン18が省略された構成にしてもよい。
【0111】
また、前記第1の実施形態〜上記第4の実施形態では、リクライニングシート12のシートクッション14が車両に対して上下に傾動可能とされた構成(座面14Aの角度を調整可能な構成)にしたが、本発明はこれに限らず、当該座面角調整機能が省略された構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システムの構成を示し、リクライニングシートのフルリクライニング状態での概略的な斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システムの構成を示し、リクライニングシートの通常着座使用状態での概略的な斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システムの部分的な構成を示し、リクライニングシートのフルリクライニング状態での概略的な側面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システムの部分的な構成を示し、リクライニングシートの通常着座使用状態での概略的な側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システムの制御装置のブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る車両用覚醒システムの制御プログラムの流れ図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る車両用覚醒システムの制御プログラムの流れ図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る車両用覚醒システムの制御プログラムの流れ図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る車両用覚醒システムの制御プログラムの流れ図である。
【符号の説明】
【0113】
10 車両用覚醒システム
12 リクライニングシート
14 シートクッション
16 シートバック
18 オットマン
20 リクライニングモータ(シートバック駆動手段)
22 ECU(制御手段)
20A 回転検出センサ(制御手段)
24 座面角調整モータ(シートクッション駆動手段)
24A 回転検出センサ(制御手段)
26 オットマンモータ(オットマン駆動手段)
26A 回転検出センサ(制御手段)
28 サンバイザ
30 バニティランプ(照射手段)
32 モータ(サンバイザ駆動手段)
34 タイマー(時間設定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のリクライニングシートと、
前記リクライニングシートのシートバックを傾動させるシートバック駆動手段と、
前記リクライニングシートに着座した乗員に対して光を照射する照射手段と、
時間を設定可能な時間設定手段と、
前記時間設定手段に設定された時間が経過した後に、前記シートバック駆動手段によって前記シートバックを所定の起立位置へ傾動させると共に、前記照射手段によって前記着座乗員へ光を照射する制御手段と、
を有する車両用覚醒システム。
【請求項2】
前記照射手段は、車両の天井部に設けられたルームランプを有することを特徴とする請求項1に記載の車両用覚醒システム。
【請求項3】
前記照射手段は、車両のサンバイザに設けられたバニティランプを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用覚醒システム。
【請求項4】
前記サンバイザは、所定の使用位置と所定の退避位置との間で移動可能に車両に取り付けられると共に、前記サンバイザを前記使用位置と前記退避位置との間で移動させるサンバイザ駆動手段を有し、前記バニティランプは、前記サンバイザが前記使用位置に配置された状態で前記着座乗員に対向すると共に、前記制御手段は、前記バニティランプによって前記着座乗員に光を照射する前に、前記サンバイザ駆動手段によって前記サンバイザを前記使用位置へ移動させることを特徴とする請求項3に記載の車両用覚醒システム。
【請求項5】
前記制御手段は、乗員が任意に調節した前記シートバックの通常使用位置を記憶すると共に、前記設定時間経過後に前記シートバックを前記起立位置へ傾動させ且つ前記照射手段によって光を照射した後で、前記シートバックの通常使用位置へ前記シートバックを傾動させることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用覚醒システム。
【請求項6】
前記リクライニングシートのシートクッションは、車両に対して上下方向に移動可能とされると共に、前記シートクッションを車両に対して上下方向に移動させるシートクッション駆動手段を有し、前記制御手段は、前記設定時間経過後に前記シートクッション駆動手段によって前記シートクッションを所定の降下位置へ下方移動させることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の車両用覚醒システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記シートクッション駆動手段の各作動停止時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴とする請求項6に記載の車両用覚醒システム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記シートクッション駆動手段の各作動開始時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴とする請求項7に記載の車両用覚醒システム。
【請求項9】
前記制御手段は、乗員が任意に調節した前記シートクッションの通常使用位置を記憶すると共に、前記所定時間経過後に前記シートクッションを前記降下位置へ移動させ且つ前記照射手段によって光を照射した後で、前記シートクッションの通常使用位置へ前記シートクッションを移動させることを特徴とする請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の車両用覚醒システム。
【請求項10】
前記リクライニングシートは、前記シートクッションに対して移動可能に取り付けられたオットマンを有すると共に、前記オットマンを前記シートクッションに対して移動させるオットマン駆動手段を有し、前記制御手段は、前記設定時間経過後に前記オットマン駆動手段によって前記オットマンを所定の格納位置へ移動させることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の車両用覚醒システム。
【請求項11】
前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記オットマン駆動手段の各作動停止時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴とする請求項10に記載の車両用覚醒システム。
【請求項12】
前記制御手段は、前記シートバック駆動手段及び前記オットマン駆動手段の各作動開始時刻が同時になるように両者の作動を制御することを特徴とする請求項11に記載の車両用覚醒システム。
【請求項13】
前記照射手段は、輝度を調節可能とされると共に、前記制御手段は、前記照射手段によって光を照射する際に前記照射手段の輝度を徐々に増加させることを特徴とする請求項1〜請求項12の何れか1項に記載の車両用覚醒システム。
【請求項14】
前記制御手段は、前記シートバック駆動手段の作動開始時に前記照射手段を点灯させると共に、前記シートバック駆動手段の作動停止時に前記照射手段の輝度を最大にさせることを特徴とする請求項13に記載の車両用覚醒システム。
【請求項15】
前記制御手段は、前記シートバック駆動手段の作動停止後に前記照射手段を点灯させることを特徴とする請求項13に記載の車両用覚醒システム。
【請求項16】
前記制御手段は、前記照射手段の輝度が最大になった後で前記シートバック駆動手段を作動させることを特徴とする請求項13に記載の車両用覚醒システム。
【請求項17】
着座乗員の着座姿勢が変化するように変形可能とされた車両用シートと、
前記車両用シートを変形させる駆動手段と、
前記着座乗員に対して光を照射する照射手段と、
時間を設定可能な時間設定手段と、
前記時間設定手段に設定された時間が経過した後に、前記駆動手段によって前記車両用シートを所定の形態に変形させると共に、前記照射手段によって前記着座乗員へ光を照射する制御手段と、
を有する車両用覚醒システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−125276(P2009−125276A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−302920(P2007−302920)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】