説明

車両用計器の照明構造

【課題】主に、調光層や導光板などを用いることなく、均等な文字板照明を行い得るようにする。
【解決手段】文字板5の裏面側に、指針回動領域5aの外周縁部に形成された文字目盛領域5bに沿って延びる円弧状の導光用凹部21と、導光用凹部21の途中に接続されて前記文字板照明用光源15を収容可能な光源収容部22とを設ける。そして、光源収容部22に、文字板照明用光源15からの光を導光用凹部21へ向けて反射させるドーム状反射面23を設ける。更に、導光用凹部21の中間部に、文字板照明用光源15からの光またはドーム状反射面23で反射された光を導光用凹部21の端部21aへ向けて反射させる中間反射面24を少なくとも1つ設けるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1箇所に配置された文字板照明用光源によって文字板全体を均等に照明し得るようにした車両用計器の照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、車室内の前部に車両用計器(計器装置)が設けられている。この車両用計器は、夜間などでも視認できるようにするために、照明構造を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記した特許文献1の照明構造は、円形の指針回動領域を有する文字板と、この文字板裏面側の指針回動領域から外れた位置に配置された文字板照明用光源とを有している。
【0004】
このような構成によれば、文字板裏面側の指針回動領域から外れた位置に文字板照明用光源を配置することにより、少ない光源数で文字板を照明することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3775910号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用計器の照明構造には、以下のような問題があった。
【0007】
即ち、指針回動領域から外れた位置に文字板照明用光源を1箇所のみ配置した場合、文字板全体を均等に照明することが難しいため、文字板を、文字板照明用光源に近い近接領域と、文字板照明用光源から遠い遠隔領域と、これらの中間に位置する中間領域とにエリア分けすると共に、近接領域や中間領域に対して濃さの異なる調光層をそれぞれ設けることにより、文字板の明るさ(輝度)が均等になるように調整していた。
【0008】
しかし、このように調光層で調整する場合、文字板の明るさを遠隔領域に合わせる必要があるので、文字板全体が暗くなってしまうという問題があった。
【0009】
しかも、調光層を設けることによって、構成が複雑化したりコストがかかったりしてしまうという問題もあった。
【0010】
更に、上記した構造では、指針回動領域の内側に警告灯(ウォーニング)や表示灯(インジケータ)などを設けることが難しいなどの問題も発生する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、円形または部分円形状の指針回動領域を有する文字板と、該文字板裏面側の指針回動領域から外れた位置に配置された文字板照明用光源とを有する車両用計器の照明構造において、前記文字板の裏面側に、指針回動領域の外周縁部に形成された文字目盛領域に沿って延びる円弧状の導光用凹部と、該導光用凹部の途中に接続されて前記文字板照明用光源を収容可能な光源収容部とを設け、該光源収容部に、文字板照明用光源からの光を導光用凹部へ向けて反射させるドーム状反射面を設けると共に、前記導光用凹部の中間部に、文字板照明用光源からの光またはドーム状反射面で反射された光を導光用凹部の端部へ向けて反射させる中間反射面を少なくとも1つ設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載された発明は、上記において、前記導光用凹部の底面に、導光用凹部の端部へ向かうに従い文字板へ近づくスロープ状反射面を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載された発明は、上記において、前記ドーム状反射面が、文字板照明用光源の位置を焦点とするパラボラ状反射面を有すると共に、該パラボラ状反射面が、前記導光用凹部の各端部へ向けて光を反射するよう単数または複数設けられたことを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載された発明は、上記において、前記ドーム状反射面の頂部に、文字板照明用光源に近接する部分への光の反射を抑制すると共に、前記導光用凹部の各端部へ光を導く指向性反射壁を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、文字板裏面側の指針回動領域から外れた位置に、文字板照明用光源を配置することにより、少ない光源数で効率的に文字板を照明することができる。文字板の裏面側に、指針回動領域の外周縁部に形成された文字目盛領域に沿って延びる円弧状の導光用凹部と、導光用凹部の途中に接続されて文字板照明用光源を収容可能な光源収容部とを設けたことにより、文字板照明用光源から発生した光を導光用凹部へ導いて、指針回動領域の外周縁部に形成された文字目盛領域を効率的に照明することができる。また、光源収容部にドーム状反射面を設けたことにより、文字板照明用光源からの光のほぼ全てを導光用凹部へ向けて反射させることができる。導光用凹部の中間部に中間反射面を少なくとも1つ設けたことにより、文字板照明用光源からの光またはドーム状反射面で反射された光を円弧状をした導光用凹部の(文字板照明用光源から最も遠い位置または隠れた位置にある)端部へ向けて反射させることができる。これにより、文字板照明用光源からの光を確実且つ効率的に導光用凹部の全域に導いて文字板を均等に照明することができると共に、文字板照明の輝度を上げることができる。また、調光層や導光板などを用いることなく、均等な文字板照明を行うことができ、コストもかからないようにすることができる。しかも、指針回動領域の内側には導光用凹部が設けられていないので、警告灯(ウォーニング)や表示灯(インジケータ)などを自由に設けることも可能となる。
【0016】
請求項2の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、導光用凹部の底面に、導光用凹部の端部へ向かうに従い文字板へ近づくスロープ状反射面を設けたことにより、文字板照明用光源に近い部分(近接領域)では明るさが相対的に弱くなり、文字板照明用光源から遠い端部(遠隔領域)では明るさが相対的に強くなるようにすることができる。これにより、導光用凹部全域に亘って反射光の均等化を図ることが可能となる。
【0017】
請求項3の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ドーム状反射面が、文字板照明用光源の位置を焦点とするパラボラ状反射面を単数または複数有することにより、文字板照明用光源から発生した光をより均等に分散させることができる。そして、パラボラ状反射面が、導光用凹部の各端部へ向けて光を反射するようにそれぞれ設けられたことにより、各端部へ向けて光をより均等且つ効率的に配分することが可能となる。
【0018】
請求項4の発明によれば、上記構成によって、以下のような作用効果を得ることができる。即ち、ドーム状反射面の頂部に指向性反射壁を設けることにより、文字板照明用光源に近接する部分への光の反射を抑制すると共に、導光用凹部の各端部へ多くの光を導くことができる。これにより、導光用凹部全域に亘って反射光の均等化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例にかかる車両用計器の分解斜視図である。
【図2】図1の文字板の部分拡大正面図である。
【図3】図1のロワハウジングの斜視図である。
【図4】図3の側方断面図である。
【図5】図3の部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施の形態を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
図1〜図5は、この実施例およびその変形例を示すものである。
【実施例】
【0022】
<構成>以下、構成について説明する。
【0023】
自動車などの車両には、車室内の前部に車両用計器(計器装置)が設けられている。図1は、車両用計器1の分解斜視図であり、裏面側から順に、メータカバー2と、(回路)基板3と、ロワハウジング4と、文字板5と、アッパハウジング6と、フロントカバー7とを備えている。これらは、それぞれ樹脂によって形成されると共に、隣接するものとほぼ同じ(平面)形状を有して互い重ね合わせたり嵌め合わせたりして組み立てられるよう構成されている。
【0024】
この車両用計器1は、複数の計器表示部を1つにまとめた集合メータをユニット化した計器ユニットとされている。この場合、上記車両用計器1は、計器表示部として、速度計11と、回転計12と、燃料計および水温計とを備えている。そして、速度計11と回転計12とはアナログ式のものとされている。また、燃料計と水温計とはデジタル表示式のものとされて、液晶表示装置13の画面上に表示されるようになっている。但し、計器表示部の構成はこれに限るものではない。
【0025】
ここで、若干の補足説明をすると、上記したメータカバー2は、計器ユニットの本体を構成するものである。上記した(回路)基板3には、各種の電子部品や、上記したアナログ式の計器表示部を駆動するためのアクチュエータやスイッチなどが適宜取り付けられている。上記したロワハウジング4は、(回路)基板3の表面全体を覆うものである。このロワハウジング4は、全体として所要の厚みを有するように構成されている。そのために、ロワハウジング4は、表面板4aと、この表面板4aの周縁部に沿って一定の長さ(または幅)で(回路)基板3側へ延びる側面板4bとを有する浅い箱状をしている。なお、ロワハウジング4の上記した液晶表示装置13を設置する位置には、液晶表示装置13を収容するための収容凹部4cが形成されている。
【0026】
文字板5は、主に、各計器表示部の表示面を構成するものである。文字板5は、薄い透明な樹脂フィルムによって構成されている。この場合、文字板5は、速度計11と、回転計12との表示面を有している。この表示面は、円形または部分円形状の指針回動領域5aを有するものとされる(以下、図2も併せて参照)。
【0027】
この指針回動領域5aは、文字通り指針8が回動する領域のことである。この指針回動領域5aの外周縁部には、文字目盛領域5bが形成される。この文字目盛領域5bは、速度やエンジン回転数などの運転情報を、数字や目盛りなどによって指し示し得るようにするためのものである。この文字目盛領域5bは、透明な樹脂フィルムに文字や目盛を残して遮光層を印刷することなどにより構成される。なお、文字板5の上記した液晶表示装置13を設置する位置には、液晶表示装置13を露出させるための開口部5cが設けられている。
【0028】
上記したアッパハウジング6は、文字板5の周囲を取り囲んだり、文字板5の表面を部分的に覆ったりするものである。アッパハウジング6には、外光の入射を抑制するためのフード部6aが突出形成されている。上記したフロントカバー7は、アッパハウジング6のフード部6aの先端部に取り付けられるものである。このフロントカバー7は、透明樹脂によって構成されている。但し、車両用計器1および各部の構成は、これに限るものではない。
【0029】
そして、このような車両用計器1を、夜間などでも視認できるようにするために照明し得るようにする。
【0030】
そのための照明構造として、図2に示すように、文字板5裏面側の指針回動領域5aから外れた位置に、文字板照明用光源15を配置させるようにする。
【0031】
ここで、指針回動領域5aから外れた位置とは、要するに指針回動領域5aの外側(領域)のことである。文字板照明用光源15には、例えば、LEDなどが使用される。但し、文字板照明用光源15は、可能な限り指針回動領域5aに近い位置に設けるのが好ましい。
【0032】
そして、以上のような基本構成に対し、この実施例のものでは、以下のような構成を備えるようにしている。
【0033】
(構成1)
図1の全体斜視図、図2の文字板5を示す図、並びに、図3、図4のロワハウジング4を表す図によって示すように、文字板5の裏面側に、指針回動領域5aの外周縁部に形成された文字目盛領域5bに沿って延びる円弧状の導光用凹部21を設ける。そして、この導光用凹部21の途中に、文字板照明用光源15を収容可能な光源収容部22を接続する。
【0034】
更に、光源収容部22に、内部に収容された文字板照明用光源15からの光を導光用凹部21へ向けて反射させるドーム状反射面23を設ける。
【0035】
加えて、導光用凹部21の中間部に、文字板照明用光源15からの光(直接光)またはドーム状反射面23で反射された光(反射光)を、円弧状をした導光用凹部21の(文字板照明用光源から最も遠い位置または隠れた位置にある)端部21aへ向けて反射させる中間反射面24を少なくとも1つ設ける。
【0036】
ここで、若干の補足説明をすると、上記した円弧状の導光用凹部21は、平面視ほぼ円弧状をした凹状の導光路のことである。平面視とは、文字板5を面直方向に見た状態のことである。なお、円弧状には、複数の直線で近似した多角状のものも含まれるものとする。円弧状の導光用凹部21は、延設方向の両側に2箇所の端部21aを有している。そして、導光用凹部21は、内側壁と外側壁と底面とを有する溝形状のものとされる。この導光用凹部21は、上記したロワハウジング4に設けられる。ロワハウジング4は、光の反射効率や導光効率などを向上するため、白色の樹脂などによって構成されると共に、少なくとも導光用凹部21の内面が滑らかな面とされている。但し、ロワハウジング4は、少なくとも導光用凹部21の内面に光の反射層を有していれば、白色の樹脂以外のものとすることもできる。なお、ロワハウジング4における、円弧状の導光用凹部21の内側には、指針回動領域5aの中央部の形状に相当する、ほぼ円形状(概略短円柱状)の凸部4dが形成される。
【0037】
上記した光源収容部22は、導光用凹部21の中間部に設けられる。この場合、光源収容部22は、導光用凹部21の全長をほぼ2等分した位置に1箇所設けられる。これにより、光源収容部22は、図2の上側に位置される。また、上記に伴い、ドーム状反射面23も上側の位置に設けられる。但し、光源収容部22および文字板照明用光源15の設置数および設置位置は、これに限るものではない。例えば、光源収容部22などを2箇所以上の複数個所、導光用凹部21の全長に対してほぼ均等または不均等に配置することなども、構造的には可能である。
【0038】
ドーム状反射面23は、好ましくは、ロワハウジング4の厚み、即ち、側面板4bの長さ(または幅)の範囲内に収まるように設けられる。但し、構造的には、ロワハウジング4の厚みからはみ出すようにすることも可能である。なお、ドーム状反射面23の曲率などについては、ロワハウジング4の厚みとは無関係に設定することができる。
【0039】
上記した中間反射面24は、導光用凹部21の外側壁の部分に形成される。この中間反射面24は、文字板照明用光源15からの光などを導光用凹部21の端部21aへ届かせることができるものであれば何でも良い。この場合には、導光用凹部21の円弧状の外側壁をそのまま利用しているが、より効率的且つ規則的に光を端部21aへ導くために、導光用凹部21の外側壁に平坦な領域を有するようなものなどとしても良い。
【0040】
(構成2)
導光用凹部21の底面に、導光用凹部21の端部21aへ向かうに従い文字板5へ近づくスロープ状反射面26を設けるようにする。
【0041】
ここで、若干の補足説明をすると、導光用凹部21の底面の深さは、ロワハウジング4の厚み、即ち、ロワハウジング4の側面板4bの長さ(または幅)が最大となる。このスロープ状反射面26は、導光用凹部21の底面を利用して光を文字板5へ向け反射させるようにするものである。そして、反射光の強さが同じならば、底面と文字板5との間の距離が近い程、文字板5をより明るく照明することが可能となる。よって、スロープ状反射面26は、上記距離が離れている文字板照明用光源15の近傍は明るさが相対的に弱くなり、反対に、上記距離が近くなる導光用凹部21の端部21a近傍は明るさが相対的に強くなるように構成されている。この場合、スロープ状反射面26は、導光用凹部21の底面での反射光の強さが急激に変化しないように、一定の傾斜角度を有する滑らかな上がり勾配を有するとされている。但し、スロープ状反射面26は、一定の傾斜角度のものに限るものではない。
【0042】
(構成3)
図3、図5の斜視図に示すように、上記したドーム状反射面23が、文字板照明用光源15の位置を焦点とするパラボラ状反射面23a,23bを有するものとされる。そして、このパラボラ状反射面23a,23bが、導光用凹部21の各端部21aへ向けて光を反射するよう単数または複数設けられるようにする。
【0043】
ここで、若干の補足説明をすると、パラボラ状とは、表面に当たって反射された光が1点(焦点)に集中する曲面形状のことであり、反対に、上記した焦点に光源(文字板照明用光源15)を設置することにより、光源から発生した光を均等に分散させることが可能となるものである。パラボラ状反射面23a,23bは、放物線を、その焦点を通る中心軸の周りに回転させた立体形状である。
【0044】
各パラボラ状反射面23a,23bは、上記した焦点を通る中心軸を、対応する各端部21aの方向へ向けて設置させるようにする。
【0045】
例えば、各パラボラ状反射面23a,23bの中心軸の向きは、図2に示すように、文字板照明用光源15を通って導光用凹部21の内側壁に接する線A1から、導光用凹部21の端部21aにおける内側壁の接線Bと導光用凹部21の外側壁との交点B1と文字板照明用光源15とを結ぶ線A2までの範囲で設定するのが好ましい。なお、上記した中間反射面24は、線A1と線A2との間における、パラボラ状反射面23a,23bの中心軸と導光用凹部21の外側壁との交点周辺に設けるようにする。
【0046】
この場合には、パラボラ状反射面23a,23bは、導光用凹部21の端部21aが2つあるので、これに合わせて2面設けるようにしている。2つのパラボラ状反射面23a,23bは、互いに重ね合わせて形成される。
【0047】
(構成4)
ドーム状反射面23の頂部に、導光用凹部21の文字板照明用光源15に近接する部分への光の反射を抑制すると共に、導光用凹部21の各端部21aへ光を導く指向性反射壁28を設ける。
【0048】
ここで、若干の補足説明をすると、ドーム状反射面23の頂部とは、ドーム状反射面23の文字板5寄りの部分、或いは、ロワハウジング4の表面板4a側の部分のことである。この場合には、文字板照明用光源15のほぼ真上に対向するように設置されている。
【0049】
この場合、指向性反射壁28は、導光用凹部21の各端部21aに応じて2つ設けられる。2つの指向性反射壁28は、組み合わせてほぼV字状のものとされる。この場合、V字状とは、ロワハウジング4の表面板4aと面直な方向から見たものと、指針回動領域5aの中心から文字板照明用光源15へ向けて表面板4aと平行な方向に見たものとの両方を含む立体的な形状とされる。
【0050】
上記したV字状の指向性反射壁28は、2つのドーム状反射面23を合わせた時にできる合わせ形状そのものとすることもできるし、より指向性を高めるために、上記した合わせ形状を曲面から平坦面にしたり、広範囲化したり、角度を付けたりして、強調するようにしても良い。
【0051】
なお、特に図示しないが、文字板5における、指針回動領域5aの中央部には、必要に応じて、警告灯(ウォーニング)や表示灯(インジケータ)などの表示部が設けられる。この警告灯や表示灯の表示部は、文字板5を構成する透明な樹脂フィルムに警告灯や表示灯の図柄を残して遮光層を印刷することなどにより構成される。これに対応させて、警告灯や表示灯の照明用光源は、ロワハウジング4における、円弧状の導光用凹部21の内側に形成される上記した凸部4dの内部に設けられると共に、当該照明用光源からの光は、凸部4dの表面に形成された開口部を通して文字板5へ出射される。
【0052】
<作用>この実施例によれば、以下のような作用を得ることができる。
【0053】
文字板照明用光源15から発生された光は、そのほとんど全てがドーム状反射面23で反射されて導光用凹部21へと導かれ、導光用凹部21の底面に形成されたスロープ状反射面26によって文字板5へ向け反射される。これによって、文字板5が照明される。
【0054】
この際、ドーム状反射面23の頂部に設けた指向性反射壁28により、文字板照明用光源15に近接する部分への光の反射が抑制されつつ、導光用凹部21の各端部21aへ向けて光が導かれる。
【0055】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0056】
(効果1)
文字板5裏面側の指針回動領域5aから外れた位置に、文字板照明用光源15を配置することにより、少ない光源数で効率的に文字板5を照明することができる。
【0057】
文字板5の裏面側に、指針回動領域5aの外周縁部に形成された文字目盛領域5bに沿って延びる円弧状の導光用凹部21と、導光用凹部21の途中に接続されて文字板照明用光源15を収容可能な光源収容部22とを設けたことにより、文字板照明用光源15から発生した光を導光用凹部21へ導いて、指針回動領域5aの外周縁部に形成された文字目盛領域5bを効率的に照明することができる。
【0058】
また、光源収容部22にドーム状反射面23を設けたことにより、文字板照明用光源15からの光のほぼ全てをドーム状反射面23で導光用凹部21へ向けて反射させることができる。
【0059】
導光用凹部21の中間部に中間反射面24を少なくとも1つ設けたことにより、文字板照明用光源15からの光またはドーム状反射面23で反射された光を円弧状をした導光用凹部21の(文字板照明用光源15から最も遠い位置または隠れた位置にある)端部21aへ向けて反射させることができる。
【0060】
これにより、文字板照明用光源15からの光を確実且つ効率的に導光用凹部21の全域に導いて文字板5を均等に照明することができると共に、文字板5の照明輝度を上げることができる。
【0061】
また、調光層や導光板などを用いることなく、均等に文字板5を照明することができ、コストもかからないようにすることができる。
【0062】
しかも、指針回動領域5aの内側には導光用凹部21が設けられていないので、警告灯(ウォーニング)や表示灯(インジケータ)などを自由に設置することも可能となる。
【0063】
(効果2)
導光用凹部21の底面に、導光用凹部21の端部21aへ向かうに従い文字板5へ近づくスロープ状反射面26を設けたことにより、文字板照明用光源15に近い部分(近接領域)では明るさが相対的に弱くなり、文字板照明用光源15から遠い端部21a(遠隔領域)では明るさが相対的に強くなるようにすることができる。これにより、導光用凹部21全域に亘って反射光の均等化を図ることが可能となる。
【0064】
(効果3)
ドーム状反射面23が、文字板照明用光源15の位置を焦点とするパラボラ状反射面23a,23bを単数または複数有することにより、文字板照明用光源15から発生した光をより均等に分散させることができる。
【0065】
そして、パラボラ状反射面23a,23bが、導光用凹部21の各端部21aへ向けて光を反射するようそれぞれ設けられたことにより、各端部21aへ向けて光をより均等に配分することが可能となる。
【0066】
(効果4)
ドーム状反射面23の頂部に指向性反射壁28を設けることにより、文字板照明用光源15に近接する部分への光の反射を抑制すると共に、導光用凹部21の各端部21aへ多くの光を導くことができる。これにより、導光用凹部21全域に亘って反射光の均等化を図ることが可能となる。
【0067】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。例えば、光源収容部22に対して、1個の光源を有するタイプの文字板照明用光源15を設けた例で説明したが、複数の小さな光源を組み合わせたタイプの文字板照明用光源15を設けるようにしても同様の効果が得られることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0068】
1 車両用計器
5 文字板
5a 指針回動領域
5b 文字目盛領域
8 指針
15 文字板照明用光源
21 導光用凹部
21a 端部
22 光源収容部
23 ドーム状反射面
23a,23b パラボラ状反射面
24 中間反射面
26 スロープ状反射面
28 指向性反射壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形または部分円形状の指針回動領域を有する文字板と、該文字板裏面側の指針回動領域から外れた位置に配置された文字板照明用光源とを有する車両用計器の照明構造において、
前記文字板の裏面側に、指針回動領域の外周縁部に形成された文字目盛領域に沿って延びる円弧状の導光用凹部と、該導光用凹部の途中に接続されて前記文字板照明用光源を収容可能な光源収容部とを設け、
該光源収容部に、文字板照明用光源からの光を導光用凹部へ向けて反射させるドーム状反射面を設けると共に、
前記導光用凹部の中間部に、文字板照明用光源からの光またはドーム状反射面で反射された光を導光用凹部の端部へ向けて反射させる中間反射面を少なくとも1つ設けたことを特徴とする車両用計器の照明構造。
【請求項2】
前記導光用凹部の底面に、導光用凹部の端部へ向かうに従い文字板へ近づくスロープ状反射面を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用計器の照明構造。
【請求項3】
前記ドーム状反射面が、文字板照明用光源の位置を焦点とするパラボラ状反射面を有すると共に、
該パラボラ状反射面が、前記導光用凹部の各端部へ向けて光を反射するよう単数または複数設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用計器の照明構造。
【請求項4】
前記ドーム状反射面の頂部に、文字板照明用光源に近接する部分への光の反射を抑制すると共に、前記導光用凹部の各端部へ光を導く指向性反射壁を設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用計器の照明構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−104702(P2013−104702A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247071(P2011−247071)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】