説明

車両用計器

【課題】テールランプスイッチの操作に連動して夜間等に照明を行うメータにおいて、日中等に常時照明を点灯させることなく、省電力化を図りつつ、効果的なメータ演出処理を行うことが可能な車両用計器を提供すること。
【解決手段】照明点消灯手段51は、エンジンの始動開始を検出した場合に、メータ1に関わる照明17、27、37、47の点灯を開始し、回動手段51、16、26、36、46による回動動作が終了してから時間計測手段58により所定時間の経過が計測されるまでの間に、テールランプスイッチ検出手段51によりテールランプスイッチ56がON操作状態に設定されたことを検出できなかった場合に、メータ1に関わる照明17、27、37、47の消灯を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの始動開始を検出した場合に、メータの指針部を予め規定された態様で回動動作させる回動手段を備えた車両用計器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用のメータ(車両用計器)では、車両灯具用スイッチ(テールライト用スイッチ)において、少なくともテールランプ用照明をONにした状態(いわゆるスモールランプを点灯させた状態)にしなければ、メータの照明が行われない構造となっていた。
【0003】
しかしながら、近年では、車両灯具用スイッチのON/OFFに拘わりなくメータの照明を行う車両が多く存在している。このような車両においては、イグニッションスイッチのON操作、又はエンジンの始動開始を条件として、メータの照明が点灯される構造となっている。
【0004】
さらに、今日では、メータの照明を点灯させると同時に、メータの指針を零目盛り位置から最大目盛り位置まで回動させる指針回動演出を行うメータが多く存在しており(例えば、特許文献1参照。)、また、メータ照明用に複数の光源を設置し、指針回動演出に応じて光源を順番に点灯させるメータも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−42996号公報
【特許文献2】特開2002−293163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、少なくともテールランプ用照明をONにした状態にしなければメータの照明を行わない車両では、車外光によってメータを視認することが可能であるため、日中にメータの照明を点灯させる必要性に乏しい。このため、このようなメータに対して、イグニッションスイッチのON操作、又はエンジンの始動開始を条件としてメータの照明を点灯させる演出を施しても、日中に照明演出効果を認識することが困難であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に示すような複数の光源を設けたメータでは、メータの構造が複雑となって製造コストの上昇を招いてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、テールランプスイッチの操作に連動して夜間等に照明を行うメータにおいて、日中等に常時照明を点灯させることなく、省電力化を図りつつ、効果的なメータ演出処理を行うことが可能な車両用計器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る車両用計器は、テールランプスイッチのON/OFF操作状態を検出するテールランプスイッチ検出手段と、エンジンの始動状態を検出するエンジン始動状態検出手段と、前記エンジン始動状況検出手段によりエンジンの始動開始を検出した場合に、メータの指針部を予め規定された態様で回動動作させる回動手段と、メータに関わる照明の点灯/消灯を行う照明点消灯手段と、回動手段による回動動作が終了してからの時間を計測する時間計測手段とを有し、前記照明点消灯手段は、前記エンジン始動状況検出手段によりエンジンの始動開始を検出した場合に、前記メータに関わる照明の点灯を開始し、回動手段による前記回動動作が終了してから前記時間計測手段により所定時間の経過が計測されるまでの間に、前記テールランプスイッチ検出手段により前記テールランプスイッチがON操作状態に設定されたことを検出できなかった場合に、前記メータに関わる照明の消灯を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る車両用計器は、請求項1に記載の車両用計器において、車外状況を照度に基づいて判断する照度検出手段を有し、前記照明点消灯手段は、前記照度検出手段により車外状況が夜間であると判断された場合にのみ、前記メータに関わる照明の点灯を行うことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に係る車両用計器は、請求項1または請求項2に記載の車両用計器において、前記メータに関わる照明に、少なくとも前記指針部を発光させるための照明が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、照明点消灯手段は、エンジン始動状況検出手段によりエンジンの始動開始を検出した場合にメータに関わる照明の点灯を開始する。
【0012】
その後、照明点消灯手段は、回動手段による回動動作が終了してから時間計測手段により所定時間の経過が計測されるまでの間に、テールランプスイッチ検出手段によりテールランプスイッチがON操作状態に設定されたことを検出できなかった場合にメータに関わる照明の消灯を行う。
【0013】
このため、テールランプスイッチがONにされなかった場合には、運転者が、メータに関わる照明を点灯させなくてもメータの視認性を確保することができたと判断できるので、メータの照明演出後に不必要にメータに関わる照明が点灯され続けてしまうことを防止することが可能となる。
【0014】
また、テールランプスイッチをON状態にする必要があるほどメータの視認性が良くない状態、例えば夜間等においては、エンジンの始動によってメータに関わる照明の点灯を開始することにより、メータの演出効果を顕著なものとすることができると共に、メータの見栄えを向上させることが可能となる。
【0015】
さらに、請求項2に係る発明によれば、照度検出手段により車外状況が夜間であると判断された場合にのみ、照明点消灯手段がメータに関わる照明の点灯を行うので、メータの演出効果が顕著となる夜間にメータの照明演出処理を実行させることができ、メータの見栄えをより一層向上させることが可能となる。
【0016】
また、請求項3に係る発明によれば、メータに関わる照明に少なくとも指針部を発光させるための照明が含まれるので、メータの演出処理が行われる場合には、回動手段により回動動作が行われる指針部を照明点消灯手段によって確実に点灯させることができる。
【0017】
このため、点灯した指針部の回動動作によってメータの演出効果を顕著なものとすることができると共に、メータの見栄えを向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用計器を、図1に示すメータを用いて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る車両用計器としてのメータを示す正面図である。
【0020】
メータ1は、図1に示すように速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5とからなる4つの表示部を備えた4連コンビネーションメータであり、速度表示部2とエンジン回転表示部3との下方には走行距離や変速機のシフトポジション等を表示する情報表示部6が設けられている。メータ1は、車室内のインストルメントパネル内に設置される。
【0021】
速度表示部2は、車両速度を示すためのアナログメータであり、図1に示すように、円環状に設けられた目盛部11を備える目盛盤12と、円環状中心より目盛部11方向へと延設される指針部13とを有している。速度表示部2の詳細な構成については、後述する。
【0022】
また、エンジン回転表示部3は、エンジンの回転数を示すアナログメータであり、速度表示部2と同様に、円環状に設けられた目盛部21を備える目盛盤22と、円環状中心より目盛部21方向へと延設される指針部23とを有している。
【0023】
さらに、水温表示部4は冷却水の温度が正常であるか否かを示すアナログメータであり、燃料表示部5は燃料の残量を示すアナログメータである。水温表示部4は、円弧状に設けられた目盛部31を備える目盛盤32と、目盛部31方向に延設される指針部33とを有し、燃料表示部5も同様に、円弧状に設けられた目盛部41を備える目盛盤42と、目盛部41方向に延設される指針部43とを有している。
【0024】
また、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5との外枠には円環状に形成されたリング部14,24、34、44が形成されている。
【0025】
図2は、速度表示部2におけるメータ1の断面図を示している。速度表示部2は、ケースハウジング7a、7bに内設されており、図2に示すように、目盛部11が形成される目盛盤12と、目盛盤12の裏面側に設けられる基板部15と、指針部13と、指針部13の回動駆動を行う回動駆動部16と、リング部14とを有している。
【0026】
目盛盤12の正面には、上述した目盛部11が円環状に形成されている。この目盛部11は裏面からの照明光を車内側(正面側)へと導光することが可能な樹脂製の導光部材によって形成されており、裏面より照明光を照射することによって、夜間等に目盛部11を発光させることが可能となっている。なお、この導光部材は、裏面側からの照明が無い場合であっても正面より目盛部11を視認することが可能となっている。
【0027】
目盛盤12の外縁部には、目盛盤12を囲むようにしてリング部14が設けられている。リング部14も目盛部11と同様に導光部材によって形成されており、裏面より照明光を照射することによって、リング部14をリング状(円環状)に発光させることが可能となっている。
【0028】
基板部15は、目盛盤12の裏面側に対して、目盛盤12と一定の間隔を保ちつつ平行となるように設置されている。基板部15には、目盛部11、リング部14および次述する指針部13の反射壁13cを臨むようにして発光ダイオード17(17c、17b、17a)が設けられている。この発光ダイオード17が発光することによって、目盛部11、リング部14および指針部13の照明が行われる。なお、発光ダイオード17は、リング部14および目盛部11の円環形状に応じて等間隔に複数配置されるが、特許文献2(特開2002−293163号公報)に示すように多数設ける必要はなく、正面側から運転者がリング部14および目盛部11の発光を確認できる程度設置すれば十分である。
【0029】
回動駆動部16は、基板部15の裏面側に内設されており、基板部15に形成される開口部15aおよび目盛盤12に形成される開口部12aを貫通して目盛盤12の正面側へと突出する回動軸部16aを有している。回動軸部16aは、次述する制御回路50(図3参照)の制御指示に応じて回動することが可能となっている。
【0030】
指針部13は、発光ダイオード17aの照明光によって発光する指針本体部13aと指針部13の回転基部側の端部を覆うキャップ部13bとによって構成されている。指針本体部13aは、透明の樹脂素材によって長手状に形成されており、一方の端部(回転基部側の端部)が回動駆動部16の回動軸部16a先端に固定されている。指針本体部13aの回転基部側の端部には、基板部15に設けられた発光ダイオード17aの照明光を、指針本体部の他方の端部(先端部側の端部)方向へと反射するための反射壁13cが形成されており、この反射壁13cによって発光ダイオード17aの照明光が回転基部より先端部方向へと導かれて指針本体部13aの発光が実現される。
【0031】
キャップ部13bは、指針本体部13aの回動基部側の端部を覆うようにして設けられている。キャップ部13bは、遮光性の樹脂素材によって構成されており、発光ダイオード17aの照明光が反射壁13cにより反射されることなく車両正面方向へと漏れてしまうことを防止する役割を有している。
【0032】
なお、エンジン回転表示部3も、速度表示部2と同様に、目盛盤22と、基板部と、指針本体部23aと、キャップ部23bと、回動駆動部26とリング部24とを有しており(図1、図3参照)、基板部には、目盛部21、リング部24および指針本体部23aの反射壁を望む位置に発光ダイオード27が設けられている。また、水温表示部4も、同様に目盛盤32と、基板部と、指針本体部33aと、キャップ部33bと、回動駆動部36と、リング部34とを有し、基板部には発光ダイオード37が設けられている(図1、図3参照)。さらに、燃料表示部5も、目盛盤42と、基板部と、指針本体部43aと、キャップ部43bと、回動駆動部46と、リング部44とを有し、基板部には発光ダイオード47が設けられている(図1、図3参照)。
【0033】
図3は、メータ1の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【0034】
メータ1には、メータ1における各種制御を行うための制御部51を備えた制御回路50が設けられている。制御回路50には、エンジンの始動状況を検出するエンジン始動センサ52と、車両速度の検出を行う車速センサ53と、エンジンの回転数を検出する回転センサ54とが接続されている。また、制御回路50は、イグニッションスイッチ55のON/OFFおよびテールランプスイッチ56のON/OFFを検出することが可能となっている。
【0035】
さらに、制御回路50には、各表示部2〜5の回動駆動部16、26、36、46と発光ダイオード17、27、37、47とが接続されており、制御部51の制御指示に従って回動駆動部16、26、36、46の回動制御および発光ダイオード17、27、37、47の点消灯制御が行われる。
【0036】
制御部51は、回転センサ54より取得したエンジンの回転数に応じて、エンジン回転表示部3の回動駆動部26を回動させることによって指針部23により指示される目盛部21のエンジン回転数を変更し、エンジン回転数を運転者に知らせる。また、制御部51は、車速センサ53より取得した車両の速度に応じて、速度表示部2の回動駆動部16を回動させることによって指針部13により指示される目盛部11の車両速度を変更し、車両速度を運転者に知らせる。
【0037】
さらに同様にして、制御部51は、図示を省略する燃料残量センサや水温検出センサより取得した情報に応じて、水温表示部4および燃料表示部5の回動駆動部36、46を回動させ、指針部33、43によって水温および燃料残量を運転者に知らせる。
【0038】
また、制御回路50は、テールランプスイッチ56がONされた場合に、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5とに設けられる発光ダイオード17、27、37、47を点灯させることによって、各表示部2〜5の目盛部11、21、31、41、指針部13、23、33、43、リング部14、24、34、44を発光させ、テールランプスイッチ56がOFFされた場合に、各表示部2〜5の目盛部、11、21、31、41、指針部13、23、33、43、リング部14、24、34、44を消灯させる。
【0039】
さらに、制御回路50には、情報表示部6が接続されている。情報表示部6は、液晶ディスプレイによって構成されており、制御部51の制御指示に応じて、走行距離や変速機のシフトポジション等の各種表示のON/OFFが行われる。
【0040】
また、制御回路50には、車両外部の明るさを検出する照度センサ57が接続されている。照度センサ57は、車両外部の照度、具体的には検出された照度に基づいて車外状況が昼間なのか夜間なのかを判断し、その情報を制御回路50に出力する。
【0041】
さらに、制御回路50内部にはタイマ58が設けられており、タイマ58のカウント値を制御部51が判断することによって経過時間の検出を行うことが可能となっている。
【0042】
以下、制御回路50の制御部51によって行われるメータ演出処理の方法を説明する。
【実施例1】
【0043】
図4は、実施例1に示す制御部51の制御処理を示したフローチャートである。制御部51は、まずイグニッションスイッチ55がONされたか否かを判断する(ステップS.1)。
【0044】
イグニッションスイッチ55がONされていない場合(ステップS.1においてNOの場合)、制御部51は、再度イグニッションスイッチ55のON/OFF判断処理(ステップS.1)を繰り返し実行する。
【0045】
イグニッションスイッチ55がONされた場合(ステップS.1においてYESの場合)、制御部51は、照度センサ57より検出されたデータ(車外状況情報)を取得し(ステップS.2)、車外が夜間であるか否かの判断を行う(ステップS.3)。
【0046】
車外が夜間でないと判断された場合(ステップS.3においてNOの場合)、制御部51は、エンジン始動センサ52よりエンジンの始動情報を取得し(ステップS.4)、エンジンが始動しているか否かの判断を行う(ステップS.5)。
【0047】
エンジンが始動していないと判断された場合(ステップS.5においてNOの場合)、制御部51は、イグニッションスイッチ55のON/OFF判断処理(ステップS.1)へと処理を移行する。
【0048】
エンジンが始動していると判断された場合(ステップS.5においてYESの場合)、制御部51は、指針部13、23、33、43の回動演出を開始し(ステップS.6)、指針回動演出が終了したか否かの判断を行う(ステップS.7)。ここで、指針部13、23、33、43の回動演出とは、制御部51の制御指示によって、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5との全ての回動駆動部16、26、36、46の回動軸部16a、26a、36a、46aを回転させることによって、各指針部13、23、33、43の目盛位置を零目盛り位置から最大目盛り位置へ移動させ、その後、各指針部13、23、33、43の目盛位置を最大目盛り位置から零目盛り位置に戻す動作を意味する。
【0049】
制御部51は、指針回動演出が終了したと判断するまで、つまり、全ての指針部13、23、33、43の目盛位置が最大目盛り位置から零目盛り位置に戻るまで、指針回動演出終了確認処理(ステップS.7)を行い、指針回動演出が終了したことを確認した後に(ステップS.7においてYESの場合)、メータ1におけるメータ演出処理を終了する。
【0050】
一方で、車外が夜間であると判断された場合(ステップS.3においてYESの場合)、制御部51は、エンジン始動センサ52よりエンジンの始動情報を取得し(ステップS.8)、エンジンが始動しているか否かの判断を行う(ステップS.9)。
【0051】
エンジンが始動していないと判断された場合(ステップS.9においてNOの場合)、制御部51は、イグニッションスイッチ55のON/OFF判断処理(ステップS.1)へと処理を移行する。
【0052】
エンジンが始動していると判断された場合(ステップS.9においてYESの場合)、制御部51は、各表示部2〜5の発光ダイオード17、27、47を点灯させることによって、各表示部2〜5の目盛部11、21、31、41、指針部13、23、33、43、リング部14、24、34、44を発光させると共に、情報表示部6の液晶ディスプレイを表示させる(これらの照明を、以下メータに関わる照明という)(ステップS.10)。このように、車外状況が夜間の場合にメータ1に関わる照明を点灯させることによって、運転者にメータ1の照明演出を顕著に視認させることが可能となる。
【0053】
その後、制御部51は、指針部13、23、33、43の回動演出を開始し(ステップS.11)、指針回動演出が終了したか否かの判断を行う(ステップS.12)。このように、指針回動演出を行うことによって、上述したメータ1に関わる照明の点灯処理により、指針部13、23、33、43が発光された状態において指針部13、23、33、43の回動演出が行われるので、運転者は発光された指針部13、23、33、43の回動によってより一層顕著にメータ1の演出効果を認識することが可能となり、メータ1の見栄えを向上させることが可能となる。
【0054】
指針回動演出が終了したことを確認した後(ステップS.12においてYESの場合)、制御部51は、タイマ58におけるタイマカウントをスタートさせ、経過時間計測を開始する(ステップS.13)。
【0055】
その後、制御部51は、テールランプスイッチ56がONされたか否かの判断を行う(ステップS.14)。テールランプスイッチ56がONされたものと判断した場合(ステップS.14においてYESの場合)、制御部51は、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5とに設けられる発光ダイオード17、27、37、47を引き続き点灯させることによって、メータに関わる照明(各表示部2〜5の目盛部、指針部、リング部、情報表示部6)の発光を継続させ(ステップS.15)、タイマ58におけるタイマカウントをクリアにして経過時間の計測処理を中止する(ステップS.16)。
【0056】
このように、制御部51は、テールランプスイッチ56がONされた場合に、メータ1に関わる照明を点灯させることによって、メータ1の視認性を十分に確保することが可能となる。また、制御部51は、テールランプスイッチ56がONされた場合に、次述するようにメータ演出処理の終了に伴ってメータ1に関わる照明を消灯させる必要がないので、タイマカウントをクリアにする。その後、制御部51は、メータ1におけるメータ演出処理を終了する。
【0057】
一方で、テールランプスイッチ56がONされていないと判断した場合(ステップS.14においてNOの場合)、制御部51は、タイマ58のカウント値(タイマカウント)を判断し、予め設定された時間が経過したか否かの判断を行う(ステップS.17)。予め設定された時間の経過が行われていない場合(ステップS.17においてNOの場合)、制御部51は、テールランプスイッチ56がONされたか否かの判断を繰り返し行う(ステップS.14)。
【0058】
予め設定された時間の経過が行われた場合(ステップS.17においてYESの場合)、制御部51は、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5とに設けられる発光ダイオード17、27、37、47を消灯させることによって、メータに関わる照明(各表示部2〜5の目盛部、指針部、リング部、情報表示部6)の発光を終了させる(ステップS.18)。このように、テールランプスイッチ56がONされなかった場合に、制御部51がメータ1に関わる照明を消灯させることによって、不必要にメータ1に関わる照明が点灯され続けることを防止することが可能となる。
【0059】
また、メータ1の照明演出が行われることによって、運転者はメータ照明の有る場合と無い場合とを比較して、どちらの場合の方がメータの視認性が優れるかを容易に判断することができる。このため、一定時間経過してメータ1に関わる照明が消灯され、運転者がメータ照明の消灯によりメータの視認性が低下したと判断した場合には、テールランプスイッチ56がONされる可能性が高いため、メータ照明点灯による視認性を確保し、運転時の安全性向上を図ることが可能となる。
【0060】
その後、制御部51は、タイマ58におけるタイマカウントをクリアにして経過時間の計測処理を中止し(ステップS.16)、メータ演出処理を終了する。
【0061】
図5は、上述のフローチャートにおいて、照度センサ57により車外状況が夜間であると判断され、さらに所定時間経過しても運転者によりテールランプスイッチ56がONにされなかった場合における、イグニッションスイッチ55、エンジン始動状態、照度センサ57による判断、指針部の回転演出動作、メータ1に関わる照明の点消灯状態、およびタイマ58のカウント値状況の変化を経時的に示したグラフである。
【0062】
まず、時間T1においてイグニッションスイッチ55がONされ(ステップS.1においてYES)、時間T2において照度センサ57により車外状況が夜間であると判断される(ステップS.3においてYES)。その後、時間T3において、エンジンが始動されて(ステップS.9においてYES)、メータ1に関わる照明の点灯(ステップS.10)、指針部の回動演出処理(ステップS.11)が行われる。その後、時間T4における指針部の回動演出処理の終了(ステップS.12においてYES)によって、タイマ58におけるタイマカウントがスタートされ、テールランプスイッチ56がONにされなかったことによって(ステップS.14においてNO)、タイマのカウント値による経過時間が、予め設定された時間経過後の時間T5に達し(ステップS.17においてYES)、メータ1に関わる照明が消灯され(ステップS.18)、タイマ58におけるタイマカウントがクリアされて(ステップS.16)、メータ演出処理が終了する。
【0063】
このように、照度センサ57によって車外状況が夜間か否かを判断し、夜間の場合にのみ指針部13、23、33、43の回動演出に加えて、メータ1に関わる照明の点灯による照明演出を行うことによって、メータ1の演出効果をより効果的に体感させることが可能となる。
【0064】
一方で、車外状況が夜間でない場合(昼間等の場合)においては、メータに関する照明を点灯させてもさせなくても、運転者における視認性はあまり変わらないので、照明演出を行うことなく指針部の回動演出のみを行うことによって、十分にメータの演出効果を運転者に視認させることが可能となる。
【0065】
さらに、車外状況が夜間である場合であっても、運転者がテールランプスイッチ56をONにしない場合には、メータ1に関わる照明の点灯を必要とする状況にない場合(例えば、運転を行っていない場合や、照度センサ57により夜間であると判断されたが、車外状況が早朝や夕方等であって、メータ1に関わる照明を点灯させなくても運転者がメータを視認できると判断した場合)に、所定時間経過後にメータ1に関わる照明を消灯することによって、不必要な照明点灯を防止することが可能となる。
【実施例2】
【0066】
図4に示す実施例1の制御処理では、照度センサ57によって車外状況の検出を行う場合について説明を行った。しかしながら、照度センサ57が設けられていない車両においても同様にしてメータ1の演出処理を行うことができるため、図6に示すフローチャートを用いて、実施例2に係る制御部51のメータ演出処理を説明する。
【0067】
なお、実施例2におけるメータの構成は、実施例1において説明したメータの構成より照度センサ57を除いたものと同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。また、実施例1の説明に用いた構成部分と同様の構成部分には同一の符号を附して説明を行うものとする。
【0068】
まず、制御部51は、イグニッションスイッチ55がONされたか否かを判断する(ステップS.21)。イグニッションスイッチ55がONされていない場合(ステップS.21においてNOの場合)、制御部51は、再度イグニッションスイッチ55のON/OFF判断処理(ステップS.21)を繰り返し実行する。
【0069】
イグニッションスイッチ55がONされた場合(ステップS.21においてYESの場合)、制御部51は、エンジン始動センサ52よりエンジンの始動情報を取得し(ステップS.22)、エンジンが始動しているか否かの判断を行う(ステップS.23)。
【0070】
エンジンが始動していないと判断された場合(ステップS.23においてNOの場合)、制御部51は、イグニッションスイッチ55のON/OFF判断処理(ステップS.21)へと処理を移行する。
【0071】
エンジンが始動していると判断された場合(ステップS.23においてYESの場合)、制御部51は、各表示部2〜5の発光ダイオード17、27、37、47を点灯させることによって、各表示部2〜5の目盛部、指針部、リング部を発光させると共に、情報表示部6の液晶ディスプレイを表示させる(メータに関わる照明点灯処理)(ステップS.24)。このように、メータ1に関わる照明を点灯させることによって、車外状況が夜間の場合には、運転者にメータ1の照明演出を顕著に視認させることが可能となる。なお、車外状況が昼間等の場合には、メータ1に関わる照明を点灯させてもメータの視認性が顕著に向上するとは限らないが、少なくともメータ1の視認性を悪化させることはないと判断できるため不都合が生ずることはない。
【0072】
その後、制御部51は、指針部13、23、33、43の回動演出を開始し(ステップS.25)、指針回動演出が終了したか否かの判断を行う(ステップS.26)。このように、指針回動演出を行うことによって、運転者はメータ1の演出処理を視認することが可能となる。特に、車外状況が夜間である場合には、上述したメータ1に関わる照明の点灯処理により、指針部13、23、33、43が発光された状態において指針部の回動演出が行われるので、運転者は発光された指針部13、23、33の回動によって、より一層顕著にメータ1の演出効果を認識することが可能となり、メータの見栄えを向上させることが可能となる。
【0073】
指針回動演出が終了したことを確認した後(ステップS.26においてYESの場合)、制御部51は、タイマ58におけるタイマカウントをスタートさせ、経過時間計測を開始する(ステップS.27)。
【0074】
その後、制御部51は、テールランプスイッチ56がONされたか否かの判断を行う(ステップS.28)。テールランプスイッチ56がONされたものと判断した場合(ステップS.28においてYESの場合)、制御部51は、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5とに設けられる発光ダイオード17、27、37、47を引き続き点灯させることによって、メータに関わる照明(各表示部2〜5の目盛部、指針部、リング部、情報表示部6)の発光を継続させ(ステップS.29)、タイマ58におけるタイマカウントをクリアにして経過時間の計測処理を中止する(ステップS.30)。
【0075】
このように、テールランプスイッチ56がONされた場合には、少なくとも車室内が暗く、メータ1に関わる照明を点灯させることによって運転者がメータの視認性向上を望んでいるものと判断することができるため、メータの視認性を十分に確保することが可能となる。テールランプスイッチ56がONされた場合には、メータ演出処理の終了に伴ってメータ1に関わる照明を消灯させる必要がないので、タイマカウントをクリアにする。その後、制御部51は、メータ演出処理を終了する。
【0076】
一方で、テールランプスイッチ56がONされていないと判断した場合(ステップS.28においてNOの場合)、制御部51は、タイマのカウント値(タイマカウント)を判断し、予め設定された時間が経過したか否かの判断を行う(ステップS.31)。予め設定された時間の経過が行われていない場合(ステップS.31においてNOの場合)、制御部51は、テールランプスイッチ56がONされたか否かの判断を繰り返し行う(ステップS.28)。
【0077】
予め設定された時間の経過が行われた場合(ステップS.31においてYESの場合)、制御部51は、速度表示部2とエンジン回転表示部3と水温表示部4と燃料表示部5とに設けられる発光ダイオード17、27、37、47を消灯させることによって、メータに関わる照明(各表示部2〜5の目盛部、指針部、リング部、情報表示部6)の発光を終了させる(ステップS.32)。このように、テールランプスイッチ56がONされなかった場合に、制御部51がメータ1に関わる照明を消灯させることによって、例えば車外状況が昼間の場合のように照明が不要な状況において、メータ1に関わる照明が不必要に点灯され続けることを防止することが可能となる。
【0078】
また、メータ1の照明演出が行われることによって、運転者はメータ照明の有り無しによるメータの視認性の差を容易に判断することができる。このため、一定時間経過してメータ1に関わる照明が消灯されて、運転者がメータ1の視認性低下を感じた場合には、テールランプスイッチをONに操作すると予想できるので、照明点灯による視認性を確保し、運転者の安全性向上を図ることが可能となる。
【0079】
その後、制御部51は、タイマ58におけるタイマカウントをクリアにして経過時間の計測処理を中止し(ステップS.30)、メータ演出処理を終了する。
【0080】
このように、車外状況が夜間である場合には、指針部13、23、33、43の回動演出に加えて、メータ1に関わる照明の点灯による照明演出を行うことによって、メータ1の演出効果をより効果的に運転者に視認させることが可能となる。また、車外状況が夜間でない場合であっても、照明演出によってメータ1の視認性を低減させることがないため、運転者に対する不都合を生じさせることなくメータ1の演出処理を行うことが可能となる。
【0081】
さらに、メータ演出処理終了後に、運転者がテールランプスイッチ56をONにしたか否かを判断することによって、メータ1に関わる照明の点灯を必要とする状況でない場合(例えば、運転を行っていない場合や、車外状況が早朝や夕方等であって、メータに関わる照明を点灯させなくても運転者がメータを視認できると判断した場合)であるか否かを判断することがでる。このため、メータ演出処理終了後の所定時間以内に、運転者がテールランプスイッチ56をONしなかった場合には、運転者がメータ1に関わる照明の点灯を必要とする状況でないものと判断することができ、不必要な照明点灯が続いてしまうことを防止することが可能となる。
【0082】
また、実施例1および実施例2に係るメータでは、上述の特許文献2のように多数の照明光源(発光ダイオード)を設置する必要がないので、メータの製造コスト上昇を防止することが可能となる。
【0083】
他の構成及び作用効果については、前記実施例1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0084】
以上、本発明に係る車両用計器の一例であるメータについて、図面を用いて詳細に説明を行ったが、本発明に係る車両用計器は上述した実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
例えば、図4および図6において示したフローチャートの説明では、メータの照明点灯処理(ステップS.10、ステップS.24)において、制御部51が、各表示部2〜5の発光ダイオード17、27、37、47を点灯させることによって、各表示部2〜5の目盛部11、21、31、41、指針部13、23、33、43、リング部14、24、3444を発光させると共に、情報表示部6の液晶ディスプレイを表示させることとして説明を行ったが、制御部51による照明点灯処理により、目盛部、指針部、リング部、液晶ディスプレイの全てを点灯させる必要はなく、少なくとも1つだけを点灯処理させるようにすれば十分である。
【0086】
例えば、ステップS.10、ステップS.24に示すメータに関わる照明の点灯処理において、指針部13、23、33、43のみを点灯するように制御を行うことによって、指針部の回動処理との相乗効果により運転者がメータ1の演出処理を十分に視認・認識することが可能となり、メータ1の見栄えを向上させることが可能となる。
【0087】
さらに、ステップS.15、ステップS.29に示すメータ1に関わる照明の点灯処理において、目盛部、指針部、リング部、液晶ディスプレイの全てを点灯させることによって、テールランプスイッチ56をONすることに伴う更なる照明演出を行うことが可能となるので、より一層メータ1の見栄えを向上させることが可能となる。
【0088】
また、車外状況に応じて指針回動演出における指針動作スピードの変更を行う構成とすることも可能である。例えば、図7に示すように、車外状況が夜間である場合(ステップS.3においてYESの場合)には、指針制御に用いる指針応答フィルタを、SLOW FILTERに切り替えて(図7中ステップS.11a)から、指針回動演出を開始する(ステップS.11)ことによって、指針の回動動作をゆっくりとした動きとし、車外状況が昼間である場合(ステップS.3においてNOの場合)には、指針制御に用いる指針応答フィルタをFAST FILTERに切り替えて(図7中ステップS.6a)から、指針回動演出を開始する(ステップS.6)ことによって、指針の回動動作を素早い動きにすることもできる。
【0089】
このように、車外状況が昼間の場合には、指針回動スピードを速くすることによってスポーティーな演出を行うことが可能となり、車外状況が夜間の場合には、指針回動スピードを遅くすることによって、気分が和らぐような演出を行うことができるので、昼夜でメリハリのきいた指針回動演出を行うことが可能となる。
【0090】
また、本実施形態においては、車両用計器として4連コンビネーションメータを例として用いて説明を行ったが、本発明に係る車両用計器は、4連コンビネーションメータに限定されるものではなく、水温表示機能や燃料表示機能が速度表示部又はエンジン回転表示部に設けられた2連コンビネーションメータや、エンジン回転表示部が省略されたメータ等であっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態に示すメータを示す正面図である。
【図2】図1に示すメータにおいて、速度表示部の指針部が真上方向へ回動された状態におけるA−A断面を矢印方向から示した断面図である。
【図3】本実施形態に係るメータの概略的な回路構成を示したブロック図である。
【図4】実施例1に係る制御部の処理を示したフローチャートである。
【図5】図4に示すフローチャートの処理を経時的に示した図である。
【図6】実施例2に係る制御部の処理を示したフローチャートである。
【図7】図4に示すフローチャートに対して、指針応答フィルタの切替処理を追加したフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1 …メータ(車両用計器)
11、21、31、41 …目盛部
12、22、32、42 …目盛盤
13、23、33、43 …指針部
14、24、34、44 …リング部
15 …基板部
16、26、36、46 …回動駆動部
17、27、37、47 …発光ダイオード
2 …速度表示部
3 …エンジン回転表示部
4 …水温表示部
5 …燃料表示部
50 …制御回路
51 …制御部
52 …エンジン始動センサ
53 …車速センサ
54 …回転センサ
55 …イグニッションスイッチ
56 …テールランプスイッチ
57 …照度センサ
58 …タイマ
6 …情報表示部
7a、7b …ケースハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テールランプスイッチのON/OFF操作状態を検出するテールランプスイッチ検出手段と、
エンジンの始動状態を検出するエンジン始動状態検出手段と、
前記エンジン始動状況検出手段によりエンジンの始動開始を検出した場合に、メータの指針部を予め規定された態様で回動動作させる回動手段と、
メータに関わる照明の点灯/消灯を行う照明点消灯手段と、
回動手段による回動動作が終了してからの時間を計測する時間計測手段とを有し、
前記照明点消灯手段は、
前記エンジン始動状況検出手段によりエンジンの始動開始を検出した場合に、前記メータに関わる照明の点灯を開始し、
回動手段による前記回動動作が終了してから前記時間計測手段により所定時間の経過が計測されるまでの間に、前記テールランプスイッチ検出手段により前記テールランプスイッチがON操作状態に設定されたことを検出できなかった場合に、前記メータに関わる照明の消灯を行うこと
を特徴とする車両用計器。
【請求項2】
車外状況を照度に基づいて判断する照度検出手段を有し、
前記照明点消灯手段は、前記照度検出手段により車外状況が夜間であると判断された場合にのみ、前記メータに関わる照明の点灯を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用計器。
【請求項3】
前記メータに関わる照明には、少なくとも前記指針部を発光させるための照明が含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−155884(P2008−155884A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350091(P2006−350091)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】