説明

車両用警告システム

【課題】 近年において広く搭載されるようになった車載機器を利用し、安価な形で、運転者の運転に対し注意喚起を与えるような車両用警告システムを提供する。
【解決手段】 車両用警告システム1であって、自車両の現在位置を検出でき、設定される目的地までの経路を道路地図データに基づいて算出して該経路を案内する車両用ナビゲーション装置2と連携し、自車両100が合流又は横断の形で進入可能な道路に接近した場合に、その道路の構造を特定し、さらに該道路の構造において特定される該自車両100の推定通過経路に対し安全走行用に定められた各種車両挙動を特定し、該推定通過経路の通過に際し、その車両挙動をトレースできなかった場合に運転者に警告を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用警告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の交差点進入時等では運転者による一旦停止後の左右の安全確認が必要であり、これを怠るようなシチュエーションにおいては、これを運転者に対し注意喚起するシステムがあることで、運転者はより安全な車両走行が可能となる。そうした注意喚起システムとして、例えば眠気検出システム等がある。具体的にいえば、運転者の顔をカメラにより撮影し、その撮影画像を画像解析することによって眠気を検出し、眠気が検出されているときには運転者が一旦停止や安全確認を怠らないように注意喚起出力を行うシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−165087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうしたシステムは、カメラや画像処理ユニットが必要となるため高価であり、一部の高級車のみにしか搭載されず、世間に広く普及していない。一方で、近年の車両には、ナビゲーション装置が高機能装置でありながらも広く搭載されるようになっている一面もある。
【0005】
本発明の課題は、近年において広く搭載されるようになった車載機器を利用し、安価な形で、運転者の運転に対し注意喚起を与えるような車両用警告システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の車両用警告システムは、
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、道路網や道路構造を特定可能な道路地図データを記憶する道路地図データ記憶部と、設定される目的地までの経路を道路地図データに基づいて算出し、その経路を案内する経路案内手段と、を備える車両用ナビゲーション装置そのものとして構成される、もしくは該車両用ナビゲーション装置と連携する形で構成される車両用警告システムであって、
自車両が合流又は横断の形で進入可能な道路に関し、その進入位置を基準として定まるその道路の道路構造を進入先道路構造とすると、その構造が互いに異なる予め定められた複数種の進入先道路構造に対しそれぞれ、進入対象とされている道路の車道への合流又は横断のために、基準とされた進入位置から接近・進入する推定通過経路が定められるとともに、その推定通過経路の通過時に安全走行のために満たされるべき車両挙動条件を定めた車両挙動条件情報を記憶する車両挙動条件情報記憶部と、
現在位置と道路地図データに基づいて、合流又は横断の形で進入可能な道路に対する自車両の接近を検出する接近検出手段と、
道路地図データと車両挙動条件情報に基づいて、検出された接近中の道路の道路構造が、複数種の進入先道路構造のいずれかに一致するか否かを判定する道路構造一致判定手段と、
車両挙動条件情報に基づいて、一致すると判定された進入先道路構造に対応する各車両挙動条件を特定する車両挙動条件特定手段と、
特定された各車両挙動条件と現在位置と道路地図データに基づいて、検出された接近中の道路にて自車両が推定通過経路を通過する際に各車両挙動条件が満たされたか否かを判定する車両挙動判定手段と、
対応する車両挙動条件が満たされていないと判定された場合に、予め定められた警告出力部に、運転者への警告出力を実行させる警告出力制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0007】
近年、車両に広く搭載されるようになった車両用ナビゲーション装置は、車両の現在位置の検出が可能であったり、各種道路とそれら道路の接続を特定する道路網情報やそれら各道路の構造を特定可能な道路構造情報等を有した道路地図データが記憶されている。上記本発明の構成によれば、ナビゲーション装置のそれら機能やデータ(情報)を利用することにより、合流又は横断の形で道路に進入していく途中の適切なタイミングで、運転者への運転に対する注意喚起を行うことが可能となっている。ナビゲーション装置のそれら機能やデータ(情報)を利用する形で成り立つ技術であるから、別途装置を追加する必要がないため、大きなコストアップも必要がなく、高級車両ではない一般車両においても十分に搭載可能なシステムとなる。
【0008】
本発明の車両挙動条件情報において、各進入先道路構造に対しそれぞれ定められる推定通過経路を、該推定通過経路上の複数の通過領域により定め、それら各通過領域に対しそれぞれ車両挙動条件を定めることができる。この場合、車両挙動条件特定手段は、車両挙動条件情報に基づいて、道路構造一致判定手段により一致すると判定された進入先道路構造に対応する各通過領域と、それら通過領域における車両挙動条件とを特定し、車両挙動判定手段は、特定された通過領域及び車両挙動条件と、現在位置と、道路地図データとに基づいて、接近検出手段により検出された接近中の道路に自車両が接近・進入してその車道に合流又は横断を完了するまでの間、特定された各通過領域の通過に際し、対応する車両挙動条件が満たされたか否かを判定し、警告出力制御手段は、対応する車両挙動条件が満たされていないと判定された場合に、警告出力部に、警告出力を実行させるよう構成できる。この構成によれば、進入先道路構造に対し定められる推定通過経路を、複数の通過領域を結ぶ形で簡易に定めることができる。なお、実際に推定通過経路を定めたつもりがなくとも、複数の通過領域が定められてさえいれば、それらを結べば推定通過領域となるのだから、この場合も推定通過領域が定められているとする。
【0009】
本発明の警告出力制御手段は、通過領域を通過した際に該通過領域に対応する車両挙動条件が満たされていなかった場合、該通過領域の通過の完了に伴い警告出力部に警告出力を実行させるものとできる。この構成によれば、各通過領域を通過完了した時点で対応する車両挙動条件が満たされたか否かを判定し、満たされていない場合には通過完了時点で直ちに、運転者に対し警告することができる。
【0010】
本発明においては、警告出力の内容を通過領域毎に定めた警告内容記憶部を備えて構成することができ、この場合、警告出力制御手段は、通過領域を通過した際に該通過領域に対応する車両挙動条件が満たされていなかった場合、警告内容記憶部に記憶されている該通過領域に対し定められた内容の警告出力を、警告出力部に実行させるよう構成できる。この構成によれば、各通過領域を通過完了した時点で対応する車両挙動条件の有無を判定し、通過完了時点で直ちに、その通過領域及び対応する車両挙動条件に係る内容の警告を出力することができる。例えば、ある通過領域にて、対応する車道挙動条件が満たされなかった場合には、満たされるべきであった車両挙動条件を具体的に示す形での警告を出力し、運転者に知らせることができる。
【0011】
本発明における車両挙動条件情報には、全ての進入先道路構造に対し、通過領域の1つとして、自車両が合流又は横断の形で進入する対象となっている車道への進入直前位置が定められ、該進入直前位置で満たされるべき車両挙動条件として、該進入直前位置での自車両の一時停止を定めることができる。道路に合流又は横断の形で進入する場合には、安全のため、その道路の車道に進入する直前で一時停止(一旦停止)をする必要がある。上記構成によれば、車道進入直前での一時停止がなかったときに、運転者に対し警告を出力することができる。
【0012】
本発明における車両挙動条件情報には、少なくとも進入先道路構造の1つに、自車両の進入対象である車道と、該自車両の進行方向において該車道の手前側に位置し、自動車以外の予め定められた対象のみの通行に供されるよう区画された各種の車道併設路(路側帯、歩道(横断歩道を含む)、自転車道)とを有した道路構造を含めることが可能であり、この場合、当該道路構造に対し、通過領域の1つとして、車道併設路への進入直前位置を定め、該進入直前位置で満たされるべき車両挙動条件として、該進入直前位置での自車両の一時停止を定めることができる。道路には、車道の脇に路側帯、歩道、自転車道といった車道併設路が設けられているものがあり、そうした道路構造の場合、車道に合流又は横断する前に、その脇の車道併設路を横切る形となるが、車道に進入するときだけでなく、車道併設路に進入するときにも一旦停止して、車道併設路を通行する対象にも注意を払う必要があるので、上記本発明の構成によれば、車道併設路に進入する際の一旦停止を運転者に促すことができる。
【0013】
なお、本発明における車道併設路は、併設される車道がその車道から分岐する車道によって分断されていても、その分断区間も当該車道併設路としてみなすように定めることができる。T字路や十字路等は、横切る車道に対し接続する車道があると、その接続する車道は、横切る車道の脇にある車道併設路を切り取ってその部分をも車道としてしまうが、実際にはその切り取った部分も、車道併設路を通行する対象は通るため、その部分も車道併設路とみることができる。従って、横切る車道に対しそれに接続する車道から進入する場合には、車道とされてしまった車道併設路を通過する対象に対しても注意を払う必要がある。上記本発明の構成によれば、車道とされてしまった車道併設路に進入する際にも、一旦停止を運転者に促すことができる。
【0014】
本発明における車両挙動条件情報には、進入先道路構造として、自車両の進入対象である車道への合流方向ないし横断方向が異なる推定通過経路が複数存在する道路構造が含まれており、当該道路構造に対しては、それら推定通過経路のそれぞれに通過領域を定め、該通過領域における車両挙動条件を定めるよう構成できる。この構成によれば、推定通過経路を複数推定できるような道路構造であっても、それぞれに定められた通過領域に対しそれぞれ車両挙動条件を定めることができる。
【0015】
また、この構成の場合、ナビゲーション装置が目的地までの経路を案内している状態であれば、複数ある推定通過経路のうち、その案内経路と一致する推定通過経路を特定し、特定された推定通過経路上の各通過領域を通過した際に、対応する車両挙動条件が満たされたか否かの判定をするように構成してもよい。また、方向指示器の方向指示操作部へのユーザー操作がなされている状態であれば、複数ある推定通過経路のうち、方向指示器の指示方向と一致する方向の経路に進む推定通過経路を特定し、特定された推定通過経路上の各通過領域を通過した際に、対応する車両挙動条件が満たされたか否かの判定をするように構成してもよい。また、推定通過経路が上記のように1つ特定された推定通過経路とは異なる別の推定通過経路へと自車両が進行した場合には、案内経路とは違う方向に進行している点、あるいは指示方向とは異なる方向に進行している点を、運転者に対し警告するよう構成することができる。
【0016】
本発明においては、警告出力制御手段に設定される警告出力モードを、警告出力を実行する警告実行モードと、警告出力を禁止する警告禁止モードとの間で切り替えるための、ユーザーによる予め定められた警告出力モード切替操作を受け付ける警告出力モード切替操作受付手段を備え、さらに、警告出力モード切替操作に基づいて警告出力制御手段に警告出力モードを設定する警告出力モード設定手段を備え、警告出力制御手段は、警告実行モードの設定時には警告出力を許可し、警告禁止モードの設定時には警告出力を禁止するよう構成できる。この構成によれば、ユーザーの好みに応じてモードを変更することができ、ユーザーが望むのであれば警告出力をしないようにすることもできる。
【0017】
本発明においては、車両挙動判定手段による判定結果を車両挙動条件判定結果記憶部に記憶・蓄積する車両挙動条件判定結果記憶手段と、推定通過経路(あるいはその中の通過領域)への進入前の所定タイミングで、車両挙動条件判定結果記憶部に記憶・蓄積された過去の判定結果に基づいて、当該推定通過経路(あるいは該通過領域)に対応する車両挙動条件が満たされなかった確率を算出し、その確率が所定率を上回ったか否かを判定する車両挙動条件満足率判定手段と、当該確率が所定率を上回ったと判定されるに伴い、予め定められた事前通知出力部に、該推定通過経路(あるいは該通過領域)の通過時に満たすべき車両挙動条件の運転者への事前通知出力を実行させる事前通知出力制御手段と、を備えて構成できる。この構成によれば、運転者が忘れがちな車道挙動条件を、その車道挙動条件を満たすべきエリアを、そのエリアを通過する前に知ることができるから、安全に道路に進入することができる。
【0018】
本発明においては、自車両の状況を示す情報のうち予め定められたものを車両状況特定情報として取得する車両状況情報取得手段と、取得した車両状況特定情報に基づいて現在の車両状況を特定する車両状況特定手段と、を備えて構成することができ、この場合、車両挙動条件判定結果記憶手段は、車両挙動判定手段による判定結果を得た場合に、車両状況情報取得手段が取得する車両状況特定情報に基づいて該判定結果取得時の車両状況を特定し、特定された車両状況を対応付けた形で判定結果を車両挙動条件判定結果記憶部に記憶するものであり、車両挙動条件満足率判定手段は、推定通過経路(あるいはその中の通過領域)への進入前の所定タイミングとなった場合に、車両挙動条件判定結果記憶部に記憶・蓄積された過去の判定結果のうち当該タイミングにおいて車両状況特定手段により特定された車両状況が対応付けられた判定結果に基づいて、当該車両状況において当該推定通過経路(あるいは当該通過領域)に対応する車両挙動条件が満たされなかった確率を算出し、その確率が所定率を上回ったか否かを判定するものであり、事前通知出力制御手段は、当該確率が所定率を上回ったと判定されるに伴い、事前通知出力部に、該推定通過経路(あるいは該通過領域)の通過時に満たすべき車両挙動条件を運転者に対し事前に通知出力させるよう構成できる。上記構成によれば、推定通過経路の通過時に車両挙動条件が満たされないのが、車両の所定の状況に起因するものであるか否かを判定することができ、車両挙動条件が満たされ難い車両の状況において推定通過経路が迫ってきた場合に限り事前に、当該推定通過経路で満たすべき車両挙動条件が知らされる。
【0019】
上記の自車両の状況としては、例えばその車外の状況として、天候(晴れ、曇、雨、雪、等)や車外気温等を例示できるし、その車内の状況として、車内気温や方向指示器操作状態(右または左)等を例示することができる。例えば、ある推定通過経路において雨の日に車両挙動条件が満たされにくい傾向がある場合は、その推定通過経路においては雨の日のみ事前通知出力がなされるようにできる。また、例えばある道路構造において、右折の形で合流する推定通過経路において車両挙動条件が満たされにくい傾向がある場合は、その推定通過経路においてはウインカーが右側を指示表示しているときのみ事前通知出力がなされるようにできる。
【0020】
本発明においては、事前通知出力制御手段に設定される事前通知出力モードを、事前通知出力を実行する事前通知実行モードと、事前通知出力を禁止する事前通知禁止モードとの間で切り替えるための、ユーザーによる予め定められた事前通知出力モード切替操作を受け付ける事前通知出力モード切替操作受付手段を備え、さらに、事前通知出力モード切替操作に基づいて事前通知出力モードを設定する事前通知出力モード設定手段を備えて構成することができ、この場合、事前通知出力制御手段は、事前通知実行モードの設定時には事前通知出力を許可し、事前通知禁止モードの設定時には事前通知出力を禁止するよう構成できる。この構成によれば、ユーザーの好みに応じてモードを変更することができ、ユーザーが望むのであれば事前通知出力をしないようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態である車両用警告システムの構成を簡略的に示すブロック図。
【図2】車両挙動条件情報を示す図。
【図3】警告出力処理の流れを示すフローチャート。
【図4】進入用道路構造を簡易的に示した第一例。
【図5】図4の道路構造に対応する車両挙動条件情報を示す図。
【図6】進入用道路構造を簡易的に示した第二例。
【図7】図6の道路構造に対応する車両挙動条件情報を示す図。
【図8】進入用道路構造を簡易的に示した第三例。
【図9】図8の道路構造に対応する車両挙動条件情報を示す図。
【図10】図1の実施形態とは異なる車両用警告システムの構成を簡略的に示すブロック図。
【図11】図1及び図10の実施形態とは異なる車両用警告システムの構成を簡略的に示すブロック図。
【図12】条件判定結果情報を示す図。
【図13】図3の警告出力処理とは異なる警告出力処理の流れを示すフローチャート。
【図14】事前通知処理の流れを示すフローチャート。
【図15】モード設定処理の流れを示すフローチャート。
【図16】車両状況毎に集計された条件判定結果情報の第一例を示す図。
【図17】車両状況毎に集計された条件判定結果情報の第二例を示す図。
【図18】車両状況毎に集計された条件判定結果情報の第三例を示す図。
【図19】図3及び図13の警告出力処理とは異なる警告出力処理の流れを示すフローチャート。
【図20】図14の事前通知出力処理とは異なる事前通知出力処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車両用警告システムの一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態である車両用警告システム1の構成を簡略的に示すブロック図である。図1に示す車両用警告システム1は、自車両の現在位置を検出する位置検出器(現在位置検出手段)21と、道路地図データを記憶する外部記憶装置(道路地図データ記憶部)25と、設定される目的地までの経路を道路地図データに基づいて算出し、その経路を案内するナビゲーション機能(経路案内手段)と、を備える車両用ナビゲーション装置2と連携する形で構成されるものであって、自車両100が合流又は横断の形で進入可能な道路に接近した場合に、その道路の構造を特定するとともに、その道路の構造において特定される該自車両100の推定通過経路に対し安全走行のために定められている各種車両挙動を特定して、該道路の通過に際して、その車両挙動をトレースしたか否かを判定し、トレースできてない場合には、それを警告して運転者に知らせるものである。
【0024】
具体的には、図1の車両用警告システム1は、主となる制御部10と、該制御部10に対し車載LAN5を介して接続する車両用ナビゲーション装置2及び周知の車載機器3と、を備えて構成される。主制御部10は、周知のCPU,ROM,RAM等を備える通常のコンピュータとして構成される制御手段であり、その記憶部(車両挙動条件情報記憶部)に、後述する警告出力プログラム(警告出力PG)及び車両挙動条件情報を記憶する形で構成される。
【0025】
車両挙動条件情報は、図2に示すように構造が互いに異なる予め定められた複数種の進入先道路構造に対しそれぞれ定められている。車両挙動条件情報には、対応する進入先道路構造において進入対象とされている道路の車道への合流又は横断のため、基準とされた進入位置から接近して進入する推定通過経路が定められるとともに、その推定通過経路の通過時に安全走行のために満たされるべき複数の車両挙動条件が定められている。進入先道路構造とは、自車両100が合流又は横断の形で進入可能な道路に関し、その進入位置を基準として定まるその道路の道路構造のことである。
【0026】
つまり、自車両100が合流又は横断の形で進入可能な道路の道路構造を、自車両100の進入位置から見た構造として定めると(同じ道路でも進入位置や進入方向が変われば別の構造とみなされる)、その構造の道路に対し、上記進入位置から自車両100が進入した際の合流方向や横断方向に応じて、今後の通過経路(推定通過経路)を定めることができる。そして、そうした道路構造のうち予め定められた複数種の道路構造を進入先道路構造とし、それら進入先道路構造に定められた各推定通過経路に対し、安全走行のために満たされるべき複数の車両挙動条件が定められている。
【0027】
この車両挙動条件は、推定通過経路全体にまたがる一連の車両挙動の流れとして連続的に定められていてもよいが、ここでは、推定通過経路内に複数の通過領域を定め、それら通過領域毎に車両挙動条件が定められている。つまり、各進入先道路構造に対しそれぞれ定められる推定通過経路は、該推定通過経路上の複数の通過領域を結ぶ形で定まるものであり、それら各通過領域に対しそれぞれ車両挙動条件が定められている。なお、実際に推定通過経路を定めたつもりがなくとも、複数の通過領域が定められてさえいれば、それらを結べば推定通過領域となるのだから、推定通過領域が定められているものとすることができる。
【0028】
また、本発明における道路構造とは、自車両100の進入位置から見たその道路の構造であって、進入位置を基準にして定められるものである。具体的にいえば、進入位置から見た時のその道路の物理的な構造(道路の線形、車線数の他、車道や歩道、自転車道、路肩などの幅員構成、信号、横断歩道)や、法的に定められる構造(例えば優先道路、一方通行、制限速度、等)によって定められる構造である。
【0029】
また、本発明における車道併設路には、自動車が走行する車道に併設されて自動車以外の予め定められた対象のみの通行に供されるよう区画された歩道(横断歩道を含む)や自転車道)のことである。
【0030】
ここで進入先道路構造と車両挙動条件情報について、進入先道路構造の一例を示しながら説明する。図4、図6、図8には、各進入先道路構造の一例が示されており、図5、図7、図9にはそれらに対応する車両挙動条件情報の一例が示されている。
【0031】
図4は進入先道路構造200の第一例であり、一方通行(図中の左方向)の車道201の両脇に歩道202を有する構造を有する。進入位置は、車道201の両脇の歩道202のさらに外側の駐車場300の出口であり、推定通過経路は、駐車場300の出口直後の歩道202を横断し、その先の車道201に対し左折の形で合流する経路である。
【0032】
図5は、図4の道路構造200に対応付けられた車両挙動条件情報である。図4の道路構造200には1つの推定通過経路を特定することができ、その推定通過経路に対し通過順に第一〜第三の通過領域(P1)〜(P3)が予め定められている。第一の通過領域(P1)には、駐車場300の出口直後の歩道進入手前位置が定められ、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その位置での一旦停止を促す内容)が定められている。第二の通過領域(P2)には、駐車場300の出口直後の歩道202の横断区間であり、そこで満たすべき車両挙動条件として徐行(予め定められた車速以下での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での徐行を促す内容)が定められている。第三の通過領域(P3)は、車道201への進入直前位置であり、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(一旦停止を促す内容)が定められている。
【0033】
図6は進入先道路構造200の第二例であり、両脇に歩道202を有する車道(図中の左右方向に延びる車道)201と、それと交差する車道(図中の上下方向に延びる車道)201とにより交差点が構成された構造を有する。進入位置は、後者の車道201のうちの一方(図中の下側)から前者の車道201の脇の歩道202への進入手前位置である。推定通過経路は、その進入位置とされた車道201から、その車道201により見た目の上で切り取られた形となっている歩道区間(図中において左右の歩道202をつなぐ2破線内領域)を横断し、そこから右左折いずれかを経て、交差する車道201に合流する2経路と、該歩道区間を横断し、そこからさらに、交差する車道201を横断する形でその先の車道201に進入する経路との3経路が存在する。
【0034】
図7は、図6の道路構造に対応付けられた車両挙動条件情報である。図6の道路構造には3つの推定通過経路を特定することができ、それら推定通過経路に対しそれぞれ、通過順に通過領域が予め定められている。これらの推定通過経路における第一の通過領域(P1)には、進入位置とされた車道201から歩道(図中の2破線内領域)202への進入手前位置が定められ、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その位置での一旦停止を促す内容)が定められている。第二の通過領域(P2)には、進入位置とされた車道201上の歩道(図中の2破線内領域)202を横断する区間であり、そこで満たすべき車両挙動条件として徐行(予め定められた車速以下での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での徐行を促す内容)が定められている。第三の通過領域(P3)は、右左折の対象である車道201への進入直前位置であり、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(一旦停止を促す内容)が定められている。
【0035】
図8は進入先道路構造200の第三例であり、両脇に歩道202を有するとともに対向車線を有する車道(図中の左右方向に延びる車道)201と、それと交差する同じく対向車線を有する車道(図中の上下方向に延びる車道)201とにより、信号の無い交差点が構成された構造を有する。進入位置は、後者の車道201のうちの一方(図中の下側)から、優先となる前者の車道201の脇の横断歩道203への進入手前位置である。推定通過経路は、その進入位置とされた車道201から、横断歩道203の区間を横断し、そこから右左折いずれかを経て、交差する車道201に合流する2経路と、該横断歩道区間を横断し、そこからさらに、交差する車道201を横断する形でその先の車道201に進入する経路との3経路が存在する。
【0036】
図9は、図8の道路構造に対応付けられた車両挙動条件情報である。図8の道路構造には3つの推定通過経路を特定することができ、それら推定通過経路に対しそれぞれ、通過順に通過領域が予め定められている。
【0037】
これら3つの推定通過経路における第一の通過領域(P1)には、進入位置とされた車道201から横断歩道203への進入手前位置が定められ、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その位置での一旦停止を促す内容)が定められている。第二の通過領域(P2)には、車道201への進入手前位置が定められ、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その位置での一旦停止を促す内容)が定められている。なお、進入位置とされた車道201上の横断歩道203を横断する区間も通過領域に定めてもよく、その場合、そこで満たすべき車両挙動条件として徐行(予め定められた車速以下での走行)を定め、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での徐行を促す内容)を定めてもよい。
【0038】
第三の通過領域以降では、各推定通過経路にて異なる車両挙動条件及び警告内容が定められている。
【0039】
左折を含む推定通過経路においては、第三の通過領域(P3−1)として左折後に接近する自転車道204までの区間が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として徐行(予め定められた車速以下での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での徐行を促す内容)が定められている。第四の通過領域(P4−1)には左折後に接近する自転車道204への進入直前位置が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その位置での一旦停止を促す内容)が定められている。
【0040】
右折を含む推定通過経路においては、第三の通過領域(P3−2)として右折後に接近する対向車線を横断する手前位置までの区間が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として徐行(予め定められた車速以下での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での徐行を促す内容)が定められている。第四の通過領域(P4−2)には右折後に接近する対向車線への進入直前位置が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として一旦停止(一時停止)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その位置での一旦停止を促す内容)が定められている。第五の通過領域(P5−2)として右折後に接近する自転車道204までの区間が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として加速(予め定められた加速レベル以上でなおかつ予め定められた上限速度以下での走行、又は該上限速度以下でなおかつ予め定められた下限速度以上での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での加速を促す内容)が定められている。第六の通過領域(P6−2)には左折後に接近する自転車道204への進入直前位置が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として減速(予め定められた上限速度以下での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での減速を促す内容)が定められている。
【0041】
直進・横断を含む推定通過経路においては、第三の通過領域(P3−3)として車線(図中の左右方向に延びる車道)201の横断後に接近する横断歩道203までの区間が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として加速(予め定められた加速レベル以上でなおかつ予め定められた上限速度以下での走行、又は該上限速度以下でなおかつ予め定められた下限速度以上での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での加速を促す内容)が定められている。第四の通過領域(P4−2)には当該横断後に接近する横断歩道203への進入直前位置が定められており、そこで満たすべき車両挙動条件として減速(予め定められた上限速度以下での走行)が定められ、さらにその車両挙動条件が満たされなかったときに出力される警告内容(その区間での減速を促す内容)が定められている。
【0042】
なお、上記した進入先道路構造及び車両挙動条件情報はあくまで代表例に過ぎず、他の進入先道路構造及び車両挙動条件情報が設定されていてもよいし、上記した進入先道路構造に対し上記とは異なる車両挙動条件情報が定められていてもよい。
【0043】
図1に戻る。ナビゲーション装置2は、位置検出器21、表示装置(液晶ディスプレイ等)22、音声出力部(音声合成回路及びスピーカ)23、操作入力部(メカニカルスイッチ、タッチスイッチ、リモコン、音声入力部等)24、記憶装置(ハードディスクドライブ等)25、及び車速センサ26が,制御部20と接続する周知の構成を有する。
【0044】
位置検出器21は、車両100の現在位置を特定する現在位置特定手段であり、周知の地磁気センサ,車両100の回転角速度を検出するジャイロスコープ,車両100の走行距離を検出する距離センサ,及び衛星からの電波に基づいて車両100の位置を検出するGPS受信機を有した周知のものである。
【0045】
制御部20は、周知のCPU,ROM,RAMを備えて構成される通常のコンピュータで有り、そのCPUは、記憶装置25に記憶されたナビプログラムおよびデータに基づく制御を行うことで、例えば目的地までの経路案内を、表示装置22内での表示や音声出力部23からの音声出力によって行うことができる。
【0046】
記憶装置25には、上記経路案内などを実行する周知のナビプログラムの他に、道路地図データが記憶される。道路地図データは、画面表示用に所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。即ち、道路地図データには、背景となる地図画像データ、各種道路とそれら道路の接続を特定する道路網データ(道路網情報)、及びそれら各道路の構造を特定可能な道路構造データ(道路構造情報)等が格納される。
【0047】
道路網データは、道路がリンク単位で表現され、これらリンクの接続によって道路ネットワークが表現された地図データとして構成されたものである。他方、道路構造データは、該道路ネットワークを構成するリンク毎に、リンク本体及びリンク端点の属性が記された属性データとして構成される。リンク本体の属性とは、道路の形状等と共に、自動車が走行する車道、及び車道に併設されて自動車以外の予め定められた対象のみの通行に供されるよう区画された各種の車道併設路(路側帯、歩道(横断歩道を含む)、自転車道)の形態及び位置関係等の道路構造を特定可能な道路構造情報を含む。このため、この道路構造情報を用いれば、自車両100の走行する道路200や、これから接近する道路200の構造を特定することができる。つまり、この道路構造データを用いることで、それらの道路200に関して、車線数やその幅、車道併設路の有無、車道併設路の幅等のような車道併設路の形態、横断歩道の有無やその幅、車道により切り取られてはいるが車道併設路と同様の対象が走行する区間の有無やその幅(隣接する車道併設路と同じと考える)等といった道路構造を特定することが可能である。また、リンク端点の属性とは、当該端点でのリンクの接続関係を示す情報を含む。
【0048】
また、記憶装置25には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザーが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータとして記憶される。また、ナビゲーション装置2の動作に必要なデータや各種情報はデータベースとしても記憶される。
【0049】
本実施形態の車両用警告システム1における主制御部10は、周知のCPU,ROM,RAM等を備える通常のコンピュータとして構成される制御手段であり、その記憶部(車両挙動条件情報記憶部)に、後述する警告出力プログラム(警告出力PG)及び車両挙動条件情報を記憶する形で構成される。
【0050】
本実施形態の車両用警告システム1は、警告音声や警告音等の警告出力を実施する警告出力部を備える。本実施形態の警告出力装置は、ナビゲーション装置2の音声出力部23である。なお、この警告出力部は、高級車両ではない一般車両においても標準搭載されるカーオーディ装置としてもよい。
【0051】
以下、主制御部10が実行する警告出力プログラムの処理の流れを、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0052】
S1では、制御部10が、ナビゲーション装置2から現在位置と進行方向と道路地図データを取得し、取得したそれらの情報に基づいて、自車両100の現在位置が道路網上のどの地点に位置しているかを特定するとともに、自車両100の進行方向の先に位置する合流・横断対象となる道路を特定する。道路地図データに含まれる道路網データにより、多数のリンク(道路)の接続からなる道路ネットワークを特定することができ、さらに現在位置と進行方向とにより、その道路ネットワークにおけるどのリンク(道路)に自車両100が接近中であるかを特定することができる。そして、道路地図データに含まれる道路構造データにより、その接近中のリンク(道路)が、自車両100が合流又は横断が可能なリンクであるか否かを特定することができる。
【0053】
S2では、制御部10が、ナビゲーション装置2から現在位置と道路地図データを取得し、取得したそれらの情報に基づいて、S1で特定された合流・横断対象となる道路への自車両100の接近を検出する(接近検出手段)。即ち、自車両100から、S1で特定された道路までの距離が所定距離以内であるか否かを判定して、所定距離以内である場合のみを接近として検出する。検出された場合にはS3に進み、検出されなかった場合には本処理は終了となる。
【0054】
S3では、制御部10が、道路地図データ(特に道路構造データ)に基づいて、S2で検出された接近中の道路の道路構造を特定する。道路地図データに含まれる道路構造データにより、接近中のリンク(道路)の構造、即ちそのリンク(道路)の車線数やその幅、車道併設路の有無やその種別、その幅等といった構造を特定できるし、接続点を介して複数のリンク(道路)に対し同時に接近中の場合は、それら接近中のリンク(道路)の接続形態(車道や車道併設路の接続形態、横断歩道の有無やその幅、接続点に接続する車道により切り取られてはいるが車道併設路と同様の対象が走行する区間の有無やその幅)等といった道路構造を特定することができる。
【0055】
続くS4では、制御部10が、道路地図データと車両挙動条件情報に基づいて、S3で特定された道路構造が、予め定められた複数種の進入先道路構造のいずれに一致するか否かを判定する(道路構造一致判定手段)。制御部10には、予め定められた複数種の進入先道路構造を、車両挙動条件情報に対応付けて記憶しているので、接近中の道路の道路構造がそれらの進入先道路構造のいずれと一致するかを特定する。一致すればS4からS5に進み、一致しなければ本処理は終了となる。
【0056】
S5では、制御部10が、車両挙動条件情報に基づいて、S4で一致すると判定された進入先道路構造に対応する各車両挙動条件を特定する(車両挙動条件特定手段)。ここでは特に、S4で一致すると判定された進入先道路構造に対応する各通過領域(例えば図5、図7、図9の各通過領域)と、それら通過領域に対応する車両挙動条件(例えば図5、図7、図9の各車両挙動条件)を特定する。通過領域に関しては、S4で特定された進入先道路構造上におけるどの領域であるかを特定しておく。
【0057】
続くS6〜S11では、制御部10が、S5で特定された各車両挙動条件と現在位置と道路地図データに基づいて、検出された接近中の道路にて自車両が推定通過経路を通過する際に各車両挙動条件が満たされたか否かを判定し(車両挙動判定手段)、対応する車両挙動条件が満たされていないと判定された場合に、予め定められた警告出力部23に、運転者への警告出力を実行させる(警告出力制御手段)。本実施形態においては、制御部10が、S5で特定された通過領域及び車両挙動条件と、現在位置と、道路地図データとに基づいて、S2において検出された接近中の道路に自車両が接近・進入してその車道に合流又は横断を完了するまでの間、特定された各通過領域の通過に際し、対応する車両挙動条件が満たされたか否かを判定するとともに、対応する車両挙動条件が満たされていないと判定された場合には、警告出力部23に警告出力を実行させる。
【0058】
具体的にいえば、S6にて、制御部10が、S5で特定された通過領域と、現在位置と、道路地図データとに基づいて、S5で特定された通過領域のうち自車両100の進行方向において最も近い通過領域に到達したか否かを判定し、到達したと判定された場合にはS7に進み、さらにS7にて、制御部10が、S5で特定された通過領域及び車両挙動条件と、現在位置と、道路地図データとに基づいて、そのS6で到達したと判定された通過領域に対応する車両挙動条件が実行されたか否かを判定する。
【0059】
S8では、制御部10が、S5で特定された通過領域と、現在位置と、道路地図データとに基づいて、S6で到達したと判定された通過領域を通過したか否かを判定する。通過したと判定されなければS7を繰り返し、通過したと判定された場合にはS9に進み、直近のS7での判定結果に基づいて、通過したとされた通過領域において、対応する車両挙動条件が満足されたか否かを判定する。車両挙動条件が満たされていないと判定された場合はS10に進み、この車両挙動条件が満たされていないことに関する警告を警告出力部23に出力させ(警告出力制御手段)、S11に進む。つまり、制御部10は、通過領域を通過した際に該通過領域に対応する車両挙動条件が満たされていなかった場合、該通過領域の通過の完了に伴い直ちに警告出力部23に警告出力を実行させる。さらに本実施形態においては、制御部10内の記憶部(警告内容記憶部)に、警告出力の内容を通過領域毎に記憶しており、通過領域を通過した際に該通過領域に対応する車両挙動条件が満たされていなかった場合には、その記憶部に記憶されている該通過領域に対応して記憶されている内容(例えば図5、図7、図9の警告内容)の警告出力を、警告出力部23に実行させる。他方、S9にて、車両挙動条件が満足されたと判定された場合にはS11に進む。
【0060】
S11では、制御部10が、現在位置と道路地図データと車両挙動条件情報とに基づいて、S8にて通過したと判定された通過領域の次の通過領域の有無(次の通過領域があるか否か)を判定する。本実施形態における車両挙動条件情報は、各通過領域を進入位置からの通過順で定められているから、次の通過領域はこの車両挙動条件情報に基づいて容易に特定できる。なお、推定通過経路が複数存在する場合には、次の通過領域が複数ある場合や、次の通過領域がある場合とない場合の双方がある場合がありえるが、こうした場合、自車両100の移動方向(進行方向)から、通過するであろう推定通過経路を1つ特定し、特定された推定通過経路上に次の通過領域があるか否かを判定する形で行う。あるいは、ナビゲーション装置2において目的地が設定され、その目的地までの経路を案内している状態であれば、複数ある推定通過経路のうち、その案内経路と一致する推定通過経路を特定し、特定された推定通過経路上の各通過領域を通過した際に、対応する車両挙動条件が満たされたか否かの判定をするように構成してもよい。
【0061】
S11にて、次の通過領域が無いとされれば本処理は終了となり、次の通過領域があるとされればS6に戻る。なお、本処理は所定周期で繰り返し実行されるものである。
【0062】
なお、徐行、一旦停止などの車両挙動条件を満たしたか否かは、自車両100の車速を検出する車速センサ(車速検出手段)26の検出結果(車速情報)から判断することができ、加速や減速といった車両挙動条件も、車速センサ26の検出結果(車速情報)に基づいて判断することができる。本実施形態において、車速センサ26は、車両挙動条件実行判定情報として車速情報を取得する車両挙動条件実行判定情報取得手段として機能し、S7では、制御部10が、ナビゲーション装置2の制御部20からこの車両挙動条件実行判定情報を取得して、これに基づいて車両挙動条件が満足されたか否かを判定する。ここでの車速情報は、ナビゲーション装置2の車速センサ26から得るものでなく他の車載機器から得るものでもよいが、本実施形態においては、制御部10とナビゲーション装置2との連携のみで完結するシステムとなるため、構成が単純となるメリットがある。
【0063】
また、本実施形態における車両挙動条件情報には、図5、図7、図9に示すように、全ての進入先道路構造に対し、通過領域の1つとして、自車両100が合流又は横断の形で進入する対象となっている車道201への進入直前位置が定められ、該進入直前位置で満たされるべき車両挙動条件として、該進入直前位置での自車両の一時停止(一端停止)が定められている。
【0064】
さらに本実施形態における車両挙動条件情報には、少なくとも進入先道路構造の1つに、自車両100の進入対象である車道201と、該自車両100の進行方向において該車道201の手前側に位置する車道併設路(路側帯、歩道(横断歩道を含む)、自転車道)とを有した道路構造が含まれており(本実施形態においては図4、図6、図8の全てが進入対象の車道の脇に車道併設路を有する)、当該道路構造に対し、通過領域の1つとして、車道併設路202又は203への進入直前位置が定められ、該進入直前位置で満たされるべき車両挙動条件として、該進入直前位置での自車両100の一時停止(一端停止)が定められている。
【0065】
さらに、本実施形態における車道併設路202は、図6に示すように、併設される車道201がその車道201から分岐する別の車道201によって分断されていても、その分断区間も当該車道併設路としてみなしており、見かけ上、車道併設路202が切り取られて存在していないように見えていても、そこには切り取られた区間をつなぐ車道併設路202があるものと判断され、その車道併設路202を横断するに際しては、その進入直前位置が通過領域と定められ、そこでの自車両100の一時停止(一端停止)が車両挙動条件として定められている。
【0066】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、これはあくまでも例示にすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【0067】
例えば上記実施形態においては、ナビゲーション装置2と制御部10とが連携する形で車両用警告システムを構成しているが、図10に示すように、主制御部10をナビゲーション装置2の制御部に兼用させて、ナビゲーション装置そのものを車両用警告システムとしてもよい。
【0068】
また、上記実施形態における推定通過経路は、各通過領域が連続的につながって1つの経路を形成しているが、必ずしもつながっている必要は無く、通過領域が連続的につながっていなくともそれらを結ぶ形で経路が推定されるものであればよい。つまり、1つの侵入先道路構造に対し複数の通過領域が定められていればよい。
【0069】
上記実施形態においては、車両挙動条件を満足しなかった通過領域の通過の完了に伴い、当該通過領域に対応する警告内容を警告出力部23にて出力させているが、当該通過領域の通過の完了に伴い共通のブザー音を出力するようにしてもよい。また、車両挙動条件を満足しなかった通過領域がある場合に、その通過領域を含む全ての通過領域を通過した後、即ち推定通過経路を通過完了した後に、警告を出力するようにしてもよい。
【0070】
上記実施形態においては、車両挙動条件を満たさないまま通過領域を通過した際に警告出力を行っているが、通過領域を通過する前に、その通過領域にて車両挙動条件を満たすように、運転者に事前に通知する構成を有していてもよい。
【0071】
図11は、そうした事前通知を実行可能な車両用警告システム1の構成を示すブロック図である。制御部10は、その事前通知を実行するための事前通知出力プログラム(事前通知出力PG)を自身の記憶部に記憶しており、これを実行する形で上記の事前通知を実行する。
【0072】
なお、上記の事前通知は、通過領域接近時に絶えず行うようにすることもできるが、その場合、運転者がその事前通知を煩わしく感じる可能性があるので、各通過領域のうち、対応する車両挙動条件が満たされる確率が少ない通過領域に接近した場合にのみ、この事前通知を実施するようにすることが望ましい。
【0073】
図12は、図11の実施形態における車両挙動条件情報の一例を示すものである。ただし、各通過領域に対し、車両挙動条件や警告内容だけでなく、その通過領域に対応する車両挙動条件を満たさなかった確率、あるいはその確率を算出可能な数値、即ち車両挙動条件の条件判定結果が対応付けられており、この部分に関しては、車両挙動条件の条件判定結果を示す条件判定結果情報といえる。なお、図12の場合は、全進入先道路構造に関し、それら進入先道路構造毎に定められた各通過領域に対し、これまでの全通過回数と、それらのうち対応する車両挙動条件を満たさなかった通過回数とがそれぞれ記憶されており、これらによって上記の確立が算出可能となっている。
【0074】
図13は、図11の実施形態における警告出力プログラムの処理の一例を示すものである。
【0075】
S21〜S30及びS32は、上記図3の処理のS1〜S12と同様である。ただし、車両挙動条件を満たしたか否かの判定の後(ここではS30の警告出力後)、制御部10が、通過した通過領域において対応する車両条件が満たされたか否かの判定結果を記憶している。具体的にいえば、その通過した通過領域において車両挙動条件を満たさなかった確率(満たした確率でもよい)、あるいはその確率を算出可能な数値を更新し、その上でS32(S12と同様)へ進む。これにより、警告出力の処理の実行に伴い、各通過領域に対し、その通過領域に対応する車両挙動条件を満たさなかった確率(満たした確率でもよい)、あるいはその確率を算出可能な数値が更新されていく。
【0076】
一方で、図14は、図11の実施形態において、上記の事前通知を実行するための事前通知出力プログラムの処理の一例を示すものである。
【0077】
S41〜S45は、図13のS21〜S25と同様である。S46では、S26とは異なり、制御部10が、推定通過経路あるいはその中の通過領域への進入前の所定タイミングの到来を特定する。ここでは、推定通過経路の中の通過領域に対し、その通過領域に到達する直前位置への到達を判定する。具体的には、自車両100から次の通過領域までの距離が所定距離だけ離れた位置を事前通知位置と定め、その事前通知位置への到達を判定する。そして、到達した場合にはS47にて、制御部10が、到達した事前通知位置の先にある通過領域において、対応する車両挙動条件が過去に満たされなかった確率(不満足率)を算出・取得し、それが所定率を上回ったか否かを判定する(車両挙動条件満足率判定手段)。
【0078】
その結果、制御部10は、当該確率が所定率を上回ったと判定された場合には(S48:Yes)、その判定に伴いS49にて、予め定められた事前通知出力部(例えば図11の音声出力部23)に、該推定通過経路あるいは該通過領域の通過時に満たすべき車両挙動条件の運転者への事前通知出力を実行させる(事前通知制御手段)。ここでは、所定率を上回ったとされた場合には(S48:Yes)、S49にて、当該通過領域に対応する事前通知内容を、事前通知出力装置に出力させる。ここでは、事前通知内容として、図12に示す警告内容と同じ内容が定められている。他方、所定率を下回らなかった場合にはS49がスキップされる。続くS50はS28と同様の処理であり、S51はS32と同様の処理である。
【0079】
つまり、図11の実施形態では、警告出力プログラムと同時に事前通知出力プログラムも実行されており、通過領域に対し必要に応じて事前通知出力と警告出力とがなされるように構成されている。
【0080】
なお、S47〜S49においては、過去に車両挙動条件が満たされなかった確率(不満足率)が算出され、その確率が所定率を上回ったと判定された場合に事前通知出力が実行されるが、逆に、過去に車両挙動条件が満たされた確率(満足率)が算出され、その確率が所定率を下回ったと判定された場合に事前通知出力が実行される構成でもよい。算出過程を考えれば不満足率を算出する構成と満足率を算出する構成とは同じ構成であるといえる。
【0081】
また、図11の実施形態では、制御部(警告出力制御手段及び事前通知出力制御手段)10においてモード設定(警告出力モード及び事前通知出力モードの設定)が可能とされている。即ち、図11の実施形態では、上記警告出力を実行し、かつ上記事前通知出力を実行する第一モード(警告実行モード及び事前通知実行モード)、上記警告出力を禁止し、かつ上記事前通知出力を実行する第二モード(警告禁止モード及び事前通知実行モード)と、上記警告出力を実行し、かつ上記事前通知出力を禁止する第三モード(警告実行モード及び事前通知禁止モード)と、上記警告出力を禁止し、かつ上記事前通知出力を禁止する第四モード(警告禁止モード及び事前通知禁止モード)とのいずれかを設定可能である。
【0082】
制御部10は、これらのモードを設定するモード設定プログラムを自らの記憶部に記憶し、これを実行する。そして、設定されたモードに従い、警告出力の許可/禁止、事前通知出力の許可/禁止を定める。具体的に言えば、警告実行モードの設定時には警告出力が許可されるため上記警告出力プログラムを実行し、警告禁止モードの設定時には警告出力が禁止されるため上記警告出力プログラムを実行しないようにする。さらに、事前通知実行モードの設定時には事前通知出力が許可されているため上記事前通知出力プログラムを実行し、事前通知禁止モードの設定時には事前通知出力が禁止されるため上記事前通知出力プログラムを実行しないようにする。
【0083】
図15は、そのモード設定プログラムの処理の一例を示すものである。この処理は、車両用警告システム1の起動、ここではイグニッションスイッチのON操作による電源ONに伴い実行され、車両用警告システム1の終了、ここではイグニッションスイッチのOFF操作による電源OFFに伴い終了する。
【0084】
S101では、制御部10が、前回の車両用警告システム1の終了時に設定されたモードがあるか否かを判定する。システム1の終了時に設定されたモードがあればS102に進んで、そのモードを設定し、S103に進む。他方、システム1の終了時に設定されたモードが無ければデフォルト設定されたモードを設定することになる。ここではS107及びS108に進み、デフォルトモードとして第一モードを設定して、S103に進む。
【0085】
S103では、制御部10が、ユーザーによるモード変更操作の有無を判定する。本実施形態において、制御部10には、モードを設定・変更(切替)するためのモード設定操作部11が接続されている。制御部10は、そのモード設定操作部11へのユーザーによる予め定められた操作(警告出力モード切替操作及び事前通知出力モード切替操作)を受け付けており(警告出力モード切替操作受付手段及び事前通知出力モード切替操作受付手段)、当該操作に基づいて、上記4種のモードのいずれかを任意に設定可能となっている(警告出力モード設定手段及び事前通知出力モード設定手段)。例えば、モード設定操作部11として各モードに対応するメカニカルスイッチを設けて、操作されたスイッチに対応するモードが設定されるようにしてもよい。また、モード設定操作部11をナビゲーション装置2の表示装置22の画面上に配置されたタッチ操作部とし、その画面をモード変更画面に切り替えた上で、表示される各モードに対応するボタン画像をタッチ操作することにより、タッチ操作されたボタン画像に対応するモードが設定されるようにしてもよい。
【0086】
S104では、S103でのモード設定の変更が第一モードへの変更であるか否かを判定する。第一モードへの変更であれば(S104:Yes)、S107及びS108に進んで、結果、第一モードが設定される。第一モードへの変更でなければ(S104:No)、S105に進む。
【0087】
S105では、S103でのモード設定の変更が第二モードへの変更であるか否かを判定する。第二モードへの変更であれば(S105:Yes)、S109及びS110に進んで、結果、第二モードが設定される。第二モードへの変更でなければ(S105:No)、S106に進む。
【0088】
S106では、S103でのモード設定の変更が第三モードへの変更であるか否かを判定する。第三モードへの変更であれば(S106:Yes)、S111及びS112に進んで、結果、第三モードが設定される。第三モードへの変更でなければ(S106:No)、S113及びS114に進んで、結果、第四モードが設定される。
【0089】
このように第一〜第四のいずれかのモードに設定された後は、S103に戻る。そして、車両用警告システム1の終了に伴い本処理は、現在設定中のモードを記憶した上で、強制的に終了となる。
【0090】
なお、この実施形態では、警告出力モード及び事前通知出力モードの双方を切り替え可能としているが、いずれか一方でもよい。
【0091】
ところで、ここで述べた図11の車両用警告システム1に関しては、図14のような事前通知出力が実行されるが、この事前通知出力を、別の形で行うようにしてもよい。
【0092】
具体的には、上記の事前通知出力の処理では、通過領域に到達する直前の位置で、その通過領域において対応する車両挙動条件が満たされた確率が所定率を下回る場合に事前通知を行っているが、例えば、各通過領域において、対応する車両挙動条件が満たされた確率を、予め定められた車両状況毎に算出し、ある通過領域に到達する直前となる置に到達した際に、その時点における車両状況を特定し、その通過領域において、かつ現時点の車両状況において、その通過領域に対応する車両挙動条件が満たされた確率(あるいは満たされなかった確率)を取得し、それが所定率を下回る場合に(満たされなかった確率のときは所定率を上回った場合に)、事前通知を行うようにしてもよい。これにより、通過領域において対応する車両挙動条件が満たされない要因が、そのときの車両状況、例えば時間帯や天候に起因しているのであれば、原因となっている車両状況においてのみ事前通知をして、原因となっていない車両状況においては事前通知をしないようにすることで、無駄な事前通知を省略できる。
【0093】
図16〜図18は、車両挙動条件の条件判定結果を示す条件判定結果情報であり、予め定められた各種の車両状況における通過領域毎の車両挙動条件の不満足回数(車両挙動条件判定結果)を記憶・蓄積したものである。図16は、ある進入先道路構造に対し定められた各通過領域における対応する車両挙動条件の不満足回数を、時間帯(車両状況)別に記録したものである。図17は、ある進入先道路構造に対し定められた各通過領域における対応する車両挙動条件の不満足回数を、天候(車両状況)別に記録したものである。また、図18は、ある進入先道路構造に対し、右折合流時と、左折合流時と、横断時のそれぞれ推定通過経路に対する車両挙動条件の不満足回数を記録したものである。
【0094】
図19は、これら図16〜図18等の条件判定結果情報を更新可能な警告出力処理の一例である。
【0095】
S61〜S70は、図13のS21〜S30と同様である。制御部10は、S68で通過と判定された通過領域において、対応する車両挙動条件を満たしか否かを判定し(S69)、その判定結果を得た場合には、S71にて、取得したその時の車両状況特定情報に基づいて、そのときの自車両100の車両状況を特定するための予め定められた種別の車両状況を特定可能な車両状況特定情報を取得する(車両状況情報取得手段)。そして、制御部10は、取得した車両状況特定情報に基づいて現在の車両状況を特定するとともに(車両状況特定手段)。そして、S72では、S69で得たその判定結果を、その判定結果の取得時の車両状況に対応付けた形で、自身の記憶部(車両挙動条件判定結果記憶部)に記憶・更新する(車両挙動条件判定結果記憶手段)。具体的に言えば、S72では、制御部10が、通過と判定された通過領域に対応する車両挙動条件を満たしていない確率(満たした確率でもよい)のうち、特定された車両状況に対応する確率を、算出・取得する。ここでは通過領域に対応する車両挙動条件を満たさなかった回数のうち、特定された車両状況に対応する回数を更新する。続くS73と、S32は同様の処理である。
【0096】
図20は、図19のように、通過した通過領域に対応する車両挙動条件を満たしていない確率(満たした確率でもよい)のうち、特定された車両状況に対応する確率を特定して、その確率(不満足率)が所定率を上回った時に、当該通過領域の直前位置で、事前通知出力装置(例えば図11の音声出力部23)に事前通知出力を実行させる事前通知出力処理の一例を示すものである。
【0097】
S81〜S86は図14のS41〜S46と同様である。ところが、S87では、制御部10が、通過領域の直前位置に到達した状態にて、現在の車両状況のうち予め定められた種別の車両状況を特定するとともに、S88では、特定された車両状況に関して、直前に接近した車両領域に対応する車両挙動条件の不満足率を読み出し、S89では、この不満足率が所定率を上回ったか否かを判定する。上記不満足率が所定率を上回った場合には、S90にて、直前に接近した車両領域に対応する事前通知内容を事前通知出力装置に出力させる。続くS91及びS92の処理はS50及びS51と同様である。
【0098】
なお、自車両100の車両状況としては、例えば車外の状況として、天候(晴れ、曇、雨、雪、等)や車外気温等を例示できる。天候であれば、降雨に伴いワイパーを駆動するオートワイパー装置を図11の車載機器4とし、その制御部40に接続する所定車両状況情報取得部41を、雨や雪を検出する雨滴検出センサとすることで、制御部10は、このオートワイパー装置4の制御部40から、車載LAN5を介して、降雨・降雪を示す天候情報を車両状況情報として取得できる。また、カーエアコンを図11の車載機器4とし、その制御部40に接続する所定車両状況情報取得部41を日射センサとすることで、制御部10は、車載LAN5を介して、晴れ・曇りを示す天候情報を車両状況情報として取得できる。また、カーエアコンを図11の車載機器4とした場合には、その制御部40に接続する所定車両状況情報取得部41を外気温センサや内気温センサとすることもでき、制御部10は、車載LAN5を介して、外気温や内気温を示す気温情報を車両状況情報として取得できる。また、制御部10が、時刻情報を有していたり、あるいはナビゲーション装置2が時刻情報を取得するものであれば(例えばGPS受信信号から時刻情報を取得する等)、その時刻情報を車両状況情報として取得できる。また、ステアリング装置を図11の車載機器4とすれば、その制御部40に接続する所定車両状況情報取得部41をステアリングホイールの操舵角検出センサとすることで、自車両100の右左折、又は直進を検出することができ、自車両100の車両状況として、右折合流と左折合流と横断とを特定可能な進行方向情報を車両状況情報として取得できる。また、方向指示器を図11の車載機器4とすれば、その制御部40に接続する所定車両状況情報取得部41を方向指示操作部の操作検出部とすることで、自車両100の進行予定方向を検出することができ、自車両100の車両状況として、右折予定と左折予定と直進予定とを特定可能な進行予定方向情報を車両状況情報として取得できる。
【0099】
このように、近年の一般的な車両にも搭載される上記のような車載機器4を用いれば、上記のような車両状況を特定することができ、図16〜図18等の条件判定結果情報を得ることが可能となる。これにより、例えば、ある推定通過経路において雨の日に車両挙動条件が満たされにくい傾向がある場合は、その推定通過経路においては雨の日のみ事前通知出力がなされるようにできる。また、ある時間帯において、一部の通過領域において車両挙動条件が満たされ難い傾向がある場合には、その通過領域においてはその時間帯に限り、事前通知出力がなされるようにできる。また、例えばある道路構造において、右折の形で合流する推定通過経路において車両挙動条件が満たされにくい傾向がある場合は、その推定通過経路においては方向指示器(ウインカー)が右側を指示表示しているときのみ事前通知出力がなされるようにできる。図16〜図18の場合は、ドットで強調された車両状況及び通過領域において車両挙動条件の不満足率が所定率を上回っており、これらのときに事前通知出力が実施される。
【0100】
また、上記実施形態のように、上記警告出力とともに上記事前通知出力を行う構成において、上記事前通知出力を、車両状況に応じた車両挙動条件の不満足率に基づいて行うようにするモードと、車両状況とは無関係な車両挙動条件の不満足率に基づいて行うようにするモードとを、ユーザーによるモード切替操作によって切り替え可能にしてもよい。これらのモードの切り替えを、図15によるモード設定に組み入れてもよい。
【0101】
また、方向指示器に関しては、接近した進入先道路構造において、複数の推定通過経路が存在する場合、方向指示操作部へのユーザー操作がなされている状態であれば、それら複数の推定通過経路の中から、方向指示器の指示方向と一致する方向の経路を進行先と定め、次の通過領域として、進行先とされた推定通過経路上の次の通過領域を特定するように構成してもよい。なお、方向指示器の支持方向とは異なる方向に進行した際には、その旨を運転者に対し警告するように構成してもよい。
【0102】
なお、複数の推定通過経路の中から進行先となる経路を一つ特定する方法としては、例えば、ナビゲーション装置2が経路案内を行っている場合は、案内中の経路と一致する推定通過経路を進行先と定めることもできる。
【符号の説明】
【0103】
1 車両用警告システム
10 制御部
2 ナビゲーション装置
20 制御部
21 位置検出器
23 音声出力装置
25 記憶装置
26 車速センサ
100 自車両
200 道路
201 車道
202 歩道
203 横断歩道
204 自転車道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、道路網や道路構造を特定可能な道路地図データを記憶する道路地図データ記憶部と、設定される目的地までの経路を前記道路地図データに基づいて算出し、その経路を案内する経路案内手段と、を備える車両用ナビゲーション装置そのものとして構成される、もしくは該車両用ナビゲーション装置と連携する形で構成される車両用警告システムであって、
合流又は横断の形で進入可能な道路に関し、その進入位置を基準として定まるその道路の道路構造を進入先道路構造とすると、その構造が互いに異なる予め定められた複数種の進入先道路構造に対しそれぞれ、進入対象とされている道路への合流又は横断のために、基準とされた進入位置から接近・進入する推定通過経路が定められるとともに、その推定通過経路の通過時に安全走行のために満たされるべき車両挙動条件を定めた車両挙動条件情報を記憶する車両挙動条件情報記憶部と、
前記現在位置と前記道路地図データに基づいて、合流又は横断の形で進入可能な道路に対する自車両の接近を検出する接近検出手段と、
前記道路地図データと前記車両挙動条件情報に基づいて、検出された接近中の前記道路の道路構造が、前記複数種の進入先道路構造のいずれかに一致するか否かを判定する道路構造一致判定手段と、
前記車両挙動条件情報に基づいて、一致すると判定された進入先道路構造に対応する各車両挙動条件を特定する車両挙動条件特定手段と、
特定された各車両挙動条件と前記現在位置と前記道路地図データに基づいて、検出された接近中の前記道路にて自車両が前記推定通過経路を通過する際に前記各車両挙動条件が満たされたか否かを判定する車両挙動判定手段と、
対応する車両挙動条件が満たされていないと判定された場合に、予め定められた警告出力部に、運転者への警告出力を実行させる警告出力制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用警告システム。
【請求項2】
前記車両挙動条件情報において、各前記進入先道路構造に対しそれぞれ定められる前記推定通過経路が該推定通過経路上の複数の通過領域により定められ、それら各通過領域に対しそれぞれ前記車両挙動条件が定められており、
前記車両挙動条件特定手段は、前記車両挙動条件情報に基づいて、前記道路構造一致判定手段により一致すると判定された前記進入先道路構造に対応する各通過領域と、それら通過領域における車両挙動条件とを特定し、
前記車両挙動判定手段は、特定された通過領域及び車両挙動条件と、前記現在位置と、前記道路地図データとに基づいて、前記接近検出手段により検出された接近中の前記道路に自車両が接近・進入してその車道に合流又は横断を完了するまでの間、特定された各通過領域の通過に際し、対応する車両挙動条件が満たされたか否かを判定し、
前記警告出力制御手段は、対応する車両挙動条件が満たされていないと判定された場合に、前記警告出力部に、前記警告出力を実行させるものである請求項1に記載の車両用警告システム。
【請求項3】
前記警告出力制御手段は、前記通過領域を通過した際に対応する車両挙動条件が満たされていなかった場合、該通過領域の通過の完了に伴い前記警告出力部に警告出力を実行させるものである請求項2に記載の車両用警告システム。
【請求項4】
前記警告出力の内容を前記通過領域毎に定めた警告内容記憶部を備え、
前記警告出力制御手段は、前記通過領域を通過した際に対応する車両挙動条件が満たされていなかった場合、前記警告内容記憶部に記憶されている該通過領域に対し定められた内容の警告出力を、前記警告出力部に実行させるものである請求項3に記載の車両用警告システム。
【請求項5】
前記車両挙動条件情報には、全ての前記進入先道路構造に対し、前記通過領域の1つとして、自車両が合流又は横断の形で進入する対象となっている車道への進入直前位置が定められ、該進入直前位置で満たされるべき前記車両挙動条件として、該進入直前位置での自車両の一時停止が定められている請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【請求項6】
前記車両挙動条件情報には、少なくとも前記進入先道路構造の1つに、自車両の進入対象である車道と、該自車両の進行方向において該車道の手前側に位置し、自動車以外の予め定められた対象のみの通行に供されるよう区画された各種の車道併設路(路側帯、歩道(横断歩道を含む)、自転車道)とを有した道路構造が含まれており、当該道路構造に対し、前記通過領域の1つとして、前記車道併設路への進入直前位置が定められ、該進入直前位置で満たされるべき前記車両挙動条件として、該進入直前位置での自車両の一時停止が定められている請求項2ないし又は請求項5のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【請求項7】
前記車道併設路は、併設される車道がその車道から分岐する車道によって分断されていても、その分断区間も当該車道併設路としてみなすように定められている請求項6に記載の車両用警告システム。
【請求項8】
前記車両挙動条件情報には、前記進入先道路構造として、自車両の進入対象である車道への合流方向ないし横断方向が異なる推定通過経路が複数存在する道路構造が含まれており、当該道路構造に対しては、それら推定通過経路のそれぞれに前記通過領域が定められ、該通過領域における前記車両挙動条件が定められている請求項2ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【請求項9】
前記警告出力制御手段に設定される警告出力モードを、前記警告出力を実行する警告実行モードと、前記警告出力を禁止する警告禁止モードとの間で切り替えるための、ユーザーによる予め定められた警告出力モード切替操作を受け付ける警告出力モード切替操作受付手段と、
前記警告出力モード切替操作に基づいて前記警告出力制御手段に前記警告出力モードを設定する警告出力モード設定手段と、
を備え、前記警告出力制御手段は、前記警告実行モードの設定時には前記警告出力を許可し、前記警告禁止モードの設定時には前記警告出力を禁止する請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【請求項10】
前記車両挙動判定手段による判定結果を車両挙動条件判定結果記憶部に記憶・蓄積する車両挙動条件判定結果記憶手段と、
前記推定通過経路への進入前の所定タイミングで、前記車両挙動条件判定結果記憶部に記憶・蓄積された過去の判定結果に基づいて、当該推定通過経路に対応する前記車両挙動条件が満たされなかった確率を算出し、その確率が所定率を上回ったか否かを判定する車両挙動条件満足率判定手段と、
当該確率が所定率を上回ったと判定されるに伴い、予め定められた事前通知出力部に、該推定通過経路の通過時に満たすべき車両挙動条件の運転者への事前通知出力を実行させる事前通知出力制御手段と、
を備える請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の車両用警告システム。
【請求項11】
前記自車両の状況を示す情報のうち予め定められたものを車両状況特定情報として取得する車両状況情報取得手段と、取得した前記車両状況特定情報に基づいて現在の車両状況を特定する車両状況特定手段と、を備え、
前記車両挙動条件判定結果記憶手段は、前記車両挙動判定手段による判定結果を得た場合に、前記車両状況情報取得手段が取得する車両状況特定情報に基づいて該判定結果取得時の車両状況を特定し、特定された車両状況を対応付けた形で前記判定結果を前記車両挙動条件判定結果記憶部に記憶するものであり、
前記車両挙動条件満足率判定手段は、前記推定通過経路への進入前の所定タイミングとなった場合に、前記車両挙動条件判定結果記憶部に記憶・蓄積された過去の判定結果のうち、当該タイミングにおいて前記車両状況特定手段により特定された車両状況が対応付けられた判定結果に基づいて、当該推定通過経路に対応する前記車両挙動条件が当該車両状況において満たされなかった確率を算出し、その確率が所定率を上回ったか否かを判定するものであり、
前記事前通知出力制御手段は、当該確率が所定率を上回ったと判定されるに伴い、前記事前通知出力部に、該推定通過経路の通過時に満たすべき車両挙動条件を運転者に対し事前に通知出力させるものである請求項10に記載の車両用警告システム。
【請求項12】
前記事前通知出力制御手段に設定される事前通知出力モードを、前記事前通知出力を実行する事前通知実行モードと、前記事前通知出力を禁止する事前通知禁止モードとの間で切り替えるための、ユーザーによる予め定められた事前通知出力モード切替操作を受け付ける事前通知出力モード切替操作受付手段と、
前記事前通知出力モード切替操作に基づいて前記事前通知出力モードを設定する事前通知出力モード設定手段と、
を備え、前記事前通知出力制御手段は、前記事前通知実行モードの設定時には前記事前通知出力を許可し、前記事前通知禁止モードの設定時には前記事前通知出力を禁止する請求項10又は請求項11に記載の車両用警告システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−84088(P2013−84088A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222735(P2011−222735)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】