説明

車両用警報装置

【課題】 前方視野を確保し、すっきりとし、車室内は元々の車両の統一感をかもしだすことができる車両用警報装置を提供すること
【解決手段】 筐体4内に、各種の電波を受信する受信器を内蔵し、警報を報知するスピーカ13を筐体の下面に配置する。また、電源スイッチ11,ランプ12も下面に配置することで、操作性が向上する。筐体は、車両のルームミラー30の背面に、面ファスナーを用いて固定する。運転席から見ると、車両用警報装置1はルームミラーによって隠されるので、邪魔にならず、見た目もすっきりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用警報装置に関するもので、より具体的には、ルームミラーに装着するタイプに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に装備する車載機器は、工場出荷時等に予めダッシュパネルの該当部位に組み付けしておくものもあるが、オプション装備のためのアフターマーケット商品の場合はダッシュパネルに組み付け部位を確保できないことがほとんどである。そのようなアフターマーケット商品の車載機器の一つに、車両速度測定装置から送出されるマイクロ波を検知したり、車両速度測定装置の位置情報を記憶保持しておき、GPSにより検出した自車の位置から自車が車両速度測定装置に接近した場合に、車両速度測定装置に接近していることを知らせる車両用警報装置が知られている。これらの車両用警報装置は、車両速度測定装置の位置への接近をドライバーに知らせることで、ドライバーが知らず知らずのうちに速度を出しすぎてしまうのを予防することに貢献している。特に、車両速度測定装置は、一般的に速度を超過しやすい場所等に設置されていることが多いため、危険性のある場所で、ドライバーに対して速度超過への注意を喚起することができる。
【0003】
そのような車載機器の多くは、運転者が操作する都合から特許文献1等に開示される車載支持具を用いてダッシュボード上に固定する配置を採ることが多い。また、自動車の車内前方(フロントガラスの上部中央付近)に設置されるルームミラー(バックミラーとも称される)に取り付けるミラータイプもある。ミラータイプの車両用警報装置は、前面側にはそのほぼ全域にミラー部を配置するとともに、そのミラー部の一部の領域に警報等を報知するための表示部を配置し、背面側には固定用クランプを設けた構成をとる。固定用クランプは、ケースの上辺側にバネ等により下側に付勢される移動爪部を有するとともに、底辺側に固定爪部を有する。そして、このミラータイプの車両用警報装置を車両に標準装備の純正ルームミラーに取り付けるには、その純正ルームミラーのミラー部が配置された前面側からセットし、当該ミラー部を覆うとともに上下に配置した移動爪部と固定爪部にて純正ルームミラーの上下面を挟み込んで固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−166756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の各種の車両用警報装置は、以下に示す課題を有している。すなわち、いずれのタイプのものも、その全体が露出した状態となり、車室内での存在感が大きくなる。そのため、特に高級車のように室内空間もある方向性を持って統一感がはかられているような場合に、存在感のある車両用警報装置を設置すると、その統一感を損なうといった課題がある。
【0006】
さらに、ミラータイプのものは、ルームミラーのミラー部を覆うように配置することから、例えば、ルームミラーが防眩ミラーの場合、係る防眩機能が発揮できなくなるという課題もある。さらに、ルームミラーの全面を覆うミラータイプの車両用警報装置は、その寸法形状がルームミラーよりも大きく目立つとともに、デザインも実装した車両と統一感が図れるとは限らず、ダッシュボード上に設置するタイプと同様、統一感を損なうという課題も残る。さらに、ミラータイプは、重量も重いことから、走行中の車両の振動を受けてルームミラーを振動させ、ミラーの向きが変わるおそれもあるばかりでなく、クランプにて上下から挟み込む構造であり、適切に取り付けが行われていないと、走行中に落下するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る車両用警報装置は、(1)電波を受信する電波受信手段と、その電波受信手段で受信した電波に基づき、警報を発する警報手段と、それらを収納する筐体とを備え、その筐体は、車両のルームミラーの背面に固定する固定手段を備えた。電波受信手段は、実施形態では、マイクロ波受信器5,無線受信器6並びにGPS受信器7に対応する。このように3つの受信器を全てそろえる必要はなく1または2個でも良いし、さらに別の電波を受信する受信器でも良い。
【0008】
一般的なルームミラーに装着する車両用警報装置と相違し、ルームミラーの背面、つまり、車両の前側(フロントガラスとの間)に配置する。これにより、筐体全体或いはその大部分がルームミラーによって隠れてしまい、目立たなくなり、運転者、同乗者の視界に入らず、美観もよく、すっきりとする。また、運転者の視界に入らないことから運転の妨げにもならない。さらに、高級車等にあっては、フロントガラスのルームミラー周り以外は断熱材があり電波が透過しにくいが、本発明の車両用警報装置は、ルームミラーの背面に取り付けることから、断熱材がない領域に対向・接近するため、高感度で受信できる。さらに、車両用警報装置は、ルームミラーの背面に取り付けることから、ルームミラーのミラー部が覆われず、そのミラー部にて後方を確認することができる。よって、ルームミラーが、防眩機能付きの場合、その防眩機能を発揮することができる。
【0009】
(2)前記固定手段は、前記背面に貼り付ける貼り付け部材とすることができる。貼り付け部材は、例えば、面ファスナーや,両面接着テープなどがある。このように貼り付け部材を用いると、簡単に固定できるとともに、筐体の寸法がルームミラーに比べて小さくても問題なく固定できる。さらに面ファスナーの場合、雄雌双方の面ファスナーのファスナーはそれぞれ所定の高さを有し、当該高さ範囲内で雄雌のファスナーは接着力を有する。したがって、例えば、ルームミラーの背面が曲面で構成される一方、当該車両用警報装置の取り付け面が平面である場合であっても、当該高さ範囲では曲面を吸収し、接着力を有する。また、面ファスナーはクッションの役割を果たし、走行時・アイドリング時等に発生する車両の振動を吸収し、筐体のがたつきを抑えることができる。
【0010】
(3)リモコン受信器を備え、そのリモコン受信器の受光部が、前記筐体の下面と運転席側の側面の少なくとも一方に配置するとよい。もちろん両方に配置するのも妨げない。車両用警報装置がルームミラーの背面に隠れるが、いずれの場合も、リモコンの反応がよくなる。
【0011】
(4)前記筐体の下面に電源スイッチとランプの少なくとも一つを配置するとよい。車両用警報装置の全体がルームミラーの背面側に隠れたとしても、筐体の下面に電源スイッチを配置すると、ルームミラーの下側から手を伸ばすことでスイッチ操作ができ、電源操作がしやすくなる。また、同様に、ランプも下面に配置することで、仮にランプが直接見ることができなくても、ルームミラーの下方に向けて発光することから、発光状態を確認することが容易に行える。さらに、いずれの場合も、左右どちらのハンドルの車でも操作・視認しやすいので好ましい。
【0012】
(5)着脱可能な記録媒体を装着するカードスロットの開口部が、前記筐体の側面或いは下面に配置すると良い。カードスロットを側面(特に運転席側の側面)に設けたり、下面に設けたりると、開口部に対して簡単に手が届き、メモリカードの抜き差し際が簡単に行える。
【0013】
(6)警報を出力するスピーカを備え、そのスピーカから出力される音を外部に放出するための開口部を前記筐体の下面と、運転席側の側面の少なくとも一方に設けるとよい。下面に開口部を設けると、音が下に向けて出力されるので、聴きやすい。また、運転席側に設けると、運転者に向けて警報が発せられるとになるので、助手席の人などに迷惑がかからないという利点も生じる。
【0014】
(7)前記筐体の高さ並びに幅の寸法が、ルームミラーの高さ並びに幅よりも短くするとよい。そのようにすると、奥行きの程度にも因るが、極端に奥行き(前後方向の長さ)がない限り、車両用警報装置をルームミラーの背面に隠すことができる。
【0015】
(8)前記筐体の幅の寸法は、ルームミラーの幅の半分よりも短くするとよい。車両用警報装置は、よりコンパクトとなり、仮に、ルームミラーの背面の片側に偏るように配置しても、小型で軽量となるので、ルームミラーの姿勢が変わることもなく取り付けた状態を維持できる。
【0016】
(9)電源供給用のDCジャックを備え、そのDCジャックにDCプラグを装着した状態からそのDCプラグを引き抜くために必要な力と、本体の重量の関係が、前記固定手段が外れて本体がミラー部から落下した際に前記DCプラグが前記DCジャックから抜けない重量に設定するとよい。このようにすると、仮に車両用警報装置がルームミラーから離脱したとしても、DCプラグから抜け落ちないですむ。従って、DCプラグに続く配線コードを車室内に内壁面に固定しておくことで、ルームミラーから離脱した車両用警報装置がいきなり下まで落下することを抑止できる。
【0017】
(10)前記DCジャックを前記筐体の側面に設けた場合には、前記DCプラグはL字プラグを用い、前記DCジャックを前記筐体の上面に設けた場合には、前記DCプラグはI字プラグを用いるとよい。このようにすると、DCプラグに続く配線コードを上方にスムーズに引き回すことができ、配線を隠すことが容易に行え、見た目もすっきりするので好ましい。
【0018】
(11)電源の給電線を、前記筐体の上面から引き出すようにするとよい。この場合に、給電線は、筐体に直接接続していても良いし、給電線を接続するためのジャックやコネクタ等の接続部を上面に配置しても良い。このように上面に配置することで、給電線(配線コード)をよりスムーズに車両の上面等へ引き回し、配線することができる。
【0019】
(12)前記筐体に、ストラップ取付部を設けるとよい。そのストラップ取付部にストラップの一端を取り付けるとともに、ストラップをルームミラーの支柱に引っかけておくことで、落下を防止することができる。
【0020】
(13)リモコン受信器を備え、そのリモコン受信器の受光部が、前記筐体の前面に配置し、リモコンから出力された光がフロントガラスで反射して前記受光部に受光されるようにするとよい。
【0021】
(14)表示部を備え、その表示部は、前記筐体を前記ルームミラーの背面に取り付けた状態でそのルームミラーの周辺から外側に突出するようにするとよい。表示部による警報をすることで、報知する情報量を増やすことができる。その場合でも、車両用警報装置の大部分はルームミラーによって隠されてすっきりするとともに、ルームミラーのミラー部が隠されることがない。
【0022】
(15)前記表示部の表示画面は、前記筐体の前記ルームミラーへの取り付け面よりも突出するように配置するとよい。このようにすると、表示画面がより運転者側に近づくので見やすくなる。
【0023】
(16)前記筐体は2つのケースから構成され、その2つのケースは、ルームミラーの支柱を挟んで左右両側にそれぞれ取り付けるようにしもてよい。このようにすると、重量バランスよく配置することができる。
【0024】
(17)前記2つのケースは、接続ケーブルで接続され、その接続ケーブルの長さは、前記2つのケースを前記ルームミラーの背面に取り付けた状態で、前記支柱の上側を通すことができる長さとするとよい。そのようにすると、接続ケーブルが支柱に引っかかるので、仮に一方或いは双方のケースがルームミラーの背面から離脱したとしても、すぐに落下するのを防止できる。接続ケーブルは、チューブ・筒などで覆われる構成とすると、強度も増して好ましい。
【0025】
(18)上記の(16),(17)の発明を前提とし、前記2つのケースのうちの一方が表示部を備えるとよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、車両用警報装置はルームミラーの背面側に隠れるので、すっきりとし、車室内は元々の車両の統一感をかもしだすことができる。また、前方の視認性が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る車両用警報装置の好適な一実施形態の外観を示している。
【図2】その正面図である。
【図3】(a)はその側面図であり、(b)はその底面図である。
【図4】その背面図である。
【図5】内部のブロック構成図である。
【図6】取り付け状態を示す斜視図である。
【図7】メモリカードを装着する状態を示す斜視図である。
【図8】(a)は本発明に係る車両用警報装置の好適な一実施形態の外観斜視図であり、(b)はリモコンの平面図である。
【図9】取り付け状態を示す斜視図である。
【図10】取り付け行程を説明する斜視図である。
【図11】本発明に係る車両用警報装置の別の実施形態を示す背面図である。
【図12】本発明に係る車両用警報装置のさらに別の実施形態における取り付け状態を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図4は、本発明に係る車両用警報装置の好適な一実施形態の外観を示しており、図5は、車両用警報装置1の内部の機能ブロックを示し、図6以降は適宜の位置から見た外観図である。
【0029】
本実施形態の車両用警報装置1は、ルームミラーに取り付けられて設置されるもので、偏平で一面が開口した矩形状のケース本体2と、そのケース本体2の開口部を閉塞する蓋部3とにより筐体4が構成される。筐体4は、矩形箱型のシンプルな形状としている。この筐体4内に、各種の入力手段・制御手段・出力手段等が実装される。ケース本体2の前面側(車両前方へ配置される側(車両のフロントガラス側))の片側半面の内部に速度測定装置の発する周波数帯のマイクロ波を検知するマイクロ波受信器5と、各種の無線電波を受信する無線受信器6を配置する。これら各受信器5,6のアンテナは、平面アンテナを用い、蓋部3と平行に配置する。薄型のケース本体2にも効率よく収納できるので好ましい。また、ケース本体2の前面側の各受信器5,6を実装したエリアと反対側の片側半面の内部所定位置には、GPS受信器7を配置している。GPS受信器7を構成するGPSアンテナは、斜め上を向くように傾斜して配置すると良い。例えば、図3(a)に示すようにケース本体2の上面2aが傾斜している場合、その上面2aの内壁に沿うようにGPSアンテナを配置すれば、設置時において斜め上方を向くようにすることができる。もちろん、上面2a(内壁)の傾斜と平行にする必要はなく、傾斜角度は任意にすることができ、さらには、GPSアンテナの寸法形状がケース本体2の上方側の内部空間に比べて小さい場合には、真上を向くように配置してもよい。具体的な図示は省略するが、各受信器はアンテナと受信回路を備えている。そして、各受信器の受信に基づく出力信号は、制御部18に与えられる。
【0030】
また、ケース本体2の一方の側面2bには、DCジャック8と、メモリカードスロット9を配置する。これらを配置する側面2bは、左側面、つまり、車両用警報装置1をルームミラーに装着した際に、運転者側に位置する側面2bとしている。DCジャック8は、内部の電源回路に接続され、電源回路を介して車両用警報装置1内の各部に電源供給をする。そして、このDCジャック8は、電源直結コード21の先端に接続されたDCプラグ22を装着する(図6参照)もので、この電源直結コード21の他端は、車両のバッテリーに接続する。これにより、車両用警報装置1は、そのバッテリーから電力供給を受けることになる。なお、バッテリーへの接続は、エンジンの始動/停止と連動しているアクセサリー(ACC)系の電源直結コードに接続することで行うことができ、また、ヒューズボックスの所定の端子に接続することでも行うことができる。メモリカードスロット9は、当該側面2bの挿入口が開口している。メモリカード10は、その挿入口からメモリカードスロット9に着脱自在に装着できる。メモリカード10は、例えばマイクロSDカードである。
【0031】
そのメモリカードスロット9に装着されたメモリカード10に格納されたデータを内部に取り込むことができる。より具体的には、メモリカード10に格納されたデータは、位置情報に基づく警報を行う新規な目標物の情報(経度・緯度を含む位置情報,種別情報等)などの更新情報があり、その更新情報が制御部18経由で装置に内蔵されるデータベース19に格納(ダウンロード)され、データ更新がされる。もちろん、このようなデータ更新以外にも、機能の追加・バージョンアップのためのプログラムのダウンロードにも用いることができる。
【0032】
そして、係るデータ更新処理であるが、例えば、電源スイッチ11を操作し、車両用警報装置1の電源をOFFにした状態で、メモリカードスロット9に更新データが格納されたメモリカード10を装着しておき(図7参照)、その状態で電源をONにする。これにより、制御部18は、電源投入時の処理として、メモリカード10がメモリカードスロット9に装着されているか否かを確認し、装着されている場合には、自動データ更新処理を実行する。つまり、制御部18は、まずメモリカード10にアクセスし、データ更新用の正規のメモリカードであることを認証し、正規のものであれば格納されたデータを読み出してデータ更新処理を行う。更新が終了したならば、制御部18は、終了を通知する音(音声)をスピーカ13から発する。その後、制御部18は、通常の初期処理を実行し、システムを立ち上げる。また、装着されたメモリカードが、異なる機種用のデータが格納されたメモリカードや、本機種用であってもバージョンが同じあるいは古い場合には、エラー終了し、データを取り込むことなく通常の初期処理を実行しシステムを立ち上げる。特に、表示部がない本実施形態の車両用警報装置1では、電源投入後にメモリカードを装着したとしても、リモコン操作により適切にデータ更新処理を行うのが煩雑であるが、予め所望のメモリカードを装着した状態で電源投入することにより自動的にデータ更新が行えるので便利である。
【0033】
データベース19は、制御部18のマイコン内あるいはマイコンに外付けした不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)である。データベース19には、出荷時に一定の目標物に関する情報を登録しており、その後に追加された目標物についてのデータ等を上記のようにしてデータ更新することができる。
【0034】
ケース本体2の下面2c側には、電源スイッチ11と、ランプ12と、スピーカ13と、リモコン受信器16の赤外線受光部16aを設けている。電源スイッチ11は、左右方向に移動するスライドスイッチであり、ONにすることで電源が入る。ランプ12は、電源のON/OFFや、GPS受信等の装置の状態を示すもので、具体的には、電源がOFFのときはランプ12は消灯し、電源がONになるとランプ12が点灯する。また、ランプ12は、電源ONがされた後は、GPS受信器7によるサーチ中と、GPSに基づく警報中に点滅する。また、サーチ中の点滅パターンと警報中の点滅パターンとは、同じでも良いし異ならせても良い。異ならせる場合には、警報中の方が短いサイクルで点滅させ、注意を引くようにすると良い。また、GPSに基づく警報以外にも、マイクロ波受信器5及びまたは無線受信器6に基づく警報の場合にもランプ12を適宜のパターンで点滅させても良い。さらには、異なる色のLED等を用意し、発色を変えても良い。
【0035】
スピーカ13は、小型高音質スピーカを用いている。すなわち、車両用警報装置1の小型軽量化をはかるために、小型なスピーカを用いている。さらに、表示部を備えていないため、警報・案内の報知は音声が主な報知手段となる。従って、高音質な音声で報知することで、聴きやすくする。また、制御部18が生成して出力する合成音声も、高音質音声合成ICを用いている。
【0036】
リモコン受信器16は、赤外線によりリモコン(携帯機:子機)17とデータ通信をし、装置に対する各種の設定を行なう。リモコン17は、図8に示すように、偏平な矩形状の形態をなし、前面の中央に赤外線発光部17aを設け、後面側に電池ホルダー17bが設けられる。また、リモコン17の上面には、前方側の左右に、ファンクションボタン17cとテスト&ミュートボタン17dを配置する。またリモコン17の上面中央には十字状になるように、前後にアップボタン17e,ダウンボタン17fを、左右にキャンセルボタン17g,エリアボタン17hを配置する。さらに、リモコン17の上面後方側にはモードボタン17iを配置する。各ボタンが押された場合、リモコン17からは、その押されたボタンを特定するコードが送信される。そのコードは、車両用警報装置1のリモコン受信器16を介して制御部18に与えられ、制御部18は、そのコードに応じた設定を行う。
【0037】
設定の一例としては、以下の通りである。アップボタン17eは、音量を上げたり、設定する機能を選択したりする際に使用し、ダウンボタン17fは、音量を下げたり、設定する機能を選択したりする際に使用する。設定する機能は、各種の受信器5,6,7で受信した信号に基づいて警報を発する種類を個々に選択するものがある。それらの警報の種類は、予め決められた順番で並んでおり、制御部18は、アップボタン17e/ダウンボタン17fが1回押されたこと認識する都度、設定対象となる警報の種類等の選択項目を切り替える。そして、本実施形態では、表示部がないので、切り替える都度、制御部18は、選択対象となった警報の種類等の選択項目(Nシステム,事故多発エリア,無線,…)を、スピーカ13を用いて音声で報知する。そして、その状態でファンクションボタン17cが押されたことを制御部18が認識すると、制御部18は、設定モードに移行する。この設定モードに移行後に、モードボタン17iが押されたことを制御部18が認識すると、制御部18は、現在のモード(警報するか否か)を切り替える。つまり、現在が「ON」であれば「OFF」にし、「OFF」であれば「ON」にする。そして、係るモードの切り替えとともに、制御部18は、切り替え後のモードを音声で報知する。例えば、『○○ ONです』/『○○ OFFです』(○○は警報の種類等の選択項目)のように知らせる。この状態で再度モードボタン17iが押されれば、再度モードが切り帰り、元の状態に戻る。
【0038】
また、アップボタン17e/ダウンボタン17fが押されて選択項目が切り替わる都度、あるいは、ファンクションボタン17cが押されて設定モードに移行した際に、制御部18は、設定対象となった警報の現在のモードを音声で報知するとよい。そのようすれば、ユーザは、現在の状態を確認し、それで良ければ、アップボタン17e/ダウンボタン17fを1回押して次の選択項目に移行することができ、モードボタン17iを押すなどの無駄な処理が省略できる。
【0039】
また、それらのボタン17e,17fを短い時間だけ押す短押しの場合には、上記のように選択項目の切り替えを行い、一定時間(例えば数秒)以上押し続ける長押しの場合には、音量変更を行うようにすることができる。もちろん、選択項目と音量変更との切り替えの変更は、上記の短押しと長押しの相違により行うものに限られることはなく、例えば、電源投入後の一定時間を音量調整期間とし、その間にアップボタン17e/ダウンボタン17fが押されると、1回押されるごとに音量を1レベルアップ/ダウンし、その音量調整期間が終了後の通常の動作時では、設定対象の切り替え用のボタンとして機能するようにしても良い。
【0040】
テスト&ミュートボタン17dが押下されたことを認識した制御部18は、警報音を出力したり、ミュート機能を起動したりする。いずれの処理を実行するかは、例えばテスト&ミュートボタン17dの押し操作の仕方を変えることでおこなうことができる。
【0041】
キャンセルボタン17gやエリアボタン17hは、GPS受信器7で検出した現在位置情報に基づく警報のオプションとして用いるもので、制御部18は、キャンセルボタン17gが押されたことを認識すると、そのときの位置情報をGPS受信器7から取得し、現在位置を基準として所定の範囲を、キャンセル領域とし、それ以後、マイクロ波受信器5にて所定周波数のマイクロ波を受信しても当該マイクロ波の受信に基づく警報は発しないように制御する。また、これとは逆にエリアボタン17hが押されたことを制御部18が認識すると、制御部18はそのときの位置情報をGPS受信器7から取得し、警報地点として登録する。そして、それ以降、制御部18は、当該警報地点に近づくと、警報を発する。
【0042】
さらに本実施形態では、ケース本体2内に内蔵するスピーカ13における音が出る開口部をケース本体2の下面2cに配置したことで、スピーカ13から発せられた音(音声)は、車両用警報装置1の下方に向けて出力される。従って、純正のルームミラー30の裏面(背面)側に装着された車両用警報装置1から、下方に向けて音が出力されるので、運転者側に音が進み、聴きやすくなる。なお、開口部の位置は、本実施形態のように下面2cにするのではなく、運転席側の側面2bとしても良い。このようにすると、より直接運転者に向けて音が出力されるので、助手席の人などに迷惑がかからない。
【0043】
一方、筐体4の後面、つまり、蓋部3の表面には、そのほぼ全面が矩形状の面ファスナー取り付け領域3aとなる。この面ファスナー取り付け領域3aは、上下方向・左右方向ともに中央に設定される。この面ファスナー取り付け領域3aは、周辺の領域よりも一段低くなり(奥まっている)、雄あるいは雌の一方の面ファスナーを貼り付ける際の位置決めが容易に行え、その面ファスナーを適切な位置に装着できる。なお、位置決めのためには、このように一段低くするのでなく、当該領域3aを仕切る外枠部分に突条を設ける(面ファスナー取り付け領域3aと周辺の領域は面一)ようにしてもよい。もちろん、そのように段差等を設けることなく、単に線を印刷等しておき、面ファスナーを貼り付ける際の目安としておいてもよい。
【0044】
さらに、筐体4の後面の上方には、ストラップ取り付け孔4aを設けている。このストラップ取り付け孔4aは、図7に示すように、筐体4の蓋部3側表面と筐体4の上面の所定位置に開口する連通孔となり、ストラップを取り付けるための梁部4bが設けられる。このストラップ取り付け孔4aに市販のストラップ26を挿入し、そのストラップ26の端部26aを梁部4bに取り付けるとともに、ストラップ26の先端をルームミラー30にかけると、車両用警報装置1の落下防止補助として利用できるので好ましい。なお、図7では、蓋部3を比較的厚く描画しており、ストラップ取り付け孔4aの両端がともに蓋部3の表面と上面に開口しているようになっているが、必ずしも係る構成を取る必要はなく、ケース本体2の上面2aと蓋部3の表面にそれぞれ開口するようにしてもよい。
【0045】
また、制御部18は、CPU,ROM,RAM,不揮発性メモリ、I/O等を備えるマイコンであり、上記の各種の入力機器(マイクロ波受信器5、無線受信器6、GPS受信器7、リモコン受信器16、メモリカードスロット9)から入力される情報に基づき所定の処理を実行し、出力機器(ランプ12,スピーカ13)を利用して所定の警報・メッセージを出力する。本実施形態の車両用警報装置1における機能は、制御部18に有するコンピュータが実行するプログラムとして制御部18のEEPROM上に格納され、これを制御部18に有するコンピュータが実行することで実現される。
【0046】
そして本実施形態の車両用警報装置1は、従来のミラータイプの車両用警報装置と相違し、表面にミラー部も備えておらず警報内容をテキスト・イメージで出力するための表示画面も備えていない。そして、警報等の報知は、内蔵する小型のスピーカを用いて音声で行うようにしている。これに伴い、車両用警報装置1の筐体を小型化することができる。一例としては、高さHが50mmで、幅Wが90mmとすることができる。
【0047】
係る車両用警報装置1を実際に車室内に実装する場合、図10に示すように、蓋部3の表面に設定された面ファスナー取り付け領域3aに、雄雌の一方の面ファスナー25aを貼り付け(同図(a)参照)、その面ファスナー25aと対となる他方の面ファスナー25bをルームミラー30の背面側(ミラー部と反対側,車両の前方側)の所定位置に貼り付ける(同図(b)参照)。このとき、赤外線受光部16aがルームミラー30で受光不能になるほどは隠れないような位置に面ファスナー25bを貼り付ける。
【0048】
そして、同図(c)に示すように、雄雌の両面ファスナー25a,25b同士にずれがないように接合することで、車両用警報装置1を純正のルームミラー30の背面に固定する。このとき、車両用警報装置1は、電源スイッチ11等が下に位置するように取り付ける。
【0049】
本実施形態では、面ファスナーを用いて車両用警報装置1をルームミラー30の背面に取り付けたため、以下のような作用効果を発揮する。すなわち、雄雌双方の面ファスナー25a,25bはそれぞれ所定の高さを有し、当該高さ範囲内で雄雌のファスナーは接着力を有する。したがって、本実施形態の車両用警報装置1の面ファスナー取り付け領域3aは平面であるが、取り付けるルームミラー30の背面が曲面で構成されていたとしても、当該高さ範囲では曲面を吸収し、接着力を有する。また、面ファスナーはクッションの役割を果たし、走行時・アイドリング時等に発生する車両の振動を吸収し、筐体のがたつきを抑えることができる。もちろん、より好ましくは、取り付け面となるルームミラーの背面も平坦な部位を選定することである。
【0050】
この図から明らかなように、本実施形態の車両用警報装置1は、比較的小型であり、高さHは、標準装備のルームミラー30の高さよりも低く、幅Wは標準装備のルームミラーの半分よりもさらに短くしている。よって、車両用警報装置1をルームミラー30に固定した状態では、その車両用警報装置1は、ルームミラー30の裏に完全に隠れてしまう。よって、運転者の視界を妨げないので、安全性が高いとともに、運転者、同乗者の視界に入らずに、車室内もすっきりとし、元々の車両が備えている統一感がとれた内装環境を維持できる。
【0051】
また、車両用警報装置1の幅Wをルームミラー30の幅の半分以下にしていることから、図示するように、ルームミラー30の片側半分の領域に取り付けている。この取り付ける側は、運転席側とすると、運転者にとって操作性が良いので好ましい。そして、本実施形態の車両用警報装置1は、小型・軽量であるので、このように片側に偏らせた状態で配置しても、ルームミラー30が傾くことがない。
【0052】
さらに、赤外線受光部16aをケース本体2の下面2aに設けたので、車両用警報装置1がルームミラー30の背面に隠れたとしても、リモコンの反応がよい。なお、赤外線受光部16aの位置は、本実施形態のように下面2cにするのではなく、運転席側の側面2bとしても良い。このようにすると、より運転者がリモコン操作をした場合に、より確実に通信できる。
【0053】
同様に、ランプ13をケース本体2aの下面に設けたので、見やすい。すなわち、仮に、車両用警報装置1が、ルームミラー30の背面側に隠れていてランプ13を直接視認することができないとしても、ランプ13は下方に向けて発光するため、点灯の有無や点滅状態を確認することはできる。また、ランプ13の視認性の点から言うと、ケース本体2の下面2cと、ルームミラー30の下端をほぼ一致させるか、車両用警報装置1の方が下方に若干突出するように取り付けるようにしてもよい。
【0054】
さらに、電源スイッチ11も下面2cに配置したので、電源の操作がしやすい。特に、左ハンドル/右ハンドルのいずれの車両に装着した場合でも、操作性は関係なく確保できる。このように、左右どちらのハンドルの車両でも操作性が良いことは、電源スイッチ11に関係なく、リモコン受信器16の赤外線受光部16aとリモコン17との間のデータ通信でも同様(反応がよい)のことがいえ、さらに、ランプ13に対する視認性でも同様である。
【0055】
本実施形態の車両用警報装置1は、メモリカードスロット9を右ハンドル車にとっての運転席側の側面2bに配置したので、当該右ハンドル車に取り付けた場合、運転者にとってメモリカードスロット9へのメモリカード10の抜き差しがしやすくなる。もちろん、メモリカードスロット9へのメモリカード10の着脱は、運転中に行うことはないので、左ハンドル車に装着した場合でもさほど問題はない。また、左ハンドル車態様として、本実施形態の車両用警報装置1とは反対側の側面にメモリカードスロット9を配置しても良い。さらにまた、メモリカードスロット9も下面2cに開口するように配置すれば、左右どちらのハンドルの車両でも同様の良好な操作性を得ることができる。そして、開口部が下を向いていたとしても、この種のメモリカードスロットは、ロック機構があり、メモリカードを奥まで押し込むとその状態で保持し、そのように保持した状態からメモリカード10を再度奥に押し込むことでロックが解除される機構を採っているので、メモリカード10の不用意な落下などの問題は生じない。
【0056】
また、本実施形態では、車両用警報装置1をルームミラー30の背面側に取り付けるとともに、前面側にマイクロ波・無線・GPSの各受信器5,6,7のアンテナを配置したことにより、それら各アンテナは、フロントガラスに対向する。しかも、そのフロントガラスまでの距離は近いとともに、アンテナとフロントガラスとの間に他の障害物が挿入位置することもない。そのため、前方あるいは上方(斜め上)から車両に向かって来る各種の電波に対し、高感度受信ができる。特に、高級車等に採用される断熱線入りフロントガラスでは、電波が通りにくく、受信器の受信感度が低下する問題があるが、この種の断熱線入りのフロントガラスでもルームミラー周辺の領域には断熱線が設けられていないので、当該各アンテナは、係る断熱線が設けられていない部分に対向することになり、受信感度は低下しない。
【0057】
さらに、ルームミラーには、防眩ミラーと称されるものがある。これらの防眩ミラーは、夜間走行時に、運転者がルームミラーを見て後方確認をしようとした際に、後続車のヘッドライトの光がルームミラーに反射し、運転者の目に入り眩惑してしまうのを防止し、しっかりと後方視界を確保する機能を持つ。例えば、レバー32を操作してミラーの傾きを変えることで反射率の異なる表面で反射させるようにした機械的なものや、鏡面にエレクトロクロミック素子と呼ばれるものを用い、電子制御で反射率を変化可能としたものなど様々なタイプがある。一方、従来のミラータイプの車両用警報装置(レーダー探知機)は、その警報装置自体にミラー部を設け、標準装備のルームミラーのミラー部側に装着するようにしている。よって、防眩ミラー態様のルームミラーであっても、そのミラー部は車両用警報装置で覆われてしまい、後方確認は、ミラータイプの車両用警報装置が備えるミラー部を用いて行う。そして、通常、ミラータイプの車両用警報装置は、防眩ミラー機能は備えていない。そのため、車両の防眩ミラーが持つ防眩機能を利用できないというデメリットがある。しかし、本実施形態では、標準装備のルームミラーのミラー部は覆わず、後方確認は、当該ルーミラーのミラー部を利用して行うので、そのルームミラーが防眩機能を備えている場合には、その機能を妨げることなく使用できる。同様に、車両のミラーが防眩機能以外の所定の機能(例えばバックモニター機能など)を有する場合であっても、車両のミラーが本来有するその機能を妨げることなく利用することができる。
【0058】
さらに本実施形態では、車両用警報装置1をルームミラー30に貼り付けて固定することから、剥がれて離脱するおそれがある。そこで、落下防止機構として以下のようにしている。
【0059】
まず、DCジャック9から電源直結コード21(DCプラグ22)を引き抜く力と、車両用警報装置1の本体重量の関係を、本体がルームミラーから落下した際にDCジャック9から抜けない重量としている。具体的には、約80グラムとしている。通常のDCジャックとDCプラグを用いる場合、200グラム以下が望ましく、100グラム以下とすると特によい。すなわち、電源直結コード21は、車室内に垂れ下がるのを防止するため、コードクリップに挟むとともにそのコードクリップを両面接着テープを用いて車両の室内の所定位置に貼り付け、各ステーの内面に沿って這わすように固定する。この場合に、仮に面ファスナー25a,25bが剥がれたり、面ファスナー25a,25bを接着している両面テープ等が剥がれたりして車両用警報装置1がルームミラー30から離反して、落下しようとするが、DCジャック9にDCプラグ22が装着された状態のまま保持されるので、車両用警報装置1は電源直結コード21にぶら下がった状態になる。従って、車両用警報装置1の落下が防止される。
【0060】
また、電源直結コード21は、車室内の天井付近を這わすのが好ましい。そのため、本実施形態のように、側面3aにDCジャック9を設ける場合、DCプラグ22はL字プラグを用いると良い。このようにすると、電源直結コード21を筐体4の上方側に導きやすく、配線取り回しが行いやすく、見た目がすっきりとする。同様の理由から、DCジャック9を上面2aに配置した場合には、DCプラグ22はI字プラグを用いると良い。
【0061】
また、別の落下防止機構としては、ストラップ取り付け孔4aに市販のストラップ26を挿入し、そのストラップ26の端部26aを梁部4bに取り付けるとともに、ストラップ26の先端をルームミラー30の支柱31等に引っかける(図9参照)。これにより、仮にDCジャック9からDCプラグ22が外れたり、電源直結コード21が、コードクリップから離脱したりコードクリップ自体が剥がれたりしても、ストップ26によりルームミラー30にしっかりと車両用警報装置1が吊り下がるので落下防止できる。
【0062】
さらに、本実施形態では、ストラップ取り付け用孔部を設け、ユーザが別途ストラップを取り付けるようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、ストラップのような無端の紐状物からなる落下防止用部材をネジ止めその他により取り付けておき、その落下防止用部材を支柱31に引っかけるようにしても良い。
【0063】
なお、本実施形態の車両用警報装置1では、面ファスナー取り付け領域3aは、蓋部3の上下方向の中央部に設定し、面ファスナー25aを本体上下方向の中央部に貼り付けるようにしたが、例えば図11に示すように、上の方に貼るようにしてもよい。すなわち、ルームミラー30は運転者の方を向けるため若干下側が前方になり上側が後方になるように傾けることが多い。そこで、上側に面して面ファスナーの取り付け部を設けることで、上側の面ファスナーのある部分と下側の面ファスナーのない部分が自重でルームミラーの背面にフィットするので好ましい。また、いずれの場合も、貼り付け部材は、面ファスナーに限ることはなく、両面接着テープでも良い。
【0064】
上述した実施形態並びに変形例は、1つの筐体を用いて実現したが、複数のケース(筐体)を用いて構成することもできる。例えば、図12に示すように、第1ケース40と第2ケース41の2個のケースを用いる。そして、第1ケース40と第2ケース41は、ルームミラー30に対して支柱31を挟んで両側に配置する。取り付けは、上記同様に面ファスナー等の貼り付け部材を利用できる。このようにすると、重量バランスがとれ、走行中のミラーの傾き破れ・振動を防止できる。
【0065】
さらに、両ケース41,40に内蔵された回路・部品は、データの通信や電力供給をするために、両ケース40,41間で接続ケーブル42を配線している。そして、接続ケーブル42をルームミラー30の支柱31の上を通すようにするとよい。係る構成にすると、仮にケース40,41の一方あるいは双方がルームミラー30から剥がれ落ちたとしても、すぐに落下することが防止できる。なお、この例では、接続ケーブル42を落下防止機構として兼用したが、係る落下防止のために両者を連結する紐等を取り付けても良い。
【0066】
また、赤外線受光部16a′の設置位置をケース本体2の前面側にすることもできる。この場合に、リモコン17から送信された赤外線は、フロントガラスで反射して受光させるようになる。
【0067】
さらに、上述した各実施形態並びに変形例では、表示部を設けていないが、表示部を設けることを妨げない。その場合に、車両用警報装置1はルームミラー30の背面に貼り付けて固定しているので、表示部は、ルームミラー30上方あるいは下方にはみ出すようにする。さらに、より好ましくは、表示部は、ルームミラー30のミラー面側に突き出した構造を取ると良い。このようにすると、運転者等の見る人の側に近づくので、より見やすくなる。また、上記の第1ケースと第2ケースのように複数のケースで分けて構成した場合に、第1ケースには、表示部以外の基本機能を組み込み第2ケースに表示部を組み込むようにすることもできる。そして、第2ケースを第1ケースの上面あるいは下面に位置するように配置する。そして、第2ケースは、センサあるいはスイッチにより上側と下側のいずれに位置しているか(自己の上下の向き)を認識する機能を持ち、その向きに応じて表示を天地反転できるようにすると好ましい。そのように、第2ケースに表示部の機能を組み込んだ場合、第1ケースと第2ケースを着脱可能にし、第1ケースのみを取り付けた場合には、上述した基本の実施形態と同様に表示部内の車両用警報装置として機能し、第2ケースを第1ケースに接続した場合には標示物機の車両用警報装置として機能することができる。
【0068】
またルームミラー内に表示装置を有する車両については、その表示装置への映像信号線に本車両用警報装置の映像出力を接続するようにしてもよい。このようにすれば、新たに表示装置を設置することなく、車両に有するミラー内の表示装置を利用して警報を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用警報装置
2 ケース本体
3 蓋部
4 筐体
5 マイクロ波受信器
6 無線受信器
7 GPS受信器
8 DCジャック
9 メモリカードスロット
10 メモリカード
11 電源スイッチ
12 ランプ
13 スピーカ
16 リモコン受信器
16a 赤外線受信部
17 リモコン
25a,25b 面ファスナー
30 ルームミラー
31 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波を受信する電波受信手段と、
その電波受信手段で受信した電波に基づき、警報を発する警報手段と、
それらを収納する筐体とを備え、
その筐体は、車両のルームミラーの背面に固定する固定手段を備えたことを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
前記固定手段は、前記背面に貼り付ける貼り付け部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両用警報装置。
【請求項3】
リモコン受信器を備え、そのリモコン受信器の受光部が、前記筐体の下面と運転席側の側面の少なくとも一方に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記筐体の下面に電源スイッチとランプの少なくとも一つを配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項5】
着脱可能な記録媒体を装着するカードスロットの開口部が、前記筐体の側面或いは下面に配置したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項6】
警報を出力するスピーカを備え、そのスピーカから出力される音を外部に放出するための開口部を前記筐体の下面と、運転席側の側面の少なくとも一方に設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項7】
前記筐体の高さ並びに幅の寸法が、ルームミラーの高さ並びに幅よりも短くしたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項8】
前記筐体の幅の寸法は、ルームミラーの幅の半分よりも短くしたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項9】
電源供給用のDCジャックを備え、
そのDCジャックにDCプラグを装着した状態からそのDCプラグを引き抜くために必要な力と、本体の重量の関係が、前記固定手段が外れて本体がミラー部から落下した際に前記DCプラグが前記DCジャックから抜けない重量に設定したことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項10】
前記DCジャックを前記筐体の側面に設けた場合には、前記DCプラグはL字プラグを用い、前記DCジャックを前記筐体の上面に設けた場合には、前記DCプラグはI字プラグを用いることを特徴とする請求項9に記載の車両用警報装置。
【請求項11】
電源の給電線を、前記筐体の上面から引き出すようにしたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項12】
前記筐体に、ストラップ取付部を設けたことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項13】
リモコン受信器を備え、そのリモコン受信器の受光部が、前記筐体の前面に配置し、リモコンから出力された光がフロントガラスで反射して前記受光部に受光されるようにしたことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項14】
表示部を備え、
その表示部は、前記筐体を前記ルームミラーの背面に取り付けた状態でそのルームミラーの周辺から外側に突出するようにしたことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項15】
前記表示部の表示画面は、前記筐体の前記ルームミラーへの取り付け面よりも突出するように配置したことを特徴とする請求項14に記載の車両用警報装置。
【請求項16】
前記筐体は2つのケースから構成され、
その2つのケースは、ルームミラーの支柱を挟んで左右両側にそれぞれ取り付けることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の車両用警報装置。
【請求項17】
前記2つのケースは、接続ケーブルで接続され、
その接続ケーブルの長さは、前記2つのケースを前記ルームミラーの背面に取り付けた状態で、前記支柱の上側を通すことができる長さとしたことを特徴とする請求項16に記載の車両用警報装置。
【請求項18】
前記2つのケースのうちの一方が表示部を備えていることを特徴とする請求項16または17に記載の車両用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−168193(P2011−168193A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34587(P2010−34587)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【出願人】(508320239)株式会社YPK (6)
【Fターム(参考)】