説明

車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラム

【課題】白線パターンの検出結果に基づいて車両の走行する道路の道路種別を正確な判定結果へと修正することを可能とした車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両の現在位置と地図情報に基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定するとともに、該判定により車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態においては、更にバックカメラを用いて車両の走行する道路に描かれた白線パターンを検出し(S12)、検出した白線パターンと白線パターン識別情報とに基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定し(S12〜S20)、該判定により車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合には、車両の走行する道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する(S21)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行する道路の道路種別を判定する車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置では、GPS受信機などにより車両の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図情報をDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得し、車両周辺の地図画像を液晶モニタに表示することが行われている。更に、現在、車両が表示された地図画像上のいずれの道路を走行しているかを案内することも行われている。ここで、車両の現在位置と地図情報に基づいて車両が現在走行する道路を特定する際には、車両の現在走行する道路を正確に特定できない場合があった。
【0003】
即ち、高速道路と一般道路とが高架等により上下に重なったり、平行に配置されている区域を車両が走行している状態においては、ナビゲーション装置は車両がどちらの道路を走行しているのかを的確に判別できない。その結果、ナビゲーション装置は車両が現在走行する道路を実際に走行している道路とは異なった道路であると判定し、案内してしまう場合がある。そこで、特開2001−289651号公報には、車両の走行する道路の路面を撮像するカメラを有し、車両の走行する道路の車線境界線の白線間隔をカメラで撮像した画像から検出し、検出した白線間隔の長さに基づいて車両の現在走行する道路が高速道路か高速道路以外の一般道路かを判定するナビゲーション装置について記載されている。
【特許文献1】特開2001−289651号公報(第5頁、第6頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、白線間隔の検出結果のみに基づいて道路種別を判定しているので、判定結果が誤った結果となる場合があった。以下にその理由について一例を挙げて説明する。ここで、図6は道路種別毎に規定された白線間隔を示した図である。図6に示すように、高速道路では、白線長さは8mで白線間のブランクの長さは12mに規定されており、白線間隔は20mとなる。一方、高速道路以外の道路(例えば一般道路)では、白線長さは6mで白線間のブランクの長さは9mに規定されている場合があり、その場合、白線間隔は15mとなる。
【0005】
特許文献1に記載されたナビゲーション装置では、ペイントの劣化等によって白線の長さが実際より短くなっていたり、白線が検出できない状態にあると、本来の白線間隔よりも白線間隔が短く検出されてしまう場合があった。例えば、図7に示すように車両101が、白線102〜104が車線境界線として描かれた高速道路を走行する場合において、白線102のペイントの一部が劣化してカメラで検出できない状態にある場合には、実際の白線間隔は20mであるにもかかわらず15mと誤って検出されてしまう結果となる。その結果、実際には車両が高速道路を走行しているにもかかわらず高速道路以外の道路を走行していると誤った判定が行われる可能性がある。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、車両が高速道路を走行しているにもかかわらず高速道路以外の道路を走行していると誤った判定が行われる可能性を無くす一方で、白線パターンの検出結果に基づいて車両の走行する道路の道路種別を正確な判定結果へと修正することを可能とした車両用走行案内装置、車両用走行案内方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両用走行案内装置(1)は、地図情報と道路動種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為の白線パターン識別情報とが記憶された記憶手段(12)と、車両の現在位置と地図情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定手段(13)と、道路に描かれた車線境界線(54)の白線パターンを検出する白線パターン検出手段(13)と、前記白線パターン検出手段によって検出された白線パターンと前記白線パターン識別情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定手段(13)と、前記第1道路種別判定手段により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態で、前記第2道路種別判定手段により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合に、前記第1道路種別判定手段により判定されている前記車両の走行する道路の道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する道路種別修正手段(13)と、を有することを特徴とする。
尚、「白線パターン」としては、白線の長さ、白線間にあるブランクの長さ、白線と該白線に隣接するブランクの長さの合計等がある。
【0008】
また、請求項2に係る車両用走行案内装置(1)は、請求項1に記載の車両用走行案内装置であって、前記道路種別修正手段(13)は、前記白線パターン検出手段によって所定距離以上の車線境界線(54)の白線パターンを検出する間、前記第2道路種別判定手段(13)によって継続して道路種別が高速道路と判定された場合に道路種別を修正することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る車両用走行案内装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の車両用走行案内装置であって、前記車両の車速を検出する車速検出手段(13)を有し、前記第2道路種別判定手段(13)は、前記車両の車速が所定速度以上である場合に前記車両の走行する道路の道路種別を判定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る車両用走行案内方法は、車両の現在位置と記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定ステップと、道路に描かれた車線境界線(54)の白線パターンを検出する白線パターン検出ステップと、前記白線パターン検出ステップによって検出された白線パターンと前記記憶手段に記憶された道路動種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為の白線パターン識別情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定ステップと、前記第1道路種別判定ステップにより前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態で、前記第2道路種別判定ステップにより前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合に、前記第1道路種別判定ステップにより判定されている前記車両の走行する道路の道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する道路種別修正ステップと、を有することを特徴とする。
【0011】
更に、請求項5に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両の現在位置と記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定機能と、道路に描かれた車線境界線(54)の白線パターンを検出する白線パターン検出機能と、前記白線パターン検出機能によって検出された白線パターンと前記記憶手段に記憶された道路動種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為の白線パターン識別情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定機能と、前記第1道路種別判定機能により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態で、前記第2道路種別判定機能により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合に、前記第1道路種別判定機能により判定されている前記車両の走行する道路の道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する道路種別修正機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
前記構成を有する請求項1に記載の車両用走行案内装置では、車両が高速道路を走行しているにもかかわらず高速道路以外の道路を走行していると誤った判定が行われる可能性を無くす一方で、白線パターンの検出結果に基づいて車両の走行する道路の道路種別を正確な判定結果へと修正することが可能となる。従って、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、請求項2に記載の車両用走行案内装置では、白線パターンの検出結果に基づく第2道路種別判定手段において連続して同一の道路種別判定結果が得られた場合に、第1道路種別判定手段による判定結果を修正することとしているので、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載の車両用走行案内装置では、車両が所定速度未満の状態で検出した白線パターンについては道路種別判定の材料として用いないようにするので、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
【0015】
また、請求項4に記載の車両用走行案内方法では、車両が高速道路を走行しているにもかかわらず高速道路以外の道路を走行していると誤った判定が行われる可能性を無くす一方で、白線パターンの検出結果に基づいて車両の走行する道路の道路種別を正確な判定結果へと修正することが可能となる。従って、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
【0016】
更に、請求項5に記載のコンピュータプログラムでは、車両が高速道路を走行しているにもかかわらず高速道路以外の道路を走行していると誤った判定が行われる可能性を無くす一方で、白線パターンの検出結果に基づいて車両の走行する道路の道路種別を正確な判定結果へと修正させることが可能となる。従って、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係る第1道路種別判定処理プログラムのフローチャートである。
【図3】本実施形態に係る第2道路種別判定処理プログラムのフローチャートである。
【図4】片側2車線の道路を走行する車両を示した俯瞰図である。
【図5】図4の状態における車両のバックカメラによって撮像された撮像画像を示した模式図である。
【図6】高速道路と高速道路以外の道路でそれぞれ規定される車線境界線の白線パターンを示した図である。
【図7】従来技術の問題点を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用走行案内装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0019】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して地図や目的地までの案内経路を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。また、ナビゲーション装置1には後述する車線境界線の白線パターンを検出する為のバックカメラ19が接続されている。
【0020】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24、高度計(図示せず)等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0021】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や白線パターン識別情報32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0022】
ここで、地図情報DB31は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。
また、地図データは、具体的には、道路(リンク)形状に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設等の地点に関する情報であるPOIデータ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ15に描画するための画像描画データ等から構成されている。特にリンクデータとしては、リンクの道路種別(高速自動車道路、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、一般道路)に関する情報が記憶される。
尚、地図情報DB31は、地図配信センタ等から配信される更新データや記憶媒体(例えば、DVDやメモリーカード)を介して提供される更新データに基づいて更新される。
【0023】
また、白線パターン識別情報32は、道路種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為に用いられる情報である。白線パターン識別情報32は、例えば、図6に示すように、道路種別毎の白線の長さ、白線間のブランクの長さ、白線とその白線の車両進行方向側に隣接するブランクの長さの合計値等が含まれる。
【0024】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定処理、車両の現在位置と地図情報に基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定処理、バックカメラ19を用いて道路に描かれた車線境界線の白線パターンを検出する白線パターン検出処理、検出した白線パターンと白線パターン識別情報32とに基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定処理、第2道路種別判定処理の判定結果に基づいて第1道路種別判定手段により判定されている車両の走行する道路の道路種別を修正する道路種別修正処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の第1道路種別判定処理プログラム(図2参照)や第2道路種別判定処理プログラム(図3参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0025】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0026】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、地図画像では車両が現在走行する道路がユーザに判別可能に表示する。
【0027】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0028】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0029】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0030】
また、バックカメラ19は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたものであり、車両の後方に装着されたナンバープレートの上中央付近に取り付けられ、視線方向を水平より所定角度下方に向けて設置される。そして、走行時に車両の進行方向と逆方向となる車両後方を撮像し、後述のように車両の周囲の路面上に形成された車線を区分する車線境界線の白線パターンを検出する。そして、検出された車線境界線の白線パターンに基づいて、車両が現在走行中の道路の道路種別を判定する。
【0031】
具体的には、図6に示すように高速道路と、高速道路以外の道路(例えば一般道路)では、白線長さ及び白線間のブランクの長さが異なる。そこで、バックカメラ19を用いて白線とその白線の車両進行方向側に隣接するブランクの長さの合計値(以下、白線周期という)を検出することによって、車両が走行する道路が高速道路か高速道路以外の道路かを判定する。それによって、例えば、高速道路と一般道路とが高架等により上下に重なったり、平行に配置されている区域を車両が走行している場合であっても、車両がどちらの道路を走行しているのかを的確に判定することができる。
【0032】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1において実行する第1道路種別判定処理プログラムについて図2に基づき説明する。図2は本実施形態に係る第1道路種別判定処理プログラムのフローチャートである。ここで、第1道路種別判定処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、車両の現在位置と地図情報に基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定するプログラムである。尚、以下の図2、図3にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU13が備えているRAM42、ROM43等に記憶されており、CPU41により実行される。
【0033】
第1道路種別判定処理プログラムでは、先ずステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、自車両の現在位置を取得する。具体的には、GPS21やジャイロセンサ24の検出結果に基づいて、自車両の現在位置や方位等に関する情報を取得する。
【0034】
次に、S2でCPU41は、前記S1で取得した自車両の現在位置と地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて、自車両の現在走行する道路の道路種別を判定する。具体的には、自車両の現在位置の検出結果と地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて、自車両の現在位置を地図上で特定するマップマッチング処理を行い、地図上における自車両の現在位置を特定する。そして、マップマッチング処理によって特定された自車両の現在位置を含むリンクの道路種別についてリンクデータから取得し、取得された道路種別を自車両の現在走行する道路の道路種別と判定する。
【0035】
尚、ナビゲーション装置1は、後述の第2道路種別判定処理プログラム(図3)によって前記S2で判定された道路種別が修正されない限りは、上記第1道路種別判定処理プログラムのマップマッチング処理により特定された自車両の現在位置を液晶ディスプレイ15に表示して案内する。また、同じく自車両の現在位置に基づいて目的地までの案内経路を設定する。
【0036】
続いて、ナビゲーション装置1において実行する第2道路種別判定処理プログラムについて図3に基づき説明する。図3は本実施形態に係る第2道路種別判定処理プログラムのフローチャートである。ここで、第2道路種別判定処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、車両の走行する道路に描かれた車線境界線の白線パターンを検出するとともに、検出された白線パターンと白線パターン識別情報32とに基づいて車両が走行する道路の道路種別を判定し、一定の条件を満たした場合に上記第1道路種別判定処理プログラムで判定されている道路種別を修正するプログラムである。
【0037】
第2道路種別判定処理プログラムでは、先ずS11でCPU41は、前述した第1道路種別判定処理プログラム(図2)により現在の自車両の走行する道路の道路種別が“高速道路以外の道路(例えば、一般有料道路、一般道路等)”であると判定されているか否かを判定する。そして、第1道路種別判定処理プログラム(図2)により自車両の走行する道路の道路種別が“高速道路以外の道路”であると判定されている場合(S11:YES)には、S12へと移行する。
【0038】
一方、第1道路種別判定処理プログラム(図2)により自車両の走行する道路の道路種別が“高速道路(例えば、高速自動車道路、都市高速道路、自動車専用道路)”であると判定されている場合(S11:NO)には、当該第2道路種別判定処理プログラムを終了する。その結果、ナビゲーション装置1は前記した第1道路種別判定処理プログラム(図2)のマップマッチング処理の結果に基づく自車両の現在位置(高速道路上に位置)を修正することなく液晶ディスプレイ15に表示して案内する。また、同じく自車両の現在位置に基づいて目的地までの案内経路を設定する。
尚、本実施形態では第1道路種別判定処理プログラム(図2)により現在の自車両の走行する道路の道路種別が“高速道路以外の道路”であると判定されている場合にのみ、S12以降の処理(白線パターンの検出や、白線パターンに基づく道路種別判定)を実行するので、CPUの処理負担を軽減できる効果がある。
【0039】
続いて、S12でCPU41は、車両の周囲の路面上に形成された車線を区分する車線境界線の白線パターンを検出する。具体的に前記S12の処理では、先ず、バックカメラ19で撮像した画像から車線境界線の画像認識処理を行う。そして、画像認識処理の結果に基づいて車線境界線の白線パターン、より具体的には白線とその白線の車両進行方向側に隣接するブランクの長さの合計値(白線周期)を検出する。ここで、図4は片側2車線の道路50を走行する自車両51を示した俯瞰図、図5は図4の状態における自車両51のバックカメラ19によって撮像された撮像画像52を示した模式図である。
【0040】
バックカメラ19は、自車両51の後バンパー53付近から後方を撮像できるように光軸を水平から所定角度下方向に向けるように取り付けられており、撮像範囲が固定されている。そして、車線境界線の画像認識処理では、バックカメラ19によって撮像される自車両51の後方環境の画像を取り込んで解析処理を行い、自車両51が走行する路面上に形成された車線境界線54を特定するとともに、検出された車線境界線54の白線周期Dを検出する。
具体的には、先ず、NTSCのようなアナログ通信手段や、i−linkのようなデジタル通信手段を用いてバックカメラ19で撮像した映像を入力し、jpeg、mpeg等のデジタル画像フォーマットに変換する。次に、車線境界線を含む区画線(車道中央線、車線境界線、車道外側線、歩行者横断指導線、車道幅員の変更、路上障害物の接近、路上駐車場、導流帯等)が一般に白線であることを用いて、撮像画像中の区画線が描かれた路面と他の路面を輝度差に基づいて輝度補正を行う。その後、対象となる区画線を画像から分離する2値化処理、歪みを補正する幾何学処理、画像の雑音を除去する平滑化処理等を行い、区画線と他の路面との境界線を検出する。その後、CPU41は、検出された区画線の形状から検出された区画線が車線境界線であるか否か判定し、車線境界線である場合には、白線の前端部から進行方向前方に連続する次の白線の前端部までの距離を白線周期として検出する。例えば、図4、図5に示す例では、白線55の前端部から進行方向前方に連続する次の白線56の前端部までの距離Dを白線周期として検出する。
尚、白線の後端部から進行方向前方に連続する次の白線の後端部までの距離を白線周期として検出しても良い。更に、白線と白線に隣接するブランクの長さをそれぞれ検出して、合計値を白線周期としても良い。
【0041】
次に、S13においてCPU41は、自車両の車速を車速センサ22を用いて検出し、検出された自車両の車速が所定速度以上であるか否か判定する。ここで、バックカメラ19を用いて白線周期を検出する場合には、自車両の速度が遅いと、実際の長さよりも長く白線周期が検出されてしまう問題がある。そこで、道路種別判定結果の信頼性を向上させるために、本実施形態では自車両が所定速度未満の状態で検出した白線周期については道路種別判定の材料として用いないように構成する。尚、前記S13で判定条件とする“所定速度”は白線周期を正確に検出する為の最低速度とし、例えば“30km/h”とする。
【0042】
そして、前記S13において自車両の車速が所定速度以上であると判定された場合(S13:YES)には、前記S12において正確な白線周期が検出できているとみなし、S15へと移行する。それに対して、自車両の車速が所定速度未満であると判定された場合(S13:NO)には、前記S12において正確な白線周期が検出できていないとみなし、S14へと移行する。
【0043】
S14においてCPU41は、RAM42からCnt値を読み出し、Cnt値に「0」を代入した後、再度RAM42に格納する。その後、S11へと戻る。ここで、Cnt値は後述のように道路種別判定結果の信頼性を向上させるために、検出された白線周期に基づく同一の道路種別判定結果(例えば、道路種別が“高速道路”であるとする判定結果)が連続して判定された回数をカウントするCnt値である。尚、Cnt値はACCがONされた時点で初期化され、初期値は「0」とする。
【0044】
一方、S15においてCPU41は、前記S12で検出した白線周期が基準値以上であるか否か判定する。ここで、本実施形態では前記S15で判定条件とする“基準値”は高速道路で規定される白線周期である“20m”とし、データ記録部12に記憶された白線パターン識別情報32から取得する(図6参照)。それによって、検出された白線周期に基づいて自車両の走行する道路の道路種別が“高速道路”であるか否かを判定することが可能となる。
【0045】
そして、前記S12で検出した白線周期が基準値以上であると判定された場合(S15:YES)、即ち、白線周期に基づいて道路種別が“高速道路”であると判定された場合には、S16へと移行する。それに対して、前記S12で検出した白線周期が基準値未満であると判定された場合(S15:NO)、即ち、白線周期に基づいて道路種別が“高速道路以外の道路”であると判定された場合には、S14へと移行する。
【0046】
S16においてCPU41は、RAM42からCnt値を読み出し、Cnt値が「0」であるか否か判定する。
【0047】
そして、Cnt値が「0」であるかと判定された場合(S16:YES)には、S17へと移行する。それに対して、Cnt値が「0」でないと判定された場合(S16:NO)には、S18へと移行する。
【0048】
S17においてCPU41は、自車両の現在位置をGPS21により特定し、白線周期に基づいて道路種別が“高速道路”であると判定された最初の地点(以下、判定開始地点という)としてRAM42に記憶する。尚、バックカメラ19により撮像した映像に含まれる路面標示に基づいて、自車両の詳細な現在位置を特定する構成としても良い。尚、バックカメラ19を用いた自車両の詳細な現在位置の特定技術については公知技術であるので詳細は省略する。
【0049】
また、S18においてCPU41は、RAM42からCnt値を読み出し、Cnt値に「1」を加算した後、再度RAM42に格納する。
【0050】
その後、S19においてCPU41は、RAM42からCnt値を読み出し、Cnt値が“X”以上であるか否か判定する。ここで、“X”は例えば“10”とする。
【0051】
そして、Cnt値が“X”未満であるかと判定された場合(S19:NO)には、S11へと戻る。それに対して、Cnt値が“X”以上であると判定された場合(S19:YES)には、白線周期に基づく同一の道路種別判定結果(即ち、道路種別が“高速道路”であるとする判定結果)が連続してX回以上判定されたこととなるので、白線周期に基づく道路種別判定結果に信頼性があるとみなし、S20へと移行する。
【0052】
S20においてCPU41は、自車両の現在位置をGPS21やバックカメラ19により特定する。そして、前記S17でRAM42に記憶された判定開始地点から所定距離以上(例えば、高速道路で規定される白線周期の2周期分の距離(40m)以上)離間しているか否か判定する。尚、所定距離は白線周期の3周期以上の距離(60m〜)としても良い。
【0053】
そして、自車両の現在位置が前記S17でRAM42に記憶された判定開始地点から所定距離以上離間していないと判定された場合(S20:NO)には、S11へと戻る。一方、自車両の現在位置が前記S17でRAM42に記憶された判定開始地点から所定距離以上離間していると判定された場合(S20:YES)には、白線周期に基づく同一の道路種別判定結果(即ち、道路種別が“高速道路”であるとする判定結果)が所定距離以上の車線境界線の白線パターンを検出する間、連続して判定されたこととなるので、白線周期に基づく道路種別判定結果に信頼性があるとみなし、S21へと移行する。
【0054】
そして、S21でCPU41は、実際に自車両が現在走行する道路の道路種別は“高速道路”であると判定し、前述した第1道路種別判定処理プログラム(図2)により判定されている自車両の走行する道路の道路種別を“高速道路以外の道路”から“高速道路”へと修正する。その結果、ナビゲーション装置1は前記した第1道路種別判定処理プログラム(図2)のマップマッチング処理の結果に基づく自車両の現在位置を高速道路上の位置へと修正する。そして、修正した自車両の現在位置を液晶ディスプレイ15に表示して案内する。また、修正した自車両の現在位置に基づいて目的地までの案内経路を設定する。
【0055】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による車両用走行案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両の現在位置と地図情報に基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定する(S2)とともに、該判定により車両の走行する道路の道路種別が“高速道路以外の道路”であると判定されている状態においては、更にバックカメラ19を用いて車両の走行する道路に描かれた白線パターンを検出し(S12)、検出した白線パターンと白線パターン識別情報32とに基づいて車両の走行する道路の道路種別を判定し(S12〜S20)、該判定により車両の走行する道路の道路種別が“高速道路”であると判定された場合には、車両の走行する道路種別を“高速道路以外の道路”から“高速道路”へと修正する(S21)ので、車両が高速道路を走行しているにもかかわらず高速道路以外の道路を走行していると誤った判定が行われる可能性を無くす一方で、白線パターンの検出結果に基づいて車両の走行する道路の道路種別を正確な判定結果へと修正することが可能となる。従って、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
また、白線周期に基づく同一の道路種別判定結果が所定距離以上の車線境界線の白線パターンを検出する間、連続して判定された場合に、第1道路種別判定処理プログラムによる判定結果を修正することとしているので、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
更に、車両が所定速度未満の状態で検出した白線パターンについては道路種別判定の材料として用いないようにするので、道路種別判定結果の信頼性を向上させることが可能となる。
【0056】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、白線パターンとして白線と該白線に隣接するブランクの長さの合計(白線周期)を検出し、検出した白線周期を用いて道路種別を判定することとしているが、白線パターンとして白線の長さや白線間にあるブランクの長さを検出しても良い。図6に示すように白線の長さや白線間にあるブランクの長さについても“高速道路”と“高速道路以外の道路”とではそれぞれ規定されている長さが異なるので、道路種別を判定することが可能となる。
【0057】
また、車線境界線の白線パターンの検出は、車両後方に設置されたバックカメラ19で撮像した画像に基づいて特定する以外にも、車両前方に設置されたフロントカメラで撮像した画像や車両側方に設置されたカメラで撮像した画像に基づいて特定しても良い。
【0058】
また、前記S15において判定条件とする“基準値”は高速道路で規定される白線周期よりも短い値(例えば18m)としても良い。但し、その場合の基準値は高速道以外の道路の白線周期(15m)の長さにカメラの認識誤差を考慮した値(例えば17m)より長くする必要がある。また、基準値を一定の幅を持たせた値(例えば18m〜22m)とし、前記S15では検出した白線周期が基準値に含まれるか否かを判定しても良い。その場合にも同様に、基準値の下限値は一般道路の白線周期の長さにカメラの認識誤差を考慮した値より長くする必要がある。
【符号の説明】
【0059】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
41 CPU
42 ROM
43 RAM
54 車線境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報と道路動種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為の白線パターン識別情報とが記憶された記憶手段と、
車両の現在位置と地図情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定手段と、
道路に描かれた車線境界線の白線パターンを検出する白線パターン検出手段と、
前記白線パターン検出手段によって検出された白線パターンと前記白線パターン識別情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定手段と、
前記第1道路種別判定手段により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態で、前記第2道路種別判定手段により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合に、前記第1道路種別判定手段により判定されている前記車両の走行する道路の道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する道路種別修正手段と、を有することを特徴とする車両用走行案内装置。
【請求項2】
前記道路種別修正手段は、前記白線パターン検出手段によって所定距離以上の車線境界線の白線パターンを検出する間、前記第2道路種別判定手段によって継続して道路種別が高速道路と判定された場合に道路種別を修正することを特徴とする請求項1に記載の車両用走行案内装置。
【請求項3】
前記車両の車速を検出する車速検出手段を有し、
前記第2道路種別判定手段は、前記車両の車速が所定速度以上である場合に前記車両の走行する道路の道路種別を判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用走行案内装置。
【請求項4】
車両の現在位置と記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定ステップと、
道路に描かれた車線境界線の白線パターンを検出する白線パターン検出ステップと、
前記白線パターン検出ステップによって検出された白線パターンと前記記憶手段に記憶された道路動種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為の白線パターン識別情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定ステップと、
前記第1道路種別判定ステップにより前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態で、前記第2道路種別判定ステップにより前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合に、前記第1道路種別判定ステップにより判定されている前記車両の走行する道路の道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する道路種別修正ステップと、を有することを特徴とする車両用走行案内方法。
【請求項5】
コンピュータに搭載され、
車両の現在位置と記憶手段に記憶された地図情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第1道路種別判定機能と、
道路に描かれた車線境界線の白線パターンを検出する白線パターン検出機能と、
前記白線パターン検出機能によって検出された白線パターンと前記記憶手段に記憶された道路動種別毎の車線境界線の白線パターンを識別する為の白線パターン識別情報とに基づいて前記車両の走行する道路の道路種別を判定する第2道路種別判定機能と、
前記第1道路種別判定機能により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路以外の道路であると判定されている状態で、前記第2道路種別判定機能により前記車両の走行する道路の道路種別が高速道路であると判定された場合に、前記第1道路種別判定機能により判定されている前記車両の走行する道路の道路種別を高速道路以外の道路から高速道路へと修正する道路種別修正機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−122936(P2011−122936A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280766(P2009−280766)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】