説明

車両用運転姿勢調節装置

【課題】簡単な構成で運転姿勢を適正に調整することにより、運転席シートに着座した運転者が操作ペダルを適正に操作できるようにする。
【解決手段】車室のフロアパネル9上に設置された運転席シート1と、この運転席シート1に着座した運転者により踏込操作される操作ペダル(アクセルペダル4)とを備えた車両用運転姿勢調節装置であって、上記操作ペダルの踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵載置領域を昇降変位させることにより運転者の踵載置高さを調整する踵載置高さ調整手段12を有し、この踵載置高さ調整手段12により昇降駆動される踵載置領域の前後幅および前後位置が、運転席シート1に着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する上記踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室のフロアパネル上に設置された運転席シートと、この運転席シートに着座した運転者により踏み込み操作される操作ペダルとを備えた車両用運転姿勢調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、運転席シートのシートクッション部を前後に移動させるシート位置調整機構と、上記運転席シートに着座した運転者が操作ペダルを踏み込む際に操作足の踵部が載置される可動フロア部を昇降駆動するフロア昇降機構とを備え、上記シートクッション部の前方移動に応じて上記可動フロア部を上昇させるように構成された運転姿勢調整装置において、上記シート位置調整機構によりシートクッション部を車体の前方側へ移動させる際に、その駆動力を引張力としてフロア昇降機構に伝達するプルケーブルと、車体側に配設されて上記プルケーブルが巻回される巻回機構とを備え、この巻回機構に巻回されたプルケーブルの基端部を車体の前方側に延ばして上記シートクッション部に連結するとともに、上記プルケーブルの先端部をフロア昇降機構の引き上げ部に連結することが行われている。
【0003】
また、特願2009−100689号の明細書に示されるように、下端ヒンジ部を支点に揺動可能に支持された所謂オルガン式ペダルからなるアクセルペダルと、その側方に配設されて上端枢支部を支点に揺動可能に支持された吊りペダルからなるブレーキペダルと、運転席シートの前方部に位置するフロアパネルの上面を覆うように設置されるフロアマットとを有する自動車運転席のフロア構造において、上記フロアマットに、アクセルペダルの可動ペダル部材よりも後方に位置して運転者の踵部が載置される踵載置領域の上面を前上がりに傾斜させた傾斜面部を形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−83781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された車両の運転姿勢調整装置では、運転席シートに着座する運転者が、例えば高身長者から女性ドライバーからなる低身長者に乗り代わる等により、上記シート位置調整機構を使用して運転席シートを車体の前方側に移動させた場合に、その駆動力が上記プルケーブルを介してフロア昇降機構の引き上げ部に伝達され、このフロア昇降機構より上記可動フロア部が引き上げられるため、高身長者に比べて足裏長さが短い傾向にある低身長者が上記操作ペダルに足を当接させてこれを適正に踏み込むことができるように、上記可動フロア部の設置高さを自動的に調整できるという利点がある。
【0006】
しかし、上記特許文献1の明細書に開示されているように、運転席シートの前端部を支持するクロスメンバと、車体フロアの前端部に設けられたキックアップ部とにより区画されたフロア底部上に可動フロア部を支持するフロア支持部材を設置し、このフロア支持部材に形成されたガイド溝に沿って可動フロア部のスライド軸をスライド変位させることにより、運転席シートの足元部分をその略全域に亘って昇降変位させるように構成した場合には、上記可動フロア部およびその昇降機構が大型化してその構造が複雑化し、車体重量が増大するとともに、製造コストが高くなる等の問題があった。
【0007】
一方、上記特願2009−100689号の明細書に開示されているように、運転席シートの前方部に位置するフロアパネルの上面を覆うように設置されるフロアマットに、アクセルペダルの可動ペダル部材よりも後方に位置して運転者の踵部が載置される踵載置領域の上面を前上がりに傾斜させた傾斜面部を形成した場合には、平均身長者に比べて足裏寸法の小さい低身長者がペダル操作足の踵部を上記傾斜面部の前方側に載置することにより、ペダル操作足の踵載置部を上方に位置させることができるため、複雑な昇降機構を設けることなく、ペダルフロア面から離間した状態で不安定なペダル操作が行われるのを抑制できる可能性がある。
【0008】
しかし、上記傾斜面部の上面を急角度で傾斜させると、この傾斜面部上にペダル操作足の踵部を安定して載置することができず、ペダル操作時の踵部が傾斜面部に沿って滑り落ち易くなるため、その傾斜角度を一定値以下に抑える必要がある。したがって、上記傾斜面部を設けることによる効果を充分に発揮することができず、平均身長者に比べて足裏寸法の小さい低身長者または足裏寸法の大きい高身長者の何れかが、不自然な姿勢でペダル操作をせざるを得なかった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み、簡単な構成で運転姿勢を適正に調整することにより、運転席シートに着座した運転者が操作ペダルを適正に操作することができる車両用運転姿勢調節装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車室のフロアパネル上に設置された運転席シートと、この運転席シートに着座した運転者により踏込操作される操作ペダルとを備えた車両用運転姿勢調節装置であって、上記操作ペダルの踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル上の踵載置領域を昇降変位させることにより運転者の踵載置高さを調整する踵載置高さ調整手段を有し、この踵載置高さ調整手段により昇降駆動される踵載置領域の前後幅および前後位置が、運転席シートに着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する上記踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定されたものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両用運転姿勢調節装置において、上記踵載置高さ調整手段には、フロアパネルに昇降自在に支持された可動フロア部と、この可動フロア部を昇降駆動する昇降駆動部とが設けられるとともに、上記可動フロア部の前後幅および前後位置が、運転席シートに着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する上記踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定されたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両用運転姿勢調節装置において、上記フロアパネル上の踵載置領域には、前上がりに傾斜した傾斜面部が設けられたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用運転姿勢調節装置において、上記操作ペダルが、車両の走行駆動源を操作するアクセルペダルからなり、このアクセルペダルが、運転者により踏込操作される可動ペダル部材と、上記フロアパネルに固定されるペダルベース部材とを具備したものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、上記請求項4に記載の車両用運転姿勢調節装置において、上記踵載置高さ調整手段と、アクセルペダルのペダルベース部材とが一体的に車体へ組み付けられるようにユニット化されたものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、踵載置高さ調整手段により昇降駆動される踵載置領域の前後幅および前後位置を、運転席シートに着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する上記踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定したため、上記踵載置領域の昇降駆動範囲が必要以上に大きくなることに起因して上記踵載置高さ調整手段が大型化するのを防止できるとともに、平均身長者に比べて足裏寸法の小さい低身長者または足裏寸法の大きい高身長者の何れであっても、上記踵載置領域上に踵部を載置した状態で適正にペダル操作を行うことができるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明では、フロアパネルに昇降自在に支持された可動フロア部と、この可動フロア部を昇降駆動する昇降駆動部とを上記踵載置高さ調整手段に設けるとともに、上記可動フロア部の前後幅および前後位置を、運転席シートに着座する高身長者および低身長者等からなる運転者の体格および着座姿勢により変化する踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定したため、上記可動フロア部およびその昇降駆動部が大型化してその構造が複雑化するのを防止できるとともに、運転者の乗り換わり時に上記昇降駆動部を作動させて可動フロア部を昇降変位させることにより、平均身長者に比べて足裏寸法の小さい低身長者または足裏寸法の大きい高身長者の何れであっても、適正姿勢でペダル操作を行い得るように調整できるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、フロアパネル上の踵載置領域に、前上がりに傾斜した傾斜面部を設けたため、上記踵載置領域の昇降駆動範囲が大きくなるのを抑制しつつ、平均身長者に比べて足裏寸法の小さい低身長者または足裏寸法の大きい高身長者の何れであっても、その足首角度および足裏の傾斜角度が適正角度から大きくずれる等の事態を生じることなく、適正姿勢でペダル操作を行い得るように構成できるという利点がある。
【0018】
請求項4に係る発明では、車両の走行駆動源を操作するアクセルペダルからなる操作ペダルを、運転者により踏込操作される可動ペダル部材と、上記フロアパネルに固定されるペダルベース部材とを備えた所謂オルガン式ペダルにより構成するとともに、上記アクセルペダルの踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル上の踵載置領域を昇降変位させるように構成したため、フロアパネル上の踵載置領域上にペダル操作足の踵部を載置した状態で微妙なペダル操作を行うことが望まれる上記アクセルペダルを、簡単な構成で適正に操作できるという利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明では、上記踵載置高さ調整手段と、アクセルペダルのペダルベース部材とを一体的に車体へ組み付け得るようにユニット化したため、これらの組付作業を容易かつ適正に行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第1実施形態を示す説明図である。
【図2】踵載置高さ調整手段の具体的構成を示す背面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】踵載置高さ調整手段の具体的構成を示す分解斜視図である。
【図5】可動フロア部を上昇させた状態を示す側面断面図である。
【図6】シート調整機構の具体的構成を示す側面図である。
【図7】シート調整機構の具体的構成を示す斜視図である。
【図8】図6のVIII−VIII線断面図である。
【図9】傾斜角度調整機構の具体的構成を示す側面断面図である。
【図10】傾斜角度調整機構の具体的構成を示す平面断面図である。
【図11】シートクッションを車体の前方側に移動させた状態を示す側面図である。
【図12】平均身長者の着座状態を示す説明図である。
【図13】平均身長者の踵載置状態を示す説明図である。
【図14】高身長者の着座状態を示す説明図である。
【図15】本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第2実施形態を示す側面断面図である。
【図16】本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第3実施形態を示す側面断面図である。
【図17】可動フロア部を上昇させた状態を示す図16相当図である。
【図18】本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第4実施形態を示す側面断面図である。
【図19】可動フロア部を上昇させた状態を示す図18相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図4は、本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第1実施形態を示している。この車両には、車室内に配設された運転席シート1のシートクッション1aをスライド変位させてその前後位置を調整する前後位置調整機構2と、上記シートクッション1aの傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構3とを有するシート調整機構が設けられている。上記運転席シート1の前方には、運転者により踏込操作されて下端部を支点に揺動変位することにより、エンジンまたはモータ等からなる車両の走行駆動源を操作する所謂オルガン式ペダルからなるアクセルペダル4と、上端部を支点として揺動変位する所謂吊りペダルからなるブレーキペダル5およびクラッチペダル6とが配設されている。
【0022】
上記車室の前部には、エンジンルームと車室とを区画するダッシュパネル7と、このダッシュパネル7の下端部から後下がりの傾斜状態で車体の後方側に延びるキックアップパネル8とが設けられるとともに、その後端部に連続して略平坦なフロアパネル9が車体の後方側に延びるように設置されている。このフロアパネル9の上面には、防振、遮音および断熱機能等を有するメルシート、フェルト材またはグラスウール等を主体とした裏打ち補助材と、その上面を被覆するパイル地等からなる表層材とを備えた従来周知のフロアマット10が設置されている。
【0023】
そして、上記アクセルペダル4の踏込操作時に運転者の踵部が載置される踵載置領域には、水平線に対して13.5°〜23.5°範囲内の傾斜角度、例えば20°の傾斜角度αで前上がりに傾斜した傾斜面部11が設けられるとともに、その少なくとも一部を昇降変位させることにより運転者の踵載置高さを調整する踵載置高さ調整手段12が配設されている。
【0024】
上記アクセルペダル4は、踵載置高さ調整手段12を構成する後述の支持台座13に固定されるペダルベース部材15と、このペダルベース部材15により支持されるとともに、運転者の踏込操作に応じて下端ヒンジ部16を支点に揺動する可動ペダル部材17と、この可動ペダル部材17を車両の後方側に向けて付勢する圧縮コイルばね等からなる付勢部材18と、上記可動ペダル部材17の揺動変位を検出して図外の制御部に検出信号を出力するアクセルペダル操作検出部とを備えている。
【0025】
上記アクセルペダル4の可動ペダル部材17は、合成樹脂板または金属板等からなり、その上部には、側面視から見て所定の曲率半径で車両の後方側へ円弧状に突出した凸状面部からなる踏込部20が形成されている。そして、この踏込部20に運転者の足裏拇子球部を当接させて前方へ押動することにより、上記下端ヒンジ部16を支点として可動ペダル部材17が揺動変位するように構成されている。
【0026】
さらに、上記可動ペダル部材17の裏面には、ペダルベース部材15の前部上面に設けられたストッパ部21に当接して可動ペダル部材17の前方揺動範囲を規制する突部22と、上記付勢部材18の上端部を支持する上端支持部23と、ペダルベース部材15の中央部上面に設けられた係止フック部24に係合されることにより可動ペダル部材17の後方揺動範囲を規制する抜け止め部25と、上記アクセルペダル操作検出部を構成する操作ロッド26の枢支部27とが設けられている。
【0027】
上記アクセルペダル4のペダルベース部材15は、踵載置高さ調整手段12の支持台座13にボルト止めされる固定基板28を有している。この固定基板28の上面には、上記アクセルペダル操作検出部を構成するリニアセンサが配設されたコントロールボックス29の収容部と、上記付勢部材18の下端部を支持する下端支持部31と、上記操作ロッド26の下端部に連結された可撓性を有する線条体等からなる連結部材32を摺動可能に支持するガイド部33とが設けられている。
【0028】
また、上記コントロールボックス29の収容部30には、その前面に図外のハーネスをコントロールボックス29に接続するためのカプラー34が取り付けられるとともに、上記可動ペダル部材17の突部22が当接するストッパ部21が上面に突設されている。さらに、上記ガイド部33の前方側には、可動ペダル部材17の抜け止め部25が係止される係止フック部24が突設され、かつ上記固定基板28の後端部には、可動ペダル部材17の下端ヒンジ部16を支持する支持ブラケット35が形成されている。
【0029】
上記アクセルペダル4の可動ペダル部材17は、その下端ヒンジ部16のヒンジ軸が上記ペダルベース部材15の支持ブラケット35に回転自在に支持されることにより、通常時には、付勢部材18の付勢力に応じて前上がりに傾斜した非操作位置に保持されている。そして、例えば図3に示すように上記傾斜面部11上に踵部Ktを載置した高身長者Tが、その足裏の拇子球部Btを上記可動ペダル部材17の踏込部20に当接させた状態で、この可動ペダル部材17を運転者が踏込操作すると、上記付勢部材18の付勢力に抗して可動ペダル部材17が下端ヒンジ部16を支点に車両の前方側へ揺動変位するように駆動される。上記可動ペダル部材17の駆動力が操作ロッド26および連結部材32を介してコントロールボックス29のリニアセンサに伝達されることにより、上記可動ペダル部材17の操作量が検出され、その検出信号がコントロールボックス29から上記カプラー34および図外のハーネスを介してエンジン制御ユニット等に出力されるようになっている。
【0030】
上記踵載置高さ調整手段12は、図4に示すように、運転席シート1の前方部に位置するフロアパネル9上に固定される支持台座13と、この支持台座13により昇降可能に支持される可動フロア部36と、この可動フロア部36を昇降駆動する昇降駆動部37とを有している。また、上記支持台座13の左側方部には、平面視で1/4円錐弧状に形成され、かつ側面視で前上がりに傾斜するとともに、背面視で前上がりかつ右上がりに傾斜した扇形部38が設けられている。
【0031】
上記可動フロア部36は、側面視で台形状に形成された左右一対の側板39と、この左右両側板39の前面部を覆うように設置された前面板40と、上記左右両側板39の上面部を連結するように設置された上面板41とを有している。この上面板41の後方部が前上がりに傾斜した状態で設置されることにより上記傾斜面部11が構成されている。
【0032】
また、上記支持台座13には、ねじ軸44が回転自在に支持されるとともに、ガイドバー45が突設されている。そして、上記前面板40の左右両側方部に突設された突部42,43の一方(突部42)に形成されたねじ孔に、上記ねじ軸44が挿通されて螺着されるとともに、上記両突部42,43の他方(突部43)に形成された挿通孔に、上記ガイドバー45が摺動可能に挿通されるようになっている。
【0033】
上記昇降駆動部37は、上記ねじ軸44と一体に回転するように固定されたウォームホイール46と、このウォームホイール46を回転駆動するウォームギア47が出力軸に固定された駆動モータ48とを具備している。そして、運転席シート1に着座する運転者がその体格に応じて運転席シート1の前後位置等を調整する際に、上記シート位置調整機構に連動させて駆動モータ48を作動させることにより、上記ウォームホイール46およびねじ軸44を回転駆動するとともに、上記突部42をねじ送りして可動フロア部36を、図3に示す下方位置から図5に示す上方位置に昇降変位させるように構成されている。
【0034】
上記踵載置高さ調整手段12により昇降駆動される踵載置領域の前後幅、つまり上記可動フロア部36の前端位置36aから後端位置36bまでの距離は、上記運転席シート1に着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定されている。すなわち、上記運転席シート1に着座する低身長者Sの踵部位置に基づき、上記可動フロア部36の前端位置36aが設定されるとともに、上記運転席シート1に着座する高身長者Tの踵部位置に基づき、上記可動フロア部36の後端位置36bが設定されるようになっている。
【0035】
例えば、後述するように低身長者Sの踵部Ksから拇子球部Bsまでの距離が155mmであると想定するとともに、その足裏角度θ7を52°程度に設定して、上記拇子球部Bsをアクセルペダル4の踏込中心点20aに当接させた場合には、低身長者Sの踵部Ksが上記踏込中心点20aよりも95mm(≒155mm×cos52°)程度後方に位置することになるため、これに所定の余裕幅をもたせて、上記可動フロア部36の前端位置36aを、上記踏込中心点20aよりも後方側に65mm程度離れた位置に設定している。
【0036】
また、後述するように高身長者Tの踵部Ktから拇子球部Btまでの距離が196mmであると想定するとともに、その足裏角度θ7を52°程度に設定して、拇子球部Btをアクセルペダル4の踏込中心点20aに当接させた状態では、高身長者Tの踵部Ktが上記踏込中心点20aよりも121mm(≒196mm×cos52°)程度後方に位置するため、これに所定の余裕幅をもたせることにより、上記可動フロア部36の後端位置36bを上記踏込中心点20aよりも後方側に155mm程度離れた位置に設定している。上記のように可動フロア部36の前端位置36aおよび後端位置36bを設定した場合には、この可動フロア部36の前後幅は90mm程度となる。
【0037】
なお、上記可動フロア部36の左右位置および左右幅寸法は、上記アクセルペダル4を適正に操作できるとともに、このアクセルペダル4の操作状態から上記ブレーキペダル5の操作状態へとスムーズに変換できるように、上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5の設置位置等に基づいて適宜に設定されている。例えば、図2に示すように、上記傾斜面部11が設けられた可動フロア部36の右端部がアクセルペダル4の右端部よりも所定距離だけ左側に位置するとともに、上記可動フロア部36の左端部がブレーキペダル5の左端部に対応するように配設されている。
【0038】
そして、上記支持台座13、可動フロア部36および昇降駆動部37等を有する踵載置高さ調整手段12に、上記ペダルベース部材15および可動ペダル部材17等を有するオルガン式ペダルからなるアクセルペダル4のペダルベース部材15を予め組み付けてサブアッシーすることにより、これらをユニット化した状態で一体的に車体へ組み付けるように構成されている。
【0039】
上記運転席シート1の設置部には、図6〜図8に示すように、シートクッション1aを前後移動可能に支持する左右一対のシートスライドロアレール61が配設されるとともに、このシートスライドロアレール61に沿ってシートスライドアッパレール62がスライド変位可能に支持されている。上記シートスライドロアレール61は、上面が開口したC型鋼等からなり、その前後両端部には、取付ブラケット63,64が溶接される等により一体に接合されている。そして、上記取付ブラケット63,64が、クロスメンバ60の上面等に締結ボルト等を介して固定されることにより、上記シートスライドロアレール61がやや前上がりに傾斜した状態でフロアパネル9上に設置されている。
【0040】
上記左右のシートスライドロアレール61内には、図8に示すように、ねじ軸からなる回転軸65が回転自在に設置されるとともに、両シートスライドアッパレール62の前端部間には、駆動モータ66により回転駆動される駆動軸67およびこれを回転可能に支持する支持部材68が車幅方向に延びるように設置されている。また、上記駆動軸67の左右両端部には、その駆動力を上記回転軸65に伝達するベベルギア機構またはウォームホイールギア機構等からなる動力伝達部69が設けられている。
【0041】
上記シートスライドロアレール61、シートスライドアッパレール62、回転軸65、駆動モータ66、駆動軸67および動力伝達部69と、シートスライドロアレール61の底部に固定されて上記回転軸65が螺合するナットブロック70とにより、上記運転席シート1のシートクッション1aをシートスライドロアレール61に沿ってスライド変位させて運転席シート1の前後位置を調整する前後位置調整機構2が構成されている。
【0042】
例えば、図外の前後調整スイッチが前進方向に操作された場合等には、上記駆動モータ66を正転させる制御信号が出力され、この制御信号に応じて駆動モータ66が正回転することにより、上記シートクッション1aを前進させる方向の駆動力が上記駆動軸67、動力伝達部69および回転軸65に伝達される。この回転軸65は、上記シートスライドロアレール61の底部に固定されたナットブロック70によって支持された状態で、上記動力伝達部69から入力された駆動力により回転駆動されて車両の前方側に螺進することにより、上記シートスライドアッパレール62とともに運転席シート1のシートクッション1aが車両の前方側に駆動される。
【0043】
一方、上記前後調整スイッチが後退方向に操作された場合には、上記駆動モータ66を逆回転させる制御信号が出力され、この制御信号に応じて駆動モータ66が逆転することにより、上記シートクッション1aを後退させる方向の駆動力が上記駆動軸67、動力伝達部69および回転軸65に伝達され、この回転軸65が逆転駆動されて車体の後方側に螺進することにより、上記シートスライドアッパレール62および運転席シート1のシートクッション1aが車体の後方側に駆動されるように構成されている。
【0044】
また、上記シートスライドロアレール61は、前上がりに傾斜した状態で車体フロア上に設置されているため、上記前後位置調整機構2によりシートスライドアッパレール62および運転席シート1のシートクッション1aを、上記シートスライドロアレール61に沿って車両の前方側に移動させると、これに連動してシートクッション1aが上方に押し上げられることになる。逆に、上記前後位置調整機構2によりシートスライドアッパレール62および運転席シート1のシートクッション1aを、上記シートスライドロアレール61に沿って車体の後方側に移動させると、これに連動してシートクッション1aが下降するようになっている。
【0045】
また、上記シートスライドアッパレール62には、運転席シート1のシートクッション1aの傾斜角度を変化させる傾斜角度調整機構3が設けられている。この傾斜角度調整機構3は、図6および図7に示すように、シートクッション1aの左右両側辺部に設けられたクッションフレーム71と、シートスライドアッパレール62の前部上面に設置されて上記クッションフレーム71の前端部を支持する前部ブラケット72および前部リンク73と、シートスライドアッパレール62の後部上面に設置されて上記クッションフレーム71の後方部を支持する後部ブラケット74および三角形状の後部リンク75と、左右の後部リンク75の後端部同士および上記両クッションフレーム71の後方下端部同士を連結する連結軸76と、シートスライドアッパレール62の中央部上面に設置されて上記後部リンク75に駆動力を伝達する中央リンク77およびこれを支持する中央ブラケット78と、上記中央リンク77の上部を上記後部リンク75の前端部に連結する連結リンク79と、下記駆動軸80、駆動レバー81および傾動駆動部82とを有している。
【0046】
上記中央リンク77は、その下端部が車幅方向に延びる駆動軸80に固定されるとともに、この駆動軸80を介して上記中央ブラケット78に回動自在に支持されている。上記駆動軸80には、この駆動軸80を回動変位させる駆動レバー81が固定されている。また、左右一対のシートスライドアッパレール62の一方(車幅方向の外方側)に設けられた上記中央ブラケット78には、駆動軸80に固定された上記駆動レバー81を駆動する傾動駆動部82が設けられている。
【0047】
上記傾動駆動部82は、図9および図10に示すように、前端部が連結ピン83を介して上記駆動レバー81の先端部(下端部)に連結されたねじ軸84と、このねじ軸84を回転駆動する駆動モータ85およびギア機構86と、このギア機構86の前面に固着されたガイドブラケット87とを有し、このガイドブラケット87の基端部が支持ブラケット88を介して上記中央ブラケット78に支持されている。また、上記ギア機構86には、駆動モータ85の出力軸85aに固着されたウォームギア89と、このウォームギア89により回転駆動されるウォームナット90とが配設され、このウォームナット90には、上記ねじ軸84に螺合するねじ孔が形成されている。
【0048】
そして、上記駆動モータ85からウォームギア89を介して入力される駆動力により上記ウォームナット90が回転駆動されるのに応じ、このウォームナット90に螺合した上記ねじ軸84が回転してねじ送りされるようになっている。このねじ軸84がねじ送りされるのに応じ、その先端部に設けられた上記連結ピン83が、ガイドブラケット87に形成された支持溝91に沿って前後移動し、その駆動力が連結ピン83を介して上記駆動レバー81に伝達されることにより、この駆動レバー81が揺動変位して上記駆動軸80が回動駆動される。
【0049】
また、上記駆動軸80が回転駆動されるのに応じて上記中央リンク77が揺動変位するとともに、その駆動力が連結リンク79を介して上記後部リンク75に伝達され、この後部リンク75が揺動変位するとともに、これに対応して前部リンク73が揺動変位することにより、シートクッション1aの傾斜角度が調節されるようになっている。すなわち、運転席シート1のシートクッション1aが車体の後方側に移動した後退位置では、図6に示すように、上記前部リンク73および中央リンク77が後傾した状態となるとともに、後部リンク75の後端部に設けられた連結軸76が下方に位置した状態となることにより、シートクッション1aの座面が大きく後傾した状態に保持されている。
【0050】
上記構成において、前後調整スイッチにより運転席シート1を車両の前方側に移動させる操作が行われた場合には、予め設定された駆動特性に基づき、上記傾斜角度調整機構3の駆動モータ85を正転駆動する制御信号が図外の制御手段から出力され、この駆動モータ85の正転駆動力が上記ギア機構86、ねじ軸84、連結ピン83、駆動レバー81および駆動軸80を介して中央リンク77に伝達され、この中央リンク77が、上記後傾状態から図12に示す起立状態に移行する。そして、上記中央リンク77が起立状態に移行するのに応じ、その駆動力が連結リンク79を介して後部リンク75に伝達され、この後部リンク75の前端部が車両の前方側に引っ張られることにより、後部リンク75の後端部に設けられた上記連結軸76が上昇するとともに、これに応じてシートクッション1aの後端部が押し上げられるように駆動される。
【0051】
また、上記後部リンク75の揺動変位に連動して前部リンク73が後傾状態から起立状態に移行するため、これに応じてシートクッション1aの前端部が押し上げられつつ前方に移動するように駆動され、このシートクッション1aが上記下方位置から図11に示す上方位置に変位する。さらに、上記シートクッション1aの前端部の上方移動量に比べて後端部の上方移動量が大きく設定されることにより、上記シートクッション1aの上方移動に応じてその座面の後傾角度が、次第に小さくなるように変化し、水平状態に近づくように構成されている。また、このシートクッション1aの傾動変位に連動して上記シートバック1bの傾斜角度が変化し、鉛直状態に近付くように変位するようになっている。
【0052】
一方、前後調整スイッチにより運転席シート1を車体の後方側に移動させる操作が行われた場合には、予め設定された駆動特性に基づき、上記傾斜角度調整機構3の駆動モータ85を逆転駆動する制御信号が制御手段から出力され、この駆動モータ85の正転駆動力が上記ギア機構86、ねじ軸84、連結ピン83、駆動レバー81および駆動軸80を介して中央リンク77に伝達される。これにより上記シートクッション1aが上方位置から、図6に示す下方位置に変位し、このシートクッション1aの下方移動に応じてその座面の後傾角度が次第に大きくなるように変化するとともに、上記シートバック1bが大きく後傾した状態となるように構成されている。
【0053】
上記運転席シート1に着座する運転者が身長の異なる者に乗り換わると、その身長に略比例して運転者の座高、腕の長さおよび足の長さ等が変化するため、これに対応して運転席シート1に着座した運転者のアイポイントおよびアクセルペダル4等の操作ペダルに対する操作性も変化する。したがって、新たに運転席シート1に着座した運転者は、その安楽姿勢を維持しつつ、ステアリングハンドル92を適正状態で把持できるとともに、アクセルペダル4を構成する可動ペダル部材17の踏込部20にペダル操作足の拇子球部を適正状態で当接させことができ、かつそのアイポイントを適正ラインLに一致させて前方視界を適正に確保できるように、上記前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3を作動させて運転席シート1の前後位置等を調整しようとする。
【0054】
上記運転席シート1には、身長が150cm以下の者から190cm以上の者まで様々な身長を有する運転者が着座する可能性があるため、これらの者が上記運転席シート1に安楽姿勢で着座して適正に運転操作を行い得るように構成する必要がある。例えば、運転席シート1に着座する機会が最も多い考えられる平均身長者Mの身長を170cmであると仮定し、この平均身長者Mの安楽姿勢を統計的に解析した結果、以下のようなデータが得られた。
【0055】
上記運転席シート1に着座した乗員の安楽姿勢とは、長期間に亘りその着座状態を維持できるとともに、ハンドル操作およびペダル操作等に適した着座姿勢である。具体的には、図12に示すように、ペダル操作足の足首角度θ1が85°〜95°程度、膝角度θ2が115°〜135°程度、腰骨部から肩部までの上半身と大腿部との折曲角度θ4が約95°である。また、上記平均身長者Mの場合には、水平線に対して太腿部がなす角度であるサイ角θ3の適正角度が、シートクッション1aの傾斜角度に約1.5°を加算した値であることが、人間工学的実験により確認されている。さらに、上記ステアリングハンドル92を適正に操作することができる肘角θ5は100°〜130°程度、脇角θ6は20°〜45°程度である。
【0056】
したがって、上記平均身長者Mが、例えば足首角度θ1を90°、膝角度θ2を125°、腰骨部から肩部までの上半身と大腿部との折曲角度θ4を95°に設定し、かつサイ角θ3を17°に設定して運転席シート1に着座した場合に、平均身長者MのアイポイントImを、例えば8°程度の角度で前下がりに傾斜する適正ラインLに一致させることができるように、上記シートクッション1aの前後基準位置、上下基準高さおよび基準傾斜角度が設定されている。
【0057】
また、上記平均身長者Mの基準着座状態では、肘角θ5および脇角θ6が上記範囲内に設定されてステアリングハンドル92を適正に把持できるようになっている。さらに、図13に示すように、ペダル操作足の足裏踵部Kmを、上記上面板41の後方部からなる傾斜面部11上の所定位置に載置し、かつ足首角度θ1を90°に設定するとともに、水平線に対する足裏の傾斜角度θ7を例えば52°程度に設定した状態で、アクセルペダル4の可動ペダル部材17に設けられた踏込部20の適正位置、つまりこの踏込部20の上下方向中応部に足裏の拇子球部Bmを当接させることができる位置に上記アクセルペダル4が配設されている。
【0058】
なお、上記図12において、Hmは、運転席シート1に着座した平均身長者Mのヒップポイント(着座基準点)である。また、当実施形態では、図13に示すように、平均身長者Mがペダル操作足の踵部Kmを載置する基準位置を、例えば中間上昇位置にある可動フロア部36の上面板41上に設定している。すなわち、上記可動フロア部36の設置高さを、その上下移動範囲の中間位置に設定した状態で、その上面板41の前後方向略中央部(基準位置)に平均身長者Mの踵部Kmが載置されるように、上記可動フロア部36を配設している。
【0059】
上記平均身長者Mの足裏寸法は約255mmであり、かつ上記踵部Kmから拇子球部Bmまでの距離は176mm程度であるため、上記踵部Kmの基準載置位置から上記可動ペダル部材17の踏込部20までの鉛直距離Ymは、約139mm(≒176mm×sin52°)である。また、上記平均身長者Mの踵部Kmから上記可動ペダル部材17の踏込部20までの水平距離Xmは、約108mm(≒176mm×cos52°)である。
【0060】
そして、上記運転席シート1に着座する運転者が平均身長者Mから、図14に示すように、例えば190cmの身長を有する高身長者Tに乗り換わった場合、この高身長者Tは、図外の前後位置調整スイッチを操作する等により、シートクッション1a上に位置するヒップポイントHtを、上記平均身長者M用の前後基準位置Hmから85mm程度後方に移動させるとともに、これに連動して上記ヒップポイントHsを20mm程度下方に移動させ、かつ上記サイ角θ3を20.0°程度とするようにシートクッション1aの傾斜角度を変化させるように操作する。
【0061】
このようにして上記平均身長者Mに比べて腕の長い高身長者Tの上半身を後方に移動させれば、上記平均身長者Mに比べて座高の高い高身長者TのアイポイントItを、車体の後部下方側に移動させることにより、適正ラインLに一致させることができるとともに、上記肘角θ5および脇角θ6を適宜に変化させることにより、ステアリングハンドル92を適正状態で把持できる。なお、上記ステアリングハンドル92の設置位置および設置角度等を変更可能に支持するテレスコ機構およびチルト機構を設けた場合には、上記高身長者Tが、その肘角θ5および脇角θ6等を大きく変化させることなく、かつ上記安楽姿勢を維持しつつ、ステアリングハンドル92を把持することが可能となる。
【0062】
また、上記シートクッション1aの後方移動および下方移動に応じて高身長者Tの足裏面が側面視で拇子球部Btを支点として時計方向に回転する傾向があるため、これに対応させて上記可動フロア部36を下降させ、かつ膝角度θ2を120°程度に減少させることにより、ペダル操作足の足首角度θ1を90°に維持するとともに、足裏の傾斜角度θ7を約52°の適正角度に維持しつつ、上記高身長者Tの拇子球部Btをアクセルペダル4の踏込部4aの適正位置に当接させることが可能となる。
【0063】
具体的には、上記高身長者Tの足裏寸法は285mm程度であるとともに、その踵部Ktから拇子球部Btまでの距離は198mm程度であるため、図3に示すように、上記高身長者Tの踵部Ktの載置位置から上記可動ペダル部材17の踏込部4aまでの鉛直距離Ytが、約156mm(≒198mm×sin52°)となり、上記平均身長者Mの同距離Ym(139mm)よりも約17mmだけ長くなる。つまり、上記高身長者Tの踵部載置高さは、平均身長者Mに比べて17mm程度下方に位置することになる。なお、上記高身長者Tの踵部Ktから可動ペダル部材17の踏込部4aまでの水平距離Xtは、約122mm(≒198mm×cos52°)であり、平均身長者Mの同距離Xm(108mm)よりも約14mm長くなっている。
【0064】
上記のように高身長者Tの踵部載置高さと平均身長者Mの踵部載置高さとの間には、17mm程度の差があり、かつ両者の前後方向における踵部載置位置の間には、約14mmの差がある。したがって、上記高身長者Tが、可動フロア部36上にペダル操作足の踵部Ktを載置した状態で、ペダル操作足の拇子球部Btを踏込部4aの適正位置に対して正確に当接させるためには、上記踵部載置高さの差17mmと、上記踵部載置位置の前後差14mmに対応した上下差−5mm(≒−14mm×tan20°)とに基づき、上記可動フロア部36の設置位置を約12mm(≒17mm−5mm)だけ下降させる必要がある。
【0065】
すなわち、上記傾斜面部14の傾斜角度αを20°に設定してなる当実施形態では、上記可動フロア部36を、上記基準位置よりも約12mm程度下方に設定された最下方位置の近傍まで下降させることにより、上記可動フロア部36の上昇量を略0とする。このようにして可動フロア部36を、上記平均身長者Mに対する基準位置に比べて約12mmだけ下方に位置させることにより、高身長者Tが上記可動フロア部36上に踵部Ktを載置し、かつ上記アクセルペダル4の踏込部4aにペダル操作足の拇子球部Btを当接させた状態で、適正にペダル操作を行うことが可能となる。
【0066】
一方、運転席シート1に着座する運転者が平均身長者Mから、図1に示すように、例えば150cmの身長を有する女性ドライバー等からなる低身長者Sに乗り換わった場合、この低身長者Sは、図外の前後位置調整スイッチを操作する等により、シートクッション1a上に位置するヒップポイントHsを、上記平均身長者M用の前後基準位置Hmから105mm程度前方に移動させるとともに、これに連動して上記ヒップポイントHsを25mm程度上方に移動させ、かつそのサイ角θ3を10.5°程度とするようにシートクッション1aの傾斜角度を変化させるように操作する。
【0067】
このようにして上記平均身長者Mに比べて腕の短い低身長者Sの上半身を前方に移動させれば、上記平均身長者Mに比べて座高の低い低身長者SのアイポイントIsを、車体の前部上方側に移動させることにより、適正ラインLに一致させることができるとともに、上記肘角θ5および脇角θ6を適宜に変化させ、あるいは図外のテレスコ機構およびチルト機構を操作してステアリングハンドル92の設置高さおよび設置角度を変更する等により、ステアリングハンドル92を適正状態で把持することができる。
【0068】
また、上記シートクッション1aの前方移動および上方移動に応じて低身長者Sの足裏面が拇子球部Bsを支点として側面視で反時計方向に回転する傾向があるため、これに対応させて上記可動フロア部36を上昇させ、かつ膝角度θ2を130°程度に増大させることにより、操作足の足首角度θ1を90°に維持するとともに、足裏の傾斜角度θ7を適正角度(52°)に維持しつつ、上記低身長者Sが操作足の拇子球部Bsをアクセルペダル4の踏込部4aの適正位置に当接させることが可能となる。
【0069】
具体的には、上記低身長者Sの足裏寸法は225mm程度であるとともに、その踵部Ksから拇子球部Bsまでの距離は155mm程度であるため、図5に示すように、上記低身長者Sの踵部Ksの載置位置から上記可動ペダル部材17の踏込部4aまでの鉛直距離Ysは、約122mm(≒155mm×sin52°)となり、上記平均身長者Mの同距離Ym(139mm)よりも17mmだけ短くなっている。また、これに対応して上記低身長者Sの踵部載置高さは、平均身長者Mに比べて17mmだけ上方に位置することになる。なお、上記低身長者Sの踵部Ksから上記可動ペダル部材17の踏込部4aまでの水平距離Xsは、約95mm(≒155mm×cos52°)であり、上記平均身長者Mの同距離Xm(108mm)よりも約13mm短くなっている。
【0070】
上記低身長者Sの踵部載置高さと平均身長者Mの踵部載置高さとは、17mm程度の差があり、両者の前後方向における踵部載置位置の間には、約13mmの差がある。したがって、上記低身長者Sが、可動フロア部36上にペダル操作足の踵部Ksを載置した状態で、上記ペダル操作足の拇子球部Bsを踏込部4aの適正位置に対して正確に当接させるためには、上記踵部載置高さの差17mmと、上記踵部載置位置の前後差13mmに対応した上下差−4mm(≒−13mm×tan20°)とに基づき、上記可動フロア部36の設置位置を約13mm(=17mm−4mm)だけ上昇させる必要がある。
【0071】
すなわち、上記傾斜面部14の傾斜角度αを20°に設定してなる当実施形態では、上記可動フロア部36を、上記基準位置よりも約13mm程度上方に設定された最上方位置まで上昇させることにより、上記最下方位置から可動フロア部36の上昇量を略25mmとする。このようにして可動フロア部36を、上記平均身長者Mに対する基準位置に比べて約13mmだけ上方に位置させることにより、低身長者Sが上記可動フロア部36上に踵部Ksを載置し、かつ上記アクセルペダル4の踏込部4aにペダル操作足の拇子球部Bsを当接させた状態で、適正にペダル操作を行うことが可能となる。
【0072】
上記のように車室のフロアパネル9上に設置された運転席シート1と、この運転席シート1に着座した運転者により踏込操作されるアクセルペダル4等からなる操作ペダルとを備えた車両用運転姿勢調節装置において、上記操作ペダルの踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵載置領域を昇降変位させることにより運転者の踵載置高さを調整する踵載置高さ調整手段12を有し、この踵載置高さ調整手段12により昇降駆動される踵載置領域の前後幅および前後位置を、運転席シート1に着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定したため、簡単な構成で運転姿勢を適正に調整することにより、運転席シート1に着座した運転者が操作ペダルを適正に操作できるという利点がある。
【0073】
すなわち、上記第1実施形態では、フロアパネル9に昇降自在に支持された可動フロア部36と、この可動フロア部36を昇降駆動する昇降駆動部37とを上記踵載置高さ調整手段12に設けるとともに、上記フロアパネル上の踵載置領域に配設された可動フロア部36の前後幅および前後位置を、運転席シート1に着座する高身長者Tおよび低身長者Sからなる運転者の体格および着座姿勢により変化する踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定したため、上記踵載置領域の昇降駆動範囲が必要以上に大きくなることに起因して上記可動フロア部36およびその昇降駆動部37が大型化してその構造が複雑化するのを防止できるとともに、平均身長者Mに比べて足裏寸法の小さい低身長者Sまたは足裏寸法の大きい高身長者Tの何れであっても、可動フロア部36の傾斜面部11上に踵部を載置した状態で適正にペダル操作を行うことができるという利点がある。
【0074】
例えば、上記第1実施形態では、可動フロア部36の後端位置36bをアクセルペダル4の踏込中心点20aよりも155mm程度後方の位置に設定したため、190cm程度の身長を有する高身長者Tが、その足裏角度θ7を52°程度に設定して上記可動フロア部36に設けられた上面板41の後端位置36bよりも前方側に踵部Ktを載置した状態で、上記ペダル操作足の拇子球部Btをアクセルペダル4の踏込部20に当接させて上記アクセルペダル4を適正に踏込操作することができる(図3参照)。
【0075】
また、上記のように可動フロア部36の前端位置36aをアクセルペダル4の踏込中心点20aよりも65mm程度後方の位置に設定したため、150cm程度の身長を有する低身長者Sが、その足裏角度θ7を52°程度に設定して上記可動フロア部36に設けられた上面板41の前端位置36aよりも後方側に踵部Ksを載置した状態で、上記ペダル操作足の拇子球部Bsをアクセルペダル4の踏込部20に当接させて上記アクセルペダル4を適正に踏込操作することができる(図5参照)。
【0076】
そして、上記第1実施形態に示すように可動フロア部36の前端位置36aおよび後端位置36bを設定することにより、可動フロア部36の前後幅を90mm程度に設定した場合には、上記運転席シート1の足元部分をその略全域に亘って昇降変位させるように構成した場合のように可動フロア部およびその昇降機構が大型化したり、その構造が複雑化したりすることなく、上記可動フロア部36を容易に昇降駆動することができるため、車体重量を効果的に軽減できるとともに、上記車両用運転姿勢調節装置の製造コストを安価に抑えることができるという利点がある。
【0077】
なお、上記フロアパネル9上における踵載置領域の上面を水平面に形成することも可能であるが、上記第1実施形態に示すように、可動フロア部36に設けられた上面板41の後方部を前上がりに傾斜させることにより、上記踵載置領域に傾斜面部11を設けた構造とした場合には、上記可動フロア部36の昇降駆動範囲が大きくなるのを抑制しつつ、平均身長者Mに比べて足裏寸法の小さい低身長者Sまたは足裏寸法の大きい高身長者Tの何れであっても、足首角度θ1および足裏の傾斜角度θ7が適正角度から大きくずれる等の事態を生じることなく、適正姿勢でペダル操作を行い得るように構成できるという利点がある。
【0078】
すなわち、上記第1実施形態に示すように、低身長者Sの踵部載置位置を、平均身長者Mに比べて約13mm前方側に位置させるとともに、上記傾斜面部11を約20°の角度で前上がりに傾斜させた場合には、フロアパネル9上の踵載置領域を水平に形成した場合に比べ、その上方移動量を約4mm(≒13mm×tan20°)だけ低減することができる。また、平均身長者Mに比べて踵部載置位置を約14mm後方側に位置させるように構成した高身長者Tの場合には、フロアパネル9上の踵載置領域を水平に形成した場合に比べ、上記傾斜面部11の下方移動量を約5mm(≒14mm×tan20°)だけ低減することができる。
【0079】
しかも、上記のようにフロアパネル9上の踵載置領域に前上がりに傾斜した傾斜面部11を設けた構造とした場合には、この傾斜面部11上にペダル操作足の踵部を載置した状態で、前突事故が発生した場合に、その衝撃荷重に応じて上記ペダル操作足の踵部が車体の前方側に移動するのを上記傾斜面部11により抑制することができるため、運転時の安全性を効果的に向上できるという利点もある。
【0080】
なお、上記傾斜面部11の上面の傾斜角度αが23.5°よりも大きいと、傾斜面部11上に載置されたペダル操作足の踵部がペダル操作時の反力に応じて後方に滑り落ち易い傾向があるため、上記傾斜角度αを23.5°以下に設定することにより、上記踵部Ksの滑り落ちを防止して安定した踵部の載置状態を得られるようにすることが望ましい。また、上記傾斜面部11の上面の傾斜角度αが13.5°未満である場合には、上記可動フロア部36の昇降駆動範囲が大きくなるのを抑制する効果が充分に得られないため、上記傾斜角度αを13.5°以上に設定することが望ましい。
【0081】
また、上記第1実施形態では、車両の走行駆動源を操作するアクセルペダル4からなる操作ペダルを、運転者により踏込操作される可動ペダル部材17と、上記フロアパネル9に固定されるペダルベース部材15とを備えたオルガン式ペダルにより構成するとともに、上記アクセルペダル4の踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵載置領域を昇降変位させるように構成したため、フロアパネル9上の踵載置領域上にペダル操作足の踵部を載置した状態で微妙なペダル操作を行うことが望まれる上記アクセルペダル4を、簡単な構成で適正に操作できるという利点がある。
【0082】
さらに、上記第1実施形態では、支持台座13、可動フロア部36および昇降駆動部37等を有する踵載置高さ調整手段12と、上記オルガン式ペダルからなるアクセルペダル4のペダルベース部材15とを一体的に車体へ組み付けることができるようにユニット化したため、上記アクセルペダル4および踵載置高さ調整手段12の組付作業を容易かつ適正に行うことができるという利点がある。
【0083】
また、上記第1実施形態では、アクセルペダル4の可動ペダル部材17に、運転者の足裏拇子球部(例えばBm)が当接して踏込操作が行われる領域を、側面視から見て所定の曲率半径で車両の後方側へ円弧状に突出させた凸状面部からなる踏込部20を設けたため、運転者がペダル操作足の踵部(例えばKm)を可動ペダル部材17の枢支部(下端ヒンジ部16)から所定距離だけ車体の後方側に位置させた状態でアクセルペダル4を踏み込むことにより、その踏込量が変化するのに応じて上記踏込部20に対する靴裏面の当接位置が上下にずれるような事態が生じた場合においても、運転者が違和感を受けるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0084】
すなわち、上記可動ペダル部材17の踏込部を直線状に形成し、あるいは靴裏面に合わせて側面視で車両の前方側へ突出させるように湾曲させた構造とすることができる。しかし、このような構造とした場合には、上記踏込部と靴裏面とが面当たりとなった状態で、可動ペダル部材17の踏込量が増大するのに応じてペダル踏面に対する靴裏面の当接位置が足先側へ断続的にスリップしつつ変化するため、この変化が運転者により明確に知覚されて違和感を受けることが避けられない。
【0085】
これに対して上記第1実施形態に示すように、可動ペダル部材17の上部に配設された踏込部20を、側面視で車両の後方側へ突出するように湾曲した円弧状の凸状面部により形成した場合には、この凸状面部からなる踏込部20の一点(例えば踏込中心点20a)に対して靴裏面が、線当たり状態で当接する。したがって、仮に高身長者T等がペダル操作足の踵部Ktを可動ペダル部材17の枢支部から所定距離だけ車体の後方側に位置させた状態でアクセルペダル4を踏み込んだ場合には、その踏込量が変化するのに応じ、上記踏込部20に対する靴裏面の当接位置が転がるように滑らか、かつ連続的に変化することとなって、運転者が違和感を受けるのを効果的に防止することができる。なお、上記アクセルペダル4の踏込量が変化するのに応じて上記踏込部20に対する靴裏面の当接位置が転がるように滑らか、かつ連続的に変化させるためには、上記踏込部20を構成する円弧状の凸状面部の曲率半径を120mm〜200mmの範囲内に設定することが望ましく、その最も好ましい曲率半径は150mm前後である。
【0086】
また、上記第1実施形態では、運転席シート1を前後移動させるとともに、この運転席シート1の前方移動に応じてそのシートクッション1aの後傾角度を低減する前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3等からなるシート調整機構を設けたため、運転席シート1に着座する運転者が、その身長に応じて上記前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3等の駆動特性を適正に設定することにより、運転者の着座姿勢を維持しつつ、そのアイポイントを適正ラインLに一致させるとともに、優れたハンドル操作性およびペダル操作性が得られるように、運転席シート1の前後位置およびシートクッション1aの傾斜角度等を自動的に調整できるという利点がある。
【0087】
そして、上記運転席シート1に着座した運転者が上記シートクッション1aの前後位置および傾斜角度を調整する動作に連動して上記踵載置高さ調整手段12を作動させるように構成した場合には、上記運転者の体格に如何に拘わらず、その踵部を上記傾斜面部11上に載置した状態で、足首角度θ1および足裏の傾斜角度θ7を、アクセルペダル4等の操作に適した角度に維持しつつ、上記運転者がその拇子球部をアクセルペダル4の踏込部20に当接させてペダル操作性を確保できるように、運転者の踵載置高さを自動的に調整できるという利点がある。
【0088】
なお、上記第1実施形態では、前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3等からなるシート調整機構により、運転者のスイッチ操作に応じて自動的に運転席シート1を前後移動させるとともに、この運転席シート1の前方移動に応じてそのシートクッション1aの後傾角度を低減するように構成した例について説明したが、運転者がその手動操作により運転席シート1の前後位置およびシートクッション1aの後傾角度を変化させるように構成してもよい。
【0089】
また、上記ダイア1実施形態では、オルガン式ペダルからなるアクセルペダル4の踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵載置領域を昇降変位させるように構成した例について説明したが、図15に示す第2実施形態のように、ダッシュパネル7に設けられた上端枢支部4aを支点として揺動自在に支持された吊りペダルからなるアクセルペダル4′を備えた車両について本発明を適用可能であることは勿論である。このように吊りペダルからなるアクセルペダル4′を備えた車両では、可動フロア部36を支持する支持台座13上に上記アクセルペダル4を支持させる必要がないので、その構造を簡略化することが可能である。
【0090】
図16および図17は、本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第3実施形態を示している。この第3実施形態では、上面板41の後方部に前上がりに傾斜した傾斜面部が設けられた可動フロア部36と、その後方下面に設けられた前上がりの後方ガイド部51を押し上げるように駆動する第1押上台座52と、可動フロア部36の前方下面に設けられた後上がりの前方ガイド部53を押し上げるように駆動する第2押上台座54と、出力軸にピニオンギア56が固定された駆動モータ55とが、上記踵載置高さ調整手段12の支持台座13上に配設されている。そして、上記第1,第2押上台座52,54に突設されたラックギア57,58が上記駆動モータ55により駆動されるようになっている。
【0091】
そして、運転者が運転席シート1の前後位置等を調整する操作に応じ、上記駆動モータ55を作動させてラックギア57,58を駆動することにより、図16に示すように、上記第1,第2押上台座52,54が互いに近接した初期位置から、図17に示すように、上記第1,第2押上台座52,54が互いに離間した押上位置にそれぞれ駆動されることにより、上記可動フロア部36の後部および前部が上記第1,第2押上台座52,54を介してそれぞれ押し上げられるように構成されている。このように第1,第2押上台座52,54により可動フロア部36の後部および前部の両方を同時に押し上げるように構成した場合には、簡単な構造で上記可動フロア部36をスムーズに昇降駆動できるという利点がある。
【0092】
また、図18および図19は、本発明に係る車両用運転姿勢調節装置の第4実施形態を示している。この第4実施形態では、上記踵載置高さ調整手段12の支持台座13上に、前上がりの上面板41を有する可動フロア部36と、車幅方向に延びるように設置された回転軸93と、この回転軸93に固定された駆動ギア94と、この駆動ギア94を回転駆動するピニオンギア95が出力軸に設けられた駆動モータ96と、上記回転軸93に固定されて可動フロア部36を押し上げるように駆動する左右一対の押上リンク97と、可動フロア部36に設けられた突部43およびこれを昇降自在に支持するガイドバー45からなるガイド部98とが配設されている。
【0093】
そして、運転者が運転席シート1の前後位置等を調整する操作に応じ、上記駆動モータ96を作動させて押上リンク97を揺動変位させるとともに、この押上リンク97の先端部に突設された駆動軸99を、上記可動フロア部36の側板に形成された円弧状の溝部36aに沿って摺動させることにより、上記ガイド部98を介して上記可動フロア部36を支持しつつ、図18に示す下降位置から図19に示す上昇位置に昇降変位させるよう構成されている。
【符号の説明】
【0094】
1 運転席シート
4 アクセルペダル(操作ペダル)
9 フロアパネル
11 傾斜面部
12 踵載置高さ調整手段
15 ペダルベース部材
17 可動ペダル部材
36 可動フロア部
37 昇降駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室のフロアパネル上に設置された運転席シートと、この運転席シートに着座した運転者により踏込操作される操作ペダルとを備えた車両用運転姿勢調節装置であって、上記操作ペダルの踏込操作時に運転者の踵部が載置されるフロアパネル上の踵載置領域を昇降変位させることにより運転者の踵載置高さを調整する踵載置高さ調整手段を有し、この踵載置高さ調整手段により昇降駆動される踵載置領域の前後幅および前後位置が、運転席シートに着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する上記踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定されたことを特徴とする車両用運転姿勢調節装置。
【請求項2】
上記踵載置高さ調整手段には、フロアパネルに昇降自在に支持された可動フロア部と、この可動フロア部を昇降駆動する昇降駆動部とが設けられるとともに、上記可動フロア部の前後幅および前後位置が、運転席シートに着座する運転者の体格および着座姿勢により変化する上記踵部の最前方位置と最後方位置とに基づいて設定されたことを特徴とする請求項1に記載の車両用運転姿勢調節装置。
【請求項3】
上記フロアパネル上の踵載置領域には、前上がりに傾斜した傾斜面部が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用運転姿勢調節装置。
【請求項4】
上記操作ペダルは、車両の走行駆動源を操作するアクセルペダルであり、このアクセルペダルが、運転者により踏込操作される可動ペダル部材と、上記フロアパネルに固定されるペダルベース部材とを具備したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用運転姿勢調節装置。
【請求項5】
上記踵載置高さ調整手段と、アクセルペダルのペダルベース部材とが一体的に車体へ組み付けられるようにユニット化されたことを特徴とする請求項4に記載の車両用運転姿勢調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−63199(P2011−63199A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217689(P2009−217689)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】