車両用運転支援システム
【課題】他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行うことができる運転支援システムを実現する。
【解決手段】マッピングブロック5Aでは自車及び他車を地図DB上にマッピングし、他車交差点抽出ブロック5Bでは他車の走行路上の交差点列を抽出し、自車交差点抽出ブロック5Cでは自車前方の交差点列を抽出し、衝突交差点特定ブロック5Dでは他車交差点列と自車交差点列とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点として特定し、情報提供ブロック5Eでは衝突交差点までの距離と車速とから衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供する。
【解決手段】マッピングブロック5Aでは自車及び他車を地図DB上にマッピングし、他車交差点抽出ブロック5Bでは他車の走行路上の交差点列を抽出し、自車交差点抽出ブロック5Cでは自車前方の交差点列を抽出し、衝突交差点特定ブロック5Dでは他車交差点列と自車交差点列とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点として特定し、情報提供ブロック5Eでは衝突交差点までの距離と車速とから衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車の情報と車車間通信により他車から取得した情報とを用いて情報提供を行う運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車車間通信により通信相手車両から送信される交差点座標と自車前方の交差点座標とを比較することで、相手車両が自車と同じ交差点に進入しようとしているか判定する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2004−185429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、車両ごとの位置検出精度のばらつきに影響を受けず、車車間通信を利用して相手車両の位置を精度良く認識することをねらいとし、相手車両から送信される交差点座標と自車前方の交差点座標とを用いて、相手車両が自車と同じ交差点に進入しようとしているか判定している。また、交差点からの距離を同時送信することにより、交差点に対する相対位置精度の向上を図っている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、相手車両の保有する地図データベースから参照した交差点座標を送信するので、受信側車両の保有する地図データベースと仕様が異なっている場合、地図上での交差点座標が異なり、他車のマッピングがずれて正確な衝突予測ができない。つまり、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができず、適切な衝突警報等を行うことができないという課題がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行うことができる運転支援システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る第1の形態は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、自車と他車との間で情報を送受信する車車間通信手段と、前記車車間通信手段により取得した他車情報から他車位置を特定し、前記地図データ上にマッピングするマッピング手段と、前記他車情報に含まれる他車位置、進行方向、車速から他車の走行路を予測し、予測された走行路上の交差点を抽出する他車交差点抽出手段と、前記自車の前方の交差点を抽出する自車交差点抽出手段と、抽出された他車交差点と自車交差点とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点とする衝突交差点特定手段と、前記衝突交差点までの他車の距離と車速とから当該衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供を行う情報提供手段と、を有する。
【0007】
この第1の形態によれば、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行うことができる。
【0008】
また、第2の形態では、前記情報提供手段は、前記地図データ上にマッピングされる他車位置にずれが生じやすい道路形状の場合、情報提供の形態を変更する。この形態によれば、他車との衝突可能性を誤判定することによる情報提供の遅れや誤った情報提供を回避することができる。
【0009】
また、第3の形態では、前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、二等辺三角形を用いて他車の走行路の前記衝突交差点に対する交差角度を算出する。この形態によれば、他車の走行路の交差点に対する交差角度を精度良く算出することができるので、例えば出会い頭衝突に関する情報提供を行う必要のある場面で右折衝突を予測した情報提供を行ってしまう等の不都合を回避できる。
【0010】
また、第4の形態では、前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、当該他車の走行路の交差点ノードのうち前記衝突交差点の直前の交差点ノードを用いて他車の走行路の衝突交差点に対する交差角度を算出する。この形態によれば、例えば他車がいびつな形状のカーブ路を走行中でも精度よく交差点への進入角度を算出することができる。
【0011】
また、第5の形態では、前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記自車から所定距離以内に存在する所定台数以下の車両に限定される。
【0012】
また、第6の形態では、前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記他車の走行路ごとに最大台数が決められている。
【0013】
これらの形態によれば、複数の他車を自車の地図データ上にマッピングする際の演算処理負荷を軽減することができる。
【0014】
また、第7の形態では、前記衝突交差点における自車と他車との衝突パターンを予測する衝突パターン予測手段を更に有し、前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、予測される衝突パターンに当てはまる車両に限定される。
【0015】
また、第8の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が高速道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングする。
【0016】
また、第9の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が前記衝突交差点付近を走行している場合、前記衝突パターンとして前記衝突交差点での右左折時の衝突又は当該衝突交差点での直進時の衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車から所定距離以内に存在する他車をマッピングする。
【0017】
また、第10の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側二車線以上の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングする。
【0018】
また、第16の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側一車線の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は正面衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車の前方に存在する他車をマッピングする。
【0019】
これら第7〜第10、第16の形態によれば、自車の走行状態に応じて衝突可能性のある車両を特定するだけでなく、その車両との衝突類型を推定することができ、衝突可能性の予測精度を高めることができる。
【0020】
また、第11の形態では、前記マッピング手段は、所定車速以下の他車が前記自車から所定距離以内に複数存在する場合、これらを渋滞路を走行している車両としてグループ化する。この形態によれば、複数の他車を自車の地図データ上にマッピングする際の演算処理負荷を軽減することができる。
【0021】
また、第12の形態では、前記マッピング手段は、他車情報から特定車両を抽出し、抽出した特定車両を優先してマッピングする。この形態によれば、衝突可能性の高い特定車両を優先してマッピングして、衝突可能性を早期に判定することができる。
【0022】
また、第13の形態では、前記他車には二輪車が含まれる。この形態によれば、二輪車をも含めた他車との衝突可能性を精度良く判定することができる。
【0023】
また、第14の形態では、前記マッピング手段は、自車の前方に存在する車両のうち、駐停車車両、減速車両、自車との相対速度が基準値を超える車両を抽出し、抽出した車両を優先してマッピングする。この形態によれば、衝突可能性の高い車両を優先してマッピングして、衝突可能性を早期に判定することができる。
【0024】
また、第15の形態では、前記マッピング手段は、自車の後方に存在する車両のうち、自車より遅い車両をマッピングから除外する。この形態によれば、衝突可能性のない他車のマッピングによる無駄な演算処理を省くことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行える運転支援システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0028】
[システム構成]
図1は、本発明に係る実施形態の運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【0029】
図1において、車両に搭載される運転支援システム1は、同システムを搭載する1台又は複数台の他車(相手車両や対向車両ともいう。)との間で各種情報を送受する車車間通信装置2と、カーナビゲーション装置3と、自車の走行状態に関する情報を出力する走行状態検出装置4と、これら装置2,3,4から取得した各種情報に基づいて自車と自車の周囲に存在する他車との衝突可能性を予測し、予測結果に応じてドライバに衝突を回避するための情報提供(警報)を行う運転支援制御を行うECU5と、を備える。
【0030】
車車間通信装置2は送受信アンテナ21を備え、例えば自車位置の周囲数百mの範囲に存在する他車との間で無線通信により自車情報の配信及び他車情報の受信を行う。なお、他車との距離が数十m程度であれば、DSRC(狭域無線通信方式)等の路車間通信を利用してもよい。
【0031】
カーナビゲーション装置3はGPSアンテナ31及びGPS受信機32を備え、例えば自車の位置情報(緯度、経度、方位等に関する情報)をECU5に出力する。また、カーナビゲーション装置3は地図情報等の画像を表示するディスプレイ33及び経路誘導等で音声メッセージ等を発するスピーカ34を備え、上記ECU5は、これらディスプレイ33及びスピーカ34を利用して、自車に接近する他車の存在や自車との衝突可能性が高い他車の存在を画像や音声等でドライバに情報提供(警報)を行う。
【0032】
更に、カーナビゲーション装置3は、地図データベース(以下、地図DB)35を備え、ECU5は、この地図DB35から、例えばマップマッチング後の自車の位置座標、前方交差点座標(列)、各交差点までの距離、各交差点の信号機の有無、各交差点での分岐路の交差角度(道路接続角度)、各分岐路の道路情報(道路種別(国道や県道等)、路線番号、道路幅員、車線数等)、自車の走行路情報(道路種別、路線番号、道路幅員、車線数等)を得る(以下、これらの情報をナビ情報という。)。なお、カーナビゲーション装置3にDGPS(デファレンシャルGPS)を内蔵することで、FM多重放送の補正データを受信してGPSの位置情報を補正し、測位精度を高めることもできる。
【0033】
走行状態検出装置4は、例えば自車の車速を検出する車速センサ、加速度を検出する加速センサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、自車の進行方向(方位)を検出するジャイロメータ等からなる自律航法装置等のセンサ類や、オン/オフ信号を出力するイグニッションスイッチやハザードスイッチ、ブレーキスイッチ、ウインカースイッチ等のスイッチ類を含み、ECU5は、これらセンサ類やスイッチ類から自車の走行状態情報を得る。
【0034】
ECU5は、CPU51、RAM52、ROM53を基本構成とするコンピュータである。ROM53には、車車間通信装置2により異なる車両間で情報の授受を行う通信プログラム、上記車車間通信装置2を介して取得した他車情報やナビ情報、走行状態情報等を利用して他車との衝突可能性を判定するプログラム、自車位置及び他車位置を地図上に表示すると共に、上記衝突可能性に応じてドライバに画像や音声で注意を喚起するための警報を出力するプログラムが夫々格納されている。
【0035】
ECU5は、自車の位置や速度、進行方向(方位)等に関するナビ情報や走行状態情報に加えて、自車の車両サイズ(全長や全幅等)や車両の種別(大型車、乗用車、緊急車等)を含む固有の識別(ID)情報(送信元情報)、他車のID情報(送信先情報)を、所定の車車間通信可能な範囲内に存在する他車に対して車車間通信装置2を介して配信する(以下、これらの情報を自車情報という。)。同様に、ECU5は他車に関する配信情報(以下、他車情報という。)を他車から受信する。
【0036】
なお、本実施形態の車車間通信では、複数車両への配信を同時に行える同報通信方式(ブロードキャスト方式)を適用するが、送信元及び送信先の車両を特定し通信開始時に回線接続を確立するような通信方式を適用してもよい。
【0037】
また、本実施形態の車車間通信は通信間隔が約0.1秒であり、車両のイグニッションスイッチがオフであっても、駐車車両としての把握のために情報が配信されるようになっている。
【0038】
また、路面の交差点や交差点付近等にインフラ装置(例えば、路車間通信で利用されるビーコン等)が設けられている場合には、自車近くに設けられたインフラ装置を利用して、自車は周辺の他車に対して自車情報を配信することもできる。
【0039】
ECU5は、上記他車情報や上記ナビ情報、上記走行状態情報を利用して、自車及び他車が交差する交差点を抽出し、その交差点までの距離と到達時間を予測して衝突する可能性のある他車を特定し、その衝突可能性のある他車の存在を当該交差点手前で自車に情報提供(警報)する。
【0040】
なお、本実施形態では、ナビゲーション装置3のディスプレイ33やスピーカ34を用いて情報提供(警報)を行っているが、例えば、ヘッドアップディスプレイを用いたり、警報音を発するブザーや、ドライバが着座しているシートを振動させるシートバイブレータ等を用いても良い。
【0041】
また、車両に、例えば、自車の周囲を監視する自車の走行路前方を撮像するCCDカメラ、前方車両との車間距離を測定するレーザレーダや、超音波を利用したクリアランスソナー等を設け、ECU5が、これらカメラやレーダ類から得た情報を用いて、自車の前方を走行中或いは前方に駐車している他車を監視して、衝突可能性のある他車を特定してもよい。
【0042】
図2は、本実施形態の運転支援システムを実現するECUの機能ブロック図である。
【0043】
図2において、5Aは、自車及び他車を地図DB上にマッピングするマッピングブロックである。5Bは、他車の走行路上の交差点列を抽出する他車交差点抽出ブロックである。5Cは、自車前方の交差点列を抽出する自車交差点抽出ブロックである。5Dは、他車交差点列と自車交差点列とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点として特定する衝突交差点特定ブロックである。5Eは、衝突交差点までの距離と車速とから衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供する情報提供ブロックである。
【0044】
[情報提供処理]
図3は、本実施形態の車両用運転支援システムによる情報提供処理を示すフローチャートである。
【0045】
図3において、ECU5は、ナビ情報や走行状態情報等の自車情報を取得し配信する(S1,S3)。次に、ECU5は、他車から他車情報を受信したならば、他車のID、位置、速度、進行方向等を含む他車情報を取得する(S5,S7)。
【0046】
次に、ECU5は、後述する衝突可能性のある車両を特定し、地図DB35にマッピングすると共に、ディスプレイ33の地図画像上に自車及び他車を表示する(S9,S11)。ここでの車両位置のマッピングは、ナビゲーション装置で利用される既知のマップマッチング技術を用いる。マップマッチングは、ナビゲーション装置において、ジャイロや車速センサにより検出した車両の方位から車両の走行軌跡を求め、この車両の走行軌跡と地図情報から得た道路形状とを比較して車両の現在位置を求める手法である。
【0047】
次に、ECU5は、衝突可能性のある車両について情報提供を行う(S13)。
【0048】
図6はディスプレイに出力される情報提供画面の一例を示し、自車前方の交差点に右側から他車が接近している場合には、(a)に示す文字及び画像による情報提供(警報)画面を表示すると共に「右から車両が接近中です。」というメッセージやアラームを発する。また、自車前方の交差点に左側から他車が接近している場合には、(b)に示す文字及び画像による情報提供(警報)画面を表示すると共に「左から車両が接近中です。」というメッセージやアラームを発する。
【0049】
[衝突可能性のある車両の特定(実施形態1)]
図4は、図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順を示すフローチャートである。図5は、図4の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【0050】
図4及び図5において、ECU5は、上記自車交差点抽出ブロック5Cとして、自車位置を元に地図DBから前方交差点情報と走行道路情報を取得する(S21)。ここでは、図5に示す自車位置A、交差点iii,vii,vi、走行道路IIを取得する。
【0051】
次に、ECU5は、自車前方交差点のうち直近交差点を抽出し、地図DBからその交差点分岐情報を取得する(S23)。ここでは、図5に示す交差点iiiの分岐情報(I:左から直交、II:自車道路、III:右から直交、IV:正面から対向)を取得する。
【0052】
次に、ECU5は、上記他車交差点抽出ブロック5Bとして、他車位置を元に地図DBから他車の前方交差点情報と走行道路情報を取得する(S25)。ここでは、図5に示す車両B1(交差点:i〜v、走行道路:I)、車両B2(交差点:ii,i、走行道路:I)、車両B3(交差点:iv,v、走行道路:III)、車両B4(交差点:v,iv,iii,ii,i、走行道路:III)、車両B5(交差点:vi,vii,iii,viii,ix、走行道路:IV)、車両B6(交差点:vii,vi、走行道路:IV)、車両B7(交差点:i、走行道路:II)、車両B8(交差点:ix,viii,iv,iii,vii,vi、走行道路:II)を取得する。
【0053】
次に、ECU5は、上記衝突交差点特定ブロック5Dとして、自車の直近交差点が他車の前方交差点に含まれているか判定し、その結果を元にその交差点に向かっている車両を抽出する(S27)。ここでは、図5に示す他車の前方交差点に、自車直近交差点iiiが含まれるものを抽出する(車両B1,B4,B5,B8)。
【0054】
次に、ECU5は、自車直近交差点の分岐情報と他車の走行道路情報よりその車両の交差点に対する進入方向(角度)を特定する(S29)。ここでは、図5に示す自車の直近交差点iiiの分岐情報とその交差点に向かっている車両の走行道路情報より以下の各車両の交差点への進入角度を特定する。
【0055】
車両B1(走行道路I:西から接続→交差点iiiへ左から直交)
車両B4(走行道路III:東から接続→交差点iiiへ右から直交)
車両B5(走行道路IV:北から接続→交差点iiiへ正面から対向)
車両B8(走行道路II:南から接続→交差点iiiへ自車と同一道路)
次に、ECU5は、各々の他車の交差点への進入方向を元に、衝突する可能性のある対象車両を特定する(S31)。ここでは、例えば、出会い頭衝突を予測すれば車両B1(西から接近),B4(東から接近)が対象車両、右折衝突を予測すれば車両B5(北から接近)が対象車両、左折衝突を予測すれば車両B8(南から接近)が対象車両となる。即ち、交差点への進入方向を特定することで、後述する実施形態3のように、出会い頭衝突や右折衝突等の予測すべき衝突や情報提供の対象を切り替えることができる。
【0056】
次に、ECU5は、対象車両についてのみ地図DBから直近交差点への道のり距離を取得し、速度で割ることで直近交差点までの到達時間を計算する(S33)。ここでは、S31で特定した対象車両B1,B4,B5,B8の交差点iiiへの道のり距離を地図DBより取得し、それを対象車両の速度で割ることで交差点iiiへの到達時間が計算できる。
【0057】
しかる後に、図3のS11にて衝突可能性のある対象車両を地図DB35にマッピングすると共に、S13にて対象車両の直近交差点への道のり距離と到達時間を元に情報提供を行う。
【0058】
なお、上記手順において、他車情報から他車におけるナビゲーションシステムの経路誘導情報を取得し、この経路誘導情報から他車の走行路を予測することで、経路誘導に従った他車の走行路と自車の走行路とが交差する交差点を抽出できる。これにより、自車の進入交差点直前で右折又は左折するような経路誘導情報を持つ他車を除外することができ、他車の特定精度を高めることができる。
【0059】
[交差点進入角度の算出1]
以下に、カーブ路を含む交差点において他車の交差点進入角度を算出する方法1について説明する。
【0060】
従来の運転支援システムでは、他車が交差点に対してどの方向から進入してくるかを予測し、どのような衝突類型(図14参照)を予測するのかを決定する必要がある。そこで、地図DBを用いて、交差点に接続する道路IDと接続角度とを参照し、他車がどの道路を走行しているのかが特定できれば、その他車がどの方向から接近してくるかを特定している。しかしながら、現状の地図DBでは道路毎に固有のIDが付されているわけではないので、他車の交差点への接近方向を地図DBから求めることができない。
【0061】
従来は、自車Aの方位角θ1に対する他車Bの方位角θ2を元に交差点進入角度を求めていた(図7(a)参照)。この方法では他車がカーブ路を走行している場合、車両の方位角と交差点の接続角が異なるために誤った交差点進入角度を算出してしまうことがあり、例えば出会い頭衝突に関する情報提供を行う必要のある場面で右折衝突を予測した情報提供を行ってしまい、ドライバに混乱をきたすおそれがある。
【0062】
そこで、上記のような場面においても精度よく交差点進入角度を算出できる方法を以下に説明する。即ち、 図7(b)において、自車Aの方位角をθ1、他車Bの方位角をθ2、交差点と他車とを結ぶ成分の傾きをφとする。ここで道路の交差角度Xを求めるために、交差点と他車とを結ぶ線分を底辺、その線分と他車の進行方向のなす角を底角とする二等辺三角形を描くと、求めたい道路の交差角度Xは2×φ−θ2±π(±の符号はθ2とφの大小で決まる)で求まる。そして、θ1とXとの差を計算することで、自車の方位角に対する他車の交差点進入角度を求めることができる。
【0063】
なお、交差点近傍(交差点手前10m以下を目安)では道路形状の影響を受けにくいので、この方法は行わず、遠方で演算した値を用いて交差角度を決定する本手法を用いることで、他車がカーブ路を走行中でも精度よく交差点への進入角を求めることができる。しかも、複雑な計算を必要とせず、簡単な処理で求めることができる。
【0064】
[交差点進入角度の算出2]
以下に、カーブ路を含む交差点において他車の交差点進入角度を算出する方法2について説明する。
【0065】
従来の運転支援システムでは、図7(a)に示す手法以外に、交差点と他車Bとを結ぶ線分の傾きの角度と他車Bの方位角を元に交差点進入角度を求めていた(図8(a)参照)。
【0066】
しかし、この方法では、他車が走行している道路のカーブ形状がいびつな場合や、交差点とカーブ路との間に長い直線部がある場合等は交差点進入角度の予測精度が悪化することがある。
【0067】
そこで、上記のような場面においても精度よく交差点進入角度を算出できる方法を以下に説明する。即ち、
図8(b)において、他車Bの位置より他車の走行道路上のノード列Niを地図DBより取得する。そのノード列Niの中から、自車の直近交差点のノードN手前のリンクL1を抽出し、そのリンクL1の座標と直近交差点のノードNの座標とを結ぶ線分の傾きXを求める。そして、自車Aの方位角θ1とXとの差を計算することで自車Aに対する他車Bの交差点進入角度を求めることができる。なお、上記ノードは、地図DB上において直線道路では100mごと、カーブ路では10〜20mごとに設定された位置情報であり、リンクは近接するノード同士を接続した接続情報である。
【0068】
本手法を用いることで、他車がいびつな形状のカーブ路を走行中でも精度よく交差点への進入角度を求めることができる。
【0069】
[マッピング位置のずれ等]
図9(a)に示すように、車幅の狭い道路が複数存在し密集した場所を走行している場合であって、例えば高層ビルが近くにあって他車BのGPSでの測位精度が低いときには(GPS信号がビルで反射して到達時間が異なってしまう。)、地図DB上において実際の道路Rとは異なる道路R’に他車B’をマッピングしてしまうことがある。このような場合、自車Aの直前交差点に他車B’が接近していると誤判定してしまい、情報提供の遅れや誤った情報提供の原因となる。
【0070】
また、地図DBが古いと、地図に載っていない新しい道路を走っている他車との衝突可能性を判定できない。
【0071】
また、他車がGPS信号を受信できない場合、他車位置がわからないため衝突可能性を判定できない。
【0072】
更に、現状の地図DBには全ての道路にIDが付されているわけではなく、その代わりに道路の種別(国道、県道、その他道路等)と路線番号(1号線等、ただし番号が付されていない道路もある)が割り振られている。このため、他車の交差点への接近方向を地図DBから求めることができない場合がある。
【0073】
そこで、上記のようにマッピングがずれやすい場所や衝突可能性を判定できない場合には、図9(b)に示すように情報提供の仕方を変更する。ここでの情報提供の仕方は、例えば、意図的に道路以外を走行しているように表示し、「目視確認」を促すようなメッセージを表示したり、アラーム音やアクセル等のペダルを振動させて報知する。
【0074】
[衝突可能性のある車両の特定(実施形態2)]
図10は、図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態2を示すフローチャートである。図11は、図10の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【0075】
上記実施形態1では、複数の他車を自車の地図DB上にマッピングし、車両毎に経路予測をしなければならないので膨大な演算処理を必要とする(通信可能最大台数は200台以上)。このように、システムのCPU処理能力によってマッピング処理が可能な台数に限度がある。しかし、他車の台数がその限度を越える場合があり、マッピングする対象車両を選別する必要がある。
【0076】
そこで、実施形態2では、図4で説明した衝突可能性のある対象車両を特定する際に、自車から近いものから所定台数以下を抽出する、及び/又は対象車両を自車直近交差点と交差する道路ごとに設定された台数以下に限定することにより、マッピングする対象車両を選別するものである。
【0077】
なお、図10において、図4と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
即ち、ECU5は、自車前方交差点のうち直近交差点を抽出し、地図DBからその交差点分岐情報を取得した後(S23)、他車情報を元に特定車両を抽出する(S41)。ここでの特定車両は、高速車両、ハザード点灯車両、緊急車両等である。
【0079】
次に、ECU5は、他車情報を元に優先車両を抽出する(S43)。ここでの優先車両は、自車前方に存在する停止車両、減速車両、相対速度差が大きい車両等である。
【0080】
次に、ECU5は、他車情報を元に非優先車両を抽出する(S45)。ここでの非優先車両は、自車後方に存在し、自車より低速の車両等である。
【0081】
次に、ECU5は、他車情報を元に渋滞車両を抽出し、自車と最も近接する車両を代表車として抽出する(S47)。ここでの渋滞車両は、車速が所定値以下で、自車から所定範囲内に存在する車両等であり、複数の渋滞車両をグループ化する。
【0082】
次に、ECU5は、上記特定車両、優先車両、非優先車両を除いた一般車両の位置情報を元に自車との距離が近いものから一般車両を所定台数抽出する(S49)。ここで、渋滞車両は、代表車両1台としてカウントする。
【0083】
次に、ECU5は、S49で抽出した一般車両の位置情報を元に地図DBから一般車両の走行道路情報を取得する(S51)。
【0084】
次に、ECU5は、道路ごとに設定された最大台数以下となるように一般車両を自車位置に近いものから抽出する(S53)。
【0085】
次に、ECU5は、上記特定車両、優先車両、限定した一般車両の位置情報を元に地図DBから各車両の走行道路情報を取得する(S55)。
【0086】
次に、ECU5は、上記特定車両、優先車両、限定した一般車両の前方交差点情報を取得する(S57)。
【0087】
しかる後に、図4のS27以降の処理を実行する。
【0088】
なお、上記フローにおけるS49とS53は、いずれか一方を実行するようにしても良い。
【0089】
上記実施形態2によれば、複数の他車を自車の地図DB上にマッピングする際の演算処理負荷を軽減することができる。また、衝突可能性の高い車両を優先してマッピングして、衝突可能性を早期に判定することができる。更に、自車の後方に存在する車両のうち、自車より遅い車両をマッピングから除外し、衝突可能性のない他車のマッピングによる無駄な演算処理を省くことができる。
【0090】
[衝突可能性のある車両の特定(実施形態3)]
図12は、図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態3を示すフローチャートである。図13は、図12の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。図14は、衝突可能性のある車両を特定する際に予測される衝突類型を例示する図である。
【0091】
実施形態3は、図4で説明した衝突可能性のある対象車両を特定する際に、自車の走行状態から他車との衝突類型を推定するものである。
【0092】
なお、図12において、図4と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0093】
即ち、ECU5は、自車前方交差点のうち直近交差点を抽出し、地図DBからその交差点分岐情報を取得した後(S23)、自車の走行状態を推定する(S61)。ここでは、自車情報から、自車の走行道路が高速道、交差点付近、単路で交差点のない一般道等であるかを推定する。
【0094】
次に、ECU5は、走行状態に応じた衝突類型を推定する(S63)。衝突類型としては、図14に示す6種類が挙げられ、例えば、自車が高速道を走行している場合には、追突や車線変更に伴う衝突が推定され、自車が交差点付近を走行している場合には、出会い頭衝突や右左折衝突が推定され、自車が単路で交差点のない一般道を走行しているならば正面衝突が推定される。
【0095】
次に、ECU5は、上記S63で推定される衝突類型により、他車を限定して抽出する(S65)。
【0096】
上記S63,65では、自車が高速道路を走行している場合には、衝突類型として追突又は車線変更時の衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車の前方若しくは後方に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0097】
また、自車が衝突交差点付近を走行している場合には、衝突類型として衝突交差点での右左折時の衝突、衝突交差点での直進時の出会い頭衝突或いは正面衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車から所定距離以内に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0098】
更に、自車が片側二車線以上の交差点のない一般道路を走行している場合には、衝突類型として追突又は車線変更時の衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車の前方若しくは後方に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0099】
更に、自車が片側一車線の交差点のない一般道路を走行している場合には、衝突類型として追突又は正面衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車の前方に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0100】
次に、ECU5は、上記S65で限定した他車の前方交差点情報を取得する(S67)。
【0101】
しかる後に、図4のS27以降の処理を実行する。
【0102】
なお、二輪車に図1よりも簡易的な車車間通信装置を搭載することで、他車に二輪車を含めることができ、例えば左折衝突の類型として、二輪車の巻き込みを推定することもできる。
【0103】
上記実施形態3によれば、自車の走行状態に応じて衝突可能性のある車両を特定するだけでなく、その車両との衝突類型を推定することができ、衝突可能性の予測精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る実施形態の運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の運転支援システムを実現するECUの機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の車両用運転支援システムによる情報提供処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態1を示すフローチャートである。
【図5】図4の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【図6】ディスプレイに出力される情報提供画面の一例を示す図である。
【図7】図4のS29における交差点進入方向の算出方法1(b)を従来の方法(a)と比較して示す図である。
【図8】図4のS29における交差点進入方向の算出方法2(b)を従来の方法(a)と比較して示す図である。
【図9】マッピングのずれ等により情報提供の仕方を変更する方法を説明する図である。
【図10】図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態2を示すフローチャートである。
【図11】図10の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【図12】図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態3を示すフローチャートである。
【図13】図12の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【図14】衝突可能性のある車両を特定する際に予測される衝突類型を例示する図である。
【符号の説明】
【0105】
1 運転支援システム
2 車車間通信装置
3 カーナビゲーション装置
4 走行状態検出装置
5 ECU
21 送受信アンテナ
31 GPSアンテナ
32 GPS受信機
33 ディスプレイ
34 スピーカ
35 地図DB
51 CPU
52 RAM
53 ROM
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車の情報と車車間通信により他車から取得した情報とを用いて情報提供を行う運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車車間通信により通信相手車両から送信される交差点座標と自車前方の交差点座標とを比較することで、相手車両が自車と同じ交差点に進入しようとしているか判定する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2004−185429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、車両ごとの位置検出精度のばらつきに影響を受けず、車車間通信を利用して相手車両の位置を精度良く認識することをねらいとし、相手車両から送信される交差点座標と自車前方の交差点座標とを用いて、相手車両が自車と同じ交差点に進入しようとしているか判定している。また、交差点からの距離を同時送信することにより、交差点に対する相対位置精度の向上を図っている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、相手車両の保有する地図データベースから参照した交差点座標を送信するので、受信側車両の保有する地図データベースと仕様が異なっている場合、地図上での交差点座標が異なり、他車のマッピングがずれて正確な衝突予測ができない。つまり、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができず、適切な衝突警報等を行うことができないという課題がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされ、その目的は、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行うことができる運転支援システムを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る第1の形態は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、自車と他車との間で情報を送受信する車車間通信手段と、前記車車間通信手段により取得した他車情報から他車位置を特定し、前記地図データ上にマッピングするマッピング手段と、前記他車情報に含まれる他車位置、進行方向、車速から他車の走行路を予測し、予測された走行路上の交差点を抽出する他車交差点抽出手段と、前記自車の前方の交差点を抽出する自車交差点抽出手段と、抽出された他車交差点と自車交差点とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点とする衝突交差点特定手段と、前記衝突交差点までの他車の距離と車速とから当該衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供を行う情報提供手段と、を有する。
【0007】
この第1の形態によれば、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行うことができる。
【0008】
また、第2の形態では、前記情報提供手段は、前記地図データ上にマッピングされる他車位置にずれが生じやすい道路形状の場合、情報提供の形態を変更する。この形態によれば、他車との衝突可能性を誤判定することによる情報提供の遅れや誤った情報提供を回避することができる。
【0009】
また、第3の形態では、前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、二等辺三角形を用いて他車の走行路の前記衝突交差点に対する交差角度を算出する。この形態によれば、他車の走行路の交差点に対する交差角度を精度良く算出することができるので、例えば出会い頭衝突に関する情報提供を行う必要のある場面で右折衝突を予測した情報提供を行ってしまう等の不都合を回避できる。
【0010】
また、第4の形態では、前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、当該他車の走行路の交差点ノードのうち前記衝突交差点の直前の交差点ノードを用いて他車の走行路の衝突交差点に対する交差角度を算出する。この形態によれば、例えば他車がいびつな形状のカーブ路を走行中でも精度よく交差点への進入角度を算出することができる。
【0011】
また、第5の形態では、前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記自車から所定距離以内に存在する所定台数以下の車両に限定される。
【0012】
また、第6の形態では、前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記他車の走行路ごとに最大台数が決められている。
【0013】
これらの形態によれば、複数の他車を自車の地図データ上にマッピングする際の演算処理負荷を軽減することができる。
【0014】
また、第7の形態では、前記衝突交差点における自車と他車との衝突パターンを予測する衝突パターン予測手段を更に有し、前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、予測される衝突パターンに当てはまる車両に限定される。
【0015】
また、第8の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が高速道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングする。
【0016】
また、第9の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が前記衝突交差点付近を走行している場合、前記衝突パターンとして前記衝突交差点での右左折時の衝突又は当該衝突交差点での直進時の衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車から所定距離以内に存在する他車をマッピングする。
【0017】
また、第10の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側二車線以上の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングする。
【0018】
また、第16の形態では、前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側一車線の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は正面衝突を予測し、前記マッピング手段は、前記自車の前方に存在する他車をマッピングする。
【0019】
これら第7〜第10、第16の形態によれば、自車の走行状態に応じて衝突可能性のある車両を特定するだけでなく、その車両との衝突類型を推定することができ、衝突可能性の予測精度を高めることができる。
【0020】
また、第11の形態では、前記マッピング手段は、所定車速以下の他車が前記自車から所定距離以内に複数存在する場合、これらを渋滞路を走行している車両としてグループ化する。この形態によれば、複数の他車を自車の地図データ上にマッピングする際の演算処理負荷を軽減することができる。
【0021】
また、第12の形態では、前記マッピング手段は、他車情報から特定車両を抽出し、抽出した特定車両を優先してマッピングする。この形態によれば、衝突可能性の高い特定車両を優先してマッピングして、衝突可能性を早期に判定することができる。
【0022】
また、第13の形態では、前記他車には二輪車が含まれる。この形態によれば、二輪車をも含めた他車との衝突可能性を精度良く判定することができる。
【0023】
また、第14の形態では、前記マッピング手段は、自車の前方に存在する車両のうち、駐停車車両、減速車両、自車との相対速度が基準値を超える車両を抽出し、抽出した車両を優先してマッピングする。この形態によれば、衝突可能性の高い車両を優先してマッピングして、衝突可能性を早期に判定することができる。
【0024】
また、第15の形態では、前記マッピング手段は、自車の後方に存在する車両のうち、自車より遅い車両をマッピングから除外する。この形態によれば、衝突可能性のない他車のマッピングによる無駄な演算処理を省くことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、他車を精度良く自車の地図データ上にマッピングすることができ、他車との衝突可能性判定を精度良く行える運転支援システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0028】
[システム構成]
図1は、本発明に係る実施形態の運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【0029】
図1において、車両に搭載される運転支援システム1は、同システムを搭載する1台又は複数台の他車(相手車両や対向車両ともいう。)との間で各種情報を送受する車車間通信装置2と、カーナビゲーション装置3と、自車の走行状態に関する情報を出力する走行状態検出装置4と、これら装置2,3,4から取得した各種情報に基づいて自車と自車の周囲に存在する他車との衝突可能性を予測し、予測結果に応じてドライバに衝突を回避するための情報提供(警報)を行う運転支援制御を行うECU5と、を備える。
【0030】
車車間通信装置2は送受信アンテナ21を備え、例えば自車位置の周囲数百mの範囲に存在する他車との間で無線通信により自車情報の配信及び他車情報の受信を行う。なお、他車との距離が数十m程度であれば、DSRC(狭域無線通信方式)等の路車間通信を利用してもよい。
【0031】
カーナビゲーション装置3はGPSアンテナ31及びGPS受信機32を備え、例えば自車の位置情報(緯度、経度、方位等に関する情報)をECU5に出力する。また、カーナビゲーション装置3は地図情報等の画像を表示するディスプレイ33及び経路誘導等で音声メッセージ等を発するスピーカ34を備え、上記ECU5は、これらディスプレイ33及びスピーカ34を利用して、自車に接近する他車の存在や自車との衝突可能性が高い他車の存在を画像や音声等でドライバに情報提供(警報)を行う。
【0032】
更に、カーナビゲーション装置3は、地図データベース(以下、地図DB)35を備え、ECU5は、この地図DB35から、例えばマップマッチング後の自車の位置座標、前方交差点座標(列)、各交差点までの距離、各交差点の信号機の有無、各交差点での分岐路の交差角度(道路接続角度)、各分岐路の道路情報(道路種別(国道や県道等)、路線番号、道路幅員、車線数等)、自車の走行路情報(道路種別、路線番号、道路幅員、車線数等)を得る(以下、これらの情報をナビ情報という。)。なお、カーナビゲーション装置3にDGPS(デファレンシャルGPS)を内蔵することで、FM多重放送の補正データを受信してGPSの位置情報を補正し、測位精度を高めることもできる。
【0033】
走行状態検出装置4は、例えば自車の車速を検出する車速センサ、加速度を検出する加速センサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサ、自車の進行方向(方位)を検出するジャイロメータ等からなる自律航法装置等のセンサ類や、オン/オフ信号を出力するイグニッションスイッチやハザードスイッチ、ブレーキスイッチ、ウインカースイッチ等のスイッチ類を含み、ECU5は、これらセンサ類やスイッチ類から自車の走行状態情報を得る。
【0034】
ECU5は、CPU51、RAM52、ROM53を基本構成とするコンピュータである。ROM53には、車車間通信装置2により異なる車両間で情報の授受を行う通信プログラム、上記車車間通信装置2を介して取得した他車情報やナビ情報、走行状態情報等を利用して他車との衝突可能性を判定するプログラム、自車位置及び他車位置を地図上に表示すると共に、上記衝突可能性に応じてドライバに画像や音声で注意を喚起するための警報を出力するプログラムが夫々格納されている。
【0035】
ECU5は、自車の位置や速度、進行方向(方位)等に関するナビ情報や走行状態情報に加えて、自車の車両サイズ(全長や全幅等)や車両の種別(大型車、乗用車、緊急車等)を含む固有の識別(ID)情報(送信元情報)、他車のID情報(送信先情報)を、所定の車車間通信可能な範囲内に存在する他車に対して車車間通信装置2を介して配信する(以下、これらの情報を自車情報という。)。同様に、ECU5は他車に関する配信情報(以下、他車情報という。)を他車から受信する。
【0036】
なお、本実施形態の車車間通信では、複数車両への配信を同時に行える同報通信方式(ブロードキャスト方式)を適用するが、送信元及び送信先の車両を特定し通信開始時に回線接続を確立するような通信方式を適用してもよい。
【0037】
また、本実施形態の車車間通信は通信間隔が約0.1秒であり、車両のイグニッションスイッチがオフであっても、駐車車両としての把握のために情報が配信されるようになっている。
【0038】
また、路面の交差点や交差点付近等にインフラ装置(例えば、路車間通信で利用されるビーコン等)が設けられている場合には、自車近くに設けられたインフラ装置を利用して、自車は周辺の他車に対して自車情報を配信することもできる。
【0039】
ECU5は、上記他車情報や上記ナビ情報、上記走行状態情報を利用して、自車及び他車が交差する交差点を抽出し、その交差点までの距離と到達時間を予測して衝突する可能性のある他車を特定し、その衝突可能性のある他車の存在を当該交差点手前で自車に情報提供(警報)する。
【0040】
なお、本実施形態では、ナビゲーション装置3のディスプレイ33やスピーカ34を用いて情報提供(警報)を行っているが、例えば、ヘッドアップディスプレイを用いたり、警報音を発するブザーや、ドライバが着座しているシートを振動させるシートバイブレータ等を用いても良い。
【0041】
また、車両に、例えば、自車の周囲を監視する自車の走行路前方を撮像するCCDカメラ、前方車両との車間距離を測定するレーザレーダや、超音波を利用したクリアランスソナー等を設け、ECU5が、これらカメラやレーダ類から得た情報を用いて、自車の前方を走行中或いは前方に駐車している他車を監視して、衝突可能性のある他車を特定してもよい。
【0042】
図2は、本実施形態の運転支援システムを実現するECUの機能ブロック図である。
【0043】
図2において、5Aは、自車及び他車を地図DB上にマッピングするマッピングブロックである。5Bは、他車の走行路上の交差点列を抽出する他車交差点抽出ブロックである。5Cは、自車前方の交差点列を抽出する自車交差点抽出ブロックである。5Dは、他車交差点列と自車交差点列とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点として特定する衝突交差点特定ブロックである。5Eは、衝突交差点までの距離と車速とから衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供する情報提供ブロックである。
【0044】
[情報提供処理]
図3は、本実施形態の車両用運転支援システムによる情報提供処理を示すフローチャートである。
【0045】
図3において、ECU5は、ナビ情報や走行状態情報等の自車情報を取得し配信する(S1,S3)。次に、ECU5は、他車から他車情報を受信したならば、他車のID、位置、速度、進行方向等を含む他車情報を取得する(S5,S7)。
【0046】
次に、ECU5は、後述する衝突可能性のある車両を特定し、地図DB35にマッピングすると共に、ディスプレイ33の地図画像上に自車及び他車を表示する(S9,S11)。ここでの車両位置のマッピングは、ナビゲーション装置で利用される既知のマップマッチング技術を用いる。マップマッチングは、ナビゲーション装置において、ジャイロや車速センサにより検出した車両の方位から車両の走行軌跡を求め、この車両の走行軌跡と地図情報から得た道路形状とを比較して車両の現在位置を求める手法である。
【0047】
次に、ECU5は、衝突可能性のある車両について情報提供を行う(S13)。
【0048】
図6はディスプレイに出力される情報提供画面の一例を示し、自車前方の交差点に右側から他車が接近している場合には、(a)に示す文字及び画像による情報提供(警報)画面を表示すると共に「右から車両が接近中です。」というメッセージやアラームを発する。また、自車前方の交差点に左側から他車が接近している場合には、(b)に示す文字及び画像による情報提供(警報)画面を表示すると共に「左から車両が接近中です。」というメッセージやアラームを発する。
【0049】
[衝突可能性のある車両の特定(実施形態1)]
図4は、図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順を示すフローチャートである。図5は、図4の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【0050】
図4及び図5において、ECU5は、上記自車交差点抽出ブロック5Cとして、自車位置を元に地図DBから前方交差点情報と走行道路情報を取得する(S21)。ここでは、図5に示す自車位置A、交差点iii,vii,vi、走行道路IIを取得する。
【0051】
次に、ECU5は、自車前方交差点のうち直近交差点を抽出し、地図DBからその交差点分岐情報を取得する(S23)。ここでは、図5に示す交差点iiiの分岐情報(I:左から直交、II:自車道路、III:右から直交、IV:正面から対向)を取得する。
【0052】
次に、ECU5は、上記他車交差点抽出ブロック5Bとして、他車位置を元に地図DBから他車の前方交差点情報と走行道路情報を取得する(S25)。ここでは、図5に示す車両B1(交差点:i〜v、走行道路:I)、車両B2(交差点:ii,i、走行道路:I)、車両B3(交差点:iv,v、走行道路:III)、車両B4(交差点:v,iv,iii,ii,i、走行道路:III)、車両B5(交差点:vi,vii,iii,viii,ix、走行道路:IV)、車両B6(交差点:vii,vi、走行道路:IV)、車両B7(交差点:i、走行道路:II)、車両B8(交差点:ix,viii,iv,iii,vii,vi、走行道路:II)を取得する。
【0053】
次に、ECU5は、上記衝突交差点特定ブロック5Dとして、自車の直近交差点が他車の前方交差点に含まれているか判定し、その結果を元にその交差点に向かっている車両を抽出する(S27)。ここでは、図5に示す他車の前方交差点に、自車直近交差点iiiが含まれるものを抽出する(車両B1,B4,B5,B8)。
【0054】
次に、ECU5は、自車直近交差点の分岐情報と他車の走行道路情報よりその車両の交差点に対する進入方向(角度)を特定する(S29)。ここでは、図5に示す自車の直近交差点iiiの分岐情報とその交差点に向かっている車両の走行道路情報より以下の各車両の交差点への進入角度を特定する。
【0055】
車両B1(走行道路I:西から接続→交差点iiiへ左から直交)
車両B4(走行道路III:東から接続→交差点iiiへ右から直交)
車両B5(走行道路IV:北から接続→交差点iiiへ正面から対向)
車両B8(走行道路II:南から接続→交差点iiiへ自車と同一道路)
次に、ECU5は、各々の他車の交差点への進入方向を元に、衝突する可能性のある対象車両を特定する(S31)。ここでは、例えば、出会い頭衝突を予測すれば車両B1(西から接近),B4(東から接近)が対象車両、右折衝突を予測すれば車両B5(北から接近)が対象車両、左折衝突を予測すれば車両B8(南から接近)が対象車両となる。即ち、交差点への進入方向を特定することで、後述する実施形態3のように、出会い頭衝突や右折衝突等の予測すべき衝突や情報提供の対象を切り替えることができる。
【0056】
次に、ECU5は、対象車両についてのみ地図DBから直近交差点への道のり距離を取得し、速度で割ることで直近交差点までの到達時間を計算する(S33)。ここでは、S31で特定した対象車両B1,B4,B5,B8の交差点iiiへの道のり距離を地図DBより取得し、それを対象車両の速度で割ることで交差点iiiへの到達時間が計算できる。
【0057】
しかる後に、図3のS11にて衝突可能性のある対象車両を地図DB35にマッピングすると共に、S13にて対象車両の直近交差点への道のり距離と到達時間を元に情報提供を行う。
【0058】
なお、上記手順において、他車情報から他車におけるナビゲーションシステムの経路誘導情報を取得し、この経路誘導情報から他車の走行路を予測することで、経路誘導に従った他車の走行路と自車の走行路とが交差する交差点を抽出できる。これにより、自車の進入交差点直前で右折又は左折するような経路誘導情報を持つ他車を除外することができ、他車の特定精度を高めることができる。
【0059】
[交差点進入角度の算出1]
以下に、カーブ路を含む交差点において他車の交差点進入角度を算出する方法1について説明する。
【0060】
従来の運転支援システムでは、他車が交差点に対してどの方向から進入してくるかを予測し、どのような衝突類型(図14参照)を予測するのかを決定する必要がある。そこで、地図DBを用いて、交差点に接続する道路IDと接続角度とを参照し、他車がどの道路を走行しているのかが特定できれば、その他車がどの方向から接近してくるかを特定している。しかしながら、現状の地図DBでは道路毎に固有のIDが付されているわけではないので、他車の交差点への接近方向を地図DBから求めることができない。
【0061】
従来は、自車Aの方位角θ1に対する他車Bの方位角θ2を元に交差点進入角度を求めていた(図7(a)参照)。この方法では他車がカーブ路を走行している場合、車両の方位角と交差点の接続角が異なるために誤った交差点進入角度を算出してしまうことがあり、例えば出会い頭衝突に関する情報提供を行う必要のある場面で右折衝突を予測した情報提供を行ってしまい、ドライバに混乱をきたすおそれがある。
【0062】
そこで、上記のような場面においても精度よく交差点進入角度を算出できる方法を以下に説明する。即ち、 図7(b)において、自車Aの方位角をθ1、他車Bの方位角をθ2、交差点と他車とを結ぶ成分の傾きをφとする。ここで道路の交差角度Xを求めるために、交差点と他車とを結ぶ線分を底辺、その線分と他車の進行方向のなす角を底角とする二等辺三角形を描くと、求めたい道路の交差角度Xは2×φ−θ2±π(±の符号はθ2とφの大小で決まる)で求まる。そして、θ1とXとの差を計算することで、自車の方位角に対する他車の交差点進入角度を求めることができる。
【0063】
なお、交差点近傍(交差点手前10m以下を目安)では道路形状の影響を受けにくいので、この方法は行わず、遠方で演算した値を用いて交差角度を決定する本手法を用いることで、他車がカーブ路を走行中でも精度よく交差点への進入角を求めることができる。しかも、複雑な計算を必要とせず、簡単な処理で求めることができる。
【0064】
[交差点進入角度の算出2]
以下に、カーブ路を含む交差点において他車の交差点進入角度を算出する方法2について説明する。
【0065】
従来の運転支援システムでは、図7(a)に示す手法以外に、交差点と他車Bとを結ぶ線分の傾きの角度と他車Bの方位角を元に交差点進入角度を求めていた(図8(a)参照)。
【0066】
しかし、この方法では、他車が走行している道路のカーブ形状がいびつな場合や、交差点とカーブ路との間に長い直線部がある場合等は交差点進入角度の予測精度が悪化することがある。
【0067】
そこで、上記のような場面においても精度よく交差点進入角度を算出できる方法を以下に説明する。即ち、
図8(b)において、他車Bの位置より他車の走行道路上のノード列Niを地図DBより取得する。そのノード列Niの中から、自車の直近交差点のノードN手前のリンクL1を抽出し、そのリンクL1の座標と直近交差点のノードNの座標とを結ぶ線分の傾きXを求める。そして、自車Aの方位角θ1とXとの差を計算することで自車Aに対する他車Bの交差点進入角度を求めることができる。なお、上記ノードは、地図DB上において直線道路では100mごと、カーブ路では10〜20mごとに設定された位置情報であり、リンクは近接するノード同士を接続した接続情報である。
【0068】
本手法を用いることで、他車がいびつな形状のカーブ路を走行中でも精度よく交差点への進入角度を求めることができる。
【0069】
[マッピング位置のずれ等]
図9(a)に示すように、車幅の狭い道路が複数存在し密集した場所を走行している場合であって、例えば高層ビルが近くにあって他車BのGPSでの測位精度が低いときには(GPS信号がビルで反射して到達時間が異なってしまう。)、地図DB上において実際の道路Rとは異なる道路R’に他車B’をマッピングしてしまうことがある。このような場合、自車Aの直前交差点に他車B’が接近していると誤判定してしまい、情報提供の遅れや誤った情報提供の原因となる。
【0070】
また、地図DBが古いと、地図に載っていない新しい道路を走っている他車との衝突可能性を判定できない。
【0071】
また、他車がGPS信号を受信できない場合、他車位置がわからないため衝突可能性を判定できない。
【0072】
更に、現状の地図DBには全ての道路にIDが付されているわけではなく、その代わりに道路の種別(国道、県道、その他道路等)と路線番号(1号線等、ただし番号が付されていない道路もある)が割り振られている。このため、他車の交差点への接近方向を地図DBから求めることができない場合がある。
【0073】
そこで、上記のようにマッピングがずれやすい場所や衝突可能性を判定できない場合には、図9(b)に示すように情報提供の仕方を変更する。ここでの情報提供の仕方は、例えば、意図的に道路以外を走行しているように表示し、「目視確認」を促すようなメッセージを表示したり、アラーム音やアクセル等のペダルを振動させて報知する。
【0074】
[衝突可能性のある車両の特定(実施形態2)]
図10は、図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態2を示すフローチャートである。図11は、図10の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【0075】
上記実施形態1では、複数の他車を自車の地図DB上にマッピングし、車両毎に経路予測をしなければならないので膨大な演算処理を必要とする(通信可能最大台数は200台以上)。このように、システムのCPU処理能力によってマッピング処理が可能な台数に限度がある。しかし、他車の台数がその限度を越える場合があり、マッピングする対象車両を選別する必要がある。
【0076】
そこで、実施形態2では、図4で説明した衝突可能性のある対象車両を特定する際に、自車から近いものから所定台数以下を抽出する、及び/又は対象車両を自車直近交差点と交差する道路ごとに設定された台数以下に限定することにより、マッピングする対象車両を選別するものである。
【0077】
なお、図10において、図4と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
即ち、ECU5は、自車前方交差点のうち直近交差点を抽出し、地図DBからその交差点分岐情報を取得した後(S23)、他車情報を元に特定車両を抽出する(S41)。ここでの特定車両は、高速車両、ハザード点灯車両、緊急車両等である。
【0079】
次に、ECU5は、他車情報を元に優先車両を抽出する(S43)。ここでの優先車両は、自車前方に存在する停止車両、減速車両、相対速度差が大きい車両等である。
【0080】
次に、ECU5は、他車情報を元に非優先車両を抽出する(S45)。ここでの非優先車両は、自車後方に存在し、自車より低速の車両等である。
【0081】
次に、ECU5は、他車情報を元に渋滞車両を抽出し、自車と最も近接する車両を代表車として抽出する(S47)。ここでの渋滞車両は、車速が所定値以下で、自車から所定範囲内に存在する車両等であり、複数の渋滞車両をグループ化する。
【0082】
次に、ECU5は、上記特定車両、優先車両、非優先車両を除いた一般車両の位置情報を元に自車との距離が近いものから一般車両を所定台数抽出する(S49)。ここで、渋滞車両は、代表車両1台としてカウントする。
【0083】
次に、ECU5は、S49で抽出した一般車両の位置情報を元に地図DBから一般車両の走行道路情報を取得する(S51)。
【0084】
次に、ECU5は、道路ごとに設定された最大台数以下となるように一般車両を自車位置に近いものから抽出する(S53)。
【0085】
次に、ECU5は、上記特定車両、優先車両、限定した一般車両の位置情報を元に地図DBから各車両の走行道路情報を取得する(S55)。
【0086】
次に、ECU5は、上記特定車両、優先車両、限定した一般車両の前方交差点情報を取得する(S57)。
【0087】
しかる後に、図4のS27以降の処理を実行する。
【0088】
なお、上記フローにおけるS49とS53は、いずれか一方を実行するようにしても良い。
【0089】
上記実施形態2によれば、複数の他車を自車の地図DB上にマッピングする際の演算処理負荷を軽減することができる。また、衝突可能性の高い車両を優先してマッピングして、衝突可能性を早期に判定することができる。更に、自車の後方に存在する車両のうち、自車より遅い車両をマッピングから除外し、衝突可能性のない他車のマッピングによる無駄な演算処理を省くことができる。
【0090】
[衝突可能性のある車両の特定(実施形態3)]
図12は、図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態3を示すフローチャートである。図13は、図12の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。図14は、衝突可能性のある車両を特定する際に予測される衝突類型を例示する図である。
【0091】
実施形態3は、図4で説明した衝突可能性のある対象車両を特定する際に、自車の走行状態から他車との衝突類型を推定するものである。
【0092】
なお、図12において、図4と同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
【0093】
即ち、ECU5は、自車前方交差点のうち直近交差点を抽出し、地図DBからその交差点分岐情報を取得した後(S23)、自車の走行状態を推定する(S61)。ここでは、自車情報から、自車の走行道路が高速道、交差点付近、単路で交差点のない一般道等であるかを推定する。
【0094】
次に、ECU5は、走行状態に応じた衝突類型を推定する(S63)。衝突類型としては、図14に示す6種類が挙げられ、例えば、自車が高速道を走行している場合には、追突や車線変更に伴う衝突が推定され、自車が交差点付近を走行している場合には、出会い頭衝突や右左折衝突が推定され、自車が単路で交差点のない一般道を走行しているならば正面衝突が推定される。
【0095】
次に、ECU5は、上記S63で推定される衝突類型により、他車を限定して抽出する(S65)。
【0096】
上記S63,65では、自車が高速道路を走行している場合には、衝突類型として追突又は車線変更時の衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車の前方若しくは後方に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0097】
また、自車が衝突交差点付近を走行している場合には、衝突類型として衝突交差点での右左折時の衝突、衝突交差点での直進時の出会い頭衝突或いは正面衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車から所定距離以内に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0098】
更に、自車が片側二車線以上の交差点のない一般道路を走行している場合には、衝突類型として追突又は車線変更時の衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車の前方若しくは後方に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0099】
更に、自車が片側一車線の交差点のない一般道路を走行している場合には、衝突類型として追突又は正面衝突を予測し、これらの衝突類型の対象車両として自車の前方に存在する他車を抽出してマッピングする。
【0100】
次に、ECU5は、上記S65で限定した他車の前方交差点情報を取得する(S67)。
【0101】
しかる後に、図4のS27以降の処理を実行する。
【0102】
なお、二輪車に図1よりも簡易的な車車間通信装置を搭載することで、他車に二輪車を含めることができ、例えば左折衝突の類型として、二輪車の巻き込みを推定することもできる。
【0103】
上記実施形態3によれば、自車の走行状態に応じて衝突可能性のある車両を特定するだけでなく、その車両との衝突類型を推定することができ、衝突可能性の予測精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本発明に係る実施形態の運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の運転支援システムを実現するECUの機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の車両用運転支援システムによる情報提供処理を示すフローチャートである。
【図4】図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態1を示すフローチャートである。
【図5】図4の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【図6】ディスプレイに出力される情報提供画面の一例を示す図である。
【図7】図4のS29における交差点進入方向の算出方法1(b)を従来の方法(a)と比較して示す図である。
【図8】図4のS29における交差点進入方向の算出方法2(b)を従来の方法(a)と比較して示す図である。
【図9】マッピングのずれ等により情報提供の仕方を変更する方法を説明する図である。
【図10】図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態2を示すフローチャートである。
【図11】図10の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【図12】図3のS9における衝突可能性のある車両の特定手順の実施形態3を示すフローチャートである。
【図13】図12の衝突可能性のある車両の特定手順を説明する図である。
【図14】衝突可能性のある車両を特定する際に予測される衝突類型を例示する図である。
【符号の説明】
【0105】
1 運転支援システム
2 車車間通信装置
3 カーナビゲーション装置
4 走行状態検出装置
5 ECU
21 送受信アンテナ
31 GPSアンテナ
32 GPS受信機
33 ディスプレイ
34 スピーカ
35 地図DB
51 CPU
52 RAM
53 ROM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
自車と他車との間で情報を送受信する車車間通信手段と、
前記車車間通信手段により取得した他車情報から他車位置を特定し、前記地図データ上にマッピングするマッピング手段と、
前記他車情報に含まれる他車位置、進行方向、車速から他車の走行路を予測し、予測された走行路上の交差点を抽出する他車交差点抽出手段と、
前記自車の前方の交差点を抽出する自車交差点抽出手段と、
抽出された他車交差点と自車交差点とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点とする衝突交差点特定手段と、
前記衝突交差点までの他車の距離と車速とから当該衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供を行う情報提供手段と、を有することを特徴とする車両用運転支援システム。
【請求項2】
前記情報提供手段は、前記地図データ上にマッピングされる他車位置にずれが生じやすい道路形状の場合、情報提供の形態を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項3】
前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、二等辺三角形を用いて他車の走行路の前記衝突交差点に対する交差角度を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項4】
前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、当該他車の走行路の交差点ノードのうち前記衝突交差点の直前の交差点ノードを用いて他車の走行路の衝突交差点に対する交差角度を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項5】
前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記自車から所定距離以内に存在する所定台数以下の車両に限定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項6】
前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記他車の走行路ごとに最大台数が決められていることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項7】
前記衝突交差点における自車と他車との衝突パターンを予測する衝突パターン予測手段を更に有し、
前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、予測される衝突パターンに当てはまる車両に限定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項8】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が高速道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項9】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が前記衝突交差点付近を走行している場合、前記衝突パターンとして前記衝突交差点での右左折時の衝突又は当該衝突交差点での直進時の衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車から所定距離以内に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項10】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側二車線以上の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項11】
前記マッピング手段は、所定車速以下の他車が前記自車から所定距離以内に複数存在する場合、これらを渋滞路を走行している車両としてグループ化することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項12】
前記マッピング手段は、他車情報から特定車両を抽出し、抽出した特定車両を優先してマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項13】
前記他車には二輪車が含まれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の車両用運転支援システム。
【請求項14】
前記マッピング手段は、自車の前方に存在する車両のうち、駐停車車両、減速車両、自車との相対速度が基準値を超える車両を抽出し、抽出した車両を優先してマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項15】
前記マッピング手段は、自車の後方に存在する車両のうち、自車より遅い車両をマッピングから除外することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項16】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側一車線の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は正面衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車の前方に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
自車と他車との間で情報を送受信する車車間通信手段と、
前記車車間通信手段により取得した他車情報から他車位置を特定し、前記地図データ上にマッピングするマッピング手段と、
前記他車情報に含まれる他車位置、進行方向、車速から他車の走行路を予測し、予測された走行路上の交差点を抽出する他車交差点抽出手段と、
前記自車の前方の交差点を抽出する自車交差点抽出手段と、
抽出された他車交差点と自車交差点とを比較して、一致した交差点を衝突する可能性のある衝突交差点とする衝突交差点特定手段と、
前記衝突交差点までの他車の距離と車速とから当該衝突交差点までの到達時間を算出し、算出結果を元に情報提供を行う情報提供手段と、を有することを特徴とする車両用運転支援システム。
【請求項2】
前記情報提供手段は、前記地図データ上にマッピングされる他車位置にずれが生じやすい道路形状の場合、情報提供の形態を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項3】
前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、二等辺三角形を用いて他車の走行路の前記衝突交差点に対する交差角度を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項4】
前記衝突交差点特定手段は、前記他車の走行路がカーブ路である場合、当該他車の走行路の交差点ノードのうち前記衝突交差点の直前の交差点ノードを用いて他車の走行路の衝突交差点に対する交差角度を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項5】
前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記自車から所定距離以内に存在する所定台数以下の車両に限定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項6】
前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、前記他車の走行路ごとに最大台数が決められていることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項7】
前記衝突交差点における自車と他車との衝突パターンを予測する衝突パターン予測手段を更に有し、
前記マッピング手段によりマッピングされる他車は、予測される衝突パターンに当てはまる車両に限定されることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項8】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が高速道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項9】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が前記衝突交差点付近を走行している場合、前記衝突パターンとして前記衝突交差点での右左折時の衝突又は当該衝突交差点での直進時の衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車から所定距離以内に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項10】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側二車線以上の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は車線変更時の衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車の前方若しくは後方に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項11】
前記マッピング手段は、所定車速以下の他車が前記自車から所定距離以内に複数存在する場合、これらを渋滞路を走行している車両としてグループ化することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項12】
前記マッピング手段は、他車情報から特定車両を抽出し、抽出した特定車両を優先してマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項13】
前記他車には二輪車が含まれることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の車両用運転支援システム。
【請求項14】
前記マッピング手段は、自車の前方に存在する車両のうち、駐停車車両、減速車両、自車との相対速度が基準値を超える車両を抽出し、抽出した車両を優先してマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項15】
前記マッピング手段は、自車の後方に存在する車両のうち、自車より遅い車両をマッピングから除外することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項16】
前記衝突パターン予測手段は、前記自車が片側一車線の交差点のない一般道路を走行している場合、前記衝突パターンとして追突又は正面衝突を予測し、
前記マッピング手段は、前記自車の前方に存在する他車をマッピングすることを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−65480(P2008−65480A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−240760(P2006−240760)
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月5日(2006.9.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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