説明

車両用運転診断装置、車両用運転診断システム、及び車両用運転診断方法

【課題】 車両の先の進路に対応した道路上の交通規則に関する情報を運転者の運転特性
の診断に利用して、交通規則に反する運転操作を検出して、交通規則に基づく運転特性の
診断を行うことができる車両用運転診断装置を提供すること。
【解決手段】 運転者の運転特性を診断するための車両用運転診断装置において、車両の
先の進路に対応した交通規則に関する情報を取得する交通規則情報取得手段と、車両の運
転状態に関する情報を取得する車両情報取得手段と、取得した先の進路に対応した交通規
則に関する情報と先の進路の地図情報と車両の現在位置を検出する自車位置検出手段から
の自車位置情報とに基づいて、自車位置における交通規則に関する情報を抽出する自車位
置交通規則情報抽出手段と、抽出された自車位置における交通規則に関する情報と、車両
の運転状態に関する情報とに基づいて、交通規則に反した運転操作が行われたか否かを判
断する違反運転操作判断手段とを装備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転診断装置、車両用運転診断システム、及び車両用運転診断方法に
関し、より詳細には、運転者の運転特性を診断するための車両用運転診断装置、車両用運
転診断システム、及び車両用運転診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転者の運転特性を診断する車両用運転診断システムが提案されてい
る。例えば、下記の特許文献1には、車両に搭載された制御装置と、情報センターとが無
線通信回線を介して通信可能に接続されたシステムにおいて、前記制御装置が、車両の状
態を各種センサによって計測するとともに、その計測結果に基づいて車両の走行特性(燃
費特性、減速特性、加速特性、操舵特性等)を分析し、少なくとも分析結果を車両の収集
データとして前記情報センターへ送信する一方、該情報センターでは、前記制御装置から
受信した収集データに基づいて、燃費、アクセル操作、ブレーキ操作、ハンドル操作等の
運転者の運転特性を診断するとともに、該診断結果を車両の制御装置へ送信するシステム
が開示されている。
【0003】
また、下記の特許文献2では、センサ部で検出した車両の挙動を表すデータをメモリ媒
体に記録しておき、該メモリ媒体に記録されている計測データから交差点等での車両の走
行挙動を特定し、特定された走行挙動での計測データのみを抽出して運転者の相対特徴を
表す特徴情報を生成し、生成された特徴情報に基づいて診断情報を生成するシステムが開
示されている。
【0004】
上記特許文献1、2記載のシステムによれば、診断結果として、燃費特性、アクセル操
作(加速特性)、ブレーキ操作(減速特性)、及びハンドル操作(操舵特性)など、各種
センサで検出された車両の挙動(状態)に基づいた運転者の運転特性を示す診断情報が認
識できるようになっている。
【0005】
しかしながら、このようなシステムでは、個々の運転操作の特徴を把握することができ
るようになっているが、交通事故等に結びつきやすい、道路上の交通規則に反した運転操
作が、走行中にどこで、どのように行われたのかといった具体的な情報までは確認するこ
とができず、道路上の交通規則に対する運転者の運転操作状況に基づいて運転特性を診断
するようなものではなかった。
【特許文献1】特開2002−319087号公報
【特許文献2】特開2002−211265号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、車両の先の進路に対応した道路上の交
通規則に関する情報を運転者の運転特性の診断に使用して、前記交通規則に基づく運転特
性の診断を行うことができ、前記交通規則に反した運転操作を運転者に認識させて、運転
マナーの向上や危険な運転操作の抑制効果を高めることのできる車両用運転診断装置、車
両用運転診断システム、及び車両用運転診断方法を提供することを目的としている。
【0007】
上記目的を達成するために本発明に係る車両用運転診断装置(1)は、運転者の運転特
性を診断するための車両用運転診断装置において、車両の先の進路に対応した、運転者が
守るべき道路上の交通規則に関する情報を取得する交通規則情報取得手段と、前記車両の
運転状態に関する情報を取得する車両情報取得手段と、取得した前記先の進路に対応した
前記交通規則に関する情報と前記先の進路の地図情報と前記車両の現在位置を検出する自
車位置検出手段からの自車位置情報とに基づいて、自車位置における前記交通規則に関す
る情報を抽出する自車位置交通規則情報抽出手段と、該自車位置交通規則情報抽出手段に
より抽出された前記自車位置における前記交通規則に関する情報と、前記車両情報取得手
段により取得された前記車両の運転状態に関する情報とに基づいて、前記交通規則に反し
た運転操作が行われたか否かを判断する違反運転操作判断手段とを備えていることを特徴
としている。
【0008】
上記車両用運転診断装置(1)によれば、前記先の進路に対応した前記交通規則に関す
る情報を取得し、前記自車位置における前記交通規則に関する情報と、前記車両の運転状
態に関する情報とに基づいて、前記交通規則に反した運転操作が行われたか否かが判断さ
れるので、前記先の進路において、前記交通規則に反する運転操作が行われたことを逐次
検出することができる。
【0009】
また本発明に係る車両用運転診断装置(2)は、上記車両用運転診断装置(1)におい
て、前記先の進路は、ナビゲーション機能により設定された前記車両の目的地までの走行
ルートであることを特徴としている。
【0010】
上記車両用運転診断装置(2)によれば、前記先の進路は、ナビゲーション機能により
設定された前記車両の目的地までの走行ルートであるので、該目的地までの走行ルートに
対する前記交通規則に関する情報をまとめて取得することができる。
【0011】
また本発明に係る車両用運転診断装置(3)は、上記車両用運転診断装置(1)又は(
2)において、前記交通規則情報取得手段が、前記交通規則に関する情報を、前記先の進
路の設定後に無線通信手段を介して外部から取得するように構成されていることを特徴と
している。
【0012】
上記車両用運転診断装置(3)によれば、前記交通規則情報取得手段が、前記交通規則
に関する情報を、前記先の進路の設定後に無線通信手段を介して外部から取得するように
構成されているので、前記設定された前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報
だけを適切に取得することができ、すなわち、膨大な交通規則に関する情報の中から必要
最小限の情報だけを取得することができ、装置側のハードウェア資源(記憶手段など)の
消費を最小限に抑えることができる。また、最新の交通規則に関する情報を取得すること
ができ、前記違反運転操作判断手段による前記交通規則に反した運転操作が行われたか否
かの判断を正確に行うことができる。例えば、前記先の進路に、工事等のため片側交互通
行になっているルートが含まれている場合、該ルートでは対向車線にはみ出して走行する
ことになるが、この時最新の交通規則に関する情報を取得していれば、前記ルートを走行
した際に前記交通規則に反した運転操作ではないと判断することができる。すなわち、最
新の交通規則に関する情報を加味した精度の高い判断を行うことができる。
【0013】
また本発明に係る車両用運転診断装置(4)は、上記車両用運転診断装置(3)におい
て、前記交通規則情報取得手段が、前記交通規則に関する情報を、前記先の進路の再探索
があった場合、該再探索後に前記無線通信手段を介して外部から取得するように構成され
ていることを特徴としている。
【0014】
上記車両用運転診断装置(4)によれば、前記交通規則情報取得手段が、前記交通規則
に関する情報を、前記先の進路の再探索後に前記無線通信手段を介して外部から取得する
ように構成されているので、車両が当初設定した進路から外れた場合でも、前記再探索後
に前記交通規則に関する情報を速やかに取得することができる。
【0015】
また本発明に係る車両用運転診断装置(5)は、上記車両用運転診断装置(1)〜(4
)のいずれかにおいて、前記違反運転操作判断手段により前記交通規則に反する運転操作
が行われたと判断された場合、前記交通規則に反する運転操作に関する情報を記憶する違
反情報記憶手段と、該違反情報記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記交通規則に基
づいた運転特性の診断情報を生成する診断情報生成手段と、該診断情報生成手段により生
成された前記運転特性の診断情報を報知する報知手段とを備えていることを特徴としてい
る。
【0016】
上記車両用運転診断装置(5)によれば、前記違反情報記憶手段に記憶された前記情報
に基づいて、前記交通規則に基づいた運転特性の診断情報が生成され、該生成された前記
運転特性の診断情報が報知されるようになっているので、前記交通規則に基づいた運転特
性の診断情報により、運転者に対して、運転の慣れ等により普段あまり意識していない交
通規則を再認識させることができ、運転マナーの向上や危険な運転操作を抑制する効果を
高めることができる。また、前記交通規則に反する運転操作に関する情報が記憶されるよ
うになっているので、事故を起こしてしまった場合に、どのような運転操作が行われたの
かを具体的に知ることができ、事故の検証に役立てることができる。
【0017】
また本発明に係る車両用運転診断装置(6)は、上記車両用運転診断装置(5)におい
て、前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了した後、該走行区間における前記交通規
則に基づいた運転特性の評価点数を含む診断情報を生成するものであることを特徴として
いる。
【0018】
上記車両用運転診断装置(6)によれば、前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了
した後、該走行区間における前記交通規則に基づいた運転特性の評価点数を含む診断情報
を生成するものであるので、前記評価点数により、前記走行区間において、どの程度交通
規則に従った運転操作が行われたのかを運転者に客観的に把握させることができる。
【0019】
また本発明に係る車両用運転診断装置(7)は、上記車両用運転診断装置(5)におい
て、前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了した後、該走行区間における前記交通規
則に基づいた運転特性の評価コメントを含む診断情報を生成するものであることを特徴と
している。
【0020】
上記車両用運転診断装置(7)によれば、前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了
した後、前記走行区間における前記交通規則に基づいた運転特性の評価コメントを含む診
断情報を生成するものであるので、前記評価コメントにより、前記走行区間におけるそれ
ぞれの交通規則に対してどのような運転操作が行われたのかを運転者に良く把握させるこ
とができ、危険な運転操作を抑制する効果をさらに高めることができる。
【0021】
また本発明に係る車両用運転診断装置(8)は、上記車両用運転診断装置(5)におい
て、前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了した後、該走行区間における前記交通規
則に反した運転操作の再現画像情報を含む診断情報を生成するものであることを特徴とし
ている。
【0022】
上記車両用運転診断装置(8)によれば、前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了
した後、該走行区間における前記交通規則に反した運転操作の再現画像情報を含む診断情
報を生成するものであるので、前記再現画像情報に基づき、走行現場をアニメーション等
の画像で再現表示して、運転者に報知することにより、どのような交通規則が守れなかっ
たのか、危険な運転操作が行われたのかを運転者に視覚的に強く印象づけることができ、
事後の運転マナーの向上や危険な運転操作を抑制する効果を一層高めることができる。
【0023】
また本発明に係る車両用運転診断装置(9)は、上記車両用運転診断装置(1)〜(8
)のいずれかにおいて、前記違反運転操作判断手段による判断結果に基づいて、前記交通
規則に基づいた指示案内を行う交通規則指示案内手段を備えていることを特徴としている

【0024】
上記車両用運転診断装置(9)によれば、前記違反運転操作判断手段による判断結果に
基づいて、前記交通規則に基づいた指示案内を行う交通規則指示案内手段を備えているの
で、前記交通規則に基づいた指示案内を音声等で行うことにより、前記交通規則に従うよ
うに運転者に促すことができ、運転マナーの向上や危険な運転操作を抑制する効果を得る
ことができる。
【0025】
また本発明に係る車両用運転診断システム(1)は、運転者の運転特性を診断するため
の車両用運転診断装置と、情報センターとが無線通信回線を介して通信可能に接続された
車両用運転診断システムであって、前記車両用運転診断装置が、車両の先の進路に関する
情報を含む情報を前記情報センターへ送信する送信手段を備え、前記情報センターが、所
定地域に対応した、運転者が守るべき道路上の交通規則に関する情報を記憶する広域交通
規則情報記憶手段と、前記車両用運転診断装置から受信した前記情報に基づいて、前記先
の進路に対応した前記交通規則に関する情報を前記広域交通規則情報記憶手段から抽出す
る交通規則情報抽出手段と、該交通規則情報抽出手段により抽出された前記先の進路に対
応した前記交通規則に関する情報を前記車両用運転診断装置へ送信する送信手段とを備え
ていることを特徴としている。
【0026】
上記車両用運転診断システム(1)によれば、前記情報センターから各車両の前記車両
用運転診断装置へ、前記先の進路に対応した最新の前記交通規則に関する情報を提供する
ことができ、各車両の前記車両用運転診断装置では、前記先の進路に対応した前記交通規
則に関する情報を利用した運転診断を正確に行うことが可能になる。
【0027】
また本発明に係る車両用運転診断システム(2)は、上記車両用運転診断システム(1
)において、前記車両用運転診断装置が、前記情報センターから受信した前記先の進路に
対応した前記交通規則に関する情報を記憶する交通規則情報記憶手段と、前記車両の運転
状態に関する情報を取得する車両情報取得手段と、前記交通規則情報記憶手段に記憶され
た前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報と前記先の進路の地図情報と前記車
両の現在位置を検出する自車位置検出手段からの自車位置情報とに基づいて、自車位置に
おける前記交通規則に関する情報を抽出する自車位置交通規則情報抽出手段と、該自車位
置交通規則情報抽出手段により抽出された前記自車位置における前記交通規則に関する情
報と、前記車両情報取得手段により取得された前記車両の運転状態に関する情報とに基づ
いて、前記交通規則に反する運転操作が行われたか否かを判断する違反運転操作判断手段
とを備えていることを特徴としている。
【0028】
上記車両用運転診断システム(2)によれば、前記車両用運転診断装置において、前記
自車位置交通規則情報抽出手段により抽出された前記自車位置における前記交通規則に関
する情報と、前記車両情報取得手段により取得された前記車両の運転状態に関する情報と
に基づいて、前記交通規則に反した運転操作が行われたか否かが判断されるので、前記先
の進路において、前記交通規則に反する運転操作が行われたことを逐次検出することがで
きる。
【0029】
また本発明に係る車両用運転診断システム(3)は、上記車両用運転診断システム(2
)において、前記車両用運転診断装置が、前記違反運転操作判断手段により前記交通規則
に反する運転操作が行われたと判断された場合、前記交通規則に反する運転操作に関する
情報を記憶する違反情報記憶手段と、該違反情報記憶手段に記憶された情報に基づいて、
前記交通規則に基づいた運転特性の診断情報を生成する診断情報生成手段と、該診断情報
生成手段により生成された前記運転特性の診断情報を報知する報知手段とを備えているこ
とを特徴としている。
【0030】
上記車両用運転診断システム(3)によれば、前記車両用運転診断装置において、前記
違反情報記憶手段に記憶された前記情報に基づいて、前記交通規則に基づいた運転特性の
診断情報が生成され、該生成された前記運転特性の診断情報が報知されるようになってい
るので、前記交通規則に基づいた運転特性の診断情報により、運転者に対して、運転の慣
れ等により普段あまり意識していない交通規則を再認識させることができ、運転マナーの
向上や危険な運転操作を抑制する効果を高めることができる。
【0031】
また本発明に係る車両用運転診断方法(1)は、運転者の運転特性を診断するための車
両用運転診断装置と、情報センターとが無線通信回線を介して通信可能に接続されたシス
テムにおける車両用運転診断方法であって、前記車両用運転診断装置において、車両の先
の進路に関する情報を含む情報を前記情報センターへ送信するステップと、前記情報セン
ターにおいて、前記車両用運転診断装置から受信した前記情報に基づいて、所定地域に対
応した、運転者が守るべき道路上の交通規則に関する情報が記憶された広域交通規則情報
記憶手段から、前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報を抽出するステップと
、該ステップにより抽出された前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報を前記
車両用運転診断装置へ送信するステップとを含んでいることを特徴としている。
【0032】
上記車両用運転診断方法(1)によれば、前記情報センターから各車両の前記車両用運
転診断装置へ、前記先の進路に対応した最新の前記交通規則に関する情報を提供すること
ができ、各車両の前記車両用運転診断装置では、前記先の進路に対応した前記交通規則に
関する情報を利用した運転診断を正確に行うことが可能になる。
【0033】
また本発明に係る車両用運転診断方法(2)は、上記車両用運転診断方法(1)におい
て、前記車両用運転診断装置において、前記情報センターから受信した前記先の進路に対
応した前記交通規則に関する情報を交通規則情報記憶手段へ記憶するステップと、前記交
通規則情報記憶手段に記憶された前記先の進路における前記交通規則に関する情報と前記
先の進路の地図情報とに基づいて、自車位置における前記交通規則に関する情報を抽出す
るステップと、該ステップにより抽出された前記自車位置における前記交通規則に関する
情報と、車両情報取得手段により取得された前記車両の運転状態に関する情報とに基づい
て、前記交通規則に反する運転操作が行われたか否かを判断するステップとを含んでいる
ことを特徴としている。
【0034】
上記車両用運転診断方法(2)によれば、前記車両用運転診断装置において、前記自車
位置における前記交通規則に関する情報と、前記車両情報取得手段により取得された前記
車両の運転状態に関する情報とに基づいて、前記交通規則に反した運転操作が行われたか
否かが判断されるので、前記先の進路において、前記交通規則に反する運転操作が行われ
たことを逐次検出することができる。
【0035】
また本発明に係る車両用運転診断方法(3)は、上記車両用運転診断方法(2)におい
て、前記車両用運転診断装置において、前記交通規則に反する運転操作が行われたか否か
を判断するステップにより判断された前記交通規則に反する運転操作に関する情報を違反
情報記憶手段に記憶するステップと、前記違反情報記憶手段に記憶された情報に基づいて
、前記交通規則に基づいた運転特性の診断情報を生成するステップと、該ステップにより
生成された前記運転特性の診断情報を報知するステップとを備えていることを特徴として
いる。
【0036】
上記車両用運転診断方法(3)によれば、前記車両用運転診断装置において、前記違反
情報記憶手段に記憶された前記情報に基づいて、前記交通規則に基づいた運転特性の診断
情報が生成され、該生成された前記運転特性の診断情報が報知されるようになっているの
で、前記交通規則に基づいた運転特性の診断情報により、運転者に対して、運転の慣れ等
により普段あまり意識していない交通規則を再認識させることができ、運転マナーの向上
や危険な運転操作を抑制する効果を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る車両用運転診断装置、車両用運転診断システム、及び車両用運転診
断方法の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態に係る車両用運転診
断装置を利用するシステムの概略構成を示したブロック図である。
【0038】
車両用運転診断システム1は、車両に搭載された車両用運転診断装置2と、無線通信回
線を介して通信可能に接続される情報センター3とを含んで構成されている。
情報センター3は、サーバ4と、所定地域に対応した、運転者が守るべき道路上の交通
規則に関する情報が登録されている広域交通規則データベース5とを含んで構成されてい
る。サーバ4は、車両用運転診断装置2との間のデータの送受信制御や、車両用運転診断
装置2からの要求に応じて、広域交通規則データベース5から、先の進路(この場合、目
的地までの走行ルート)に対応した交通規則に関する情報を抽出する処理などを行うよう
になっている。なお、目的地までの走行ルートには、再探索された新たな走行ルートも含
まれるものとする。
【0039】
図2は、広域交通規則データベース5に登録されている所定地域の交通規則に関する情
報の内容を説明するための図である。広域交通規則データベース5には、登録地域に含ま
れる国道番号別、都道府県道番号別、高速道路別などの道路種別毎に、制限速度情報、交
差点情報、踏切情報、一時停止場所情報、追い越し禁止区間情報、駐(停)車禁止区間情
報、進路変更禁止区間情報などの最新の道路上の交通規則に関する情報が登録されるよう
になっている。
【0040】
制限速度情報には、各道路における制限速度の変更地点の地図座標データ、その区間の
最高速度や最低速度などの情報が含まれるようになっている。交差点情報には、各道路の
交差点の地図座標データ、各交差点に設定されている回転禁止や指定方向外進行禁止など
の進路規制情報、十形、ト形、T形などの交差点の形状などの情報が含まれるようになっ
ている。なお、図2における(X、Y)は、地図座標データを意味している。
【0041】
また、踏切情報には、各道路における一時停止が必要な踏切地点の地図座標データなど
の情報が含まれ、一時停止場所情報には、各道路における一時停止が必要な地点の地図座
標データなどの情報が含まれ、追い越し禁止区間情報には、各道路における追い越し禁止
区間の開始、終了地点の地図座標データなどの情報が含まれ、駐車禁止区間情報には、各
道路における駐車禁止区間の開始、終了地点の地図座標データなどの情報が含まれ、また
、進路変更禁止区間情報には、各道路における進路変更禁止区間の開始、終了地点の地図
座標データなどの情報が含まれるようになっている。また、これらの情報には、工事等の
交通規制に伴う変更情報(例えば、片側通行規制、速度規制など)も含まれるようになっ
ている。
【0042】
車両用運転診断装置2は、マイコン11によって各部が制御されるようになっており、
マイコン11は、目的地までの走行ルートの探索処理や設定された走行ルートにしたがっ
て地図表示や音声によりルート案内等を行うナビゲーション機能、及び運転者が守るべき
道路上の交通規則に基づいた運転者の運転特性を診断する機能などを実現するための各種
プログラムが格納されたROM、ROMに格納されたプログラムに従って処理を行うCP
U、CPUによる処理中に生じる各種データを一時的に記憶するRAM(いずれも図示せ
ず)を含んで構成されている。
【0043】
無線通信部12がマイコン11に接続されており、無線通信部12は、マイコン11の
制御に基づいて、ナビゲーション機能により設定された目的地までの走行ルートに関する
情報を含む情報を情報センター3へ送信するとともに、情報センター3から送信されてく
る、目的地までの走行ルートに対する交通規則に関する情報を受信するようになっている
。無線通信部12が接続されたマイコン11により交通規則情報取得手段が構成されてい
る。なお無線通信部12には、基地局、プロバイダ、及びインターネット(いずれも図示
せず)を介して情報センター3のサーバ4に接続可能な携帯電話などが採用され得る。
【0044】
また、アンテナを介して衛星からのGPS信号を受信するGPS受信機13がマイコン
11に接続されており、マイコン11はGPS信号に基づいて自車位置を割り出すように
なっている。また、車速を検出するための車速センサ14と、進行方向に関する情報を検
出するジャイロセンサ15とがマイコン11に接続されており、マイコン11は、車速セ
ンサ14及びジャイロセンサ15から取得した信号に基づいて走行距離及び進行方向を演
算して自車位置を割り出すようになっている。GPS受信機13、車速センサ14及びジ
ャイロセンサ15により自車位置検出手段が構成されている。
【0045】
さらに、車両の加速度を検出する加速度センサ16、ハンドルの操作量を検出するステ
アリングセンサ17、ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキセンサ18、アクセル
ペダルの操作量を検出するスロットル開度センサ19、ウインカのオンオフ状態を検出す
るウインカSWセンサ20、ヘッドランプのオンオフ状態を検出するランプSWセンサ2
1、ワイパーのオンオフ状態を検出するワイパーSWセンサ22、燃料の残量を検出する
燃料センサ23、エンジン回転数を検出するクランク角センサ24等の車両の各部の状態
を取得するための各種センサ類がマイコン11に接続されており、これらセンサ類からの
情報を取得するマイコン11により車両情報取得手段が構成されている。
【0046】
また、ナビゲーション用の電子地図データが記憶される地図データベース25がマイコ
ン11に接続されており、マイコン11は、目的地までのルート案内処理時において、割
り出した自車位置と地図データベース25から読み出した電子地図データとを合わせるマ
ップマッチング処理を行い、自車位置が正確に示された地図を描画して、マイコン11に
接続された表示部29の表示ディスプレイ(図示せず)に表示する処理を行うようになっ
ている。
【0047】
また、情報センター3から取得した、目的地までの走行ルートに対応した交通規則に関
する情報を記憶する交通規則情報記憶部26がマイコン11に接続されている。交通規則
情報記憶部26に記憶される走行ルートの交通規則に関する情報の内容は、図2に示した
広域交通規則データベース5から、目的地までの走行ルートに該当する交通規則に関する
情報を抽出したものであり、図2と略同様のデータ構成である。すなわち、交通規則情報
記憶部26には、目的地までの走行ルート(再探索された走行ルートも含む)に含まれる
国道番号別、都道府県道番号別、高速道路別などの道路種別毎に、制限速度情報、交差点
情報、踏切情報、一時停止場所情報、追い越し禁止区間情報、駐車禁止区間情報、進路変
更禁止区間情報などの交通規則に関する情報が記憶されるようになっている。
【0048】
また、交通規則に反する運転操作に関する情報が記憶される違反情報記憶部27がマイ
コン11に接続されており、マイコン11は、交通規則情報記憶部26に記憶されている
目的地までの走行ルートに対応した交通規則に関する情報と、地図データベース25に記
録されている道路地図データとに基づいて(すなわち、前記交通規則に関する情報と道路
地図データとを関連付けることにより)、交通規則情報記憶部26に記憶された情報の中
から自車位置における交通規則に関する情報を抽出する処理を行う(自車位置交通規則情
報抽出手段)ようになっている。
【0049】
また、マイコン11は、抽出した自車位置における交通規則に関する情報と、センサ類
から取得した車両の運転状態に関する情報とを比較して、交通規則に反した運転操作が行
われたか否かを判断し(違反運転操作判断手段)するようになっている。例えば、自車位
置の制限速度情報と、車速センサ14からの信号に基づいて算出された車速情報とを比較
して、制限速度に反した運転操作が行われたか否かを判断する。そして、マイコン11は
、交通規則に反する運転操作が行われたと判断した場合、交通規則に反する運転操作に関
する情報を違反情報記憶部27へ記憶する処理を行うようになっている。
【0050】
図3は、違反情報記憶部27に記憶される交通規則に反する運転操作に関する情報の内
容を説明するための図である。違反情報記憶部27には、交通規則に反する運転操作が行
われた日時、場所(地図座標データ)、道路情報(道路種別)、センサ類で検出された車
両情報、違反した交通規則を含む情報が記憶されるようになっている。
【0051】
また、交通規則に基づく運転診断により生成された運転特性の診断情報を記憶する診断
情報記憶部28がマイコン11に接続されている。マイコン11は、違反情報記憶部27
に記憶されている情報に基づいて、所定の走行が完了した後(この場合、目的へ到着後)
、目的地までの走行区間における交通規則に基づいた運転特性の評価点数を含む診断情報
を生成したり、目的地までの走行区間における交通規則に基づいた運転特性の評価コメン
トを含む診断情報を生成したり、あるいは、目的地までの走行区間における交通規則に反
した運転操作の再現画像情報を含む診断情報を生成する処理を行い(診断情報生成手段)
、生成した診断情報を診断情報記憶部28へ記憶するようになっている。
【0052】
これら地図データベース25、交通規則情報記憶部26、違反情報記憶部27、及び診
断情報記憶部28は、データの書換可能な記憶手段であるハードディスク装置により構成
されている。
【0053】
また、表示ディスプレイを備えた表示部29がマイコン11に接続されており、マイコ
ン11は、診断情報記憶部28に記憶した運転特性の診断情報等を表示ディスプレイに表
示して運転者に診断情報を報知する処理を行うようになっている。
【0054】
図4、図5、図6は、表示部29の表示ディスプレイに表示された交通規則に基づく運
転診断情報の表示例を示した図である。図4は、目的地へ到着後、交通規則に基づく運転
診断が実行された後に表示された画面表示例であり、この画面を通じて、運転者は、目的
地までの走行区間において、交通規則に反した運転操作の内容、その頻度、及びこれらの
違反情報に基づいて算出された交通規則に基づく評価点数とを認識することができるよう
になっている。
【0055】
なお、評価点数の算出には、マイコン11のROMに記憶されている点数算出テ−ブル
(図7参照)が利用され、交通規則に反した各運転操作の減点数を加算した点数を100
点(満点)から減算した値が評価点数として表示されるようになっている。
【0056】
また、図4に示した画面において、評価点数の横に表示されている「コメント」ボタン
が入力されると、図5に示した診断評価コメント画面が表示されるようになっており、運
転者は、この画面を参照することにより、運転操作のアドバイス(警告)を受けることが
できるようになっており、事後の運転マナーの向上や危険な運転操作を抑制する効果が高
められるようになっている。
【0057】
なお、各交通規則の違反項目や違反回数に対応した評価コメントのテキストデータが、
マイコン11のROMに記憶されるようになっており、マイコン11は、これらのテキス
トデータに基づいて、適切な評価コメントを生成するようになっている。
【0058】
また、図4に示した表示画面において、違反交通規則(この場合、はみ出し違反)の横
に表示されている「再現」ボタンが入力されると、図6に示した違反走行再現画面、すな
わち、危険な運転操作(この場合、はみ出し禁止違反走行)が行われた日時や場所に関す
る情報、その場所に設定されている交通規制情報、運転者が犯した違反情報、及び、その
場所での車両情報(車速、ハンドル操作など)等を基に生成された、危険な運転操作を再
現したアニメーション画像を含む画面が表示されるようになっており、この画面を通じて
、危険な運転操作を行った日時や場所を運転者に思い出させるとともに、再現アニメーシ
ョン画像により、危険な運転操作を視覚的に強く認識させることが可能となり、事後の危
険な運転操作を抑制する効果が更に高められるようになっている。
【0059】
なお、図6に示した再現アニメーション画像は、車両の走行軌跡を示すために、車両マ
ークがコマ送りのような形態で表示されるようになっており、車両マークの軌跡がトーン
ダウンして表示されるようになっている。また、別の表示形態として、車両マークを中心
に道路地図をスクロール表示させるようにしてもよい。
【0060】
また、自車位置を示す車両マークは、ウインカー操作(車両マークの前方左右に設けら
れたウインカーランプの点滅)、ブレーキ操作(車両後方に設けられたブレーキランプの
点灯)、及び走行速度(車両マーク中央部に表示)が分かるような表示形態となっており
、この車両マークによりウインカーやブレーキが適切に操作されたか、走行速度が適切か
否かを一目で把握することができるようになっている。
【0061】
また、違反走行再現画面には、アニメーション画像の表示地図エリアを拡縮するための
「拡大」、「縮小」ボタンが設けられており、表示地図エリアを拡大させたり縮小させた
りすることができるようになっており、地図上の位置を簡単に確認することができるよう
になっている。さらに、アニメーション画像用の「再生」、「停止」、「一時停止」ボタ
ンが設けられており、再現画像を途中で停止させたり、繰り返し再生させることができる
ようになっている。
【0062】
また、各種の操作設定等を行うための操作部30がマイコン11に接続されている。操
作部30には、リモコン(図示せず)や表示部29に設けられた各種のボタンスイッチ(
図示せず)や表示部29の表示画面上に設けられたタッチパネル(図示せず)などが採用
される。
【0063】
また、スピーカ(図示せず)などを含んで構成される音声出力部31がマイコン11に
接続されており、マイコン11は、目的地までの走行ルートを案内する音声を合成して出
力する処理、交通規則に基づいた指示案内のための音声を合成して出力する処理(交通規
則指示案内手段)などを行うようになっている。
【0064】
次に実施の形態に係る車両用運転診断装置1におけるマイコン11の行う処理動作を図
8、9に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理動作は、目的地までの
走行ルートの案内時において運転診断モードが選択されている場合に実行される。
【0065】
まず、ステップS1では、目的地設定画面を通じて目的地が設定されたか否かを判断し
、目的地が設定されたと判断すればステップS2に進み、ステップS2では、目的地まで
の走行ルートを探索する処理を行い、その後ステップS3に進む。ステップS3では、目
的地までの走行ルートが決定されたか否かを判断し、目的地までの走行ルートが決定され
たと判断すればステップS4に進む。
【0066】
ステップS4では、目的地までの走行ルートに関する情報(出発地点、経由地点、目的
地点、高速道路や一般道などの走行道路情報など)を含む情報を無線通信部12を制御し
て、情報センター3へ送信する処理を行い、その後ステップS5に進む。なお、情報セン
ター3では、車両用運転診断装置1からの情報を受信すると、広域交通規則データベース
5から、目的地までの走行ルートに対応する交通規則に関する情報を抽出して、車両用運
転診断装置1へ送信するようになっている。
【0067】
ステップS5では、目的地までの走行ルートに対応した交通規則に関する情報を情報セ
ンター3から受信したか否かを判断し、受信したと判断すればステップS6に進み、ステ
ップS6では、受信した、目的地までの走行ルートに対応した交通規則に関する情報を交
通規則情報記憶部26に記憶する処理を行い、その後ステップS7に進む。
【0068】
その後車両が走行を開始すると、ステップS7では、GPS受信機13などから取得し
た信号に基づいて、自車位置を割り出す処理を行い、次のステップS8では、自車位置が
、設定された走行ルートから外れたか否かを判断し、設定された走行ルートから外れたと
判断すればステップS9に進み、ステップS9では、走行ルートの再探索処理を行い、そ
の後ステップS10に進む。ステップS10では、再探索された走行ルートに関する情報
を含む情報を無線通信部12を制御して、情報センター3へ送信する処理を行い、その後
ステップS5に進み処理を繰り返す。
【0069】
一方ステップS8において、設定された走行ルートから外れていないと判断すればステ
ップS11に進む。ステップS11では、交通規則情報記憶部26に記憶された、目的地
までの走行ルートに対応した交通規則に関する情報と、地図データベース25から読み出
した走行ルートの地図データとに基づいて、自車位置における交通規則に関する情報を抽
出する処理を行い、その後ステップS12に進む。
【0070】
ステップS12では、センサ類から車両の運転状態に関する情報を取得する処理を行い
、その後ステップS13に進む。ステップS13では、抽出された自車位置における交通
規則に関する情報と、取得した車両の運転状態に関する情報とに基づいて、自車位置で交
通規則に反した運転操作が行われたか否かを判断し、自車位置で交通規則に反した運転操
作が行われていないと判断すればステップS15に進む一方、自車位置で交通規則に反し
た運転操作が行われたと判断すればステップS14に進む。ステップS14では、交通規
則に反する運転操作に関する情報(図3参照)を違反情報記憶部27に記憶する処理を行
い、その後ステップS15に進む。
【0071】
ステップS15では、目的地へ到着したか否かを判断し、目的地へ到着していないと判
断すればステップS7に戻り処理を繰り返す一方、目的地に到達したと判断すれば図9に
示したステップS16に進む。
【0072】
ステップS16では、違反情報記憶部27に記憶された目的地までの交通規則に反する
運転操作に関する情報に基づいて、目的地までの走行ルートの交通規則に基づく運転特性
の診断情報(評価点数、評価コメント、再現画像情報)を生成する処理を行い、その後ス
テップS17に進む。ステップS17では、交通規則に基づく評価点数を含む診断情報を
表示出力(図4参照)して運転者に報知する処理を行い、その後ステップS18に進む。
【0073】
ステップS18では、表示画面上の「コメント」ボタンが入力されたか否かを判断し、
「コメント」ボタンが入力されたと判断すればステップS19に進み、ステップS19で
は、評価コメントの診断情報を表示出力(図5参照)する処理を行い、その後ステップS
22に進む。
【0074】
一方ステップS18において、「コメント」ボタンが入力されていないと判断すればス
テップS20に進み、ステップS20では、交通規則に反する運転操作を画像で再現表示
させる「再現」ボタンが入力されたか否かを判断し、「再現」ボタンが入力されたと判断
すればステップS21に進む。
【0075】
ステップS21では、違反地点の地図データと、その時の車両の運転状態に関する情報
とに基づいて生成された違反運転操作の再現画像(図6参照)を描画して表示する処理を
行い、その後ステップS22に進み、運転診断モードの終了操作があったか否かを判断し
、終了操作がなかったと判断すればステップS17に戻る一方、終了操作があったと判断
すれば処理を終了する。
【0076】
次に実施の形態に係る車両用運転診断装置1におけるマイコン11の行う別の処理動作
を図10に示したフローチャートに基づいて説明する。なお、本処理動作は、目的地まで
の走行ルートの案内時において運転補助モードが選択されている場合に実行される。また
、本処理動作は、図8に示した処理動作の途中(ステップS13)まで同一であるので、
ステップS13までの処理動作については、その説明を省略することとする。
【0077】
ステップS13において、抽出された自車位置における交通規則に関する情報と、取得
した車両の運転状態に関する情報とに基づいて、自車位置で交通規則に反した運転操作が
行われたか否かを判断し、自車位置で交通規則に反した運転操作が行われていないと判断
すればステップS32に進む一方、自車位置で交通規則に反した運転操作が行われたと判
断すればステップS31に進む。
【0078】
ステップS31では、交通規則に基づいた指示案内を行う処理を行う、例えば、右折(
又は左折)する交差点の所定距離手前で方向指示器の操作が検出されなかった場合、「交
差点の手前○○mです、右折(又は左折)の方向指示器を出しましょう」といった指示案
内や、制限速度より○○km/h以上速度超過している場合、「制限速度は時速○○km
です、速度を落としてください」といった指示案内等を音声出力する処理を行い、その後
ステップS32に進む。
【0079】
ステップS32では、目的地へ到着したか否かを判断し、目的地へ到着していないと判
断すればステップS7に戻り処理を繰り返す一方、目的地へ到着したと判断すれば処理を
終了する。
【0080】
上記実施の形態に係る車両用運転診断装置2によれば、車両の先の進路(ナビゲーショ
ン機能により設定された前記車両の目的地までの走行ルート)に対応した交通規則に関す
る情報を外部の情報センター3からまとめて取得することができ、自車位置における交通
規則に関する情報と、センサ類で検出された車両の運転状態に関する情報とに基づいて、
自車位置において交通規則に反した運転操作が行われたか否かが判断されるので、目的地
までの走行ルートにおいて、交通規則に反する運転操作が行われたことを逐次検出するこ
とができる。
【0081】
また、前記交通規則に関する情報が、前記先の進路の設定後に無線通信部12を介して
外部の情報センター3から取得するように構成されているので、前記設定された前記先の
進路に対応した前記交通規則に関する情報だけを適切に取得することができ、すなわち、
膨大な交通規則に関する情報の中から必要最小限の情報だけを取得することができ、装置
側のハードウェア資源(HDDなど)の消費を最小限に抑えることができる。また、最新
の交通規則に関する情報を取得することができ、前記交通規則に反した運転操作が行われ
たか否かの判断を正確に行うことができる。
【0082】
また、違反情報記憶部28に記憶された交通規則に反する運転操作に関する情報に基づ
いて、交通規則に基づいた運転特性の診断情報(評価点数、評価コメント、再現画像など
を含む情報)が生成され、該生成された交通規則に基づく診断情報が運転者に報知される
ようになっているので、交通規則に基づいた運転特性の診断情報により、運転者に対して
、運転の慣れ等により普段あまり意識していない交通規則を再認識させることができ、運
転マナーの向上や危険な運転操作を抑制させる効果を高めることができる。
【0083】
また、違反情報記憶部27に交通規則に反する運転操作に関する情報が記憶されるよう
になっているので、事故を起こしてしまった場合に、違反情報記憶部27内の情報を読み
出すことにより、事故の際にどのような運転操作が行われたのかを具体的に知ることがで
き、事故の検証に役立てることができる。
【0084】
また、交通規則に反した運転操作が行われた場合に、交通規則に基づいた指示案内が行
われるようになっているので、交通規則に基づいた指示案内を音声等で行うことにより、
交通規則に従うように運転者に促すことができ、運転マナーの向上や危険な運転操作を抑
制する効果を高めることができる。
【0085】
また、車両用運転診断システム1によれば、情報センター3から各車両の車両用運転診
断装置2へ、先の進路に対応した最新の交通規則に関する情報を提供することができ、各
車両の車両用運転診断装置2では、先の進路に対応した交通規則に関する情報を利用した
運転診断を正確に行うことが可能になる。
【0086】
なお、上記実施の形態に係る車両用運転診断装置2では、地図表示や音声によりルート
案内等を行うナビゲーション機能と、運転者が守るべき道路上の交通規則に基づいた運転
者の運転特性を診断する機能とを有する装置構成とした場合について説明したが、別の実
施の形態では、ナビゲーション機能等を有する車載端末装置に、本発明に係る運転特性を
診断する機能を有する運転診断装置を接続して使用する形態としてもよい。この場合、地
図データベース25、表示部29、操作部30、音声出力部31などは、前記車載端末装
置側の装備を利用して、地図データの取得や診断情報の表示などを実施できる形態とすれ
ばよい。また、運転診断装置にGPS受信機13などの自車位置検出手段を含めた装置構
成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用運転診断装置を利用するシステムの構成を概略的に示したブロック図である。
【図2】情報センターの広域交通規則データベースに登録されている所定地域の交通規則に関する情報の内容を説明するための図である。
【図3】車両用運転診断装置の違反情報記憶部に記憶される交通規則に反する運転操作に関する情報の内容を説明するための図である。
【図4】表示ディスプレイに表示された交通規則に基づく診断情報の表示例を示した図である。
【図5】表示ディスプレイに表示された交通規則に基づく診断情報の別の表示例を示した図である。
【図6】表示ディスプレイに表示された交通規則に基づく診断情報のさらに別の表示例を示した図である。
【図7】車両用運転診断装置におけるマイコンのROMに記憶されている点数算出テーブルの内容を説明するための図である。
【図8】実施の形態に係る車両用運転診断装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図9】実施の形態に係る車両用運転診断装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る車両用運転診断装置におけるマイコンの行う別の処理動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 車両用運転診断システム
2 車両用運転診断装置
3 情報センター
4 サーバ
5 広域交通規則データベース
11 マイコン
12 無線通信部
13 GPS受信機
14 車速センサ
15 ジャイロセンサ
16〜24 センサ類
25 地図データベース
26 交通規則情報記憶部
27 違反情報記憶部
28 診断情報記憶部
29 表示部
30 操作部
31 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の運転特性を診断するための車両用運転診断装置において、
車両の先の進路に対応した、運転者が守るべき道路上の交通規則に関する情報を取得す
る交通規則情報取得手段と、
前記車両の運転状態に関する情報を取得する車両情報取得手段と、
取得した前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報と前記先の進路の地図情報
と前記車両の現在位置を検出する自車位置検出手段からの自車位置情報とに基づいて、自
車位置における前記交通規則に関する情報を抽出する自車位置交通規則情報抽出手段と、
該自車位置交通規則情報抽出手段により抽出された前記自車位置における前記交通規則
に関する情報と、前記車両情報取得手段により取得された前記車両の運転状態に関する情
報とに基づいて、前記交通規則に反した運転操作が行われたか否かを判断する違反運転操
作判断手段とを備えていることを特徴とする車両用運転診断装置。
【請求項2】
前記先の進路は、ナビゲーション機能により設定された前記車両の目的地までの走行ル
ートであることを特徴とする請求項1記載の車両用運転診断装置。
【請求項3】
前記交通規則情報取得手段が、前記交通規則に関する情報を、前記先の進路の設定後に
無線通信手段を介して外部から取得するように構成されていることを特徴とする請求項1
又は請求項2記載の車両用運転診断装置。
【請求項4】
前記交通規則情報取得手段が、前記交通規則に関する情報を、前記先の進路の再探索が
あった場合、該再探索後に前記無線通信手段を介して外部から取得するように構成されて
いることを特徴とする請求項3記載の車両用運転診断装置。
【請求項5】
前記違反運転操作判断手段により前記交通規則に反する運転操作が行われたと判断され
た場合、前記交通規則に反する運転操作に関する情報を記憶する違反情報記憶手段と、
該違反情報記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記交通規則に基づいた運転特性の
診断情報を生成する診断情報生成手段と、
該診断情報生成手段により生成された前記運転特性の診断情報を報知する報知手段とを
備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の車両用運転診断装置。
【請求項6】
前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了した後、該走行区間における前記交通規則
に基づいた運転特性の評価点数を含む診断情報を生成するものであることを特徴とする請
求項5記載の車両用運転診断装置。
【請求項7】
前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了した後、該走行区間における前記交通規則
に基づいた運転特性の評価コメントを含む診断情報を生成するものであることを特徴とす
る請求項5記載の車両用運転診断装置。
【請求項8】
前記診断情報生成手段が、所定の走行が完了した後、該走行区間における前記交通規則
に反した運転操作の再現画像情報を含む診断情報を生成するものであることを特徴とする
請求項5記載の車両用運転診断装置。
【請求項9】
前記違反運転操作判断手段による判断結果に基づいて、前記交通規則に基づいた指示案
内を行う交通規則指示案内手段を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの
項に記載の車両用運転診断装置。
【請求項10】
運転者の運転特性を診断するための車両用運転診断装置と、情報センターとが無線通信
回線を介して通信可能に接続された車両用運転診断システムであって、
前記車両用運転診断装置が、
車両の先の進路に関する情報を含む情報を前記情報センターへ送信する送信手段を備え

前記情報センターが、
所定地域に対応した、運転者が守るべき道路上の交通規則に関する情報を記憶する広域
交通規則情報記憶手段と、
前記車両用運転診断装置から受信した前記情報に基づいて、前記先の進路に対応した前
記交通規則に関する情報を前記広域交通規則情報記憶手段から抽出する交通規則情報抽出
手段と、
該交通規則情報抽出手段により抽出された前記先の進路に対応した前記交通規則に関す
る情報を前記車両用運転診断装置へ送信する送信手段とを備えていることを特徴とする車
両用運転診断システム。
【請求項11】
前記車両用運転診断装置が、
前記情報センターから受信した前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報を記
憶する交通規則情報記憶手段と、
前記車両の運転状態に関する情報を取得する車両情報取得手段と、
前記交通規則情報記憶手段に記憶された前記先の進路に対応した前記交通規則に関する
情報と前記先の進路の地図情報と前記車両の現在位置を検出する自車位置検出手段からの
自車位置情報とに基づいて、自車位置における前記交通規則に関する情報を抽出する自車
位置交通規則情報抽出手段と、
該自車位置交通規則情報抽出手段により抽出された前記自車位置における前記交通規則
に関する情報と、前記車両情報取得手段により取得された前記車両の運転状態に関する情
報とに基づいて、前記交通規則に反する運転操作が行われたか否かを判断する違反運転操
作判断手段とを備えていることを特徴とする請求項10記載の車両用運転診断システム。
【請求項12】
前記車両用運転診断装置が、
前記違反運転操作判断手段により前記交通規則に反する運転操作が行われたと判断され
た場合、前記交通規則に反する運転操作に関する情報を記憶する違反情報記憶手段と、
該違反情報記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記交通規則に基づいた運転特性の
診断情報を生成する診断情報生成手段と、
該診断情報生成手段により生成された前記運転特性の診断情報を報知する報知手段とを
備えていることを特徴とする請求項11記載の車両用運転診断システム。
【請求項13】
運転者の運転特性を診断するための車両用運転診断装置と、情報センターとが無線通信
回線を介して通信可能に接続されたシステムにおける車両用運転診断方法であって、
前記車両用運転診断装置において、車両の先の進路に関する情報を含む情報を前記情報
センターへ送信するステップと、
前記情報センターにおいて、
前記車両用運転診断装置から受信した前記情報に基づいて、所定地域に対応した、運転
者が守るべき道路上の交通規則に関する情報が記憶された広域交通規則情報記憶手段から
、前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報を抽出するステップと、
該ステップにより抽出された前記先の進路に対応した前記交通規則に関する情報を前記
車両用運転診断装置へ送信するステップとを含んでいることを特徴とする車両用運転診断
方法。
【請求項14】
前記車両用運転診断装置において、前記情報センターから受信した前記先の進路に対応
した前記交通規則に関する情報を交通規則情報記憶手段へ記憶するステップと、
前記交通規則情報記憶手段に記憶された前記先の進路における前記交通規則に関する情
報と前記先の進路の地図情報とに基づいて、自車位置における前記交通規則に関する情報
を抽出するステップと、
該ステップにより抽出された前記自車位置における前記交通規則に関する情報と、車両
情報取得手段により取得された前記車両の運転状態に関する情報とに基づいて、前記交通
規則に反する運転操作が行われたか否かを判断するステップとを含んでいることを特徴と
する請求項13記載の車両用運転診断方法。
【請求項15】
前記車両用運転診断装置において、前記交通規則に反する運転操作が行われたか否かを
判断するステップにより判断された前記交通規則に反する運転操作に関する情報を違反情
報記憶手段に記憶するステップと、
前記違反情報記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記交通規則に基づいた運転特性
の診断情報を生成するステップと、
該ステップにより生成された前記運転特性の診断情報を報知するステップとを備えてい
ることを特徴とする請求項14記載の車両用運転診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−209455(P2006−209455A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−20501(P2005−20501)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】