車両用配索部品の接続装置
【課題】車体側のサイドメンバにフロントエンドモジュールを組み付ける際に、両者間の配管類を比較的簡易な治具を用いて容易に接続することができる方法を提供する。
【解決手段】車体B側のサイドメンバSおよびフロントエンドモジュールMに予めスロット1を有する治具ブロックJ1またはJ2を装着して、それらに配管P1またはP2を把持させておく。サイドメンバSにフロントエンドモジュールMを組み付ける際に、治具ブロックJ1,J2同士を嵌合させ、双方の治具ブロックJ1,J2が把持している配管P1,P2同士を相互に嵌合させて接続する。接続後に治具ブロックJ1,J2を上方に引き抜く。
【解決手段】車体B側のサイドメンバSおよびフロントエンドモジュールMに予めスロット1を有する治具ブロックJ1またはJ2を装着して、それらに配管P1またはP2を把持させておく。サイドメンバSにフロントエンドモジュールMを組み付ける際に、治具ブロックJ1,J2同士を嵌合させ、双方の治具ブロックJ1,J2が把持している配管P1,P2同士を相互に嵌合させて接続する。接続後に治具ブロックJ1,J2を上方に引き抜く。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるモジュール構造を採用した車両において、例えば車体に対してフロントエンドモジュールを組み付ける際に、それらの車体側およびフロントエンドモジュール側にそれぞれ付帯している配管等の配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に記載のようないわゆるモジュール構造を採用した車両において、ラジエータ等を母体として予め組み立てたフロントエンドモジュールを車体に組み付ける際に、例えば油液供給のために車体側およびフロントエンドモジュール側の双方にそれぞれ付帯している配管類も同時に接続する必要があるが、これらの配管接続作業はその多くを人為的作業に依存してるのが実情である。
【特許文献1】特開2004−291764号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−146244号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなモジュール構造の車体の特殊性として配管接続箇所が多岐にわたるだけでなく、配管類の配置位置が錯綜化しているため、作業者に無理な姿勢での作業を強いることになり、作業者の肉体的負担が大きく、作業性が悪いという問題がある。
【0004】
そこで、配管類を特定の一箇所もしくは二箇所に予め集約化した上で所定の治具を用いていわゆる一括接続構造とすることが試みられているが、集約化した配管類の数が多くなればなるほどそれらの配管接続に要する挿入力および治具取り外し力が大きくなり、大規模な自動化設備を導入しないかぎり対応することが困難となる。
【0005】
本発明はこのような背景のもとになされたものであり、配管類を特定の一箇所もしくは二箇所に予め集約化した上で所定の治具を用いていわゆる一括接続構造にて接続することを前提としつつも、比較的簡易な治具を用いるだけで所期の目的を達成することができるようにした接続方法と接続装置を提供しようとするものである
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置であることを前提としている。
【0007】
その上で、車体側およびモジュール部材側のそれぞれに予め装着されるとともに、配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な一対の治具ブロックをもって構成してなり、各治具ブロックは、配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもって配索部品を把持する機能と、車体に対するモジュール部材の組み付けをもって相互嵌合して配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了をもって上記把持力を解除して車体側およびモジュール部材側からの同時引き抜きを可能にする機能とを備えている。
【0008】
そして、上記治具ブロックによる配索部品の把持は、互いに接近離間可能で且つ互いに同期回転可能な少なくとも一対の歯車状の把持爪により弾性的に把持するようになっていることを特徴とする。
【0009】
ここに言うモジュール部材とは、フロントエンドモジュールのほかコックピットモジュール等を想定している。また、配索部品同士の接続とは、配管同士の相互嵌合による接続、もしくはワイヤハーネス(組み電線)同士のコネクタ嵌合による接続等を想定している。
【0010】
この場合、請求項2に記載のように、上記少なくとも一対の把持爪は配索部品同士の嵌合方向と平行な軸心を回転中心として1/n回転ずつ割り出し回転してはその都度位置決めロックされるようになっていて、且つ互いに接近する方向に弾性手段により付勢されているが作動安定性向上の上で望ましい。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明では、車体およびモジュール部材のそれぞれに独立した治具ブロックを着脱可能に装着して、車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品をそれらの治具ブロックにて把持して拘束しておく。
【0012】
そして、車体に対してモジュール部材を正規組付状態をもって組み付ける際に、その組付力および組付ストロークをもって双方の治具ブロック同士を嵌合させることで、最初にそれらの治具ブロックを介して車体側の配索部品とモジュール部材側の配索部品との相対位置決めがなされることになる。さらに、車体とモジュール部材とが正規組付状態になると、それぞれの治具ブロックに把持されて拘束されている車体側の配索部品とモジュール部材側の配索部品とが相互嵌合して接続されることになる。その際、各治具ブロックの把持爪は、相互嵌合をもって接続された配索部品をなおも把持して拘束している。
【0013】
この状態において、なおも相互嵌合している双方の治具ブロックは接続後の配索部品を残して引き抜き可能であることから、双方の治具ブロックを同時に引き抜くことで各把持爪が接続完了後の配索部品を開放することから、これをもって配索部品同士の接続作業が完了する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、比較的簡易な治具ブロックを補助的に用いることで、車体に対するモジュール部材の組付力を有効利用しながら配索部品同士の相互嵌合をもってその接続作業を行うことができるから、作業者の負担を軽減できる上に大規模な自動化設備も不要であり、配索部品同士の接続を安定して行える効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1以下の図面は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、特に図1,2は車体B側のサイドメンバSの先端にその前面側からモジュール部材としてのフロントエンドモジュール(以下、「フロントモジュール」と略称する)Mを組み付けた状態を示している。すなわち、図1はサイドメンバSの先端にその前面側からフロントモジュールMを組み付ける際に、A部およびB部においてサイドメンバS側およびフロントモジュールM側ごとに独立している治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12をもってそのサイドメンバSとフロントモジュールMとの間で配索部品としての配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士をそれぞれ接続した状態を、図2は配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士の接続完了後にそれぞれの治具ブロックJ1,J2およびJ11J,12を引き抜く(取り外す)途中の状態をそれぞれ示している。
【0016】
図1,2に示すように、治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12はサイドメンバS側およびフロントモジュールM側ごとに独立した偏平ブロック状のものであり、サイドメンバSに対するフロントモジュールMの組み付けに先立って、それらサイドメンバSおよびフロントモジュールMに予め治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12を上方から個別に装着しておくものとする。その際に、各治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12は該当する配管P1〜P4およびP11〜P14をスロット1にて受容するとともに、後述するように内蔵する把持爪3,3同士および13,13同士にてそれらの配管P1〜P4およびP11〜P14をそれぞれ把持させておく。そして、サイドメンバSにフロントモジュールMを組み付けるべくフロントモジュールMをサイドメンバSに突き合わせる過程で、その組付ストロークおよび組付力のもとで双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12もまた相互に嵌合して、その結果として各治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12同士が把持している配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士もまた相互に嵌合して接続されることになる。
【0017】
この後、図2に示すようにサイドメンバSに対してフロントモジュールMが正規組付状態となった状態では、双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12はなおも相互嵌合状態にあることから、同図に矢印aで示すように双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12同士を一体のものとして同時にそれぞれ上方に引き抜けば、サイドメンバSに対するフロントモジュールMの組み付けと同時に配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士の接続も完了することになる。
【0018】
図3は一例として図1,2に示した二本の配管P1,P11およびP2,P12を把持可能な治具ブロックJ1,J2の要部の概略構造を示しており、また図4は図3の要部正面図を、図5は図4の左側面図をそれぞれ示している。
【0019】
図3〜5から明らかなように、配管P1,P2およびP11,P12を受容するためのスロット1の内側面凹部2には左右で対向しつつ二つで一組の把持爪3,3および13,13を上下二段にわたり合計で4個配置してある。各把持爪3,13は、例えば金属または硬質樹脂等により比較的歯幅の大きな4歯の歯車状もしくは4葉タイプの回転子状のものとして形成したものであって、配管P1,P11またはP2,P12の把持面として機能することになる谷部3bは山部3aと共に滑らかな円弧状面としてあるとともに、左右の把持爪3,3および13,13の山部3a,3a同士および谷部3b,3b同士が正対するように配管P1,P11同士およびP2,P12同士の相互嵌合方向と平行なシャフト4をもって治具ブロックJ1,J2に回転可能に支持させてある。各把持爪3,13はそれぞれにシャフト4上にてラチェット機構5を有していて、これにより左右の把持爪3,3同士および13,13同士は互いに同期して1/4回転(90°)ずつ割り出し回転しながらその1/4回転毎にその位置に位置決めロックされて節度感が得られるようになっている。
【0020】
また、各把持爪3,13は図6に示すようにいずれも正逆転可能であり、さらに、図7に示すように、左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は互いに接近離間する方向にスライド可能で、且つその初期クリアランスCが任意に調整可能となっているとともに、弾性手段である圧縮コイルスプリングによって互いに接近する方向に付勢されている。
【0021】
そして、左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は、図4に示すように円弧状面をもって形成されていて且つ左右で正対する谷部3b,3b同士をもって断面が円形の配管P1,P11およびP2,P12をセンタリングしながら弾性的に把持するようになっている。つまり、左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は互いに接近する方向に弾性付勢されてはいても、接近方向だけでなく離間方向にもスライド可能であることから、後述するように左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は該当する配管P1,P11およびP2,P12同士の相互嵌合方向および治具ブロックJ1,J2そのものの脱着方向と共に直交する方向から弾性的に把持することが可能となっている。
【0022】
なお、上下方向で並んでいる把持爪3,13同士の距離は、図1,2に示した一対の配管P1,P11同士およびP2,P12同士のなす距離と同じ距離に予め設定してある。また、各把持爪3,13の表面には把持対象となる配索部品たる配管P1,P11およびP2,P12への傷付きを防止するためのコーティング層として例えばビニールコーティングを施してある。
【0023】
このような構造によれば、先に図1に基づいて説明したように、サイドメンバSを有する車体BおよびフロントモジュールMそれぞれの単体の状態で上方から治具ブロックJ1,J2を差し込んで装着する。その際には、図8の(A)に示すように左右で対をなす上下の把持爪3,3同士および13,13同士はそれぞれその谷部3b,3b同士が正対している。
【0024】
そして、図8の(A)に示すように治具ブロックJ1,J2を該当する配管P1,P2およびP11,P12の上方から装着しながらスロット1にてその配管P1,P2およびP11,P12を受容すると、最初に同図(B)に示すように下側の一対の把持爪13,13と上側の配管P2,P12とが干渉して、すなわち下側の各把持爪13,13の山部3aと上側の配管P2,P12とが干渉して、同図(C)に示すように把持爪13,13はそれぞれ1/4回転だけ同期回転してその回転後の位置に位置決めロックされる。この時、各把持爪13,13の山部3aは配管P2,P12の径を乗り越える必要があるが、各把持爪13,13は図7に示したようなスライド自由度を有していることから、このスライド自由度をもって瞬間的に各把持爪13,13の山部3aが上側の配管P2,P12の径を乗り越えることが可能となる。以上をもって下側の一対の把持爪13,13がその谷部3bをもって上側の配管P2,P12を弾性的に把持することになる。なお、この時の弾性把持力は図7に示した圧縮コイルスプリング6の弾性力に依存することになる。
【0025】
図8の(C)の状態から治具ブロックJ1,J2の差し込み動作をなおも続けると、図9の(A)に示すようにそれまで上側の配管P2,P12を把持していた下側の一対の把持爪13,13が上記と同様にしてさらに1/4回転だけ回転して、上側の配管P2,P12を開放してその上側の配管P2,P12を完全に乗り越えることになる。
【0026】
図9の(A)の状態から治具ブロックJ1,J2の差し込み動作をさらに続けると、今度は同図(B)に示すように、下側の一対の把持爪13,13と下側の配管P1,P11とが、上側の一対の把持爪3,3と上側の配管P2,P12とがそれぞれその山部3aにて干渉して、同図(C)に示すように下側の一対の把持爪13,13同士および上側の一対の把持爪3,3同士はそれぞれ1/4回転だけ同期回転してその回転後の位置に位置決めロックされる。これにより、下側の一対の把持爪13,13同士はその谷部3bをもって下側の配管P1,P11を、上側の一対の把持爪3,3同士はその谷部3bをもって上側の配管P2,P12をそれぞれセンタリングしながら弾性的に把持することになる。
【0027】
なお、このような動作は配管P3,P13側においても同様であり、また治具J11,J12側においても上記と同様の動作が行われて配管P4,P14を把持することになる。
【0028】
この状態がサイドメンバSを有する車体BおよびフロントモジュールMそれぞれの単体の状態で上方から治具ブロックJ1,J2を装着した状態であり、各治具ブロックJ1,J2はこの状態を自己保持することが可能である。
【0029】
次いで、図1,2に示した車体B側のサイドメンバSにフロントモジュールMを組み付けるべく両者を突き合わせると、先に述べたように双方の治具ブロックJ1,J2同士が嵌合する一方で、図10に示すように相互嵌合をもって接続すべきサイドメンバS側の配管P1とフロントモジュールM側の配管P11同士および配管P2,P12同士がそれぞれに正対し、サイドメンバSとフロントモジュールMとの組み付けストロークの進行に併せて、その組み付け力を嵌合力として利用して同図に示すように配管P1,P11同士およびP2,P12同士の相互嵌合をもってそれらが接続される。
【0030】
この時、上下の把持爪3,3同士および13,13同士が配管P2,P12およびP1,P11を弾性的に堅固に把持していて両者の間に滑りがないとすれば、配管P1,P11同士およびP2,P12同士の相互嵌合に伴う反力は図5に示すように各把持爪3,13を支持しているシャフト4側のフランジ部7と治具ブロックJ1,J2との当接によって最終的に治具ブロックJ1,J2が負担する。以上をもって配管P1,P11同士およびP2,P12同士の接続が完了する。
【0031】
なお、このような一連の動作は図1,2に示したもう一方の治具J11,J12側についても全く同様である。
【0032】
この後、図2に示すように相互嵌合状態にある各治具ブロックJ1,J2を一体のものとして同時に上方に引き抜いて配管P1,P11同士およびP2,P12同士の接続作業を終了する。この時、上下各一対の把持爪3,3同士および13,13同士は図8の(A)〜図9の(C)に至る過程とは全く逆の手順で1/4回転ずつ逆転動作することで相互嵌合完了後の配管P1,P2およびP2,P12を順次開放し、その結果として各治具ブロックJ1,J2をきわめてスムーズに引き抜くことが可能となる。
【0033】
ここで、必要に応じて図11の(A),(B)に示すように同一のシャフト4上に各一対の把持爪3,3または13,13を設けて、合計4個の把持爪3,3‥または13,13‥にて配管P1,P11またはP2,P12を把持するようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施の形態では、把持爪3,13として山部3aと谷部3bを交互に有する4歯の歯車状もしくは4葉タイプの回転子状のものとして、これを1/4回転(90°)ずつ回転させる場合について例示しているが、山部3aと谷部3bの数および回転角はその増減により任意に設定可能であることは言うまでもない。例えば把持爪3,13の回転角度は1/4回転ずつ以外の1/n回転ずつとすることももちろん可能である。
【0035】
図12の(A),(B)は本発明の第2の実施の形態として治具ブロックJ1,J2の変形例を示している。
【0036】
この第2の実施の形態では、配管P1,P11等の配索部品の断面形状に応じた把持部23aを有する一対のアーム状の把持爪23を治具ブロックJ1,J2に接近離間可能なように対向配置したものであり、把持爪23はヒンジピン24を介してその下端部を治具ブロックJ1,J2に揺動可能に且つ着脱可能に支持させてある。そして、把持爪23の根元部背面側には弾性手段として板ばね25を同じく着脱可能に配置し、この板ばね25による弾性力をもって各把持爪23に弾性把持力を発生させるようにしてある。
【0037】
この第2の実施の形態によれば、把持爪23を交換することで断面形状の異なる配管P1,P11等の把持にも柔軟に対応できるとともに、板ばね25もその弾性力の異なるものと交換することで把持力そのものも容易に調整できる利点がある。
【0038】
このように上記各実施の形態によれば、きわめて簡素な治具ブロックJ1,J2を採用するだけで、車体Bに対するフロントモジュールMの組付時に各種配管P1,P2とP11,P12との相互嵌合による接続作業を同時に且つスムーズに行えるようになる。
【0039】
なお、上記の実施の形態では、配索部品として配管同士を接続する場合について例示したが、本発明はワイヤハーネス同士を例えばコネクタ嵌合にて接続する場合にも同様に適用することができる。
【0040】
また、本件はフロントエンドモジュール以外のモジュール、例えばコックピットモジュール等の組み付けにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のより具体的な実施の形態を示す図で、治具ブロックを使用した本発明の配索部品接続方法が適用されるモジュール構造の車両の車体に対しフロントエンドモジュールを組み付けた状態を示す要部斜視図。
【図2】図1の状態からの治具ブロックの取り外し状態を示す要部斜視図。
【図3】図1,2で使用される治具ブロックの要部の概略構造を示す斜視図。
【図4】図3に示す治具ブロックの要部断面説明図。
【図5】図4の左側面図。
【図6】図4の要部拡大説明図。
【図7】同じく図4の要部拡大説明図。
【図8】図3に示した把持爪が配管を把持するときの作動説明図。
【図9】図8に続いて把持爪が配管を把持するときの作動説明図。
【図10】配管同士が相互嵌合したときの要部断面説明図。
【図11】図3〜5の治具ブロックの変形例を示し、(A)は把持爪の要部拡大図、(B)は同図(A)のA−A線に沿う断面説明図。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示す図で、(A)は治具ブロックの要部の概略構造を示す斜視図、(B)は同図(A)の正面説明図。
【符号の説明】
【0042】
1…スロット
3…把持爪
3a…山部
3b…谷部
6…圧縮コイルスプリング(弾性手段)
13…把持爪
23…把持爪
25…板ばね(弾性手段)
B…車体
J1,J2…治具ブロック
J11,J12…治具ブロック
M…フロントエンドモジュール
P1,P11…配管(配索部品)
P2,P12…配管(配索部品)
S…サイドメンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆるモジュール構造を採用した車両において、例えば車体に対してフロントエンドモジュールを組み付ける際に、それらの車体側およびフロントエンドモジュール側にそれぞれ付帯している配管等の配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に記載のようないわゆるモジュール構造を採用した車両において、ラジエータ等を母体として予め組み立てたフロントエンドモジュールを車体に組み付ける際に、例えば油液供給のために車体側およびフロントエンドモジュール側の双方にそれぞれ付帯している配管類も同時に接続する必要があるが、これらの配管接続作業はその多くを人為的作業に依存してるのが実情である。
【特許文献1】特開2004−291764号公報(図1)
【特許文献2】特開2003−146244号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようなモジュール構造の車体の特殊性として配管接続箇所が多岐にわたるだけでなく、配管類の配置位置が錯綜化しているため、作業者に無理な姿勢での作業を強いることになり、作業者の肉体的負担が大きく、作業性が悪いという問題がある。
【0004】
そこで、配管類を特定の一箇所もしくは二箇所に予め集約化した上で所定の治具を用いていわゆる一括接続構造とすることが試みられているが、集約化した配管類の数が多くなればなるほどそれらの配管接続に要する挿入力および治具取り外し力が大きくなり、大規模な自動化設備を導入しないかぎり対応することが困難となる。
【0005】
本発明はこのような背景のもとになされたものであり、配管類を特定の一箇所もしくは二箇所に予め集約化した上で所定の治具を用いていわゆる一括接続構造にて接続することを前提としつつも、比較的簡易な治具を用いるだけで所期の目的を達成することができるようにした接続方法と接続装置を提供しようとするものである
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置であることを前提としている。
【0007】
その上で、車体側およびモジュール部材側のそれぞれに予め装着されるとともに、配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な一対の治具ブロックをもって構成してなり、各治具ブロックは、配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもって配索部品を把持する機能と、車体に対するモジュール部材の組み付けをもって相互嵌合して配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了をもって上記把持力を解除して車体側およびモジュール部材側からの同時引き抜きを可能にする機能とを備えている。
【0008】
そして、上記治具ブロックによる配索部品の把持は、互いに接近離間可能で且つ互いに同期回転可能な少なくとも一対の歯車状の把持爪により弾性的に把持するようになっていることを特徴とする。
【0009】
ここに言うモジュール部材とは、フロントエンドモジュールのほかコックピットモジュール等を想定している。また、配索部品同士の接続とは、配管同士の相互嵌合による接続、もしくはワイヤハーネス(組み電線)同士のコネクタ嵌合による接続等を想定している。
【0010】
この場合、請求項2に記載のように、上記少なくとも一対の把持爪は配索部品同士の嵌合方向と平行な軸心を回転中心として1/n回転ずつ割り出し回転してはその都度位置決めロックされるようになっていて、且つ互いに接近する方向に弾性手段により付勢されているが作動安定性向上の上で望ましい。
【0011】
したがって、請求項1に記載の発明では、車体およびモジュール部材のそれぞれに独立した治具ブロックを着脱可能に装着して、車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品をそれらの治具ブロックにて把持して拘束しておく。
【0012】
そして、車体に対してモジュール部材を正規組付状態をもって組み付ける際に、その組付力および組付ストロークをもって双方の治具ブロック同士を嵌合させることで、最初にそれらの治具ブロックを介して車体側の配索部品とモジュール部材側の配索部品との相対位置決めがなされることになる。さらに、車体とモジュール部材とが正規組付状態になると、それぞれの治具ブロックに把持されて拘束されている車体側の配索部品とモジュール部材側の配索部品とが相互嵌合して接続されることになる。その際、各治具ブロックの把持爪は、相互嵌合をもって接続された配索部品をなおも把持して拘束している。
【0013】
この状態において、なおも相互嵌合している双方の治具ブロックは接続後の配索部品を残して引き抜き可能であることから、双方の治具ブロックを同時に引き抜くことで各把持爪が接続完了後の配索部品を開放することから、これをもって配索部品同士の接続作業が完了する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、比較的簡易な治具ブロックを補助的に用いることで、車体に対するモジュール部材の組付力を有効利用しながら配索部品同士の相互嵌合をもってその接続作業を行うことができるから、作業者の負担を軽減できる上に大規模な自動化設備も不要であり、配索部品同士の接続を安定して行える効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1以下の図面は本発明のより具体的な実施の形態を示す図であり、特に図1,2は車体B側のサイドメンバSの先端にその前面側からモジュール部材としてのフロントエンドモジュール(以下、「フロントモジュール」と略称する)Mを組み付けた状態を示している。すなわち、図1はサイドメンバSの先端にその前面側からフロントモジュールMを組み付ける際に、A部およびB部においてサイドメンバS側およびフロントモジュールM側ごとに独立している治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12をもってそのサイドメンバSとフロントモジュールMとの間で配索部品としての配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士をそれぞれ接続した状態を、図2は配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士の接続完了後にそれぞれの治具ブロックJ1,J2およびJ11J,12を引き抜く(取り外す)途中の状態をそれぞれ示している。
【0016】
図1,2に示すように、治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12はサイドメンバS側およびフロントモジュールM側ごとに独立した偏平ブロック状のものであり、サイドメンバSに対するフロントモジュールMの組み付けに先立って、それらサイドメンバSおよびフロントモジュールMに予め治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12を上方から個別に装着しておくものとする。その際に、各治具ブロックJ1,J2およびJ11,J12は該当する配管P1〜P4およびP11〜P14をスロット1にて受容するとともに、後述するように内蔵する把持爪3,3同士および13,13同士にてそれらの配管P1〜P4およびP11〜P14をそれぞれ把持させておく。そして、サイドメンバSにフロントモジュールMを組み付けるべくフロントモジュールMをサイドメンバSに突き合わせる過程で、その組付ストロークおよび組付力のもとで双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12もまた相互に嵌合して、その結果として各治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12同士が把持している配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士もまた相互に嵌合して接続されることになる。
【0017】
この後、図2に示すようにサイドメンバSに対してフロントモジュールMが正規組付状態となった状態では、双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12はなおも相互嵌合状態にあることから、同図に矢印aで示すように双方の治具ブロックJ1,J2同士およびJ11,J12同士を一体のものとして同時にそれぞれ上方に引き抜けば、サイドメンバSに対するフロントモジュールMの組み付けと同時に配管P1,P11同士、P2,P12同士、P3,P13同士およびP4,P14同士の接続も完了することになる。
【0018】
図3は一例として図1,2に示した二本の配管P1,P11およびP2,P12を把持可能な治具ブロックJ1,J2の要部の概略構造を示しており、また図4は図3の要部正面図を、図5は図4の左側面図をそれぞれ示している。
【0019】
図3〜5から明らかなように、配管P1,P2およびP11,P12を受容するためのスロット1の内側面凹部2には左右で対向しつつ二つで一組の把持爪3,3および13,13を上下二段にわたり合計で4個配置してある。各把持爪3,13は、例えば金属または硬質樹脂等により比較的歯幅の大きな4歯の歯車状もしくは4葉タイプの回転子状のものとして形成したものであって、配管P1,P11またはP2,P12の把持面として機能することになる谷部3bは山部3aと共に滑らかな円弧状面としてあるとともに、左右の把持爪3,3および13,13の山部3a,3a同士および谷部3b,3b同士が正対するように配管P1,P11同士およびP2,P12同士の相互嵌合方向と平行なシャフト4をもって治具ブロックJ1,J2に回転可能に支持させてある。各把持爪3,13はそれぞれにシャフト4上にてラチェット機構5を有していて、これにより左右の把持爪3,3同士および13,13同士は互いに同期して1/4回転(90°)ずつ割り出し回転しながらその1/4回転毎にその位置に位置決めロックされて節度感が得られるようになっている。
【0020】
また、各把持爪3,13は図6に示すようにいずれも正逆転可能であり、さらに、図7に示すように、左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は互いに接近離間する方向にスライド可能で、且つその初期クリアランスCが任意に調整可能となっているとともに、弾性手段である圧縮コイルスプリングによって互いに接近する方向に付勢されている。
【0021】
そして、左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は、図4に示すように円弧状面をもって形成されていて且つ左右で正対する谷部3b,3b同士をもって断面が円形の配管P1,P11およびP2,P12をセンタリングしながら弾性的に把持するようになっている。つまり、左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は互いに接近する方向に弾性付勢されてはいても、接近方向だけでなく離間方向にもスライド可能であることから、後述するように左右で対をなす把持爪3,3同士および13,13同士は該当する配管P1,P11およびP2,P12同士の相互嵌合方向および治具ブロックJ1,J2そのものの脱着方向と共に直交する方向から弾性的に把持することが可能となっている。
【0022】
なお、上下方向で並んでいる把持爪3,13同士の距離は、図1,2に示した一対の配管P1,P11同士およびP2,P12同士のなす距離と同じ距離に予め設定してある。また、各把持爪3,13の表面には把持対象となる配索部品たる配管P1,P11およびP2,P12への傷付きを防止するためのコーティング層として例えばビニールコーティングを施してある。
【0023】
このような構造によれば、先に図1に基づいて説明したように、サイドメンバSを有する車体BおよびフロントモジュールMそれぞれの単体の状態で上方から治具ブロックJ1,J2を差し込んで装着する。その際には、図8の(A)に示すように左右で対をなす上下の把持爪3,3同士および13,13同士はそれぞれその谷部3b,3b同士が正対している。
【0024】
そして、図8の(A)に示すように治具ブロックJ1,J2を該当する配管P1,P2およびP11,P12の上方から装着しながらスロット1にてその配管P1,P2およびP11,P12を受容すると、最初に同図(B)に示すように下側の一対の把持爪13,13と上側の配管P2,P12とが干渉して、すなわち下側の各把持爪13,13の山部3aと上側の配管P2,P12とが干渉して、同図(C)に示すように把持爪13,13はそれぞれ1/4回転だけ同期回転してその回転後の位置に位置決めロックされる。この時、各把持爪13,13の山部3aは配管P2,P12の径を乗り越える必要があるが、各把持爪13,13は図7に示したようなスライド自由度を有していることから、このスライド自由度をもって瞬間的に各把持爪13,13の山部3aが上側の配管P2,P12の径を乗り越えることが可能となる。以上をもって下側の一対の把持爪13,13がその谷部3bをもって上側の配管P2,P12を弾性的に把持することになる。なお、この時の弾性把持力は図7に示した圧縮コイルスプリング6の弾性力に依存することになる。
【0025】
図8の(C)の状態から治具ブロックJ1,J2の差し込み動作をなおも続けると、図9の(A)に示すようにそれまで上側の配管P2,P12を把持していた下側の一対の把持爪13,13が上記と同様にしてさらに1/4回転だけ回転して、上側の配管P2,P12を開放してその上側の配管P2,P12を完全に乗り越えることになる。
【0026】
図9の(A)の状態から治具ブロックJ1,J2の差し込み動作をさらに続けると、今度は同図(B)に示すように、下側の一対の把持爪13,13と下側の配管P1,P11とが、上側の一対の把持爪3,3と上側の配管P2,P12とがそれぞれその山部3aにて干渉して、同図(C)に示すように下側の一対の把持爪13,13同士および上側の一対の把持爪3,3同士はそれぞれ1/4回転だけ同期回転してその回転後の位置に位置決めロックされる。これにより、下側の一対の把持爪13,13同士はその谷部3bをもって下側の配管P1,P11を、上側の一対の把持爪3,3同士はその谷部3bをもって上側の配管P2,P12をそれぞれセンタリングしながら弾性的に把持することになる。
【0027】
なお、このような動作は配管P3,P13側においても同様であり、また治具J11,J12側においても上記と同様の動作が行われて配管P4,P14を把持することになる。
【0028】
この状態がサイドメンバSを有する車体BおよびフロントモジュールMそれぞれの単体の状態で上方から治具ブロックJ1,J2を装着した状態であり、各治具ブロックJ1,J2はこの状態を自己保持することが可能である。
【0029】
次いで、図1,2に示した車体B側のサイドメンバSにフロントモジュールMを組み付けるべく両者を突き合わせると、先に述べたように双方の治具ブロックJ1,J2同士が嵌合する一方で、図10に示すように相互嵌合をもって接続すべきサイドメンバS側の配管P1とフロントモジュールM側の配管P11同士および配管P2,P12同士がそれぞれに正対し、サイドメンバSとフロントモジュールMとの組み付けストロークの進行に併せて、その組み付け力を嵌合力として利用して同図に示すように配管P1,P11同士およびP2,P12同士の相互嵌合をもってそれらが接続される。
【0030】
この時、上下の把持爪3,3同士および13,13同士が配管P2,P12およびP1,P11を弾性的に堅固に把持していて両者の間に滑りがないとすれば、配管P1,P11同士およびP2,P12同士の相互嵌合に伴う反力は図5に示すように各把持爪3,13を支持しているシャフト4側のフランジ部7と治具ブロックJ1,J2との当接によって最終的に治具ブロックJ1,J2が負担する。以上をもって配管P1,P11同士およびP2,P12同士の接続が完了する。
【0031】
なお、このような一連の動作は図1,2に示したもう一方の治具J11,J12側についても全く同様である。
【0032】
この後、図2に示すように相互嵌合状態にある各治具ブロックJ1,J2を一体のものとして同時に上方に引き抜いて配管P1,P11同士およびP2,P12同士の接続作業を終了する。この時、上下各一対の把持爪3,3同士および13,13同士は図8の(A)〜図9の(C)に至る過程とは全く逆の手順で1/4回転ずつ逆転動作することで相互嵌合完了後の配管P1,P2およびP2,P12を順次開放し、その結果として各治具ブロックJ1,J2をきわめてスムーズに引き抜くことが可能となる。
【0033】
ここで、必要に応じて図11の(A),(B)に示すように同一のシャフト4上に各一対の把持爪3,3または13,13を設けて、合計4個の把持爪3,3‥または13,13‥にて配管P1,P11またはP2,P12を把持するようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施の形態では、把持爪3,13として山部3aと谷部3bを交互に有する4歯の歯車状もしくは4葉タイプの回転子状のものとして、これを1/4回転(90°)ずつ回転させる場合について例示しているが、山部3aと谷部3bの数および回転角はその増減により任意に設定可能であることは言うまでもない。例えば把持爪3,13の回転角度は1/4回転ずつ以外の1/n回転ずつとすることももちろん可能である。
【0035】
図12の(A),(B)は本発明の第2の実施の形態として治具ブロックJ1,J2の変形例を示している。
【0036】
この第2の実施の形態では、配管P1,P11等の配索部品の断面形状に応じた把持部23aを有する一対のアーム状の把持爪23を治具ブロックJ1,J2に接近離間可能なように対向配置したものであり、把持爪23はヒンジピン24を介してその下端部を治具ブロックJ1,J2に揺動可能に且つ着脱可能に支持させてある。そして、把持爪23の根元部背面側には弾性手段として板ばね25を同じく着脱可能に配置し、この板ばね25による弾性力をもって各把持爪23に弾性把持力を発生させるようにしてある。
【0037】
この第2の実施の形態によれば、把持爪23を交換することで断面形状の異なる配管P1,P11等の把持にも柔軟に対応できるとともに、板ばね25もその弾性力の異なるものと交換することで把持力そのものも容易に調整できる利点がある。
【0038】
このように上記各実施の形態によれば、きわめて簡素な治具ブロックJ1,J2を採用するだけで、車体Bに対するフロントモジュールMの組付時に各種配管P1,P2とP11,P12との相互嵌合による接続作業を同時に且つスムーズに行えるようになる。
【0039】
なお、上記の実施の形態では、配索部品として配管同士を接続する場合について例示したが、本発明はワイヤハーネス同士を例えばコネクタ嵌合にて接続する場合にも同様に適用することができる。
【0040】
また、本件はフロントエンドモジュール以外のモジュール、例えばコックピットモジュール等の組み付けにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のより具体的な実施の形態を示す図で、治具ブロックを使用した本発明の配索部品接続方法が適用されるモジュール構造の車両の車体に対しフロントエンドモジュールを組み付けた状態を示す要部斜視図。
【図2】図1の状態からの治具ブロックの取り外し状態を示す要部斜視図。
【図3】図1,2で使用される治具ブロックの要部の概略構造を示す斜視図。
【図4】図3に示す治具ブロックの要部断面説明図。
【図5】図4の左側面図。
【図6】図4の要部拡大説明図。
【図7】同じく図4の要部拡大説明図。
【図8】図3に示した把持爪が配管を把持するときの作動説明図。
【図9】図8に続いて把持爪が配管を把持するときの作動説明図。
【図10】配管同士が相互嵌合したときの要部断面説明図。
【図11】図3〜5の治具ブロックの変形例を示し、(A)は把持爪の要部拡大図、(B)は同図(A)のA−A線に沿う断面説明図。
【図12】本発明の第2の実施の形態を示す図で、(A)は治具ブロックの要部の概略構造を示す斜視図、(B)は同図(A)の正面説明図。
【符号の説明】
【0042】
1…スロット
3…把持爪
3a…山部
3b…谷部
6…圧縮コイルスプリング(弾性手段)
13…把持爪
23…把持爪
25…板ばね(弾性手段)
B…車体
J1,J2…治具ブロック
J11,J12…治具ブロック
M…フロントエンドモジュール
P1,P11…配管(配索部品)
P2,P12…配管(配索部品)
S…サイドメンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置であって、
車体側およびモジュール部材側のそれぞれに予め装着されるとともに、配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な一対の治具ブロックをもって構成してなり、
各治具ブロックは、
配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもって配索部品を把持する機能と、
車体に対するモジュール部材の組み付けをもって相互嵌合して配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了をもって上記把持力を解除して車体側およびモジュール部材側からの同時引き抜きを可能にする機能と、
を備えていて、
上記治具ブロックによる配索部品の把持は、互いに接近離間可能で且つ互いに同期回転可能な少なくとも一対の歯車状の把持爪により弾性的に把持するようになっていることを特徴とする車両用配索部品の接続装置。
【請求項2】
上記少なくとも一対の把持爪は配索部品同士の嵌合方向と平行な軸心を回転中心として1/n回転ずつ割り出し回転してはその都度位置決めロックされるようになっていて、且つ互いに接近する方向に弾性手段により付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項3】
上記各把持爪の割り出し回転角度が1/4回転であることを特徴とする請求項2に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項4】
上記各把持爪の山部が円弧状のものとして形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項5】
上記各把持爪のうち配索部品と接触する部分に傷付き防止のためのコーティング層を形成してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項6】
上記治具ブロックによる配索部品の把持は、請求項1に記載の把持爪に代えて、互いに接近離間可能で且つその接近方向に弾性手段により付勢された少なくとも一対のアーム状の把持爪により弾性的に把持するようになっていることを特徴とする車両用配索部品の接続装置。
【請求項7】
各治具ブロックが複数の配索部品を同時に把持可能となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項1】
車体に対してモジュール部材を組み付ける際に、それらの車体側およびモジュール部材側にそれぞれ付帯している配索部品同士を上記組付方向での相互嵌合をもって接続する装置であって、
車体側およびモジュール部材側のそれぞれに予め装着されるとともに、配索部品同士の嵌合方向と垂直な方向に引き抜きが可能で且つ相互嵌合が可能な一対の治具ブロックをもって構成してなり、
各治具ブロックは、
配索部品同士の嵌合方向および上記治具ブロックの引き抜き方向に対して共に垂直な方向からの把持力をもって配索部品を把持する機能と、
車体に対するモジュール部材の組み付けをもって相互嵌合して配索部品同士を嵌合させるとともに、配索部品同士の嵌合完了をもって上記把持力を解除して車体側およびモジュール部材側からの同時引き抜きを可能にする機能と、
を備えていて、
上記治具ブロックによる配索部品の把持は、互いに接近離間可能で且つ互いに同期回転可能な少なくとも一対の歯車状の把持爪により弾性的に把持するようになっていることを特徴とする車両用配索部品の接続装置。
【請求項2】
上記少なくとも一対の把持爪は配索部品同士の嵌合方向と平行な軸心を回転中心として1/n回転ずつ割り出し回転してはその都度位置決めロックされるようになっていて、且つ互いに接近する方向に弾性手段により付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項3】
上記各把持爪の割り出し回転角度が1/4回転であることを特徴とする請求項2に記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項4】
上記各把持爪の山部が円弧状のものとして形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項5】
上記各把持爪のうち配索部品と接触する部分に傷付き防止のためのコーティング層を形成してあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。
【請求項6】
上記治具ブロックによる配索部品の把持は、請求項1に記載の把持爪に代えて、互いに接近離間可能で且つその接近方向に弾性手段により付勢された少なくとも一対のアーム状の把持爪により弾性的に把持するようになっていることを特徴とする車両用配索部品の接続装置。
【請求項7】
各治具ブロックが複数の配索部品を同時に把持可能となっていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の車両用配索部品の接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−69682(P2007−69682A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257229(P2005−257229)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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