説明

車両用長尺物積載装置及び車両用長尺物積載装置を搭載した消防車

【課題】異なる形状の梯子にも対応できる車両用長尺物積載装置を提供すること
【解決手段】本発明の車両用長尺物積載装置は、メインレール10には、長尺物の一端を係止する固定具12と、長尺物の他端71を保持するヘッドスライダー50とを備え、固定具12を、メインレール10の一端に設け、ヘッドスライダー50を、メインレール10に対してスライド可能に設け、ヘッドスライダー50が、メインレール10に対してスライドするスライディング部51と、長尺物の他端71を保持する前方保持部52及び後方保持部53と、前方保持部52と後方保持部53との間隔を変更する前後幅調整部54とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梯子等の長尺物を積載する車両用長尺物積載装置及び車両用長尺物積載装置を搭載した消防車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両のルーフ上に梯子等の長尺物を積載することが行われており、各種の車両用長尺物積載装置が提案されている。
特に特許文献1から特許文献4に示す装置は、ダンパー機構を備えることで、長尺物の積載を容易にしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−94403号公報
【特許文献2】特開平8−290737号公報
【特許文献3】特開2005−179888号公報
【特許文献4】特開2005−350016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特に用途が特定された特殊車両、例えば梯子を積載する消防車では、積載する梯子に合わせて車両用長尺物積載装置を設計することが慣用的に行われてきている。
また、既に保有して使用中の梯子を利用したいという要望が多く、これらに応じるためには、設計時に梯子の各種寸法を把握する必要があるが、梯子の種類は多数存在するだけでなく、わずかな寸法誤差によっても車両用長尺物積載装置を新規設計したり、作り直さなければならないといった問題も生じている。
【0005】
そこで本発明は、異なる形状の梯子等の長尺物にも対応できる車両用長尺物積載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の車両用長尺物積載装置は、梯子等の長尺物を積載するメインレールと、車両のルーフ上に配置され、前記メインレールをスライドさせるとともに傾斜させるダンパーと、前記ルーフ上に配置され、前記メインレールを載置するとともにスライドさせる移動手段とを備えた車両用長尺物積載装置であって、前記メインレールには、前記長尺物の一端を係止する固定具と、前記長尺物の他端を保持するヘッドスライダーとを備え、前記固定具を、前記メインレールの一端に設け、前記ヘッドスライダーを、前記メインレールに対してスライド可能に設け、前記ヘッドスライダーが、前記メインレールに対してスライドするスライディング部と、前記長尺物の他端を保持する前方保持部及び後方保持部と、前記前方保持部と前記後方保持部との間隔を変更する前後幅調整部とを有することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の車両用長尺物積載装置において、前記ヘッドスライダーには、前記前方保持部及び前記後方保持部が、前記スライディング部に対して所定角度傾斜可能な回動部を有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両用長尺物積載装置において、前記メインレールには長尺物ホールドを備え、前記長尺物ホールドが、前記ヘッドスライダーが当接するヘッドスライダー停止部と、前記ヘッドスライダー停止部の上方に配置される長尺物規制部とを有することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項3に記載の車両用長尺物積載装置において、前記長尺物ホールドには、前記長尺物規制部の高さを変更可能な高さ調整部を有することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置において、前記メインレールには、前記長尺物の長さに応じて固定位置を変更する長尺物長さ量調整部材を備え、前記長尺物長さ量調整部材によって前記長尺物ホールドの移動を規制することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項3から請求項5のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置において、前記前方保持部を一対の部材で構成し、一対の前記前方保持部を連動部で連結し、前記ヘッドスライダー停止部を、一対の前記前方保持部の間に配置し、前記連動部が前記ヘッドスライダー停止部に当接することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置において、前記メインレールには、引き出し長さに応じて固定位置を変更するスライド量調整部材を備え、前記ダンパーには、前記スライド量調整部材と当接するストッパーを設けたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置において、前記メインレールの両側部に、一対のガイドレールを備え、一対の前記ガイドレールを、連結材によって前記メインレールに連結し、前記ガイドレールと前記連結材との連結部に、一対の前記ガイドレールの間隔を変更するレール幅調整部を設けたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明の消防車は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置を搭載した消防車であって、前記ダンパーを前記車両の後部に配置し、前記メインレールが前記車両の後方に引き出せることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヘッドスライダーに長尺物を保持する際に、前後幅調整部によって前方保持部と後方保持部との間隔、レール幅調整部によりガイドレールの間隔を変更することができるため、異なる形状の長尺物を積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による車両用長尺物積載装置を搭載した消防車の上面図
【図2】同消防車の側面図
【図3】同消防車の背面図
【図4】同消防車においてメインレールを引き出した状態を示す使用説明図
【図5】同消防車においてメインレールを傾斜させた状態を示す使用説明図
【図6】同車両用長尺物積載装置の斜視図
【図7】同車両用長尺物積載装置の上面図
【図8】同車両用長尺物積載装置の背面図
【図9】ルーフ上にメインレールが積載された状態を示す側面図
【図10】メインレールを引き出した状態を示す側面図
【図11】同車両用長尺物積載装置の側面図
【図12】同車両用長尺物積載装置に備えるヘッドスライダーと長尺物ホールドとを示す斜視図
【図13】梯子の他端をヘッドスライダーに保持させた状態を示す側面図
【図14】図13の状態からヘッドスライダーを長尺物ホールド側に移動させた状態を示す側面図
【図15】梯子の一端を固定具に係止させた状態を示す側面図
【図16】同車両用長尺物積載装置に備える一方のガイドレールを示す斜視図
【図17】同ガイドレールの背面図
【図18】同ガイドレールと連結材との連結部を示す要部背面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による車両用長尺物積載装置は、メインレールには、長尺物の一端を係止する固定具と、長尺物の他端を保持するヘッドスライダーとを備え、固定具を、メインレールの一端に設け、ヘッドスライダーを、メインレールに対してスライド可能に設け、ヘッドスライダーが、メインレールに対してスライドするスライディング部と、長尺物の他端を保持する前方保持部及び後方保持部と、前方保持部と後方保持部との間隔を変更する前後幅調整部とを有するものである。本実施の形態によれば、固定具とヘッドスライダーとによって長尺物をメインレールに積載できる。本実施の形態によれば、長尺物をメインレールに積載する際には、長尺物の他端をヘッドスライダーに保持し、長尺物の一端が固定具の位置となるように、ヘッドスライダーをメインレール上でスライドさせる。特に、本実施の形態によれば、ヘッドスライダーに長尺物を保持する際に、前後幅調整部によって前方保持部と後方保持部との間隔、レール幅調整部によりガイドレールの間隔を変更することができるため、異なる形状の長尺物を積載することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、ヘッドスライダーには、前方保持部及び後方保持部が、スライディング部に対して所定角度傾斜可能な回動部を有するものである。本実施の形態によれば、長尺物をメインレールに積載する場合に、ヘッドスライダーが近い位置にある方が長尺物の他端をヘッドスライダーに保持しやすく、その後にヘッドスライダーをスライドさせることで、長尺物の一端を固定具の位置に合わせることができる。この際に、本実施の形態によれば、前方保持部及び後方保持部が、スライディング部に対して所定角度傾斜可能な回動部を有することで、長尺物をメインレールに対して角度を持たせた状態で、長尺物の他端をヘッドスライダーに保持することができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、メインレールには長尺物ホールドを備え、長尺物ホールドが、ヘッドスライダーが当接するヘッドスライダー停止部と、ヘッドスライダー停止部の上方に配置される長尺物規制部とを有するものである。本実施の形態によれば、長尺物をメインレールに積載した状態で、車両走行中に振動が生じても、長尺物規制部によって長尺物の他端がヘッドスライダーから飛び出すことを防止することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第3の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、長尺物ホールドには、長尺物規制部の高さを変更可能な高さ調整部を有するものである。本実施の形態によれば、高さ調整部を有することで、異なる形状の長尺物に対しても、長尺物の他端がヘッドスライダーから飛び出すことを防止することができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第1から第4の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、メインレールには、長尺物の長さに応じて固定位置を変更する長尺物長さ量調整部材を備え、長尺物長さ量調整部材によって長尺物ホールドの移動を規制するものである。本実施の形態によれば、異なる長さの長尺物に対しても、積載時の固定や飛び出しを防止することができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第3から第5の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、前方保持部を一対の部材で構成し、一対の前方保持部を連動部で連結し、ヘッドスライダー停止部を、一対の前方保持部の間に配置し、連動部がヘッドスライダー停止部に当接するものである。本実施の形態によれば、保持部を一対の部材で構成することで、長尺物を安定して保持することができ、一対の前方保持部が連動部で連結されているので、回動部による傾斜角度変更を連動して行え、連動部がヘッドスライダー停止部に当接することで、一対の前方保持部の傾斜角度を垂直方向へ戻すことができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、メインレールには、引き出し長さに応じて固定位置を変更するスライド量調整部材を備え、ダンパーには、スライド量調整部材と当接するストッパーを設けたものである。本実施の形態によれば、ダンパーに対するメインレールのスライド量を調整することができ、メインレールの引き出し量を変更することができるため、長尺物の長さに応じた引き出し量を調整できるだけでなく、同じ長尺物に対して、作業者に合わせて引き出し量を調整することもできる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1から第7の実施の形態による車両用長尺物積載装置において、メインレールの両側部に、一対のガイドレールを備え、一対のガイドレールを、連結材によってメインレールに連結し、ガイドレールと連結材との連結部に、一対のガイドレールの間隔を変更するレール幅調整部を設けたものである。本実施の形態によれば、メインレールの両側部に備えたガイドレールの間隔を変更できるため、異なる幅の長尺物を積載することができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第1から第8の実施の形態による車両用長尺物積載装置を搭載した消防車であって、ダンパーを車両の後部に配置し、メインレールが車両の後方に引き出せるものである。本実施の形態によれば、異なる長尺物を積載可能な消防車を提供することができる。
【実施例】
【0018】
以下本発明の一実施例による車両用長尺物積載装置を搭載した消防車について説明する。
図1は本実施例による車両用長尺物積載装置を搭載した消防車の上面図、図2は同消防車の側面図、図3は同消防車の背面図である。
本実施例による消防車(車両)1は、乗車キャビン2と荷台3とからなり、荷台3のルーフ上に車両用長尺物積載装置4が配置されている。
車両用長尺物積載装置4は、梯子(長尺物)を積載するメインレール10と、荷台3のルーフ上に配置され、メインレール10をスライドさせるとともに傾斜させるダンパー40と、ルーフ上に配置され、メインレール10を載置するとともにスライドさせる移動手段30とを備えている。ここで、移動手段30としては、本実施例ではローラーを用いているが、ローラーの代わりにスライダーを用いることもできる。
メインレール10の一端には、メインレール10を引き出すための操作部11が設けられている。操作部11は、消防車1のリア面に垂下させている。
【0019】
次に、本実施例による車両用長尺物積載装置の使用態様を説明する。
図4は同消防車においてメインレールを引き出した状態を示す使用説明図、図5は同消防車においてメインレールを傾斜させた状態を示す使用説明図である。
図4に示すように、ルーフ上に配置されたメインレール10は、操作部11を引っ張ることで、ダンパー40及び移動手段30に対してスライドする。
そして、図5に示すように、メインレール10を引き出した状態で、メインレール10をダンパー40と共に傾斜させることで、メインレール10の一端を下方に位置させることができる。
図4及び図5では、梯子を図示していないが、図5の状態で梯子をメインレール10から取り外し、又は図5の状態で梯子をメインレール10に装着する。
【0020】
次に、本実施例による車両用長尺物積載装置の構成について説明する。
図6は同車両用長尺物積載装置の斜視図、図7は同車両用長尺物積載装置の上面図、図8は同車両用長尺物積載装置の背面図である。
メインレール10には、梯子の一端を係止する固定具12と、梯子の他端を保持するヘッドスライダー50とを備えている。
固定具12はメインレール10の一端に設け、ヘッドスライダー50はメインレール10に対してスライド可能に設けている。
メインレール10の両側部には、一対のガイドレール13を備えている。一対のガイドレール13は、連結材14によってメインレール10に連結している。
また、メインレール10には長尺物ホールド60を備えている。
【0021】
図9から図11は同車両用長尺物積載装置の側面図であり、図9はルーフ上にメインレールが積載された状態を示す側面図、図10はメインレールを引き出した状態を示す側面図、図11はメインレールを傾斜させた状態を示す側面図である。
図に示すように、メインレール10には、梯子の長さに応じて固定位置を変更する長尺物長さ量調整部材15、引き出し長さに応じて固定位置を変更するスライド量調整部材16を備えている。また、ダンパー40には、スライド量調整部材16と当接するストッパー41を設けている。なお、スライド量調整部材16とストッパー41との間には、弾性材17を備えることが好ましい。
長尺物長さ量調整部材15は、メインレール10に固定されることによって長尺物ホールド60の移動を規制する。
【0022】
図9に示す状態から、操作部11を引くことで、メインレール10はダンパー40に対してスライドする。
そして、図10に示すように、メインレール10は、弾性材17を介してスライド量調整部材16がストッパー41に当接するまで移動する。
その後、図11に示すように、操作部11を下方に引くことでメインレール10はダンパー40と共に傾斜させることができる。
図11に示す状態で梯子をメインレール10から取り外す。
梯子を積載する場合には、図11の状態でメインレール10に梯子を積載し、その後図10の状態を経由して図9の状態に戻す。
【0023】
図12は同車両用長尺物積載装置に備えるヘッドスライダーと長尺物ホールドとを示す斜視図である。
ヘッドスライダー50は、メインレール10に対してスライドするスライディング部51と、梯子の他端を保持する前方保持部52及び後方保持部53と、前方保持部52と後方保持部53との間隔を変更する前後幅調整部54と、前方保持部52及び後方保持部53がスライディング部51に対して所定角度傾斜可能な回動部55を有する。
前方保持部52及び後方保持部53は、いずれも一対の部材で構成している。一対の前方保持部52は連動部56で連結されている。
長尺物ホールド60は、メインレール10に対してスライドするスライディング部61と、ヘッドスライダー50が当接するヘッドスライダー停止部62と、ヘッドスライダー停止部62の上方に配置される長尺物規制部63と、長尺物規制部63の高さを変更可能な高さ調整部64とを有する。
ヘッドスライダー停止部62は、一対の前方保持部52の間に配置されており、連動部56はヘッドスライダー停止部62に当接する。
長尺物長さ量調整部材15は、長尺物ホールド60のスライディング部61の前後で固定している。
【0024】
図13から図15は同車両用長尺物積載装置に備えるヘッドスライダーの動作状態を示す側面図である。
図13は梯子の他端をヘッドスライダーに保持させた状態を示す側面図、図14は図13の状態からヘッドスライダーを長尺物ホールド側に移動させた状態を示す側面図、図15は梯子の一端を固定具に係止させた状態を示す側面図である。
図13から図15に示す動作は、図5又は図11に示す状態で行われ、梯子を載置する動作を示している。
【0025】
まず、図13に示すように、梯子70をヘッドスライダー50に保持する。
梯子70のヘッドスライダー50への保持は、梯子70の他端71を、前方保持部52と後方保持部53との間に挟むことで行う。
前方保持部52と後方保持部53との間隔は、前後幅調整部54によってあらかじめ梯子70の他端71に合わせて調整されている。
梯子70をメインレール10に積載する場合には、ヘッドスライダー50が手元に近い位置にある方が梯子70の他端71をヘッドスライダー50に保持しやすく、その後にヘッドスライダー50をスライドさせることで、梯子70の一端を固定具12の位置に合わせることができる。
従って、図13に示すように、前方保持部52及び後方保持部53が、スライディング部51に対して所定角度傾斜可能な回動部55を有することで、梯子70をメインレール10に対して角度を持たせた状態で、梯子70の他端71をヘッドスライダー50に保持することができる。
【0026】
図13の状態から梯子70を押し込むことで、ヘッドスライダー50は長尺物ホールド60の方に移動する。
そして図14に示すように、ヘッドスライダー50の連動部56がヘッドスライダー停止部62に当接する。
図14の状態で更に梯子70を押し込むと、連動部56はヘッドスライダー停止部62に沿って移動し、回動部55によって前方保持部52及び後方保持部53が回動し、図15に示す状態となる。
この状態では、梯子70はメインレール10に平行な状態となり、梯子70の一端を固定具12に係止することができる。
図15に示すように、梯子70の他端71は、前方保持部52及び後方保持部53によって保持されるとともに、長尺物規制部63によって梯子70の他端71が浮き上がることを規制される。
【0027】
図16は同車両用長尺物積載装置に備える一方のガイドレールを示す斜視図、図17は同ガイドレールの背面図、図18は同ガイドレールと連結材との連結部を示す要部背面図である。
ガイドレール13には、連結材14と接続されるガイドレール接合部13aを備えている。このガイドレール接合部13aには、図1に示すようにレール側連結孔13bが設けられている。
一方、連結材14には、連結材側連結孔14aが設けられている。
そして、レール側連結孔13bと連結材側連結孔14aとを締結部材14bで締結することで、ガイドレール13と連結材14とを連結する。
【0028】
本実施例では、連結材側連結孔14aは幅方向を長軸とする長孔で構成している。このように連結材側連結孔14aを長孔とすることで、ガイドレール13の連結位置を変更でき、一対のガイドレール13の幅寸法を変更することができる。
ここで、ガイドレール接合部13a、連結材側連結孔14a、及び締結部材14bによって、一対のガイドレール13の間隔を変更するレール幅調整部を構成している。
なお、本実施例では、連結材側連結孔14aを長孔としたものを示したが、ガイドレール接合部13a及び連結材側連結孔14aの少なくとも一方を長孔とすることでレール幅調整部を構成することができる。
【0029】
本実施例によれば、メインレール10には、長尺物の一端を係止する固定具12と、長尺物の他端71を保持するヘッドスライダー50とを備え、固定具12を、メインレール10の一端に設け、ヘッドスライダー50を、メインレール10に対してスライド可能に設け、ヘッドスライダー50が、メインレール10に対してスライドするスライディング部51と、長尺物の他端71を保持する前方保持部52及び後方保持部53と、前方保持部52と後方保持部53との間隔を変更する前後幅調整部54とを有することで、固定具12とヘッドスライダー50とによって長尺物をメインレール10に積載でき、長尺物をメインレール10に積載する際には、長尺物の他端71をヘッドスライダー50に保持し、長尺物の一端が固定具12の位置となるように、ヘッドスライダー50をメインレール10上でスライドさせ、特に、ヘッドスライダー50に長尺物を保持する際に、前後幅調整部54によって前方保持部52と後方保持部53との間隔を変更することができるため、異なる形状の長尺物を積載することができる。
【0030】
また、本実施例によれば、ヘッドスライダー50には、前方保持部52及び後方保持部53が、スライディング部51に対して所定角度傾斜可能な回動部55を有するため、梯子70をメインレール10に対して角度を持たせた状態で、梯子70の他端71をヘッドスライダー50に保持することができる。すなわち、梯子70をメインレール10に積載する場合に、ヘッドスライダー50が近い位置にある方が梯子70の他端71をヘッドスライダー50に保持しやすく、その後にヘッドスライダー50をスライドさせることで、梯子70の一端を固定具12の位置に合わせることができる。
【0031】
また、本実施例によれば、メインレール10には長尺物ホールド60を備え、長尺物ホールド60が、ヘッドスライダー50が当接するヘッドスライダー停止部62と、ヘッドスライダー停止部62の上方に配置される長尺物規制部63とを有することで、梯子70をメインレール10に積載した状態で、消防車1の走行中に振動が生じても、長尺物規制部63によって梯子70の他端71がヘッドスライダー50から飛び出すことを防止することができる。
【0032】
また、本実施例によれば、長尺物ホールド60には、長尺物規制部63の高さを変更可能な高さ調整部64を有するため、異なる形状の梯子70に対しても、梯子70の他端71がヘッドスライダー50から飛び出すことを防止することができる。
【0033】
また、本実施例によれば、メインレール10には、梯子70の長さに応じて固定位置を変更する長尺物長さ量調整部材15を備え、長尺物長さ量調整部材15によって長尺物ホールド60の移動を規制するため、異なる長さの梯子70に対しても、積載時の固定や飛び出しを防止することができる。
【0034】
また、本実施例によれば、前方保持部52を一対の部材で構成し、一対の前方保持部52を連動部56で連結し、ヘッドスライダー停止部62を、一対の前方保持部52の間に配置し、連動部56がヘッドスライダー停止部62に当接することで、梯子70を安定して保持することができ、一対の前方保持部52が連動部56で連結されているので、回動部55による傾斜角度変更を連動して行え、連動部56がヘッドスライダー停止部62に当接することで、一対の前方保持部52の傾斜角度を垂直方向へ戻すことができる。
【0035】
また、本実施例によれば、メインレール10には、引き出し長さに応じて固定位置を変更するスライド量調整部材16を備え、ダンパー40には、スライド量調整部材16と当接するストッパー41を設けたことで、ダンパー40に対するメインレール10のスライド量を調整することができ、メインレール10の引き出し量を変更することができるため、梯子70の長さに応じた引き出し量を調整できるだけでなく、同じ梯子70に対して、作業者に合わせて引き出し量を調整することもできる。
【0036】
また、本実施例によれば、メインレール10の両側部に、一対のガイドレール13を備え、一対のガイドレール13を、連結材14によってメインレール10に連結し、ガイドレール13と連結材14との連結部に、一対のガイドレール13の間隔を変更するレール幅調整部(ガイドレール接合部13a及び連結材側連結孔14a)を設けたことで、メインレール10の両側部に備えたガイドレール13の間隔を変更できるため、異なる幅の梯子70を積載することができる。
【0037】
また、本実施例によれば、ダンパー40を消防車1の後部に配置し、メインレール10が車両の後方に引き出せることで、異なる梯子70を積載可能な消防車1を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、梯子等の長尺物を積載する車両用長尺物積載装置であり、特に梯子を積載する消防車に利用できる。
【符号の説明】
【0039】
4 車両用長尺物積載装置
10 メインレール
12 固定具
13 ガイドレール
13a ガイドレール接合部
14 連結材
14a 連結材側連結孔
15 長尺物長さ量調整部材
16 スライド量調整部材
30 移動手段
40 ダンパー
41 ストッパー
50 ヘッドスライダー
51 スライディング部
52 前方保持部
53 後方保持部
54 前後幅調整部
55 回動部
56 連動部
60 長尺物ホールド
61 スライディング部
62 ヘッドスライダー停止部
63 長尺物規制部
64 高さ調整部
70 梯子
71 他端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
梯子等の長尺物を積載するメインレールと、
車両のルーフ上に配置され、前記メインレールをスライドさせるとともに傾斜させるダンパーと、
前記ルーフ上に配置され、前記メインレールを載置するとともにスライドさせる移動手段等を備えた車両用長尺物積載装置であって、
前記メインレールには、
前記長尺物の一端を係止する固定具と、
前記長尺物の他端を保持するヘッドスライダーと
を備え、
前記固定具を、前記メインレールの一端に設け、
前記ヘッドスライダーを、前記メインレールに対してスライド可能に設け、
前記ヘッドスライダーが、
前記メインレールに対してスライドするスライディング部と、
前記長尺物の他端を保持する前方保持部及び後方保持部と、
前記前方保持部と前記後方保持部との間隔を変更する前後幅調整部と
を有することを特徴とする車両用長尺物積載装置。
【請求項2】
前記ヘッドスライダーには、前記前方保持部及び前記後方保持部が、前記スライディング部に対して所定角度傾斜可能な回動部を有することを特徴とする請求項1に記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項3】
前記メインレールには長尺物ホールドを備え、
前記長尺物ホールドが、
前記ヘッドスライダーが当接するヘッドスライダー停止部と、
前記ヘッドスライダー停止部の上方に配置される長尺物規制部と
を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項4】
前記長尺物ホールドには、前記長尺物規制部の高さを変更可能な高さ調整部を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項5】
前記メインレールには、前記長尺物の長さに応じて固定位置を変更する長尺物長さ量調整部材を備え、
前記長尺物長さ量調整部材によって前記長尺物ホールドの移動を規制することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項6】
前記前方保持部を一対の部材で構成し、
一対の前記前方保持部を連動部で連結し、
前記ヘッドスライダー停止部を、一対の前記前方保持部の間に配置し、
前記連動部が前記ヘッドスライダー停止部に当接することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項7】
前記メインレールには、引き出し長さに応じて固定位置を変更するスライド量調整部材を備え、
前記ダンパーには、前記スライド量調整部材と当接するストッパーを設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項8】
前記メインレールの両側部に、一対のガイドレールを備え、
一対の前記ガイドレールを、連結材によって前記メインレールに連結し、
前記ガイドレールと前記連結材との連結部に、一対の前記ガイドレールの間隔を変更するレール幅調整部を設けたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の車両用長尺物積載装置を搭載した消防車であって、
前記ダンパーを前記車両の後部に配置し、前記メインレールが前記車両の後方に引き出せることを特徴とする消防車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−17621(P2013−17621A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152876(P2011−152876)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)
【Fターム(参考)】