説明

車両用電池搭載構造

【課題】サービスホールカバーの取り外し作業の作業性を向上しつつ、車両用シートのスライド量を低減することができる車両用電池搭載構造を得る。
【解決手段】サービスホール32を塞ぐサービスホールカバー70は、サービスホール32の車両前後方向の後端側を覆う後側カバー72と、サービスホール32の車両前後方向の前端32F側を覆う前側カバー102とを有している。即ち、サービスホールカバー70は、車両前後方向に後側カバー72と前側カバー102とに分割されている。前側カバー102は、ボルト114によってフロアパネル14に設けれたフロアアッパリインフォースメント108に着脱可能に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電池搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フロアパネルの下に、サービスプラグを有するバッテリユニットが搭載された電気自動車が開示されている。特許文献1に開示された電気自動車のフロアパネルには、サービスプラグを操作するためのブーツ取付孔が形成されると共に、このブーツ取付孔を塞ぐキャップ部材がボルトにより取り付けられている。これらのブーツ取付孔及びキャップ部材は、フロントシートの下に位置されている。
【0003】
また、特許文献2には、フロアパネルとフロントシートの座部との間に、サービスプラグを有する電源装置を搭載された電源装置搭載構造が開示されている。特許文献2に開示された電源装置搭載構造では、電源装置の後壁にサービスプラグを覆う蓋が取り付けられており、この蓋が露出する位置までフロントシートが車両前後方向の前側へスライド可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−083601号公報
【特許文献2】特開2003−341373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された電気自動車では、前述したようにブーツ取付孔及びキャップ部材がフロントシートの下に位置されているため、作業者がサービスプラグを操作する場合、フロアパネルとフロントシートとの間の狭いスペースでキャップ部材の取り外し等を行う必要があるため、作業性が悪い。
【0006】
この対策として特許文献2に開示された電源装置搭載構造のように、キャップ部材が露出する位置までフロントシートを車両前後方向のスライド可能にすることが考えられる。しかしながら、キャップ部材全体を露出させるためには、フロントシートのスライド量が大きくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事実を考慮し、サービスホールカバーの取り外し作業の作業性を向上しつつ、車両用シートのスライド量を低減することができる車両用電池搭載構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の車両用電池搭載構造は、車両用シートを車両前後方向にスライド可能に支持すると共に、該車両用シートがスライド方向の中央に位置するときに、平面視にて前記車両用シートのシートクッションがラップされる部位にサービスホールが形成された車両フロアと、前記車両フロアの車両上下方向の下側に配置され、前記サービスホールへ向けて突出する操作部を有するバッテリユニットと、前記車両フロアの上面に設けられ、前記サービスホールの車両前後方向の一端側を覆う第1カバーと、前記車両フロアの上面に着脱可能に取り付けられ、前記サービスホールの車両前後方向の他端側を覆う第2カバーとを有し、前記サービスホールを塞ぐサービスホールカバーと、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の車両用電池搭載構造によれば、サービスホールを塞ぐサービスホールカバーが、サービスホールの車両前後方向の一端側を覆う第1カバーと、サービスホールの車両前後方向の他端側を覆う第2カバーとを有しており、第2カバーは車両フロアに着脱可能に取り付けられている。従って、車両用シートをサービスホールカバーの車両前後方向の一端側(第2カバーと反対側)へスライドして第2カバーを露出させることにより、第2カバーが露出させない場合と比較して、第2カバーを車両フロアから容易に取り外すことができる。従って、第2カバーの取り外し作業の作業性が向上する。
【0010】
また、第2カバーを車両フロアから取り外すことにより、平面視にて車両用シートのシートクッションを第1カバーにラップさせた状態で、即ち、シートクッションの下に第1カバーを位置させた状態でサービスホールを開放することができる。従って、第1カバー及び第2カバーを露出させる場合と比較して、車両用シートのサービスホールカバーの車両前後方向の一端側へのスライド量を低減することができる。
【0011】
このように本発明に係る車両用搭載構造によれば、第2カバーの取り外し作業の作業性を向上しつつ、車両用シートのサービスホールカバーの車両前後方向の一端側へのスライド量を低減することができる。
【0012】
請求項2に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1に記載の車両用電池搭載構造において、前記サービスホールカバーが、前記第1カバー及び前記第2カバーの何れか一方に設けられた挿込部と、前記第1カバー及び前記第2カバーの何れか他方に設けられ、前記挿込部に車両前後方向へ抜き挿し可能に挿し込まれて、該第1カバーと該第2カバーとを接続する接続部と、を有している。
【0013】
請求項2に記載の車両用電池搭載構造によれば、車両フロアに設けられた第1カバーに対して第2カバーをサービスホールカバーの車両前後方向の一端側へ移動させ、第1カバー及び第2カバーの何れか一方に設けられた挿込部に第1カバー及び第2カバーの何れか他方に設けられた接続部を挿し込むことにより、第1カバーと第2カバーとが接続される。これにより、第1カバーと第2カバーとの位置ずれが抑制される。
【0014】
一方、第1カバーに対して第2カバーをサービスホールカバーの車両前後方向の他端側へ移動させ、挿込部から接続部を引き抜くことにより、第1カバーと第2カバーとの接続が解除される。従って、例えば、第1カバーと第2カバーとをボルト等で締結する構成と比較して、第1カバーと第2カバーとの位置ずれを抑制しつつ、第2カバーを車両フロアから容易に取り外すことができる。
【0015】
請求項3に記載の車両用電池搭載構造は、請求項2に記載の車両用電池搭載構造において、前記挿込部には、前記接続部が挿し込まれる挿込口が形成され、前記挿込部が設けられた前記第1カバー及び前記第2カバーの何れか一方には、前記挿込口へ前記接続部を案内するガイド部が設けられている。
【0016】
請求項3に記載の車両用電池搭載構造によれば、第1カバー及び第2カバーの何れか一方にガイド部を設けたことにより、ガイド部を備えない構成と比較して、挿込部に対して接続部を容易に挿し込むことができる。従って、例えば、第1カバーと第2カバーとをボルト等で締結する構成と比較して、第1カバーと第2カバーとの接続作業の作業性が向上する。
【0017】
請求項4に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造において、前記操作部が、前記サービスホールを通して前記車両フロアよりも車両上下方向の上側に配置されている。
【0018】
請求項4に記載の車両用電池搭載構造によれば、操作部を車両フロアよりも車両上下方向の上側に配置したことにより、車両フロアから第2カバーを取り外したときに、操作部が車両フロア上に露出する。従って、操作部が車両フロアよりも車両上下方向の下側に配置された構成と比較して、操作部を操作し易くなる。
【0019】
請求項5に記載の車両用電池搭載構造は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造において、前記バッテリユニットが、電力を蓄電するバッテリモジュールと、前記バッテリモジュールを収容すると共に、天壁部に前記操作部が設けられたバッテリケースと、を有し、前記車両フロアと前記バッテリケースの天壁部との隙間には、該隙間を塞ぐシール部材が前記サービスホールを囲むように設けられている。
【0020】
請求項5に記載の車両用電池搭載構造によれば、車両フロアとバッテリケースの天壁部との隙間にサービスホールを囲むようにシール部材が設けられている。このシール部材によって、車両フロアとバッテリケースの天壁部との隙間を塞ぐことにより、サービスホール側への雨水等の浸入が抑制される。従って、操作部の破損等が抑制される。
【0021】
請求項6に記載の車両用電池搭載構造は、請求項5に記載の車両用電池搭載構造において、前記バッテリケースの天壁部には、前記サービスホールを通して前記車両フロアよりも車両上下方向の上側へ突出し、前記操作部を支持する台座部が設けられ、前記シール部材が、前記台座部の外周に該台座部と間隔を空けて配置されている。
【0022】
請求項6に記載の車両用電池搭載構造によれば、台座部の外周に該台座部と間隔を空けてシール部材を配置したことにより、仮に車両フロア上(車室内)に雨水等が浸入したとしても、台座部とシール部材との間に雨水等が流れ込むため、操作部が雨水等に浸かることが抑制される。従って、操作部の破損等が抑制される。
【0023】
請求項7に記載の車両用電池搭載構造は、請求項5又は請求項6に記載の車両用電池搭載構造において、前記シール部材が、前記バッテリケースの天壁部から前記車両フロアへ向けて延出すると共に、延出方向の先端部が前記サービスホールと反対側を向くように湾曲されている。
【0024】
請求項7に記載の車両用電池搭載構造によれば、シール部材の延出方向の先端部がサービスホールと反対側を向くように湾曲されている。これにより、シール部材の延出方向の先端部を湾曲させない構成と比較して、車両フロアとバッテリケースの天壁部との隙間からサービスホール側へ浸入する雨水等を抑制しつつ、台座部とシール部材との間に溜まる雨水等の容量を増加することができる。従って、操作部の破損等が更に抑制される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る車両用電池搭載構造によれば、サービスホールカバーを取り外す作業の作業性を向上しつつ、車両用シートのスライド量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一本実施形態に係る車両用電池搭載構造が適用された車両の側部を車両前後方向の前側から見た断面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】本発明の一本実施形態におけるサービスホールカバーを示す分解斜視図である。
【図4】本発明の一本実施形態におけるサービスホールカバーを構成する前側カバーをフロアパネルに取り付ける取付方法を説明する平面図であり、(A)は前側カバーをフロアパネルに取り付ける前の状態を示し、(B)は前側カバーをフロアパネルに取り付けた状態を示している。
【図5】本発明の一本実施形態におけるサービスホールカバーの変形例を示す図2に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用電池搭載構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印FRは車両前後方向の前側(車両前方)を示し、矢印UPは車両上下方向の上側を示し、矢印OUTは車両幅方向の外側を示している。
【0028】
図1には、本実施形態に係る車両用電池搭載構造10が適用された車両12の側部を車両前後方向の前側から見た断面図が示されている。この車両12は、例えば、図示しない電動機(モータ)を駆動源として走行する電気自動車、ガソリンハイブリッド車、燃料電池ハイブリッド車等であり、その車両フロアを構成するフロアパネル14の車両上下方向の下側に電動機へ供給する電力を蓄電するバッテリユニット40が搭載されている。
【0029】
図1に示されるように、フロアパネル14の車両幅方向の一端側(車体左側)には、車体下部の骨格を構成するロッカ16が配置されている。ロッカ16は車両前後方向に延びると共に閉断面構造を有しており、このロッカ16の車両幅方向の内側の内壁面16Aにフロアパネル14の車両幅方向の一端部が結合されている。また、フロアパネル14におけるロッカ16側の下面14Lには、フロアパネル14を補強するフロアサイドメンバ18が設けられている。フロアサイドメンバ18は車両前後方向に延びると共にフロアパネル14側が開口された断面ハット形状に形成されている。このフロアサイドメンバ18をフロアパネル14に結合することにより、これらのフロアサイドメンバ18及びフロアパネル14によって閉断面構造が構成されている。なお、図示を省略するが、フロアパネル14の車両幅方向の他端側(車体右側)には、ロッカ16及びフロアサイドメンバ18と対をなす図示しないロッカ及びフロアサイドメンバがそれぞれ設けられている。
【0030】
フロアパネル14の車両上下方向の上側には、助手席を構成する車両用シートとしてのフロントシート20が配置されている。フロントシート20は、着座した乗員(図示省略)の臀部及び大腿部を支持するシートクッション22と、シートクッション22の車両前後方向の後端部に傾倒可能に支持され、乗員の背部を支持するシートバック25とを備えている。
【0031】
シートクッション22は、図示しないシート表皮で被覆されたクッション材24と、クッション材24を支持するシートクッションフレーム26とを有して構成されている。なお、図1では、クッション材24の下部を切り欠いた状態でシートクッション22が示されている。シートクッションフレーム26は、車両前後方向に延びる一対のサイドフレーム26Aと、これらのサイドフレーム26Aを車両幅方向に連結するシートパイプ26Bとを備えている。
【0032】
一対のサイドフレーム26Aは、フロアパネル14の上面14Uに固定された一対のシートレール28を介してフロアパネル14に支持されている。シートレール28は、車両前後方向に延びると共に、サイドフレーム26Aの下端部を車両前後方向にスライド可能に支持している。これにより、フロアパネル14に対してフロントシート20が車両前後方向にスライド可能になっている。なお、サイドフレーム26A及びシートレール28には、シートレール28に対するサイドフレーム26Aの車両前後方向のスライドを規制する図示しないロック機構が設けられており、このロック機構によってフロアパネル14に対するサイドフレーム26Aの車両前後方向の位置が調整可能になっている。
【0033】
フロントシート20を支持するフロアパネル14には凸部30が設けられている。この凸部30は、フロアパネル14の一般部(基準面)に対して車両上下方向の上側へ凸状に突出されており、その頂壁部30Aにサービスホール32が形成されている。サービスホール32は、フロントシート20をスライド方向の中央に位置させた状態で、平面視にてフロントシート20のシートクッション22がラップされる位置に配置されている。即ち、サービスホール32は、フロントシート20がスライド方向の中央に位置するときに、フロントシート20のシートクッション22がラップされるフロアパネル14の部位に形成されている。なお、ここでいうフロントシート20がスライド方向の中央に位置するとは、フロントシート20が最も車両前後方向の前側及び最も車両前後方向の後側以外の位置に位置した状態を意味し、フロントシート20の最も車両前後方向の前側の位置と最も車両前後方向の後側の位置との中間位置にフロントシート20が位置した状態に限定されるものではない。従って、サービスホール32は、フロントシート20が最も車両前後方向の前側及び最も車両前後方向の後側以外の所定位置に位置したときに、フロントシート20のシートクッション22がラップされるフロアパネル14の部位に適宜形成される。このサービスホール32は、後述するサービスホールカバー70によって車両上下方向の上側から塞がれている。
【0034】
フロアパネル14の車両上下方向の下側には、バッテリユニット40が配置されている。バッテリユニット40は、バッテリモジュール42と、バッテリモジュール42を収容するバッテリケース44と、バッテリケース44の上部に設けられた電気回路遮断装置60とを備え、図示にしない連結部材を介して車体下部の骨格を構成する骨格部材に取り付けられている。バッテリモジュール42は、前述した図示しない電動機へ供給される電力を蓄電する蓄電池であり、バッテリケース44内に収容されている。なお、図1では、バッテリモジュール42、バッテリケース44、及び電気回路遮断装置60が模式的に示されている。
【0035】
バッテリケース44の上部における車両幅方向の一端側(ロッカ16側)には、車両上下方向の上側へ突出する突出部46が設けられている。この突出部46の天壁部46Aには、図2に示されるように、電気回路遮断装置60を支持する台座部48が設けられている。台座部48は、突出部46の天壁部46Aを車両上下方向の上側へ隆起させて形成されており、その頂壁部48Aがサービスホール32を通してフロアパネル14の車室34側に位置されている。この頂壁部48Aに、電気回路遮断装置60が取り付けられている。
【0036】
また、台座部48の外周には、突出部46の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間を塞ぐシール部材としてのリング状の内側ウェザーストリップ50が設けられている。内側ウェザーストリップ50は、断面略逆T字形状に形成されており、突出部46の天壁部46Aに接着剤等で固定される固定部50Aと、固定部50Aからフロアパネル14側(車両上下方向の上側)へ延出し、フロアパネル14の下面14Lに接触される延出部50Bとを有している。内側ウェザーストリップ50はサービスホール32を囲むように突出部46の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間に設けられており、この内側ウェザーストリップ50によって突出部46の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間から台座部48及びサービスホール32側への雨水等の浸入が抑制されている。
【0037】
また、内側ウェザーストリップ50は、台座部48との間隔を空けて配置されており、台座部48と内側ウェザーストリップ50との間に雨水等を溜めるための貯留スペース52が形成されている。更に、延出部50Bは、その延出方向の先端部50B1が内側ウェザーストリップ50の外側、即ち、サービスホール32と反対側へ向くように湾曲された状態で、フロアパネル14の下面14Lに接触されている。これにより、延出部50Bを湾曲させない構成と比較して、貯留スペース52が広くなっている。
【0038】
更に、内側ウェザーストリップ50の外周には、当該内側ウェザーストリップ50を囲むように外側ウェザーストリップ54が設けられており、この外側ウェザーストリップ54によって突出部46の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間が塞がれている。即ち、本実施形態では、内側ウェザーストリップ50及び外側ウェザーストリップ54によって二重シール構造が構成されている。
【0039】
台座部48の頂壁部48Aに取り付けられた電気回路遮断装置60は、サービスホール32を通してフロアパネル14よりも車両上下方向の上側(車室34側)に配置されている。電気回路遮断装置60は、図3に示されるように、バッテリモジュール42の電気回路(図示省略)を電気的に遮断する操作部としてのサービスプラグ62を備えている。サービスプラグ62は、プラグケース64と、プラグケース64に設けられた操作レバー66とを有している。プラグケース64内には、操作レバー66に連結された図示しないプラグ端子が収納されている。また、プラグケース64内には、プラグ端子が着脱可能に装着される図示しない装着端子が収納されている。この装着端子は、台座部48の頂壁部48Aに形成された配線用開口68(図2参照)を通してバッテリケース44内に収容されたバッテリモジュール42(図1参照)の電気回路に接続されている。
【0040】
操作レバー66は、電気回路遮断装置60の車両前後方向の前端側に配置されており、図示しないスライド機構を介して車両幅方向にスライド可能にプラグケース64の車両前後方向の前端部に支持されている。この操作レバー66を作業者が車両幅方向の内側へスライドさせることにより、操作レバー66に連結されたプラグ端子が装着端子から外れるようになっている。これにより、バッテリモジュール42の電源回路が電気的に遮断され、バッテリモジュール42と前述した図示しない電動機等との電気的な接続が切断されるようになっている。
【0041】
このように構成された電気回路遮断装置60は、サービスホール32を塞ぐサービスホールカバー70によって車両上下方向の上側から覆われるようになっている。サービスホールカバー70は、サービスホール32の車両前後方向の後端32R(図2参照)側を覆う第1カバーとしての後側カバー72と、サービスホール32の車両前後方向の前端32F側を覆う第2カバーとしての前側カバー102とを有している。即ち、サービスホールカバー70は、車両前後方向に後側カバー72と前側カバー102とに分割されている。これらの後側カバー72と前側カバー102とは、後側カバー72の車両前後方向の前端部に対して前側カバー102の車両前後方向の後端部を重ね合わせた状態で接続されるようになっている。
【0042】
後側カバー72は、サービスホール32の外周部に固定されるフランジ部74と、フランジ部74に対して車両上下方向の上側へ膨出され、その内部に電気回路遮断装置60の車両前後方向の後部を収容する後側収容部76とを有している。フランジ部74は、平面視にて車両前後方向の前側が開口された略C字形状に形成されており、サービスホール32の車両前後方向の後側を略半周にわたって囲むように当該サービスホール32の外周部に沿って配置されている。このフランジ部74は、溶接によりサービスホール32の外周部に接合されている。
【0043】
後側カバー72の後側収容部76は、車両上下方向の下側及び車両前後方向の前側が開口された半ドーム状に形成されており、略平坦とされた上壁部76Aと、フランジ部74の内周縁部から立ち上げられた側周壁部76Bとを有している。後側収容部76の上壁部76Aには、接続用ブラケット80が設けられている。接続用ブラケット80は、後述する前側カバー102の接続部118が抜き挿し可能に挿し込まれる挿込部82と、接続部118を挿込部82の挿込口84(図2参照)へ案内するガイド部88とを有している。
【0044】
挿込部82は、後側収容部76の上壁部76A側が開口された断面略C形状に形成されており、後側収容部76の上壁部76Aと共に閉断面構造を構成している。この挿込部82の車両前後方向の前端側には挿込口84(図2参照)が形成されており、この挿込口84から挿込部82内に前側カバー102の接続部118が挿し込まれるようになっている。また、挿込部82の上壁部を構成する把持部82Aは、後側収容部76の上壁部76Aと対向して配置されており、当該上壁部76Aとの間で挿込口84から挿し込まれた接続部118を把持するようになっている。
【0045】
挿込部82の車両前後方向の後端部には、後側収容部76の側周壁部76Bに沿って車両上下方向の下側へ延出し、当該側周壁部76Bに溶接により接合された後側固定部86が設けられている。一方、挿込部82の車両前後方向の前端部には、ガイド部88が設けられている。ガイド部88は後側収容部76の上壁部76A側が開口された断面略C字形状に形成されており、後側収容部76の上壁部76Aと共に閉断面構造を構成している。このガイド部88の車両前後方向の前端側にはガイド用開口90が形成されており、このガイド用開口90からガイド部88内に前側カバー102の接続部118が挿し込まれるようになっている。
【0046】
図2に示されるように、ガイド部88の上壁部を構成する上側ガイド壁部88Aは、挿込口84の上縁部(把持部82Aの車両前後方向の前端部)から車両前後方向の前側かつ車両前後方向の上側へ延出されると共に、その先端部が後側収容部76の上壁部76Aと略平行するように車両上下方向の下側へ向けて屈曲されている。また、後側収容部76の上壁部76Aにおける挿込口84の下縁部から当該上壁部76Aの車両前後方向の前端部までの部位は、接続部118を挿込口84へ案内する下側ガイド壁部76A1とされており、これらの上側ガイド壁部88Aと下側ガイド壁部76A1との間に、挿込口84よりも車両上下方向の開口幅(開口高さ)が広いガイド用開口90が形成されている。また、下側ガイド壁部76A1は、上側ガイド壁部88Aよりも車両前後方向の前側へ延出されている(長さL)。この下側ガイド壁部76A1によって接続部118が、ガイド用開口90へ案内されるようになっている。
【0047】
図3に示されるように、ガイド部88の側壁部88Bは、車両幅方向に対向すると共に上側ガイド壁部88Aから後側収容部76の上壁部76A側へ向うに従って互いに離間するように傾斜されている。各側壁部88Bの下端部には、ガイド部88の外側へ延出する前側固定部92がそれぞれ設けられている。これらの前側固定部92は、後側収容部76の上壁部76Aに溶接により接合されている。
【0048】
一方、前側カバー102は、フロアパネル14に着脱可能に取り付けられるフランジ部104と、フランジ部104に対して車両上下方向の上側へ膨出され、その内部に電気回路遮断装置60の車両前後方向の前部を収容する前側収容部106とを有している。フランジ部104は、平面視にて車両前後方向の後側が開口された略C字形状に形成されており、サービスホール32の車両前後方向の前側を略半周にわたって囲むように当該サービスホール32の外周部に沿って配置されると共に、その車両前後方向の後端部が後側カバー72のフランジ部74の車両前後方向の前端部の上に重ねられる。
【0049】
また、フランジ部104の車両前後方向の前端側には、フロアパネル14に取り付けられる取付部104Aが設けられている。取付部104Aは、フロアパネル14の凸部30の車両前後方向の前側に配置されたフロアアッパリインフォースメント(以下、単に「フロアインフォースメント」ともいう)108を介してフロアパネル14に取り付けられる。つまり、前側カバー102のフランジ部104は、フロアパネル14の凸部30とフロアリインフォースメント108とにわたって配置される。この取付部104Aには、当該取付部104Aを板厚方向に貫通する2つの取付孔110が車両幅方向に並んで形成されている。
【0050】
フロアリインフォースメント108は、フロアパネル14側が開口された断面ハット形状に形成されており、車両幅方向に沿って配置されている。このフロアリインフォースメント108は、フロアパネル14に溶接により接合されており、これらのフロアリインフォースメント108及びフロアパネル14によって閉断面構造が構成されている。
【0051】
また、フロアリインフォースメント108の上壁部108Aは、フロアパネル14における凸部30の頂壁部30Aと略同じ高さに位置されており、この上壁部108Aに前側カバー102のフランジ部104における取付部104Aが重ねられる。また、フロアリインフォースメント108の上壁部108Aには、当該上壁部108Aを板厚方向に貫通する2つの取付孔112がその長手方向(車両幅方向)に並んで形成されている。これらの取付孔112及び前側カバー102の取付部104Aに形成された取付孔110に貫通されるボルト114及びナット(図示省略)によって、前側カバー102の取付部104Aがフロアリインフォースメント108を介してフロアパネル14に固定される。なお、ナット(ウェルドナット)は、フロアリインフォースメント108の内側に配置されており、フロアリインフォースメント108の上壁部108Aに溶接されている。
【0052】
前側カバー102の前側収容部106は、車両上下方向の下側及び車両前後方向の後側が開口された半ドーム状に形成されており、略平坦とされた上壁部106Aと、フランジ部104の内周縁部から立ち上げられた側周壁部106Bとを有している。前側収容部106の上壁部106Aにおける車両前後方向の後端部は、後側カバー72の後側収容部76における上壁部76Aの車両前後方向の前端部の上に重ねられる。この前側収容部106の後端部には、後側カバー72に設けられたガイド部88の側壁部88Bが挿入される一対の切欠き部116が車両幅方向に間隔を空けて形成されている。これらの切欠き部116の間に、後側カバー72に設けられた挿込部82及びガイド部88へ車両前後方向に抜き挿し可能に挿し込まれる接続部118が設けられている。
【0053】
接続部118は平面視にて略矩形の板状に形成されており、その幅(車両幅方向の長さ)が、挿込部82及びガイド部88の幅よりも僅かに狭くされている。この接続部118が挿込部82に挿し込まれた状態で、フランジ部104の取付部104Aがフロアパネル14に設けられたフロアリインフォースメント108の上壁部108Aにボルト114で固定される。
【0054】
次に、本実施形態におけるサービスホールカバーの取付方法及び取り外し方法を説明すると共に、本実施形態に係る車両用電池搭載構造の作用について説明する。
【0055】
図3に示されるように、フロアパネル14に形成されたサービスホール32を塞ぐサービスホールカバー70は、サービスホール32の後端32R(図2参照)側を覆う後側カバー72と、サービスホール32の前端32F側を覆う前側カバー102とを有している。後側カバー72のフランジ部74は、サービスホール32の車両前後方向の後側を略半周にわたって囲むように当該サービスホール32の外周部に沿って配置されており、当該外周部に接合されている。この後側カバー72の後側収容部76によって、電気回路遮断装置60の後部が車両上下方向の上側から覆われている。
【0056】
一方、前側カバー102は、フロアリインフォースメント108を介してフロアパネル14に着脱可能に取り付けられる。具体的には、図4(A)に示されるように、前側収容部106の車両前後方向の後端部に設けられた接続部118を後側カバー72のガイド用開口90へ向けた状態で、フロアパネル14の凸部30の頂壁部30A及びフロアリインフォースメント108の上壁部108Aに沿って前側カバー102を車両前後方向の後側へスライドさせる。そして、図4(B)に示されるように、前側カバー102の前側収容部106及びフランジ部104の車両前後方向の後端部を後側カバー72の後側収容部76及びフランジ部74の車両前後方向の前端部の上に重ねると共に、前側カバー102の接続部118を後側カバー72のガイド用開口90及び挿込口84(図2参照)を介して挿込部82に挿し込む。これにより、前側カバー102の接続部118が、後側カバー72の挿込部82の把持部82Aと後側収容部76の上壁部76Aとの間で把持され、後側カバー72に対して前側カバー102が接続される。また、前側カバー102の前側収容部106によって電気回路遮断装置60の車両前後方向の前部及びサービスホール32の前端32F側が車両上下方向の上側から覆われ、サービスホール32が塞がれる。
【0057】
この状態で、ボルト114及び図示しないナットにより、前側カバー102のフランジ部104の取付部104Aをフロアリインフォースメント108の上壁部108Aに締結する。これにより、前側カバー102がフロアパネル14に固定される。
【0058】
一方、前側カバー102をフロアパネル14から取り外すときは、先ず、図2に示されるように、フロントシート20(図1参照)を車両前後方向の後側へスライドさせ、サービスホールカバー70の前側カバー102を露出させる。次に、ボルト114による前側カバー102のフランジ部104の取付部104Aとフロアリインフォースメント108の上壁部108Aとの締結を解除する。次に、前側カバー102をフロアパネル14の凸部30の頂壁部30A及びフロアリインフォースメント108の上壁部108Aに沿って車両前後方向の前側へスライドさせ、後側カバー72の挿込部82から前側カバー102の接続部118を引き抜く。これにより、前側カバー102がフロアパネル14から取り外され、サービスホール32の前端32F側に配置されたサービスプラグ62の操作レバー66が露出される。
【0059】
この状態で、作業者が操作レバー66をプラグケース64に対して車両幅方向の内側へスライドさせることにより、プラグケース64内に収容された図示しない装着端子からプラグ端子が外れ、バッテリモジュール42の図示しない電気回路が電気的に遮断される。
【0060】
このように本実施形態では、フロントシート20を車両前後方向の後側へスライドしてサービスホールカバー70の前側カバー102を露出させることにより、前側カバー102が露出しない場合と比較して、前側カバー102をフロアパネル14から容易に取り外すことができる。従って、前側カバー102の取り外し作業の作業性が向上する。
【0061】
また、前側カバー102をフロアパネル14から取り外すことにより、平面視にてフロントシート20のシートクッション22を後側カバー72にラップさせた状態で、即ち、シートクッション22の下に後側カバー72を位置させた状態でサービスホール32を開放することができる。従って、サービスホールカバー70の全体を露出させる場合と比較して、フロントシート20の車両前後方向の後側へのスライド量を低減することができる。つまり、本実施形態に係る車両用電池搭載構造10によれば、後側カバー72の取り外し作業の作業性を向上しつつ、フロントシート20の車両前後方向の後側へのスライド量を低減することができる。
【0062】
また、本実施形態では、前述したようにフロアパネル14の凸部30の頂壁部30A及びフロアリインフォースメント108の上壁部108Aに沿って前側カバー102を車両前後方向の後側へスライドさせ、前側カバー102の接続部118を後側カバー72の挿込部82に挿し込むことにより、後側カバー72に対して前側カバー102が接続される。これにより、前側カバー102と後側カバー72との車両上下方向の位置ずれ(相対変位)が抑制される。
【0063】
一方、後側カバー72に対して前側カバー102を車両前後方向の前側へ移動させ、後側カバー72の挿込部82から前側カバー102の接続部118を引き抜くことにより、後側カバー72と前側カバー102との接続が解除される。従って、例えば、後側カバー72と前側カバー102とをボルト等で締結する構成と比較して、後側カバー72と前側カバー102との位置ずれを抑制しつつ、後側カバー72と前側カバー102とを容易に接続し又はこの接続を容易に解除することができる。
【0064】
更に、例えば、後側カバー72と前側カバー102とをボルト等で締結する構成では、ボルト等がシートクッション22の下に位置していると、ボルト等を操作し難くなる。これに対して本実施形態では、前側カバー102を車両前後方向にスライドして後側カバー72と前側カバー102とを接続し又はこの接続を解除する構成であるため、接続部118及び挿込部82がシートクッション22の下に位置している場合であっても後側カバー72と前側カバー102とを容易に接続し又はこの接続を容易に解除することができる。
【0065】
更にまた、挿込部82が設けられた後側カバー72には、前側カバー102の接続部118を挿込部82の挿込口84(図2参照)へ案内するガイド部88が設けられている。このガイド部88の上側ガイド壁部88Aは、図2に示されるように、挿込口84の上縁部から車両前後方向の前側かつ車両前後方向の上側へ延出されている。これにより、上側ガイド壁部88Aと下側ガイド壁部76A1との間に挿込口84よりも車両上下方向の開口幅が広いガイド用開口90が形成されている。この上側ガイド壁部88Aによって、挿込口84に対する接続部118の車両上下方向の上側の位置ずれが吸収される。従って、ガイド部88を備えない構成と比較して、挿込部82に対して接続部118を容易に挿し込むことができる。更に、下側ガイド壁部76A1は、上側ガイド壁部88Aよりも車両前後方向の前側へ延出されている(長さL)。この下側ガイド壁部76A1によって接続部118がガイド用開口90及び挿込口84へ案内されるため、接続部118を挿込部82に更に挿し込み易くなる。
【0066】
しかも、本実施形態では、サービスプラグ62の操作レバー66がフロアパネル14よりも車室34側(車両上下方向の上側)に位置されている。従って、フロアパネル14から前側カバー102を取り外したときに、操作レバー66がフロアパネル14上に露出する。また、操作レバー66は、サービスホール32の前端32F側に配置されている。従って、操作レバー66がフロアパネル14よりも車両上下方向の下側に配置された構成と比較して、操作レバー66を操作し易くなる。
【0067】
また、バッテリケース44の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間にはサービスホール32を囲むように内側ウェザーストリップ50が設けられており、この内側ウェザーストリップ50によってバッテリケース44の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間が塞がれている。従って、サービスホール32側への雨水等の浸入が抑制されるため、サービスプラグ62の破損等が抑制される。
【0068】
更に、前述したように本実施形態では、サービスプラグ62の操作レバー66がフロアパネル14よりも車室34側(車両上下方向の上側)に位置されている。従って、仮に内側ウェザーストリップ50が破損したとしても、サービスプラグ62が雨水等に濡れることが抑制される。
【0069】
また、内側ウェザーストリップ50は電気回路遮断装置60を支持する台座部48と間隔を空けて配置されており、これらの内側ウェザーストリップ50と台座部48との間に貯留スペース52が形成されている。これにより、仮に車室34内に雨水等が浸入したとしても、貯留スペース52に雨水等が流れ込むため、サービスプラグ62が雨水等に浸かることが抑制される。
【0070】
更に、内側ウェザーストリップ50は、その延出方向の先端部50B1がサービスホール32及び台座部48と反対側を向くように湾曲されている。これにより、内側ウェザーストリップ50の延出方向の先端部50B1が湾曲しない構成と比較して、フロアパネル14とバッテリケース44の天壁部46Aとの隙間からサービスホール32側へ浸入する雨水等を抑制しつつ、貯留スペース52を広げることができる。従って、貯留スペース52に貯留可能な雨水等の容量が増加するため、電気回路遮断装置60が雨水等に浸かることが更に抑制される。
【0071】
また、本実施形態では、内側ウェザーストリップ50の外周に外側ウェザーストリップ54が設けられており、これらの内側ウェザーストリップ50及び外側ウェザーストリップ54によって二重シール構造が構成されている。従って、バッテリケース44の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間から台座部48及びサービスホール32側への雨水等の浸入が更に抑制される。
【0072】
次に、上記実施形態におけるサービスホールカバーの変形例について説明する。
【0073】
上記実施形態では、後側カバー72をフロアパネル14に固定し、前側カバー102をフロアパネル14に対して着脱可能に取り付けたがこれに限らない。例えば、第1カバーとしての前側カバー102をフロアパネル14に固定し、第2カバーとしての後側カバー72をフロアパネル14に対して着脱可能に取り付けても良いし、第1カバーとしての前側カバー102及び第2カバーとしての後側カバー72をフロアパネル14に対して着脱可能に取り付けても良い。
【0074】
一例として、図5に示される変形例では、前側カバー102のフランジ部104がフロアアッパリインフォースメント108に溶接により接合されている。一方、後側カバー72のフランジ部74は、ボルト120によりフロアパネル14に固定されており、フロアパネル14に対して着脱可能になっている。この構成では、フロアパネル14に沿って後側カバー72を車両前後方向の前側にスライドさせ、前側カバー102に設けられた挿込部82に後側カバー72に設けられた接続部122を挿し込むことにより、前側カバー102と後側カバー72とが接続される。これとは逆にフロアパネル14に沿って後側カバー72を車両前後方向の後側にスライドさせ、前側カバー102の挿込部82から後側カバー72の接続部122を引き抜くことにより、前側カバー102と後側カバー72との接続が解除される。なお、本実施形態では、サービスホール32の後端32R側にサービスプラグ62の操作レバー66が配置されている。
【0075】
従って、フロントシート20(図1参照)を車両前後方向の前側へスライドさせ、サービスホールカバー70の後側カバー72を露出させることにより、後側カバー72の取り外し作業の作業性を向上することができる。また、後側カバー72をフロアパネル14から取り外すことにより、平面視にてフロントシート20のシートクッション22を前側カバー102にラップさせた状態でサービスホール32を開放することができる。従って、サービスホールカバー70の全体を露出させる場合と比較して、フロントシート20の車両前後方向の前側へのスライド量を低減することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、後側カバー72に挿込部82を設けると共に、前側カバー102に接続部118を設けたが、これとは逆に後側カバー72に接続部を設けると共に、前側カバー102に挿込部及びガイド部を設けても良い。
【0077】
更に、上記実施形態では、下側ガイド壁部76A1を上側ガイド壁部88Aよりも車両前後方向の前側へ延出させたが(長さL)、これとは逆に上側ガイド壁部88Aを下側ガイド壁部76A1よりも車両前後方向の前側へ延出させても良いし、平面視にて下側ガイド壁部76A1の車両前後方向の前端と上側ガイド壁部88Aとの車両前後方向の前端とを同じ位置に配置しても良い。更に、これらの上側ガイド壁部88A及び下側ガイド壁部76A1は適宜省略可能である。
【0078】
また、上記実施形態では、フロアパネル14の車両上下方向の上側(車室34側)にサービスプラグ62の操作レバー66を配置したが、サービスプラグ62の操作レバー66をフロアパネル14の車両上下方向の下側に配置しても良い。
【0079】
また、上記実施形態では、バッテリユニット40の操作部としてサービスプラグ62を例に説明したがこれに限らない。バッテリユニット40の操作部は、サービスホール32を通して車室34側から操作可能な操作部材や交換可能な消耗部品等を含んで構成されていれば良い。
【0080】
また、上記実施形態では、車両用シートとしてフロントシート20を例に説明したが、車両用シートは、例えばリヤシートでも良い。
【0081】
なお、上記実施形態には、以下のような技術思想が含まれている。即ち、前述したように、サービスプラグ62がフロアパネル14の車両上下方向の下側に位置されていると、バッテリケース44の天壁部46Aとフロアパネル14との隙間を塞ぐ内側ウェザーストリップ50が破損した場合、サービスプラグ62が雨水等に濡れて破損する可能性がある。この対策として、以下の態様が考えられる。例えば、第1態様に係る車両用電池搭載構造としては、サービスホールが形成された車両フロアと、前記サービスホールを通して前記車両フロアの車両上下方向の上側に配置される操作部を有し、前記車両フロアの車両上下方向の下側に配置されたバッテリユニットと、前記車両フロアと前記バッテリユニットの隙間に前記サービスホールを囲むように設けられ、該隙間を塞ぐシール部材と、を備えている。
【0082】
このようにサービスホールを通して操作部を車両フロアの車両上下方向の上側に配置することにより、仮にシール部材が破損したとしても、操作部が雨水等に濡れることが抑制される。従って、操作部の破損等が抑制される。
【0083】
また、上記第1態様に係る車両用電池搭載構造において、前記バッテリユニットが、電力を蓄電するバッテリモジュールと、前記バッテリモジュールを収容するバッテリケースと、前記バッテリケースの天壁部に設けられ、前記サービスホールを通して前記車両フロアよりも車両上下方向の上側へ突出し、前記操作部を支持する台座部と、を有し、前記シール部材が、前記台座部の外周に該台座部と間隔を空けて配置されている。
【0084】
このように台座部の外周に該台座部と間隔を空けてシール部材を配置したことにより、仮に車両フロア上(車室内)に雨水等が浸入したとしても、台座部とシール部材との間に雨水等が流れ込むため、操作部が雨水等に浸かることが抑制される。従って、操作部の破損等が抑制される。
【0085】
更に、上記第1態様又は上記第2態様に係る車両用電池搭載構造において、前記シール部材が、前記バッテリケースの天壁部から前記車両フロアへ向けて延出すると共に、延出方向の先端部が前記サービスホールと反対側を向くように湾曲されている。
【0086】
このようにシール部材の延出方向の先端部をサービスホールと反対側を向くように湾曲させることにより、シール部材の延出方向の先端部を湾曲させない構成と比較して、車両フロアとバッテリケースの天壁部との隙間からサービスホール側へ浸入する雨水等を抑制しつつ、台座部とシール部材との間に溜まる雨水等の容量を増加することができる。従って、操作部の破損等が更に抑制される。
【0087】
なお、上記第1〜第3態様では、サービスホールカバーが必ずしも車両前後方向に前側カバーと後側カバーとに分割されている必要はなく、従来周知の種々のサービスホールカバーを適用可能である。
【0088】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものではなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0089】
10 車両用電池搭載構造
14 フロアパネル(車両フロア)
16 サービスホール
20 フロントシート(車両用シート)
22 シートクッション
32 サービスホール
40 バッテリユニット
42 バッテリモジュール
44 バッテリケース
46A 天壁部(バッテリケースの天壁部)
48 台座部
50 内側ウェザーストリップ(シール部材)
50B 延出部
50B1 先端部
62 サービスプラグ(操作部)
70 サービスホールカバー
72 後側カバー(第1カバー)
76A1 下側ガイド壁部(ガイド部)
82 挿込部
84 挿込口
88 ガイド部
88A 上側ガイド壁部(ガイド部)
102 前側カバー(第2カバー)
118 接続部
122 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用シートを車両前後方向にスライド可能に支持すると共に、該車両用シートがスライド方向の中央に位置するときに、平面視にて前記車両用シートのシートクッションがラップされる部位にサービスホールが形成された車両フロアと、
前記車両フロアの車両上下方向の下側に配置され、前記サービスホールへ向けて突出する操作部を有するバッテリユニットと、
前記車両フロアの上面に設けられ、前記サービスホールの車両前後方向の一端側を覆う第1カバーと、前記車両フロアの上面に着脱可能に取り付けられ、前記サービスホールの車両前後方向の他端側を覆う第2カバーとを有し、前記サービスホールを塞ぐサービスホールカバーと、
を備える車両用電池搭載構造。
【請求項2】
前記サービスホールカバーが、
前記第1カバー及び前記第2カバーの何れか一方に設けられた挿込部と、
前記第1カバー及び前記第2カバーの何れか他方に設けられ、前記挿込部に車両前後方向へ抜き挿し可能に挿し込まれて、該第1カバーと該第2カバーとを接続する接続部と、
を有する、
請求項1に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項3】
前記挿込部には、前記接続部が挿し込まれる挿込口が形成され、
前記挿込部が設けられた前記第1カバー及び前記第2カバーの何れか一方には、前記挿込口へ前記接続部を案内するガイド部が設けられている、
請求項2に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項4】
前記操作部が、前記サービスホールを通して前記車両フロアよりも車両上下方向の上側に配置されている、
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項5】
前記バッテリユニットが、
電力を蓄電するバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールを収容すると共に、天壁部に前記操作部が設けられたバッテリケースと、
を有し、
前記車両フロアと前記バッテリケースの天壁部との隙間には、該隙間を塞ぐシール部材が前記サービスホールを囲むように設けられている、
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項6】
前記バッテリケースの天壁部には、前記サービスホールを通して前記車両フロアよりも車両上下方向の上側へ突出し、前記操作部を支持する台座部が設けられ、
前記シール部材が、前記台座部の外周に該台座部と間隔を空けて配置されている、
請求項5に記載の車両用電池搭載構造。
【請求項7】
前記シール部材が、前記バッテリケースの天壁部から前記車両フロアへ向けて延出すると共に、延出方向の先端部が前記サービスホールと反対側を向くように湾曲されている、
請求項5又は請求項6に記載の車両用電池搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112225(P2013−112225A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260998(P2011−260998)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】