説明

車両用電源装置

【課題】電気二重層キャパシタを備えて、電気二重層キャパシタ及びバッテリ間で互いに影響が及び難く、突入電流が発生しても、電源電圧が低下して負荷が正常に機能しなくなる虞が無い車両用電源装置の提供。
【解決手段】発電機1が発電した電力により充電されるバッテリBを備え、バッテリBが放電した電力、及び発電機1が発電した電力を複数の負荷5,17,18に供給する車両用電源装置。バッテリBに充電されるように逆流防止回路D1を通じて接続された電気二重層キャパシタCと、電気二重層キャパシタC及び1又は複数の負荷5,17,18間を接続/遮断するスイッチS2と、バッテリBの出力電圧を検出する電圧検出手段23と、その検出した電圧が所定電圧より低いか否かを判定する手段23とを備え、該手段23が所定電圧より低いと判定したときは、スイッチS2を接続する構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに連動する発電機が発電した電力により充電されるバッテリを備え、バッテリが放電した電力、及び発電機が発電した電力を複数の負荷に供給する車両用電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用電源装置では、エンジンに連動する発電機が発電した電力を、車両に搭載された各負荷に供給すると共に、バッテリに充電し、発電機が発電した電力では不足するとき、又はエンジンが停止しているときには、バッテリから各負荷に電力を供給するように構成されている。
近時、数十ファラッド以上の非常に大きな静電容量を有し、充放電サイクル特性(寿命)及び急速充放電に優れた電気二重層キャパシタが普及し、車両用電源装置においても、バッテリのバックアップ用などに提案されている。
【0003】
特許文献1には、エンジン始動スイッチの操作によって、電池からの放電電流及び電気二重層キャパシタからの放電電流がスタータに流れ込むように構成されたエンジン自動車の電気システムが開示されている。スタータに対して電気二重層キャパシタは電池より近接するように配置され、電池からの放電電流が流れるワイヤーハーネスは、電気二重層キャパシタからスタータへの放電電流が流れる給電線に接続される。スタータの始動時には、電池からの放電電流が、電気二重層キャパシタからの放電電流に比べて小さくなるようにワイヤーハーネスを選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−253879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用電源装置では、モータ等の負荷が起動されると、瞬間的に過大な突入電流が発生し、バッテリの内部抵抗により一時的に電源電圧が低下して、ECU(Electronic Control Unit)等の負荷によっては正常に機能しなくなることがあるという問題がある。
また、特許文献1に開示された電気システムでは、スタータで発生する突入電流を、内部抵抗が小さい電気二重層キャパシタから多く給電することにより、電源電圧の低下を小さくしているが、バッテリに異常が発生し電源電圧が低下した場合、電気二重層キャパシタの出力電圧も低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、電気二重層キャパシタを備えて、電気二重層キャパシタ及びバッテリ間で互いに影響が及び難く、突入電流が発生しても、電源電圧が低下して負荷が正常に機能しなくなる虞が無い車両用電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る車両用電源装置は、エンジンに連動する発電機が発電した電力により充電されるバッテリを備え、該バッテリが放電した電力、及び前記発電機が発電した電力を複数の負荷に供給する車両用電源装置において、前記バッテリに充電されるように逆流防止回路を通じて接続された電気二重層キャパシタと、該電気二重層キャパシタ及び1又は複数の負荷間を接続/遮断するスイッチと、前記バッテリの出力電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段が検出した電圧が所定電圧より低いか否かを判定する手段とを備え、該手段が所定電圧より低いと判定したときは、前記スイッチを接続するように構成してあることを特徴とする。
【0008】
この車両用電源装置では、エンジンに連動する発電機が発電した電力によりバッテリが充電され、バッテリが放電した電力、及び発電機が発電した電力を複数の負荷に供給する。電気二重層キャパシタが、バッテリに充電されるように逆流防止回路を通じて接続され、スイッチが、電気二重層キャパシタ及び1又は複数の負荷間を接続/遮断する。電圧検出手段が、バッテリの出力電圧を検出し、判定する手段が、その検出した電圧が所定電圧より低いか否かを判定する。判定する手段が、所定電圧より低いと判定したときは、スイッチを接続する。
【0009】
第2発明に係る車両用電源装置は、前記エンジンが始動してからの時間を計時する計時手段と、前記電気二重層キャパシタの出力電圧を検出する第2電圧検出手段と、該第2電圧検出手段が検出した出力電圧が所定電圧範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記計時手段が所定時間を計時した以降、前記判定手段が所定電圧範囲内であると判定したときは、判定結果を表示する表示手段とを更に備えることを特徴とする。
【0010】
この車両用電源装置では、計時手段が、エンジンが始動してからの時間を計時し、第2電圧検出手段が、電気二重層キャパシタの出力電圧を検出する。判定手段が、第2電圧検出手段が検出した出力電圧が所定電圧範囲内であるか否かを判定する。計時手段が所定時間を計時した以降、判定手段が所定電圧範囲内であると判定したときは、表示手段がその判定結果を表示する。
【0011】
第3発明に係る車両用電源装置は、前記スイッチは、前記表示手段に連動するように構成してあることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る車両用電源装置は、前記電気二重層キャパシタは、前記バッテリから負荷への分岐回路及びヒューズを収納する電気接続箱に収納されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両用電源装置によれば、電気二重層キャパシタを備えて、電気二重層キャパシタ及びバッテリ間で互いに影響が及び難く、突入電流が発生しても、電源電圧が低下して負荷が正常に機能しなくなる虞が無い車両用電源装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る車両用電源装置の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図2A】本発明に係る車両用電源装置のジャンクションボックス内に電気二重層キャパシタを収納した態様の左側面から見た断面を示す説明図である。
【図2B】本発明に係る車両用電源装置のジャンクションボックス内に電気二重層キャパシタを収納した態様の正面から見た断面を示す説明図である。
【図2C】本発明に係る車両用電源装置のジャンクションボックス内に電気二重層キャパシタを収納した態様の下面から見た断面を示す説明図である。
【図2D】本発明に係る車両用電源装置のジャンクションボックス内に電気二重層キャパシタを収納した態様の右側面から見た断面を示す説明図である。
【図3】本発明に係る車両用電源装置の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る車両用電源装置の実施例の概略構成を示すブロック図である。
【図5】キャパシタユニットの構成例を示すブロック図である。
【図6】電圧検知リレー制御部の構成例を示すブロック図である。
【図7】電圧検知リレー制御部の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】電圧検知リレー制御部の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明をその実施例を示す図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係る車両用電源装置の実施例1の概略構成を示すブロック図である。
この車両用電源装置は、オルタネータ1が発電した電力は、オルタネータ1内で整流された後、リレーボックスRB内のヒューズF1を通じて、バッテリBに充電される。
バッテリBの出力電圧は、図示しないイグニッションスイッチ(アクセサリスイッチも含む)に連動するリレーボックスRB内のスイッチS1及びヒューズF9を通じて、ジャンクションボックス(電気接続箱)JB内のキャパシタユニット22に与えられる。
【0017】
バッテリBの出力電圧は、スイッチS1、ヒューズF9及びジャンクションボックスJB内のヒューズF10を通じて、電動ブレーキ(負荷)5に与えられる。
バッテリBの出力電圧は、また、スイッチS1、ヒューズF9及びジャンクションボックスJB内のヒューズF12を通じて、オーディオ装置、メータ類及びナビゲーション装置等のダッシュボードに配置された機器(負荷)17に与えられる。
バッテリBの出力電圧は、また、スイッチS1、ヒューズF9及びジャンクションボックスJB内のヒューズF14を通じて、ドアECU(負荷)18に与えられる。
【0018】
キャパシタユニット22内では、与えられたバッテリBの出力電圧により、抵抗R1及び逆流防止用のダイオード(逆流防止回路)D1を通じて、電気二重層キャパシタCが充電されるように構成されている。ジャンクションボックスJB内の電気二重層キャパシタCの収納状態は図2A〜2Dに示す。
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、キャパシタユニット22内のスイッチS2及びジャンクションボックスJB内のヒューズF11を通じて、電動ブレーキ(負荷)5に与えられる。
【0019】
図2Aは、車両のジャンクションボックス(電気接続箱)JB内に電気二重層キャパシタCを収納した態様の左側面から見た断面を示す説明図、図2Bは、その態様の正面から見た断面を示す説明図、図2Cは、その態様の下面から見た断面を示す説明図、図2Dは、その態様の右側面から見た断面を示す説明図である。
このジャンクションボックスJBは、筐体16が直方体形状であり、筐体16の底面に延設された2つの鍔部12にそれぞれ2つ設けられた孔13により、車両側にビス止めされている。筐体16内部には、底面を覆うように絶縁板及び配線(電力系)8が収納され、筐体16内の中間より若干深い位置に、プリント基板10が絶縁板及び配線8を覆うように嵌め込まれて支持固定されている。
【0020】
プリント基板10の裏面側には、半導体リレー、ヒューズ、制御部等の電子回路9が配設され、プリント基板10の表面側には6個のセルが直列接続された電気二重層キャパシタCが配設されている。プリント基板10の裏面の正面視右下部には、右側面を貫通したコネクタ11が接続されている。
【0021】
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、また、キャパシタユニット22内のスイッチS2及びジャンクションボックスJB内のヒューズF13を通じて、オーディオ装置、メータ類及びナビゲーション装置等のダッシュボードに配置された機器(負荷)17に与えられる。
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、また、キャパシタユニット22内のスイッチS2及びジャンクションボックスJB内のヒューズF15を通じて、ドアECU(負荷)18に与えられる。
【0022】
キャパシタユニット22には電圧検知部(電圧検出手段)23が内蔵されている。電圧検知部23は、与えられたバッテリBの出力電圧を検出し、検出した電圧値に基づき、スイッチS2を接続/遮断させる。
バッテリBの出力電圧は、リレーボックスRB内又はジャンクションボックスJB内のリレー及びヒューズを通じて、その他の負荷へも与えられる。
【0023】
このような構成の車両用電源装置では、イグニッションスイッチに連動してスイッチS1が接続され、電圧検知部23が、検出した与えられたバッテリBの出力電圧が所定電圧以上であると判定しているときは、スイッチS2を遮断している。この状態で、バッテリBの出力電圧は、電動ブレーキ5、ダッシュボードに配置された機器17及びドアECU(負荷)18に与えられている。また、バッテリBの出力電圧により、電気二重層キャパシタCが充電される。
【0024】
バッテリBの出力電圧が低下して、電圧検知部23が、検出した与えられたバッテリBの出力電圧が所定電圧より低いと判定しているときは、スイッチS2を接続している。この状態で、電気二重層キャパシタCの出力電圧は、電動ブレーキ5、ダッシュボードに配置された機器17及びドアECU(負荷)18に与えられている。
イグニッションスイッチに連動してスイッチS1が遮断されると、オフになったスイッチS2及びダイオードD1により、電気二重層キャパシタCが外部から遮断される。
【実施例2】
【0025】
図3は、本発明に係る車両用電源装置の実施例2の概略構成を示すブロック図である。
この車両用電源装置では、バッテリBの出力電圧が、スイッチS1及びヒューズF9を通じて、ジャンクションボックスJB内のボディ制御ユニット24へも与えられる。ボディ制御ユニット24は、マイクロコンピュータ(電圧検出手段)25を内蔵しており、マイクロコンピュータ25は、与えられたバッテリBの出力電圧を検出し、検出した電圧値に基づき、スイッチS2を接続/遮断させる。従って、ジャンクションボックスJB内のキャパシタユニット22aには、図1に示す電圧検知部23は存在しない。その他の構成は、上述した実施例1で説明した車両用電源装置(図1)の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0026】
このような構成の車両用電源装置では、イグニッションスイッチに連動してスイッチS1が接続され、マイクロコンピュータ25が、検出した与えられたバッテリBの出力電圧が所定電圧以上であると判定しているときは、スイッチS2を遮断している。この状態で、バッテリBの出力電圧は、電動ブレーキ5、ダッシュボードに配置された機器17及びドアECU18に与えられている。また、バッテリBの出力電圧により、電気二重層キャパシタCが充電される。
【0027】
バッテリBの出力電圧が低下して、マイクロコンピュータ25が、検出したバッテリBの出力電圧が所定電圧より低いと判定しているときは、スイッチS2を接続している。この状態で、電気二重層キャパシタCの出力電圧は、電動ブレーキ5、ダッシュボードに配置された機器17及びドアECU18に与えられている。
イグニッションスイッチに連動してスイッチS1が遮断されると、オフになったスイッチS2及びダイオードD1により、電気二重層キャパシタCが外部から遮断される。
【実施例3】
【0028】
図4は、本発明に係る車両用電源装置の実施例3の概略構成を示すブロック図である。
この車両用電源装置は、オルタネータ1が発電した電力は、オルタネータ1内で整流された後、リレーボックスRB内のヒューズF1を通じて、バッテリBに充電される。
バッテリBの出力電圧は、図示しないイグニッションスイッチ(アクセサリスイッチも含む)に連動するリレーボックスRB内のスイッチS1及びヒューズF9を通じて、ジャンクションボックス(電気接続箱)JB内のキャパシタユニット22bに与えられる。
【0029】
バッテリBの出力電圧は、スイッチS1、ヒューズF9及びジャンクションボックスJB内のヒューズF16を通じて、オーディオ装置及びナビゲーション装置等のダッシュボードに配置された機器(負荷)19に与えられる。
バッテリBの出力電圧は、また、スイッチS1、ヒューズF9及びジャンクションボックスJB内のヒューズF18を通じて、ダッシュボードに配置されたメータ類(負荷)20に与えられる。
バッテリBの出力電圧は、また、スイッチS1、ヒューズF9及びジャンクションボックスJB内のヒューズF20を通じて、ボディECU(負荷)21に与えられる。
【0030】
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、キャパシタユニット22b内のスイッチS2、逆流防止用の順接続されたダイオードD3、及びジャンクションボックスJB内のヒューズF17を通じて、ダッシュボードに配置された機器19に与えられる。
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、また、スイッチS2、ダイオードD3、及びジャンクションボックスJB内のヒューズF19を通じて、ダッシュボードに配置されたメータ類20に与えられる。
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、また、スイッチS2、ダイオードD3、及びジャンクションボックスJB内のヒューズF21を通じて、ボディECU21に与えられる。
【0031】
図5は、キャパシタユニット22bの構成例を示すブロック図である。
キャパシタユニット22b内は、与えられたバッテリBの出力電圧により、半導体リレーRy6及び逆流防止用のダイオードD2を通じて、電気二重層キャパシタCが充電されるように構成されている。電気二重層キャパシタCは、6つのセルC1〜C6が直列に接続されている。
電気二重層キャパシタCの出力電圧は、キャパシタユニット22b内のスイッチS2、及び順接続されたダイオードD3を通じて、キャパシタユニット22bの出力端子P1から出力される。電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap は、また、キャパシタユニット22b内の電圧検知リレー制御部26に与えられ検出される。
【0032】
電圧検知リレー制御部26は、キャパシタユニット22bの入力端子P3に与えられたバッテリBの出力電圧VIGを取込み検出する。検出したバッテリBの出力電圧VIGに基づき、半導体リレーRy6により電気二重層キャパシタCへの充電制御を行う。
電圧検知リレー制御部26は、また、検出した電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap に基づき、スイッチS2により電気二重層キャパシタCの放電制御を行う。また、電気二重層キャパシタCが所定電圧範囲内で放電していることを示す放電信号を、キャパシタユニット22bの信号端子P2から出力する。出力された放電信号は、ダッシュボードに配置されたメータ類20に含まれる表示灯(表示手段)20aを点灯させる(図4)。
【0033】
図6は、電圧検知リレー制御部26の構成例を示すブロック図である。
電圧検知リレー制御部26は、取込んだバッテリBの出力電圧VIGが、5V電源27と、比較回路CP1の一方の入力端子と、比較回路CP2の他方の入力端子とに与えられる。5V電源27が出力した5V電圧は、比較回路CP1,CP2及びタイマ28の駆動電源として使用される。
タイマ28は、5Vの駆動電源が与えられてから(エンジンが始動してから)、所定時間(キャパシタCの充電に要する時間以上)を計時すると、ANDゲート29の一方の入力端子へのプラス信号の出力を開始する。
【0034】
比較回路CP1の他方の入力端子、及び比較回路CP2の一方の入力端子には、電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap が与えられる。比較回路(電圧検出手段、第2電圧検出手段)CP1の出力端子は、半導体リレーRy7のゲートに接続されている。また、ANDゲート29の他方の入力端子に接続されている。ANDゲート29の出力端子は、キャパシタユニット22bの信号端子P3に接続され、上述した放電信号を出力する。
【0035】
半導体リレーRy7のソースは接地され、ドレインはスイッチ2(リレー)のコイルの一方の端子に接続されている。コイルの他方の端子には電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap が与えられている。半導体リレーRy7がオンにされると、コイルに電流が流れてスイッチ2がオンになり、電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap が、ダイオードD3を通じてキャパシタユニット22bの出力端子P1から出力される。
比較回路CP2の出力端子は、半導体リレーRy6のゲートに接続されている。
【0036】
このような構成の車両用電源装置では、イグニッションスイッチに連動してスイッチS1が接続されると、5V電源が起動して、比較回路CP1,CP2及びタイマー28が起動する。
比較回路CP1が、検出したバッテリBの出力電圧VIG、及び電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap の内、出力電圧VIGの方が高いと判定しているときは、半導体リレーRy7をオフにし、スイッチS2を遮断している。
【0037】
また、比較回路CP2が、検出した出力電圧VIG及び出力電圧Vcap の内、出力電圧VIGの方が高いと判定しているときは、プラス信号を出力して半導体リレーRy6をオンにし、バッテリBから電気二重層キャパシタCへの充電が行われる。
この状態で、バッテリBの出力電圧は、ダッシュボードに配置された機器19、メータ類20及びボディECU21に与えられている。
タイマ28は、起動してから、キャパシタCの充電に要する時間以上の所定時間を計時すると、ANDゲート29の一方の入力端子へのプラス信号の出力を開始する。
【0038】
バッテリBの出力電圧が低下して、比較回路CP1が、バッテリBの出力電圧VIGの方が低いと判定し、プラス信号を出力しているときは、半導体リレーRy7をオンにし、スイッチS2を接続している。この状態で、電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap は、ダッシュボードに配置された機器19、メータ類20及びボディECU21に与えられている。
また、このとき、ANDゲート29は、他方の入力端子にもプラス信号が与えられて、プラスの放電信号を出力し、表示灯20aを点灯させる(図4)。
また、比較回路CP2は、出力電圧VIGの方が低いと判定しているときは、半導体リレーRy6をオフにする。
【0039】
イグニッションスイッチに連動してスイッチS1が遮断されると、5V電源がオフになり、比較回路CP1,CP2及びタイマー28がオフになる。その結果、半導体リレーRy7、スイッチS2及び半導体リレーRy6がオフになって、電気二重層キャパシタCが外部から遮断され、表示灯20aは消灯する。
尚、本実施例6では、表示灯20aを点灯させる条件の1つとして、バッテリBの出力電圧VIGが、電気二重層キャパシタCの出力電圧Vcap より相対的に低いこととしているが、この代わりとして、検出した出力電圧Vcap が、例えば11.5V以上等の固定された電圧値以上であることとしても良い。但し、電気二重層キャパシタCを放電させる条件は変更しない。
【0040】
また、電圧検知リレー制御部26の構成(図6)からANDゲート29を除き、図7に示すような電圧検知リレー制御部26aとして、タイマ28が、起動してから、キャパシタCの充電に要する時間以上の所定時間を計時したときに、表示灯20aを点灯させるようにしても良い。この場合、放電信号は、放電可能であることを示すスタンバイ信号となる。
また、電圧検知リレー制御部26aの構成(図7)からタイマ28を除き、図8に示すような電圧検知リレー制御部26bとして、半導体リレーRy7がオンになり、スイッチS2が接続して、電気二重層キャパシタCが放電しているときに、表示灯20aを点灯させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、エンジンに連動する発電機が発電した電力により充電されるバッテリを備え、バッテリが放電した電力、及び発電機が発電した電力を複数の負荷に供給する電源装置に適用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 オルタネータ(車載発電機、交流発電機)
2 スタータ
5 電動ブレーキ(負荷)
6 エンジンECU(負荷)
16 筐体
17,19 ダッシュボードに配置された機器(負荷)
18 ドアECU(負荷)
20 メータ類(負荷)
20a 表示灯(表示手段)
21 ボディECU(負荷)
22,22a,22b キャパシタユニット
23 電圧検知部(電圧検出手段)
24 ボディ制御ユニット
25 マイクロコンピュータ(電圧検出手段)
26,26a,26b 電圧検知リレー制御部
28 タイマ(計時手段)
B バッテリ
C 電気二重層キャパシタ
CP1 比較回路(電圧検出手段、第2電圧検出手段)
CP2 比較回路
D1,D2,D3 ダイオード(逆流防止回路)
F1,F9〜F21 ヒューズ
JB ジャンクションボックス(電気接続箱)
R1 抵抗
RB リレーボックス
Ry6,Ry7 半導体リレー
S1,S2 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに連動する発電機が発電した電力により充電されるバッテリを備え、該バッテリが放電した電力、及び前記発電機が発電した電力を複数の負荷に供給する車両用電源装置において、
前記バッテリに充電されるように逆流防止回路を通じて接続された電気二重層キャパシタと、該電気二重層キャパシタ及び1又は複数の負荷間を接続/遮断するスイッチと、前記バッテリの出力電圧を検出する電圧検出手段と、該電圧検出手段が検出した電圧が所定電圧より低いか否かを判定する手段とを備え、該手段が所定電圧より低いと判定したときは、前記スイッチを接続するように構成してあることを特徴とする車両用電源装置。
【請求項2】
前記エンジンが始動してからの時間を計時する計時手段と、前記電気二重層キャパシタの出力電圧を検出する第2電圧検出手段と、該第2電圧検出手段が検出した出力電圧が所定電圧範囲内であるか否かを判定する判定手段と、前記計時手段が所定時間を計時した以降、前記判定手段が所定電圧範囲内であると判定したときは、判定結果を表示する表示手段とを更に備える請求項1記載の車両用電源装置。
【請求項3】
前記スイッチは、前記表示手段に連動するように構成してある請求項2記載の車両用電源装置。
【請求項4】
前記電気二重層キャパシタは、前記バッテリから負荷への分岐回路及びヒューズを収納する電気接続箱に収納されている請求項1乃至3の何れか1つに記載の車両用電源装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−63775(P2013−63775A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−271321(P2012−271321)
【出願日】平成24年12月12日(2012.12.12)
【分割の表示】特願2010−527670(P2010−527670)の分割
【原出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】