説明

車両用音響制御装置

【課題】 低コストで車両の走行状況に応じて車両の周囲の音を確認する機能を有する車両用音響制御装置を提供する。
【解決手段】 車両の現在位置を検出する位置検出手段と、車両の周辺の音を検出するマイクと、車両の周辺の音を検出する検出区域を設定する検出区域設定手段と、車両の現在位置が検出区域に含まれるかどうかを判定する位置判定手段と、所定の音源を車内に送出する音源送出手段と、車両の現在位置が検出区域に含まれると判定された場合に、マイクにより検出された音を音源として音源送出手段に送出させる音源送出制御手段と、を有することを特徴とする車両用音響制御装置として提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行状況により音量を自動的に制御する機能を有する車両用音響制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、現在地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車両用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
しかしながら、車両用ナビゲーション装置をはじめとして、オーディオ装置,エアコン等の快適装備が一般化してきており、音による車外周囲の状況の把握が困難になりつつある。このため、パトカー、救急車、消防車等の緊急車両が接近してきても気付くのが遅れ、早急に的確な措置をとることが困難になってきているのが現状である。
【0004】
そこで、緊急車両のサイレンや踏切の警報音等の交通警報音を検出する警報音検出回路と、検出した警報音のレベルが予め設定した基準レベルを越えると警報音検出信号を出力する警報音レベル判定回路と、警報音検出信号により再生中のオーディオ信号のレベルを低減するミュート回路とを備えることにより、ユーザが緊急車両の接近や、踏切の警報音等を認知するまでの時間を格段に短縮することができるので、危険回避行動に余裕を持たせる車載用オーディオ装置が考案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、音による車外周囲の状況をユーザに知らせることができる車載用警報装置が考案されている(特許文献2参照)。この車載用警報装置は、車外音を検出し、その音源と到来方向を求め、その結果を簡潔に表示するように構成したので、自動車の運行上重要とする判断を的確に行なうことができる。すなわち、パトカー、救急車、消防車等の緊急車両が接近してきたときや、他車が警報を鳴らしたときなどに早急に的確な措置をとることができる。
【0006】
また、自動車の外部に、指向性を持ったマイクロホンを複数個設置し、マイクロホンから入力された自動車の周囲の音から、他の自動車の「警笛」や緊急車両の「サイレン」の音を、内部に持つ記憶媒体に格納した音と比較することにより認識し、複数個あるマイクロホンの音の大きさの比率からその方向を認識し、ユーザに通知する車内警報装置が考案されている(特許文献3参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平05−211418号公報
【特許文献2】特開平06−328980号公報
【特許文献3】特開2000−127796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜3の例は、いずれも緊急車両のサイレン音等の特定の音を検出する装置を備え、特定の音を検出した際に、その外部の音を車室内に流したり、警告を運行なうものであり、その特定の音が外部で発生していることが前提であり、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」ときには動作させられないという問題がある。また、これら特定の音を認識するための装置あるいは制御プログラムが必要となり、認識の精度を向上させるためには装置の規模も大きくなり、装置のコスト上昇要因となる。
【0009】
上記問題を背景として、本発明の課題は、低コストで車両の走行状況に応じて車両の周囲の音を確認する機能を有する車両用音響制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための車両用音響制御装置を提供するものである。即ち、請求項1によれば、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、車両の周辺の音を検出するマイクと、車両の周辺の音を検出する検出区域を設定する検出区域設定手段と、車両の現在位置が検出区域に含まれるかどうかを判定する位置判定手段と、所定の音源を車内に送出する音源送出手段と、車両の現在位置が検出区域に含まれると判定された場合に、マイクにより検出された音を音源として音源送出手段に送出させる音源送出制御手段と、を有することを特徴とする車両用音響制御装置として構成される。
【0011】
本発明は、例えば見通しの悪い交差点,踏切、自宅周辺,などの「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を予め設定しておき、車両が当該区域あるいは地点を走行時に自動的に車外音を聞くことを可能としたものである。上記構成によって、外部の音を聞きたい区域あるいは地点で、自動的かつ確実に外の状況を聞くことが可能となり、緊急車両の接近等を把握できる。また、危険を事前に察知でき余裕をもった回避行動を取ることができる。さらに、特定の音を認識するための装置あるいは制御プログラムは不要であり、車両用ナビゲーション装置あるいは車載オーディオ装置を活用すれば低コストで本発明の構成を実現できる。
【0012】
請求項2によれば、本発明の車両用音響制御装置における音源送出制御手段は、音源送出手段に送出させる音源を、音源送出手段が送出中の音源からマイクにより検出された車両の周辺の音に切り替える構成をとることができる。本構成によって、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を走行時には、ユーザの操作負荷を増大させることなく自動的に車外音を聞くことが可能となる。
【0013】
請求項3によれば、本発明の車両用音響制御装置における音源送出制御手段は、音源送出手段が送出中の音源の音量を、マイクにより検出された車両の周辺の音の音量よりも小さくする構成をとることができる。本構成によっても、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を走行時には、ユーザの操作負荷を増大させることなく自動的に車外音を聞くことが可能となる。
【0014】
請求項4によれば、本発明の車両用音響制御装置は、設定された検出区域を記憶する検出区域記憶手段を有する構成をとることができる。本構成によって、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点をその都度設定することなく、当該区域あるいは地点を走行時には自動的に車外音を聴取することが可能となる。また、その都度設定することがないため、設定に関するユーザの操作負荷を低減できる。
【0015】
請求項5によれば、本発明の車両用音響制御装置における所定の音源は、当該車両用音響制御装置の動作状況あるいは操作方法についてのガイダンス音声を含む構成をとることができる。本構成によって、ガイダンス音声送出中でも、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を走行時には自動的に車外音を聞くことが可能となる。
【0016】
請求項6によれば、本発明の車両用音響制御装置における携帯通信端末を接続する接続部を有し、所定の音源は携帯通信端末から取得した音声を含む構成をとることができる。本構成によって、携帯通信端末から音声送出中である状態、例えばハンズフリー装置を用いた携帯電話による通話中の状態でも、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を走行時には自動的に車外音を聞くことが可能となる。
【0017】
請求項7によれば、本発明の車両用音響制御装置における所定の音源は音声記録媒体に記録された音声データを含む構成をとることができる。本構成によって、例えば音楽用コンパクトディスク等の音声記録媒体を再生中でも、「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を走行時には自動的に車外音を聞くことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
低コストで車両の走行状況に応じて車両の周囲の音を確認する機能を有する車両用音響制御装置を提供するという目的を、車両が予め設定された「外部で音が鳴っているかどうか確認したい」区域あるいは地点を走行時には、自動的に車外音を聴取可能とする構成により実現した。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例を参照しながら説明する。図1は本発明の車両用音響制御装置の構成図である。車両用音響制御装置200は車両用ナビゲーション装置100およびオーディオ装置40を含んで構成される。
【0020】
図2は車両用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称する)100の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示装置10,ハードディスク装置(HDD)21,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12を備えている。
【0021】
本発明の位置検出手段である位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,ジャイロスコープ3,距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPSのためのGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部センサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサすなわち車速センサ23等を用いてもよい。
【0022】
操作スイッチ群7は、例えば表示装置10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示装置10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上を使用者がタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、縦横に微細に配置された赤外線センサ、赤外線センサが検出した指等の接触を電気信号に変えるパネル部分、電気信号を外部機器へ送るための信号処理回路、および、これらを制御するコントローラを含んで構成される。例えば指やタッチペンなどでその赤外線を遮断すると、その遮断した位置が2次元座標値(X,Y)として検出される方式を用いてもよい。あるいは、透明な導電性基盤のガラス面に電気信号を受ける物質を塗布し、指をガラス面に近づけると静電容量の変化を電気信号としてセンサで検知する、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。
【0023】
メカニカルスイッチ,タッチパネルの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。また、車内マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、音声認識ユニット30に接続される車内マイク31から音声を入力することによって、その音声信号を周知の音声認識技術により音声認識処理して、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。音声認識ユニット30は、車内マイク31から入力された音声信号を適切なレベルに増幅する増幅器と、増幅後の音声信号をA/D変換した後、周知の隠れマルコフモデル等の音声認識アルゴリズムにより音声を識別するための音声信号処理装置(DSP:Digital Signal Processor)、音声を識別するための基準データが記憶されているメモリ等で構成されており、DSPにより音声信号がその音声に対応した数値情報に変換された後、制御回路8に送られる。これら本発明の検出区域設定手段であるタッチパネル22を含む操作スイッチ群7、リモコン端末12、車内マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。
【0024】
送受信機13は、例えばVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信するための装置である。
【0025】
また、ETC(自動料金収受システム,ETC:Electronic Toll Collection)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器から受信した料金情報などを本ナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14との通信を行なう構成をとってもよい。
【0026】
本発明の位置判定手段である制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0027】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶すると共に、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0028】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他に使用者が独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、タッチパネル22を含む操作スイッチ群7およびリモコン端末12の操作あるいは車内マイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。
【0029】
また、地図データ21mおよびユーザデータ21uは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。
【0030】
不揮発メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態(即ち、ナビゲーション装置100がオフ状態)になっても、記憶内容が保持されるようになっている。
【0031】
また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。この場合、HDD21よりも不揮発メモリ9へのアクセス速度の方が速いため、読み書きの頻度が比較的多いものを不揮発メモリ9に記憶し、読み書きの頻度が比較的少ないものをHDD21に記憶するとよい。不揮発メモリ9に記憶された内容をHDD21にバックアップ保存するようにしてもよい。
【0032】
表示装置10は周知のカラー液晶表示器で、例えばドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうためのドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指示および表示画面データに基づいて表示を行なう。
【0033】
スピーカ15は制御回路8のI/O34に接続される周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データを音声合成回路24においてアナログ音声に変換したものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式、音声波形を分析してパラメータに変換された形で蓄積し、それを繋ぎ合せて音声合成回路を駆動し音声を作り出すパラメータ編集方式、文字列あるいは音素記号列から、音声学的・言語学的規則に基づいて、音声を作り出す規則合成方式などがある。
【0034】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0035】
外部機器接続装置26は、センサや他の制御機器等の外部機器とデータ伝送可能に接続するための入出力回路,コネクタを含むものである。以下の機能の一つあるいは少なくとも二つ以上を実現可能な構成となっている。
(1)オーディオ装置40との接続
(2)車内LAN(Local Area Network)の通信インターフェース回路
(3)携帯電話機17を介しての外部ネットワーク接続
(4)データバックアップ装置の接続
【0036】
また、外部機器接続装置26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはTC車載器16との接続を行なってもよい。
【0037】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作あるいは車内マイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから目的地経路を表示装置10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0038】
即ち、使用者が地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、使用者が設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、GPS受信機5から得られる衛星のデータに基づき車両の現在位置が求められ、該現在位置から目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示装置10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示装置10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0039】
ダイクストラ法では、リンク情報,ノード情報,リンク間接続情報を用いて、現在地から各ノードに至るまでの経路評価値(経路計算コスト)を算出し、目的地までの全ての経路評価値の計算が終了した段階で、総評価値が最小となるリンクを接続して目的地までの経路を設定している。この場合の評価値は、道路長・道路種別・道路幅員・車線数・交差点での右左折・信号機の有無などに応じて設定されている。例えば、道路幅員が広いほど評価値が低く、車線数が多いほど評価値が低い。
【0040】
各リンクでの経路計算コストの計算は、例えば次式を用いて行われる。経路計算コスト=リンク長×道路幅員係数×道路種別係数×渋滞度。ここで、道路幅員係数とは道路幅に応じて設定される係数であり、道路種別係数とは有料道路等の道路種別に応じて設定される係数である。そして、渋滞度とは、その道路の渋滞度合に応じて設定される係数である。
【0041】
最適な案内経路が求められると、制御回路8は案内経路の右左折する交差点あるいは案内の目印となる建物等の案内対象点を設定する。そして、設定された案内対象点に対し、車両がある一定距離まで近づいたときに音声により案内すべきポイントとして、案内実施点を決定する。案内実施点は、例えば、案内対象点が交差点の場合、一般道では700m手前,300m手前,100m手前、高速道路では2km手前,1km手前,500m手前といったように複数設定することができる。
【0042】
図3はオーディオ装置40の構成図である。オーディオ装置40は外部機器接続装置41,車外マイク42,スピーカ43,再生部45,チューナ部46,音声メモリ47,接続回路48,操作部50,表示部51,およびこれらの接続された音声制御回路49を含んで構成される。
【0043】
外部機器接続装置41は、ナビゲーション装置100と通信可能に接続するための装置で、構成はナビゲーション装置100の外部機器接続装置26と同様である。
【0044】
本発明のマイクである車外マイク42は、例えば車両のフロントグリル内側に取り付けられ、車外の音を集音する。車外の音を集音可能であれば、取り付け位置に制約はない。
【0045】
再生部45は、楽曲などの音声信号が記録された記録媒体からデータを読出すためのドライブ装置からなる。記録媒体としては、例えばコンパクトディスク(CD),ミニディスク(MD),カセットテープ等が用いられる。ユーザが操作部50を操作することで、ドライブ装置による記録媒体の選択・再生・停止等が行なわれる。
【0046】
チューナ部46はFM/AMラジオあるいはテレビ等の電波を受信して、その音声信号あるいは映像信号を再生するものである。
【0047】
音声メモリ47は半導体メモリを含んで構成され、楽曲あるいはオーディオ装置40の操作ガイダンスメッセージなどの音声信号が記録されている。
【0048】
接続回路48は、例えばハンズフリーユニットのような携帯電話機44を接続するためのインターフェース回路で、携帯電話機44の受話音声を取り込んでスピーカ43から送出するものである。
【0049】
なお、再生部45,チューナ部46,音声メモリ47,携帯電話機44が車内音源に相当する。
【0050】
操作部50は、メカニカルスイッチ,表示部51と一体になったタッチパネルあるいはリモコンが用いられる。表示部51は、カラー液晶表示器が用いられる。ナビゲーション装置100の表示装置10あるいは操作スイッチ群7を共用する構成をとってもよい。操作部50において音源の選択,音量の調整等の操作を行なう。
【0051】
本発明の音源送出手段,音源送出制御手段である音声制御回路49は、CPU49a,ROM49b,RAM49c,DSP(Digital Signal Processor)49d,D/A変換器であるDAC49e,増幅器であるAMP49f,電子ボリュームVOL49g,切換回路49hを含んで構成される。オーディオ装置40はCPU49aがROM49bおよびRAM49cに記憶されたプログラムおよびデータにより音声信号の再生を行なう。
【0052】
操作部50の操作により、再生部45,チューナ部46,音声メモリ47,携帯電話機44のいずれかの音源が選択されると、その音源の音声信号は切換回路49hを経由してDSPに伝送され、さらにDSPか49dらDAC49eを通してAMP49fに伝送され、AMP49fからスピーカ43に出力される。VOL49gはCPU49aの指令に基づいて音量が設定され、設定された音量でスピーカ43から送出されるようにAMP49fの増幅度を調整する。
【0053】
なお、切換回路49hは周知のアナログスイッチを含んで構成され、CPU49aからの指令により、車外マイク42,再生部45,チューナ部46,音声メモリ47,接続回路48すなわち携帯電話機44の5系統の入力から一つを選択して出力する。
【0054】
本発明の音源送出制御処理について説明する。なお、本処理はナビゲーション装置100においてはCPU81により実行されるナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。また、オーディオ装置40においてはCPU49aにより実行される音声制御プログラムに含まれ、その他の処理とともに繰り返し実行される。
【0055】
まず、ナビゲーション装置100で音源送出制御処理の対象となる地点を登録する。地図データ21mあるいはデータベース21dには、予め対象となる地点が登録されている。対象となる地点としては、幅員が一定値以下の道路の交差点,踏切,一時停止箇所などが挙げられる。
【0056】
ユーザが音源送出制御処理の対象となる地点を登録する場合は以下のように行なう。タッチパネル22を含む操作スイッチ群7あるいはリモコン端末12の操作あるいは車内マイク31からの音声入力によって、表示装置10上に表示されるメニューから、例えば図5(a)のような音源送出制御処理の対象となる地点あるいはエリアを登録する画面を表示させる。
【0057】
図5(a)で「する」ボタンを押下すると、「地点設定」,「範囲設定」ボタンが表示される。一方、図5(a)で「しない」ボタンを押下した場合は、地図データ21mあるいはデータベース21dに登録されている内容で音源送出制御処理を実施する。また、音源送出制御処理を行なわないように設定することも可能である。
【0058】
図5(a)で「地点設定」ボタンを押下した場合には、音源送出制御処理の対象となる地点を入力する。入力方法は、目的地を探索する方法と同様で、五十音探索,地名探索,施設名探索,電話番号探索等の方法により地点を探索・選択して登録する。
【0059】
図5(a)で「範囲設定」ボタンを押下すると、図5(b)のような範囲指定画面が表示される。ここで地点と範囲を入力する。地点の入力方法は上述の「地点設定」と同様である。地点を入力したら範囲を入力する。例えば、範囲と100mに設定した場合は、該地点を中心とする100m四方の範囲が音源送出制御処理の対象となるエリアとなる。また、「地点を中心とする半径○○m」という範囲設定方法を用いてもよい。
【0060】
設定内容を確認することも可能である。例えば、図5(a)の表示画面上で「確認」ボタンを押下すると、図6のように設定内容が表示装置10の画面に表示される。
【0061】
図4のフロー図について説明する。オーディオ装置40の操作部50を操作して、例えばCDのようにスピーカ43から送出する音源すなわち車内音源を選択する(S1)。
【0062】
位置検出器で検出される車両の現在位置が、例えば50m以内のような登録地点から所定の距離内にある場合、あるいは登録エリア内にある場合(S2:Yes)、ナビゲーション装置100は外部機器接続装置26,41により、その情報をオーディオ装置40へ送る。また、ナビゲーション装置100では、音声合成回路24,スピーカ15による音声メッセージの送出を停止する。
【0063】
該情報を受けたオーディオ装置40は、CPU49aから切換回路49hに指令を送り、例えばCD再生中であればCDの再生を一時停止し、音源を再生部45すなわち車内音源から車外マイク42に切り換えて、車外マイク42からの音すなわち車外音をスピーカ43から送出する。このとき、切り換え前の音源情報をRAM49cに確保される車内音源記憶領域に記憶しておく。
【0064】
車外マイク42からの音をスピーカ43から送出しているときに、車両の現在位置が登録地点から所定の距離外にある場合、あるいは登録エリア外に出た場合(S4:Yes)、ナビゲーション装置100は外部機器接続装置26,41により、その情報をオーディオ装置40へ送る。また、ナビゲーション装置100では、音声合成回路24,スピーカ15による音声メッセージの送出を再開する。
【0065】
該情報を受けたオーディオ装置40は、CPU49aから切換回路49hに指令を送り、RAM49cの車内音源記憶領域を参照し、音源を車外マイク42から車内音源に戻す(S5)。上述の例では車内音源を再生部45としているので一時停止状態にあるCDの再生を再開する。
【0066】
上述の例では、再生部45のような車内音源を一時停止状態としていたが、音源を車外マイク42に切り換える際に、車内音源の音量を低減する方法を用いてもよい。この場合、切換回路49hは、CPU49aからの指令により、再生部45,チューナ部46,音声メモリ47,接続回路48すなわち携帯電話機44の4系統の入力から一つを選択して出力するアナログスイッチと、車外マイク42からの音声信号をDSP49dに対して送出/停止を行なうアナログスイッチとを含んで構成される。また、切換回路49hからAMP49fに至る音声信号経路は、車内音源系統と車外マイク42系統との2系統ある。さらに、VOL49gも車内音源系統の音量調整用と車外マイク42系統の音量調整用との2系統ある。
【0067】
登録地点から所定の距離内にある場合、あるいは登録エリア内にある場合、CPU49aの指令により切換回路49hは現在出力中の車内音源に加えて、アナログスイッチを切り換えて車外マイク42からからの音声信号をDSP49dに対して送出する。
【0068】
CPU49aはVOL49gに対して、車内音源の音量をゼロすなわちミュート状態、あるいは車外マイク42からの音声信号を聴取可能な状態となる音量までに低減するよう指令を送る。また、車外マイク42からの音声信号の音量をユーザが聴取可能な音量にするよう指令を送る。VOL49gは送られた指令に応じてAMP49fの増幅度を調整する。また、ナビゲーション装置100においても、ガイダンスメッセージ等の音量をミュート状態、あるいは車外マイク42からの音声信号を聴取可能な状態となる音量までに低減する。
【0069】
車外マイク42からの音声信号を聴取している際に、図6のように表示装置10にその旨を表示するようにしてもよい。また、ユーザが車外の状況を十分把握した場合には、図6に示される「車内音源」ボタンを押下して、音源を車外マイク42から車内音源に戻すようにしてもよい。
【0070】
オーディオ装置40がナビゲーション装置100の音声メッセージの送出を行なう構成をとってもよい。この場合、ナビゲーション装置100の不揮発メモリ9に記憶されている音声メッセージデータが音声メモリ9に含まれる。そして、オーディオ装置40ではナビゲーション装置100からの音声メッセージ送出指令に基づいて、音声メモリ9に記憶されている音声メッセージをスピーカ43から送出する。ナビゲーション装置100から音声メッセージ送出指令と送出する音声メッセージをオーディオ装置40に送る構成としてもよい。
【0071】
ナビゲーション装置100とオーディオ装置40を一体化した構成を用いてもよい。本構成では、例えばナビゲーション装置に切換回路49h,DSP49d,DAC49e,AMP49fを含む音声制御部を設け、ナビゲーション装置のガイダンスメッセージを含む車内音源と車外マイク42との切換を行なう。本構成ではオーディオ装置40におけるCPU49a,ROM49B,RAM49C,外部機器接続装置41,操作部50,表示部51が不要となり、車両用音響制御装置の製造コストを低減することができる。
【0072】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】車両用音響制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】車両用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図。
【図3】オーディオ装置の構成を示すブロック図。
【図4】音源送出制御処理処理を説明するためのフロー図。
【図5】音源送出制御の対象地点を設定する際の画面表示例。
【図6】音源送出制御の対象地点を確認する際の画面表示例。
【図7】音源送出制御実施中の画面表示例。
【符号の説明】
【0074】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群(検出区域設定手段)
8 制御回路(位置判定手段)
9 不揮発メモリ(検出区域記憶手段)
10 表示装置
12 リモコン端末(検出区域設定手段)
20 記憶媒体
21 ハードディスク装置
26 外部情報入出力装置
31 車内マイク(検出区域設定手段)
40 オーディオ装置
42 車外マイク(マイク)
49 音声制御回路(音源送出手段,音源送出制御手段)
100 車両用ナビゲーション装置
200 車両用音響制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記車両の周辺の音を検出するマイクと、
前記車両の周辺の音を検出する検出区域を設定する検出区域設定手段と、
前記車両の現在位置が前記検出区域に含まれるかどうかを判定する位置判定手段と、
所定の音源を車内に送出する音源送出手段と、
前記車両の現在位置が前記検出区域に含まれると判定された場合に、前記マイクにより検出された音を音源として前記音源送出手段に送出させる音源送出制御手段と、
を有することを特徴とする車両用音響制御装置。
【請求項2】
前記音源送出制御手段は、前記音源送出手段に送出させる音源を、前記音源送出手段が送出中の音源から前記マイクにより検出された前記車両の周辺の音に切り替える請求項1に記載の車両用音響制御装置。
【請求項3】
前記音源送出制御手段は、前記音源送出手段が送出中の音源の音量を、前記マイクにより検出された前記車両の周辺の音の音量よりも小さくする請求項1に記載の車両用音響制御装置。
【請求項4】
前記設定された検出区域を記憶する検出区域記憶手段を有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用音響制御装置。
【請求項5】
前記所定の音源は、当該車両用音響制御装置の動作状況あるいは操作方法についてのガイダンス音声を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両用音響制御装置。
【請求項6】
携帯通信端末を接続する接続部を有し、前記所定の音源は前記携帯通信端末から取得した音声を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用音響制御装置。
【請求項7】
前記所定の音源は音声記録媒体に記録された音声データを含む請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両用音響制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−262147(P2006−262147A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77488(P2005−77488)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】