説明

車両用駆動装置

【課題】電動オイルポンプを設けることを不要とする車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド駆動装置1は、モータ3と、該モータ3に駆動連結された駆動軸12と、駆動軸12の回転を一方向に無段変速し得る無段変速機構4と、該無段変速機構4を油圧制御し得る油圧制御装置9とを備えて構成されており、駆動軸12の一方向の回転と他方向の回転とをそれぞれ伝達する第1ワンウェイクラッチF1及び第2ワンウェイクラッチF2と、それら第1及び第2ワンウェイクラッチF1,F2を介してそれぞれ駆動軸12に駆動連結された第1オイルポンプ60及び第2オイルポンプ80とを備える。前進時であっても後進時であっても、第1オイルポンプ60又は第2オイルポンプ80により発生される油圧を油圧制御装置9に供給することで、車輌駆動系とは独立して駆動される電動オイルポンプを設けることを不要とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用駆動装置に係り、詳しくは、入力された回転を一方向に無段変速して車輪に出力し得る無段変速機構を油圧制御するための元圧を発生するオイルポンプを備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両燃費向上のため、車両等に搭載されるハイブリッド駆動装置が種々提案されており、中でも、内燃エンジンと無段変速機構との間に1つのモータを配置した簡易な構造のものが提案されている(特許文献1参照)。一般的に、内燃エンジンの回転を変速するベルト式等の無段変速機は、内燃エンジンによる逆転回転出力が困難であるため、入力回転を逆転して後進走行を可能にするための前後進切換え装置を備えているが、この特許文献1のハイブリッド駆動装置は、モータによって逆転回転を出力して後進走行を可能にすることで、内燃エンジンの回転を逆転することを不要とし、つまり前後進切換え装置を省略した構造が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−260672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のようにベルト式等の無段変速機構(CVT)を備えたハイブリッド駆動装置にあっては、該無段変速機構のベルトでスリップ等を生じないようにするため、内燃エンジンの最高出力トルクにも耐え得るような比較的大きなベルト挟持圧が必要である。
【0005】
このような無段変速機構に必要な油圧を、車両駆動系とは独立して駆動される電動オイルポンプで全て担うようにするためには、該電動オイルポンプに大型で高価なものを採用する必要があり、好ましくない。そのため、内燃エンジンに連動して駆動される機械式オイルポンプを設け、上記最高出力トルクにも十分耐え得るベルト挟持圧を該機械式オイルポンプで出力するように構成することも考えられる。
【0006】
しかしながら、機械式オイルポンプは、一般的に吸入口から排出口への回転方向が設計上決められており、つまり機械式オイルポンプを逆転回転して油圧を発生させることはできない。特に、上述のようにモータの出力による後進走行(EV走行)を行うものにあっては、内燃エンジンを停止するため、機械式オイルポンプも停止されるので、結局は機械式オイルポンプに比して高価な電動オイルポンプを設けて油圧を発生させる必要があるという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、電動オイルポンプを設けることを不要とし、もって、コストダウンを可能とする車両用駆動装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両用駆動装置(1)は(例えば図1乃至図5参照)、回転電機(3)と、
前記回転電機(3)に駆動連結された駆動軸(12)と、
前記駆動軸(12)から入力された回転を無段変速して入力軸(4a)に入力された回転と同一方向の回転を車輪(30)に出力し得る無段変速機構(4)と、
前記駆動軸(12)の一方向(例えばω1)の回転を伝達する第1ワンウェイクラッチ(F1)と、
前記駆動軸(12)の他方向(例えばω2)の回転を伝達する第2ワンウェイクラッチ(F2)と、
前記第1ワンウェイクラッチ(F1)を介して前記駆動軸(12)に駆動連結された第1オイルポンプ(60)と、
前記第2ワンウェイクラッチ(F2)を介して前記駆動軸(12)に駆動連結された第2オイルポンプ(80)と、
前記第1オイルポンプ(60)又は前記第2オイルポンプ(80)により発生された油圧により、前記無段変速機構(4)を油圧制御し得る油圧制御装置(9)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両用駆動装置(1)において(例えば図1及び図2参照)、前記第1ワンウェイクラッチ(F1)は、前記駆動軸(12)上に配置されると共に、車両が前進走行する際の前記一方向(例えばω1)の回転を伝達してなり、
前記第1ワンウェイクラッチ(F1)の回転を、前記駆動軸(12)と平行な平行軸(61a)に伝達する平行軸伝動機構(70)を備え、
前記第1オイルポンプ(60)は、前記平行軸(61a)の回転により駆動されることを特徴とする。
【0010】
更に、本発明の車両用駆動装置(1)において(例えば図2参照)、前記第1オイルポンプ(60)は、外接式ギヤポンプからなることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車両用駆動装置(1)は(例えば図1乃至図4参照)、前記駆動軸(12)と前記無段変速機構(4)の入力軸(4a)との動力伝達を切断自在な回転電機切離し用クラッチ(C1)を備え、
車両の発進時に、前記回転電機(3)に指令して前記駆動軸(12)を駆動し、前記第1オイルポンプ(60)又は第2オイルポンプ(80)を駆動して前記油圧制御装置(9)に油圧を供給した後、前記回転電機(3)からの回転を、前記駆動軸(12)、前記回転電機切離し用クラッチ(C1)、前記無段変速機構(4)を介して前記車輪(30)に出力するように、前記油圧制御装置(9)に指令して前記回転電機切離し用クラッチ(C1)を係合制御する制御部(50)を備えたことを特徴とする。
【0012】
更に、本発明の車両用駆動装置(1)は(例えば図1及び図5参照)、内燃エンジン(2)に駆動連結されたエンジン接続軸(11)と、
前記エンジン接続軸(11)と前記駆動軸(12)との動力伝達を切断自在なエンジン切離し用クラッチ(K0)と、を備え、
前記制御部(50)は、前記回転電機(3)に指令して前記駆動軸(12)を駆動し、前記第1オイルポンプ(60)を駆動して前記油圧制御装置(9)に油圧を供給した後、前記油圧制御装置(9)に指令して前記エンジン切離し用クラッチ(K0)を係合すると共に前記回転電機切離し用クラッチ(C1)を解放した状態で、前記内燃エンジン(2)の出力回転により、前記エンジン接続軸(11)、前記エンジン切離し用クラッチ(K0)、前記駆動軸(12)を介して前記回転電機(3)を駆動して充電を行う充電モードを実行し得ることを特徴とする。
【0013】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明によると、駆動軸の一方向の回転を伝達する第1ワンウェイクラッチを介して該駆動軸に駆動連結された第1オイルポンプと、駆動軸の他方向の回転を伝達する第2ワンウェイクラッチを介して該駆動軸に駆動連結された第2オイルポンプとを備えているので、前進時であっても後進時であっても、第1オイルポンプ又は第2オイルポンプにより発生される油圧を油圧制御装置に供給することができ、車両駆動系とは独立して駆動される電動オイルポンプを設けることを不要とすることができて、車両用駆動装置のコストダウンを図ることができる。
【0015】
請求項2に係る本発明によると、車両が前進走行する際の回転を伝達する第1ワンウェイクラッチの回転を、平行軸伝動機構によって駆動軸と平行な平行軸に伝達して、該平行軸の回転により第1オイルポンプを駆動するように構成することで、第1オイルポンプを駆動する平行軸を、駆動軸に比して小径にすることができ、第1オイルポンプのギヤを小径化することができる。これにより、第1オイルポンプにおけるギヤの摺動抵抗を低減することができ、特に走行時間の長い前進走行にあって、車両の燃費(電費)向上を図ることができる。
【0016】
請求項3に係る本発明によると、第1オイルポンプが外接式ギヤポンプからなるので、例えば内接式ギヤポンプに比して摺動抵抗を低減することができ、さらに車両の燃費(電費)向上を図ることができる。
【0017】
請求項4に係る本発明によると、車両の発進時に、回転電機に指令して駆動軸を駆動し、第1オイルポンプ又は第2オイルポンプを駆動して油圧制御装置に油圧を供給した後、回転電機からの回転を、駆動軸、回転電機切離し用クラッチ、無段変速機構を介して車輪に出力するように、回転電機切離し用クラッチを係合制御するので、油圧制御装置から無段変速機構に充分な油圧を供給した後に、該無段変速機構によって回転電機の駆動回転の伝達を行うようにすることができ、無段変速機構におけるスリップの発生などの防止を図ることができる。
【0018】
請求項5に係る本発明によると、回転電機に指令して駆動軸を駆動し、第1オイルポンプを駆動して油圧制御装置に油圧を供給した後、油圧制御装置に指令してエンジン切離し用クラッチを係合すると共に回転電機切離し用クラッチを解放した状態で、内燃エンジンの出力回転により、エンジン接続軸、エンジン切離し用クラッチ、駆動軸を介して回転電機を駆動して充電を行うので、後進走行のために必要な充電残量が足りなくても、車両の停車中に(前進走行することなく)充電を行うことができ、その後、後進走行を再開することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るハイブリッド駆動装置を搭載した車両駆動系を示すブロック図。
【図2】第1及び第2オイルポンプを示す一部省略断面図。
【図3】ハイブリッド駆動装置における動力伝達状態を示す図で、(a)はモータによる前進走行モードの図、(b)は内燃エンジンによる前進走行モードの図。
【図4】ハイブリッド駆動装置の後進走行モードにおける動力伝達状態を示す図。
【図5】ハイブリッド駆動装置の充電モードにおける動力伝達状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態を図1乃至図5に沿って説明する。まず、本発明を適用し得るハイブリッド駆動装置、並びにそれを搭載した車両駆動系の概略構成について図1に沿って説明する。
【0021】
図1に示すように、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプの車両には、不図示の出力軸(クランク軸)が車両進行方向に対して横向きとなるように内燃エンジン(E/G)2が搭載されており、該内燃エンジン2の出力軸には、本発明に係るハイブリッド駆動装置(車両用駆動装置)1の入力軸(エンジン接続軸)11が駆動連結されている。また、該ハイブリッド駆動装置1のディファレンシャル装置(DIFF)5には、前輪用の左右車軸31,31が駆動連結されており、それら左右車軸31,31には左右前方の車輪30が接続されている。なお、内燃エンジン2には、停止した内燃エンジン2を始動するためのスタータ(STARTER)41が接続されて配置されている。
【0022】
ハイブリッド駆動装置1は、上記内燃エンジン2から左右前方の車輪90,90までの車両駆動系の一部を構成しており、ケース10の内部に、入力軸(エンジン接続軸)11、エンジン切離し用の第1クラッチ(エンジン切離し用クラッチ)K0、モータジェネレータ(M/G)(回転電機)3、駆動軸12、モータジェネレータ切離し用の第2クラッチ(回転電機切離し用クラッチ)C1、ベルト式の無段変速機構(CVT)4、ディファレンシャル装置(DIFF)5を備えて構成されている。また、ハイブリッド駆動装置1のケース10の外部には、油圧制御装置(V/B)9、制御部(ECU)50等が備えられている。
【0023】
また、上記駆動軸12上には、該駆動軸12の車両前進方向ω1(図3参照)の回転(一方向の回転)を伝達する第1ワンウェイクラッチF1と、該駆動軸12の車両後進方向ω2(図4参照)の回転(他方向の回転)を伝達する第2ワンウェイクラッチF2とが備えられており、該第1ワンウェイクラッチF1には平行軸伝動機構70を介して前進時だけ駆動される第1オイルポンプ(MOP−D)60が駆動連結されていると共に、該第2ワンウェイクラッチF2には後進時だけ駆動される第2オイルポンプ(MOP−R)80が駆動連結されている。
【0024】
詳細には、ハイブリッド駆動装置1において、(ハイブリッド駆動装置としての)入力軸11は、内燃エンジン2の不図示の出力軸に駆動連結(接続)されており、該入力軸11と上記駆動軸12との間には、それら入力軸11と駆動軸12との動力伝達を切断自在なエンジン切離し用の第1クラッチK0が備えられている。該第1クラッチK0は、図示を省略した油圧サーボを有しており、制御部50の指令に基づき油圧制御装置9から供給される油圧によって該油圧サーボが駆動制御されることにより、係合・解放自在に制御される。
【0025】
一方、モータジェネレータ(M/G)(以下、単に「モータ」という)3は、ロータ3aとケース10に対して固定されたステータ3bとを有しており、モータ3のロータ3aは、上記第1クラッチK0の出力側部材であるクラッチドラムに駆動連結されている。また、第1クラッチK0のクラッチドラムは、駆動軸12にも駆動連結されており、つまり駆動軸12はモータ3に駆動連結されている。
【0026】
上記駆動軸12と詳しくは後述する無段変速機構4の入力軸4aとの間には、それら駆動軸12と入力軸4aとの動力伝達を切断自在なモータジェネレータ切離し用の第2クラッチC1が備えられている。該第2クラッチC1は、第1クラッチK0と同様に、図示を省略した油圧サーボを有しており、制御部50の指令に基づき油圧制御装置9から供給される油圧によって該油圧サーボが駆動制御されることにより、係合・解放自在に制御される。
【0027】
無段変速機構(CVT)4は、いわゆるベルト式の無段変速機構からなり、図示を省略したプライマリプーリ、セカンダリプーリ、及びそれら両プーリに巻回されたベルトを有しており、入力軸4aに入力された回転を一方向に無段変速して、不図示のカウンタギヤ、上述したディファレンシャル装置(DIFF)5、左右車軸31,31を介して車輪30に出力する。なお、本無段変速機構4には、入力軸4aに入力された回転を正転又は逆転させるための前後進切換え装置を有してなく、入力軸4aに入力された回転の方向と出力される回転の方向は同一である。つまり本無段変速機構4は、入力軸4aの回転を入力された回転方向に従って同回転方向に無段変速するだけの変速機である。
【0028】
なお、無段変速機構4のプライマリプーリ及びセカンダリプーリは、例えば可動プーリと固定プーリとから構成されていると共に、可動プーリの背面側にはチャンバ室が設けられており、それらチャンバ室に油圧制御装置9から供給される油圧によってベルトの挟持圧が制御される。即ち、無段変速機構4が比較的小さなトルクを伝達する際は、チャンバ室に供給される油圧が小さくされ、ベルトの耐久性の向上を図るものでありながら、無段変速機構4が比較的大きなトルクを伝達する際は、チャンバ室に供給される油圧が大きくされ、ベルトにスリップが生じないように強い挟持圧で該ベルトが挟持される。従って、内燃エンジン2やモータ3から大きなトルクが入力され、無段変速機構4の伝達トルク容量として大きなトルク容量が必要とされる際は、油圧制御装置9から大きな油圧をチャンバ室に供給する必要があり、油圧制御装置9は、元圧として、詳しくは後述する第1オイルポンプ60又は第2オイルポンプ80から必要な油圧を得る必要がある。
【0029】
一方、制御部50は、上記スタータ41に指令することで内燃エンジン2を始動自在であり、また、油圧制御装置9に指令して電子制御することで、上記第1クラッチK0の係合・解放制御、上記第2クラッチC1の係合・解放制御、上記無段変速機構4の変速制御(ベルト挟持圧の制御も含む)などを行う。また、制御部50は、詳しくは後述するように、前進走行モード、後進走行モード、充電モードなどの各種モードを実行制御する。
【0030】
なお、制御部50には、図示を省略したアクセル開度センサや車速センサなどが接続されており、該制御部50は、アクセル開度や車速に基づき、車両の燃費(電費)が最適となるように無段変速機構4の変速比を、油圧制御装置9による油圧制御を指令する形で制御する。また、本実施の形態においては、便宜的に、ハイブリッド駆動装置1の制御部50が内燃エンジン2の始動(駆動状態)も制御するように説明するが、エンジン専用の制御部(E/G ECU)を別途備えているものであっても構わない。
【0031】
続いて、上記第1オイルポンプ60や第2オイルポンプ80の詳細な構造について、図2に沿って説明する。図2に示すように、ケース10は、内燃エンジン2側の部分であるハウジングケース10aと、無段変速機構4側の部分であるミッションケース10bとが接合される形で構成されており、該ハウジングケース10a及び後述する第2オイルポンプボディ85とによって回転自在に支持された形で、駆動軸12が配置されている。
【0032】
該駆動軸12の外周には、軸方向エンジン側(図2中右側)に第1ワンウェイクラッチF1が配設されており、その第1ワンウェイクラッチF1の外周には、ボールベアリングb1により回転自在に支持され、かつ該第1ワンウェイクラッチF1によって一方向の回転(前進方向ω1の回転)だけが伝達されるスリーブ72が配置されている。該スリーブ72の外周側においては、スラストベアリングb2、b3によってハウジングケース10aと第2オイルポンプボディ85との間で軸方向に位置決めされると共に回転自在に支持されたスプロケット73が該スリーブ72に固着されて配置されている。該スプロケット73にはチェーン71が噛合されている。
【0033】
また、上記スプロケット73と平行な軸上には、該チェーン71に噛合するスプロケット74が配置されている。該スプロケット74は、後述の第1オイルポンプカバー65に形成された環状突起部65cの内周面に対してボールベアリングb4を介して回転自在に支持されている。そして、該スプロケット74は、第1オイルポンプ60の第1外接ギヤ61から軸方向に突出形成された入力軸(平行軸)61aにスプライン嵌合して、駆動連結されている。
【0034】
従って、上記スリーブ72、スプロケット73、チェーン71、スプロケット74によって、第1ワンウェイクラッチF1を介して駆動軸12の一方向の回転を、該駆動軸12と平行な第1オイルポンプ60の入力軸(平行軸)61aに伝達する平行軸伝動機構70が構成されている。
【0035】
第1オイルポンプ60は、いわゆる外接式ギヤポンプからなり、第1外接ギヤ61と、第2外接ギヤ62と、それら2つの第1外接ギヤ61及び第2外接ギヤ62を外周側から覆う第1オイルポンプボディ67と、該第1オイルポンプボディ67を軸方向の両側から閉塞する2つの第1オイルポンプカバー65,66と、を有して構成されており、ミッションケース10bに固定・収納され、かつハイブリッド駆動装置1の胴体部分からは外部に突出された形で配置されている。
【0036】
上記第1外接ギヤ61は、軸方向の略々中央部分にギヤ61cが形成されていると共に、軸方向の内燃エンジン2側に突出形成された入力軸61aと、該入力軸61aとは軸方向反対側に突出形成された支持軸61bとを有している。これら入力軸61aと支持軸61bとは、第1オイルポンプカバー65,66にそれぞれ形成された支持孔65a,66aに対して、ブッシュ等を介してシールされつつ回転自在に支持されている。
【0037】
また同様に、上記第2外接ギヤ62は、軸方向の略々中央部分にギヤ62cが形成されていると共に、軸方向の内燃エンジン2側に突出形成された支持軸62aと、該支持軸62aとは軸方向反対側に突出形成された支持軸62bとを有している。これら支持軸62aと支持軸62bとは、第1オイルポンプカバー65,66にそれぞれ形成された支持孔65b,66bに対して、ブッシュ等を介してシールされつつ回転自在に支持されている。
【0038】
そして、上記第1外接ギヤ61のギヤ61cと上記第2外接ギヤ62のギヤ62cとは、上記第1オイルポンプボディ67の内部にあって噛合していると共に、それらギヤ61c,62cの山部分及び谷部分の間にオイルを封入し得る空間を有しており、これら第1外接ギヤ61及び第2外接ギヤ62が回転駆動されると、該第1オイルポンプボディ67に形成されたオイルの吸入口(不図示)から排出口(不図示)までオイルを圧縮搬送する。
【0039】
一方、上記駆動軸12の外周には、上記第1ワンウェイクラッチF1に対して軸方向無段変速機構側(図2中左側)に第2ワンウェイクラッチF2が配設されており、その第2ワンウェイクラッチF2の外周には、ボールベアリングb5,b6により回転自在に支持され、かつ該第2ワンウェイクラッチF2によって他方向の回転(後進方向ω2の回転)だけが伝達される第2オイルポンプ80のスリーブ83が配置されている。
【0040】
上記第2オイルポンプ80は、いわゆる内接式ギヤポンプからなり、ミッションケース10bに対して固定されると共にギヤ収納穴85aが形成された第2オイルポンプボディ85と、該ギヤ収納穴85aを閉塞するように該第2オイルポンプボディ85に接合される第2オイルポンプカバー86と、上記スリーブ83と、該スリーブ83の外周側に固着されると共に該ギヤ収納穴85aに収納され、かつ外周側に外歯ギヤ81aが形成されたドライブギヤ81と、該ギヤ収納穴85aに収納され、かつ内周側に内歯ギヤ82aが形成されたドリブンギヤ82と、を有して構成されている。
【0041】
これら上記ドライブギヤ81とドリブンギヤ82とは、該ドライブギヤ81が駆動軸12を中心として、ドリブンギヤ82がギヤ収納穴85aの内周面を中心とした形で、互いに偏心した位置に配置されていることで、外歯ギヤ81aと内歯ギヤ82aとは、周方向の一方部分(図2中下方付近)で噛合し、かつ周方向の他方部分(図2中上方付近)で互いの歯面の間に空間を形成しており、これら外歯ギヤ81aと内歯ギヤ82aとが回転駆動されると、第2オイルポンプボディ85及び第2オイルポンプカバー86に形成されたオイルの吸入口80aから排出口(不図示)までオイルを圧縮搬送する。
【0042】
以上のように構成された第2オイルポンプ80は、特にドリブンギヤ82の内周側に、第2ワンウェイクラッチF2、スリーブ83、ドライブギヤ81が配置されているので、外径が大きくなり、第2オイルポンプボディ85及び第2オイルポンプカバー86に対する摺動抵抗が大きくなる。これに比して、平行軸伝動機構70を介して駆動軸12と平行な軸上に配置された第1オイルポンプ60の第1外接ギヤ61及び第2外接ギヤ62は、内径側にワンウェイクラッチ等を配置する必要が無く、小径化が図れるため、第1オイルポンプカバー65,66に対する摺動抵抗が小さくなる。
【0043】
また特に、第1オイルポンプ60を外接式ギヤポンプで構成することで、内接式ギヤポンプのドリブンギヤのように大きな外径となるギヤが不要となるので、外接式ギヤポンプである第1オイルポンプ60は内接式ギヤポンプに比して摺動抵抗が小さくなる。このように摺動抵抗が小さい第1オイルポンプ60を、後進走行に比して走行時間が長くなる前進走行用のオイルポンプとして用いることで、総じて車両の燃費(電費)向上に寄与することが可能となる。
【0044】
ついで、本ハイブリッド駆動装置1に各種モードについて、図3乃至図5に沿って説明する。本ハイブリッド駆動装置1の制御部50は、シフトレバー(不図示)によるシフト指令と、バッテリ残量(SOC)、アクセル開度、車速などの車両走行状況とに基づき、各種モードを選択する。
【0045】
まず、前進走行時のモードについて図2に沿って説明する。例えばシフトレバーにより前進(D)レンジが選択された状態であって、アクセル開度が小さく、運転者に要求される車両の駆動力が小さい状態で、かつ車速が低い発進時などの走行状況では、図3(a)に示すように、「モータ3による前進走行モード」(即ちEV走行)が選択される。
【0046】
すると、まず、モータ3が正転回転(車両の前進方向)ω1で回転駆動され、第1ワンウェイクラッチF1を介して正転回転ω1の回転が平行軸伝動機構70を介して第1オイルポンプ60に伝達され、該第1オイルポンプ60が回転駆動される。それにより、油圧制御装置9に対する元圧の供給が開始される。該油圧制御装置9に該第1オイルポンプ60から元圧となる油圧が充分供給されると、制御部50の指令に基づき油圧制御装置9は、内燃エンジン2を停止状態にしたまま、かつ第1クラッチK0を解放状態に制御したまま、第2クラッチC1を係合制御する。
【0047】
これにより、ハイブリッド駆動装置1の入力軸11及び内燃エンジン2は停止状態にあって、アクセル開度に基づき駆動されるモータ3の正転方向ω1の駆動回転が駆動軸12に伝達され、さらに、第2クラッチC1を介して無段変速機構4の入力軸4aにもモータ3の正転方向ω1の駆動回転が伝達される。そして、無段変速機構4の入力軸4aに入力されたモータ3の回転は、車速やアクセル開度に基づき最適な変速比に制御された無段変速機構4によって変速され、ディファレンシャル装置5、左右車軸31,31を介して車輪30に伝達され、車輪30を前進回転させる。
【0048】
なお、この「モータ3による前進走行モード」にあっては、上述のように第1オイルポンプ60が駆動されているため、油圧制御装置9は、その油圧に基づき、第2クラッチC1の油圧サーボの係合圧、無段変速機構4のベルト挟持圧をそれぞれ供給することができる。
【0049】
また、この「モータ3による前進走行モード」の間にあっては、第2ワンウェイクラッチF2が空転するため、第2オイルポンプ80は停止状態となるが、不図示の逆止弁等によって、第1オイルポンプ60から第2オイルポンプ80への油圧の逆流は防止されている。
【0050】
上記「モータ3による前進走行モード」において、例えばアクセル開度が大きくなったり車速が高くなって、つまり運転者に要求される車両の駆動力が大きくなると、図3(b)に示すように、「内燃エンジン2による前進走行モード」が選択される。すると、制御部50の指令に基づき、内燃エンジン2をスタータ41によって始動すると共に、油圧制御装置9によって第1クラッチK0が係合制御される。
【0051】
これにより、ハイブリッド駆動装置1の入力軸11に内燃エンジン2の正転方向ω1の出力回転が入力され、第1クラッチK0を介して駆動軸12にも内燃エンジン2の正転方向ω1の駆動回転が伝達され、さらに、第2クラッチC1を介して無段変速機構4の入力軸4aにも内燃エンジン2の正転方向ω1の駆動回転が伝達される。そして、無段変速機構4の入力軸4aに入力された内燃エンジン2の回転は、車速やアクセル開度に基づき内燃エンジン2が最適燃費となるような変速比に制御された無段変速機構4によって変速され、ディファレンシャル装置5、左右車軸31,31を介して車輪30に伝達され、車輪30を前進回転させる。
【0052】
なお、この「内燃エンジン2による前進走行モード」にあっても、上記「モータ3による前進走行モード」から引き続き第1オイルポンプ60が駆動されているため、油圧制御装置9は、その油圧に基づき、第1クラッチK0の油圧サーボの係合圧、第2クラッチC1の油圧サーボの係合圧、無段変速機構4のベルト挟持圧をそれぞれ供給することができる。
【0053】
また、この「内燃エンジン2による前進走行モード」の説明においては、内燃エンジン2だけの出力回転(駆動力)で車両を走行させるものを説明したが、勿論、モータ3を力行制御(アシスト)又は回生制御し、モータ3の駆動力を内燃エンジン2の駆動力と複合させて走行しても構わない。
【0054】
次に、後進走行時のモードについて図4に沿って説明する。例えばシフトレバーにより後進(R)レンジが選択された状態であっては、図4に示すように、「モータ3による後進走行モード」(即ちEV走行)が選択される。
【0055】
すると、まず、モータ3が逆転回転(車両の後進方向)ω2で回転駆動され、第2ワンウェイクラッチF2を介して逆転回転ω2の回転が第2オイルポンプ80に伝達され、該第2オイルポンプ80が回転駆動される。それにより、油圧制御装置9に対する元圧の供給が開始される。該油圧制御装置9に該第2オイルポンプ80から元圧となる油圧が充分供給されると、制御部50の指令に基づき油圧制御装置9は、内燃エンジン2を停止状態にしたまま、かつ第1クラッチK0を解放状態に制御したまま、第2クラッチC1を係合制御する。
【0056】
これにより、ハイブリッド駆動装置1の入力軸11及び内燃エンジン2は停止状態にあって、アクセル開度に基づき駆動されるモータ3の逆転方向ω2の駆動回転が駆動軸12に伝達され、さらに、第2クラッチC1を介して無段変速機構4の入力軸4aにもモータ3の逆転方向ω2の駆動回転が伝達される。そして、無段変速機構4の入力軸4aに入力されたモータ3の回転は、車速やアクセル開度に基づき最適な変速比に制御された無段変速機構4によって変速され、ディファレンシャル装置5、左右車軸31,31を介して車輪30に伝達され、車輪30を後進回転させる。
【0057】
なお、この「モータ3による後進走行モード」にあっては、上述のように第2オイルポンプ80が駆動されているため、油圧制御装置9は、その油圧に基づき、第2クラッチC1の油圧サーボの係合圧、無段変速機構4のベルト挟持圧をそれぞれ供給することができる。
【0058】
また、この「モータ3による前進走行モード」の間にあっては、第1ワンウェイクラッチF1が空転するため、第1オイルポンプ60は停止状態となるが、不図示の逆止弁等によって、第2オイルポンプ80から第1オイルポンプ60への油圧の逆流は防止されている。
【0059】
続いて、本ハイブリッド駆動装置1における「充電モード」について図5に沿って説明する。上述したように、本ハイブリッド駆動装置1によって後進走行する場合には、無段変速機構4に前後進切換え装置が備えられていないため、モータ3の逆転回転による駆動出力によって、車両の後進走行を可能にしている。そのため、仮にバッテリ残量が足りない場合には、後進走行ができなくなる虞がある。
【0060】
そこで、制御部50は、バッテリ残量が足りない場合に、図5に示すように、「充電モード」を選択する。この「充電モード」が選択されると、まず、モータ3が正転回転(車両の前進方向)ω1で回転駆動され、第1ワンウェイクラッチF1を介して正転回転ω1の回転が平行軸伝動機構70を介して第1オイルポンプ60に伝達され、該第1オイルポンプ60が回転駆動される。それにより、油圧制御装置9に対する元圧の供給が開始される。
【0061】
該油圧制御装置9に該第1オイルポンプ60から元圧となる油圧が充分供給されると、制御部50の指令に基づき、第1クラッチK0を係合制御すると共に第2クラッチC1を解放制御した状態にし、かつ内燃エンジン2がスタータ41により始動されて、入力軸11、駆動軸12、及びモータ3のロータ3aが正転方向ω1に回転駆動される。この際、モータ3が回生制御されて、該モータ3によりバッテリの充電が行われる。
【0062】
これにより、後進走行のために必要な充電残量が足りなくても、車両の停車中に(前進走行することなく)充電を行うことができるので、その後、後進走行を再開することを可能とすることができる。
【0063】
なお、この際は、駆動軸12の正転方向ω1の回転駆動により第1オイルポンプ60が駆動されるので、該第1オイルポンプ60が発生する油圧に基づき、第1クラッチK0の係合圧が確保される。
【0064】
また、本モータ3を不図示のインバータ回路及び降圧回路を介して、補機用バッテリ(いわゆる12Vバッテリ)に接続する構成を採用することで、同時に補機用バッテリの充電も可能となり、これにより、オルタネータ、ファンベルト等の充電用補機も不要とすることができる。勿論、モータ3の駆動用のバッテリから降圧回路を介して補機用バッテリに電力を供給するようにしてもよい。
【0065】
なお、本実施の形態において、上記「内燃エンジン2による前進走行モード」や「充電モード」の際に、内燃エンジン2をスタータ41で始動するものを説明したが、これに限らず、モータ3の駆動力を第1クラッチK0のスリップ制御ないし係合制御によって内燃エンジン2に伝達し、該内燃エンジン2の回転数を上昇して該内燃エンジン2を始動するようにしてもよい。これにより、本ハイブリッド駆動装置1の構造では、スタータ41を不要とすることもできる。
【0066】
以上説明したように、本ハイブリッド駆動装置1によると、駆動軸12の前進方向(一方向)の回転を伝達する第1ワンウェイクラッチF1を介して該駆動軸12に駆動連結された第1オイルポンプ60と、駆動軸12の後進方向(他方向)の回転を伝達する第2ワンウェイクラッチF2を介して該駆動軸12に駆動連結された第2オイルポンプ80とを備えているので、前進時であっても後進時であっても、第1オイルポンプ60又は第2オイルポンプ80により発生される油圧を油圧制御装置9に供給することができ、車両駆動系とは独立して駆動される電動オイルポンプを設けることを不要とすることができて、ハイブリッド駆動装置1のコストダウンを図ることができる。
【0067】
また、車両が前進走行する際の回転を伝達する第1ワンウェイクラッチF1の回転を、平行軸伝動機構70によって駆動軸12と平行な入力軸61aに伝達して、該入力軸61aの回転により第1オイルポンプ60を駆動するように構成することで、第1オイルポンプ60を駆動する入力軸61aを、駆動軸12に比して小径にすることができ、特に第1オイルポンプ60の第1外接ギヤ61を小径化することができる。これにより、第1オイルポンプ60におけるギヤの摺動抵抗を低減することができ、特に走行時間の長い前進走行にあって、車両の燃費(電費)向上を図ることができる。
【0068】
更に、第1オイルポンプ60が外接式ギヤポンプからなるので、例えば内接式ギヤポンプのドリブンギヤに比して、第1外接ギヤ61や第2外接ギヤ62を小径化することができ、ギヤの摺動抵抗を低減することができて、さらに車両の燃費(電費)向上を図ることができる。
【0069】
また、車両の発進時に、モータ3に指令して駆動軸12を駆動し、第1オイルポンプ60又は第2オイルポンプ80を駆動して油圧制御装置9に油圧を供給した後、モータ3からの回転を、駆動軸12、第2クラッチC1、無段変速機構4を介して車輪30に出力するように、第2クラッチC1を係合制御するので、油圧制御装置9から無段変速機構4に充分な油圧を供給した後に、該無段変速機構4によってモータの駆動回転の伝達を行うようにすることができ、無段変速機構4におけるスリップの発生などの防止を図ることができる。
【0070】
更に、モータ3に指令して駆動軸12を駆動し、第1オイルポンプ60を駆動して油圧制御装置9に油圧を供給した後、油圧制御装置9に指令して第1クラッチK0を係合すると共に第2クラッチC1を解放した状態で、内燃エンジン2の出力回転により、入力軸11、第1クラッチK0、駆動軸12を介してモータ3を駆動して充電を行うので、後進走行のために必要な充電残量が足りなくても、車両の停車中に(前進走行することなく)充電を行うことができ、その後、後進走行を再開することを可能とすることができる。
【0071】
なお、以上説明した本実施の形態においては、車両用駆動装置としてハイブリッド駆動装置1を一例に説明したが、例えばモータ3と無段変速機構4を組合せただけの電気自動車に搭載する車両用駆動装置にあっても、本発明を適用することができる。
【0072】
また、本実施の形態においては、無段変速機構4としてベルト式の無段変速機構を一例に説明したが、これに限らず、例えばトロイダル式の無段変速機構であっても本発明を適用し得る。トロイダル式の無段変速機構の場合は、機械式オイルポンプ21や電動オイルポンプ22から必要とされる元圧の供給により、バリエータにおけるパワーローラの挟持圧を確保することが可能となり、電動オイルポンプ22の油圧が足りない場合に、機械式オイルポンプ21の油圧によって、パワーローラのスリップ防止を図ることができる。
【0073】
また、本実施の形態においては、第1オイルポンプ60を、駆動軸12と平行な軸上に配置したものを説明したが、第2オイルポンプ80と並列的に、同様な構造で駆動軸12上に配置しても構わない。この場合は、第1オイルポンプの摺動抵抗が大きくなるものの、平行軸伝動機構70(チェーンやスプロケット)が不要となる分、ハイブリッド駆動装置1としてのコンパクト化やコストダウンを図ることができる。
【0074】
また反対に、本実施の形態においては、第2オイルポンプ80を駆動軸12上に配置したものを説明したが、第2オイルポンプを第1オイルポンプ60と同様に、駆動軸12と平行な軸上に配置するようにしてもよい。この場合は、第2オイルポンプの摺動抵抗も低減することができ、後進走行における燃費(電費)向上にも寄与することができる。
【0075】
また、本実施の形態においては、第1オイルポンプ60を外接式ギヤポンプで構成したものを説明したが、勿論、オイルポンプの構造はどのようなものであってもよい。例えば内接式ギヤポンプ(クレセント型も含む)、ベーンポンプ等も考えられる。
【符号の説明】
【0076】
1 車両用駆動装置(ハイブリッド駆動装置)
2 内燃エンジン
3 回転電機(モータ)
4 無段変速機構
4a 入力軸
9 油圧制御装置
11 エンジン接続軸(入力軸)
12 駆動軸
30 車輪
50 制御部
60 第1オイルポンプ
61a 平行軸(入力軸)
70 平行軸伝動機構
80 第2オイルポンプ
F1 第1ワンウェイクラッチ
F2 第2ワンウェイクラッチ
C1 回転電機切離し用クラッチ(第2クラッチ)
K0 エンジン切離し用クラッチ(第1クラッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と、
前記回転電機に駆動連結された駆動軸と、
前記駆動軸から入力された回転を無段変速して入力軸に入力された回転と同一方向の回転を車輪に出力し得る無段変速機構と、
前記駆動軸の一方向の回転を伝達する第1ワンウェイクラッチと、
前記駆動軸の他方向の回転を伝達する第2ワンウェイクラッチと、
前記第1ワンウェイクラッチを介して前記駆動軸に駆動連結された第1オイルポンプと、
前記第2ワンウェイクラッチを介して前記駆動軸に駆動連結された第2オイルポンプと、
前記第1オイルポンプ又は前記第2オイルポンプにより発生された油圧により、前記無段変速機構を油圧制御し得る油圧制御装置と、を備えた、
ことを特徴とする車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第1ワンウェイクラッチは、前記駆動軸上に配置されると共に、車両が前進走行する際の前記一方向の回転を伝達してなり、
前記第1ワンウェイクラッチの回転を、前記駆動軸と平行な平行軸に伝達する平行軸伝動機構を備え、
前記第1オイルポンプは、前記平行軸の回転により駆動される、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記第1オイルポンプは、外接式ギヤポンプからなる、
ことを特徴とする請求項2記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記駆動軸と前記無段変速機構の入力軸との動力伝達を切断自在な回転電機切離し用クラッチを備え、
車両の発進時に、前記回転電機に指令して前記駆動軸を駆動し、前記第1オイルポンプ又は第2オイルポンプを駆動して前記油圧制御装置に油圧を供給した後、前記回転電機からの回転を、前記駆動軸、前記回転電機切離し用クラッチ、前記無段変速機構を介して前記車輪に出力するように、前記油圧制御装置に指令して前記回転電機切離し用クラッチを係合制御する制御部を備えた、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
内燃エンジンに駆動連結されたエンジン接続軸と、
前記エンジン接続軸と前記駆動軸との動力伝達を切断自在なエンジン切離し用クラッチと、を備え、
前記制御部は、前記回転電機に指令して前記駆動軸を駆動し、前記第1オイルポンプを駆動して前記油圧制御装置に油圧を供給した後、前記油圧制御装置に指令して前記エンジン切離し用クラッチを係合すると共に前記回転電機切離し用クラッチを解放した状態で、前記内燃エンジンの出力回転により、前記エンジン接続軸、前記エンジン切離し用クラッチ、前記駆動軸を介して前記回転電機を駆動して充電を行う充電モードを実行し得る、
ことを特徴とする請求項4記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−95261(P2013−95261A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239711(P2011−239711)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】