説明

車両移動装置の運転方法

【課題】力制御を適用することにより、車両のホイールベースを推定しつつ、該車両の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪をリーダ台車とフォロワ台車とによりリフトアップして精度良く移動させることができる車両移動装置の運転方法を提供する。
【解決手段】走行駆動装置により全方向に自走可能な台車本体2と、該台車本体2に連結機構を介して取り付けられ且つ車両4の一つの車輪4aをリフトアップするリフター5とを有し、与えられた目標軌道に沿って移動可能なリーダ台車Aと、走行駆動装置により全方向に自走可能な台車本体2と、該台車本体2に連結機構を介して取り付けられ且つ前記車両4の前記リーダ台車Aにてリフトアップされる車輪以外の一つの車輪4aをリフトアップするリフター5とを有し、前記リーダ台車Aの動きを推定しつつ追従することにより、該リーダ台車Aと協調して車両を移動させるフォロワ台車Bとを備えた車両移動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両移動装置の運転方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、任意の位置に停車した車両を駐車施設における所定位置に搬送できるようにした入出車装置の一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1がある。
【0003】
特許文献1に示される装置は、それぞれ車両支持機構及び走行機構を備える左側搬送台車と右側搬送台車とからなり、該左側搬送台車と右側搬送台車とがそれぞれ独立して移動しつつ、協働して車両を支持し、搬送するようになっている。
【0004】
前記左側搬送台車と右側搬送台車は、無線通信によってリアルタイムに情報交換を行うことにより、協働している。
【0005】
しかしながら、前述の如く、無線通信による台車相互間でのリアルタイムの情報交換に基づいて前記左側搬送台車と右側搬送台車とを協働させるのでは、通信障害で情報が途切れたり遅れたりすることもあり、前記左側搬送台車と右側搬送台車とを協働させるために必要な情報をリアルタイムに安定して得ることが難しかった。又、情報が安定して得られなかった場合、搬送される車両等の物体に必要以上の内力が加わることとなり、最悪の場合、物体を落としたり、傷つけたりする可能性があった。
【0006】
このため、本発明者等は、無線通信のみによる台車相互間でのリアルタイムの情報交換を行うようにした協働搬送とは異なり、車両等の物体を落としたり、傷つけたりする心配がなく、複数の台車を協調制御により作動させることで、車両等の物体を確実に且つより安定して移動させ得る物体移動装置を提案している。(例えば、特許文献2参照。)
【0007】
前記特許文献2に開示した物体移動装置は、複数の台車を協調制御により作動させるという非常に高度で優れた機能を有するものである反面、移動すべき物体がバス等のホイールベースの長い車両や接地ポイントとしての車輪の数が多い車両であった場合、移動装置自体を大きくしたり、車輪の数に合わせた機構のものを別途用意しなければならず、移動装置の種類が増える一方、移動装置が大型化した場合には、移動経路を広くとり、且つ保管スペースも広く必要になるという欠点を有していた。
【0008】
そこで、本発明者等は、車両等の物体の一つの接地ポイントとしての車輪をリフトアップし、与えられた目標軌道に沿って移動可能なリーダ台車と、該リーダ台車にてリフトアップされる車輪以外の一つの車輪をリフトアップする複数台のフォロワ台車とを備えることにより、大きさや接地ポイント数の異なる車両等の物体にも装置の種類を増やすことなく対応し得、車両等の物体を確実に且つより安定して移動させることができ、移動経路や保管スペースの削減をも図り得る物体移動装置を提案している。(例えば、特許文献3参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−169451号公報
【特許文献2】特開2009−108542号公報
【特許文献3】特開2009−286570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前輪と後輪の四個の車輪を有する車両に着目すると、基本的には後輪のサイドブレーキを開放して前輪だけを持ち上げれば、車両を運ぶことができ、必ずしも全ての車輪を持ち上げる必要はない。
【0011】
即ち、特許文献3に記載されているように通常四台の台車が車両の各車輪をリフトアップするシステムを配備した駐車施設において、状況に応じて二台ずつ二組の台車が複数の車両を並行作業で移動させることが実際に行えるのであれば、更なる効率化が期待できるという点に本発明者等は着目した。
【0012】
しかしながら、このように車両を運ぶ際の最大の問題は、車両の後輪が接地することによりシステムが非ホロノミックな拘束を受ける点にある。
【0013】
そこで、本発明者等は、車両の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪をリーダ台車とフォロワ台車とによってリフトアップし、該リーダ台車とフォロワ台車の制御点を前記車両のリフトアップされる二個の車輪の中点に設定し、前記車両を含めたシステム全体を、前記中点に設定され且つ能動的に全方向へ速度を発生可能な仮想キャスタと、前記車両の接地している側の対向する二個の車輪とによって構成される三輪車モデルに見立てて位置制御するようにした車両移動装置の運転方法を開発し、既に出願している(特願2010−273698参照)。
【0014】
本発明者等が既に出願している前記車両移動装置の運転方法においては、前記制御点に速度入力を与えたときの該制御点の運動を求める上で車両のホイールベースを知る必要がある。
【0015】
しかしながら、実際には搬送の対象となる車種は非常に多く、そのホイールベースも様々である。このため、例えば、データベースとしてホイールベースを知識化する方法が考えられるが、この場合、車種を特定する装置の導入、或いは利用者に車種の入力を求めることが必要となり、手間がかかり、あまり好ましい手段であるとは言えなかった。又、カメラ等のセンサにより寸法を計測する方法も考えられるが、測定誤差や車体の弾性による寸法の変化が生じる可能性があり、必ずしも充分であるとは言えなかった。
【0016】
本発明は、斯かる実情に鑑み、力制御を適用することにより、車両のホイールベースを推定しつつ、該車両の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪をリーダ台車とフォロワ台車とによりリフトアップして精度良く移動させることができる車両移動装置の運転方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、走行駆動装置により全方向に自走可能な台車本体と、該台車本体に連結機構を介して取り付けられ且つ車両の一つの車輪をリフトアップするリフターとを有し、与えられた目標軌道に沿って移動可能なリーダ台車と、
走行駆動装置により全方向に自走可能な台車本体と、該台車本体に連結機構を介して取り付けられ且つ前記車両の前記リーダ台車にてリフトアップされる車輪以外の一つの車輪をリフトアップするリフターとを有し、前記リーダ台車の動きを推定しつつ追従することにより、該リーダ台車と協調して車両を移動させるフォロワ台車とを備え、
前記車両の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪を前記リーダ台車とフォロワ台車とによってリフトアップし、該リーダ台車とフォロワ台車の制御点を前記車両のリフトアップされる二個の車輪の中点に設定し、前記車両を含めたシステム全体を、前記中点に設定され且つ能動的に全方向へ速度を発生可能な仮想キャスタと、前記車両の接地している側の対向する二個の車輪とによって構成される三輪車モデルに見立てて位置制御する車両移動装置の運転方法であって、
前記リーダ台車とフォロワ台車を前記制御点回りにインピーダンス制御して[数20]に示す運動を行わせ、
【数20】


送するために制御点に生じさせたい絶対座標系O−x’y’(車両の進行方向をx’とし、x’と垂直な方向をy’とした座標系)から見た目標速度)

【数22】


【数23】


想定ホイールベースLintを実時間で計算することにより、最終的に想定ホイールベースLintを実際のホイールベースLrealに収束させ、該実際のホイールベースLrealを推定することを特徴とする車両移動装置の運転方法にかかるものである。
【0018】
本発明の車両移動装置の運転方法を利用すれば、前記制御点に速度入力を与えたときの該制御点の運動を求める上で知る必要のある車両のホイールベースを、例えば、データベースとしてホイールベースを知識化したりすることなく、推定可能となるため、車種を特定する装置の導入、或いは利用者に車種の入力を求めることが不要となり、手間がかからなくなる。又、カメラ等のセンサにより寸法を計測する方法も導入しなくて済むため、測定誤差や車体の弾性による寸法の変化が生じることに伴う不具合が生じる心配もない。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両移動装置の運転方法によれば、力制御を適用することにより、車両のホイールベースを推定しつつ、該車両の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪をリーダ台車とフォロワ台車とによりリフトアップして精度良く移動させることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例を示す全体概要斜視図である。
【図2】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるリーダ台車(フォロワ台車)を示す斜視図である。
【図3】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるリーダ台車(フォロワ台車)を底面側から示す斜視図である。
【図4】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるリーダ台車(フォロワ台車)の連結機構を示す斜視図である。
【図5】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるリーダ台車(フォロワ台車)のリフターの車輪浮上支持装置を示す斜視図である。
【図6】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるリーダ台車の全体制御系統並びにフォロワ台車の全体制御系統を示すブロック図である。
【図7】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるリーダ台車とフォロワ台車の協調制御に関するシステム図である。
【図8】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例における各連結機構の配置を示す平面図である。
【図9】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるシステム全体の幾何モデル図である。
【図10】本発明の車両移動装置の運転方法の実施例におけるホイールベースの推定アルゴリズムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0022】
図1〜図10は本発明の車両移動装置の運転方法の実施例であって、
走行駆動装置1により全方向に自走可能な台車本体2と、該台車本体2に連結機構3を介して取り付けられ且つ物体としての車両4の一つの車輪4aをリフトアップするリフター5とを有し、与えられた目標軌道に沿って移動可能なリーダ台車Aと、
走行駆動装置1により全方向に自走可能な台車本体2と、該台車本体2に連結機構3を介して取り付けられ且つ前記車両4の前記リーダ台車Aにてリフトアップされる車輪4a以外の一つの車輪4aをリフトアップするリフター5とを有し、前記リーダ台車Aの動きを推定しつつ追従することにより、該リーダ台車Aと協調して車両4を移動させるフォロワ台車Bとを備えてなる車両移動装置を利用するようにしたものである。
【0023】
前記台車本体2は、図1〜図3に示す如く、直方体の四隅部をカットして細長い八角柱形状に組み立てられた台車フレーム2aの四隅部に、走行駆動装置1として走行車輪6を走行モータ7(走行アクチュエータ)(図6参照)の作動により水平な車軸8を中心に回転可能に配設してなる構成を有している。尚、前記走行車輪6は、操舵を必要としないオムニホイール(登録商標)やメカナムホイール等の全方向移動車輪とし、台車本体2の幅方向(図8の左右方向)に対しそれぞれ45°の角度を持ち、且つ対角に位置する走行車輪6同士が平行となるようにしてある。又、前記走行モータ7には、軌道センサとしての走行エンコーダ11(図6参照)が一体に組み込まれ、台車本体2の実際の軌道情報を検出できるようにしてある。更に又、前記走行車輪6の全てが常に地面と接触するよう、四個のうち二個の走行車輪6はサスペンション機構6aを介して台車フレーム2aに取り付けるようにしてある。
【0024】
前記連結機構3は、図3及び図4に示す如く、力センサとしての引張圧縮型のロードセル13の両端にロッド14を取り付けた連結部材15を、その一端がユニバーサルジョイント16により台車本体2側に連結され他端がユニバーサルジョイント16によりリフター5側に連結されるよう、同一水平面内に複数(図8の例では三個)配設してなるパラレルリンク機構17によって構成してある。この場合、前記台車本体2に対しリフター5は、図2に示す如く、水平面内におけるX−Y方向に移動する方向の2自由度と、該X−Y方向に対して直交するZ軸を中心として回転する方向の1自由度とを加えた平面3自由度が拘束され、且つX軸を中心として回転する方向の1自由度と、Y軸を中心として回転する方向の1自由度と、Z軸方向に移動する方向の1自由度とを加えた3自由度がフリーとなるよう、前記パラレルリンク機構17(図3、図4及び図8参照)を介して配置される形となる。
【0025】
前記リフター5は、図1〜図3及び図5に示す如く、前記車両4の各車輪4aを支持するための車輪浮上支持装置18を装備し、該車輪浮上支持装置18は、前記台車本体2に対し連結機構3を介して取り付けられるリフターフレーム5aに、リニアガイドレール19を台車本体2の幅方向(図8の左右方向)へ延びるよう固定配置すると共に、該リニアガイドレール19に対し、リニアガイドブロック19aを介して一対のラック部材21を互いにそのラック部の形成面が対向した状態で前記リニアガイドレール19に沿ってスライド自在となるよう配設し、前記リフターフレーム5aの中央部に一体に設けられ両端が開放された中空箱形のベース枠5bに、エンコーダ等のリフトバー開閉センサ22が一体に設けられたモータ等のリフトバー開閉アクチュエータ23を取り付け、該リフトバー開閉アクチュエータ23によって回転駆動される駆動ピニオン24を前記一対のラック部材21の互いに対向するラック部に対し前記ベース枠5b内でその両方に噛合させ、前記リニアガイドブロック19aから、底面が開放された断面門型のカバーフレーム5cを張り出させ、該カバーフレーム5cに対し、外周に車輪支持ローラ25が回転自在に嵌装され且つ先端部と基端部に接地支持輪26が取り付けられたリフトバー27を、前記ラック部材21と直角な水平方向へ延び且つ前記リニアガイドレール19と平行な揺動軸5dを中心に揺動自在となるよう取り付けてなる構成を有し、前記リフター5の車輪浮上支持装置18における一対のリフトバー27を前記車両4の各車輪4aの前後に配置して互いに近接させることにより、該車両4をリフトアップするよう構成してある。尚、前記リフトバー27の両端に取り付けた接地支持輪26により車両4の重量全てを支持するため、台車本体2は、車両4の重量を支持できるよう頑丈に設計する必要がなくなるという利点があり、更に、前記リフトバー27をその開閉方向と平行な揺動軸5dを中心に揺動自在となるようにしているため、二本のリフトバー27に取り付けた四つの接地支持輪26は常に接地する形となり、好ましい。
【0026】
前記リフトバー27の車輪支持ローラ25表面には、ローレット加工、或いは滑り止め塗料の塗装といった滑り止め加工を施すようにしてある。
【0027】
前記接地支持輪26には、一般的なキャスタを用いるようにしてあるが、前記走行車輪6と同様に、操舵を必要としないオムニホイール(登録商標)やメカナムホイール等の全方向移動車輪を用いても良いことは言うまでもない。
【0028】
一方、図6はリーダ台車Aの全体制御系統並びにフォロワ台車Bの全体制御系統を示すブロック図であり、前記リーダ台車Aに搭載されたリーダ制御部31には、前記台車本体2の走行駆動装置1における走行アクチュエータとしての走行モータ7と、前記台車本体2の走行駆動装置1における軌道センサとしての走行エンコーダ11と、前記連結機構3の力センサとしてのロードセル13と、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉アクチュエータ23と、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉センサ22と、前記フォロワ台車Bへ制御情報を送信するための無線通信装置39とを接続し、前記連結機構3の力センサとしてのロードセル13による検出信号と、前記台車本体2の走行駆動装置1における軌道センサとしての走行エンコーダ11による検出信号とに基づいて、前記台車本体2の走行駆動装置1における走行アクチュエータとしての走行モータ7に駆動信号を出力すると共に、前記無線通信装置39にてフォロワ台車Bへの制御情報を送信しつつ、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉センサ22による検出信号に基づいて、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉アクチュエータ23に駆動信号を出力する一方、
前記フォロワ台車Bに搭載されたフォロワ制御部32には、前記台車本体2の走行駆動装置1における走行アクチュエータとしての走行モータ7と、前記台車本体2の走行駆動装置1における軌道センサとしての走行エンコーダ11と、前記連結機構3の力センサとしてのロードセル13と、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉アクチュエータ23と、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉センサ22と、前記リーダ台車Aからの制御情報を受信するための無線通信装置40とを接続し、前記連結機構3の力センサとしてのロードセル13による検出信号と、前記台車本体2の走行駆動装置1における軌道センサとしての走行エンコーダ11による検出信号と、前記無線通信装置40で受信したリーダ台車Aからの制御情報とに基づいて、前記台車本体2の走行駆動装置1における走行アクチュエータとしての走行モータ7に駆動信号を出力すると共に、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉センサ22による検出信号に基づいて、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉アクチュエータ23に駆動信号を出力するようにしてある。
【0029】
前記リーダ台車Aとフォロワ台車Bの協調制御に関するシステムについてより詳しくは、図7に示す如く、前記リーダ台車Aとフォロワ台車Bとの間で車両4を介して相互に働く相互作用力を前記リーダ台車Aの力センサとしてのロードセル13により力情報として検出し、前記リーダ台車Aの台車本体2の実際の軌道情報を前記軌道センサとしての走行エンコーダ11によって検出し、前記リーダ制御部31において、予め入力される目標軌道情報と、前記リーダ台車Aの力センサとしてのロードセル13で検出された力情報と、前記リーダ台車Aの軌道センサとしての走行エンコーダ11で検出された実際の軌道情報とに基づき、前記リーダ台車Aの台車本体2の走行アクチュエータへ電流指令値を出力すると共に、前記無線通信装置39にてフォロワ台車Bへの制御情報を送信し、前記リーダ台車Aの台車本体2を目標軌道に沿って移動させる一方、
前記リーダ台車Aとフォロワ台車Bとの間で車両4を介して相互に働く相互作用力を前記フォロワ台車Bの力センサとしてのロードセル13により力情報として検出し、前記フォロワ台車Bの台車本体2の実際の軌道情報を前記軌道センサとしての走行エンコーダ11によって検出し、前記リーダ台車Aから無線通信装置39にて送信される制御情報を無線通信装置40で受信し、前記フォロワ制御部32において、前記フォロワ台車Bの力センサとしてのロードセル13で検出された力情報と、前記フォロワ台車Bの軌道センサとしての走行エンコーダ11で検出された実際の軌道情報と、前記無線通信装置40で受信したリーダ台車Aからの制御情報とに基づき、前記フォロワ台車Bの台車本体2の走行アクチュエータへ電流指令値を出力し、前記フォロワ台車Bの台車本体2を前記リーダ台車Aの動きに追従させて移動させるようにしてある。
【0030】
尚、前記フォロワ台車Bの台車本体2がリーダ台車Aの動きに追従して移動するための前記ロードセル13で検出された力情報に、例えば、地面と前記リフター5の接地支持輪26との摩擦や慣性力等の外乱要素が影響を与える場合、前記リーダ台車Aの動きにフォロワ台車Bが追従しようとする動きに対し誤差を増大させてしまうので、より安定した状態で前記リーダ台車Aとフォロワ台車Bとを協調させて車両4を移動させるには、前述の如き誤差を修正するための制御情報が必要となることから、該制御情報を前記リーダ制御部31より、前記リーダ台車Aの無線通信装置39にて送信しフォロワ台車Bの無線通信装置40で受信し、フォロワ制御部32で前記誤差を修正する計算を前記制御情報に基づいて行うようにしてある。
【0031】
ここで、前記力センサとしての引張圧縮型のロードセル13が介装された連結部材15を平面3自由度を拘束するパラレルリンク機構17として図8に示すような配置で三つ取り付けた場合、ロードセル13による検出値をヤコビ行列で座標変換すると、外力としてリフター5に加わる力を平面3自由度の力情報として得ることができるが、具体的な計算例については、特許文献3に記載されている。
【0032】
又、リーダ台車Aとフォロワ台車Bの協調制御の基本的な考え方に関しては、小菅一弘、大住智宏、千葉晋彦による「単一物体を操る複数移動ロボットの分散協調制御」、日本ロボット学会誌16巻1号、pp.87〜95に記載されている。
【0033】
そして、本実施例の場合、図1に示す如く、前記車両4の車輪4aのうち右側の前輪を前記リーダ台車Aでリフトアップすると共に、前記車両4の車輪4aのうち左側の前輪を前記フォロワ台車Bによってリフトアップし、図9に示す如く、該リーダ台車Aとフォロワ台車Bの制御点CPを前記車両4のリフトアップされる二個の車輪4aの中点に設定し、前記車両4を含めたシステム全体を、前記中点に設定され且つ能動的に全方向へ速度を発生可能な仮想キャスタと、前記車両4の接地している側の対向する二個の車輪4aとによって構成される三輪車モデルに見立てて位置制御するよう構成してある。
【0034】
図9に示すシステム全体の幾何モデルにおいて、Oを原点とするX−Y座標系を設定した場合、前記制御点CPの位置と姿勢を(x,y,θ)で表し、車両4の進行方向と平行な方向の速度をu、該uと直交する方向のリーダ台車A及びフォロワ台車Bが生成する制御点CPの速度をu、車両4のホイールベースをLとすると、前記制御点CPにu、uの速度入力を与えたときの該制御点CPの運動は下記の[数1]で表される。
【数1】

【0035】
尚、[数1]で表される幾何モデルは一般的な三輪車モデルと異なり操舵輪の概念はなく、全方向移動ロボットとしての前記リーダ台車A及びフォロワ台車Bにより制御点CPに即座に任意の方向へ速度を発生させることが可能である。
【0036】
このモデルにおいて、前記リーダ台車A及びフォロワ台車Bが指令通りに速度を発生可能で、同時に車両4の移動を開始し、同一の計算式に従って制御入力が決定され、同一の周期でループする制御系とするならば、理論上は前記リーダ台車A及びフォロワ台車Bの制御点CPは常に一致し、同期しながら車両4の搬送を行うことできる。又、このモデル化により既に提案されている三輪車型ロボットの制御手法を本実施例の車両移動装置の運転方法に適用できるようになる。
【0037】
先ず、前記三輪車の幾何モデルを非ホロノミックシステムの制御手法の一つであるChained Systemに変換する。[数1]で表されるシステムはChained Systemへ変換するための十分条件を満たしており、[数2]で表される1Generator、1Chain、2入力型のChained Systemに変換できる。
【数2】

【0038】
尚、状態変数zはxにより[数3]のように表され、又、入力v,vはu,uにより[数4]のように表される。
【数3】

【数4】

【0039】
Chained Systemを用いた制御手法の一つとして、Khennouf等により提案されている疑似連続指数安定化制御がある。疑似連続指数安定化制御は、Chained Systemに[数5]に示すフィードバック入力を与えることにより、zを0へ収束させる制御手法であり、そのときxも0へ収束する。
【数5】

【0040】
本制御則ではフィードバックゲインf,kをf>2kを満たすように定める必要がある。そうしない場合はS(z)よりもW(z)が先に0に収束し、入力が発散する。尚、S(z)、W(z)は[数6]、[数7]に示すようにzで表される関数である。
【数6】

【数7】

【0041】
但し、疑似連続指数安定化制御はシステムの初期位置と原点、フィードバックゲインf,kが定まればその軌道が一意に定まる制御手法であり、特定の軌道に追従させるような制御はできないが、車両4の車庫等への搬送作業を考えると、障害物に接触しないよう運動させる必要がある。そこで疑似連続指数安定化制御を利用し、車両4を任意の何点かを経由させることで障害物に接触させずに目標位置まで搬送させることを考える。疑似連続指数安定化制御は状態変数を原点へ収束させる制御則であるが、修正偏差系と呼ばれる、目標値と現在値の偏差から計算される修正偏差変数で表されるChained Systemを用いることにより、車両4を任意の位置・姿勢へ収束させることが可能になる。
【0042】
修正偏差変数eは、[数8]、[数9]により計算される修正目標値rと状態zの偏差を用いて[数10]のように定義される。このとき修正偏差変数は[数11]のようにv,vを入力とするChained Systemとなり、eが0に収束すると、車両4の位置xは目標値x´pへ収束する。
【数8】

【数9】

【数10】

【数11】

【0043】
この修正偏差系に対して、[数12]に示す疑似連続指数安定化制御を適用することにより、eを0に収束させ、車両4を目標の位置・姿勢へ到達させる。
【数12】

【0044】
本実施例においては、先ず、停車し後輪のサイドブレーキが開放されている車両4に対し、リーダ台車Aを走行させてリフター5の車輪浮上支持装置18のリフトバー27を車両4の車輪4aのうち右側の前輪の前後に配置すると共に、フォロワ台車Bを走行させてリフター5の車輪浮上支持装置18のリフトバー27を前記車両4の車輪4aのうち左側の前輪の前後に配置する。
【0045】
続いて、リーダ制御部31並びにフォロワ制御部32からの駆動信号により、前記リフター5の車輪浮上支持装置18におけるリフトバー開閉アクチュエータ23を所望の方向へ回転駆動すると、対を成すリフトバー27が互いに近接する方向へ移動していき、リフトバー27上に車両4の車輪4aのうち前輪が載置される形となって、該車両4の前輪が図1に示すようにリフトアップされる。
【0046】
この状態から、図9に示す如く、前記リーダ台車Aとフォロワ台車Bの制御点CPが前記車両4のリフトアップされる二個の車輪4aの中点に設定され、前記車両4を含めたシステム全体が、前記中点に設定され且つ能動的に全方向へ速度を発生可能な仮想キャスタと、前記車両4の接地している側の対向する二個の車輪4aとによって構成される三輪車モデルに見立てて位置制御される。
【0047】
ここで、本発明者等の更なる研究により、本実施例に示すようなモデルには[数13]の如き運動拘束が働くことが確認されている。
【数13】


を表す。そして、Lrealは搬送される車両4の実際のホイールベースを表し、これが非ホロノミック拘束を受けるシステムの運動生成において重要なパラメータの一つとなっている。
【0048】
そして、前記リーダ台車A及びフォロワ台車Bに指令する絶対座標系O−xyから見た制御

位置・姿勢へ搬送するために制御点CPに生じさせたい絶対座標系O−x’y’(車両4の進行方

道センサとしての走行エンコーダ11で求めた絶対座標系O−xyから見た制御点CPの実際

【数14】

先に述べた通り本実施例に示すようなモデルは[数13]に示す運動拘束を受けるため、前記想定ホイールベースLintが実際のホイールベースLrealと一致するとき、リーダ台車A

式[数13]を満たし、従って非ホロノミック拘束の条件を満たすことになり、リーダ台車A及びフォロワ台車Bは車両4との相対位置・姿勢を保持しながら車両4を目標の位置へ搬送できる。
【0049】
これに対し前記想定ホイールベースLintが実際のホイールベースLrealと一致しない場合は、恒等式[数13]を満たさず、従って非ホロノミック拘束の条件を満たさないため、車両4は拘束される方向へ運動しないようにするためにリーダ台車A及びフォロワ台車Bへ拘束力を加える。該拘束力により、リーダ台車A及びフォロワ台車Bと地面との間に滑りが生じたり、車両4との相対位置・姿勢がずれたりし、結果として車両4を目的の位置へ搬送できなくなる。
【0050】
そこで、本実施例では、車両4から受ける運動を拘束する力に対してリーダ台車A及びフォロワ台車Bが受動的な運動を実現できるようにするために、リーダ台車Aとフォロワ台車Bをそれぞれ制御点CP回りに[数15][数16]に示すよう、力制御の一つであるインピーダンス制御する。
【数15】

【数16】

ここで、M,D,Kは見せ掛けの質量特性、粘性特性、弾性特性を表すパラメータであり、Fはリーダ台車A及びフォロワ台車Bに作用する力/モーメントであり、該Fは前記力センサとしての引張圧縮型のロードセル13によって検出される。Δxは力に対して見せ掛けのインピーダンス特性に従って生じる目標位置・姿勢からの偏差ベクトルであって、下記の[数17]の如く、
【数17】


て、下記の[数18]の如く、
【数18】


制御点CPの実際の速度ベクトルであって、下記の[数19]の如く、
【数19】

と示される。
【0051】
前記力センサとしての引張圧縮型のロードセル13によって検出される力は、車両4から受ける運動を拘束する力だけでなく、リーダ台車A及びフォロワ台車Bの引張圧縮の力や床面との摩擦力、車両4の慣性力も含まれる。そのため、これらの力に対するシステムの応答について、以下のように仮定する。先ず、リーダ台車A及びフォロワ台車Bは同位置を制御点CPとし、同じ制御則で運動するため、二台のリーダ台車A及びフォロワ台車Bの間に運動誤差は生じず、結果、引張圧縮力は発生しないと仮定する。次に、摩擦力及び慣性力は、同様の理由から、均等に二台のリーダ台車A及びフォロワ台車Bに分配されると仮定する。最後に、リーダ台車A及びフォロワ台車Bはインピーダンス制御により車両4から受ける運動を拘束する力に対して受動的に運動し、非ホロノミックな拘束に従って運動すると仮定する。たとえ、摩擦力、慣性力に応じてリーダ台車A及びフォロワ台車Bが運動する場合でも、非ホロノミックな運動拘束に従うものとする。
【0052】
以上より、リーダ台車A及びフォロワ台車Bは[数14][数16][数18][数19]に基づいて[数20]に示す運動をする。
【数20】

尚、インピーダンス制御により、リーダ台車A及びフォロワ台車Bは車両4に対する姿勢を常に一定に維持でき、車両4の姿勢即ち絶対座標系O−xyから見た制御点CPの実際の

【0053】
前記[数20]は想定ホイールベースLintが車両4の実際のホイールベースLrealと異なる場合に運動を生成した際も、インピーダンス制御に基づいて力に対して生じる速度偏差によって、現実にリーダ台車A及びフォロワ台車Bが受ける非ホロノミックな運動拘束に従って運動することを表す。
【0054】
従って、前記リーダ台車A及びフォロワ台車Bに指令する制御点CPの実際の速度ベク

【数21】

【0055】

【数22】

下記の[数23]に基づいて、想定ホイールベースLintを実時間で計算することにより、最終的に想定ホイールベースLintを実際のホイールベースLrealに収束させる。
【数23】

【0056】

intの初期値、aは任意の正の定数である。
【0057】
上記した本実施例におけるホイールベースの推定アルゴリズムは図10に示すブロック図のように表される。
【0058】
因みに、前記リーダ台車A及びフォロワ台車Bが受ける非ホロノミックな拘束に関して、[数21]の並進速度を車両4の姿勢に平行な方向に座標変換すると、[数24]のように直すことができる。
【数24】


【数25】

【0059】

前記力センサとしての引張圧縮型のロードセル13によって検出される検出値にノイズが乗った場合等には、
【数26】

であるにもかかわらず、
【数27】

となる場合が考えられ、そのとき、実際のホイールベースLrealは無限大になってしまう。

13によって検出される検出値にy´軸方向のノイズが生じた場合、僅かなノイズであっても実際のホイールベースLrealが大きく変動してしまう。従って、実用化を考えたとき、[数25]によって実際のホイールベースLrealを求めることは好ましくないと考えられる。
【0060】
一方、[数28]に定義される実際のホイールベースLrealと想定ホイールベースLintとの偏差ΔLを利用して、実際のホイールベースLrealを推定しようとした場合、
【数28】

前記偏差ΔLは、実際のホイールベースLrealにより定義されるが、[数16][数25]により[数29]のように計算される。
【数29】

【0061】

ベースLintをパラメータとする[数30]に示す拘束に従って決定される。
【数30】

【0062】
前記[数29][数30]により[数31]が導かれる。
【数31】

【0063】
前記[数31]からわかるように、前記偏差ΔLは、実際のホイールベースLrealを直接

記偏差ΔLにより、実際のホイールベースLrealを直接推定することは好ましくないと考えられる。
【0064】
これに対し、前記[数22]の右辺の
【数32】


K≠0の条件下で0にできれば、恒等式
【数33】

を満たし、従ってΔL=0,Lint=Lrealが成り立ち、実際のホイールベースLrealを推定できると言える。
【0065】

できるため、前述の如き力センサとしての引張圧縮型のロードセル13によって検出される検出値のノイズの問題を回避でき、又、
【数34】


じてKを変化させることにより、車両4の角速度に応じて想定ホイールベースLintの収束速度を任意に調節することができるという利点が生じる。
【0066】
そして、本発明者等は、本実施例におけるホイールベースの推定アルゴリズムによる実際のホイールベースLrealと想定ホイールベースLintとの偏差ΔLの収束性について解析を行った。
【0067】
前記偏差ΔLは[数22][数28][数31]より、[数35]のように実際のホイ


【数35】

【0068】
先ず、
【数36】

とした場合、[数35]に[数23]を代入すると、[数37]を得る。
【数37】

【0069】
更に、[数37]を時間tで微分すると、[数38]を得る。
【数38】

【0070】
[数37][数38]よりΔLについて微分方程式を解くと、該ΔLは[数39]のように表される。
【数39】

【0071】
[数39]より、ΔLはt→∞のとき、0に漸近する。想定ホイールベースLintは実際のホイールベースLrealに漸近し、ホイールベースを推定したことになる。又、パラメータaを変えることにより、ΔLの収束速度を調節することが可能である。尚、前記[数36]のようにKを設定した場合は、即ち
【数40】

の場合であり、ΔLを用いてホイールベースの推定をすることに他ならない。前記[数3

には有効な手法であると考えられる。
【0072】
一方、
【数41】

とした場合、[数23]を[数35]に代入すると、[数42]を得る。
【数42】

【0073】
[数42]を時間tで微分すると、[数43]を得る。
【数43】

【0074】
[数42][数43]よりΔLについて微分方程式を解くと、該ΔLは[数44]のように表される。
【数44】

【0075】
[数44]より、前記[数41]のようにKを設定した場合、車両4とリーダ台車A及びフォロワ台車Bが回転するほどΔLは0に漸近する性質を持つことがわかる。又、前記[数41]のようにKを設定した場合というのは、
【数45】


利点がある。
【0076】
以上述べたように、前記制御点CPに速度入力を与えたときの該制御点CPの運動を求める上で知る必要のある車両4のホイールベースを、例えば、データベースとしてホイールベースを知識化したりすることなく、推定可能となるため、車種を特定する装置の導入、或いは利用者に車種の入力を求めることが不要となり、手間がかからなくなる。又、カメラ等のセンサにより寸法を計測する方法も導入しなくて済むため、測定誤差や車体の弾性による寸法の変化が生じることに伴う不具合が生じる心配もない。
【0077】
こうして、力制御を適用することにより、車両4のホイールベースを推定しつつ、該車両4の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪4aをリーダ台車Aとフォロワ台車Bとによりリフトアップして精度良く移動させることができる。
【0078】
尚、本発明の車両移動装置の運転方法は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、前輪の代わりに後輪をリフトアップすることも可能であること等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0079】
1 走行駆動装置
2 台車本体
2a 台車フレーム
3 連結機構
4 車両
4a 車輪
5 リフター
6 走行車輪
11 走行エンコーダ
13 ロードセル
18 車輪浮上支持装置
27 リフトバー
31 リーダ制御部
32 フォロワ制御部
39 無線通信装置
40 無線通信装置
A リーダ台車
B フォロワ台車
CP 制御点
L ホイールベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行駆動装置により全方向に自走可能な台車本体と、該台車本体に連結機構を介して取り付けられ且つ車両の一つの車輪をリフトアップするリフターとを有し、与えられた目標軌道に沿って移動可能なリーダ台車と、
走行駆動装置により全方向に自走可能な台車本体と、該台車本体に連結機構を介して取り付けられ且つ前記車両の前記リーダ台車にてリフトアップされる車輪以外の一つの車輪をリフトアップするリフターとを有し、前記リーダ台車の動きを推定しつつ追従することにより、該リーダ台車と協調して車両を移動させるフォロワ台車とを備え、
前記車両の前輪又は後輪のいずれか一方の車輪を前記リーダ台車とフォロワ台車とによってリフトアップし、該リーダ台車とフォロワ台車の制御点を前記車両のリフトアップされる二個の車輪の中点に設定し、前記車両を含めたシステム全体を、前記中点に設定され且つ能動的に全方向へ速度を発生可能な仮想キャスタと、前記車両の接地している側の対向する二個の車輪とによって構成される三輪車モデルに見立てて位置制御する車両移動装置の運転方法であって、
前記リーダ台車とフォロワ台車を前記制御点回りにインピーダンス制御して[数20]に示す運動を行わせ、
【数20】


送するために制御点に生じさせたい絶対座標系O−x’y’(車両の進行方向をx’とし、x’と垂直な方向をy’とした座標系)から見た目標速度)

【数22】


【数23】


想定ホイールベースLintを実時間で計算することにより、最終的に想定ホイールベースLintを実際のホイールベースLrealに収束させ、該実際のホイールベースLrealを推定することを特徴とする車両移動装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−188104(P2012−188104A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76524(P2011−76524)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】