説明

車両空調装置用ダイヤルスイッチ

【課題】 車両用空調装置のコントローラに好適な回動軸の回転量を精度良く検出できるダイヤルスイッチを提供すること。
【解決手段】 プリント基板14には可変抵抗器であるボリューム17が固定されており、ボリューム変更用回転軸16は表示パネル11を貫通してダイヤルノブ15に接続されている。また、回転軸16にはフランジ状ディスク18が一体で回転するよう嵌合されており、フランジ状ディスク18を挟む形で一方には発光素子20を他方には受光素子19を有するフォトインタラプタ21が設置されており、フォトインタラプタ21は、発光素子20の中心線の延長上に受光素子19の中心を一致させて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両空調装置のコントローラに用いるダイヤルスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来技術1]
図6の(a)は従来のエンコーダを用いた車両空調装置のコントローラのダイヤルスイッチである。
コントロールパネル1のケース13a、13bに表示パネル11とプリント基板14が組みつけられている。
プリント基板14にはエンコーダ30が固定されており、エンコーダ30の回転軸31は表示パネル11を貫通してダイヤルノブ15に接続されている。
エンコーダ30として接点式のものを用いた場合の模式的電気回路図を図6の(b)に示すが、たとえば温度調節用に用いられた場合にはエンコーダ30の回転角に応じた電気信号をマイコンに取り込み、温度の設定温度を決定している。
エンコーダを用いた場合、エンコーダが高価である欠点がある。
[従来技術2]
図7の(a)は、従来のエンコーダの代わりにボリュームすなわち可変抵抗器を用いた例であり、ボリューム17がプリント基板14に固定されており、ボリューム変更用回転軸16を経てダイヤルノブ15に接続されている。
その他は図6と同様である。
図7の(b)にはボリュームを用いた場合の電気回路図を模式的に示すが、ボリュームの回転角に応じた抵抗値をA/D変換しマイコンに取り込んでいる。
ボリュームを用いた場合、エンコーダを用いた場合より安価ではあるが、ボリュームの分解能が悪く、たとえば温度調節に用いた場合、0.5℃の設定を確実に行うことは困難であった。
[従来技術3]
図8にさらに別の従来例を示す。(a)は正面図、(b)はA−A断面である。ダイヤルスイッチ40はダイヤル操作部41とダイヤル操作部41の回動量を検出する検出部42とを有している。
ダイヤル操作部41のインストルメントパネル49の裏側部分の外周縁には全周に亘って歯部41aが形成される。
検出部42は、この歯部41aと歯合し、回動軸43を中心として回動自在の歯部材料44を有する。
また、検出部42は回動軸43に接続されたスイッチ基板45を有しており、このスイッチ基板45は図示しない制御部に電気的に接続される。
ダイヤル操作部41の裏側には表示素子46aが配置されており、さらにダイヤル操作部41は、基板47から延出したダイヤル支持部材48と嵌合し回転自在に摺動する。
このように構成されたものでは、検出部の歯車部材がダイヤル操作部の外周縁の歯部と歯合するので、ダイヤル操作部の外側に配され、ダイヤル操作部の内側および裏側に、検出部の構成部品が配されることはなく、ダイヤル操作部の内側および裏側のスペースを有効に利用することができる。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2005−26046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術3においても、回動軸43の回転量を精度良く検出するためにはエンコーダ他の検出器が必要であり、従来技術1と同様高価になる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係る車両空調装置用ダイヤルスイッチは、ダイヤルスイッチの設定値の読み取りに、ボリュームの読み値とフォトインタラプタの開閉をあわせて用いたものである。
【発明の効果】
【0006】
このような車両空調装置用ダイヤルスイッチによれば、ダイヤルスイッチの設定値の読み取りに、ボリュームの読み値とフォトインタラプタの開閉をあわせたので、0.5℃の設定を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2において、車両空調装置用のコントロールパネル1には、内外気切替えスイッチ2と吹出しモード切替えスイッチ3とを一体化した複合ダイヤルスイッチ4と、送風ON/OFFスイッチ5と風量調節スイッチ6とを一体化した複合ダイヤルスイッチ7と、エアコンON/OFFスイッチ8と温度調節スイッチ9とを一体化した複合ダイヤルスイッチ10が設置されている。
また、コントロールパネル1の表示パネル11には、吹出しモード切替えスイッチ3用絵符号と、風量調節スイッチ6用絵符号と、温度調節スイッチ9用絵符号とが表示されている。
更に、コントロールパネル1の表示パネル11には、液晶表示パネル12が設置され、この液晶表示パネル12には吹出しモード切替えスイッチ3用文字・絵符号と、風量調節スイッチ6用文字・絵符号と、温度調節スイッチ9用文字・数字とが表示されるようになっている。
なお、ダイヤルスイッチ4、7、10はプッシュ機能とダイヤル機能の複合化されたものが用いられることが多いが、ここでは本発明の理解をしやすくするためプッシュ機能のないダイヤルスイッチにて説明するが、プッシュ機能がついていても本発明の作用効果はまったく同じである。
【0008】
以下、温度調節用ダイヤルスイッチに本発明を適用した例を示すが、風量調節用他に適用しても同様である。
図1において、コントロールパネル1のケース13a,13bに表示パネル11とプリント基板14が組み付けられている。
プリント基板14には可変抵抗器であるボリューム17が固定されており、ボリューム変更用回転軸16は表示パネル11を貫通してダイヤルノブ15に接続されている。
また、回転軸16にはフランジ状ディスク18が一体で回転するよう嵌合されており、フランジ状ディスク18を挟む形で一方には発光素子20を他方には受光素子19を有するフォトインタラプタ21が設置されており、フォトインタラプタ21は、発光素子20の中心線の延長上に受光素子19の中心を一致させて配置されている。
フォトインタラプタ21の端子22がプリント基板14に設けられた穴を貫通し、プリント基板14に半田付けで固定されている。
【0009】
図3に示すようにフランジ状ディスク18の回転中心から半径R線上に透光用穴23が、ピッチ角度θがボリューム17の温度差1℃になるように均等配置されている。
透光用穴23の直径はおおよそピッチの1/2とする、すなわちピッチ角度θの単位をラジアンで表示した場合、透光用穴23の直径はおおよそ Rθ/2 とする。
なお、発光素子20および受光素子19の中心もフランジ状ディスク18の回転中心から半径Rの線上にあり、ボリューム17からの出力としての電圧Vが例えば V1≦V<V2 であった場合、設定温度が25.0℃の場合には、フォトインタラプタ21の発光素子20および受光素子19の間には、フランジ状ディスク18の透光用穴23があるように、フランジ状ディスク18の回転方向の位置を決める。
【0010】
図5に示すように、ボリューム17のみを用いた場合、例えばボリューム17からの出力としての電圧Vが V1≦V<V2 であった場合、設定温度は24.5℃か、25.0℃かの判断はできなかった。
本発明では設定温度の判断に、ボリューム17の出力としての電圧に加え、フォトインタラプタ21が開になっているか、閉なのかを用いる。
回転軸16と同軸に取り付けられたフランジ状ディスク18には、ボリューム17の設定温度1℃に相当するピッチ角度θで透光用穴23があけられており、その透光用穴23の直径は、おおよそピッチの 1/2となっているため、設定温度1℃の間をほぼ1/2の開の区間と残りの1/2の閉の区間に分けることができる。
フォトインタラプタ21は発光素子20と受光素子19との間にフランジ状ディスク18の透光用穴23があれば、発光素子20からの光を受光素子19で受信し、開の信号を出し、透光用穴23がない場合は発光素子20からの光がフランジ状ディスク18でさえぎられ、受光素子19で光を受信できないため閉の信号を出す。
図4に示すように、ボリューム17からの出力としての電圧Vが例えば V1≦V<V2 であった場合、フォトインタラプタ21が開になっていれば設定温度は25.0℃と判断し、フォトインタラプタ21が閉になっていれば設定温度は24.5℃と判断できる。
電圧Vが他の値の場合にも同様にフォトインタラプタ21の開閉により設定温度を0.5℃の精度で判定でき、これによりボリューム17の分解能の悪さを補い、比較的簡単な構成で安価に温度を0.5℃の精度で設定することができる。
【0011】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るダイヤルスイッチ部の断面図で図2のA−A断面である。
【図2】本発明に係るコントロールパネルの正面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】例えば25℃の判断をするときのブロック線図である。
【図5】ボリュームの出力を電圧に換算した値とフォトインタラプタの出力と設定温度との特性図である。
【図6】従来のエンコーダを用いた車両空調装置のコントローラのダイヤルスイッチを示す図である。
【図7】従来の可変抵抗器を用いた車両空調装置のコントローラのダイヤルスイッチを示す図である。
【図8】従来のさらに別の車両空調装置のコントローラのダイヤルスイッチを示す図である。
【符号の説明】
【0013】
1…コントロールパネル
2…内外気切替えスイッチ
3…吹出しモード切替えスイッチ
4…複合ダイヤルスイッチ
5…送風ON/OFFスイッチ
6…風量調節スイッチ
7…複合ダイヤルスイッチ
8…エアコンON/OFFスイッチ
9…温度調節スイッチ
10…複合ダイヤルスイッチ
11…表示パネル
12…液晶表示パネル
13a,13b…ケース
14…プリント基板
15…ダイヤルノブ
16…ボリューム変更用回転軸
17…ボリューム
18…フランジ状ディスク
19…受光素子
20…発光素子
21…フォトインタラプタ
22…端子
23…透光用穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤルスイッチの設定値の読み取りに、ボリュームの読み値とフォトインタラプタの開閉をあわせて用いたことを特徴とする車両空調装置用ダイヤルスイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate