説明

車両荷室内収納構造

【課題】蓋上の一部に荷物が載っていても、この荷物を移動させることなく蓋下の収納空間部分に荷物を出し入れできる使い勝手の良い車両荷室内収納構造を提供することを課題とする。
【解決手段】車両荷室床を構成するとともに収納凹部22を有する床部材12と、収納凹部22に入れられた収納容器14と、収納凹部22を覆う上蓋として設けられ、収納凹部22の一部を開閉可能であることにより収納容器14の収納空間34の車両後方側半部を開閉可能とされた蓋部材18と、が乗用車に設けられている。そして、蓋部材18によって開放される領域36Aと開放されない領域36Bとを収納空間34が循環可能となるように、収納容器14が収納凹部22に収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両荷室内で床下に形成された車両荷室内収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両荷室の床面のデッキボード下には、収納スペースとして収納空間が形成されていることが多い(例えば特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特にワゴン車等の荷室の奥行きが長い車種では、収納空間のうち車両前方側に位置する被収納物を出し入れし難いという難点がある。
【0004】
また、荷室内でデッキボード上に荷物が積載されている場合、デッキボード下の収納空間へ被収納物を出し入れするには上記荷物を移動させる必要があり、この移動をさせる上で煩わしいという難点が目立つ。特に、後席のバックボード上に隣接するように荷物が位置していることが多く、この場合、後席のバックボードに隣接する収納空間部分内の被収納物を取り出す際に上記の煩わしさが顕著となっている。
【特許文献1】実公平6−30566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、蓋上の一部に荷物が載っていても、この荷物を移動させることなく蓋下の収納空間部分に荷物を出し入れできる使い勝手の良い車両荷室内収納構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、少なくとも車両荷室床を構成し、収納凹部を有する床部材と、前記収納凹部を覆う上蓋として設けられ、前記収納凹部の一部を開閉可能とされた蓋部材と、前記収納凹部に収容され、前記蓋部材によって開放される領域と開放されない領域とを循環可能な収納空間を形成している収納容器と、が設けられたことを特徴とする。
【0007】
収納容器内に被収納物を出し入れするには、上記収納容器の一部を覆っている蓋部材部分を開けることにより上記収納空間の一部を開放状態とする。そして、収納空間を収納凹部内で循環させる。この循環は、例えば収納容器に回転等の移動をさせることによって行う。そして、収納空間の所定部分が上記蓋部材部分による開放位置にまで到達したところでこの循環を停止させる。
【0008】
これにより、蓋部材によって開放されない収納空間部分に収納されている被収納物を取り出すことができる。従って、収納空間を開放しない蓋部材部分に荷物が載っていても、この荷物を移動させることなく容易に収納容器から被収納物を取り出せることができる。
【0009】
また、蓋部材によって開放されない収納空間部分に収納余裕がある場合、収納空間を開放しない蓋部材部分に荷物が載っていても、この荷物を移動させることなく、収納余裕があるこの収納空間部分に被収納物を容易に収納させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記蓋部材が、少なくとも車両後方側の収納空間部分を開放可能である、ことを特徴とする。
【0011】
蓋部材上に荷物が載っている場合としては、車両前方側の蓋部材部分上に載っている場合が多い。従って、請求項2に記載の発明により、請求項1に記載の発明によって得られる効果をより顕著にすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記収納容器の側部が円筒状である、ことを特徴とする。
【0013】
これにより、上記蓋部材によって開放される領域と開放されない領域とを上記収納空間が循環可能となる構成にし易い。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記収納容器は、前記収納凹部内で垂直方向に向けられた軸周りに回転可能とされている、ことを特徴とする。
【0015】
これにより、収納容器を上記軸周りに回転させることで収納空間を循環させることができるので、収納空間を循環させる作業が容易になる。また、収納容器を回転させるための空洞部分を収納容器の外側に形成しなくて済むのでスペース効率に優れ、しかも、収納容器の回転がスムーズになり易い。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記収納容器を回転可能に保持する外枠が前記収納凹部内に設けられている、ことを特徴とする。
【0017】
これにより、収納容器を上記外枠に保持された状態で回転させることで収納空間を循環させることができるので、収納空間を循環させる作業が容易になる。また、請求項4に記載の発明と同様、収納容器を回転させるための空洞部分を収納容器の外側に形成しなくて済むのでスペース効率に優れている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、蓋上の一部に荷物が載っていても、この荷物を移動させることなく蓋下の収納空間部分に荷物を出し入れできる使い勝手の良い車両荷室内収納構造とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0020】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態に係る車両荷室内収納構造10には、収納凹部22、収納容器14、回転軸部16、及び、蓋部材18が主要素として設けられている。
【0021】
収納凹部22は床部材12によって形成されており、収納凹部22に収納容器14が回転可能に収容されている。この床部材12は、乗用車20の少なくとも車両荷室床13を構成する部材である。収納凹部22の中央位置には、収納容器14を回転可能に保持する回転軸部16が設けられている。回転軸部16を構成する回転軸16Zは垂直方向に向けられている。
【0022】
収納容器14は、底部14Vが円板状で側部14Sが円筒側壁状とされている。収納容器14の中央部には、回転軸部16に結合されて支持されるための被支持部30が形成されている。また、収納容器14内には仕切板32が設けられており、仕切板32によって、容器内の収納空間34が収納空間部分34Aと収納空間部分34Bとに二分されている。
【0023】
蓋部材18は、収納凹部22を覆う上蓋として設けられている。また、蓋部材18は、インテグラルヒンジ部18Cで接続された車両後方側の蓋部材半部(以下、蓋部材後方半部という)18Aと、車両前方側の蓋部材半部(以下、蓋部材前方半部という)18Bと、で構成されている。そして、蓋部材後方半部18Aは開閉可能であり、蓋部材前方半部18Bは開閉不能とされている。この構成により、収納容器14の回動によって、収納空間部分34A、34Bが、蓋部材18によって開放される領域36Aと開放されない領域36Bとを循環可能にされている。なお、インテグラルヒンジ部18Cを形成せずに通常のヒンジ部材を取付ける構成にしてもよい。
【0024】
また、蓋部材18の上面側は主荷室17(図1参照)の底面を構成している。そして、蓋部材18によって主荷室17の底面に段差が形成されないように、蓋部材18の位置が調整されている。
【0025】
なお、収納凹部22と収納容器14との間には、空間を埋めるためのスペース材38が配置されている。
【0026】
蓋部材18、スペース材38、及び収納容器14の材質は、例えばPP(ポリプロピレン)であり、この場合、蓋部材18、スペース材38、及び収納容器14を製造するにはプラスチック成型によって製造する。
【0027】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。以下では、図2、図4に示したように、収納空間部分34Aが車両後方側に位置し、収納空間部分34Bが車両前方側に位置している状態において被収納物N(図4参照)を収納空間34に出し入れすることを説明するが、収納空間部分34A、34Bの位置が逆の位置であっても同様にして被収納物Nを出し入れすることができる。
【0028】
まず、蓋部材後方半部18Aを開けることにより、収納空間部分34Aを開放状態とする(図4(A)参照)。そして、収納容器14を手動でU方向に180°回転させて、収納空間部分34Bが開放位置にまで到達したところで回転を停止させる(図4(B)参照)。
【0029】
この状態では、蓋部材18によって開放されない収納空間部分34Bに収納されている被収納物Nを取り出すことができる。従って、蓋部材前方半部18Bの上側に荷物M(図1参照)が載っていても、この荷物Mを移動させることなく容易に収納容器14から被収納物Nを取り出せることができる。
【0030】
また、蓋部材によって開放されない収納空間部分34Bに収納余裕がある場合、蓋部材前方半部18Bに荷物Mが載っていても、この荷物Mを移動させることなく、収納余裕があるこの収納空間部分34Bに被収納物を容易に収納させることができる。
【0031】
また、本実施形態では、蓋部材後方半部18Aが開閉可能とされ、蓋部材前方半部18Bが開閉不能とされている。蓋部材18上に荷物が載っている場合としては、車両前方側の蓋部材部分上に載っている場合が多い。従って、本実施形態では、ユーザが使い勝手の良さを実感する機会が多い。
【0032】
また、収納容器14が、垂直な回転軸16Zの周りに回転可能にされている。従って、収納容器14を回転させることにより、収納空間部分34A、34Bを循環させることができるので、この循環を行うための作業が容易である。
【0033】
しかも、収納容器14の側部14Sが円筒状である。従って、収納容器14を回転させるための空洞部分を収納容器14の外側に形成しなくて済むのでスペース効率に優れ、しかも、収納容器14の回転がスムーズになり易い。その上、蓋部材18によって開放される領域36Aと開放されない領域36Bとを収納空間34が循環可能となる構成にし易い。
【0034】
なお、収納容器14が回転軸部16の周りに回転可能とされているので、スペース材38を設けなくても、これらの作用、効果を奏することは可能である。また、回転軸部16が収納容器14を回動可能に支えていても良い。これにより、U方向及びその逆方向の何れの方向にも収納容器14を回転させることができるので、更に使い勝手を良くすることができる。
【0035】
また、図2、図4では、蓋部材18を平面視で正方形状として描いたが、本実施形態ではこれに限られず、蓋部材18が平面視で円板状であってもよく、更には、この場合、蓋部材が回転可能であって、蓋部材前方半部と蓋部材後方半部との位置を蓋部材の回転によって入れ替えることが可能な構成であってもよい。
【0036】
また、本実施形態では、蓋部材後方半部18Aを上方へ開けることによって領域34Aを開放させる構成にしたが、蓋部材後方半部18Aをスライド移動により蓋部材前方半部18Bの上側又は下側に移動させ得る構成にして領域34Aを開放するようにしてもよい。更には、蓋部材後方半部18Aを着脱自在にしてもよい。このように、蓋部材後方半部18Aの移動の形態としては種々の形態が考えられる。
【0037】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両荷室内収納構造には、第1実施形態で説明した収納凹部22と、図5、図7に示す収納容器44、外枠46、及び、蓋部材18と、が主要素として設けられている。
【0038】
床部材12の収納凹部22(図1、図3参照)には、収納容器44を回動可能に収容する外枠46が保持されている。外枠46の外形は、収納凹部22に合わせた平面視四角形状にされている。また、外枠46の内側部は、収納容器44を回動可能に保持する構成にされている。すなわち、外枠46の内側側面46Iは略円筒側面状にされ、外枠46の内側で底部には、内側側面46Iから内側に延び出していて収納容器44を支える支持部48が形成されている。支持部48にはリング状凸部50が形成されている。リング状凸部50の内側は開口52となっている。外枠46の材質は、例えばPP(ポリプロピレン)である。
【0039】
収納容器44は、底部44Vが円板状で側部44Sが円筒側壁状とされている。収納容器44の下側には、下面側から見てリング状で凹状の被支持部58が形成されており、リング状凸部50が被支持部58に入って収納容器44が支持部48で回動可能に支持されるようになっている。
【0040】
図8に示すように、被支持部58よりも内側では収納容器44の下面側に突設されて開口52よりも下方へ延び出しているリブ60が形成されている。収納容器44が外枠46に回動可能に保持された状態では、振動等が収納容器44に伝達されても、このリブ60によって、収納容器44の形状保持と剛性が確保されるとともに、収納容器44が外枠46から外れ難くなっている。なお、外枠46の側部の下端位置46Uは、リブ60の下端位置60Uよりも下方に位置しており、リブ60の下端位置60Uが外枠46の側部の下端位置46Uよりも低くならないように予め設定されている。収納容器44の材質も、例えばPP(ポリプロピレン)である。
【0041】
図8に示すように、リング状凸部50の上側には、すなわちリング状凸部50と被支持部58との間には、収納容器44を回動動作させる上で滑り易くするための滑り板62が4箇所に均等間隔となる位置に設置されている。
【0042】
図9に示すように、滑り板62の下面側には差込用の突起部62Tが突設されている。滑り板62の材質は、例えばPOM(ポリアセタール)である。一方、リング状凸部50の上部で滑り板62の被設置部54には、滑り板62の厚みと同等の深さの凹み部54Sが形成されている。この凹み部54Sの底部には、上記突起部62Tが挿入される嵌合穴54Hが形成されている。
【0043】
また、図5に示すように、収納容器44には仕切板63が設けられており、仕切板63によって、容器内の収納空間64が収納空間部分64Aと収納空間部分64Bとに二分されている。
【0044】
仕切板63の構成は特に限定しない。収納容器44の中心まわりに端部で回動可能な2枚の仕切板63A、63B(図5参照)で仕切板63を構成させて、収納容器44の収納空間64を収納空間部分64Aと収納空間部分64Bとに二分してもよい。なお、この場合、仕切板63A、63Bの長さは収納容器44の内径と同等の長さとなる。また、収納容器44の中心位置に係合軸部を垂直方向に立設させ、この係合軸部に2枚の仕切板の容器内側の端部をそれぞれ係合させる部位を形成した構成にしてもよい。また、図6に示すように、収納容器44に代えて収納容器66を設け、収納容器66の中心を通過する平板状の仕切板68を設けてもよい。
【0045】
仕切板の係止形態も特に限定しない。例えば、図6に示すように、収納容器66の内周側壁に係止溝70を配設し、この係止溝70に仕切板68の端部を係止させてもよい。なお、係止溝70に代えて、収納容器の内周側壁から突出する係合突起部を配設してもよい。
【0046】
また、仕切板の数を増やして収納空間部分を3つ以上に分割する構成にしてもよい。
【0047】
外枠46及び収納容器44の材質は、上述したように例えばPP(ポリプロピレン)であり、この場合、外枠46及び収納容器44を製造するにはプラスチック成型によって製造する。
【0048】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態で、収納容器44の収納空間64に被収納物を出し入れするには、第1実施形態と同様にして、まず、蓋部材後方半部18Aを開けることにより、収納容器44の収納空間のうち車両後方側の収納空間部分64Aを開放状態とする。そして、収納容器44を、使用者から見て右回り、左回りの何れかの方向に手動で回転させて、収納空間部分64Bが開放位置にまで到達したところで回転を停止させる。
【0049】
これにより、第1実施形態と同様、蓋部材前方半部18Bの上側に荷物M(図1参照)が載っていても、この荷物Mを移動させることなく収納容器44からの被収納物の出し入れを容易に行うことができる。
【0050】
また、収納容器44が外枠46に回動可能に収容されている。従って、収納容器44を回動させることにより、収納空間部分64A、64Bを循環させることができるので、この循環を行うための作業が容易である。
【0051】
しかも、第1実施形態で説明した回転軸部16を設けずに、支持部48及び被支持部58によって収納容器44を回動可能にしている。従って、第1実施形態に比べ、構成を簡素にすることができる。
【0052】
更に、支持部48と被支持部58との間に簡易な構成の滑り板62を配置することで、収納容器44の回転をスムーズにしている。
【0053】
なお、収納容器44に代えて、図10に示すように、被支持部58よりも容器内側の底部分74Vを更に深い位置にした収納容器74を外枠46で保持させる構成にしてもよい。これにより、収納空間を更に広くすることができるとともに、被収納物の高さ上限を大きくすることができる。
【0054】
また、収納凹部22及び外枠46に代えて、収納容器44を回動可能に保持する外枠部を床部材に一体的に形成してもよい。これにより、部品点数を低減させることができる。
【0055】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態に係る車両荷室内収納構造には、第2実施形態に比べ、外枠46(図5参照)に代えて図11に示す外枠86が設けられ、収納容器44(図5参照)に代えて図13に示す収納容器84が設けられている。
【0056】
外枠86の内周側壁には、図11、図12に示すように、弾性変形可能な2つの係合凸部88が、内周の中心を挟んだ対称となる位置、すなわち中心周りに180°の点対称となる位置に形成されている。本実施形態では、係合凸部88は、薄板状で緩やかに内側に膨らんだ膨らみ部として、外枠86を成形する際に外枠86と一体的に形成されている。
【0057】
一方、収納容器84の外周側壁には、2つの係合凸部88とそれぞれ係合する2つの係合凹部90(図13、図14参照)が形成されている。係合凹部90には、係合凸部88との係合、係合解除の切替をスムーズに行うことができるように外側角部90E1、内側角部90E2が形成されている。係合凹部90は、収納容器84を成形する際に形成されている。
【0058】
また、収納容器84には、第2実施形態で説明した仕切板66と同様の仕切板96が設けられ、収納容器84内の収納空間85は仕切板96によって収納空間部分95Aと収納空間部分95Bとに二分されている。
【0059】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態で、収納容器84の収納空間95に被収納物を出し入れするには、第1実施形態と同様にして、まず、蓋部材後方半部を開けて、収納容器84の収納空間のうち車両後方側の領域36Aを開放することにより収納空間部分95Aを開放状態とする。そして、収納容器84を手動で180°回転させて、収納空間部分95Bが開放位置にまで到達したところで回転を停止させる。
【0060】
これにより、第2実施形態で奏する効果に加え、簡素な構成によって、収納容器84を回転停止位置で確実に回転停止させることができるという効果も奏する。
【0061】
なお、クリック音とともに収納容器84の回転が停止するように係合凸部88や係合凹部90の構成を決めてもよい。
【0062】
また、図15に示すように、係合凸部88の上方で、かつ、外枠86に収容された収納容器84よりも上側の位置で、外枠86の内周側壁から延び出す庇部98を形成してもよい。これにより、係合凸部88の内側の空間89にゴミ等が入り込むことを防止できる。また、大きな振動等によって収納容器84に上方への移動力が伝達されても、収納容器84はこの庇部98によって上方への移動が規制されるので、開放可能な蓋部材部分(蓋部材後方半部)が収納容器84からの衝撃力で開くことはない。
【0063】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態に係る車両荷室内収納構造には、第1実施形態で説明した収納凹部22(図1、図3参照)と、図16に示す収納容器104、外枠106、及び、蓋部材18と、が主要素として設けられている。
【0064】
本実施形態では、収納容器104は、側部が円筒側壁状であるトレイ状の4つの同一形状の容器で構成されている。収納容器104の材質は、例えばPP(ポリプロピレン)である。
【0065】
収納凹部22には、4つの収納容器104を循環可能に収容する外枠106が保持されている。外枠106の外形は、収納凹部22に合わせた平面視四角形状にされている。また、外枠106には、円筒内面状の内周面108Sを有して4つの収納容器104を収容する収容部108が形成されている。収容部108の底部108Vは平板状にされている。そして、隣接する収納容器と内周面108Sとによって循環する力が各収納容器にU方向或いはその逆方向に伝達されるように、収納容器104の外径を考慮して収容部108の内径が決定されている。外枠106の材質は、例えばPP(ポリプロピレン)である。
【0066】
(作用、効果)
以下、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態で、収納容器104の収納空間105に被収納物を出し入れするには、第1実施形態と同様にして、まず、蓋部材後方半部18Aを開けることにより、収容部108のうち車両後方側半部を開放状態とする。そして、収納容器104のうち開放された領域に位置する収納容器104Iを手動でU方向或いはその逆方向に送ることにより、他の3つの収納容器104J、104K、104Lを、U方向或いはその逆方向に順次移動させる。そして、被収納物を出し入れする対象の収納容器(例えば収納容器104K)が車両後方側に到達したところで収納容器104の移動を停止させる。
【0067】
これにより、第1実施形態〜第3実施形態と同様、蓋部材前方半部18Bの上側に荷物M(図1参照)が載っていても、この荷物Mを移動させることなく収納容器(例えば収納容器104K)からの被収納物の出し入れを容易に行うことができる。
【0068】
また、外枠106に収容部108を形成し、この収容部108に4つの収納容器104を循環可能に収容させており、第1実施形態〜第3実施形態のように収納容器を回転させる必要がないので、構成が著しく簡素となっている。
【0069】
なお、本実施形態では、収納容器104の個数を4つとしたが、3つとすることや、5つ以上とすることも可能である。
【0070】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】第1実施形態に係る車両荷室内収納構造が設けられた乗用車の模式的な側面断面図である。
【図2】第1実施形態に係る車両荷室内収納構造を示す模式的な斜視図である。
【図3】図3(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態に係る車両荷室内収納構造の構成を示す平面図、及び、側面断面図である。
【図4】図4(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態で、蓋部材によって開放される領域を収納容器の収納空間が循環されていくことを示す模式的な斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る車両荷室内収納構造を示す展開斜視図である。
【図6】第2実施形態に係る車両荷室内収納構造で、収納容器の変形例を示す展開斜視図である。
【図7】第2実施形態に係る車両荷室内収納構造の側面断面図である。
【図8】図7の部分拡大図である。
【図9】第2実施形態に係る車両荷室内収納構造で、滑り板が支持部に設けられていることを示す模式的な展開斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る車両荷室内収納構造の変形例を示す側面断面図である。
【図11】第3実施形態に係る車両荷室内収納構造に設けられた外枠の平面図である。
【図12】第3実施形態に係る車両荷室内収納構造に設けられた外枠の係合凸部を示す斜視図である。
【図13】第3実施形態に係る車両荷室内収納構造に設けられた収納容器の平面図である。
【図14】第3実施形態に係る車両荷室内収納構造に設けられた収納容器の係合凹部を示す背面側から見た斜視図である。
【図15】第3実施形態に係る車両荷室内収納構造に設けられた外枠の係合凸部近傍の変形例を示す斜視図である。
【図16】図16(A)及び(B)は、それぞれ、第4実施形態に係る車両荷室内収納構造を示す展開斜視図、及び、矢視16B−16Bの側面断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10 車両荷室内収納構造
13 車両荷室床
14 収納容器
14S 側部
16Z 回転軸(軸)
18 蓋部材
20 乗用車(車両)
22 収納凹部
34 収納空間
34A 収納空間部分
34B 収納空間部分
36A 領域
36B 領域
44 収納容器
44S 側部
46 外枠
64 収納空間
64A 収納空間部分
64B 収納空間部分
66 収納容器
84 収納容器
86 外枠
95 収納空間
95A 収納空間部分
95B 収納空間部分
104 収納容器
104I 収納容器
104J 収納容器
104K 収納容器
104L 収納容器
106 外枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両荷室床を構成し、収納凹部を有する床部材と、
前記収納凹部を覆う上蓋として設けられ、前記収納凹部の一部を開閉可能とされた蓋部材と、
前記収納凹部に収容され、前記蓋部材によって開放される領域と開放されない領域とを循環可能な収納空間を形成している収納容器と、
が設けられたことを特徴とする車両荷室内収納構造。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記収納容器の少なくとも車両後方側の収納空間部分を開放可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の車両荷室内収納構造。
【請求項3】
前記収納容器の側部が円筒状である、ことを特徴とする請求項2に記載の車両荷室内収納構造。
【請求項4】
前記収納容器は、前記収納凹部内で垂直方向に向けられた軸周りに回転可能とされている、ことを特徴とする請求項3に記載の車両荷室内収納構造。
【請求項5】
前記収納容器を回転可能に保持する外枠が前記収納凹部内に設けられている、ことを特徴とする請求項3に記載の車両荷室内収納構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−269276(P2007−269276A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100191(P2006−100191)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】