説明

車両表面用コーティング剤組成物

【課題】車両表面への付着性を向上させるとともに、撥水性のみならず、光沢、滑り性および表面保護性に優れた被膜を形成することができる車両表面のコーティング剤組成物を提供すること。
【解決手段】アミノ変性ポリシロキサンとアルキルポリシロキサンまたは変性アルキルポリシロキサンと粒子径25〜500nmの疎水性表面を有するポリマー微粒子と非イオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤と水とから構成されていることを特徴とする車両表面用コーティング剤組成物、およびコーティング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両表面の保護および美観向上のために使用する新規なコーティング剤組成物に関し、さらに詳しくは自動車、鉄道などの車両の塗装表面に、撥水性、光沢および滑り性などの美観向上および表面保護を与えるコーティング剤組成物、および該組成物を自動式洗車装置を用いて車両表面に付与する車両表面のコーティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車などの車両表面を洗車機などの自動式洗車装置を用いて行う洗車において、アミノ変性ポリシロキサンなどのシリコーン化合物を界面活性剤により乳化・分散せしめたコーティング剤が使用されている。上記アミノ変性ポリシロキサンは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部をアミノアルキル基や、アミノアルキル置換アミノアルキル基で置換したものであり、そのアミノ当量や分子量により車両表面における反応性、吸着性、光沢および滑り性などの性質が変化する。また、アミノ変性ポリシロキサンを脂肪酸でアミド化することにより、アミノ変性ポリシロキサンの親水性を調整し、アミノ変性ポリシロキサンを容易に水性乳化物とすることができる。この水性乳化物は、水で自由に希釈することができるため、少量の組成物を車両表面の広範囲に、かつ均一にスプレーすることができ、自動式洗車装置での簡便な処理方法に適している。
【0003】
従来技術例としては、アミノ変性ポリシロキサンを非イオン性界面活性剤で乳化し、特定のカチオン性界面活性剤を含有させた、自動塗布方法に用いるコーティング剤が特許文献1に開示されている。
【0004】
また、アミノ変性ポリシロキサンとジメチルポリシロキサンをそれぞれ特定のHLBを持つ非イオン性界面活性剤にて乳化し、これらを混合してなる光沢撥水付与組成物が特許文献2に開示されている。
【0005】
また、アミノ変性ポリシロキサンをカチオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤により乳化した組成物と撥水性を向上せしめるコーティング方法が特許文献3に開示されている。
【0006】
また、車両表面を脂肪酸塩を含有する洗浄剤で洗浄した後に、アミノ変性ポリシロキサンを非イオン性界面活性剤にて乳化せしめたコーティング剤で処理する方法などが特許文献4に開示されている。
【特許文献1】特開平8−188745号公報
【特許文献2】特開2004−300387公報
【特許文献3】特開2001−49189公報
【特許文献4】特開2001−294892公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来のコーティング剤は、水性乳化物であり、アミノ変性シポリシロキサンの吸着性により車両表面に付着せしめるものである。しかし、成分中に含有されている界面活性剤によりアミノ変性ポリシロキサンの塗装表面への吸着が阻害されるため、形成される被膜は薄く、十分な効果が得られないという問題がある。
【0008】
そして、使用されているアミノ変性ポリシロキサンの特性として一定の撥水性、光沢および滑り性は有するものの、手作業用コーティング剤に多用されているジメチルポリシロキサンに比べ、特に光沢および滑り性においては劣るものである。
【0009】
また、上記特許文献2に記載のものは、アミノ変性ポリシロキサン乳化物とジメチルポリシロキサン乳化物を混合したものであり、アミノ変性ポリシロキサンおよびジメチルポリシロキサンの両成分の効果が得られるが、ジメチルポリシロキサンには吸着性は無く車両表面への付着量が少ないという問題がある。
【0010】
従って本発明の目的は、車両表面への付着性を向上させるとともに、撥水性のみならず、光沢、滑り性および表面保護性に優れた被膜を形成することができる車両表面のコーティング剤組成物およびコーティング方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は本発明によって達成される。すなわち、本発明は、アミノ変性ポリシロキサンとアルキルポリシロキサンまたは変性アルキルポリシロキサンと粒子径25〜500nmの疎水性表面を有するポリマー微粒子と非イオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤と水とから構成されていることを特徴とする車両表面用コーティング剤組成物、および該組成物を用いる車両表面のコーティング方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
上記本発明によれば、車両表面用コーティング剤組成物を、吸着性および撥水性に優れたアミノ変性ポリシロキサンと光沢性および滑り性に優れたアルキルポリシロキサンと粒子径25〜500nmの疎水性表面を有するポリマー微粒子と非イオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤と水とから構成することによって、洗車機などの自動式洗浄装置により車両表面にスプレー塗布することで、車両表面への付着性を上げるとともに、撥水性のみならず、光沢、滑り性および表面保護性に優れた被膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明で使用するアミノ変性ポリシロキサン(以下「成分a」と略す)としては、従来車両のコーティング剤の成分として使用されているアミノ変性ポリシロキサンはいずれも使用できるが、本発明において好ましい成分aは、そのアミノ当量が500〜3,000g/molであり、その動粘度が100〜3,000mm2/sのものである。その中でも特に吸着性および撥水性に優れた被膜を与える成分aは、アミノ当量が1,000〜3,000g/molであり、動粘度が200〜1,000mm2/sのものである。このような成分aそれ自体は当該技術分野においてよく知られており、市場から入手して本発明で使用することができる。なお、アミノ当量が3,000g/molを超え、かつ動粘度が3,000mm2/sを超えるアミノ変性ポリシロキサンは、アミノ基の影響が少なく、後述の成分bとして好ましく使用することができる。
【0014】
上記成分aは、そのアミノ当量が高過ぎると吸着性が低下して車両表面への付着性が低下し、一方、そのアミノ当量が低すぎると反応性が強まり被膜の黄変などの問題が生ずる。また、上記成分aは、その動粘度が、高過ぎると自動式洗浄装置でスプレー塗布した場合、車両表面にシミやムラが発生し易く、一方、その動粘度が低過ぎると被膜の撥水性の低下をきたす。また、上記のアミノ当量および動粘度の範囲から、一種または二種以上の成分を混合して使用することもできる。
【0015】
本発明で使用するアルキルポリシロキサン(以下「成分b」と略す)とは、ジメチルポリシロキサン、およびジメチルポリシロキサンの一部のメチル基を有機置換基で置換した変性アルキルポリシロキサンであり、例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、アミノ当量が3,000g/molを超え、かつ動粘度が3,000mm2/sを超えるアミノ変性ポリシロキサン、カルボキシ変性ポリシロキサン、アルキルフェニル変性ポリシロキサンなどが挙げられ、この中から一種または二種以上を選択して使用することができる。また、これらの成分bの中でも、アルキルフェニル変性ポリシロキサンおよびジメチルポリシロキサンなどがより光沢および滑り性に優れた被膜を与える。一方、組成物への配合性では、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アミノ当量が3,000g/molを超え、かつ動粘度が3,000mm2/sを超えるアミノ変性ポリシロキサンおよびカルボキシ変性ポリシロキサンなどが良好な乳化性を有するため好ましい。このような成分bそれ自体は当該技術分野においてよく知られており、市場から入手して本発明で使用することができる。
【0016】
本発明で使用するポリマー微粒子(以下「成分c」と略す)とは、粒子径25〜500nmの粒子表面が疎水性の常温固体のポリマー微粒子であり、特に制限無くいずれのポリマー微粒子でも使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン・アクリル酸共重合樹脂、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体などのフッ素系樹脂、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン系樹脂(分子量が大きく、常温において固体であるもので前記成分bとは異なるものである)、ポリウレタンなどのウレタン系樹脂、ポリスチレンなどのスチレン系樹脂などのポリマー微粒子が挙げられる。なお、これらの成分cは、例えば、商品名:ハイテックP−5060P、ハイテックS−3127、ハイテックE−9014などとして、東邦化学工業(株)から入手して本発明で使用することができる。
【0017】
これらの成分cが本発明の組成物に含まれていると、該組成物から形成されるコーティング被膜中に上記成分cが含まれるため、被膜の撥水性、光沢、滑り性、耐久性および耐汚染性などの性質を改質することができる。一般に車両表面は、使用環境中で風雨、光、空気中の有機および無機汚染物質などに曝される過酷な条件に耐えなければならない。時には表面温度70〜80℃にもなることがあり、これらを考慮して上記成分cは融点が80℃以上で、硬度もできるだけ硬く、また、光沢性の面から透明性の高い物質が好ましい。また、被膜の耐汚染性の面から帯電防止性(または導電性)を持つ、または付与したポリマー微粒子が好ましく、また、環境保全の観点から生分解性樹脂のポリマー微粒子も望ましい。
【0018】
さらに前記成分cを組成物中に添加することにより、該組成物から車両表面に形成される被膜の改質のみならず、成分aおよび成分bの車両表面への付着性を向上させることができる。このような作用の機構については明らかではないが、本発明者らの推測によると、疎水性表面を持つ成分cの表面に、成分aおよび成分bが吸着することで、成分cが被膜中で骨材として働き、スプレー塗布時の物理的力を受け易くしていると考える。さらに被膜中で成分cは支柱の役割を果たし、被膜の膜厚の増加を助けていると考える。故に、成分cは本発明の目的を達成するうえでの必須成分である。
【0019】
成分cの粒子径が大きすぎる(500nm超)と、車両表面に対する被膜の付着性は向上するが、被膜表面がパウダリング状態となり、被膜の光沢および滑り性を低下させる。一方、粒子径が小さすぎる(25nm未満)と、スプレー塗布時の組成物の付着性が弱く、十分な添加効果が得られない。また、25nmよりも小さい粒子径の成分cは理論的には存在するが、工業的には製造が難しく、入手困難である。粒子径が25nmの成分cは性能の向上は低めではあるが本発明の目的は達成することができる。よって、本発明で使用する成分cは粒子径が25〜500nmである必要があり、さらに粒子径が50〜250nmの成分cが被膜の付着性および被膜特性において好ましい。なお、上記成分cの粒子径の測定方法は、動的光散乱法による。
【0020】
これらの成分cは、非常に微細なため、粉末状態では凝集しており、水中に完全分散させることが難しい。それ故に、乳化重合などで合成された水性ディスパージョンを成分cとして使用することが望ましい。この水性ディスパージョンには、乳化分散のために界面活性剤を含有することがあるが、これらの界面活性剤は非イオン性またはカチオン性を有するものならば支障なく使用できる。
【0021】
本発明で使用する非イオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤(以下「成分d」と略する)は、成分a〜成分cを水中に乳化および分散せしめる作用を有し、一般に市販されている非イオン性界面活性剤またはカチオン性界面活性剤であれば、特に制限無く使用できる。例えば、非イオン性界面活性剤では、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどが使用できる。カチオン性界面活性剤では、四級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、またはこれらのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0022】
成分dの選択は、成分a、成分bおよび成分cの乳化性、乳化安定性、イオン性および成分a、成分bおよび成分cの車両表面への付着性により決定する。本発明者の検討によると、HLB11〜20のポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルエーテルの使用が、前記各成分の乳化性および車両表面への付着性などの効果において好ましい。また、上記非イオン性界面活性剤の使用は、他の成分とのイオンコンプレックスを生じないため、特に成分bおよび成分cの選択に支障をきたさないことも挙げられる。本発明のコーティング剤組成物に使用する水は、組成物中の他成分へ影響を与えないために、塩類を除去したイオン交換水を使用することが望ましい。
【0023】
以上の各成分の使用割合は、成分a、成分b、成分cおよび成分dの合計質量を100質量%とした場合、成分aは5〜60質量%であることが好ましい。成分aの割合が5質量%未満であると、組成物の車両表面への付着性や形成される被膜の撥水性が低下するなどの点で好ましくない場合があり、一方、成分aの割合が60質量%を超えると、形成される被膜の光沢や滑り性が低下するなどの点で好ましくない場合がある。
また、成分bは30〜90質量%であることが好ましい。成分bの割合が30質量%未満であると、被膜の光沢や滑り性が低下するなどの点で好ましくない場合があり、一方、成分bの割合が90質量%を超えると、組成物の車両表面への付着性が低下するなどの点で好ましくない場合がある。
【0024】
また、成分cは1〜25質量%であることが好ましい。成分cの割合が1質量%未満であると、組成物の車両表面への付着性の低下やコーティング被膜の改質性が低いなどの点で好ましくない場合があり、一方、成分cの割合が25質量%を超えると、形成される被膜の光沢や滑り性が低下するなどの点で好ましくない場合がある。
また、成分dは2〜30質量%であることが好ましい。成分dの割合が2質量%未満であると、成分a〜cの乳化性および乳化安定性などの点で好ましくない場合があり、一方、成分dの割合が30質量%を超えると、組成物の車両表面への付着性が低下するなどの点で好ましくない場合がある。
【0025】
本発明の組成物は、上記各成分を任意の方法で水中に乳化・分散して得られる。本発明の組成物における前記必須成分の含有量(不揮発分)は任意であるが、製造する場合にはその作業性を考慮して、前記不揮発分が1〜50質量%の原液とすることが好ましく、使用に際しては上記原液を10〜1,000質量倍に希釈することが好ましい。
【0026】
本発明のコーティング剤組成物は、前記必須成分に加えて、さらに必要に応じて本発明の目的達成を妨げない範囲において低級アルコール、グリコールエーテル、多価アルコールなどの低温安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの成分安定剤、水溶性高分子物質などの乳化安定剤、そして防腐剤、防錆剤、着色剤、香料などの助剤を含有することができる。
【0027】
本発明の車両表面のコーティング方法は、上記の本発明の組成物を自動式洗車装置を用いて車両表面に付与することを特徴としており、本発明の組成物を用いて自動式洗車機、例えば、門型洗車機、連続式門型洗車機、スプレー式洗車機等を用いて、容易に車両表面をコーティング処理することができる。また、自動車のユーザー個人が、洗車時に手作業で塗布することもできる。車両表面に噴霧または塗布する時の組成物の濃度は特に制限はされないが、通常、シリコーンオイルとポリマー微粒子の合計の濃度が0.05〜1.00質量%程度になるように、本発明の組成物の濃度と自動式洗車装置の自動希釈倍率を設定するとよい。本発明の組成物により処理された車両の塗装面、ガラス面などに、撥水性、光沢性、滑り性等において長期にわたり持続性のあるコーティング被膜を形成することができる。
【実施例】
【0028】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例によってなんら制限されるものではない。
【0029】
[実施例1]
成分aのアミノ変性ポリシロキサン(アミノ当量1,800g/mol、動粘度1,200mm2/s)4質量%と、成分bのアミノ変性ポリシロキサン(アミノ当量6,000g/mol、動粘度4,000mm2/s)6質量%に、成分dのポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB14)3質量%を混合した後、イオン交換水79.5質量%を加えて攪拌乳化し、成分cのポリプロピレン樹脂微粒子(平均粒子径25nm、40質量%水性ディスパージョン)7.5質量%を添加して攪拌分散した後、酢酸にてpHを5〜7に調整し、実施例1の組成物とした。なお、上記における「質量%」は最終的に得られた組成物における各成分の濃度である。
【0030】
[実施例2〜6、比較例1〜4]
実施例1と同様の操作により、実施例2〜6および比較例1〜4の組成物を得た。各例の組成を表1に、各例で用いた成分の詳細を表2に記載した。
【0031】
(試験)
上記実施例および比較例の組成物を用いて、下記の如く車両の表面をコーティングし、下記の各種試験を行なった。試験方法および評価基準を以下に示し、試験結果を後記表3に示した。
[試験方法1:撥水性試験]
車両の表面を、洗浄剤を用いて、完全に水濡れ状態となるまで洗浄した。次に門型洗車機に前記各例のコーティング剤組成物をセットし、水道水にて200倍に自動希釈された液をスプレー塗布した。さらに水洗後、塗装面の撥水状態を目視判定した。
【0032】
[試験方法2:光沢試験]
試験方法1と同一操作によりコーティングを行った後に、洗車機の送風乾燥機にて水滴を除去し、乾燥表面を得た。光沢は目視により、未処理部分と比較判定した。
【0033】
[試験方法3:滑り性試験]
試験方法2と同一操作により車両表面にコーティングを行った。そして、500gの分銅をペーパータオルで包み、車両表面の傾斜面に静かに載せて、これが滑り落ちる速さを目視により比較判定した。
【0034】
(評価基準)
各試験法の評価基準は次の通りである。
[試験方法1:撥水性試験](目視判定)
◎:水滴が球形に近く、水滴が流れ落ちてゆく状態。
○:水滴が半円形に近く、水滴の流れも遅い。
△:水滴が楕円状となり、不均一な水流となる。
×:水滴が不均一で、水濡れする部分がある。
【0035】
[試験方法2:光沢試験](目視判定)
◎:鏡のようにはっきりと景色が映り、明らかな光沢の向上が認められた。
○:光沢の向上が認められた。
△:未処理部分と殆ど光沢の差異がない。
×:表面に細かな粉が付着し、艶消し状態となった。
【0036】
[試験方法3:滑り性試験](目視判定)
◎:手を離すと直ぐに滑り落ちる。
○:ゆっくりと滑り落ちる。
△:未処理部分と殆ど差異が無くあまり滑らない。
×:表面に細かな粉が付着し、滑らない。
【0037】

【0038】

【0039】

【0040】
表3の評価結果より、実施例1〜6では、いずれも撥水性、光沢および滑り性において十分な性能を有していた。これらは、手作業などを要さない自動式洗浄装置でのコーティングでは、従来にない突出した効果であると言える。
【0041】
実施例1および4においては、光沢および滑り性が若干劣っているのは、成分cの粒子径が小さいために、コーティング剤の付着量がやや少なく、効果が若干低下したものと推測される。
【0042】
さらに実施例4および6において、撥水性が若干低下したのは、成分bが吸着性のないジメチルポリシロキサンであるために、総合してコーティング剤の付着量が低下したものと推察される。また、実施例6においては、光沢が若干低下したのは、成分cの粒子径が大きめであることによる影響も考えられる。
【0043】
比較例1〜3は、本発明で示している成分aから成分cの各1種を除いた組成物であり、実施例と比較してかなり低い効果しか得ることができなかった。特に比較例1および3は、コーティング剤の付着が悪く、被膜の性能を十分に発揮するまでの効果は望めない。
【0044】
比較例4は、成分cの粒子径が大きすぎて、車両表面に粉状に付着し、光沢および滑り性ともに効果が得られず、手拭きによる拭き上げ作業が必要となった。これは、本発明の目的とする簡便、かつ迅速な作業には値しないものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のコーティング剤組成物は、洗車機などの自動式洗車装置を用いた車両のコーティングにおいて、手作業などの補助作業を要せず、洗浄機による自動スプレー塗布のみで、簡便かつ迅速に撥水性、光沢および滑り性などに優れた特性を有する被膜を付与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ変性ポリシロキサンとアルキルポリシロキサンまたは変性アルキルポリシロキサンと粒子径25〜500nmの疎水性表面を有するポリマー微粒子と非イオン性界面活性剤および/またはカチオン性界面活性剤と水とから構成されていることを特徴とする車両表面用コーティング剤組成物。
【請求項2】
アミノ変性ポリシロキサンのアミノ当量が、500〜3,000g/molであり、動粘度が、100〜3,000mm2/sである請求項1に記載の車両表面用コーティング剤組成物。
【請求項3】
アルキルポリシロキサンが、ジメチルポリシロキサンまたはジメチルポリシロキサンの一部のメチル基を有機置換基で置換した変性アルキルポリシロキサンである請求項1に記載の車両表面用コーティング剤組成物。
【請求項4】
変性アルキルポリシロキサンが、アミノ当量が3,000g/molを超え、かつ動粘度が3,000mm2/sを超えるアミノ変性ポリシロキサンである請求項1に記載の車両表面用コーティング剤組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両表面用コーティング剤組成物を、自動式洗車装置を用いて車両表面に付与することを特徴とする車両表面のコーティング方法。

【公開番号】特開2007−106844(P2007−106844A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297988(P2005−297988)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(391013106)株式会社パーカーコーポレーション (27)
【Fターム(参考)】