車両貸出管理方法及び車両貸出管理装置
【課題】効率的に偏在を解消することが可能な車両貸出管理方法及び車両貸出管理装置を提供することを目的としている。
【解決手段】複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する。
【解決手段】複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法及び車両貸出管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両を複数人で共同利用するカーシェアリング等のシステムの普及により、旅行等で多地点を移動する際に現地で車両を借りて移動する人が増えつつある。観光などが目的の場合には、車両を駐車場に駐車する時間が長くなる傾向があり、車両は借り手の数が多い程、多くの車両が必要となる。このため駐車場に駐車される車両も多くなる。
【0003】
車両数を減らす貸出方法としては、乗り捨て可能な車両貸出サービス(車両を借りた場所と返却場所が異なる形態の貸出)が知られているが、この様なサービスは、車の返却場所が特定の場所に集中する、所謂偏在が発生してしまう。従来では、偏在を起こさないようにする仕組みとして、例えば料金を安くし、車両が多くある場所からの移動を斡旋する方法や対価を払って会員に車を移動してもらう方法等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−245585号公報
【特許文献2】特開2010−170283号公報
【特許文献3】特開2003−44979号公報
【特許文献4】特開2002−230107号公報
【特許文献5】特開2000−90397号公報
【特許文献6】特開2010−204708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の方法では、偏在を起こさないようにするために、料金を安くしたり、対価を払ったりする必要があるため、より効率的に偏在を解消する仕組みが望まれていた。
【0006】
本発明の一実施形態では、効率的に偏在を解消することが可能な車両貸出管理方法及び車両貸出管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術は、コンピュータが車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法であって、複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する。
【0008】
上記各処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのプログラムを実行する装置、そのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とすることもできる。
【発明の効果】
【0009】
効率的に偏在を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両貸出管理システムの概略を説明する図である。
【図2】車両貸出管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】車両貸出管理装置の機能的構成を示す図である。
【図4】車両管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】利用者管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】利用者特性テーブルの一例を示す図である。
【図7】場所特性テーブルの一例を示す図である。
【図8】移動時間履歴テーブルの一例を示す図である。
【図9】駐車場管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】車両貸出管理装置による偏在発生判定処理を説明するフローチャートである。
【図11】車両貸出管理装置による車両貸出処理を説明するフローチャートである。
【図12】車両貸出管理装置による偏在抑止処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、車両貸出管理システムの概略を説明する図である。
【0012】
本実施例の車両貸出管理システム100は、登録を行った会員間で特定の車両を共同で使用するシステムであり、車両の貸出を管理する車両貸出管理装置200を有する。
【0013】
車両貸出管理装置200は、通信網を介して利用者の有する携帯端末300等に接続され、携帯端末300等から、利用者の位置を示す位置情報や利用者の乗車場所や降車場所を含む利用者情報を受信する。また車両貸出管理装置200は、通信網を介して車両に搭載された車載機(コンピュータ)と接続され、車載機から、車両の位置を示す位置情報や車両の状態を示す状態情報を含む車両情報を受信する。利用者情報と車両情報の詳細は後述する。
【0014】
図1の例では、共同で利用される車両を車両1〜6とし、車両が駐車される駐車場等を地点P1〜P4とした。
【0015】
本実施例の車両貸出管理装置200は、利用者情報と車両情報等に基づき車両の偏在が発生している駐車場があるか否かを検知し、偏在が発生している駐車場から車両を貸し出す際は、複数人の利用者グループに対して複数の車両を貸し出すことで、偏在を解消する。尚本実施例における偏在とは、車両が特定の場所に集中することである。
【0016】
以下に本実施例の車両貸出管理装置200について説明する。図2は、車両貸出管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0017】
図2は、車両貸出管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0018】
車両貸出管理装置200では、入力装置21、出力装置22、ドライバ23、HDD(Hard Disk Drive)24、メモリ装置25、演算処理装置26、インターフェース装置27がバスBで相互に接続されている。
【0019】
バスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライバ23、HDD24、メモリ装置25、演算処理装置26、インターフェース装置27は、演算処理装置26による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。演算処理装置26は、車両貸出管理装置200全体の動作制御を司る中央処理装置である。
【0020】
インターフェース装置27は他の情報処理装置からのデータを受信し、そのデータの内容を演算処理装置26に渡す。さらに、インターフェース装置27は演算処理装置26からの指示に応じて他の情報処理装置にデータを送信する。
【0021】
HDD24には、車両貸出管理装置200の機能を発揮させるプログラムの一部として、少なくとも車両貸出管理装置200に表構造の自動認識処理を実行させる車両貸出管理プログラムが記憶されている。
【0022】
そして車両貸出管理装置200は、演算処理装置26が車両貸出管理プログラムをHDD24から読み出して実行することで、表構造の自動認識機能を有する装置となる。車両貸出管理プログラムは演算処理装置26とアクセス可能なメモリ装置25に格納されていても良い。入力装置21は演算処理装置26の管理下でデータの入力を受付ける。車両貸出管理プログラムは車両貸出管理装置200が読み取り可能な記録媒体28に記録しておくことができる。
【0023】
車両貸出管理装置200で読み取り可能な記録媒体28には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録媒体には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。車両貸出管理プログラムを流通させる場合には、例えば車両貸出管理プログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型の記録媒体28を販売することが考えられる。
【0024】
そして車両貸出管理プログラムを実行する車両貸出管理装置200は、例えばドライバ装置27が車両貸出管理プログラムを記録した記録媒体28から、車両貸出管理プログラムを読み出す。演算処理装置26は、読み出された車両貸出管理プログラムをメモリ装置25若しくはHDD24に格納する。
【0025】
そして車両貸出管理装置200は、自己の記憶装置であるメモリ装置25若しくはHDD24から車両貸出管理プログラムを読み取り、車両貸出管理プログラムに従った処理を実行する。
【0026】
以下に図3を参照して本実施例の車両貸出管理装置200の機能について説明する。図3は、車両貸出管理装置の機能的構成を示す図である。
【0027】
本実施例の車両貸出管理装置200は、通信部210、車両管理部220、利用者管理部230、場所・移動管理部240、貸出管理部250、記憶部260を有する。
【0028】
本実施例の通信部210は、例えばインターフェース装置27により実現される。また本実施例の車両管理部220、利用者管理部230、場所・移動管理部240、貸出管理部250は、演算処理装置26がメモリ装置25若しくはHDD24から車両貸出管理プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0029】
本実施例の記憶部260には、車両管理テーブル261、利用者管理テーブル262、利用者特性テーブル263、場所特性テーブル264、移動時間履歴テーブル265、駐車場管理テーブル262が格納されている。記憶部260は、例えば車両貸出管理装置200のHDD24及び/又は主記憶装置23に設けられた記憶領域である。
【0030】
通信部210は、通信網を介して利用者の有する端末装置300及び車両1に搭載された車載機10との通信を行う。尚図3では、車両1のみを記載しているが、通信部210は車両貸出管理装置200により管理される全ての車両に搭載された車載機との通信を行う。本実施例では、通信部210は、車両1〜6との通信を行う。
【0031】
車両管理部220は、車両管理テーブル261を管理する。利用者管理部230は、利用者管理テーブル262及び利用者特性テーブル263を管理する。場所・移動管理部240は、場所特性テーブル264、移動時間履歴テーブル265、駐車場管理テーブル266を管理する。各テーブルの詳細は後述する。
【0032】
貸出管理部250は、車両の貸出の管理を行う。具体的には貸出管理部250は、駐車場管理テーブル266に登録された駐車場において、偏在が発生している駐車場又は偏在が発生しそうな駐車場を検知し、検知された駐車場から車両を貸し出す際に、複数人の利用者グループに対して複数の車両を貸し出す。また貸出管理部250は、複数の車両を貸し出した際に、それぞれの車両の目的地点となる駐車場が異なるように
貸出管理部250は、偏在検知部251、車両貸出処理部252、偏在抑止処理部253を有する。偏在検知部251は、利用者特性テーブル263、駐車場管理テーブル262を参照し、偏在が発生している又は偏在が発生しそうな駐車場を検知する。車両貸出処理部252は、偏在検知部251により検知された駐車場から車両を貸し出す際に、複数人の利用者グループに対して複数の車両に分乗するように促す処理を行う。偏在抑止処理部253は、車両による移動の目的地点で偏在が発生することを抑止する処理を行う。上記各部の処理の詳細は後述する。
【0033】
本実施例の携帯端末300は、例えば利用者の有する携帯電話機やパーソナルコンピュータ等である。本実施例の携帯端末300では、利用者による利用者情報や車両貸出要求や予約に係る情報の入力が行われる。携帯端末300において入力された利用者情報や予約に係る情報は、車両貸出管理装置200へ送信され、利用者管理部230により利用者間管理テーブル262や利用者特性テーブル264等に反映される。また携帯端末300は、利用者の操作により車両貸出要求がなされると、車両貸出要求を車両貸出管理装置200へ送信する。車両貸出要求には、例えば利用者の希望する乗車場所と降車場所とが含まれていても良い。
【0034】
本実施例の車両1には、車載機10が搭載されている。車載機10は、通信部11、制御部12、記憶部13、表示部14、カードリーダ15を有する。通信部11は、車両貸出管理装置200と通信網を介して通信を行う。制御部12は、利用者に対する車両1の貸出及び返却を制御する。記憶部13は、例えば車両の状態情報や位置情報、車両1を利用する利用者ID等を記憶する。表示部14は、車両1の利用者に対して各種のメッセージや案内を表示させる。表示部14は、例えばタッチパネル等のように操作部材を含むものであっても良い。
【0035】
本実施例の車載機10では、例えば利用者が非接触読み書き方式のスマートカードがカードリーダ15に翳されると、カードリーダ15により読み取られた信号を制御部12へ通知する。制御部12は、通信部11を介して、利用者が車両1の利用を求めたことを、車両貸出管理装置200へ送信し、車両1の貸出しの許可を求める。
【0036】
また車載機10の記憶部13は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)から構成され、車両毎に割り当てられた車両1の車両番号や車両1を利用可能な利用者の利用者IDを予め記憶していても良い。車載機10では、利用者がスマートカードをかざし、表示部14から利用者IDを入力すると、制御部12が記憶部13に記憶された利用者IDと入力された利用者IDとを照合する。そして両者が一致すれば車両1のドアロック機構がドアキーの解除を行う。
【0037】
本実施例の車両貸出管理装置200は、車載機10から車両1の利用が要求されると、車両管理テーブル261を参照し、車両1の利用の可否を判断し、その結果を車載機10へ送信する。車載機10は、車両1の利用が可能と判断された場合に車両1の駆動系を起動可能な状態としても良い。また車載機10は、通信部11により、車両1の駆動系が起動可能とされたことを車両貸出管理装置200へ通知しても良い。
【0038】
車両貸出管理装置200は、この通知を受けて、貸出処理が完了したものとし、車両管理部220により車両管理テーブル261、利用者管理テーブル262を更新しても良い。尚本実施例では、車両1の貸し出しの際に、車載機10のカードリーダ15にスマートカードを翳すものとしたが、これに限定されない。貸し出しの要求を行う信号は、例えば磁気カード、ICチップを内蔵した携帯電話機等、記録されたID番号が読み書きできる媒体であれば良い。またカードリーダ15は、媒体に対応したものであれば良い。
【0039】
また車両1が返却される際には、例えば利用者の操作により、制御部12が駆動系を停止させ、起動不能な状態とされる。車載機10は、駆動系が停止されると、車両貸出管理装置200へ通知を行っても良い。車両貸出管理装置200は、駆動系の停止の通知を受けて、車両管理部220により車両管理テーブル261と利用者管理テーブル262を更新しても良い。また本実施例の車両1は、図示していないが、GPS(Global Positioning System)機能を有していても良い。
【0040】
尚本実施例における車両の貸出及び返却は、例えば特許第4202005号公報に記載される公知技術により行われても良い。具体的には例えば、車両の駆動装置を始動するための機械的な開閉装置の操作の可否が制御可能なイグニッション機構を備え、利用者が入力した個人情報と利用者に与えられた個人情報とが一致し且つ目的地点が設定されたとき、イグニッション機構を操作可能とする。そしてこのイグニッション機構の操作に基づき車両の貸出と返却を管理しても良い。
【0041】
次に、図4乃至図9を参照して本実施例の記憶部260に格納された各テーブルの詳細を説明する。以下に説明する各デーブルは、予め車両貸出管理装置200に格納されるものであり、車両の貸出や移動、利用者情報の入力等により適宜更新される。
【0042】
図4は、車両管理テーブルの一例を示す図である。図4の車両管理テーブル261では、車番、車両の状態、車両の位置、利用時間が対応付けられている。車番は、各車両を識別するための識別子である。車両管理テーブル261に格納された情報は、車両情報に含まれる。
【0043】
本実施例の車両管理テーブル261は、車両管理部220により管理される。具体的には車両管理テーブル261は、例えば車両の貸出及び返却が行われたとき、車両管理部220により更新されても良い。また車両管理テーブル261は、例えば所定間隔毎に車両管理部220により更新されても良い。
【0044】
車両管理テーブル261において、車両の状態とは、時間TAにおいて、車両が利用者により利用されているか否かを示す状態情報である。図4では、時間TAにおいて車両1、2、4、5が利用中である。車両の位置は、時間TAにおける車両の位置を示す位置情報である。利用時間は、車両が利用者に利用される予定の時間である。
【0045】
図5は、利用者管理テーブルの一例を示す図である。図5の利用者管理テーブル262では、利用者ID、利用者による利用状態、車番、利用時間が対応付けられている。利用者管理テーブル262に格納された情報は、利用者情報の一部である。
【0046】
本実施例の利用者管理テーブル262は、利用者管理部230により管理される。具体的には利用者管理テーブル262は、例えば車両の貸出及び返却が行われたとき、利用者管理部230により更新されても良い。また利用者管理テーブル262は、例えば所定間隔毎に利用者管理部230により更新されても良い。
【0047】
図5では、時間TAにおいて利用者IDがAの利用者(以下、利用者A)が車両1を利用中であることがわかる。また例えば利用者Aの車両1の利用時間が7時から14時までであることがわかる。また例えば利用者IDがBの利用者(以下、利用者B)が車両2を利用していることがわかる。利用者Bによる車両2の利用時間は、9時から11時までである。また例えば利用者IDがEの利用者(以下、利用者E)は、車両2を利用者Bによる利用が終了した後の13時から16時まで利用する予定であることがわかる。
【0048】
図6は、利用者特性テーブルの一例を示す図である。図6の利用者特性テーブル263では、利用者ID、利用者人数、運転免許保持者数、分乗の可否、相乗の可否、移動区分、乗車場所、降車場所、乗車時刻、降車時刻、再乗車有無が対応付けられて格納されている。
【0049】
利用者特性テーブル263は、例えば携帯端末300により利用者に係る情報が入力されたとき、利用者管理部230により更新されても良い。利用者特性テーブル263に格納された情報は、利用者情報の一部である。
【0050】
利用者特性テーブル263において、利用者人数は、利用者IDの対応する利用者を含む複数人で車両を利用する際の利用者グループの人数である。運転免許保持者数は、車両を利用する利用者グループにおいて、車両の運転免許を有する人の人数を示す。
【0051】
分乗可否は、利用者グループを複数の車両に分乗させることが可能か否かを示す。相乗可否は、利用者グループが利用する車両に、他の利用者が相乗りすることが可能か否かを示す情報である。運転希望度は、例えば分乗する際や移動する際に、自動車の運転を希望する度合いを示す情報である。
【0052】
移動区分は、移動の目的を示す情報である。乗車場所、降車場所は、それぞれ利用者が車両に乗車した場所と降車した場所とを示す情報である。本実施例における場所とは、例えば利用者の目的地として設定される施設名や建物名等である。乗車時刻、降車時刻は、それぞれ利用者が車両に乗車した時刻、降車した時刻を示す情報である。再乗車有無は、降車場所において降車した利用者が、降車場所から再度車両に乗車したか否かを示す情報である。
【0053】
図6において、例えば利用者Aは、4人のグループであり、運転免許を保持している人数は1人である。尚利用者Aは、グループの代表となる利用者であっても良い。図6では、利用者Aのグループは、分乗は不可であり相乗は可能である。運転希望度は3である。図6では、例えば運転希望度は1から5の数値で示されるものであり、運転を希望する度合いが強くなるほど数値が大きくなるものとしても良い。利用者Aのグループのように、運転希望度が3である場合には、運転をしてもしなくてもよい、といった意味を示しても良い。
【0054】
また図6では、利用者Aのグループの移動区分は観光であり、乗車場所は「え」、降車場所は「あ」であり、再乗車有りとなっている。すなわち利用者Aのグループは、降車場所「え」から再度車両に乗車していることがわかる。
【0055】
図6における利用者Bのグループでは、グループの人数は2人、運転免許を保持している利用者の人数も2人、分乗も相乗も可能、運転希望度は5、移動区分はビジネス、乗車場所は「あ」、降車場所は「お」、再乗車は無し、となる。
【0056】
図7は、場所特性テーブルの一例を示す図である。図7の場所特性テーブル264では、場所、属性、滞在時間、駐車場数、駐車場ナンバー、距離1、距離2、再乗車率が対応付けられて格納されている。
【0057】
場所特性テーブル264は、例えば車両の乗降が行われる度に、場所・移動管理部240により更新されても良い。
【0058】
場所特性テーブル264において、属性は、場所の種類を示す情報である。滞在時間は、各場所に利用者が滞在した時間を示す情報であり、最小の滞在時間、最大の滞在時間及び滞在時間の平均が含まれる。本実施例では、車両への乗降が行われる度に、場所・移動管理部240により最新の滞在時間が算出されて更新されても良い。滞在時間の単位は「分」である。
【0059】
駐車場数は、一つの場所に設けられた駐車場の数を示す情報である。本実施例では、一つの場所から所定距離内にある駐車場全てを一つの場所に設けられた駐車場とする。駐車場ナンバーは、駐車場毎に割り振られた番号(識別子)である。距離1、距離2は、場所から駐車場までの距離を示す。距離の単位はメートル(m)である。再乗車率は、降車地点において降車した利用者が、降車地点から再度車両に乗車する割合を示す。
【0060】
例えば図7では、場所「あ」は、観光に属する場所であり、利用者の滞在時間の最小値は20分、最大値が60分、平均値は40分である。また場所「あ」には、駐車場が2つ設けられており、駐車場ナンバーは、P1とP4である。駐車場P1,P4のうち、場所「あ」と近い方の駐車場P1と場所「あ」との距離は100mであり、駐車場P4と場所「あ」との距離は150mである。また場所「あ」における再乗車率は70%である。
【0061】
また図7において、場所「お」は、バス停であり、利用者は場所「お」にほとんど滞在しない。場所「お」に設けられた駐車場は1つであり、駐車場ナンバーは、P2である。場所「お」から駐車場P2までの距離は10mであり、再乗車率は40%である。
【0062】
また図7において、場所「か」は、駅であり、利用者の滞在時間の最小値は20分、最大値が60分、平均値は30分である。場所「か」に設けられた駐車場は2つであり、駐車場ナンバーは、P2、P3である。ここで駐車場P2は、場所「お」であるバス停からの距離も場所「か」からの距離も所定距離内であるため、場所「お」及び場所「か」の両方に設けられた駐車場として共有される。場所「か」から駐車場P2までの距離は60mであり、場所「か」から駐車場P3までの距離は90mであり、再乗車率は20%である。
【0063】
図8は、移動時間履歴テーブルの一例を示す図である。移動時間履歴テーブル265では、駐車場間の移動時間の履歴を管理するテーブルであり、場所・移動管理部240により管理される。場所・移動管理部240は、車両による駐車場間の移動がある度に、最新の移動時間を算出し移動時間履歴テーブル265を更新しても良い。
【0064】
移動時間履歴テーブル265は、出発地点、目的地点、移動時間が対応付けられている。出発地点と目的地点は、駐車場ナンバーにより示される。移動時間は、移動時間の最小値、最大値、平均値が含まれる。移動時間の単位は分である。
【0065】
例えば図8では、出発地点である駐車場P1から目的地点である駐車場P2へ移動する際の移動時間の最小値は20分であり、最大値は60分であり、平均値は40分である。また出発地点である駐車場P1から目的地点である駐車場P3へ移動する際の移動時間の最小値は20分であり、最大値は120分であり、平均値は60分である。また移動時間履歴テーブル265では、駐車場P3から駐車場P1へ移動する車両は存在しない。
【0066】
図9は、駐車場管理テーブルの一例を示す図である。駐車場管理テーブル266は、駐車場の状態を管理するテーブルである。
【0067】
駐車場管理テーブル266は、駐車場ナンバー、駐車可能台数、偏在しきい値、駐車台数、偏在フラグ、近隣の場所、近隣の駐車場が対応付けられている。場所・移動管理部240は、車両による駐車場間の移動がある度に、駐車場管理テーブル266を更新しても良い。
【0068】
本実施例の偏在しきい値は、駐車場毎に予め設定された値であり、各駐車場に偏在が発生していると判断する基準となるしきい値である。本実施例の偏在フラグは、偏在が既に発生しているか否かを示すものであり、偏在フラグがオフ場合、駐車場で偏在が発生していないことを示し、偏在フラグがオンの場合駐車場で偏在が発生していることを示す。
【0069】
本実施例では、場所特性テーブル264において滞在時間が長く、再乗車率が低い場所は偏在しきい値を小さく設定することが好ましい。このように偏在しきい値を設定すれば、早めに偏在フラグをオンにさせ、車両の集中を抑制することができる。
【0070】
例えば図9では、駐車場P1の駐車可能台数は10台であり、偏在しきい値は7であり、駐車台数は4台である。また偏在フラグはオフであり、近隣の場所は場所「あ」であり、近隣の駐車場はP4である。本実施例では、偏在しきい値が7であるのに対し、駐車台数が4台であるため、偏在は発生していないものとされ、偏在フラグはオフとなっている。
【0071】
また駐車場P4の駐車可能台数は8台であり、偏在しきい値は6であり、駐車台数は6台である。また偏在フラグはオンであり、近隣の場所は場所「あ」、「え」であり、近隣の駐車場はP1である。本実施例では、偏在しきい値が6であるのに対し、駐車台数が6台であるため、偏在は発生しているものとされ、偏在フラグはオンとなっている。
【0072】
次に、本実施例の車両貸出管理装置200の動作を説明する。本実施例の車両貸出管理装置200は、所定時間毎に偏在発生判定処理を行う。
【0073】
図10は、車両貸出管理装置による偏在発生判定処理を説明するフローチャートである。本実施例の車両貸出管理装置200の貸出管理部250は、例えばT分毎に以下に説明する偏在発生判定処理を行う。
【0074】
貸出管理部250において、偏在検知部251は、T分毎に駐車場管理テーブル266に格納された全ての駐車場について、ステップS1002以降の処理を行う(ステップS1001)。偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266を参照し、駐車場に駐車している車両の台数をLとする(ステップS1002)。以下では、駐車場P1を例として説明する。駐車場管理テーブル266では、駐車場P1に駐車された車両は4台である。よって偏在検知部251は、L=4とする。
【0075】
続いて偏在検知部251は、Lが駐車場P1に設定された偏在しきい値より大きいか否かを判断する(ステップS1003)。ステップS1003において、Lが偏在しきい値より大きいとき、偏在検知部251は、移動時間履歴テーブル265を参照し、Lの値(駐車場P1に駐車された車両の台数)に、T分以内に駐車場P1に到着する予定の車両の数を算出する(ステップS1004)。具体的には偏在検知部251は、車両管理テーブル261において利用中の車両のうち、駐車場P1が設けられた場所「あ」を目的地としている車両を特定し、車両の位置と移動時間履歴テーブル265からT分以内に駐車場P1に到着する予定の車両の数を算出する。偏在検知部251は、算出された車両の数をLとする。ここではT分以内に駐車場P1に到着予定の車両の数=Lとなる。
【0076】
ステップS1003においてLの値が偏在しきい値以下のとき、偏在検知部251は後述するステップS1011に進む。
【0077】
次に偏在検知部251は、利用者特性テーブル263と場所特性テーブル264を参照し、T分後の駐車場P1での再乗車予定の利用者数をカウントし、カウント結果をKとする(ステップS1005)。具体的には偏在検知部251は、利用者特性テーブル263の降車時刻と再乗車の有無と、場所特性テーブル264の滞在時間を参照し、T分後の駐車場P1での再乗車予定の利用者数をカウントする。
【0078】
次に偏在検知部251は、利用者特性テーブル263と場所特性テーブル264を参照し、T分後の駐車場P1での再乗車を行うか否かが不明の利用者数をカウントし、カウント結果をJとする(ステップS1006)。具体的には偏在検知部251は、利用者特性テーブル263において再乗車の有無が入力されていない利用者数をカウントする。
【0079】
続いて偏在検知部251は、ステップS1006でカウントされたJに、場所特性テーブル264の再乗車率をかけた値をJとする(ステップS1007)。具体的には偏在検知部251は、例えば場所特定テーブル264において駐車場P1が設けられた場所「あ」の再乗車率が70%であるから、ステップS1006でカウントされた利用者数に0.7をかけた値がJとなる。
【0080】
続いて偏在検知部251は、ステップS1004で算出したLの値から、ステップS1005でカウントしたKの値とステップS1007で算出されたJとを減算し、減算結果をLとする(ステップS1008)。次に偏在検知部251は、Lの値が偏在しきい値より大きいか否かを判断する(ステップS1009)。
【0081】
ステップS1009においてLの値が偏在しきい値より大きいとき、偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266の駐車場P1の偏在フラグをオンに設定する(ステップS1010)。ステップS1009においてLの値が偏在しきい値以下のとき、偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266の駐車場P1の偏在フラグをオフに設定する(ステップS1011)。
【0082】
偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266に格納された全ての駐車場について、ステップS1002からステップS1011までの処理を繰り替し、偏在発生判定処理を終了する(ステップS1012)。
【0083】
尚本実施例の偏在発生判定処理は、T分毎に実行されるものとしたが、これに限定されない。本実施例の偏在発生判定処理は、例えば車両の出発や車両の目的値到着を検知した際に実行されても良い。
【0084】
また本実施例では、これから駐車場に到着する車両の数も考慮しているため、高精度に偏在発生の判定を行うことができる。
【0085】
次に本実施例の車両貸出管理装置200による車両の貸出処理について説明する。本実施例の車両貸出管理装置200は、偏在が発生している駐車場では、より多くの車両を駐車場から出すように、車両の貸出処理を行う。
【0086】
図11は、車両貸出管理装置による車両貸出処理を説明するフローチャートである。
【0087】
本実施例の車両貸出管理装置200の貸出管理部250は、例えば以下に説明する車両貸出処理を行う。尚図11では、複数人からなる利用者グループからの貸出要求を受けた場合の車両貸出処理である。
【0088】
貸出管理部250において、車両貸出処理部252は、端末装置300から車両の貸出要求を受けると、場所特性テーブル264を参照し、利用者の乗車場所付近の駐車場を検出する(ステップS1101)。続いて車両貸出処理部252は、Jの値を∞とし、iの値を1とし、Pxを0とする(ステップS1102)。続いて車両貸出処理部252は、ステップS1101で検索した駐車場の数をPiと、ステップS1104からステップS1106の処理を、Pi回行う(ステップS1103)。
【0089】
車両貸出管理装置200は、場所特性テーブル264を参照し、Lの値を駐車場に駐車している車両台数の値とする(ステップS1104)。続いて車両貸出処理部252は、Lの値が偏在しきい値からJの値を減算した値以下であるか否かを判断する(ステップS1105)。ステップS1102においてJ=∞、i=1としているため、ステップS1105が最初に実行される際には、Lの値は偏在しきい値からJの値を減算した値より大きい。
【0090】
よって車両貸出処理部252は、駐車場Pxを駐車場Piとし、J=偏在しきい値−Lとする(ステップS1106)。続いて車両貸出処理部252は、i=i+1とする(ステップS1107)。
【0091】
車両貸出処理部252は、ステップS1104からステップS1107までの処理を、Pi回行う(ステップS1108)。
【0092】
例えばステップS1101において利用者の乗車場所が場所「か」であった場合、検索された駐車場は、駐車場P2と駐車場P3となる。そこで車両貸出処理部252は、駐車場管理テーブル266を参照し、ステップS1104において始めに駐車場P2の駐車台数である4をLの値とする。続いて車両貸出処理部252は、駐車場P2の偏在しきい値が3であるため、ステップS1105におい、Jが−1以下であるか否かを判断する。このときJ=∞であるから、車両貸出処理部252はステップS1106へ進む。
【0093】
車両貸出処理部252は、ステップS1106において、次の処理対象の駐車場を駐車場P3とし、J=−1とする。
【0094】
次に車両貸出処理部252は、ステップS1104へ戻り、駐車場P3の駐車台数である1をLの値とする。続いて車両貸出処理部252は、駐車場P3の偏在しきい値が4であるため、ステップS1105において、Jが3以下か否かを判断する。このときJ=−1であるから、車両貸出処理部252はステップS1107へ進む。
【0095】
本実施例の車両貸出処理部252は、ステップS1103からステップS1108の処理により、最も偏在している駐車場又は偏在に近い駐車場と、偏在しきい値と駐車台数との乖離数とを検出している。尚本実施例では、Jが偏在しきい値と駐車台数との乖離数を示す値である。本実施例では、利用者の乗車場所付近の駐車場のうち、最も偏在している駐車場又は偏在に近い駐車場を、車両を貸し出す駐車場(出発地点となる駐車場)として選択する。
【0096】
続いて車両貸出処理部252は、Jが0以上であるか否かを判断する(ステップS1109)。ステップS1109において、Jが0以上であった場合、車両貸出処理部252は、車両1台の貸し出す(ステップS1110)。具体的には車両貸出処理部252は、車両の貸出要求があった携帯端末300に対し、車両を貸し出す駐車場と、車両を1台貸し出すことを通知するメッセージ等を送信し、携帯端末300にこれを表示させる。
【0097】
ステップS1109において、Jが0以上でない場合、車両貸出処理部252は、利用者特性テーブル263を参照し、貸出要求を行った利用者グループの分乗の可否を示す情報と、運転免許保持者の数とを取得する(ステップS1111)。
【0098】
続いて車両貸出処理部252は、利用者グループの分乗の可否を判断する(ステップS1112)。ステップS1112において分乗不可である場合、車両貸出処理部252は、ステップS1110へ進む。
【0099】
ステップS1112において分乗可能である場合、車両貸出処理部252は、場所特性テーブル264を参照し、利用者からの貸出要求に含まれる降車場所付近に設けられた全ての駐車場を目的地点として選択する(ステップS1113)。
【0100】
続いて車両貸出処理部252は、駐車場管理テーブル266を参照し、ステップS1113で目的地点として選択された全ての駐車場の偏在フラグを取得する(ステップS1114)。続いて車両貸出処理部252は、偏在フラグに基づき、選択された全ての駐車場で偏在が発生しているか否かを判断する(ステップS1115)。
【0101】
ステップS1115において、全ての駐車場に偏在が発生している場合、車両貸出処理部252は、ステップS1110へ進む。ステップS1115において、全ての駐車場に偏在が発生していない場合、車両貸出処理部252は、Jの値にステップS1111で取得した運転免許保持者数を加算した値をKとする(ステップS1116)。
【0102】
続いて車両貸出処理部252は、Kが0より大きい場合(ステップS1117)、Jの値の絶対値と同じ台数を貸し出す(ステップS1118)。ステップS1117においてLが0以下である場合、車両貸出処理部252は、利用者グループの運転免許保持者数と同じ台数を貸し出す(ステップS1119)。ステップS1118、1119において、具体的には車両貸出処理部252は、携帯端末300に対し、分乗を依頼するメッセージ等と貸し出す車両の台数を送信し、携帯端末300にこれを表示させる。
【0103】
本実施例では、このように、降車場所付近に設けられた駐車場全てに偏在が発生していた場合には、分乗を斡旋しないことで、目的地点となる駐車場での偏在の発生の抑制に貢献できる。また本実施例では、降車場所付近に設けられた駐車場全てに偏在が発生していない場合には、分乗を斡旋することにより、出発地点となる駐車場からより多くの車両を出すことができ、偏在の解消に貢献できる。
【0104】
さらに本実施例では、偏在抑止処理部253により、目的地点となる駐車場での偏在の発生をさらに抑制する。
【0105】
図12は、車両貸出管理装置による偏在抑止処理を説明するフローチャートである。
【0106】
本実施例の車両貸出管理装置200の偏在抑止処理部253は、例えば以下に説明するように、駐車台数が少ない駐車場を目的地点として選択し、利用者を誘導する。
【0107】
本実施例の車両貸出管理装置200において、偏在抑止処理部253は、利用者からの貸出要求に含まれる降車場所を取得する(ステップS1201)。続いて偏在抑止処理部253は、場所特性テーブル264を参照し、利用者の降車場所付近に設けられた駐車場を検索する(ステップS1202)。続いて偏在抑止処理部253は、Jの値を∞とし、Pxを0とし、iの値を1とする(ステップS1203)。
【0108】
続いて偏在抑止処理部253は、ステップS1205〜ステップS1208までの処理をステップS1202で検索された駐車場の数と同じ回数繰り返す(ステップS1204)。
【0109】
偏在抑止処理部253は、移動時間履歴テーブル265を参照して、出発地点となる駐車場から目的地点となる駐車場Piまでの移動時間Tを取得する(ステップS1205)。続いて偏在抑止処理部253は、場所特性テーブル264を参照し、Lの値を駐車場Piの駐車台数とする(ステップS1206)。
【0110】
続いて偏在抑止処理部253は、Lの値に、ステップS1205で取得した移動時間T以内に到着予定の車両数を加算する(ステップS1207)。続いて偏在抑止処理部253は、利用者特性テーブル263と場所特性テーブル264とを参照し、T時間以内の再利用者数を算出し、算出結果の値をKとする(ステップS1208)。
【0111】
続いて偏在抑止処理部253は、Lの値からKの値を減算した結果をLの値とする(ステップS1209)。続いて偏在抑止処理部253は、Lの値が偏在しきい値より小さいか否かを判断する(ステップS1210)。
【0112】
ステップS1210においてLの値が偏在しきい値より小さい場合、PxをPiとし(ステップS1211)、駐車場Piを目的地点として利用者を誘導する(ステップS1212)。具体的には偏在抑止処理部253は、目的地点が駐車場Piであることを携帯端末300へ通知し、携帯端末300にその旨を表示させる。
【0113】
ステップS1210においてLの値が偏在しきい値以上である場合、偏在抑止処理部253は、駐車場管理テーブル266を参照し、駐車場Piが満車か否かを判断する(ステップS1213)。
【0114】
ステップS1213において駐車場Piが満車の場合、偏在抑止処理部253は、後述するステップS1216へ進む。ステップS1213において駐車場Piが満車でない場合、偏在抑止処理部253は、Jの値がLの値から偏在しきい値を減算した値より大きいか否かを判断する(ステップS1214)。
【0115】
ステップS1214においてJの値がLの値から偏在しきい値を減算した値以下場合、偏在抑止処理部253は後述するステップS1216へ進む。
【0116】
ステップS1214においてJの値がLの値から偏在しきい値を減算した値より大きい場合、偏在抑止処理部253は、Lの値から偏在しきい値を減算した値をJの値とし、PxをPiとする(ステップS1215)。続いて偏在抑止処理部253は、iの値をi+1の値とする(ステップS1216)。
【0117】
偏在抑止処理部253は、ステップS1205からステップS1216までの処理を、繰り替えし、処理を終了する(ステップS1217)。
【0118】
本実施例では、この偏在抑止処理により、分乗された車両の目的地点となる駐車場がそれぞれ異なるように利用者を誘導できる。よって目的地点となる駐車場の発生を抑制し、目的地点の駐車場の偏在発生の抑制に貢献することができる。
【0119】
このように本実施例の車両貸出管理装置200では、出発地点となる駐車場に偏在が発生しているか、又は偏在が発生しそうな場合には、利用者グループに車両の分乗を促してより多くの車両を出発地点の駐車場から出す。さらに目的地点となる駐車場の偏在を抑制するため、目的地点の駐車場に偏在が発生しそうな場合には、分乗した車両をそれぞれ異なる駐車場へ誘導する。本実施例の車両貸出管理装置200では、この仕組みにより、効率的に偏在を解消することができる。
【0120】
本発明は、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
コンピュータが車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、
駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出管理方法。
(付記2)
駐車場間の移動時間が格納された移動時間履歴テーブルを参照し、所定時間以内に到着する車両の台数を含めて、前記所定数以上の車両が駐車している駐車場又は前記最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する付記1記載の車両貸出管理方法。
(付記3)
前記利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの降車場所を取得し、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場に所定数以上の車両が駐車している場合、前記通知を送信しない付記1又は2記載の車両貸出管理方法。
(付記4)
前記降車場所付近の駐車場が複数存在するとき、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場のうち、所定数未満の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記特定した駐車場へ分乗された車両を誘導する通知を送信する付記3の何れか一項に記載の車両貸出管理方法。
(付記5)
駐車場間の移動時間が格納された移動時間履歴テーブルを参照し、所定時間以内に到着する車両の台数を含めて、前記所定数未満の車両が駐車している駐車場を特定する付記4記載の車両貸出管理方法。
(付記6)
前記利用者特性テーブルには、前記利用者グループが分乗可能か否かを示す情報が含まれており、
分乗が可能な利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記通知を送信する付記1ないし5の何れか一項に記載の車両貸出管理方法。
(付記7)
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得する処理と、
駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する処理と、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する処理と、をコンピュータに実行させる車両貸出管理プログラム。
(付記8)
車両の貸出処理を行う車両貸出管理装置であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する偏在検知部と、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出処理部と、を有する車両貸出管理装置。
【符号の説明】
【0121】
100 車両貸出管理システム
200 車両貸出管理装置
250 貸出管理部
251 偏在検出部
252 車両貸出処理部
253 偏在抑止処理部
260 記憶部
300 端末装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法及び車両貸出管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両を複数人で共同利用するカーシェアリング等のシステムの普及により、旅行等で多地点を移動する際に現地で車両を借りて移動する人が増えつつある。観光などが目的の場合には、車両を駐車場に駐車する時間が長くなる傾向があり、車両は借り手の数が多い程、多くの車両が必要となる。このため駐車場に駐車される車両も多くなる。
【0003】
車両数を減らす貸出方法としては、乗り捨て可能な車両貸出サービス(車両を借りた場所と返却場所が異なる形態の貸出)が知られているが、この様なサービスは、車の返却場所が特定の場所に集中する、所謂偏在が発生してしまう。従来では、偏在を起こさないようにする仕組みとして、例えば料金を安くし、車両が多くある場所からの移動を斡旋する方法や対価を払って会員に車を移動してもらう方法等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−245585号公報
【特許文献2】特開2010−170283号公報
【特許文献3】特開2003−44979号公報
【特許文献4】特開2002−230107号公報
【特許文献5】特開2000−90397号公報
【特許文献6】特開2010−204708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の方法では、偏在を起こさないようにするために、料金を安くしたり、対価を払ったりする必要があるため、より効率的に偏在を解消する仕組みが望まれていた。
【0006】
本発明の一実施形態では、効率的に偏在を解消することが可能な車両貸出管理方法及び車両貸出管理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術は、コンピュータが車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法であって、複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する。
【0008】
上記各処理をコンピュータに実行させるためのプログラム、そのプログラムを実行する装置、そのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体とすることもできる。
【発明の効果】
【0009】
効率的に偏在を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】車両貸出管理システムの概略を説明する図である。
【図2】車両貸出管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】車両貸出管理装置の機能的構成を示す図である。
【図4】車両管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】利用者管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】利用者特性テーブルの一例を示す図である。
【図7】場所特性テーブルの一例を示す図である。
【図8】移動時間履歴テーブルの一例を示す図である。
【図9】駐車場管理テーブルの一例を示す図である。
【図10】車両貸出管理装置による偏在発生判定処理を説明するフローチャートである。
【図11】車両貸出管理装置による車両貸出処理を説明するフローチャートである。
【図12】車両貸出管理装置による偏在抑止処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は、車両貸出管理システムの概略を説明する図である。
【0012】
本実施例の車両貸出管理システム100は、登録を行った会員間で特定の車両を共同で使用するシステムであり、車両の貸出を管理する車両貸出管理装置200を有する。
【0013】
車両貸出管理装置200は、通信網を介して利用者の有する携帯端末300等に接続され、携帯端末300等から、利用者の位置を示す位置情報や利用者の乗車場所や降車場所を含む利用者情報を受信する。また車両貸出管理装置200は、通信網を介して車両に搭載された車載機(コンピュータ)と接続され、車載機から、車両の位置を示す位置情報や車両の状態を示す状態情報を含む車両情報を受信する。利用者情報と車両情報の詳細は後述する。
【0014】
図1の例では、共同で利用される車両を車両1〜6とし、車両が駐車される駐車場等を地点P1〜P4とした。
【0015】
本実施例の車両貸出管理装置200は、利用者情報と車両情報等に基づき車両の偏在が発生している駐車場があるか否かを検知し、偏在が発生している駐車場から車両を貸し出す際は、複数人の利用者グループに対して複数の車両を貸し出すことで、偏在を解消する。尚本実施例における偏在とは、車両が特定の場所に集中することである。
【0016】
以下に本実施例の車両貸出管理装置200について説明する。図2は、車両貸出管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0017】
図2は、車両貸出管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【0018】
車両貸出管理装置200では、入力装置21、出力装置22、ドライバ23、HDD(Hard Disk Drive)24、メモリ装置25、演算処理装置26、インターフェース装置27がバスBで相互に接続されている。
【0019】
バスBで相互に接続されている入力装置21、出力装置22、ドライバ23、HDD24、メモリ装置25、演算処理装置26、インターフェース装置27は、演算処理装置26による管理下で相互にデータの送受を行うことができる。演算処理装置26は、車両貸出管理装置200全体の動作制御を司る中央処理装置である。
【0020】
インターフェース装置27は他の情報処理装置からのデータを受信し、そのデータの内容を演算処理装置26に渡す。さらに、インターフェース装置27は演算処理装置26からの指示に応じて他の情報処理装置にデータを送信する。
【0021】
HDD24には、車両貸出管理装置200の機能を発揮させるプログラムの一部として、少なくとも車両貸出管理装置200に表構造の自動認識処理を実行させる車両貸出管理プログラムが記憶されている。
【0022】
そして車両貸出管理装置200は、演算処理装置26が車両貸出管理プログラムをHDD24から読み出して実行することで、表構造の自動認識機能を有する装置となる。車両貸出管理プログラムは演算処理装置26とアクセス可能なメモリ装置25に格納されていても良い。入力装置21は演算処理装置26の管理下でデータの入力を受付ける。車両貸出管理プログラムは車両貸出管理装置200が読み取り可能な記録媒体28に記録しておくことができる。
【0023】
車両貸出管理装置200で読み取り可能な記録媒体28には、磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録媒体には、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ(MT)などがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc − Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。また、光磁気記録媒体には、MO(Magneto − Optical disk)などがある。車両貸出管理プログラムを流通させる場合には、例えば車両貸出管理プログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型の記録媒体28を販売することが考えられる。
【0024】
そして車両貸出管理プログラムを実行する車両貸出管理装置200は、例えばドライバ装置27が車両貸出管理プログラムを記録した記録媒体28から、車両貸出管理プログラムを読み出す。演算処理装置26は、読み出された車両貸出管理プログラムをメモリ装置25若しくはHDD24に格納する。
【0025】
そして車両貸出管理装置200は、自己の記憶装置であるメモリ装置25若しくはHDD24から車両貸出管理プログラムを読み取り、車両貸出管理プログラムに従った処理を実行する。
【0026】
以下に図3を参照して本実施例の車両貸出管理装置200の機能について説明する。図3は、車両貸出管理装置の機能的構成を示す図である。
【0027】
本実施例の車両貸出管理装置200は、通信部210、車両管理部220、利用者管理部230、場所・移動管理部240、貸出管理部250、記憶部260を有する。
【0028】
本実施例の通信部210は、例えばインターフェース装置27により実現される。また本実施例の車両管理部220、利用者管理部230、場所・移動管理部240、貸出管理部250は、演算処理装置26がメモリ装置25若しくはHDD24から車両貸出管理プログラムを読み出して実行することで実現される。
【0029】
本実施例の記憶部260には、車両管理テーブル261、利用者管理テーブル262、利用者特性テーブル263、場所特性テーブル264、移動時間履歴テーブル265、駐車場管理テーブル262が格納されている。記憶部260は、例えば車両貸出管理装置200のHDD24及び/又は主記憶装置23に設けられた記憶領域である。
【0030】
通信部210は、通信網を介して利用者の有する端末装置300及び車両1に搭載された車載機10との通信を行う。尚図3では、車両1のみを記載しているが、通信部210は車両貸出管理装置200により管理される全ての車両に搭載された車載機との通信を行う。本実施例では、通信部210は、車両1〜6との通信を行う。
【0031】
車両管理部220は、車両管理テーブル261を管理する。利用者管理部230は、利用者管理テーブル262及び利用者特性テーブル263を管理する。場所・移動管理部240は、場所特性テーブル264、移動時間履歴テーブル265、駐車場管理テーブル266を管理する。各テーブルの詳細は後述する。
【0032】
貸出管理部250は、車両の貸出の管理を行う。具体的には貸出管理部250は、駐車場管理テーブル266に登録された駐車場において、偏在が発生している駐車場又は偏在が発生しそうな駐車場を検知し、検知された駐車場から車両を貸し出す際に、複数人の利用者グループに対して複数の車両を貸し出す。また貸出管理部250は、複数の車両を貸し出した際に、それぞれの車両の目的地点となる駐車場が異なるように
貸出管理部250は、偏在検知部251、車両貸出処理部252、偏在抑止処理部253を有する。偏在検知部251は、利用者特性テーブル263、駐車場管理テーブル262を参照し、偏在が発生している又は偏在が発生しそうな駐車場を検知する。車両貸出処理部252は、偏在検知部251により検知された駐車場から車両を貸し出す際に、複数人の利用者グループに対して複数の車両に分乗するように促す処理を行う。偏在抑止処理部253は、車両による移動の目的地点で偏在が発生することを抑止する処理を行う。上記各部の処理の詳細は後述する。
【0033】
本実施例の携帯端末300は、例えば利用者の有する携帯電話機やパーソナルコンピュータ等である。本実施例の携帯端末300では、利用者による利用者情報や車両貸出要求や予約に係る情報の入力が行われる。携帯端末300において入力された利用者情報や予約に係る情報は、車両貸出管理装置200へ送信され、利用者管理部230により利用者間管理テーブル262や利用者特性テーブル264等に反映される。また携帯端末300は、利用者の操作により車両貸出要求がなされると、車両貸出要求を車両貸出管理装置200へ送信する。車両貸出要求には、例えば利用者の希望する乗車場所と降車場所とが含まれていても良い。
【0034】
本実施例の車両1には、車載機10が搭載されている。車載機10は、通信部11、制御部12、記憶部13、表示部14、カードリーダ15を有する。通信部11は、車両貸出管理装置200と通信網を介して通信を行う。制御部12は、利用者に対する車両1の貸出及び返却を制御する。記憶部13は、例えば車両の状態情報や位置情報、車両1を利用する利用者ID等を記憶する。表示部14は、車両1の利用者に対して各種のメッセージや案内を表示させる。表示部14は、例えばタッチパネル等のように操作部材を含むものであっても良い。
【0035】
本実施例の車載機10では、例えば利用者が非接触読み書き方式のスマートカードがカードリーダ15に翳されると、カードリーダ15により読み取られた信号を制御部12へ通知する。制御部12は、通信部11を介して、利用者が車両1の利用を求めたことを、車両貸出管理装置200へ送信し、車両1の貸出しの許可を求める。
【0036】
また車載機10の記憶部13は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)から構成され、車両毎に割り当てられた車両1の車両番号や車両1を利用可能な利用者の利用者IDを予め記憶していても良い。車載機10では、利用者がスマートカードをかざし、表示部14から利用者IDを入力すると、制御部12が記憶部13に記憶された利用者IDと入力された利用者IDとを照合する。そして両者が一致すれば車両1のドアロック機構がドアキーの解除を行う。
【0037】
本実施例の車両貸出管理装置200は、車載機10から車両1の利用が要求されると、車両管理テーブル261を参照し、車両1の利用の可否を判断し、その結果を車載機10へ送信する。車載機10は、車両1の利用が可能と判断された場合に車両1の駆動系を起動可能な状態としても良い。また車載機10は、通信部11により、車両1の駆動系が起動可能とされたことを車両貸出管理装置200へ通知しても良い。
【0038】
車両貸出管理装置200は、この通知を受けて、貸出処理が完了したものとし、車両管理部220により車両管理テーブル261、利用者管理テーブル262を更新しても良い。尚本実施例では、車両1の貸し出しの際に、車載機10のカードリーダ15にスマートカードを翳すものとしたが、これに限定されない。貸し出しの要求を行う信号は、例えば磁気カード、ICチップを内蔵した携帯電話機等、記録されたID番号が読み書きできる媒体であれば良い。またカードリーダ15は、媒体に対応したものであれば良い。
【0039】
また車両1が返却される際には、例えば利用者の操作により、制御部12が駆動系を停止させ、起動不能な状態とされる。車載機10は、駆動系が停止されると、車両貸出管理装置200へ通知を行っても良い。車両貸出管理装置200は、駆動系の停止の通知を受けて、車両管理部220により車両管理テーブル261と利用者管理テーブル262を更新しても良い。また本実施例の車両1は、図示していないが、GPS(Global Positioning System)機能を有していても良い。
【0040】
尚本実施例における車両の貸出及び返却は、例えば特許第4202005号公報に記載される公知技術により行われても良い。具体的には例えば、車両の駆動装置を始動するための機械的な開閉装置の操作の可否が制御可能なイグニッション機構を備え、利用者が入力した個人情報と利用者に与えられた個人情報とが一致し且つ目的地点が設定されたとき、イグニッション機構を操作可能とする。そしてこのイグニッション機構の操作に基づき車両の貸出と返却を管理しても良い。
【0041】
次に、図4乃至図9を参照して本実施例の記憶部260に格納された各テーブルの詳細を説明する。以下に説明する各デーブルは、予め車両貸出管理装置200に格納されるものであり、車両の貸出や移動、利用者情報の入力等により適宜更新される。
【0042】
図4は、車両管理テーブルの一例を示す図である。図4の車両管理テーブル261では、車番、車両の状態、車両の位置、利用時間が対応付けられている。車番は、各車両を識別するための識別子である。車両管理テーブル261に格納された情報は、車両情報に含まれる。
【0043】
本実施例の車両管理テーブル261は、車両管理部220により管理される。具体的には車両管理テーブル261は、例えば車両の貸出及び返却が行われたとき、車両管理部220により更新されても良い。また車両管理テーブル261は、例えば所定間隔毎に車両管理部220により更新されても良い。
【0044】
車両管理テーブル261において、車両の状態とは、時間TAにおいて、車両が利用者により利用されているか否かを示す状態情報である。図4では、時間TAにおいて車両1、2、4、5が利用中である。車両の位置は、時間TAにおける車両の位置を示す位置情報である。利用時間は、車両が利用者に利用される予定の時間である。
【0045】
図5は、利用者管理テーブルの一例を示す図である。図5の利用者管理テーブル262では、利用者ID、利用者による利用状態、車番、利用時間が対応付けられている。利用者管理テーブル262に格納された情報は、利用者情報の一部である。
【0046】
本実施例の利用者管理テーブル262は、利用者管理部230により管理される。具体的には利用者管理テーブル262は、例えば車両の貸出及び返却が行われたとき、利用者管理部230により更新されても良い。また利用者管理テーブル262は、例えば所定間隔毎に利用者管理部230により更新されても良い。
【0047】
図5では、時間TAにおいて利用者IDがAの利用者(以下、利用者A)が車両1を利用中であることがわかる。また例えば利用者Aの車両1の利用時間が7時から14時までであることがわかる。また例えば利用者IDがBの利用者(以下、利用者B)が車両2を利用していることがわかる。利用者Bによる車両2の利用時間は、9時から11時までである。また例えば利用者IDがEの利用者(以下、利用者E)は、車両2を利用者Bによる利用が終了した後の13時から16時まで利用する予定であることがわかる。
【0048】
図6は、利用者特性テーブルの一例を示す図である。図6の利用者特性テーブル263では、利用者ID、利用者人数、運転免許保持者数、分乗の可否、相乗の可否、移動区分、乗車場所、降車場所、乗車時刻、降車時刻、再乗車有無が対応付けられて格納されている。
【0049】
利用者特性テーブル263は、例えば携帯端末300により利用者に係る情報が入力されたとき、利用者管理部230により更新されても良い。利用者特性テーブル263に格納された情報は、利用者情報の一部である。
【0050】
利用者特性テーブル263において、利用者人数は、利用者IDの対応する利用者を含む複数人で車両を利用する際の利用者グループの人数である。運転免許保持者数は、車両を利用する利用者グループにおいて、車両の運転免許を有する人の人数を示す。
【0051】
分乗可否は、利用者グループを複数の車両に分乗させることが可能か否かを示す。相乗可否は、利用者グループが利用する車両に、他の利用者が相乗りすることが可能か否かを示す情報である。運転希望度は、例えば分乗する際や移動する際に、自動車の運転を希望する度合いを示す情報である。
【0052】
移動区分は、移動の目的を示す情報である。乗車場所、降車場所は、それぞれ利用者が車両に乗車した場所と降車した場所とを示す情報である。本実施例における場所とは、例えば利用者の目的地として設定される施設名や建物名等である。乗車時刻、降車時刻は、それぞれ利用者が車両に乗車した時刻、降車した時刻を示す情報である。再乗車有無は、降車場所において降車した利用者が、降車場所から再度車両に乗車したか否かを示す情報である。
【0053】
図6において、例えば利用者Aは、4人のグループであり、運転免許を保持している人数は1人である。尚利用者Aは、グループの代表となる利用者であっても良い。図6では、利用者Aのグループは、分乗は不可であり相乗は可能である。運転希望度は3である。図6では、例えば運転希望度は1から5の数値で示されるものであり、運転を希望する度合いが強くなるほど数値が大きくなるものとしても良い。利用者Aのグループのように、運転希望度が3である場合には、運転をしてもしなくてもよい、といった意味を示しても良い。
【0054】
また図6では、利用者Aのグループの移動区分は観光であり、乗車場所は「え」、降車場所は「あ」であり、再乗車有りとなっている。すなわち利用者Aのグループは、降車場所「え」から再度車両に乗車していることがわかる。
【0055】
図6における利用者Bのグループでは、グループの人数は2人、運転免許を保持している利用者の人数も2人、分乗も相乗も可能、運転希望度は5、移動区分はビジネス、乗車場所は「あ」、降車場所は「お」、再乗車は無し、となる。
【0056】
図7は、場所特性テーブルの一例を示す図である。図7の場所特性テーブル264では、場所、属性、滞在時間、駐車場数、駐車場ナンバー、距離1、距離2、再乗車率が対応付けられて格納されている。
【0057】
場所特性テーブル264は、例えば車両の乗降が行われる度に、場所・移動管理部240により更新されても良い。
【0058】
場所特性テーブル264において、属性は、場所の種類を示す情報である。滞在時間は、各場所に利用者が滞在した時間を示す情報であり、最小の滞在時間、最大の滞在時間及び滞在時間の平均が含まれる。本実施例では、車両への乗降が行われる度に、場所・移動管理部240により最新の滞在時間が算出されて更新されても良い。滞在時間の単位は「分」である。
【0059】
駐車場数は、一つの場所に設けられた駐車場の数を示す情報である。本実施例では、一つの場所から所定距離内にある駐車場全てを一つの場所に設けられた駐車場とする。駐車場ナンバーは、駐車場毎に割り振られた番号(識別子)である。距離1、距離2は、場所から駐車場までの距離を示す。距離の単位はメートル(m)である。再乗車率は、降車地点において降車した利用者が、降車地点から再度車両に乗車する割合を示す。
【0060】
例えば図7では、場所「あ」は、観光に属する場所であり、利用者の滞在時間の最小値は20分、最大値が60分、平均値は40分である。また場所「あ」には、駐車場が2つ設けられており、駐車場ナンバーは、P1とP4である。駐車場P1,P4のうち、場所「あ」と近い方の駐車場P1と場所「あ」との距離は100mであり、駐車場P4と場所「あ」との距離は150mである。また場所「あ」における再乗車率は70%である。
【0061】
また図7において、場所「お」は、バス停であり、利用者は場所「お」にほとんど滞在しない。場所「お」に設けられた駐車場は1つであり、駐車場ナンバーは、P2である。場所「お」から駐車場P2までの距離は10mであり、再乗車率は40%である。
【0062】
また図7において、場所「か」は、駅であり、利用者の滞在時間の最小値は20分、最大値が60分、平均値は30分である。場所「か」に設けられた駐車場は2つであり、駐車場ナンバーは、P2、P3である。ここで駐車場P2は、場所「お」であるバス停からの距離も場所「か」からの距離も所定距離内であるため、場所「お」及び場所「か」の両方に設けられた駐車場として共有される。場所「か」から駐車場P2までの距離は60mであり、場所「か」から駐車場P3までの距離は90mであり、再乗車率は20%である。
【0063】
図8は、移動時間履歴テーブルの一例を示す図である。移動時間履歴テーブル265では、駐車場間の移動時間の履歴を管理するテーブルであり、場所・移動管理部240により管理される。場所・移動管理部240は、車両による駐車場間の移動がある度に、最新の移動時間を算出し移動時間履歴テーブル265を更新しても良い。
【0064】
移動時間履歴テーブル265は、出発地点、目的地点、移動時間が対応付けられている。出発地点と目的地点は、駐車場ナンバーにより示される。移動時間は、移動時間の最小値、最大値、平均値が含まれる。移動時間の単位は分である。
【0065】
例えば図8では、出発地点である駐車場P1から目的地点である駐車場P2へ移動する際の移動時間の最小値は20分であり、最大値は60分であり、平均値は40分である。また出発地点である駐車場P1から目的地点である駐車場P3へ移動する際の移動時間の最小値は20分であり、最大値は120分であり、平均値は60分である。また移動時間履歴テーブル265では、駐車場P3から駐車場P1へ移動する車両は存在しない。
【0066】
図9は、駐車場管理テーブルの一例を示す図である。駐車場管理テーブル266は、駐車場の状態を管理するテーブルである。
【0067】
駐車場管理テーブル266は、駐車場ナンバー、駐車可能台数、偏在しきい値、駐車台数、偏在フラグ、近隣の場所、近隣の駐車場が対応付けられている。場所・移動管理部240は、車両による駐車場間の移動がある度に、駐車場管理テーブル266を更新しても良い。
【0068】
本実施例の偏在しきい値は、駐車場毎に予め設定された値であり、各駐車場に偏在が発生していると判断する基準となるしきい値である。本実施例の偏在フラグは、偏在が既に発生しているか否かを示すものであり、偏在フラグがオフ場合、駐車場で偏在が発生していないことを示し、偏在フラグがオンの場合駐車場で偏在が発生していることを示す。
【0069】
本実施例では、場所特性テーブル264において滞在時間が長く、再乗車率が低い場所は偏在しきい値を小さく設定することが好ましい。このように偏在しきい値を設定すれば、早めに偏在フラグをオンにさせ、車両の集中を抑制することができる。
【0070】
例えば図9では、駐車場P1の駐車可能台数は10台であり、偏在しきい値は7であり、駐車台数は4台である。また偏在フラグはオフであり、近隣の場所は場所「あ」であり、近隣の駐車場はP4である。本実施例では、偏在しきい値が7であるのに対し、駐車台数が4台であるため、偏在は発生していないものとされ、偏在フラグはオフとなっている。
【0071】
また駐車場P4の駐車可能台数は8台であり、偏在しきい値は6であり、駐車台数は6台である。また偏在フラグはオンであり、近隣の場所は場所「あ」、「え」であり、近隣の駐車場はP1である。本実施例では、偏在しきい値が6であるのに対し、駐車台数が6台であるため、偏在は発生しているものとされ、偏在フラグはオンとなっている。
【0072】
次に、本実施例の車両貸出管理装置200の動作を説明する。本実施例の車両貸出管理装置200は、所定時間毎に偏在発生判定処理を行う。
【0073】
図10は、車両貸出管理装置による偏在発生判定処理を説明するフローチャートである。本実施例の車両貸出管理装置200の貸出管理部250は、例えばT分毎に以下に説明する偏在発生判定処理を行う。
【0074】
貸出管理部250において、偏在検知部251は、T分毎に駐車場管理テーブル266に格納された全ての駐車場について、ステップS1002以降の処理を行う(ステップS1001)。偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266を参照し、駐車場に駐車している車両の台数をLとする(ステップS1002)。以下では、駐車場P1を例として説明する。駐車場管理テーブル266では、駐車場P1に駐車された車両は4台である。よって偏在検知部251は、L=4とする。
【0075】
続いて偏在検知部251は、Lが駐車場P1に設定された偏在しきい値より大きいか否かを判断する(ステップS1003)。ステップS1003において、Lが偏在しきい値より大きいとき、偏在検知部251は、移動時間履歴テーブル265を参照し、Lの値(駐車場P1に駐車された車両の台数)に、T分以内に駐車場P1に到着する予定の車両の数を算出する(ステップS1004)。具体的には偏在検知部251は、車両管理テーブル261において利用中の車両のうち、駐車場P1が設けられた場所「あ」を目的地としている車両を特定し、車両の位置と移動時間履歴テーブル265からT分以内に駐車場P1に到着する予定の車両の数を算出する。偏在検知部251は、算出された車両の数をLとする。ここではT分以内に駐車場P1に到着予定の車両の数=Lとなる。
【0076】
ステップS1003においてLの値が偏在しきい値以下のとき、偏在検知部251は後述するステップS1011に進む。
【0077】
次に偏在検知部251は、利用者特性テーブル263と場所特性テーブル264を参照し、T分後の駐車場P1での再乗車予定の利用者数をカウントし、カウント結果をKとする(ステップS1005)。具体的には偏在検知部251は、利用者特性テーブル263の降車時刻と再乗車の有無と、場所特性テーブル264の滞在時間を参照し、T分後の駐車場P1での再乗車予定の利用者数をカウントする。
【0078】
次に偏在検知部251は、利用者特性テーブル263と場所特性テーブル264を参照し、T分後の駐車場P1での再乗車を行うか否かが不明の利用者数をカウントし、カウント結果をJとする(ステップS1006)。具体的には偏在検知部251は、利用者特性テーブル263において再乗車の有無が入力されていない利用者数をカウントする。
【0079】
続いて偏在検知部251は、ステップS1006でカウントされたJに、場所特性テーブル264の再乗車率をかけた値をJとする(ステップS1007)。具体的には偏在検知部251は、例えば場所特定テーブル264において駐車場P1が設けられた場所「あ」の再乗車率が70%であるから、ステップS1006でカウントされた利用者数に0.7をかけた値がJとなる。
【0080】
続いて偏在検知部251は、ステップS1004で算出したLの値から、ステップS1005でカウントしたKの値とステップS1007で算出されたJとを減算し、減算結果をLとする(ステップS1008)。次に偏在検知部251は、Lの値が偏在しきい値より大きいか否かを判断する(ステップS1009)。
【0081】
ステップS1009においてLの値が偏在しきい値より大きいとき、偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266の駐車場P1の偏在フラグをオンに設定する(ステップS1010)。ステップS1009においてLの値が偏在しきい値以下のとき、偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266の駐車場P1の偏在フラグをオフに設定する(ステップS1011)。
【0082】
偏在検知部251は、駐車場管理テーブル266に格納された全ての駐車場について、ステップS1002からステップS1011までの処理を繰り替し、偏在発生判定処理を終了する(ステップS1012)。
【0083】
尚本実施例の偏在発生判定処理は、T分毎に実行されるものとしたが、これに限定されない。本実施例の偏在発生判定処理は、例えば車両の出発や車両の目的値到着を検知した際に実行されても良い。
【0084】
また本実施例では、これから駐車場に到着する車両の数も考慮しているため、高精度に偏在発生の判定を行うことができる。
【0085】
次に本実施例の車両貸出管理装置200による車両の貸出処理について説明する。本実施例の車両貸出管理装置200は、偏在が発生している駐車場では、より多くの車両を駐車場から出すように、車両の貸出処理を行う。
【0086】
図11は、車両貸出管理装置による車両貸出処理を説明するフローチャートである。
【0087】
本実施例の車両貸出管理装置200の貸出管理部250は、例えば以下に説明する車両貸出処理を行う。尚図11では、複数人からなる利用者グループからの貸出要求を受けた場合の車両貸出処理である。
【0088】
貸出管理部250において、車両貸出処理部252は、端末装置300から車両の貸出要求を受けると、場所特性テーブル264を参照し、利用者の乗車場所付近の駐車場を検出する(ステップS1101)。続いて車両貸出処理部252は、Jの値を∞とし、iの値を1とし、Pxを0とする(ステップS1102)。続いて車両貸出処理部252は、ステップS1101で検索した駐車場の数をPiと、ステップS1104からステップS1106の処理を、Pi回行う(ステップS1103)。
【0089】
車両貸出管理装置200は、場所特性テーブル264を参照し、Lの値を駐車場に駐車している車両台数の値とする(ステップS1104)。続いて車両貸出処理部252は、Lの値が偏在しきい値からJの値を減算した値以下であるか否かを判断する(ステップS1105)。ステップS1102においてJ=∞、i=1としているため、ステップS1105が最初に実行される際には、Lの値は偏在しきい値からJの値を減算した値より大きい。
【0090】
よって車両貸出処理部252は、駐車場Pxを駐車場Piとし、J=偏在しきい値−Lとする(ステップS1106)。続いて車両貸出処理部252は、i=i+1とする(ステップS1107)。
【0091】
車両貸出処理部252は、ステップS1104からステップS1107までの処理を、Pi回行う(ステップS1108)。
【0092】
例えばステップS1101において利用者の乗車場所が場所「か」であった場合、検索された駐車場は、駐車場P2と駐車場P3となる。そこで車両貸出処理部252は、駐車場管理テーブル266を参照し、ステップS1104において始めに駐車場P2の駐車台数である4をLの値とする。続いて車両貸出処理部252は、駐車場P2の偏在しきい値が3であるため、ステップS1105におい、Jが−1以下であるか否かを判断する。このときJ=∞であるから、車両貸出処理部252はステップS1106へ進む。
【0093】
車両貸出処理部252は、ステップS1106において、次の処理対象の駐車場を駐車場P3とし、J=−1とする。
【0094】
次に車両貸出処理部252は、ステップS1104へ戻り、駐車場P3の駐車台数である1をLの値とする。続いて車両貸出処理部252は、駐車場P3の偏在しきい値が4であるため、ステップS1105において、Jが3以下か否かを判断する。このときJ=−1であるから、車両貸出処理部252はステップS1107へ進む。
【0095】
本実施例の車両貸出処理部252は、ステップS1103からステップS1108の処理により、最も偏在している駐車場又は偏在に近い駐車場と、偏在しきい値と駐車台数との乖離数とを検出している。尚本実施例では、Jが偏在しきい値と駐車台数との乖離数を示す値である。本実施例では、利用者の乗車場所付近の駐車場のうち、最も偏在している駐車場又は偏在に近い駐車場を、車両を貸し出す駐車場(出発地点となる駐車場)として選択する。
【0096】
続いて車両貸出処理部252は、Jが0以上であるか否かを判断する(ステップS1109)。ステップS1109において、Jが0以上であった場合、車両貸出処理部252は、車両1台の貸し出す(ステップS1110)。具体的には車両貸出処理部252は、車両の貸出要求があった携帯端末300に対し、車両を貸し出す駐車場と、車両を1台貸し出すことを通知するメッセージ等を送信し、携帯端末300にこれを表示させる。
【0097】
ステップS1109において、Jが0以上でない場合、車両貸出処理部252は、利用者特性テーブル263を参照し、貸出要求を行った利用者グループの分乗の可否を示す情報と、運転免許保持者の数とを取得する(ステップS1111)。
【0098】
続いて車両貸出処理部252は、利用者グループの分乗の可否を判断する(ステップS1112)。ステップS1112において分乗不可である場合、車両貸出処理部252は、ステップS1110へ進む。
【0099】
ステップS1112において分乗可能である場合、車両貸出処理部252は、場所特性テーブル264を参照し、利用者からの貸出要求に含まれる降車場所付近に設けられた全ての駐車場を目的地点として選択する(ステップS1113)。
【0100】
続いて車両貸出処理部252は、駐車場管理テーブル266を参照し、ステップS1113で目的地点として選択された全ての駐車場の偏在フラグを取得する(ステップS1114)。続いて車両貸出処理部252は、偏在フラグに基づき、選択された全ての駐車場で偏在が発生しているか否かを判断する(ステップS1115)。
【0101】
ステップS1115において、全ての駐車場に偏在が発生している場合、車両貸出処理部252は、ステップS1110へ進む。ステップS1115において、全ての駐車場に偏在が発生していない場合、車両貸出処理部252は、Jの値にステップS1111で取得した運転免許保持者数を加算した値をKとする(ステップS1116)。
【0102】
続いて車両貸出処理部252は、Kが0より大きい場合(ステップS1117)、Jの値の絶対値と同じ台数を貸し出す(ステップS1118)。ステップS1117においてLが0以下である場合、車両貸出処理部252は、利用者グループの運転免許保持者数と同じ台数を貸し出す(ステップS1119)。ステップS1118、1119において、具体的には車両貸出処理部252は、携帯端末300に対し、分乗を依頼するメッセージ等と貸し出す車両の台数を送信し、携帯端末300にこれを表示させる。
【0103】
本実施例では、このように、降車場所付近に設けられた駐車場全てに偏在が発生していた場合には、分乗を斡旋しないことで、目的地点となる駐車場での偏在の発生の抑制に貢献できる。また本実施例では、降車場所付近に設けられた駐車場全てに偏在が発生していない場合には、分乗を斡旋することにより、出発地点となる駐車場からより多くの車両を出すことができ、偏在の解消に貢献できる。
【0104】
さらに本実施例では、偏在抑止処理部253により、目的地点となる駐車場での偏在の発生をさらに抑制する。
【0105】
図12は、車両貸出管理装置による偏在抑止処理を説明するフローチャートである。
【0106】
本実施例の車両貸出管理装置200の偏在抑止処理部253は、例えば以下に説明するように、駐車台数が少ない駐車場を目的地点として選択し、利用者を誘導する。
【0107】
本実施例の車両貸出管理装置200において、偏在抑止処理部253は、利用者からの貸出要求に含まれる降車場所を取得する(ステップS1201)。続いて偏在抑止処理部253は、場所特性テーブル264を参照し、利用者の降車場所付近に設けられた駐車場を検索する(ステップS1202)。続いて偏在抑止処理部253は、Jの値を∞とし、Pxを0とし、iの値を1とする(ステップS1203)。
【0108】
続いて偏在抑止処理部253は、ステップS1205〜ステップS1208までの処理をステップS1202で検索された駐車場の数と同じ回数繰り返す(ステップS1204)。
【0109】
偏在抑止処理部253は、移動時間履歴テーブル265を参照して、出発地点となる駐車場から目的地点となる駐車場Piまでの移動時間Tを取得する(ステップS1205)。続いて偏在抑止処理部253は、場所特性テーブル264を参照し、Lの値を駐車場Piの駐車台数とする(ステップS1206)。
【0110】
続いて偏在抑止処理部253は、Lの値に、ステップS1205で取得した移動時間T以内に到着予定の車両数を加算する(ステップS1207)。続いて偏在抑止処理部253は、利用者特性テーブル263と場所特性テーブル264とを参照し、T時間以内の再利用者数を算出し、算出結果の値をKとする(ステップS1208)。
【0111】
続いて偏在抑止処理部253は、Lの値からKの値を減算した結果をLの値とする(ステップS1209)。続いて偏在抑止処理部253は、Lの値が偏在しきい値より小さいか否かを判断する(ステップS1210)。
【0112】
ステップS1210においてLの値が偏在しきい値より小さい場合、PxをPiとし(ステップS1211)、駐車場Piを目的地点として利用者を誘導する(ステップS1212)。具体的には偏在抑止処理部253は、目的地点が駐車場Piであることを携帯端末300へ通知し、携帯端末300にその旨を表示させる。
【0113】
ステップS1210においてLの値が偏在しきい値以上である場合、偏在抑止処理部253は、駐車場管理テーブル266を参照し、駐車場Piが満車か否かを判断する(ステップS1213)。
【0114】
ステップS1213において駐車場Piが満車の場合、偏在抑止処理部253は、後述するステップS1216へ進む。ステップS1213において駐車場Piが満車でない場合、偏在抑止処理部253は、Jの値がLの値から偏在しきい値を減算した値より大きいか否かを判断する(ステップS1214)。
【0115】
ステップS1214においてJの値がLの値から偏在しきい値を減算した値以下場合、偏在抑止処理部253は後述するステップS1216へ進む。
【0116】
ステップS1214においてJの値がLの値から偏在しきい値を減算した値より大きい場合、偏在抑止処理部253は、Lの値から偏在しきい値を減算した値をJの値とし、PxをPiとする(ステップS1215)。続いて偏在抑止処理部253は、iの値をi+1の値とする(ステップS1216)。
【0117】
偏在抑止処理部253は、ステップS1205からステップS1216までの処理を、繰り替えし、処理を終了する(ステップS1217)。
【0118】
本実施例では、この偏在抑止処理により、分乗された車両の目的地点となる駐車場がそれぞれ異なるように利用者を誘導できる。よって目的地点となる駐車場の発生を抑制し、目的地点の駐車場の偏在発生の抑制に貢献することができる。
【0119】
このように本実施例の車両貸出管理装置200では、出発地点となる駐車場に偏在が発生しているか、又は偏在が発生しそうな場合には、利用者グループに車両の分乗を促してより多くの車両を出発地点の駐車場から出す。さらに目的地点となる駐車場の偏在を抑制するため、目的地点の駐車場に偏在が発生しそうな場合には、分乗した車両をそれぞれ異なる駐車場へ誘導する。本実施例の車両貸出管理装置200では、この仕組みにより、効率的に偏在を解消することができる。
【0120】
本発明は、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
コンピュータが車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、
駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出管理方法。
(付記2)
駐車場間の移動時間が格納された移動時間履歴テーブルを参照し、所定時間以内に到着する車両の台数を含めて、前記所定数以上の車両が駐車している駐車場又は前記最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する付記1記載の車両貸出管理方法。
(付記3)
前記利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの降車場所を取得し、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場に所定数以上の車両が駐車している場合、前記通知を送信しない付記1又は2記載の車両貸出管理方法。
(付記4)
前記降車場所付近の駐車場が複数存在するとき、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場のうち、所定数未満の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記特定した駐車場へ分乗された車両を誘導する通知を送信する付記3の何れか一項に記載の車両貸出管理方法。
(付記5)
駐車場間の移動時間が格納された移動時間履歴テーブルを参照し、所定時間以内に到着する車両の台数を含めて、前記所定数未満の車両が駐車している駐車場を特定する付記4記載の車両貸出管理方法。
(付記6)
前記利用者特性テーブルには、前記利用者グループが分乗可能か否かを示す情報が含まれており、
分乗が可能な利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記通知を送信する付記1ないし5の何れか一項に記載の車両貸出管理方法。
(付記7)
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得する処理と、
駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する処理と、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する処理と、をコンピュータに実行させる車両貸出管理プログラム。
(付記8)
車両の貸出処理を行う車両貸出管理装置であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する偏在検知部と、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出処理部と、を有する車両貸出管理装置。
【符号の説明】
【0121】
100 車両貸出管理システム
200 車両貸出管理装置
250 貸出管理部
251 偏在検出部
252 車両貸出処理部
253 偏在抑止処理部
260 記憶部
300 端末装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、
駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出管理方法。
【請求項2】
駐車場間の移動時間が格納された移動時間履歴テーブルを参照し、所定時間以内に到着する車両の台数を含めて、前記所定数以上の車両が駐車している駐車場又は前記最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する請求項1記載の車両貸出管理方法。
【請求項3】
前記利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの降車場所を取得し、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場に所定数以上の車両が駐車している場合、前記通知を送信しない請求項1又は2記載の車両貸出管理方法。
【請求項4】
前記降車場所付近の駐車場が複数存在するとき、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場のうち、所定数以下の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記特定した駐車場へ分乗された車両を誘導する通知を送信する請求項3記載の車両貸出管理方法。
【請求項5】
前記利用者特性テーブルには、前記利用者グループが分乗可能か否かを示す情報が含まれており、
分乗が可能な利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記通知を送信する請求項1ないし4の何れか一項に記載の車両貸出管理方法。
【請求項6】
車両の貸出処理を行う車両貸出管理装置であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する偏在検知部と、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出処理部と、を有する車両貸出管理装置。
【請求項1】
コンピュータが車両の貸出処理を行う車両貸出管理方法であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、
駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照し、前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出管理方法。
【請求項2】
駐車場間の移動時間が格納された移動時間履歴テーブルを参照し、所定時間以内に到着する車両の台数を含めて、前記所定数以上の車両が駐車している駐車場又は前記最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する請求項1記載の車両貸出管理方法。
【請求項3】
前記利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの降車場所を取得し、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場に所定数以上の車両が駐車している場合、前記通知を送信しない請求項1又は2記載の車両貸出管理方法。
【請求項4】
前記降車場所付近の駐車場が複数存在するとき、
前記駐車場管理テーブルを参照し、前記降車場所付近の駐車場のうち、所定数以下の車両が駐車している駐車場を特定し、
前記利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記特定した駐車場へ分乗された車両を誘導する通知を送信する請求項3記載の車両貸出管理方法。
【請求項5】
前記利用者特性テーブルには、前記利用者グループが分乗可能か否かを示す情報が含まれており、
分乗が可能な利用者グループの有する前記携帯端末に対し、前記通知を送信する請求項1ないし4の何れか一項に記載の車両貸出管理方法。
【請求項6】
車両の貸出処理を行う車両貸出管理装置であって、
複数人から成る利用者グループの乗車場所と降車場所とが格納された利用者特性テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所を取得し、駐車場毎の車両の駐車台数が格納された駐車場管理テーブルを参照して前記利用者グループの乗車場所付近の駐車場のうち、所定数以上の車両が駐車している駐車場又は最も所定数に近い台数の車両が駐車している駐車場を特定する偏在検知部と、
前記利用者グループの有する携帯端末に対し、特定された前記駐車場に駐車中の車両のうち複数台への分乗を依頼する通知を送信する車両貸出処理部と、を有する車両貸出管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−30016(P2013−30016A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165945(P2011−165945)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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