説明

車両走行制御装置及び車両走行制御方法

【課題】渋滞時における追従走行において、無駄な加減速を低減することが可能な車両走行制御装置及び車両走行制御方法を提供する。
【解決手段】渋滞先頭距離計測装置16が、渋滞先頭JHの位置からの自車両100の先行車200Pの位置を判定し、車両制御ECU18が、渋滞先頭距離計測装置16が判定した渋滞先頭JHの位置からの先行車200Pの位置に基づいて、先行車200Pの挙動を予測する。加減速度発生装置20は、車両制御ECU18が予測した先行車200Pの挙動に基づいて、先行車200Pに対して自車両100を追従走行させる。そのため、単なる先行車200Pの瞬間的な挙動への対応ではなく、渋滞先頭位置からの先行車200Pの位置に基づいて予測される先行車200Pの挙動に対応して、自車両100を追従走行させることとなるため、自車両100の無駄な加減速を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行制御装置及び車両走行制御方法に関し、特に、先行車に対して自車両を追従走行させる車両走行制御装置及び車両走行制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
先行車に対して自車両を追従走行させるACC(Adaptive Cruise Control)等の装置が開発されている。例えば、特許文献1には、自車速検出手段と、車間距離検出手段と、走行状況判別手段と、作動スイッチ検出手段と、目標車速設定手段と、目標車間距離設定手段と、目標加減速度算出手段と、エンジン出力制御手段と、車両減速度算出手段と、ブレーキ圧制御手段とからなる車両用追従走行制御装置において、巡航中に、追従走行制御装置の作動スイッチをONした時の車速を目標車速とし、渋滞、もしくは停止中に作動スイッチをONした場合には、予め設定された値を目標車速とする構成とした車両用追従走行制御装置が開示されている。この装置では、渋滞であると判断された場合、追従走行制御の目標車速は予め設定された値か、路側施設から受信した渋滞中の車列の平均車速を目標車速に設定する。この装置では、先行車との目標車間距離を自車速に基づいて算出し、先行車に対して自車両を追従走行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−254994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような技術においては、渋滞時に先行車に対して自車両を追従走行させる際に、加減速が大きく、燃費や乗り心地が良くないという欠点がある。すなわち、装置は、自車両が先行車に対して目標車間距離をとり、目標車速で走行するように制御する。しかし、装置は瞬間的に検出された先行車と自車両との相対速度及び車間距離によってフィードバック制御を行なうため、先行車の挙動に合わせて自車両も不必要な加減速を繰り返すことになる。そのため、結果として、渋滞時には、加減速が大きく、燃費や乗り心地が悪くなる。
【0005】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、渋滞時における追従走行において、無駄な加減速を低減することが可能な車両走行制御装置及び車両走行制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置を判定する位置判定手段と、位置判定手段が判定した位置に基づいて、先行車の挙動を予測する先行車挙動予測手段と、先行車挙動予測手段が予測した先行車の挙動に基づいて、先行車に対して自車両を追従走行させる追従走行手段とを備えた車両走行制御装置である。
【0007】
この構成によれば、位置判定手段が、渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置を判定し、先行車挙動予測手段が、位置判定手段が判定した渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置に基づいて、先行車の挙動を予測する。追従走行手段は、先行車挙動予測手段が予測した先行車の挙動に基づいて、先行車に対して自車両を追従走行させる。そのため、単なる先行車の瞬間的な挙動への対応ではなく、渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置に基づいて予測される先行車の挙動に対応して、自車両を追従走行させることとなるため、自車両の無駄な加減速を低減することができる。
【0008】
なお、本願発明において、「渋滞」とは、一般道路では走行速度が時速20km/h以下になった状態を指し、高速道路では走行速度が時速40km/h以下になった状態を指す。
【0009】
この場合、先行車挙動予測手段は、位置と先行車の挙動とが対応付けて記録されたデータベースから、位置判定手段が判定した位置に対応する先行車の挙動を抽出することにより、先行車の挙動を予測することが好適である。
【0010】
この構成によれば、先行車挙動予測手段は、位置と先行車の挙動とが対応付けて記録されたデータベースから、位置判定手段が判定した位置に対応する先行車の挙動を抽出することにより、先行車の挙動を予測するため、例えば、統計的なデータを用いて、先行車の挙動を短時間で予測することができる。
【0011】
この場合、データベースに、位置に対応付けて記録された先行車の挙動には、位置における先行車の速度の変動が含まれることが好適である。
【0012】
渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置と、先行車の速度の変動とは、密接な関係がある。そのため、この構成によれば、渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置に基づいて、追従走行に重要なパラメータである先行車の速度の変動を予測することができる。
【0013】
この場合、データベースに、位置に対応付けて記録された先行車の速度の変動には、位置における先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期が含まれることが好適である。
【0014】
渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置と、先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期とは、密接な関係がある。さらに、先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期を予測できれば、追従走行における無駄な加減速を低減することが容易となる。そのため、この構成によれば、先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期を予測することにより、追従走行における無駄な加減速を効果的に低減することが可能となる。
【0015】
また、通信により得られた情報に基づいて、データベースに対応付けて記録された位置と先行車の挙動とを更新する更新手段をさらに備えることが好適である。
【0016】
この構成によれば、更新手段は、通信により得られた情報に基づいて、データベースに対応付けて記録された位置と先行車の挙動とを更新するため、データを更新することにより、先行車の挙動を予測する精度を向上させることができる。
【0017】
また、位置判定手段は、位置として、渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離を判定し、先行車挙動予測手段は、位置判定手段が判定した渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離に基づいて、先行車の挙動を予測することが好適である。
【0018】
渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離と、先行車の挙動とは、密接な関係がある。この構成によれば、位置判定手段は、位置として、渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離を判定し、先行車挙動予測手段は、位置判定手段が判定した渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離に基づいて、先行車の挙動を予測するため、先行車の挙動を精度良く予測することができる。
【0019】
一方、本発明は、渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置を判定する位置判定工程と、位置判定工程で判定した位置に基づいて、先行車の挙動を予測する先行車挙動予測工程と、先行車挙動予測工程で予測した先行車の挙動に基づいて、先行車に対して自車両を追従走行させる追従走行工程とを含む車両走行制御方法である。
【0020】
この場合、先行車挙動予測工程は、位置と先行車の挙動とが対応付けて記録されたデータベースから、位置判定工程で判定した位置に対応する先行車の挙動を抽出することにより、先行車の挙動を予測することが好適である。
【0021】
この場合、データベースに、位置に対応付けて記録された先行車の挙動には、位置における先行車の速度の変動が含まれることが好適である。
【0022】
この場合、データベースに、位置に対応付けて記録された先行車の速度の変動には、位置における先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期が含まれることが好適である。
【0023】
また、通信により得られた情報に基づいて、データベースに対応付けて記録された位置と先行車の挙動とを更新する更新工程をさらに含むことが好適である。
【0024】
また、位置判定工程は、位置として、渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離を判定し、先行車挙動予測工程は、位置判定工程で判定した渋滞先頭位置と自車両の先行車との距離に基づいて、先行車の挙動を予測することが好適である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の車両走行制御装置及び車両走行制御方法によれば、渋滞時における追従走行において、無駄な加減速を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態に係る車両走行制御装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る車両走行制御装置の全体的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】実施形態の車両走行制御装置が適用される渋滞の状況と、当該渋滞の位置毎に行われる処理とを示す側面図である。
【図4】自車両前方の渋滞状態を示す表示画面の例を示す図である。
【図5】図2の渋滞中制御の詳細を示すフローチャートである。
【図6】先行車と渋滞先頭との位置を算出する状態を示す側面図である。
【図7】渋滞先頭からの距離に対する速度の変動を示すグラフ図である。
【図8】先行車の時間に対する速度の変動を示すグラフ図である。
【図9】渋滞中の車両の時間と速度との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る車両走行制御装置及び車両走行制御方法を説明する。本実施形態の車両走行制御装置は、車両に搭載され、主に、車両を所定の設定速度に従って、先行車に対し追従走行をさせるように走行制御を行なうためのものである。図1に示すように、本発明の車両走行制御装置10は、車間距離計測装置12、渋滞発生状況確認装置14、渋滞先頭距離計測装置16、車両制御ECU18、加減速度発生装置20及びドライバーI/F22を備えている。
【0028】
車間距離計測装置12は、先行車と自車両との車間距離を計測するためのものである。また、車間距離計測装置12は、自車両の周辺に存在する障害物を認識するためのものである。車間距離計測装置12は、具体的には、ミリ波レーダー、レーザーレーダー及びステレオカメラ等から構成される。
【0029】
渋滞発生状況確認装置14は、自車両が走行する道路の交通状況、特に渋滞の発生している状況についての情報を取得するためのものである。渋滞発生状況確認装置14は、具体的には、FM多重放送や道路上の光ビーコン送信機から受信した交通情報を図形・文字で表示するVICS(Vehicle Information and Communication System)、携帯電話機等の移動体通信システムを利用して道路交通情報を取得するシステム、その他の路車間通信装置及び車車間通信装置等から構成される。
【0030】
渋滞先頭距離計測装置16は、渋滞中の車列の先頭車両までの距離を計測するためのものである。渋滞先頭距離計測装置16は、GPS(Global Positioning System)とナビゲーションシステムの地図情報とを組み合わせたシステム、及び路車間通信装置等から構成される。
【0031】
車両制御ECU18は、車間距離計測装置12、渋滞発生状況確認装置14及び渋滞先頭距離計測装置16から取得した情報に基づいて、先行車と自車両との将来の相対速度及び車間距離を予測し、自車両の目標加減速度を演算するためのものである。
【0032】
加減速度発生装置20は、具体的には自車両の全ての速度域で行われるACCの加減速制御を行なうためのものであり、車両制御ECU18からの指令信号に従い、アクセルアクチュエータやブレーキアクチュエータを駆動するためのものである。
【0033】
ドライバーI/F22は、ドライバーが車両走行制御装置10の制御開始や先行車と自車両との目標車間距離等を設定するためのものである。ドライバI/F22は、具体的には、ACCスイッチや、ACC操作レバー等である。
【0034】
以下、本実施形態の車両走行制御装置10の動作について説明する。以下の説明では、図3に示すように、自車両100が道路500を走行中に、前方で渋滞中の車列を形成する他車両200の後方に接近している状況を想定する。道路500では、道路における下り坂から上り坂への変化点サグ501において渋滞先頭JHが始まり、渋滞末尾JTで渋滞中の車列が終わるものとする。
【0035】
まず、図2により、本実施形態の車両走行制御装置10の動作の概略について説明する。図2に示すように、渋滞発生状況確認装置14は、自車両100の前方の渋滞に関する情報、特に渋滞先頭JH及び渋滞末尾JTの位置に関する情報を取得する(S1)。この場合、例えば、ナビゲーションシステムの表示画面50には、図4に示すように、自車両100の位置Pに対する渋滞先頭JHTの位置と、渋滞中の車列に関する情報Iとが表示される。
【0036】
車間距離計測装置12が、渋滞末尾JTの低速走行中あるいは停止している先行車を認識したら、車両制御ECU18は、渋滞中制御を開始する(S2)。
【0037】
車両制御ECU18は、渋滞先頭距離計測装置16により計測された渋滞先頭JHから先行車までの距離及び渋滞先頭JHから自車両100までの距離、車両制御ECU18に備えられたデータベースから、先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期を推定する。車両制御ECU18は、先行車の数秒後の速度及び数秒後の車間距離を予測する。車両制御ECU18は、予測される先行車との速度及び車間距離に基づいて、自車両の加減速度を制御することにより、自車両100を先行車に対して追従走行させる渋滞中制御を行なう(S3)。
【0038】
渋滞発生状況確認装置14あるいは渋滞先頭距離計測装置16が自車両100の渋滞先頭JHの通過を検出したときは、車両制御ECU18は、渋滞中制御を終了し、通常のACCに復帰する(S4)。
【0039】
以下、上記の渋滞中制御について詳述する。図5に示すように、渋滞先頭距離計測装置16は、先行車の渋滞先頭JHからの位置(距離)を算出する(S31)。図6に示すように、渋滞先頭距離計測装置16は、渋滞先頭JHの位置を渋滞発生状況確認装置14のVICS等により検出する。渋滞先頭距離計測装置16は、GPSとナビゲーションシステムの地図データとで自車両100の位置を計測する。渋滞先頭距離計測装置16は、渋滞先頭JHの位置と自車両100の位置とから、自車両100の渋滞先頭JHからの距離Lownを求める。渋滞先頭距離計測装置16は、自車両100の車長length、及び自車両と先行車200Pとの車間距離とから、先行車200Pの渋滞先頭JHからの距離Lpを算出する。
【0040】
車両制御ECU18は、先行車200Pの速度の変動幅及び速度の変動の周期を算出する(S32)。図9に示すように、実際の渋滞中の車列において、渋滞末尾部では、車列を構成する車両の速度の変動幅が比較的に大きいが、速度の変動の周期は比較的に長い。一方、渋滞中部では、速度の変動幅は比較的に小さいが、速度の変動の周期は比較的に短い。そして、渋滞回腹部では、再び速度の変動幅が大きくなり、速度の変動の周期が長くなる。
【0041】
そこで、車両制御ECU18内部のデータベースには、図7に示すように、統計的なデータに基づいて、渋滞中の車列における渋滞先頭JHからの距離と当該距離に位置する車両の車速の変動とが関連付けて記録されている。車両制御ECU18のデータベースに記録されたデータにおいても、渋滞末尾JT付近では、速度の変動幅は大きく、変動の周波数は低い。渋滞真中付近では、速度の変動幅は小さく、変動の周波数は高い。渋滞先頭JH付近では、速度の変動がなくなる。車両制御ECU18は、以上のようなデータに基づいて、先行車200Pの渋滞先頭JHからの距離Lpから、先行車200Pの位置付近における最小速度Vmin、最大速度Vmax及び速度の変動の周期Tを算出する。ここで、位置Lについては、任意の幅のデータを抽出するように、任意の数値L1、L2を設定して、L1≦L≦L2の区間のデータを抽出する。最小速度Vmin、最大速度Vmax及び速度の変動の周期Tは、L1≦L≦L2の区間のデータから求められる。
【0042】
車両制御ECU18は、将来の先行車200Pの速度及び先行車と自車両との車間距離を予測する(S33)。車両制御ECU18は、先行車200Pの現在の速度Vp now、先行車200Pの加速度a、先行車200Pの最小速度Vmin、先行車200Pの最大速度Vmax、及び先行車200Pの速度の変動の周期Tから、τ秒後の先行車200Pの速度を、sin波を想定してsin波の位相を算出することにより算出する。
【0043】
ここで、予測される位相θp predictとすると、下式(1)の関数が成り立つと仮定する。
θp predict=func(Vp now,a,Vmin,Vmax,T,τ) …(1)
【0044】
p now,aから現在時刻tが一意に決まり、現在時刻t(0≦t≦T)に対して、下式(2)が成り立つ。
θp predict=2π×{(t+τ)/T} …(2)
【0045】
車両制御ECU18は、自車両100の現在の速度Vnow及び自車両100の現在の加速度Dnowから、自車両100の予測される速度Vpredict、自車両100と先行車200Pとの予測される車間距離Dpredictを、下式(3)〜(5)により予測する。
p predict={(Vmin+Vmax)/2}sinθp predict …(3)
predict=Vnow+a・τ …(4)
predict=Dnow+[{(Vp predict+Vp now)/2}+{(Vpredict+V)/2}] …(5)
【0046】
車両制御ECU18は、加速度目標値を算出する(S34)。車両制御ECU18は、自車両100と先行車200Pとの目標車間距離Lに対して、下式(6)から、加速度目標値atを算出する。ここで、kRelV及びkaSは任意の制御ゲインである。
=kRelV(Vp predict−Vpredict)+kaS(L−Dpredict) …(6)
【0047】
なお、上記のS32の先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期の算出においては、車両制御ECU18は、車車間通信又は路車間通信により、渋滞中の車列を形成する車両の速度の変動に関する情報を取得し、図7に示すようなデータを補正しても良い。
【0048】
また、上記のS34の加速度目標値の算出においては、車両制御ECU18は、先行車200Pの速度や自車両100との車間距離を予測するのではなく、図7に示すようなデータに基づいて、制御ゲインkRelV及びkaSを設定しても良い。この場合、加速度目標値atは、下式(7)により求められる。
=kRelV(Vp now−Vnow)+kaS(L−Dnow) …(7)
【0049】
本実施形態によれば、渋滞先頭距離計測装置16が、渋滞先頭JHの位置からの自車両100の先行車200Pの位置を判定し、車両制御ECU18が、渋滞先頭距離計測装置16が判定した渋滞先頭JHからの自車両100の先行車200Pとの位置に基づいて、先行車200Pの挙動を予測する。加減速度発生装置20は、車両制御ECU18が予測した先行車200Pの挙動に基づいて、先行車200Pに対して自車両100を追従走行させる。そのため、単なる先行車200Pの瞬間的な挙動への対応ではなく、渋滞先頭JHからの自車両100の先行車200Pの位置に基づいて予測される先行車200Pの挙動に対応して、自車両100を追従走行させることとなるため、自車両100の無駄な加減速を低減することができる。そのため、自車両100を安定して追従走行させることができ、その結果、交通流もスムーズにすることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態によれば、車両制御ECU18は、位置と先行車200Pの挙動とが対応付けて記録されたデータベースから、渋滞先頭距離計測装置16が判定した位置に対応する先行車200Pの挙動を抽出することにより、先行車200Pの挙動を予測するため、例えば、統計的なデータを用いて、先行車200Pの挙動を短時間で予測することができる。
【0051】
渋滞先頭JHの位置と自車両100の先行車200Pとの距離と、先行車200Pの挙動とは、密接な関係がある。本実施形態によれば、渋滞先頭距離計測装置16は、渋滞先頭JHの位置と自車両100の先行車200Pとの距離を判定し、車両制御ECU18は、渋滞先頭距離計測装置16が判定した渋滞先頭JHの位置と自車両100の先行車200Pとの距離に基づいて、先行車200Pの挙動を予測するため、先行車200Pの挙動を精度良く予測することができる。
【0052】
さらに、本実施形態によれば、車両制御ECU18は、通信により得られた情報に基づいて、データベースに対応付けて記録された位置と先行車200Pの挙動とを更新するため、データを更新することにより、先行車200Pの挙動を予測する精度を向上させることができる。
【0053】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
10…車両走行制御装置、12…車間距離計測装置、14…渋滞発生状況確認装置、16…渋滞先頭距離計測装置、18…車両制御ECU、20…加減速度発生装置、22…ドライバーI/F、50…表示画面、100…自車両、200…他車両、200P…先行車、500…道路、501…サグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置を判定する位置判定手段と、
前記位置判定手段が判定した前記位置に基づいて、前記先行車の挙動を予測する先行車挙動予測手段と、
前記先行車挙動予測手段が予測した前記先行車の前記挙動に基づいて、前記先行車に対して前記自車両を追従走行させる追従走行手段と、
を備えた車両走行制御装置。
【請求項2】
前記先行車挙動予測手段は、前記位置と前記先行車の前記挙動とが対応付けて記録されたデータベースから、前記位置判定手段が判定した前記位置に対応する前記先行車の前記挙動を抽出することにより、前記先行車の前記挙動を予測する、請求項1に記載の車両走行制御装置。
【請求項3】
前記データベースに、前記位置に対応付けて記録された前記先行車の前記挙動には、前記位置における前記先行車の速度の変動が含まれる、請求項2に記載の車両走行制御装置。
【請求項4】
前記データベースに、前記位置に対応付けて記録された前記先行車の速度の変動には、前記位置における前記先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期が含まれる、請求項3に記載の車両走行制御装置。
【請求項5】
通信により得られた情報に基づいて、前記データベースに対応付けて記録された前記位置と前記先行車の前記挙動とを更新する更新手段をさらに備えた請求項2〜4のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
【請求項6】
前記位置判定手段は、前記位置として、前記渋滞先頭位置と前記自車両の先行車との距離を判定し、
前記先行車挙動予測手段は、前記位置判定手段が判定した渋滞先頭位置と前記自車両の先行車との前記距離に基づいて、前記先行車の挙動を予測する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両走行制御装置。
【請求項7】
渋滞先頭位置からの自車両の先行車の位置を判定する位置判定工程と、
前記位置判定工程で判定した前記位置に基づいて、前記先行車の挙動を予測する先行車挙動予測工程と、
前記先行車挙動予測工程で予測した前記先行車の前記挙動に基づいて、前記先行車に対して前記自車両を追従走行させる追従走行工程と、
を含む車両走行制御方法。
【請求項8】
前記先行車挙動予測工程は、前記位置と前記先行車の前記挙動とが対応付けて記録されたデータベースから、前記位置判定工程で判定した前記位置に対応する前記先行車の前記挙動を抽出することにより、前記先行車の前記挙動を予測する、請求項7に記載の車両走行制御方法。
【請求項9】
前記データベースに、前記位置に対応付けて記録された前記先行車の前記挙動には、前記位置における前記先行車の速度の変動が含まれる、請求項8に記載の車両走行制御方法。
【請求項10】
前記データベースに、前記位置に対応付けて記録された前記先行車の速度の変動には、前記位置における前記先行車の速度の変動幅及び速度の変動の周期が含まれる、請求項9に記載の車両走行制御方法。
【請求項11】
通信により得られた情報に基づいて、前記データベースに対応付けて記録された前記位置と前記先行車の前記挙動とを更新する更新工程をさらに含む請求項8〜10のいずれか1項に記載の車両走行制御方法。
【請求項12】
前記位置判定工程は、前記位置として、前記渋滞先頭位置と前記自車両の先行車との距離を判定し、
前記先行車挙動予測工程は、前記位置判定工程で判定した渋滞先頭位置と前記自車両の先行車との前記距離に基づいて、前記先行車の挙動を予測する、請求項7〜11のいずれか1項に記載の車両走行制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−68308(P2011−68308A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222865(P2009−222865)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】