車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法
【課題】 乗降客や列車の安全を確保しつつ、短工期で工事を終える。
【解決手段】本発明に係る人工地盤構築方法は、作業構台８の上面にトラス１１を立設するとともに、可搬性構台１２をクレーン７で吊り降ろし、作業構台８とほぼ同一高さとなる位置で静止し、かかる状態でトラス１１を介して可搬性構台１２を支持する。トラス１１は、逆Ｖ字状に配置される２本の引張トラス材と該２本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成してあるとともに、かかる２本の引張トラス材の内、一方を作業構台８の上面に、他方を可搬性構台１２に連結するとともに、圧縮トラス材の下端を作業構台８の上面に連結して鉛直に立設してある。
【解決手段】本発明に係る人工地盤構築方法は、作業構台８の上面にトラス１１を立設するとともに、可搬性構台１２をクレーン７で吊り降ろし、作業構台８とほぼ同一高さとなる位置で静止し、かかる状態でトラス１１を介して可搬性構台１２を支持する。トラス１１は、逆Ｖ字状に配置される２本の引張トラス材と該２本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成してあるとともに、かかる２本の引張トラス材の内、一方を作業構台８の上面に、他方を可搬性構台１２に連結するとともに、圧縮トラス材の下端を作業構台８の上面に連結して鉛直に立設してある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主として道路や営業路線列車が走行する線路が敷設された車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、主要な駅周辺においては、さまざまなビルの間にペデストリアンデッキを設けることでビル同士を互いに結び、人々の利便性が図られてきたが、最近では、大規模再開発に伴って、もはやペデストリアンデッキと呼ぶにふさわしくないほどの規模を持ついわゆる人工地盤がビルの低層階高さに建設され、かかる人工地盤を介して超高層オフィスビルや高層マンションといった主要な施設が相互に結ばれるようになってきた。
【０００３】
そして、人工地盤の規模はますます大きくなり、線路が敷設された上空にも人工地盤を延設して線路反対側のビル群と一体化を図ることも行われている。
【０００４】
このような人工地盤は、営業路線の運行を何ら妨げることなく、駅周辺のビル群を自由に行き来することができるため、主要駅の再開発が行われる際には、今後ますます採用例が増えてくるであろうと予想されている。
【０００５】
【特許文献１】特開２００４−５２２９３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ここで、営業路線の上空に人工地盤を構築するにあたっては、該人工地盤の荷重を安全確実に地盤に伝達すべく、線路敷設領域にあらたな杭を構築し、かかる杭に柱を立設して人工地盤を支えることとなる。
【０００７】
ここで、営業路線の線路敷設領域に杭を構築する条件として、公共交通機関である営業路線の運行に影響が出ないようにしつつ、コスト面においても可能な限り短工期で工事を終えることが望ましい。もちろん乗降客や列車の安全確保が重要であることは言うまでもない。
【０００８】
しかしながら、従来の構築方法では、線路上方の作業架台に載置された回転動力装置でケーシングチューブを回転させつつ地盤内に貫入させていくため、ケーシングチューブは、杭径以上の径が必要となるのみならず、回転するケーシングチューブを露出させておくわけにはもちろんいかないため、これを内挿できるだけの保護用外管が必要となる。
【０００９】
加えて、ケーシングチューブを貫入している間、油圧グラブを該ケーシングチューブ内に吊り下ろして掘削土砂を搬出するとともに、ある程度、ケーシングチューブが貫入されたならば、今度は、ケーシングチューブ内にドリリングバケットを吊り降ろし、杭孔の削孔を進めることになる。
【００１０】
そのため、保護用外管は、その外径が概ね３ｍにも及ぶこととなり、作業架台に載置される回転動力装置を支持すべく、複数本の支柱を保護用外管の近傍に立設せねばならないこととも相まって、乗降客の利便性確保や列車の安全運行に支障を来す懸念があるという問題を生じていた。
【００１１】
また、ケーシングチューブに杭径と同等以上の径が必要なため、たとえ軌道間で削孔スペースを確保することができたとしても、営業路線の運行中は工事を中断せねばならず、結果として工事が非効率的となって大幅に長期化するという問題も生じていた。
【００１２】
道路についても状況はほぼ同様であり、例えば高速道路を通行止めにしなければ工事ができず、結果として工事が大幅に遅れることになる。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、乗降客や列車の安全を確保しつつ、短工期で工事を終えることが可能な車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法を提供することを目的とする。
【００１４】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法は請求項１に記載したように、作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工するものである。
【００１５】
また、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法は、前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合するものである。
【００１６】
また、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法は、前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通するものである。
【００１７】
また、本発明に係る人工地盤構築方法は請求項４に記載したように、先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤を構築するための作業構台とし、該作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工した後、該現場打ちＲＣ杭の頂部に鉄骨柱を立設し、該鉄骨柱で前記作業構台の鉄骨梁から延設されたあらたな鉄骨梁を支持し、しかる後、あらたに延設された鉄骨梁に床板を敷設してあらたな人工地盤とするものである。
【００１８】
また、本発明に係る人工地盤構築方法は、前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合するものである。
【００１９】
また、本発明に係る人工地盤構築方法は、前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通するものである。
【００２０】
本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法においては、まず、先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤を構築するための作業構台とする。
【００２１】
次に、車両走行領域、例えば線路敷設領域における線路と線路の間に凹部を掘削形成し、該凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きする。
【００２２】
次に、作業構台の上面に上部支持機構を立設し、該上部支持機構を介して作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持する。
【００２３】
上部支持機構は、作業構台に隣接する可搬性構台を支持できる機構であればどのようなものでもかまわない。例えば、作業構台の可搬性構台側に柱を立設し、該柱の頂部近傍と作業構台の反対側及び可搬性構台の先端近傍とをＰＣ鋼線、ワイヤー等の引張材でつなぐことで、斜張橋と類似の支持構造とすることが可能である。また、作業構台にラーメン架構を立設し、該ラーメン架構の頂部と可搬性構台の先端近傍とを引張材で連結するようにしてもかまわない。
【００２４】
ここで、上部支持機構のさらなる具体的構成として、上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆Ｖ字状に配置される２本の引張トラス材と該２本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記２本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設した構成とすることができる。
【００２５】
次に、可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通し、次いで、吊持機構で保護管を吊持する。ここで、保護管を吊持するにあたっては、クレーンでいったん上述したように吊り込んだ後、可搬性構台に設けられた吊持機構、例えばチャックを駆動して保護管を吊持し、かかる状態で吊持機構の位置調整機構を作動させて水平２方向の吊持位置を調整するようにすればよい。
【００２６】
次に、吊持された状態の保護管内にドリルパイプを挿通する。この段階では、ドリルパイプとドリルビットとはまだ連結されていない。そのため、後工程でドリルパイプとドリルビットとを連結できるように、保護管は所定位置まで降ろさず、宙吊り状態で吊持して下方に連結作業スペースを確保しておく。
【００２７】
次に、ドリルパイプの先端をドリルビットに連結する。
【００２８】
次に、吊持機構を緩めて保護管を降ろし、下端位置まで降ろしたら、該吊持機構で保護管を再び吊持する。つまり、ドリルパイプとドリルビットとの連結のために保護管をいったん中間位置で吊持し、連結作業が終われば、保護管を完全に下まで降ろす。
【００２９】
以下、この状態でリバース工法により杭孔の削孔を行う。
【００３０】
すなわち、上述した状態で送水管から注水を行いながら、ドリルパイプを回転させることにより、該ドリルパイプに連結されたドリルビットで杭孔を掘削し、掘削ずりが混入した坑内の泥水をドリルビットに内蔵されたポンプにより、ドリルパイプ内の中空空間を介して地上に揚水する。
【００３１】
掘削終了後、保護管を仮撤去するとともに、ドリルパイプ及びドリルビットを撤去する。
【００３２】
次に、可搬性構台に形成された作業孔を介して杭孔に鉄筋籠を建て込む。
【００３３】
次に、保護管を再び作業孔から建て込み、吊持機構で吊持する。
【００３４】
次に、保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を揚泥管を介して地上に揚泥する。
【００３５】
揚泥作業は、例えば作業開始当初に掘削形成した凹部に揚泥ポンプを設置し、該揚泥ポンプに揚泥管を接続するようにすればよい。
【００３６】
水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工した後は、該現場打ちＲＣ杭の頂部に鉄骨柱を立設し、該鉄骨柱で作業構台の鉄骨梁から延設されたあらたな鉄骨梁を支持し、しかる後、あらたに延設された鉄骨梁に床板を敷設してあらたな人工地盤とする。
【００３７】
ここで、上述した保護管内にドリルパイプを挿通する工程の後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合するようにすることができる。
【００３８】
かかる工程によれば、凹部用覆工板によって凹部を覆い隠すことができるため、安全を確保することができるとともに、保護管の下端を凹部用覆工板の保護管連通孔に接合することにより、ドリルパイプの回転を主とする保護管の振動を未然に防止することができる。
【００３９】
なお、吊持機構によって保護管の水平２方向を調整することにより、保護管の下端が凹部用覆工板の保護管連通孔にちょうど接合できるように位置決めすることができる。
【００４０】
また、上述した送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通するようにすれば、送水管や揚泥管が保護管内に収められることとなり、かかる送水管や揚泥管の配管取付け作業を別途行う必要がなくなる。
【００４１】
パイプ収容部は、ドリルパイプの回転から送水管が保護されるよう、例えばＣ字状断面に形成されたガード板を保護管の内面に取り付け、該ガード板と保護管の内面との間にパイプ収容空間が形成されるようにすればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【００４２】
以下、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【００４３】
図１は、本実施形態に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法の実施手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係る杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法においては、まず図２に示すように、先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤２を構築するための作業構台８とする（ステップ１０１）。
【００４４】
次に、車両走行領域である線路敷設領域における線路と線路の間に凹部４を例えば深礎工法で掘削形成し、該凹部内にリバース工法用ドリルビット３を仮置きする（ステップ１０２）。
【００４５】
リバース工法用ドリルビット３は、クレーン７で凹部４内に吊り込むとともに、例えば凹部４の孔底に敷き込まれたバタ材の上に仮置きするようにすればよい。
【００４６】
かかる凹部４は、杭孔を掘削する地表面での開始点となるため、同図(b)に示すように凹部用覆工板５を凹部４の上に載置して安全を確保するが、かかる凹部用覆工板５には、後述する保護管の下端を接合して該保護管の振れを防止するための保護管連通孔６を形成してある。凹部用覆工板５を載置する範囲には、地盤面に土間コンクリートを打設しておく。
【００４７】
凹部用覆工板５は、後述するように工事の進捗に応じて随時、仮撤去されたり、再度設置したりされることになる。
【００４８】
なお、凹部４を掘削形成するにあたっては、該凹部の掘削及びそれに引き続くリバース工法による杭孔の掘削に伴って列車走行に影響が及ぶことがないよう、必要に応じ公知の方法で線路及びその上を走行する列車荷重を仮桁や仮杭を用いて適宜支持する。
【００４９】
次に、図３(a)に示すように作業構台８の上面に上部支持機構としてのトラス１１を立設するとともに、可搬性構台１２をクレーン７で吊り降ろし、作業構台８とほぼ同一高さとなる位置で静止し、かかる状態で作業構台８にピンジョイントを介して連結するとともに、トラス１１を介して可搬性構台１２を支持する（ステップ１０３）。
【００５０】
トラス１１は、逆Ｖ字状に配置される２本の引張トラス材と該２本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成してあるとともに、かかる２本の引張トラス材の内、一方を作業構台８の上面に、他方を可搬性構台１２に連結するとともに、圧縮トラス材の下端を作業構台８の上面に連結して鉛直に立設してある。
【００５１】
可搬性構台１２には図３(b)に示すように作業孔１３を形成してあるとともに、該作業孔と概ね同じ平面位置に吊持機構としてのチャック１４を設けてあり、後述する保護管を挟んで吊持できるようになっている。
【００５２】
ここで、チャック１４は、シリンダ１６，１６及びシリンダ１７，１７によって水平２方向に吊持位置を調整できるようになっているとともに、スライドガイドレール１５，１５に沿って作業構台８側に全体移動させ、作業孔１３から待避させることができるようになっている。
【００５３】
次に、同図に示すように可搬性構台１２の作業孔１３及びチャック１４の中央開口に保護管１８を挿通し、次いで、チャック１４で保護管１８を吊持する（ステップ１０４）。
【００５４】
ここで、保護管１８を吊持するにあたっては、クレーン７でいったん上述したように吊り込んだ後、チャック１４を駆動して保護管１８を吊持するとともに、チャック１４に設けられた位置調整機構であるシリンダ１６，１６及びシリンダ１７，１７を駆動して水平２方向に水平位置を調整する。
【００５５】
次に、図４に示すように、吊持された状態の保護管１８内にドリルパイプ２１を挿通するとともに該ドリルパイプと送水管２２とを凹部用覆工板５に形成された保護管連通孔６に挿通し、しかる後、ドリルパイプ２１の先端をドリルビット３に連結する。
【００５６】
送水管２２は、保護管１８の内面に設けられたパイプ収容部２３内に挿通してあり、該パイプ収容部は、保護管１８の内面との間にパイプ収容空間が形成されるよう、Ｃ字状断面に形成されたガード板を保護管１８の内面に取り付けて構成してあり、かかる構成によって、ドリルパイプ２１の回転から送水管２２を保護することができる。
【００５７】
次に、凹部４の上に凹部用覆工板５を設置し、次いでチャック１４を緩めて保護管１８を降ろし、その下端を凹部用覆工板５に形成された保護管連通孔６に接合する（ステップ１０５）。
【００５８】
チャック１４に設けられたシリンダ１６，１６及びシリンダ１７，１７による保護管１８の水平２方向調整は、保護管１８の下端がこの保護管連通孔６にちょうど接合できるよう、予め水平位置を決めておくものである。
【００５９】
このように保護管１８の下端を凹部用覆工板５の保護管連通孔６に接合した後は、再度チャック１４で保護管１８を吊持して固定する（ステップ１０６）。
【００６０】
かかる状態においては、保護管１８は、その上端においてチャック１４で固定され、下端において凹部用覆工板５で固定されることとなり、ドリルパイプ２１の回転に伴う振動が発生したとしても、保護管１８を安全に保持しておくことが可能となる。
【００６１】
これら一連のステップ１０１〜ステップ１０６は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【００６２】
以下、この状態でリバース工法により杭孔の削孔を行う（ステップ１０７）。
【００６３】
すなわち、上述した状態で送水管２２から注水を行いながら、図５に示すようにロータリーテーブル３１でドリルパイプ２１を回転させることにより、該ドリルパイプに連結されたドリルビット３で杭孔を掘削し、掘削ずりが混入した坑内の泥水をドリルビット３に内蔵されたポンプ（図示せず）により、ドリルパイプ２１内の中空空間を介して地上に揚水する。
【００６４】
ここで、ロータリーテーブル３１は、ベースマシン３２に取り付けられたリーダー３３に昇降自在に取り付ける形態で可搬性構台上に設けることができる。
【００６５】
かかるステップ１０７は、ドリルパイプ２１を回転させることによりドリルビット３で孔底を掘り下げるリバース工法による掘削作業となるが、ドリルパイプ２１が保護管１８内に挿入してあるとともに泥水もドリルパイプ２１内の中空空間を介して揚泥されるため、掘削作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【００６６】
掘削終了後、凹部用覆工板５及び保護管１８を仮撤去するとともに、ドリルパイプ２１及びドリルビット３を撤去する（ステップ１０８）。
【００６７】
次に、図６に示すように可搬性構台１２に形成された作業孔１３を介して杭孔に鉄筋籠４１を建て込む（ステップ１０９）。鉄筋籠４１を建て込むにあたっては、該鉄筋籠の体積に相当する量の泥水があふれないよう、サンドポンプ４２を凹部４内に設置して孔内の泥水を適宜揚泥しながら行う。
【００６８】
次に、図７に示すように保護管１８を再び作業孔１３から建て込み、チャック１４で吊持する（ステップ１１０）。
【００６９】
ここで、保護管１８を建て込むにあたっては、該保護管内のパイプ収容部２３に挿通された揚泥管５１を凹部用覆工板５の保護管連通孔６に通した上、該揚泥管の下端をサンドポンプ４２につなぐ。
【００７０】
次に、かかる状態にて杭孔の上に凹部用覆工板５を置き、次いで保護管１８の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔６に接合した後、保護管１８内にトレミー管５２を挿入する（ステップ１１１）。
【００７１】
これら一連のステップ１０８〜ステップ１１１は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【００７２】
次に、トレミー管５２を介して水中コンクリート打設を行いつつ、サンドポンプ４２で杭孔内の泥水を揚泥管５１を介して地上に揚泥する（ステップ１１２）。 かかるステップ１１２はコンクリート打設作業となるが、トレミー管５２が保護管１８内に挿入してあるとともに、泥水も保護管１８内のパイプ収容部２３に挿通された揚泥管５１を介して揚泥されるため、コンクリート作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【００７３】
水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭６１を施工した後は、図８に示すように可搬性構台１２、保護管１８、凹部用覆工板５及びトラス７を撤去するとともに、ＲＣ杭６１の天端にアンカー６２を貫入し、該アンカーを用いて鉄骨柱７１をＲＣ杭６１の頂部に立設するとともに、凹部４内にコンクリートを充填する（ステップ１１３）。
【００７４】
次に、作業構台８の鉄骨梁からあらたな鉄骨梁７２を延設して該鉄骨梁を鉄骨柱７１で支持するとともに、図１０に示すように、あらたに延設された鉄骨梁７２に床板８１を敷設してあらたな人工地盤とする（ステップ１１４）。
【００７５】
これらステップ１１３〜１１４は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【００７６】
以上説明したように、本実施形態に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法によれば、可搬性構台１２をトラス１１で支持するようにしたので、可搬性構台１２を支持するための余計な支柱を線路敷設領域に立設する必要がなくなる。
【００７７】
加えて、保護管１８内には、リバース工法に用いるドリルパイプ２１やトレミー管５２が挿入されるスペースとパイプ収容部２３を設けるスペースだけで足りる。
【００７８】
そのため、人工地盤の柱７１を支持するためのＲＣ杭の外径が２５０ｃｍ〜３００ｃｍ程度必要な場合であっても、線路間に立設される保護管１８は、約９０ｃｍの外径で十分である。
【００７９】
したがって、列車の運行を妨げる懸念がなくなるとともに、列車走行の安全性を全く損なうことなく、しかも、杭の施工と人工地盤の構築とを、営業路線の運行時間帯と非運行時間帯とで使い分けながら全体として連続施工することができるので、杭の施工及び人工地盤の構築を短工期に行うことが可能となる。
【００８０】
加えて、掘削作業及びコンクリート打設作業を昼夜の別なく、連続して行うことができるので、掘削効率が飛躍的に向上するとともに、連続打設によってコンクリートの品質を大幅に高めることができる。
【００８１】
本実施形態では、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法を人工地盤の構築に適用するようにしたが、人工地盤への適用に限定されるものではなく、杭の構築が必要なすべての場合に本発明を適用することができる。
【００８２】
また、本実施形態では、車両走行領域を線路敷設領域としたが、これに代えて自動車道路敷設領域としてもかまわない。
【００８３】
また、本実施形態では、人工地盤を線路に対して直交方向に延設する場合を例に説明したが、線路に平行な場合についても本発明を適用できることは言うまでもない。すなわち、線路に対して直交方向に人工地盤を延設したいのであれば、あらたな人工地盤を作業構台としながら、順次、人工地盤を延設すればよいし、線路に対して平行に人工地盤を延設したいのであれば、線路に平行な作業構台に沿って可搬性構台を移動しつつ、人工地盤を順次構築していけばよい。
【図面の簡単な説明】
【００８４】
【図１】本実施形態に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法の施工手順を示したフローチャート。
【図２】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図３】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図４】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図５】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図６】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図７】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図８】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図９】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図１０】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【符号の説明】
【００８５】
１ 作業構台（人工地盤）
２ あらたな人工地盤
３ ドリルビット
４ 凹部
５ 凹部用覆工板
１１ トラス（上部支持機構）
１２ 可搬性構台
１３ 作業孔
１４ チャック（吊持機構）
１８ 保護管
２１ ドリルパイプ
３１ ロータリーテーブル
５２ トレミー管
６１ ＲＣ杭
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主として道路や営業路線列車が走行する線路が敷設された車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、主要な駅周辺においては、さまざまなビルの間にペデストリアンデッキを設けることでビル同士を互いに結び、人々の利便性が図られてきたが、最近では、大規模再開発に伴って、もはやペデストリアンデッキと呼ぶにふさわしくないほどの規模を持ついわゆる人工地盤がビルの低層階高さに建設され、かかる人工地盤を介して超高層オフィスビルや高層マンションといった主要な施設が相互に結ばれるようになってきた。
【０００３】
そして、人工地盤の規模はますます大きくなり、線路が敷設された上空にも人工地盤を延設して線路反対側のビル群と一体化を図ることも行われている。
【０００４】
このような人工地盤は、営業路線の運行を何ら妨げることなく、駅周辺のビル群を自由に行き来することができるため、主要駅の再開発が行われる際には、今後ますます採用例が増えてくるであろうと予想されている。
【０００５】
【特許文献１】特開２００４−５２２９３号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ここで、営業路線の上空に人工地盤を構築するにあたっては、該人工地盤の荷重を安全確実に地盤に伝達すべく、線路敷設領域にあらたな杭を構築し、かかる杭に柱を立設して人工地盤を支えることとなる。
【０００７】
ここで、営業路線の線路敷設領域に杭を構築する条件として、公共交通機関である営業路線の運行に影響が出ないようにしつつ、コスト面においても可能な限り短工期で工事を終えることが望ましい。もちろん乗降客や列車の安全確保が重要であることは言うまでもない。
【０００８】
しかしながら、従来の構築方法では、線路上方の作業架台に載置された回転動力装置でケーシングチューブを回転させつつ地盤内に貫入させていくため、ケーシングチューブは、杭径以上の径が必要となるのみならず、回転するケーシングチューブを露出させておくわけにはもちろんいかないため、これを内挿できるだけの保護用外管が必要となる。
【０００９】
加えて、ケーシングチューブを貫入している間、油圧グラブを該ケーシングチューブ内に吊り下ろして掘削土砂を搬出するとともに、ある程度、ケーシングチューブが貫入されたならば、今度は、ケーシングチューブ内にドリリングバケットを吊り降ろし、杭孔の削孔を進めることになる。
【００１０】
そのため、保護用外管は、その外径が概ね３ｍにも及ぶこととなり、作業架台に載置される回転動力装置を支持すべく、複数本の支柱を保護用外管の近傍に立設せねばならないこととも相まって、乗降客の利便性確保や列車の安全運行に支障を来す懸念があるという問題を生じていた。
【００１１】
また、ケーシングチューブに杭径と同等以上の径が必要なため、たとえ軌道間で削孔スペースを確保することができたとしても、営業路線の運行中は工事を中断せねばならず、結果として工事が非効率的となって大幅に長期化するという問題も生じていた。
【００１２】
道路についても状況はほぼ同様であり、例えば高速道路を通行止めにしなければ工事ができず、結果として工事が大幅に遅れることになる。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、乗降客や列車の安全を確保しつつ、短工期で工事を終えることが可能な車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法を提供することを目的とする。
【００１４】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法は請求項１に記載したように、作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工するものである。
【００１５】
また、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法は、前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合するものである。
【００１６】
また、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法は、前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通するものである。
【００１７】
また、本発明に係る人工地盤構築方法は請求項４に記載したように、先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤を構築するための作業構台とし、該作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工した後、該現場打ちＲＣ杭の頂部に鉄骨柱を立設し、該鉄骨柱で前記作業構台の鉄骨梁から延設されたあらたな鉄骨梁を支持し、しかる後、あらたに延設された鉄骨梁に床板を敷設してあらたな人工地盤とするものである。
【００１８】
また、本発明に係る人工地盤構築方法は、前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合するものである。
【００１９】
また、本発明に係る人工地盤構築方法は、前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通するものである。
【００２０】
本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法においては、まず、先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤を構築するための作業構台とする。
【００２１】
次に、車両走行領域、例えば線路敷設領域における線路と線路の間に凹部を掘削形成し、該凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きする。
【００２２】
次に、作業構台の上面に上部支持機構を立設し、該上部支持機構を介して作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持する。
【００２３】
上部支持機構は、作業構台に隣接する可搬性構台を支持できる機構であればどのようなものでもかまわない。例えば、作業構台の可搬性構台側に柱を立設し、該柱の頂部近傍と作業構台の反対側及び可搬性構台の先端近傍とをＰＣ鋼線、ワイヤー等の引張材でつなぐことで、斜張橋と類似の支持構造とすることが可能である。また、作業構台にラーメン架構を立設し、該ラーメン架構の頂部と可搬性構台の先端近傍とを引張材で連結するようにしてもかまわない。
【００２４】
ここで、上部支持機構のさらなる具体的構成として、上部支持機構をトラスで構成するとともに、該トラスを逆Ｖ字状に配置される２本の引張トラス材と該２本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成し、前記２本の引張トラス材の内、一方を前記作業構台の上面に、他方を前記可搬性構台に連結するとともに、前記圧縮トラス材の下端を前記作業構台の上面に連結して鉛直に立設した構成とすることができる。
【００２５】
次に、可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通し、次いで、吊持機構で保護管を吊持する。ここで、保護管を吊持するにあたっては、クレーンでいったん上述したように吊り込んだ後、可搬性構台に設けられた吊持機構、例えばチャックを駆動して保護管を吊持し、かかる状態で吊持機構の位置調整機構を作動させて水平２方向の吊持位置を調整するようにすればよい。
【００２６】
次に、吊持された状態の保護管内にドリルパイプを挿通する。この段階では、ドリルパイプとドリルビットとはまだ連結されていない。そのため、後工程でドリルパイプとドリルビットとを連結できるように、保護管は所定位置まで降ろさず、宙吊り状態で吊持して下方に連結作業スペースを確保しておく。
【００２７】
次に、ドリルパイプの先端をドリルビットに連結する。
【００２８】
次に、吊持機構を緩めて保護管を降ろし、下端位置まで降ろしたら、該吊持機構で保護管を再び吊持する。つまり、ドリルパイプとドリルビットとの連結のために保護管をいったん中間位置で吊持し、連結作業が終われば、保護管を完全に下まで降ろす。
【００２９】
以下、この状態でリバース工法により杭孔の削孔を行う。
【００３０】
すなわち、上述した状態で送水管から注水を行いながら、ドリルパイプを回転させることにより、該ドリルパイプに連結されたドリルビットで杭孔を掘削し、掘削ずりが混入した坑内の泥水をドリルビットに内蔵されたポンプにより、ドリルパイプ内の中空空間を介して地上に揚水する。
【００３１】
掘削終了後、保護管を仮撤去するとともに、ドリルパイプ及びドリルビットを撤去する。
【００３２】
次に、可搬性構台に形成された作業孔を介して杭孔に鉄筋籠を建て込む。
【００３３】
次に、保護管を再び作業孔から建て込み、吊持機構で吊持する。
【００３４】
次に、保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を揚泥管を介して地上に揚泥する。
【００３５】
揚泥作業は、例えば作業開始当初に掘削形成した凹部に揚泥ポンプを設置し、該揚泥ポンプに揚泥管を接続するようにすればよい。
【００３６】
水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工した後は、該現場打ちＲＣ杭の頂部に鉄骨柱を立設し、該鉄骨柱で作業構台の鉄骨梁から延設されたあらたな鉄骨梁を支持し、しかる後、あらたに延設された鉄骨梁に床板を敷設してあらたな人工地盤とする。
【００３７】
ここで、上述した保護管内にドリルパイプを挿通する工程の後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合するようにすることができる。
【００３８】
かかる工程によれば、凹部用覆工板によって凹部を覆い隠すことができるため、安全を確保することができるとともに、保護管の下端を凹部用覆工板の保護管連通孔に接合することにより、ドリルパイプの回転を主とする保護管の振動を未然に防止することができる。
【００３９】
なお、吊持機構によって保護管の水平２方向を調整することにより、保護管の下端が凹部用覆工板の保護管連通孔にちょうど接合できるように位置決めすることができる。
【００４０】
また、上述した送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通するようにすれば、送水管や揚泥管が保護管内に収められることとなり、かかる送水管や揚泥管の配管取付け作業を別途行う必要がなくなる。
【００４１】
パイプ収容部は、ドリルパイプの回転から送水管が保護されるよう、例えばＣ字状断面に形成されたガード板を保護管の内面に取り付け、該ガード板と保護管の内面との間にパイプ収容空間が形成されるようにすればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【００４２】
以下、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【００４３】
図１は、本実施形態に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法の実施手順を示したフローチャートである。同図でわかるように、本実施形態に係る杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法においては、まず図２に示すように、先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤２を構築するための作業構台８とする（ステップ１０１）。
【００４４】
次に、車両走行領域である線路敷設領域における線路と線路の間に凹部４を例えば深礎工法で掘削形成し、該凹部内にリバース工法用ドリルビット３を仮置きする（ステップ１０２）。
【００４５】
リバース工法用ドリルビット３は、クレーン７で凹部４内に吊り込むとともに、例えば凹部４の孔底に敷き込まれたバタ材の上に仮置きするようにすればよい。
【００４６】
かかる凹部４は、杭孔を掘削する地表面での開始点となるため、同図(b)に示すように凹部用覆工板５を凹部４の上に載置して安全を確保するが、かかる凹部用覆工板５には、後述する保護管の下端を接合して該保護管の振れを防止するための保護管連通孔６を形成してある。凹部用覆工板５を載置する範囲には、地盤面に土間コンクリートを打設しておく。
【００４７】
凹部用覆工板５は、後述するように工事の進捗に応じて随時、仮撤去されたり、再度設置したりされることになる。
【００４８】
なお、凹部４を掘削形成するにあたっては、該凹部の掘削及びそれに引き続くリバース工法による杭孔の掘削に伴って列車走行に影響が及ぶことがないよう、必要に応じ公知の方法で線路及びその上を走行する列車荷重を仮桁や仮杭を用いて適宜支持する。
【００４９】
次に、図３(a)に示すように作業構台８の上面に上部支持機構としてのトラス１１を立設するとともに、可搬性構台１２をクレーン７で吊り降ろし、作業構台８とほぼ同一高さとなる位置で静止し、かかる状態で作業構台８にピンジョイントを介して連結するとともに、トラス１１を介して可搬性構台１２を支持する（ステップ１０３）。
【００５０】
トラス１１は、逆Ｖ字状に配置される２本の引張トラス材と該２本の引張トラス材が取り合う箇所に頭部が連結された圧縮トラス材とで構成してあるとともに、かかる２本の引張トラス材の内、一方を作業構台８の上面に、他方を可搬性構台１２に連結するとともに、圧縮トラス材の下端を作業構台８の上面に連結して鉛直に立設してある。
【００５１】
可搬性構台１２には図３(b)に示すように作業孔１３を形成してあるとともに、該作業孔と概ね同じ平面位置に吊持機構としてのチャック１４を設けてあり、後述する保護管を挟んで吊持できるようになっている。
【００５２】
ここで、チャック１４は、シリンダ１６，１６及びシリンダ１７，１７によって水平２方向に吊持位置を調整できるようになっているとともに、スライドガイドレール１５，１５に沿って作業構台８側に全体移動させ、作業孔１３から待避させることができるようになっている。
【００５３】
次に、同図に示すように可搬性構台１２の作業孔１３及びチャック１４の中央開口に保護管１８を挿通し、次いで、チャック１４で保護管１８を吊持する（ステップ１０４）。
【００５４】
ここで、保護管１８を吊持するにあたっては、クレーン７でいったん上述したように吊り込んだ後、チャック１４を駆動して保護管１８を吊持するとともに、チャック１４に設けられた位置調整機構であるシリンダ１６，１６及びシリンダ１７，１７を駆動して水平２方向に水平位置を調整する。
【００５５】
次に、図４に示すように、吊持された状態の保護管１８内にドリルパイプ２１を挿通するとともに該ドリルパイプと送水管２２とを凹部用覆工板５に形成された保護管連通孔６に挿通し、しかる後、ドリルパイプ２１の先端をドリルビット３に連結する。
【００５６】
送水管２２は、保護管１８の内面に設けられたパイプ収容部２３内に挿通してあり、該パイプ収容部は、保護管１８の内面との間にパイプ収容空間が形成されるよう、Ｃ字状断面に形成されたガード板を保護管１８の内面に取り付けて構成してあり、かかる構成によって、ドリルパイプ２１の回転から送水管２２を保護することができる。
【００５７】
次に、凹部４の上に凹部用覆工板５を設置し、次いでチャック１４を緩めて保護管１８を降ろし、その下端を凹部用覆工板５に形成された保護管連通孔６に接合する（ステップ１０５）。
【００５８】
チャック１４に設けられたシリンダ１６，１６及びシリンダ１７，１７による保護管１８の水平２方向調整は、保護管１８の下端がこの保護管連通孔６にちょうど接合できるよう、予め水平位置を決めておくものである。
【００５９】
このように保護管１８の下端を凹部用覆工板５の保護管連通孔６に接合した後は、再度チャック１４で保護管１８を吊持して固定する（ステップ１０６）。
【００６０】
かかる状態においては、保護管１８は、その上端においてチャック１４で固定され、下端において凹部用覆工板５で固定されることとなり、ドリルパイプ２１の回転に伴う振動が発生したとしても、保護管１８を安全に保持しておくことが可能となる。
【００６１】
これら一連のステップ１０１〜ステップ１０６は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【００６２】
以下、この状態でリバース工法により杭孔の削孔を行う（ステップ１０７）。
【００６３】
すなわち、上述した状態で送水管２２から注水を行いながら、図５に示すようにロータリーテーブル３１でドリルパイプ２１を回転させることにより、該ドリルパイプに連結されたドリルビット３で杭孔を掘削し、掘削ずりが混入した坑内の泥水をドリルビット３に内蔵されたポンプ（図示せず）により、ドリルパイプ２１内の中空空間を介して地上に揚水する。
【００６４】
ここで、ロータリーテーブル３１は、ベースマシン３２に取り付けられたリーダー３３に昇降自在に取り付ける形態で可搬性構台上に設けることができる。
【００６５】
かかるステップ１０７は、ドリルパイプ２１を回転させることによりドリルビット３で孔底を掘り下げるリバース工法による掘削作業となるが、ドリルパイプ２１が保護管１８内に挿入してあるとともに泥水もドリルパイプ２１内の中空空間を介して揚泥されるため、掘削作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【００６６】
掘削終了後、凹部用覆工板５及び保護管１８を仮撤去するとともに、ドリルパイプ２１及びドリルビット３を撤去する（ステップ１０８）。
【００６７】
次に、図６に示すように可搬性構台１２に形成された作業孔１３を介して杭孔に鉄筋籠４１を建て込む（ステップ１０９）。鉄筋籠４１を建て込むにあたっては、該鉄筋籠の体積に相当する量の泥水があふれないよう、サンドポンプ４２を凹部４内に設置して孔内の泥水を適宜揚泥しながら行う。
【００６８】
次に、図７に示すように保護管１８を再び作業孔１３から建て込み、チャック１４で吊持する（ステップ１１０）。
【００６９】
ここで、保護管１８を建て込むにあたっては、該保護管内のパイプ収容部２３に挿通された揚泥管５１を凹部用覆工板５の保護管連通孔６に通した上、該揚泥管の下端をサンドポンプ４２につなぐ。
【００７０】
次に、かかる状態にて杭孔の上に凹部用覆工板５を置き、次いで保護管１８の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔６に接合した後、保護管１８内にトレミー管５２を挿入する（ステップ１１１）。
【００７１】
これら一連のステップ１０８〜ステップ１１１は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【００７２】
次に、トレミー管５２を介して水中コンクリート打設を行いつつ、サンドポンプ４２で杭孔内の泥水を揚泥管５１を介して地上に揚泥する（ステップ１１２）。 かかるステップ１１２はコンクリート打設作業となるが、トレミー管５２が保護管１８内に挿入してあるとともに、泥水も保護管１８内のパイプ収容部２３に挿通された揚泥管５１を介して揚泥されるため、コンクリート作業の安全が確保されている。そのため、かかる工程は、列車運行時間帯に行うことができる。
【００７３】
水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭６１を施工した後は、図８に示すように可搬性構台１２、保護管１８、凹部用覆工板５及びトラス７を撤去するとともに、ＲＣ杭６１の天端にアンカー６２を貫入し、該アンカーを用いて鉄骨柱７１をＲＣ杭６１の頂部に立設するとともに、凹部４内にコンクリートを充填する（ステップ１１３）。
【００７４】
次に、作業構台８の鉄骨梁からあらたな鉄骨梁７２を延設して該鉄骨梁を鉄骨柱７１で支持するとともに、図１０に示すように、あらたに延設された鉄骨梁７２に床板８１を敷設してあらたな人工地盤とする（ステップ１１４）。
【００７５】
これらステップ１１３〜１１４は、列車の運行がない深夜時間帯に行うのが望ましい。
【００７６】
以上説明したように、本実施形態に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法によれば、可搬性構台１２をトラス１１で支持するようにしたので、可搬性構台１２を支持するための余計な支柱を線路敷設領域に立設する必要がなくなる。
【００７７】
加えて、保護管１８内には、リバース工法に用いるドリルパイプ２１やトレミー管５２が挿入されるスペースとパイプ収容部２３を設けるスペースだけで足りる。
【００７８】
そのため、人工地盤の柱７１を支持するためのＲＣ杭の外径が２５０ｃｍ〜３００ｃｍ程度必要な場合であっても、線路間に立設される保護管１８は、約９０ｃｍの外径で十分である。
【００７９】
したがって、列車の運行を妨げる懸念がなくなるとともに、列車走行の安全性を全く損なうことなく、しかも、杭の施工と人工地盤の構築とを、営業路線の運行時間帯と非運行時間帯とで使い分けながら全体として連続施工することができるので、杭の施工及び人工地盤の構築を短工期に行うことが可能となる。
【００８０】
加えて、掘削作業及びコンクリート打設作業を昼夜の別なく、連続して行うことができるので、掘削効率が飛躍的に向上するとともに、連続打設によってコンクリートの品質を大幅に高めることができる。
【００８１】
本実施形態では、本発明に係る車両走行領域内における杭の施工方法を人工地盤の構築に適用するようにしたが、人工地盤への適用に限定されるものではなく、杭の構築が必要なすべての場合に本発明を適用することができる。
【００８２】
また、本実施形態では、車両走行領域を線路敷設領域としたが、これに代えて自動車道路敷設領域としてもかまわない。
【００８３】
また、本実施形態では、人工地盤を線路に対して直交方向に延設する場合を例に説明したが、線路に平行な場合についても本発明を適用できることは言うまでもない。すなわち、線路に対して直交方向に人工地盤を延設したいのであれば、あらたな人工地盤を作業構台としながら、順次、人工地盤を延設すればよいし、線路に対して平行に人工地盤を延設したいのであれば、線路に平行な作業構台に沿って可搬性構台を移動しつつ、人工地盤を順次構築していけばよい。
【図面の簡単な説明】
【００８４】
【図１】本実施形態に係る車両走行領域内における杭の施工方法及びそれを用いた人工地盤構築方法の施工手順を示したフローチャート。
【図２】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図３】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図４】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図５】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図６】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図７】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図８】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図９】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【図１０】本実施形態に係る上述の方法の実施において各作業状況を示した図。
【符号の説明】
【００８５】
１ 作業構台（人工地盤）
２ あらたな人工地盤
３ ドリルビット
４ 凹部
５ 凹部用覆工板
１１ トラス（上部支持機構）
１２ 可搬性構台
１３ 作業孔
１４ チャック（吊持機構）
１８ 保護管
２１ ドリルパイプ
３１ ロータリーテーブル
５２ トレミー管
６１ ＲＣ杭
【特許請求の範囲】
【請求項１】
作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工することを特徴とする車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項２】
前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合する請求項１記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項３】
前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通する請求項１記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項４】
先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤を構築するための作業構台とし、該作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工した後、該現場打ちＲＣ杭の頂部に鉄骨柱を立設し、該鉄骨柱で前記作業構台の鉄骨梁から延設されたあらたな鉄骨梁を支持し、しかる後、あらたに延設された鉄骨梁に床板を敷設してあらたな人工地盤とすることを特徴とする人工地盤構築方法。
【請求項５】
前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合する請求項４記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項６】
前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通する請求項４記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項１】
作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工することを特徴とする車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項２】
前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合する請求項１記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項３】
前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通する請求項１記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項４】
先行構築された人工地盤を該人工地盤に延設されるあらたな人工地盤を構築するための作業構台とし、該作業構台の上面に上部支持機構を立設し該上部支持機構を介して前記作業構台とほぼ同一高さで該作業構台に水平に隣接された可搬性構台を支持するとともに、車両走行領域に掘削形成された凹部内にリバース工法用ドリルビットを仮置きし、前記可搬性構台に形成された作業孔に保護管を挿通して該保護管を所定の吊持機構で吊持し、吊持された状態の前記保護管内にドリルパイプを挿通し、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、次いで前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろし、前記吊持機構で前記保護管を再び吊持し、かかる状態で所定の送水管から前記凹部内に注水を行いながら前記ドリルパイプを回転させることにより、前記ドリルビットで杭孔を掘削しつつ、坑内の泥水を前記ドリルビットに内蔵されたポンプにより前記ドリルパイプを介して地上に揚水し、掘削終了後、前記保護管を仮撤去するとともに前記ドリルパイプ及び前記ドリルビットを撤去し、前記可搬性構台に形成された作業孔を介して前記杭孔に鉄筋籠を建て込み、前記保護管を再び前記作業孔から建て込んで前記吊持機構で吊持し、前記保護管内にトレミー管を挿入して水中コンクリート打設を行いつつ、杭孔内の泥水を所定の揚泥管を介して地上に揚泥し、前記水中コンクリートを硬化させて現場打ちＲＣ杭を施工した後、該現場打ちＲＣ杭の頂部に鉄骨柱を立設し、該鉄骨柱で前記作業構台の鉄骨梁から延設されたあらたな鉄骨梁を支持し、しかる後、あらたに延設された鉄骨梁に床板を敷設してあらたな人工地盤とすることを特徴とする人工地盤構築方法。
【請求項５】
前記保護管内にドリルパイプを挿通した後、該ドリルパイプを凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に挿通した上、前記ドリルパイプの先端を前記ドリルビットに連結し、しかる後、前記凹部の上に前記凹部用覆工板を設置するとともに、前記吊持機構を緩めて前記保護管を降ろす工程において該保護管の下端を前記凹部用覆工板に形成された保護管連通孔に接合し、前記保護管を仮撤去する工程において前記凹部用覆工板の仮撤去も併せて行い、前記保護管を前記作業孔から再び建て込む工程において前記杭孔の上に前記凹部用覆工板を置いて前記保護管の下端を該凹部用覆工板の保護管連通孔に接合する請求項４記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【請求項６】
前記送水管を前記保護管の内面に設けられたパイプ収容部内に挿通するとともに、該パイプ収容部に前記揚泥管を挿通する請求項４記載の車両走行領域内における杭の施工方法。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２００６−８３６７３（Ｐ２００６−８３６７３Ａ）
【公開日】平成１８年３月３０日（２００６．３．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００４−２７２５４２（Ｐ２００４−２７２５４２）
【出願日】平成１６年９月１７日（２００４．９．１７）
【出願人】（００００００５４９）株式会社大林組 (1,758)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年３月３０日（２００６．３．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年９月１７日（２００４．９．１７）
【出願人】（００００００５４９）株式会社大林組 (1,758)
【Ｆターム（参考）】
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