説明

車両通行管理システム

【課題】 高速道路等における車両の通行料等の通行管理を人手に頼ることなく的確かつ迅速に行うことの可能な車両通行管理システムを提案すること。
【解決手段】 有料道路を通行する車両2を管理する車両通行管理システム3は、有料道路1に出入りするために複数の箇所に設置されたゲート10と、車両2に装備された車両側通信装置20と、ゲート10に装備されたゲート側通信装置30と、これらのゲート側通信装置30と無線あるいは有線の通信回線40を介して接続されている本部装置50とを有している。車両側通信装置20は、当該車両2の識別情報21を発信可能であると共に、通過したゲート10を特定可能なゲート情報11を受信可能である。ゲート側通信装置30は、通過車両2の識別情報21を受信可能であると共に、当該ゲートを識別するゲート情報11を発信可能である。このシステム3によれば、通行券や人手に頼ることなく、各車両の通行料金等の算出を行うことができ、車両通行管理を交通渋滞等を引き起こすことなく的確、且つ迅速に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速道路等のような有料道路を通行する車両の通行管理、特に、通行料金の清算等を人手に頼ることなく処理することの可能な車両通行管理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高速道路を通行する車両の通行管理システムは、高速道路の出入り口であるインターチェンジにゲートを配置しておき、そこから高速道路に入った車両は通行券を取得することにより、通行料金の発生ゲートを特定できるようになっている。また、高速道路から出る場合には、運転手が通行券を出口ゲートに待機している係員に渡せば、その通行券に基づき、通行料金が算出され、現金、プリペイドカード、クレジットカード等により料金の支払が行われるようになっている。
【0003】このように、一般的な有料道路の車両通行管理システムにおいては、そこを通行する車両の運転手が、入口ゲートで通行券を取得し、出口ゲートで当該通行券を提出することにより、通行料金の算出が行われる。また、料金清算は、通行券を受け取った係員あるいは、自動料金清算機によって行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような通行管理システムでは、通行車両の運転者が通行券を携帯することをその前提としている。しかし、通行券を入口ゲートで発券機から取り出して高速道路等に乗り入れることは、その入口ゲートで交通渋滞を引き起こす原因となる。また、通行券を発券機から取り出して、携帯し、出口ゲートで提出することは、車両運転者にとっては極めて煩わしいことである。さらには、出口ゲートにおいて料金清算を行うために、現金の受け渡し等を行うことは、当該出口ゲートで交通渋滞を引き起こす大きな原因の一つとなっている。
【0005】また、盗難車両等は、入口ゲート、出口ゲート等において、通行車両を監視することで発見できる場合が多い。しかし、従来では、このような監視は、人手に頼ったものであり、例えば、夜間などには、的確な発見動作を行うことを期待できないといった弊害もある。
【0006】さらに、高速道路等における交通情報をリアルタイムで正確に通行車両に報知するためには、高速道路等を通行する車両の台数等を正確に確認できることが望ましい。
【0007】本発明の課題は、このような点に鑑みて、高速道路等のような有料道路の通行管理を効率良く行うことの可能な車両通行管理システムを提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の車両通行管理システムでは、各車両に、当該車両の識別情報を発信する機能を持たせると共に通過したゲートを特定するゲート情報を記憶させるようにし、ゲート側には、通過する車両が発信する車両識別情報を受信し、当該ゲートを特定するゲート情報を通過車両の側に発信する機能を持たせてある。このようにすれば、入口ゲートを通過する車両の側において、通過したゲートが記憶されるので、出口ゲートにおいては、各車両に記憶されているゲート情報に基づき、通行料金を算出できる。従って、通行券を用いて通行料金を管理する必要が無くなる。
【0009】また、各車両が発信する当該車両の識別情報と、当該車両の通行料金とを対応付けした形態で、これらの情報を、出口ゲートの側から本部装置の側に送信すれば、本部装置の側では、各車両の通行料金を定期的に集計して、例えば、クレジットカードによる決済等を行うことができる。従って、出口ゲートにおいて通行領域をその都度清算する必要がなくなるので、出口ゲートにおいて交通渋滞が発生するおそれが少なくなる。
【0010】さらには、このように各車両に識別情報を発信させるようにすれば、通過車両の特定をコンピュータシステム等を用いて迅速、的確に行うことができる。よって、例えば、盗難車両等の判別を的確に行うことが可能になる。また、本部装置の側では、どのゲートから何台の車両が入り、どのゲートからどの車両が出たのかを的確に算出できるので、どのゲート間の道路区域において何台の車両が通行中であるのか等の交通情報を正確に検出できるという効果も得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1を参照して説明すると、本発明は、有料道路1を通行する車両2(m)(m=1,2,3・・・)を管理する車両通行管理システム3であって、有料道路1に出入りするために複数の箇所に設置されたゲート10(n)(n=1,2,3・・・)と、車両2(m)に装備された車両側通信装置20(m)と、ゲート10(n)に装備されたゲート側通信装置30(n)と、これらのゲート側通信装置30(n)と無線あるいは有線の通信回線40(n)を介して接続されている本部装置50とを有している。
【0012】ここで、各車両側通信装置20(m)は、当該車両2(m)の識別情報21(m)を発信可能であると共に、通過したゲート10(n)を特定可能なゲート情報11(n)を受信可能である。これに対して、各ゲート側通信装置30(n)は、通過車両2(m)の識別情報21(m)を受信可能であると共に、当該ゲートを識別するゲート情報11(n)を発信可能である。
【0013】図2を参照して更に詳細に説明する。車両側通信装置20(m)は、当該通信装置20(m)が装備されている車両2(m)の識別情報21を記憶した識別情報記憶部22と、通過したゲート10(n)に装備されているゲート側通信装置30(n)から送信された通行管理情報S1を受信する受信部23と、当該受信部23で受信した情報を記憶可能な受信情報記憶部24と、ゲート側通信装置30(n)からの応答要求信号Rを受信すると、識別情報21および受信情報記憶部24に保持されている情報を、当該ゲート側通信装置30に送信する送信部25とを備えている。
【0014】これに対して、ゲート側通信装置30は、ゲート10を通過する車両2の車両側通信装置20に向けて応答要求信号R、ゲート情報11および通行管理情報Sを送信する送信部32と、応答要求信号Rに対して車両側通信装置20が発信する車両識別情報21および通行管理情報S2を受信する受信部33と、受信部33での受信情報に基づき、ゲート10を通過した車両2の通行料金を算出する料金算出部34と、算出された通行料金および受信部33での受信情報を対応付けして記憶する通行管理情報記憶手段35とを備えている。
【0015】ここで、ゲート側通信装置30における送信部32は、当該ゲート10を通過する車両2の車両側通信装置20の送信情報の受信不良が発生した場合には再度、応答要求信号Rを送信して、通行車両2との間での通信を確実に行うようにしている。
【0016】しかしながら、車両側の通信装置20の電源が切れて不動作状態等に陥っている場合には、通行車両の識別情報を受信不能である。このような場合においても、ゲート10を通過した車両2を特定できるようにするためには、ゲート10に、車両撮影用のカメラ(撮影手段)36を配置しておくことが望ましい。
【0017】また、ゲート10は、料金算出部34で算出された通行料金を車両運転手から受け取って通行料金の自動清算を行う料金清算機37を備えている。
【0018】勿論、ゲート10(n)において、入口ゲートとなるゲートでは、上記のような料金算出部、料金清算機は不要となる。
【0019】次に、ゲート側通信装置30は、特定の車体番号を記憶した記憶部38と、当該記憶部38に記憶されている車体番号の車両がゲート10を通過したか否かを判別する判別部39とを備えた構成を付加してもよい。このようにすれば、例えば、盗難車両、犯罪者等の逃亡車両等の車両番号を記憶させておけば、このような車両の通過を人手に頼ることなく的確に検出できるので好ましい。
【0020】ここで、前述したように、本例の車両通行管理システム3は、本部装置50と、複数のゲート10のそれぞれに装備されたゲート側通信装置30と、各車両2に装備された車両側通信装置20とを有している。そして、通信回線40を経由して、ゲート側通信装置30で受信された通行車両2の通行管理情報S2が本部装置50の側で集中管理される。勿論、カメラ36を備えた構成のゲートの場合には、カメラ36によって撮影された車両の映像も本部装置50の側に送信される。また、盗難車等が検出された場合には、ゲート側通信装置30の送信部32から警報信号S3が発信され、本部装置50の側では、この警報信号S3を受け取ると、その旨を警告表示する。例えば、画面上のその旨を表示し、あるいは、ブザー等の警告音を発生させる。
【0021】次に、車両側通信装置20の好のましい構成を説明する。上記のように車両側通信装置20は、当該車両を識別するための車両情報を発信するためのものであるから、運転者の側において勝手に取り外し等ができないようにすることが望ましい。このためには、例えば、図3に示すように、ナンバープレート60の封印部分61に、当該車両側通信装置20のモジュールを埋め込むようにし、勝手に取り外し、あるいは交換ができないようにすることが望ましい。
【0022】また、車両側通信装置20は車両運転中は常に、車両識別情報を発信可能な状態(すなわち、動作状態)に設定される必要がある。このためには、例えば、当該通信装置20の電源として、車載バッテリーを用いると共に、キーインして、それを車両電装品のオン位置まで回した状態で、当該通信装置20の電力供給路も形成されるようにすることが望ましい。このようにすれば、車両運転状態においては、常に、通信装置20は給電となり、車両識別情報を発信可能となる。
【0023】この構成に加えて、運転者が勝手に、通信装置20を動作不能状態に設定してしまうことを回避するために、外側から通信装置20が動作状態にあるか否かを目視により識別可能な表示ランプを取り付けることが望ましい。例えば、図3に示すように、ナンバープレート60の封印部分61の隣接位置に、このような表示ランプ62を取り付けておけばよい。このようにすれば、通信装置20が動作中である否かを、表示ランプ62の点滅状態から確認できる。
【0024】なお、上述の説明においては、車両側通信装置20の送信および受信機構としてどのようなものを使用するのかについては言及しなかった。このような機構としては、例えば、近年普及が著しいPHS等の通信機能をそのまま採用することができる。
【0025】このような通信機能の代わり、磁気式等の非接触型センサを応用した検出機構を採用して、ゲートを通過する車両を特定するようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両通行管理システムでは、各車両に、当該車両の識別情報を発信する機能を持たせると共に通過したゲートを特定するゲート情報を記憶させるようにしてある。また、ゲート側には、通過する車両が発信する車両識別情報を受信し、当該ゲートを特定するゲート情報を通過車両の側に発信する機能を持たせてある。
【0027】このように構成した本発明によれば、入口ゲートを通過する車両の側において、通過したゲートが記憶されるので、出口ゲートにおいては、各車両に記憶されているゲート情報に基づき、通行料金を算出できる。従って、通行券を用いて通行料金を管理する必要が無くなる。
【0028】また、本発明において、各車両が発信する当該車両の識別情報と、当該車両の通行料金とを対応付けした形態で、これらの情報を、出口ゲートの側から本部装置の側に送信すれば、本部装置の側では、各車両の通行料金を定期的に集計して、例えば、クレジットカードによる決済等を行うことができる。従って、出口ゲートにおいて通行領域をその都度清算する必要がなくなるので、出口ゲートにおいて通行料金の清算時間に起因した交通渋滞を回避できる。
【0029】さらには、本発明によれば、通過車両の特定をコンピュータシステム等を用いて迅速、的確に行うことができる。よって、例えば、盗難車両等の判別を的確に行うことが可能になる。また、本部装置の側では、どのゲートから何台の車両が入り、どのゲートからどの車両が出たのかを的確に算出できるので、どのゲート間の道路区域において何台の車両が通行中であるのか等の交通情報を正確に検出できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両通行管理システムの概略構成図である。
【図2】図1のシステムにおけるゲート側通信装置および車両側通信装置の構成を示す概略構成図である。
【図3】ナンバープレートに取り付けた車両側通信装置の位置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 高速道路
2 車両
3 車両通行管理システム
10 ゲート
11 ゲート識別情報
20 車両側通信装置
21 車両識別情報
30 ゲート側通信装置
40 通信回線
50 本部装置
60 ナンバープレート
61 封印部分
62 表示ランプ
S1 ゲート側から発信される通行管理情報
S2 車両側から発信される通行管理情報
S3 警報信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】 有料道路を通行する車両を管理する車両通行管理システムにおいて、前記有料道路に出入りするためのゲートと、車両に装備された車両側通信装置と、前記ゲートに装備されたゲート側通信装置とを有し、前記車両側通信装置は、当該車両の識別情報を発信可能であると共に、通過したゲートのゲート情報を受信可能であり、前記ゲート側通信装置は、通過車両の識別情報を受信可能であると共に、当該ゲートを識別するゲート情報を発信可能であることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項2】 請求項1において、前記車両側通信装置は、当該通信装置が装備されている車両の識別情報を記憶した識別情報記憶部と、通過した前記ゲートに装備されている前記ゲート側通信装置から送信された通行管理情報を受信する受信部と、当該受信部で受信した情報を記憶可能な受信情報記憶部と、前記ゲート側通信装置からの応答要求信号を受信すると、前記識別情報および前記受信情報記憶部に保持されている情報を、当該ゲート側通信装置に送信する送信部とを備えており、前記ゲート側通信装置は、前記ゲートを通過する車両の前記車両側通信装置に向けて応答要求信号および通行管理情報を送信する送信部と、前記応答要求信号に対して前記車両側通信装置が発信する車両識別情報および通行管理情報を受信する受信部と、前記受信部での受信情報に基づき、前記ゲートを通過した車両の通行料金を算出する料金算出部と、算出された通行料金および前記受信部での受信情報を対応付けして記憶する通行管理情報記憶手段とを備えていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項3】 請求項1または2において、前記ゲート側通信装置における前記送信部は、前記ゲートを通過する車両側通信装置の送信情報の受信不良が発生した場合には再度、前記応答要求信号を送信するようになっていることを特徴おする車両通行管理システム。
【請求項4】 請求項1ないし3のうちの何れかの項において、更に、前記ゲートは、通行車両を撮影するための撮影手段を有しており、前記ゲートを通過する車両の側から情報を受信できない場合には、当該撮影手段によって通過車両を撮影するようになっていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項5】 請求項1ないし4のうちの何れかの項において、更に、前記ゲートは、前記料金算出部で算出された通行料金を受け取る料金清算機を有していることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項6】 請求項1ないし5のうちの何れかの項において、前記ゲート側通信装置は、特定の車体番号を記憶した記憶部と、当該記憶部に記憶されている車体番号の車両がゲートを通過したか否かを判別する判別部と、特定の車体番号の車両が通過した場合には、その旨および該当する車体番号を、本部装置に報知する報知部とを備えていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項7】 請求項1ないし6のうちの何れかの項において、本部装置と、複数のゲートのそれぞれに装備された前記ゲート側通信装置と、各車両に装備された前記車両側通信装置とを有し、前記ゲート側通信装置で受信された通行車両の通行管理情報が前記本部装置の側で集中管理されるようになっていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項8】 請求項1ないし7のうちの何れかの項において、前記車両側通信装置は、車両のナンバープレートの封印部分に埋め込まれていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項9】 請求項1ないし8のうちの何れかの項において、前記車両側通信装置が動作状態にあるか否かを表示する表示ランプを有し、当該表示ランプは外側から目視可能な車両の車体部分に取り付けられていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項10】 請求項9において、前記表示ランプは、車両のナンバープレートに取り付けられていることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項11】 請求項9または10において、前記表示ランプは、車両のアクセサリ電源のオンオフに連動してオンオフするように、車載バッテリを駆動電源としていることを特徴とする車両通行管理システム。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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