説明

車両運行管理システム

【課題】車両運行管理システムに関し、運転者の運転行動を精度良く評価する。
【解決手段】少なくとも速度、位置情報、ステアリング操舵角を含む運行データを検出する運行データ検出部11と、検出された運行データを基地局に送信する車両側データ通信部32と、送信される運行データを受信する基地局側データ通信部41と、受信される運行データに基づいて車両の運行履歴を解析する運行履歴解析部52と、解析された運行履歴の中から運転者に喚起すべき運転行動を選択する運転行動選択部53と、選択された運転行動を車両の運転者に提供する情報提供装置とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運行管理システムに関し、特に車両と基地局との間でデータ通信を行う車両運行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された各種センサにより車両の加速度や速度等の運行データを取得し、これら運行データに基づいて安全運転や経済運転の向上に役立たせる車両運行管理システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、運行管理センタと複数の車両とを通信で結び、両者の間で情報を交換しながら車両の運行を適切に管理する車両運行管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−152668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車両運行管理システムは、安全の観点から運転日報や車速履歴の管理のみならず、より多くの運転項目で運転者の運転行動を管理することが好ましい。しかし、管理者にとって運転者の運転行動を多くの運転項目で正確に把握することは困難な場合が多く、また運転者にとっても自らの運転行動を十分に認識できない可能性がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、その目的は、運転者の運転行動を精度良く評価して、運転者の運転行動を効果的に改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の車両運行管理システムは、車両と基地局との間でデータ通信を行って該車両の運行を管理する車両運行管理システムであって、前記車両に設けられ、少なくとも該車両の車速、位置情報、ステアリング操舵角を含む運行データを検出する運行データ検出部と、前記車両に設けられ、検出された前記運行データを前記基地局に送信する車両側通信部と、前記基地局に設けられ、送信される前記運行データを受信する基地局側通信部と、前記基地局に設けられ、受信される前記運行データに基づいて、少なくとも前記車両の車速履歴、ステアリング操舵履歴を含む運行履歴を解析する運行履歴解析部と、前記基地局に設けられ、解析された前記運行履歴の中から前記車両の運転者に喚起すべき運転行動を選択する運転行動選択部と、前記車両に設けられ、選択された前記運転行動を前記車両の運転者に提供する情報提供装置とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる車速と位置情報とに基づいて、前記車両の速度超過、下り坂走行時の速度上昇及び、登り坂走行時の速度低下の有無を解析し、前記運転行動選択部は、解析された前記車両の速度超過、下り坂走行時の速度上昇及び、登り坂走行時の速度低下の有無に基づいて前記運転行動を選択してもよい。
【0009】
また、前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれるステアリング操舵角に基づいて、運転者によるステアリングの急操舵の有無を解析し、前記運転行動選択部は、解析された前記ステアリングの急操舵の有無に基づいて前記運転行動を選択してもよい。
【0010】
また、前記運行データ検出部は、前記運行データの一部として前記車両の方向指示器の点灯信号をさらに検出し、前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる操舵角と前記点灯信号とに基づいて、前記車両の右左折時における前記方向指示器の点灯有無を解析し、前記運転行動選択部は、解析された前記車両の右左折時における前記方向指示器の点灯有無に基づいて前記運転行動を選択してもよい。
【0011】
また、前記運行データ検出部は、前記運行データの一部として前記車両のクラクションの作動信号をさらに検出し、前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる前記作動信号に基づいて、運転者による前記クラクションの乱用有無を解析し、前記運転行動選択部は、解析された前記クラクションの乱用有無に基づいて前記運転行動を選択してもよい。
【0012】
また、前記運行データ検出部は、前記運行データの一部として前記車両のシートベルトの着脱信号をさらに検出し、前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる速度と前記着脱信号とに基づいて、前記車両走行時における前記シートベルトの着脱有無を解析し、前記運転行動選択部は、解析された前記シートベルトの着脱有無に基づいて前記運転行動を選択してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両運転管理システムによれば、運転者の運転行動を精度良く評価できると共に、運転者の運転行動を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両運転管理システムを示すブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両運転管理システムにより作成されるレポートの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両運転管理システムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜3に基づいて、本発明の一実施形態に係る車両運行管理システムを説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る車両運行管理システム1は、車両側に搭載される車両側装置10と、基地局である運行管理センタ側装置40とを備えている。
【0017】
車両側装置10は、車両情報センサ部(運行データ検出部)11と、CPU制御部30と、記憶部31と、車両側無線通信部32と、表示装置(情報提供装置)33と、音声警告装置(情報提供装置)34とを備え構成されている。また、車両情報センサ部11は、車速センサ12、加速度センサ13、エンジン回転数センサ14、CCDカメラ15、GPS信号受信部16、方向指示器点灯検出部17、シートベルト着脱検出部18、クラクション作動検出部19、ステアリング操舵角検出部20、及びサイドブレーキ検出部21を有する。
【0018】
車速センサ12は、車両の速度を検出するもので、検出された車速は電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0019】
加速度センサ13は、車両の加速度を検出するもので、検出された加速度は電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0020】
エンジン回転数センサ14は、図示しないエンジンの回転数を検出するもので、検出されたエンジン回転数は電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0021】
CCDカメラ15は、車両前方の路面画像(例えば、道路の一時停止線を含む路面画像)を撮像するもので、撮像された画像データは電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0022】
GPS信号受信部16は、図示しないGPS衛生からGPS信号を受信するもので、検出されたGPS信号は電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0023】
方向指示器点灯検出部17は、左右の方向指示器の点滅状態を検出するもので、例えば図示しないウィンカスイッチのON状態(以下、ウィンカ点灯信号)を検出するセンサで構成されている。この方向指示器点灯検出部17で検出されたウィンカ点灯信号は、電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0024】
シートベルト着脱検出部18は、運転者のシートベルト着脱状態を検出するもので、例えば図示しないシートベルトのバックルに内蔵されたスイッチのON・OFF(以下、ベルト着脱信号)を検出するセンサで構成されている。このシートベルト着脱検出部18で検出されたベルト着脱信号は、電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0025】
クラクション作動検出部19は、運転者により操作される図示しないクラクションの作動状態を検出するもので、例えば図示しないクラクションスイッチのON(以下、クラクション作動信号)を検出するセンサで構成されている。このクラクション作動検出部19で検出されたクラクション作動信号は、電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0026】
ステアリング操舵角検出部20は、運転者により操作される図示しないステアリングの操舵角を検出するもので、例えば操舵角センサで構成されている。この操舵角センサで検出された操舵角信号は、電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0027】
サイドブレーキ検出部21は、運転者により操作される図示しないサイドブレーキの作動状態を検出するもので、例えば図示しないサイドブレーキスイッチのON(以下、サイドブレーキ作動信号)を検出するセンサで構成されている。このサイドブレーキ検出部21で検出されたサイドブレーキ作動信号は、電気的に接続されたCPU制御部30に出力される。
【0028】
記憶部31は、CPU制御部30と電気的に接続されており、車両情報センサ部11で検出されてCPU制御部30で処理された車両データや時刻情報等を含む運行データを記憶する。
【0029】
車両側無線通信部32は、CPU制御部30と電気的に接続されており、記憶部31に記憶された運行データを運行管理センタ側装置40の管理センタ側無線通信部41に送信する。
【0030】
表示装置33は、運行管理センタ側装置40から送信される各種情報を表示するもので、運転室内の所定箇所(例えば、インストルメントパネル内など)に設けられている。この表示装置33は、CPU制御部30と電気的に接続されている。
【0031】
音声警告装置34は、運行管理センタ側装置40から送信される各種情報を運転者に音声で知らせるもので、運転室内の所定箇所(例えば、インストルメントパネル上部など)に設けられている。この音声警告装置34は、電気配線を介してCPU制御部30に接続されている。
【0032】
運行管理センタ側装置40は、管理センタ側無線通信部41と、データベース蓄積部42と、解析部50とを備え構成されている。また、この解析部50は、燃費演算部51、運行履歴解析部52、運転行動選択部53、表示・警告選択部54、危険運転実行数カウント部55、危険運転実行率演算部56及び、総合点数演算部57を有する。
【0033】
管理センタ側無線通信部41は、車両側無線通信部32から送信される車両の運行データを受信すると共に、詳細を後述する解析部50で処理された推奨運転行動データを車両側無線通信部32に送信する。
【0034】
データベース蓄積部42は、車両側無線通信部32から管理センタ側無線通信部41に送信された運行データをデータベースとして蓄積する。
【0035】
燃費演算部51は、データベース蓄積部42に蓄積された運行データに基づいて、車両の燃費状態を演算する。この燃費演算部51は、運行データ中のアクセル開度(燃料噴射量)と車速から瞬間燃費を演算すると共に、その瞬間燃費の積算平均値である平均燃費を演算するように構成されている。
【0036】
運行履歴解析部52は、データベース蓄積部42に蓄積された運行データに基づいて、車両の運行履歴を解析する。具体的には、この運行履歴解析部52は、走行時のシートベルト着脱有無、発進時や右左折時の方向指示器点灯有無、クラクションの乱用有無、ステアリング急操作の有無、制限速度の超過有無、一時停止線手前での減速や一時停止線での一旦停止の実行有無、坂道走行時の速度の乱れ(下り坂での速度上昇や登り坂での速度低下)有無、ETC通過時の減速有無及び、駐車時のサイドブレーキ有無を解析する。
【0037】
シートベルトの着脱有無は、運行データに含まれるベルト着脱信号の有無に基づいて解析される。例えば、車速センサの検出値が0(ゼロ)よりも大きい車両走行状態の時にベルト着脱信号がONでない場合、シートベルトは無着用と解析される。
【0038】
方向指示器点灯有無は、運行データに含まれるウィンカ点灯信号の有無に基づいて解析される。例えば、操蛇角センサの検出値が右左折を示す大きな値の時にウィンカ点灯信号がOFFの場合、方向指示器は無点灯と解析される。
【0039】
クラクションの乱用有無は、運行データに含まれるクラクション作動信号の有無に基づいて解析される。例えば、クラクション作動信号が所定時間以上継続して検出された場合、運転者によるクラクションの乱用は有りと解析される。
【0040】
ステアリング急操作の有無は、運行データに含まれる操舵角センサの検出値に基づいて解析される。例えば、操舵角センサの検出値が短時間に所定角度以上を示した場合、運転者によるステアリング急操作は有りと解析される。
【0041】
制限速度の超過有無は、運行データに含まれる車速センサの検出値やGPS情報に基づいて解析される。例えば、GPS情報から車両が走行していた道路の種別(一般道路・高速道路等)を判別し、検出された車速が道路の種別に応じて予め設定された制限速度を超えている場合、制限速度の超過は有りと解析される。
【0042】
一時停止線手前での減速や一時停止線での一旦停止の実行有無は、運行データに含まれる車速センサの検出値や一時停止線の画像データに基づいて解析される。例えば、一時停止線の画像データから車両が一時停止線の手前を走行中と判定された際に、車速センサの値が所定速度以上を示した場合、一時停止線手前での減速は無実行と解析される。また、一時停止線の画像データから車両が一時停止線近傍にあると判定された際に、車速センサの値が0(ゼロ)を示さない場合、一時停止線での一旦停止は無実行と解析される。
【0043】
坂道走行時の速度の乱れ有無は、運行データに含まれる車速センサの検出値やGPS情報に基づいて解析される。例えば、GPS情報から車両が下り坂を走行中と判定された際に、車速センサの値が所定速度まで上昇していた場合、坂道走行時の速度の乱れ(下り坂での速度上昇)は有りと解析される。同様に、GPS情報から車両が登り坂を走行中と判定された際に、車速センサの値が所定速度まで低下していた場合、坂道走行時の速度の乱れ(登り坂での速度低下)は有りと解析される。
【0044】
ETC通過時の減速有無は、運行データに含まれる車速センサの検出値やGPS情報に基づいて解析される。例えば、GPS情報から車両がETCの手前を走行中と判定された際に、車速センサの値が所定速度まで低下しなかった場合、ETC通過時の減速は無実行と解析される。
【0045】
駐車時のサイドブレーキ有無は、運行データに含まれる車速センサの検出値やサイドブレーキ作動信号に基づいて解析される。例えば、車速センサの検出値が所定時間継続して0(ゼロ)の際に、サイドブレーキ作動信号がOFFの場合、駐車時のサイドブレーキ操作は無実行と解析される。
【0046】
運転行動選択部53は、運行履歴解析部52で解析された車両の運行履歴の中から、運転者に喚起すべき運転パターン、すなわち運転者が改善すべき運転行動(以下、危険運転行動という)を選択する。例えば、運行履歴解析部52によって、右左折時における方向指示器が無点灯と解析された場合や、車速が制限速度を超過していると解析された場合、これらの運転パターンは危険運転行動として選択される。その後、選択された各危険運転行動は、危険運転行動データとしてデータベース蓄積部42に記憶されるように構成されている。この危険運転行動選択部53による選択や記憶は、車両のイグニッションキーがON操作されてからOFF操作される間、リアルタイムで行われる。
【0047】
表示・警告選択部54は、運転行動選択部53で選択された危険運転行動を運転者に提供するに際し、表示装置33により行うべきか、音声警告装置34により行うべきかを選択する。例えば、運転者による表示装置33の視認が難しい車両走行中は、音声警告装置34による危険運転行動の提供が選択される。一方、運転者による表示装置33の視認が可能な車両停止中は、表示装置33による危険運転行動の提供が選択される。この様に運転者への提供方法が選択されると、データベース蓄積部42に記憶された危険運転行動データは、管理センタ側無線通信部41から車両側無線通信部32に送信されると共に、選択された提供方法(表示又は音声)で運転者に提供されるように構成されている。この危険運転行動の運転者への提供は、所定時間毎(例えば、1〜2時間毎)に行われる。
【0048】
危険運転実行数カウント部55は、運転行動選択部53によって選択された各危険運転行動の個数から、運転者による危険運転の実行数を各項目毎にカウントする。例えば、所定期間内に運転行動選択部53により2個の方向指示器の無点灯、3個の車速の制限速度超過が選択された場合、危険運転実行数は方向指示器の無点灯につき2回、車速の制限速度超過につき3回とカウントされる。この危険運転実行数のカウントは、所定時間(例えば、1〜2時間)を基準に行われてもよく、運転者の1シフト(例えば、車両が基地局を出発してからも戻るまで)を基準に行われてもよい。
【0049】
危険運転実行率演算部56は、危険運転実行数カウント部55によりカウントされた危険運転実行数の実行率を演算する。この実行率の演算は、所定時間(例えば、1〜2時間)を基準としてもよく、運転者の1シフトを基準としてもよい。
【0050】
総合点数演算部57は、危険運転実行数の実行率に基づいて、運転者の安全運転を評価する総合点を演算する。例えば、解析部50には実行率と総合点との関係が予め記憶されており、実行率が極端に低い場合、総合点は満点と演算されるように構成されている。この実行率と総合点との関係は、管理者によって適宜調整可能になっている。
【0051】
レポート作成部は、燃費演算部51で演算された燃費情報、データベース蓄積部42に記憶された危険運転行動データ、危険運転実行率演算部56で演算された実行率及び、総合点数演算部57で演算された総合点に基づいて、運転者の運転パターンを評価するレポートを作成する(図2参照)。このレポートは、例えば1シフトを基準に作成されており、運転者の危険な運転行動を改善する教育資料として用いることができる。
【0052】
次に、図3のフローチャートを参照して動作について説明する。なお、図3では、1台の車両の処理が示されているが、走行中の多数の車両について、図3に示すフローチャートと同様の処理を行うことが可能である。
【0053】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、車両側装置10の車両情報センサ部11により、車両の速度、加速度、GPS信号、ウィンカ点灯信号等の運行データが各種センサで検出されると共に、記憶部31に記憶される。
【0054】
S110では、記憶部31に記憶された運行データが、車両側無線通信部32から管理センタ側無線通信部41に送信されると共に、データベース蓄積部42に記憶される。
【0055】
S120では、燃費演算部51が、データベース蓄積部42に記憶された運行データに基づいて車両の燃費状態(瞬間燃費、平均燃費)を演算する。
【0056】
S130では、運行履歴解析部52が、データベース蓄積部42に記憶された運行データに基づいて車両の運行履歴(シートベルト着脱、方向指示器点灯、クラクション乱用、ステアリング急操作、制限速度の超過、一時停止線での一旦停止、坂道走行時の速度の乱れ、ETC通過時の減速、駐車時のサイドブレーキ等)を解析する。
【0057】
S140では、運転行動選択部53が、解析された車両の運行履歴の中から危険運転行動を選択すると共に、選択された危険運転行動は危険運転行動データとしてデータベース蓄積部42に記憶される。
【0058】
S150では、表示・警告選択部54が、選択された危険運転行動の運転者への提供方法(表示又は音声)を選択する。運転者による表示装置33の視認が難しい車両走行中は音声警告装置34による提供が選択される一方、運転者による表示装置33の視認が可能な車両停止中は表示装置33による提供が選択される。
【0059】
S160では、データベース蓄積部42に記憶された危険運転行動データが、管理センタ側無線通信部41から車両側無線通信部32に送信されると共に、S150で選択された提供方法(表示又は音声)で運転者に提供される。この危険運転行動の提供は、所定時間毎(例えば、1〜2時間毎)に行われる。
【0060】
S170では、危険運転実行数カウント部55により、運転者による危険運転の実行数が項目毎にカウントされる。
【0061】
S180では、危険運転実行率演算部56により、S170でカウントされた危険運転実行数の実行率が演算される。
【0062】
S190では、総合点数演算部57により、危険運転実行数の実行率に基づいて、運転者の安全運転を評価する総合点が演算される。
【0063】
S200では、レポート作成部により、燃費演算部51で演算された燃費情報、データベース蓄積部42に記憶された危険運転行動データ、危険運転実行率演算部56で演算された実行率及び、総合点数演算部57で演算された総合点に基づいて、運転者の運転パターンを評価するレポートが1シフトを基準に作成されて、本制御はリターンされる。
【0064】
次に、本発明の一実施形態に係る車両運行管理システム1の作用効果について説明する。
【0065】
車両情報センサ部11の各種センサで検出された速度、加速度、GPS信号、ウィンカ点灯信号等の多数の情報を含む運行データは、運行履歴解析部52により車両の運行履歴(シートベルト着脱、方向指示器点灯、クラクション乱用、ステアリング急操作、制限速度の超過、一時停止線での一旦停止、坂道走行時の速度の乱れ、ETC通過時の減速、駐車時のサイドブレーキ等)として解析される。そして、解析された多項目に渡る運行履歴のうち、運転者が改善すべき運転行動は、運転行動選択部53により運転者に提供すべき危険運転行動として選択された後、表示装置33や音声警告装置34で運転者に適宜提供される。
【0066】
したがって、運転者が改善すべき運転行動を多くの運転項目で客観的に精度良く評価することができると共に、運転者に安全運転を効果的に継続させることができる。
【0067】
また、運行履歴解析部52により解析される車両の運行履歴は、シートベルト着脱、方向指示器点灯、クラクション乱用といった車速履歴以外の多くの運転項目を含んでいる。
【0068】
したがって、運転者の個人特性に応じた効果的な教育が可能となり、運転者の運転行動を効果的に改善することができる。
【0069】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0070】
例えば、上述の実施形態において、運転者に提供される危険運転行動は、表示装置33又は音声警告装置34の何れかによって提供されるものとして説明したが、これら表示装置33及び音声警告装置34によって同時に提供されるように構成してもよい。
【0071】
また、危険運転行動の運転者への提供は、所定時間毎(例えば、1〜2時間毎)に行われる必要はなく、リアルタイムで提供されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 車両運行管理システム
10 車両側装置
11 車両情報センサ部(運行データ検出部)
32 車両側無線通信部(車両側通信部)
33 表示装置(情報提供装置)
34 音声警告装置(情報提供装置)
40 運行管理センタ側装置
41 管理センタ側無線通信部(基地局側通信部)
52 運行履歴解析部
53 運転行動選択部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両と基地局との間でデータ通信を行って該車両の運行を管理する車両運行管理システムであって、
前記車両に設けられ、少なくとも該車両の車速、位置情報、ステアリング操舵角を含む運行データを検出する運行データ検出部と、
前記車両に設けられ、検出された前記運行データを前記基地局に送信する車両側通信部と、
前記基地局に設けられ、送信される前記運行データを受信する基地局側通信部と、
前記基地局に設けられ、受信される前記運行データに基づいて、少なくとも前記車両の車速履歴、ステアリング操舵履歴を含む運行履歴を解析する運行履歴解析部と、
前記基地局に設けられ、解析された前記運行履歴の中から前記車両の運転者に喚起すべき運転行動を選択する運転行動選択部と、
前記車両に設けられ、選択された前記運転行動を前記車両の運転者に提供する情報提供装置と、を備えることを特徴とする車両運行管理システム。
【請求項2】
前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる車速と位置情報とに基づいて、前記車両の速度超過、下り坂走行時の速度上昇及び、登り坂走行時の速度低下の有無を解析し、
前記運転行動選択部は、解析された前記車両の速度超過、下り坂走行時の速度上昇及び、登り坂走行時の速度低下の有無に基づいて前記運転行動を選択する請求項1に記載の車両運行管理システム。
【請求項3】
前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれるステアリング操舵角に基づいて、運転者によるステアリングの急操舵の有無を解析し、
前記運転行動選択部は、解析された前記ステアリングの急操舵の有無に基づいて前記運転行動を選択する請求項1又は2に記載の車両運行管理システム。
【請求項4】
前記運行データ検出部は、前記運行データの一部として前記車両の方向指示器の点灯信号をさらに検出し、
前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる操舵角と前記点灯信号とに基づいて、前記車両の右左折時における前記方向指示器の点灯有無を解析し、
前記運転行動選択部は、解析された前記車両の右左折時における前記方向指示器の点灯有無に基づいて前記運転行動を選択する請求項1から3の何れかに記載の車両運行管理システム。
【請求項5】
前記運行データ検出部は、前記運行データの一部として前記車両のクラクションの作動信号をさらに検出し、
前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる前記作動信号に基づいて、運転者による前記クラクションの乱用有無を解析し、
前記運転行動選択部は、解析された前記クラクションの乱用有無に基づいて前記運転行動を選択する請求項1から4の何れかに記載の車両運行管理システム。
【請求項6】
前記運行データ検出部は、前記運行データの一部として前記車両のシートベルトの着脱信号をさらに検出し、
前記運行履歴解析部は、前記運行データに含まれる速度と前記着脱信号とに基づいて、前記車両走行時における前記シートベルトの着脱有無を解析し、
前記運転行動選択部は、解析された前記シートベルトの着脱有無に基づいて前記運転行動を選択する請求項1から5の何れかに記載の車両運行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−248087(P2012−248087A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120638(P2011−120638)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】