説明

車両運転支援装置

【課題】車線変更時や停車時に区画線までの距離を正確に検出して運転者に通知することができる車両運転支援装置を提供すること。
【解決手段】車両運転支援装置100は、車両に設置されて周辺の所定範囲を撮影するカメラ10と、カメラ10によって撮影された画像に含まれる区画線を検出する区画線検出部30と、方向指示器が作動しているときにこの方向指示器によって指し示された左右いずれかの向きを判定する左右判定部52と、左右判定部52によって判定された左右いずれかの向きに隣接する区画線と車両との間の距離を算出する区画線距離算出部50と、区画線距離算出部50によって算出された車両と区画線との間の距離を通知する区画線距離通知部54とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が縦列駐車等を行う場合に運転者に対して車両の移動を支援する車両運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行中の自車両が走行車線から逸脱傾向にあるときに警報を出すようにした車線逸脱警報装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、車両後方に設置されたカメラで路面を撮影して俯瞰画像に変換し、この俯瞰画像に含まれる車線(白線)を検出することで、車線に対する車両の位置や逸脱傾向を判断している。
【0003】
また、従来から、画像センサを用いて路面上の状況を撮影し、白線と自車との相対的位置関係を計算してディスプレイ上に表示するとともに、自車が所定の速度以上(40km/h)で走行中に白線を踏んだときに警告を発してドライバーに注意を促すようにした白線認識装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−200191号公報(第4−12頁、図1−14)
【特許文献2】特開平10−83500号公報(第2−4頁、図1−11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1や特許文献2に開示された装置では、車両が走行中に走行車線から逸脱傾向にある場合や車両が逸脱して白線(区画線)を踏んだときに所定の警報が出力されるが、運転者が意図した右左折時の車線変更時や路肩への停車時であっても直進走行時に同様の警報動作が行われるため、車線変更時や停車時に有効な情報が得られないという問題があった。すなわち、車線変更時や停車時には白線(区画線)までの距離が具体的にわかれば便利であるが、従来は、車線変更時や停車時と直進走行時とでは同じように表示や警報動作が行われていた。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、車線変更時や停車時に区画線までの距離を正確に検出して運転者に通知することができる車両運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の車両運転支援装置は、車両に設置された周辺の所定範囲を撮影するカメラと、カメラによって撮影された画像に含まれる区画線を検出する区画線検出手段と、方向指示器が作動しているときにこの方向指示器によって指し示された左右いずれかの向きを判定する左右判定手段と、左右判定手段によって判定された左右いずれかの向きに隣接する区画線と車両との間の距離を算出する区画線距離算出手段と、区画線距離算出手段によって算出された車両と区画線との間の距離を通知する区画線距離通知手段とを備えている。方向指示器を作動させたときにこの方向指示器で指し示された向きに区画線までの距離が算出されるため、車線変更時や停車時に区画線までの距離を正確に検出して運転者に通知することができる。
【0008】
また、上述した区画線距離通知手段は、車両の速度が第1の速度以下のときに通知を行うことが望ましい。これにより、停車直前や交差点での右左折時等の低速走行時に、車両が接近する側の区画線までの距離を正確に運転者に通知することが可能となる。
【0009】
また、車両の速度が第1の速度よりも速い第2の速度以上のときに、区画線検出手段による検出結果に基づいて、走行中の車線からの逸脱傾向の有無を判定する逸脱判定手段と、逸脱判定手段によって逸脱傾向にある旨の判定がなされたときに警報を出力する警報出力手段とをさらに備えることが望ましい。これにより、高速走行時には逸脱警報を行い、低速走行時には区画線までの距離の通知を行うことができ、これらの動作を速度に応じて使い分けることができる。また、これらの動作を共通の構成(カメラや区画線検出手段など)で実現することができ、部品の共用化によるコストの低減が可能となる。
【0010】
また、上述した左右判定手段は、方向指示器の作動を指示する操作手段の操作内容に基づいて左右いずれかの向きを判定することが望ましい。これにより、容易かつ確実に、方向指示器が作動中であることと、方向指示器によって左右いずれの方向が指し示されているかを知ることができる。
【0011】
また、上述した区画線距離通知手段による通知の対象となる区画線は、走行中の車線を区画する白線あるいは黄色線であることが望ましい。これにより、停車直前や交差点での右左折直前において低速走行する際に、車両と白線や黄色線との間の距離を正確に運転者に知らせることができる。
【0012】
また、上述したカメラは、車両後方に設置されていることが望ましい。これにより、車両後方を撮影して表示する構成に含まれるカメラを流用することができ、部品の共用化によるコストの低減が可能となる。
【0013】
また、上述した区画線距離算出手段は、左右判定手段によって左向きの判定がなされたときに、車両の前方左側端部から左側に隣接する区画線までの距離を算出し、左右判定手段によって右向きの判定がなされたときに、車両の前方右側端部から右側に隣接する区画線までの距離を算出することが望ましい。これにより、走行中の車両と左右の区画線までの間の距離を正確に算出して運転者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態の車両運転支援装置の構成を示す図である。
【図2】車両と区画線との位置関係を示す図である。
【図3】車両運転支援装置によって車両と方向指示器で指し示された向きに隣接する区画線との間の距離を算出して表示する動作手順を示す流れ図である。
【図4】車両の前方右側端部から右側の区画線までの距離を表示画面を用いて通知する具体例を示す図である。
【図5】車両の前方左側端部から左側の区画線までの距離を表示画面を用いて通知する具体例を示す図である。
【図6】低速走行時には方向指示器で指し示された向きの区画線までの距離を算出して通知し、高速走行時には逸脱傾向を判定して警報出力を行う動作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両運転支援装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、一実施形態の車両運転支援装置の構成を示す図である。図1に示す車両運転支援装置100は、カメラ10、路面投影処理部20、区画線検出部30、車両位置・方向算出部40、区画線距離算出部50、左右判定部52、区画線距離通知部54、逸脱判定部60、警報出力部62を備える。
【0016】
カメラ10は、車両後方の所定位置に所定の角度で取り付けられ、魚眼レンズや広角レンズを通して車両後方を撮影してサイドビュー画像を生成する。例えば、カメラ10は、リアバンパーの中央に、水平から下向きに30°の角度で取り付けられている。また、カメラ10の左右方向の視野角は180°に設定されており、車両の真後ろだけでなく、左右の横方向に配置された路面を含む各種の被写体が撮影される。
【0017】
路面投影処理部20は、カメラ10を用いた撮影によって得られたサイドビュー画像に基づいてトップビュー(登録商標)の画像を生成する視点変換処理を行う。この視点変換処理は、カメラ10のレンズ近傍にある視点位置に対応するサイドビュー画像を、路面の上空にある視点位置に対応するトップビュー画像に変換する処理である。
【0018】
区画線検出部30は、路面投影処理部20によって生成された車両後方のトップビュー画像に含まれる区画線を検出する。検出対象となる区画線には、走行中の車線を区画する実線あるいは破線の白線あるいは黄色線が含まれる。また、カメラ10の設置位置および設置角度は既知(所定位置および角度で取り付けられ、あるいは、取付後にキャリブレーションを行うことにより位置および角度が特定される)であり、路面投影処理部20によって生成されるトップビュー画像内の区画線を抽出することにより、車両に対する区画線の相対的な位置および角度を知ることができる。
【0019】
車両位置・方向算出部40は、区画線検出部30によって検出された区画線の位置および方向に基づいて、区画線に対する車両の位置および方向を算出する。例えば、図2に示すように、車両の中心oから区画線に下ろした法線の長さLと車両の中心線(中心oを通り車両の側面と平行な線)と区画線とがなす角度θとが算出される。
【0020】
左右判定部52は、車両に備わっている図示しない方向指示器(ウインカー)が作動しているときにこの方向指示器によって指し示された左右いずれかの向きを判定する。例えば、左右判定部52には、前記方向指示器の作動を指示する操作手段としてのウインカースイッチの操作内容を示すウインカー情報が入力されており、このウインカー情報に基づいて左右いずれかの向きが判定される。
【0021】
区画線距離算出部50は、左右判定部52によって判定された左右いずれかの向きに隣接する区画線と車両との間の距離を算出する。具体的には、区画線距離算出部50は、左右判定部52によって左向きの判定がなされたときに、車両の前方左側端部から左側に隣接する区画線までの距離を算出し、左右判定部52によって右向きの判定がなされたときに、車両の前方右側端部から右側に隣接する区画線までの距離を算出する。
【0022】
逸脱判定部60は、区画線検出部30による検出結果に基づいて、走行中の車線から車両が逸脱傾向にあるか否かを判定する。例えば、走行速度が所定値以上であって方向指示器が作動中でないなどの条件を満たし、かつ、車線の中央寄りを走行中の車両が左右いずれかの区画線(白線または黄色線)に接近する場合に逸脱傾向にある旨の判定が行われる。警報出力部62は、逸脱判定部60によって逸脱傾向にある旨の判定がなされたときに警報を出力する。
【0023】
上述した区画線検出部30が区画線検出手段に、左右判定部52が左右判定手段に、車両位置・方向算出部40、区画線距離算出部50が区画線距離算出手段に、区画線距離通知部54が区画線距離通知手段に、逸脱判定部60が逸脱判定手段に、警報出力部62が警報出力手段にそれぞれ対応する。
【0024】
本実施形態の車両運転支援装置100はこのような構成を有しており、次にその動作を説明する。図3は、車両運転支援装置100によって車両と方向指示器で指し示された向きに隣接する区画線との間の距離を算出して表示する動作手順を示す流れ図である。図3に示す動作手順は、所定の時間間隔で実施されるものとする。
【0025】
カメラ10によって車両後方が撮影されてサイドビュー画像が取り込まれると(ステップ100)、路面投影処理部20は、このサイドビュー画像をトップビュー画像に変換する路面投影処理を行う(ステップ102)。
【0026】
次に、区画線検出部30は、変換後のトップビュー画像に含まれる区画線(白線または黄色線)を検出し、区画線が画像内に含まれるか否かを判定する(ステップ104)。例えば、経年変化によって汚れ等がある場合が考慮され、画像内で白色や黄色あるいはこれらの色に近い所定幅の実線あるいは破線の部分が区画線として認識される。区画線が含まれない場合には否定判断が行われ、区画線までの距離算出および通知に関する一連の処理が終了する。
【0027】
また、区画線が含まれている場合にはステップ104の判定において肯定判断が行われる。次に、区画線検出部30は、区画線の位置および方向を算出する(ステップ106)。また、車両位置・方向算出部40は、車両の位置および方向を算出する(ステップ108)。
【0028】
次に、左右判定部52は、ウインカースイッチの操作内容を示すウインカー情報が入力されたか否かを判定する(ステップ110)。ウインカー情報が入力されていない場合には否定判断が行われ、区画線までの距離算出および通知に関する一連の処理が終了する。
【0029】
また、ウインカー情報が入力された場合にはステップ110の判定において肯定判断が行われる。次に、左右判定部52は、入力されたウインカー情報に基いて、方向指示器が左右いずれを指し示しているかを判定する(ステップ112)。方向指示器が右を指し示している場合には、区画線距離通知部54は、車両の前方右側端部から右側に隣接する区画線までの距離を算出し(ステップ114)、この算出した距離がわかるように運転者に向けて通知を行う(ステップ116)。このようにして、右側の区画線までの距離算出および通知に関する一連の処理が行われる。
【0030】
図4は、車両の前方右側端部から右側の区画線までの距離を表示画面を用いて通知する具体例を示す図である。図4に示す表示画面には、右側の区画線H1と、後方から見た車両を表す図形Cと、車両の右側の区画線H1までの距離を示している場合に強調表示される三角形状のマーカY1が含まれている。また、マーカY1の上部には、車両の前方右側端部から右側の区画線H1までの距離が数値(0.3m)で示されている。また、図4に示す表示画面による通知は一例であって、他の内容を有する表示画面を用いたり、このような表示画面に代えて、あるいは、このような表示画面とともに音による通知を行うようにしてもよい。例えば、車両の前方右側端部と右側の区画線H1までの距離が短いほど断続周期が短い断続音であって、右側の距離を示していることがわかるような音色(周波数)の音を出力するようにしてもよい。
【0031】
また、方向指示器が左を指し示している場合には、区画線距離通知部54は、車両の前方左側端部から左側に隣接する区画線までの距離を算出し(ステップ118)、この算出した距離がわかるように運転者に向けて通知を行う(ステップ120)。このようにして、左側の区画線までの距離算出および通知に関する一連の処理が行われる。
【0032】
図5は、車両の前方左側端部から左側の区画線までの距離を表示画面を用いて通知する具体例を示す図である。図5に示す表示画面には、左側の区画線H2と、後方から見た車両を表す図形Cと、車両の左側の区画線H2までの距離を示している場合に強調表示される三角形状のマーカY2が含まれている。また、マーカY2の上部には、車両の前方左側端部から左側の区画線H2までの距離が数値(0.3m)で示されている。また、図5に示す表示画面による通知は一例であって、他の内容を有する表示画面を用いたり、このような表示画面に代えて、あるいは、このような表示画面とともに音による通知を行うようにしてもよい。例えば、車両の前方左側端部と左側の区画線H2までの距離が短いほど断続周期が短い断続音であって、左側の距離を示していることがわかるような音色(周波数)の音を出力するようにしてもよい。
【0033】
このように、本実施形態の車両運転支援装置100では、方向指示器を作動させたときにこの方向指示器で指し示された向きに区画線までの距離が算出されるため、車線変更時や停車時に区画線までの距離を正確に検出して運転者に通知することができる。特に、左右判定部52によって左向きの判定がなされたときに車両の前方左側端部から左側に隣接する区画線までの距離を算出し、右向きの判定がなされたときに車両の前方右側端部から右側に隣接する区画線までの距離を算出しており、走行中の車両と左右の区画線までの間の距離を正確に算出して運転者に通知することができる。
【0034】
また、左右判定部52によって、方向指示器の作動を指示するウインカースイッチの操作内容に基づいて左右いずれかの向きを判定しており、容易かつ確実に、方向指示器が作動中であることと、方向指示器によって左右いずれの方向が指し示されているかを知ることができる。また、車両後方に設置されているカメラ10を用いており、車両後方を撮影して表示する構成に含まれるカメラを流用することができ、部品の共用化によるコストの低減が可能となる。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。上述した実施形態では、図3に示した動作手順を用いて、方向指示器で指し示された向きに隣接する区画線までの距離を算出して通知する動作について説明したが、低速走行時には同様の通知動作を行い、高速走行時には逸脱判定部60および警報出力部62を用いた車両の逸脱傾向判定および警報動作を行うようにしてもよい。
【0036】
図6は、低速走行時には方向指示器で指し示された向きの区画線までの距離を算出して通知し、高速走行時には逸脱傾向を判定して警報出力を行う動作手順を示す流れ図である。図6に示す動作手順は、所定の時間間隔で実施されるものとする。
【0037】
まず、車両の走行速度がV1以下か否かが判定される(ステップ200)。この判定は、例えば図示しない速度判定部(速度判定手段)によって、エンジン等の制御を行う電子制御装置ECUや車速センサ等から入力される速度信号に基づいて行われる。また、V1は、方向指示器で指し示された向きの区画線までの距離を算出して通知を行う場合の低速走行中か否かを判定するためのものであり、例えばV1=30km/hに設定されている。
【0038】
速度がV1以下の低速走行時にはステップ200の判定において肯定判断が行われる。次に、図3に示した左右いずれかの区画線までの距離算出および通知に関する一連の処理が実施される。
【0039】
一方、走行速度がV1よりも速い場合にはステップ200の判定において否定判断が行われる。次に、速度判定部は、車両の走行速度がV2(>V1)以上か否かを判定する(ステップ202)。このV2は、逸脱傾向の判定および警報出力を行う高速走行中か否かを判定するためのものであり、例えばV2=60km/hに設定されている。なお、車両の走行速度がV1よりも速い場合に逸脱傾向の判定および警報出力を行うようにしてもよく、この場合にはステップ202の判定動作は省略することができる。
【0040】
速度がV2未満の場合にはステップ202の判定において否定判断が行われ、ステップ200に戻って走行速度がV1以下か否かの判定動作以降が繰り返される。
【0041】
また、速度がV2以上の高速走行時にはステップ202の判定において肯定判断が行われる。次に、逸脱判定部60は、逸脱傾向判定の実施の要否を判断するためにあらかじめ設定されている他の要件を満たしているか否かを判定する(ステップ204)。例えば、他の要件としては、(1)所定時間(例えば20秒間)以上の間フロントワイパースイッチがオフ状態、(2)ウインカースイッチがオフ状態、(3)舵角(ステアリングホイール回転角度)がほぼ直進状態、などがある。これらの複数の要件の中に一つでも満たしていないものがある場合にはステップ204の判定において否定判断が行われ、ステップ200に戻って走行速度がV1以下か否かの判定動作以降が繰り返される。
【0042】
一方、他の要件を全て満たしている場合にはステップ204の判定において肯定判断が行われる。次に、逸脱判定部60は、走行中の車線から車両が逸脱傾向にあるか否かを判定する(ステップ206)。例えば、車両の前方端部から走行車線を区画する区画線(実線あるいは破線の白線あるいは黄色線)までの距離が所定値以下になった場合に逸脱傾向にあると判定される。また、この判定を行う前提として(ステップ206の判定を行う前に)図3に示したステップ100、102、106、108の動作が行われるが、図6に示す流れ図ではこれらの各ステップの図示は省略されている。
【0043】
逸脱傾向にない場合にはステップ206の判定において否定判断が行われ、逸脱傾向の判定および警報出力に関する一連の処理が終了する。また、逸脱傾向にある場合にはステップ206の判定において肯定判断が行われる。次に、警報出力部62は、所定の警報出力を行う(ステップ208)。例えば、インジケータの点灯や警報音の出力などにより警報出力動作が行われ、運転者に対して逸脱傾向にある旨が通知される。
【0044】
このように、高速走行時には逸脱警報を行い、低速走行時には左右いずれかの区画線までの距離の通知を行うことができ、これらの動作を速度に応じて使い分けることができる。また、これらの動作を共通の構成(カメラ10や区画線検出部30など)で実現することができ、部品の共用化によるコストの低減が可能となる。
【0045】
また、上述した実施形態では、車両後方に設置されたカメラ10を用いたが、車両前方や車両側方に設置されたカメラを用いたり、これらのカメラを2台以上組み合わせて用いるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述したように、本発明によれば、方向指示器を作動させたときにこの方向指示器で指し示された向きに区画線までの距離が算出されるため、車線変更時や停車時に区画線までの距離を正確に検出して運転者に通知することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 カメラ
20 路面投影処理部
30 区画線検出部
40 車両位置・方向算出部
50 区画線距離算出部
52 左右判定部
54 区画線距離通知部
60 逸脱判定部
62 警報出力部
100 車両運転支援装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設置された周辺の所定範囲を撮影するカメラと、
前記カメラによって撮影された画像に含まれる区画線を検出する区画線検出手段と、
方向指示器が作動しているときにこの方向指示器によって指し示された左右いずれかの向きを判定する左右判定手段と、
前記左右判定手段によって判定された左右いずれかの向きに隣接する区画線と車両との間の距離を算出する区画線距離算出手段と、
前記区画線距離算出手段によって算出された車両と区画線との間の距離を通知する区画線距離通知手段と、
を備えることを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記区画線距離通知手段は、車両の速度が第1の速度以下のときに通知を行うことを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項2において、
車両の速度が前記第1の速度よりも速い第2の速度以上のときに、前記区画線検出手段による検出結果に基づいて、走行中の車線からの逸脱傾向の有無を判定する逸脱判定手段と、
前記逸脱判定手段によって逸脱傾向にある旨の判定がなされたときに警報を出力する警報出力手段と、
をさらに備えることを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記左右判定手段は、前記方向指示器の作動を指示する操作手段の操作内容に基づいて左右いずれかの向きを判定することを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記区画線距離通知手段による通知の対象となる前記区画線は、走行中の車線を区画する白線あるいは黄色線であることを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記カメラは、車両後方に設置されていることを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記区画線距離算出手段は、前記左右判定手段によって左向きの判定がなされたときに、車両の前方左側端部から左側に隣接する区画線までの距離を算出し、前記左右判定手段によって右向きの判定がなされたときに、車両の前方右側端部から右側に隣接する区画線までの距離を算出することを特徴とする車両運転支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−35388(P2013−35388A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172609(P2011−172609)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】