説明

車両運転者覚醒システム

【課題】車両運転中の運転者の覚醒システムにおいて、車両や運転者の様々な状況を正確に把握して、それらの状況に合わせて、運転者の眠気覚ましが確実に実行されるシステムを提供する。
【解決手段】車両を運転中の運転者の眠気を覚醒させるために車両に搭載される車両運転者覚醒システムであり、車両の運転者の眠気を感知する手段と、車両の運行状況を検出するナビゲーション手段と、眠気のある運転者を覚醒させるための、体を動かす手段を含む複数の覚醒パターンと、車両の運行状況に応じて運転者に適する覚醒パターンを選択し、画面表示手段および/また音声再生手段を用いて運転者に対して覚醒パターンを実行させるためのエージェント手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両運転中の運転者が眠気を催したときに、運転者の眠気覚ましをさせることのできる車両運転者覚醒システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の運転中の運転者は、運転者の体調・車両の走行状況・運転時間帯などの様々な要因により眠気を催すことがあり、この運転者の眠気を覚ますために、従来から種々の覚醒システムが知られている。
従来の覚醒システムでは、運転者の状態を確認して眠気を感知したときには、例えば次のようにシステムが動作して覚醒を促すようになっていた。
1)音楽再生装置を用いる
・アップテンポな曲を再生する。(ケース1)
・今再生している曲とは異なるテンポの曲を再生する。(ケース2)
2)エージェントシステムを用いる
・車を停車させて休憩をとるよう促す。(ケース3)
【0003】
本発明に関連する従来文献としては、例えば次のようなものがある。
【特許文献1】特開平08−188123
【特許文献2】特開2002−213986
【0004】
ところが、上記のケース1またはケース2においては、曲のテンポを変えただけでは眠気を確実に覚ますほどの効果はなかなか得られないことが多いし、また、手持ちの音楽ソースがすべて同じジャンルであってテンポの差を出せない場合もある。そして、ケース3においては、運転者が車を停車させたいとしても、運行状況によっては車を停車させられない場合がよくある。
【0005】
従来の車両運転者のための覚醒システムとしては、上述したような問題点があって、運転者の眠気覚ましが確実に実行できるとは限らないため、より覚醒効率の高い覚醒システムの実現が期待されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の上記した問題点に鑑みてなされたものであり、車両や運転者の様々な状況を正確に把握して、それに合わせて運転者の眠気覚ましが確実に実行されるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)車両を運転中の運転者の眠気を覚醒させるための車両に搭載される車両運転者覚醒システムであって、車両の運転者の眠気を検出する手段と、車両の運行状況を検出するナビゲーション手段と、眠気のある運転者を覚醒させるための、運転者の体を動かす手段を含む複数の覚醒パターンと、車両の運行状況に応じて運転者が適する覚醒パターンを選択し、画面表示手段および/また音声再生手段を用いて運転者への覚醒パターンを実行するためのエージェント手段と、を備える車両運転者覚醒システムとした。
【0008】
(2)(1)の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記覚醒パターンは、体を動かす手段として、指運動/発声練習/早口言葉/顔面ストレッチ、のうちのいずれか1つ以上を備える。
(3)(2)の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記覚醒パターンは、さらに、肩上下運動/肩回し/首回し/首左右運動/背伸び、のうちのいずれかを1つ以上を備える。
【0009】
(4)(1)の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記ナビゲーション手段は、車両の運行状況を、道路走行中/車両停車中に区分して検出する。
(5)(4)の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記ナビゲーション手段は、車両の運行状況をさらに、高速道路走行中/一般道路走行中/停車中でサイドブレーキOFF/停車中でサイドブレーキON、に区分して検出する。
【発明の効果】
【0010】
本発明による車両運転者覚醒システムは、運転者の状態または走行状況に適合した各種覚醒パターンを選択して実行させることができ、従来のシステムに比べて、運転者の眠気覚まし効果が高く、運転者の状態に合わせて覚醒が確実に実行できるというシステムが提供できる。より具体的には、運転者の体を動かすことで確実に眠気をさますことができる、車内で手持ちの音楽ソースには関係なく眠気を覚ますことができる、車から降りることなく眠気を覚ますことができる、などの多くの効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に添付の図1および図2を参照して、本発明による車両運転者覚醒システムの実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態である車両運転者覚醒システム100を示す構成ブロック図であり、この車両に搭載されている主制御装置10は、CPU等からなるプロセッサと、このプロセッサが実行するプログラムを記憶するハードディスク装置等の不揮発メモリーと、このプロセッサのワークエリアとなる記憶領域を有するRAM等の揮発性メモリーとを備え、車両の走行状況を検出するナビゲーション手段や、車両の様々の状況を把握して画面表示や音声によって運転者らへ対応動作を起こさせるためのエージェント手段を、統括的に制御して動作させることができる。
【0012】
車両運転者覚醒システム100は、車両運転中の運転者の眠気を覚醒させるための覚醒パターンを画面表示および/また音声再生によって出力して、運転者に対して覚醒パターンを実行させるためのエージェント手段を制御するエージェント部20と、車両の運行状況を検出するナビゲーション手段を制御するためのナビゲーション部30とを備える。また、主制御装置10には、音声を収集するためのマイク12、音声を再生して出力するためのスピーカ14、各種の画面表示を行うためのディスプレイ16が、それぞれ連結接続されている。
【0013】
本車両運転者覚醒システム100におけるエージェント手段では、ディスプレイ16やスピーカ14によって運転者への覚醒パターンを出力するために、擬人化された複数のエージェントによる動画や静止画の画像データや音声出力データが、種々の覚醒パターンに合わせて予め用意されている。画面上で表示されるエージェントの容姿や音声は覚醒パターンによって様々のものが準備されており、名前をつけたり、その名前で呼んだりすることもでき、画面上に呼び出して表示させることもできる。エージェントはキャラクター表示してもよく、それぞれのエージェントは親近感が沸くような工夫がなされ、車両の運転者らが眠気を覚えた場合には、車両を安全に保持しながら、楽しくリラックスした気持ちで確実に覚醒ができるようにサポートすることができる。
【0014】
本車両運転者覚醒システム100のエージェント手段によれば、運転者の眠気を感知したとき、車両運転中の運転者の眠気を覚ますために、車両の走行状態に適した体操等による体を動かす手段を含む種々の覚醒パターンを有している。そして、所定の覚醒パターンに従って、モニター(表示画面)ではエージェントが体操の見本を見せながら、運転者に体操を促すことができる。そしてエージェントは、具体的には、運転者に体操/発声/早口言葉/しりとり/深呼吸などの動作をさせることによって確実に眠気を覚ますことができるし、運転者の眠気が覚めるまでこれらの動作や運動を続けさせることもできる。
【0015】
本車両運転者覚醒システム100に備えられるナビゲーション手段は、GPS移動局やプロセッサを用いる公知のカーナビゲーションシステムであり、地図情報が格納されたCDROM、DVDROM、固体メモリ等の記録媒体の情報を取り出し得るように形成された道路地図記憶手段と、車両の走行目的地点等を設定するための目的地設定手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段とを設けて、これらの位置検出情報/目的地設定情報/道路地図記憶情報等に基づいて運転者に対して走行誘導の報知を行うことができる。そして、このカーナビゲーションシステムでは、走行目的地点までの誘導を音声および/またはディスプレイ表示で行い、快適な車両走行ができるようになされ、走行の誘導のみならず、目的地の途中に休憩等で立ち寄るドライブイン等の情報や周辺の宿泊施設の情報も簡単に取り出すことができ、快適なドライブができると共に、ドライブ中の必要情報を得ることができる。
【0016】
本車両運転者覚醒システム100では、主制御装置10内にナビゲーション部30が設けられ、ここで車両の駐車ブレーキ31と接続される他に、各種のセンサとも接続されている。センサとしては、車両の速度を測定する車速センサ32、車両の操舵角を検出するための蛇角センサ34、アクセルの開度を検出するためのアクセル開度センサ35を備えて構成され、エージェント手段やナビゲーション手段に関わる情報をディスプレイ16やスピーカ14を通して出力する。
【0017】
本車両運転者覚醒システム100のナビゲーション部30では、記憶されている地図情報に基づき、エージェント部20が供給する制御信号に従って車両の現在位置を検知し、検知した現在位置が地図上でどの位置に当たるかを表すデータを生成して、現在位置近隣の地図を表す地図情報と共にエージェント部30に供給し、現在位置近隣の地図を現在位置を示す図形と共に表示する。そして、このナビゲーション部30には、例えば水晶発信器やカウンタ回路等により構成されたクロックが搭載されていて、現在の時刻を示すデータを連続的に生成し、エージェント部20へと供給する。また、ナビゲーション部30を介してGPSから得られる時刻情報を供給するようにしてもよい。
【0018】
さて、図2〜5は、本発明による車両運転者覚醒システムの処理手順例を示す動作フローチャートであり、これらのフローチャートに参照して本発明の実施例1〜4について説明する。
【実施例1】
【0019】
図2は、本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例1]にかかる動作フローチャートである。
このシステムがスタートすると、ステップ101(加速度センサ)とステップ103(蛇角センサ)とステップ105(アクセル開度センサ)とが同時的に動作が開始されて、つづくステップ102とステップ104とステップ106において、これらセンサで異常があるかどうかが判定される。センサで異常ありの判定が出たということは、車両の運転者の眠気を感知したことを意味する。そして、それぞれのセンサに異常がないときには前のステップ(S101,S102,S103)に戻るが、加速度/蛇角/アクセル開度/のセンサのいずれかに異常がみつかったときには、つぎのステップ107に進んで、車両が走行している道路が高速道路であるかどうかが判定される。
【0020】
先のステップ107において、走行中の道路が高速道路であると判定された場合には、覚醒パターン1のステップ108に進み、エージェントシステム(ステップ110)が動作して、表示画面および/または音声再生を用いて運転者に対する覚醒パターン1の実行を行う(ステップ111)。ここで用いられる覚醒パターン1は、高速道路走行中の運転者に対して覚醒を実行させるパターンであり、体操や発声などによる運転者の体を動かす手段として、発声練習/早口言葉/のいずれか1つ、好ましくそれら全部を覚醒パターンとして有しているとよい。そして、これらの覚醒パターン1を車両運転中の運転者が楽しく容易に実行できるように、表示画面で適切なエージェントによる表示を行う。このとき、覚醒パターン1の実行に必要なBGM等の音声を同時に再生してもよいし、さらに、音声の再生だけを用いて運転者に覚醒パターン1を実行させることも可能である。また、BGMの代わりにユーザーの注意を促すために警報音を鳴らすようにしてもよい。
【0021】
また先のステップ107において、走行中の道路が高速道路ではないすなわち一般道路であると判定された場合には、覚醒パターン2のステップ109に進んで、やはりエージェントシステム(ステップ110)を動作させることにより、画面表示および/または音声再生によって運転者への覚醒パターン2の実行を行う(ステップ111)。この覚醒パターン2は、一般道路走行中の運転者に対してその覚醒を実行させるものであり、運転者の体を動かす手段として、指運動/発声練習/早口言葉/顔面ストレッチのいずれか1つ以上好ましくそれら全部を覚醒パターンとして有しているとよい。
【0022】
本発明による本運転者覚醒システムでは、車両運転者の眠気を感知または検出するための手段としては、先にも述べたように、車両情報から得られる蛇行運転や急ブレーキの踏み込み回数などが用いられており、また、一定時間運転が継続されている場合や渋滞にはまっている場合などは、VICSを受信することによっても検出できる。さらに、運転者の眠気を検出する別の手段として、運転者近傍にカメラを設置し、それによって運転者の顔等を撮影し、その動き(例えばあくびの回数やまばたきの回数など)から眠気を検出することもできる。なお、上記した運転者の眠気検出については、後の実施例3において、これと同様な手段を用いている。
【0023】
さらに、本発明による運転者覚醒システムにおいて、一度運転者に眠気が検出された後に、1度目の覚醒パターンとして運転者に体操や発声等が促されたとして、それでも改善が見られない場合についても、つぎの覚醒パターンでそれの対処をすることができる。たとえば、2度目の覚醒パターンを実施するにあたり、その覚醒パターンについて体操や発声等の内容を変更してもよいし、BGMとして流す音楽についてもその種類やテンポなどを2度目のものは変更するように設定することもでき、種々の条件に合わせて適宜な設計がなされればよい。
【実施例2】
【0024】
図3は、本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例2]にかかる動作フローチャートである。
このシステムがスタートすると、ステップ201(加速度センサ)とステップ203(蛇角センサ)とステップ205(アクセル開度センサ)とが同時的に動作が開始されて、つづくステップ202とステップ204とステップ206において、これらセンサで異常があるかどうかが判定される。センサで異常ありの判定が出たということは、車両の運転者の眠気を感知したことを意味する。そして、それぞれのセンサに異常がないときには前のステップ(S201,S202,S203)に戻るが、加速度/蛇角/アクセル開度/のセンサのいずれかに異常がみつかったときには、つぎのステップ207に進む。
【0025】
このステップ207は、車両の運転者(ユーザー)に「停車の意思があるかないか?」を問うステップであり、例えば、エージェントが「眠いようですね。どこか近くに停車しますか?」と聞いてくるよう設定する。この質問に、運転者が「いいえ(停車の意思がない)」と答えると、そのつぎのステップ208において、車両が走行している道路が高速道路であるかどうかが判定される。
【0026】
このステップ208において、走行中の道路が高速道路であると判定された場合には、ステップ209の覚醒パターン1に進み、エージェントシステム(ステップ215)が動作して、表示画面および/または音声再生を用いて運転者に対する覚醒パターン1の実行する(ステップ216)。ここで用いられる覚醒パターン1および覚醒パターン2は、先の実施例1における覚醒パターンと同様なものを用いることができる。
【0027】
また一方、このステップ207において、車両の運転者(ユーザー)が「停車の意思があるかないか?」の問いに対して、「はい(停車の意思あり)」と答えると、別のステップ211に進んで「車速が0であるかどうか」すなわち車両が走行中であるか停車中であるかが判定される。ここで、車速が0である(停車中)と判定されたときは、つぎの別のステップ212で車両の駐車ブレーキがONであるかどうかが判定される。
ステップ207における「車速が0であるかどうか」を判定するにあたっては、この[実施例2]では車速が0になるまで待って次のステップ212に進むこととしているが、これに限らず、車速の判定を所定時間内に行うことして、所定時間内に車速が0にならなければステップ208に到達するようにして、このフローを作成することもできる。
【0028】
このステップ212の判定において、車速が0であるときはすなわち車両が停車中のときであり、そのつぎのステップ212において車両の駐車ブレーキ(サイドブレーキ)がONであるかどうかが判定される。ここで、駐車ブレーキがONであるときは、覚醒パターン3のステップ213に進み、エージェントシステム(ステップ215)によって、覚醒パターン3が実行される(ステップ216)。なお、このステップ212では駐車ブレーキがONかどうかの判定をしているが、駐車ブレーキの代わりにギアがパーキング位置に入っているかどうかを検出するようにしてもよい。また、車両の駐車ブレーキの判定は、車速が0になってから、所定時間経過後に行っても良い。所定時間経過後に駐車ブレーキの判定を行う場合は、再度車速が0かどうかを判定するようにすると良い。
【0029】
ステップ213における覚醒パターン3では、車両が停車中でしかも駐車ブレーキをONとしている状況であることを鑑み、運転者の体を動かす手段としては、指運動/発声練習/早口言葉/顔面ストレッチのいずれか1つ以上または全ての覚醒パターンを含むだけではなく、さらに「肩上下運動/肩回し/首回し/首左右運動/背伸び/窓を開けて換気させる/上半身をねじる/足首を回す/後部座席に同乗者がいる場合には同乗者に肩を揉んでもらう」のいずれか1つ以上または全ての覚醒パターンを含んで構成されるとよい。
【0030】
そして、ステップ212において車両の駐車ブレーキ(サイドブレーキ)がOFFであると判定されたときには。覚醒パターン4のステップ214に進み、エージェントシステム(ステップ215)によって、覚醒パターン4が実行される(ステップ216)。
この覚醒パターン4では、車両が停車中ではあるが駐車ブレーキがかけられていない状況であることを鑑み、運転者の体を動かす手段としては、指運動/発声練習/早口言葉/顔面ストレッチのいずれか1つ以上または全ての覚醒パターンを含むこととし、必要に応じて肩上下運動/肩回し/首回し/首左右運動/背伸びのいずれか1つ以上または全ての覚醒パターンを含むこととするとよい。
【実施例3】
【0031】
図4は、本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例3]にかかる動作フローチャートである。
このシステムがスタートすると、まずステップ301において「運転者の眠気の検出」が行われる。眠気の検出には車両内に設置されたカメラが用いられ、このカメラで運転者の顔や動作などを撮影して、運転者の眠気の程度を検出して、所定の基準に基づいて眠気があるかどうかを判定することができる。
【0032】
このステップ301において眠気が検出されたときには、つぎのステップ302において車速センサから車速を取得して、つぎのステップ303で車速が0より大きいかどうか、すなわち車両が走行中であるか停車中であるかが判定される。
このステップ303において、車速が0より大きい(車両が走行中である)と判定されたときは、つぎのステップ304で車両が走行している道路が高速道路であるかどうかが判定される。一方、車速が0より大きくないときすなわち車速が0(車両が停車中)であるときは、つぎの別のステップ307において車両の駐車ブレーキがONであるかどうかが判定される。
【0033】
先のステップ304において、走行中の道路が高速道路であると判定された場合には、覚醒パターン1のステップ305に進み、エージェントシステム(ステップ310)が動作して、表示画面および/または音声再生を用いて運転者に対する覚醒パターン1の実行する(ステップ311)。
また先のステップ304において、走行中の道路が高速道路ではないすなわち一般道路であると判定された場合には、覚醒パターン2のステップ306に進んで、やはりエージェントシステム(ステップ310)を動作させることにより、画面表示および/または音声再生によって運転者への覚醒パターン2の実行を行う(ステップ311)。
このとき用いられる覚醒パターン1および覚醒パターン2については、実施例1および実施例2の場合と同様にして決定されるが、運転者の体を動かす手段を含んで有効な運転者覚醒動作を適宜に組み合わせて設定されるとよい。
【0034】
前に戻って、このステップ303の判定において、車速が0より大きくないときはすなわち車両が停車中のときであり、そのつぎのステップ307において車両の駐車ブレーキ(サイドブレーキ)がONであるかどうかが判定される。この駐車ブレーキがONであるときは、覚醒パターン3のステップ308に進み、エージェントシステム(ステップ310)によって、覚醒パターン3が実行される(ステップ311)。
【0035】
また、ステップ307において車両の駐車ブレーキ(サイドブレーキ)がOFFであると判定されたときには、覚醒パターン4のステップ309に進み、エージェントシステム(ステップ310)によって、覚醒パターン4が実行される(ステップ311)。
このとき用いられる覚醒パターン3および4についても、実施例2の場合と同様にして決定することができ、運転者の体を動かす手段を含んで有効な運転者覚醒動作を適宜に組み合わせて設定されるとよい。
【実施例4】
【0036】
図5は、本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例4]にかかる動作フローチャートである。
この実施例4において、スタートにつづくステップ401〜ステップ406では、加速度センサ/蛇角センサ/アクセル開度のセンサによって車両の異常が検出されるが、これらのステップは、先に説明した実施例1のステップ101〜ステップ106、または実施例2のステップ201〜ステップ206と同様であるので、ここでの重複する説明は省略する。
【0037】
ステップ401〜ステップ406において、加速度センサ/蛇角センサ/アクセル開度センサのいずれかに異常ありと判定されたときは、つづくステップ407において、異常が所定時間内に所定の回数以上検出されたかどうかが判定される。このステップ407では、例えば、過去10分間の3回以上の異常あり、などとする基準を設定しておく。ここで異常が検出されたと判定されたときには、異常が検出されてから所定時間経過(ステップ407’)の後に、つづくステップ407''、ステップ408、ステップ409、ステップ412によって車両の状態を判断して、覚醒パターン1〜4のうちの1つを選択して、それを実行する。なお、実施例4におけるステップ407〜ステップ416については、先に説明した実施例3のステップ303〜ステップ311と同様であるので、ここでの重複する説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、車両を運転中の運転者が眠気をもよおした場合に、その運転者を覚醒させるための運転者覚醒システムとして、多くの車両に容易に適用することができ、車両のナビゲーションシステムを利用して、運転者の状態または走行状況等を正確に検出できるとともに、それに合わせた各種覚醒パターンをエージェント手段を利用して運転者に適用することで、従来にも増して効果的な覚醒を実行させることができ、本システムの産業上の利用可能性はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による車両運転者覚醒システムの一実施形態を示す構成ブロック図である。
【図2】本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例1]による処理手順を示す動作フローチャートである。
【図3】本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例2]による処理手順を示す動作フローチャートである。
【図4】本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例3]による処理手順を示す動作フローチャートである。
【図5】本発明による車両運転者覚醒システムの[実施例4]による処理手順を示す動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
10 主制御装置
20 エージェント部
30 ナビゲーション部
12 マイク
14 スピーカ
16 ディスプレイ
31 駐車ブレーキ
32 車速センサ
34 蛇角センサ
35 アクセル開度センサ
S101〜416 ステップ101〜416

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を運転中の運転者の眠気を覚醒させるために車両に搭載される車両運転者覚醒システムであって、
車両の運転者の眠気を感知する手段と、
前記車両の運行状況を検出するナビゲーション手段と、
眠気のある運転者を覚醒させるための、運転者の体を動かす手段を含む複数の覚醒パターンと、
前記車両の運行状況に応じて運転者に適する覚醒パターンを選択し、画面表示手段および/また音声再生手段を用いて運転者に対して前記覚醒パターンを実行させるためのエージェント手段と、を備えることを特徴とする車両運転者覚醒システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記覚醒パターンは、運転者の体を動かす手段として、指運動/発声練習/早口言葉/顔面ストレッチのうちのいずれか1つ以上を備える、ことを特徴とする車両運転者覚醒システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記覚醒パターンは、さらに、肩上下運動/肩回し/首回し/首左右運動/背伸びのうちのいずれかを1つ以上を備える、ことを特徴とする車両運転者覚醒システム。
【請求項4】
請求項1に記載の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記車両の運行状況の検出では、前記車両の運行状況を、道路走行中/車両停車中に区分して検出することを特徴とする車両運転者覚醒システム。
【請求項5】
請求項4に記載の車両運転者覚醒システムにおいて、
前記車両の運行状況の検出では、前記車両の運行状況をさらに、高速道路走行中/一般道路走行中/停車中でサイドブレーキOFF/停車中でサイドブレーキON、に区分して検出することを特徴とする車両運転者覚醒システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2005−352895(P2005−352895A)
【公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−174566(P2004−174566)
【出願日】平成16年6月11日(2004.6.11)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】