説明

車両部品の係止装置

【課題】車両部品から一体的に突出した係止突起を車体側に形成された係止孔に嵌入させて係止させることにより、車体側に車両部品を取り付ける場合に、車体側への車両部品の取付強度が十分に確保できるようにする。
【解決手段】樹脂製車両部品20の一部分の外面から一体的に突出する係止突起34は、車両部品20の一部分の外面に沿った一方向での前後方向に並設される前後一対の突起部材37,37を有する。両突起部材37,37の間にその両基部37a,37a側から螺子41をねじ込み可能とし、螺子41のねじ込みにより両突起部材37,37がそれぞれ各基部37a,37aを中心として互いに離反するよう回動B,Bして係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに係止されるようにする。両突起部材37,37の両基部37a,37aを前後方向から挟むよう車両部品20の一部分に前後一対の貫通孔42,42を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプなど樹脂製車両部品から一体的に突出した係止突起を車体側に形成された係止孔に嵌入させて係止させることにより、車体側に上記車両部品を取り付け可能とした車両部品の係止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両部品の係止装置には、従来、下記特許文献1,2に示されるものがある。これら各公報のものによれば、車両部品の係止装置は、ランプなど樹脂製車両部品の一部分の外面からその外方に向かって一体的に突出し、車体側に形成された係止孔に嵌入されて係止可能とされる係止突起を備えている。この係止突起は、上記車両部品の一部分の外面に沿った一方向での前後方向に並設される前後一対の突起部材を有している。これら両突起部材の間にその両基部側から螺子がねじ込み可能とされ、この螺子のねじ込みによるこの螺子からの押動力により、上記両突起部材はそれぞれその各基部を中心として互いに離反するよう回動して上記係止孔の前、後孔縁部に係止されるようになっている。
【0003】
そして、上記係止装置により、車体側に車両部品を取り付ける取付作業をする場合には、まず、上記車体側の係止孔に係止突起を嵌入させる。次に、この係止突起の両突起部材の間にその両基部側から螺子をねじ込む。すると、この螺子からの押動力により上記両突起部材はそれぞれその基部を中心として互いに離反するよう回動して、上記係止孔の前、後孔縁部に係止させられる。これにより、車体側への車両部品の取付作業が終る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−83767号公報
【特許文献2】実開平5−81124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した車体側への車両部品の取付作業において、まず、上記係止孔に係止突起を嵌入させる場合、通常、この係止突起はその基部まで上記係止孔に嵌入させられる。このため、上記係止孔の前、後孔縁部と上記係止突起の各突起部材の基部とは、上記係止突起の突出方向で互いに近接した状態となる。
【0006】
よって、上記係止孔への係止突起の嵌入後に、上記螺子のねじ込みにより上記両突起部材をそれぞれその基部を中心として回動させて上記孔縁部に係止させるとき、これら各突起部材において、その回動中心となる各基部から上記孔縁部に係止される被係止部分に至る回動半径は短くなりがちである。
【0007】
上記の結果、上記螺子のねじ込みにより上記両突起部材をそれぞれその基部を中心として回動させるとき、上記した回動半径が短い分、上記被係止部分の回動量が少なくてこの被係止部分の上記孔縁部への係止が不十分となりがちであり、このため、車体側への車両部品の取付強度が不十分になるおそれがある。
【0008】
そこで、第1に、上記車両部品の一部分の厚さをより大きくして、上記両突起部材の各基部に隣接する上記車両部品の一部分の外面にそれぞれ深い凹溝を形成してやることが考えられる。このようにすれば、上記のように深い凹溝を形成した分、上記した回動半径をより長くできることから、上記螺子をねじ込んだときの上記両突起部材における被係止部分の回動量を大きくできる。この結果、この被係止部分の上記孔縁部への係止を十分にさせることができると考えられる。
【0009】
しかし、上記のような構成にして、上記回動半径をより長くすると、これに応じて上記螺子をより長くする必要が生じることから、その捻回作業が多くなって、上記取付作業が煩雑になるおそれがある。また、上記したように、車両部品の一部分の厚さをより大きくしたり、螺子をより長くしたりすると、当該車両部品の係止装置の質量が過大になりがちであると共に、その形成作業が煩雑になって、生産性が悪化し、かつ、生産コストが無用に上昇するおそれがある。
【0010】
また、第2に、上記螺子の径寸法を大きくして、この螺子をねじ込んで上記各突起部材を押動するときの押動量を大きくしてやることが考えられる。このようにすれば、上記各突起部材における被係止部分の回動量が大きくなって、この被係止部分の上記孔縁部への係止を十分にさせることができると考えられる。
【0011】
しかし、上記のように螺子の径寸法を大きくすると、この螺子をねじ込むときの捻回トルクを大きくする必要が生じて、上記取付作業が煩雑になるおそれが生じる。また、上記したように、螺子の径寸法を大きくすると、当該車両部品の係止装置の質量が過大になりがちとなって、前記と同様の問題点が生じる。
【0012】
なお、他の従来の技術として、上記した係止突起の左右各側方に隣接する上記車両部品の各部分にそれぞれスリットを形成したものが提案されているが、この他の従来の技術でも、上記したものと同様の問題点が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、車両部品から一体的に突出した係止突起を車体側に形成された係止孔に嵌入させて係止させることにより、車体側に上記車両部品を取り付ける場合に、車体側への上記車両部品の取付強度が十分に確保できるようにし、かつ、上記車体側への車両部品の取付作業が容易にできるようにすることである。
【0014】
請求項1の発明は、樹脂製車両部品20の一部分の外面からその外方に向かって一体的に突出し、車体2側に形成された係止孔35に嵌入されて係止可能とされる係止突起34を備え、この係止突起34が、上記車両部品20の一部分の外面に沿った一方向での前後方向に並設される前後一対の突起部材37,37を有し、これら両突起部材37,37の間にその両基部37a,37a側から螺子41をねじ込み可能とし、この螺子41のねじ込みにより上記両突起部材37,37がそれぞれその各基部37a,37aを中心として互いに離反するよう回動B,Bして上記係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに係止されるようにした車両部品の係止装置において、
上記両突起部材37,37の両基部37a,37aを上記前後方向から挟むよう上記車両部品20の一部分に前後一対の貫通孔42,42を形成したことを特徴とする車両部品の係止装置である。
【0015】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0016】
本発明による効果は、次の如くである。
【0017】
請求項1の発明は、樹脂製車両部品の一部分の外面からその外方に向かって一体的に突出し、車体側に形成された係止孔に嵌入されて係止可能とされる係止突起を備え、この係止突起が、上記車両部品の一部分の外面に沿った一方向での前後方向に並設される前後一対の突起部材を有し、これら両突起部材の間にその両基部側から螺子をねじ込み可能とし、この螺子のねじ込みにより上記両突起部材がそれぞれその各基部を中心として互いに離反するよう回動して上記係止孔の前、後孔縁部に係止されるようにした車両部品の係止装置において、
上記両突起部材の両基部を上記前後方向から挟むよう上記車両部品の一部分に前後一対の貫通孔を形成している。
【0018】
このため、上記係止装置により、車体側に車両部品を取り付ける取付作業をする場合には、まず、車体側の係止孔に車両部品の係止突起を嵌入する。次に、この係止突起の両突起部材の間にその両基部側から螺子をねじ込み始める。すると、この螺子からの押動力により上記両突起部材の各基部側は上記各貫通孔内に向かって撓むと共に移動し、これにより、上記両突起部材の各基部は上記係止孔の前、後孔縁部に接近する。更に、上記螺子をねじ込むと、この螺子からの押動力により上記両突起部材はそれぞれその基部を中心として互いに離反するよう回動して、上記係止孔の前、後孔縁部に係止され、これにより、車体側への上記車両部品の取り付けが終る。
【0019】
よって、上記取付作業では、上記係止突起の両突起部材の間に螺子をねじ込む際のねじ込み始めにおいて、上記したように両突起部材の各基部側は係止孔の前、後孔縁部に接近することから、その分、その後の上記螺子のねじ込みによる両突起部材の上記前、後孔縁部への係止は十分になされることとなる。この結果、車体側への上記車両部品の取付強度は十分に確保される。
【0020】
また、上記した車体側への車両部品の十分な取付強度の確保は、上記車両部品の一部分に一対の貫通孔を形成したことにより達成されるのであり、このため、上記した十分な取付強度の確保のために、前記「発明が解決しようとする課題」にて説明のように、車両部品の一部分の厚さをより大きくしたり、螺子をより長くしたりすることはしないで足り、また、螺子の径寸法を大きくすることはしないで足りる。よって、その分、当該車両部品の係止装置の質量が過大になることが防止され、また、その形成作業が容易にでき、これは、生産性や生産コストの面で有益である。また、螺子をねじ込むときの捻回トルクは小さいままで足りるため、上記取付作業は容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)の実線図示部は、自由状態の係止突起の側面断面図である。(b)の実線図示部は、車両部品の取り付け途中における係止突起の側面断面図である。
【図2】車体後部の側面断面図である。
【図3】係止突起を含むランプの斜視展開図である。
【図4】図1(a)で示したものの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の車両部品の係止装置に関し、車両部品から一体的に突出した係止突起を車体側に形成された係止孔に嵌入させて係止させることにより、車体側に上記車両部品を取り付ける場合に、車体側への上記車両部品の取付強度が十分に確保できるようにし、かつ、上記車体側への車両部品の取付作業が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0023】
即ち、車両部品の係止装置は、樹脂製車両部品の一部分の外面からその外方に向かって一体的に突出し、車体側に形成された係止孔に嵌入されて係止可能とされる係止突起を備える。この係止突起は、上記車両部品の一部分の外面に沿った一方向での前後方向に並設される前後一対の突起部材を有している。これら両突起部材の間にその両基部側から螺子がねじ込み可能とされ、この螺子のねじ込みにより上記両突起部材がそれぞれその各基部を中心として互いに離反するよう回動して上記係止孔の前、後孔縁部に係止されるようになっている。上記両突起部材の両基部を上記前後方向から挟むよう上記車両部品の一部分に前後一対の貫通孔が形成されている。
【実施例】
【0024】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0025】
図2,3において、符号1は、自動車で例示される車両である。また、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示し、下記する左右とは、上記前方に向かっての車両1の幅方向をいうものとする。
【0026】
上記車両1の車体2の内部が車室3とされ、上記車体2の後部は、その上面を形成するルーフパネル6と、このルーフパネル6の後端縁部の下面に接合されてこの後端縁部を補強するリアヘッダインナパネル7と、上記ルーフパネル6の後端縁部の下側に形成され、車室3の内外を連通させるバックドア開口8と、このバックドア開口8をその後方から開閉可能に閉じるバックドア9と、このバックドア9の下部側が上、下回動可能となるようこのバックドア9の上端部を上記ルーフパネル6の後端縁部に枢支させる枢支具10とを備えている。
【0027】
上記バックドア9は、中空閉断面構造となるよう互いに接合される板金製のインナ、アウタパネル13,14で構成されるドア本体15と、このドア本体15の上部に形成されるドアウィンド開口16と、このドアウィンド開口16を閉じるドアウィンドガラス17とを備えている。
【0028】
上記バックドア9の上部の車室3側の面に対し、樹脂製車両部品20の一例としてハイマウンストップランプ21が係止装置22により係脱可能に係止されて取り付けられている。この場合、上記バックドア9の上端部におけるインナパネル13の部分と上記ランプハウジング26の上部の上面とはそれぞれ後下方に向かい平坦に延びて互いに面接触させられている。
【0029】
上記ランプ21は、車体2の後方に向かって開口する椀形状をなし、バルブ25を内有するランプハウジング26と、このランプハウジング26の開口を閉じると共に上記ドアウィンドガラス17の上端部に対面するランプレンズ27と、上記ランプハウジング26およびランプレンズ27をその後下方から全体的に覆うと共に係止具28により上記ランプハウジング26に係止されるランプカバー29と、上記ランプハウジング26の後部から上記インナパネル13の部分に形成された開口30を通して上記ドア本体15の上部内に延び、上記バルブ25を電源側に接続させる電線31とを備えている。
【0030】
上記ランプハウジング26の上部が前記係止装置22によって前記バックドア9の上端部におけるインナパネル13の部分に係止され、これにより車体2側に上記車両部品20が取り付けられている。そして、上記バルブ25からの照射光は、上記ランプレンズ27とバックドア9のドアウィンドガラス17とを順次透過して、車体2の後方に向けて照射可能とされる。
【0031】
上記係止装置22は、上記ランプハウジング26の上部における左右各部分の外面(上面)からこの外面に直交する外方(前上方)に向かって一体的に突出する左右一対の係止突起34,34を備え、これら各係止突起34は、上記インナパネル13の部分に形成された左右一対の矩形の係止孔35,35に嵌入されて係止可能とされている。
【0032】
全図において、上記各係止突起34は、上記車両部品20の一部分の外面に沿った一方向である車両1の前後方向に並設される前後一対の突起部材37,37を有している。上記係止突起34の突出方向Aにおける上記各突起部材37の断面はそれぞれ左右に長い長方形状とされる。また、上記前、後突起部材37,37の間にはわずかな隙間38が形成されている。また、上記前、後突起部材37,37の各基部37a側における互いの対向面には、それぞれ上記係止突起34の突出方向Aに向かって延びる溝39が形成されている。
【0033】
上記両突起部材37,37の間であって上記両溝39,39の間には、上記両突起部材37,37の両基部37a側から螺子41のねじ込みが可能とされている。また、上記前後方向における上記両突起部材37,37の両基部37a,37aの近傍で、これら両基部37a,37aを上記前後方向から挟むよう上記車両部品20の一部分に前後一対の貫通孔42,42が形成されている。これら各貫通孔42は、左右に長い長方形状をなし、上記各突起部材37と各貫通孔42とのそれぞれ左右方向の寸法は互いに同じとされている。また、これら各突起部材37と各貫通孔42とは左右方向で互いに同じところに形成されている。
【0034】
図1(a)中実線と図4とは、上記係止孔35への上記係止突起34の嵌入が終了した場合の、この係止突起34の自由状態を示している。この係止突起34の突出方向Aにおける中途部の上記前後方向での幅寸法は、この係止突起34の基部や突出端部のそれよりも大きくされている。また、上記係止突起34の中途部の上記幅寸法は、上記係止孔35の上記前後方向での孔幅寸法よりも、例えば、0.1〜0.5mm程度に、わずかだけ大きくされている。また、上記前後方向における上記両溝39,39の両底面の間の寸法は上記螺子41の径寸法よりも小さくされている。
【0035】
ここで、上記したように、係止突起34の中途部の幅寸法は係止孔35の孔幅寸法よりもわずかだけ大きくされているため、上記係止孔35に対する係止突起34の嵌入時には、この係止突起34の中途部の前、後面は、一旦、上記係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに圧接する。この場合、これら前、後孔縁部35a,35aからの反力によって上記係止突起34の両突起部材37,37は、一旦、上記隙間38を利用して互いに接近するよう弾性的に撓み、その後、上記係止孔35への嵌入が終了すれば、弾性的に復元して、上記した図1(a)中実線と図4との状態になる。
【0036】
そして、上記したように、係止突起34の中途部の幅寸法は係止孔35の孔幅寸法よりもわずかだけ大きくされているため、上記係止孔35に対する係止突起34の嵌入は小さい操作力で足り、その一方、この嵌入が終了すれば、上記車体2のインナパネル13側に上記係止突起34を仮止めした状態が得られる。
【0037】
図1(a)中一点鎖線と図1(b)中実線とは、上記係止突起34の両突起部材37,37の間に螺子41をねじ込み始めたときの状態を示している。そして、このように、上記両突起部材37,37の両基部37a,37aの間に螺子41をねじ込み始めると、この螺子41からの、主にその径方向外方に向かう押動力により、上記両突起部材37,37の各基部37a側は上記各貫通孔42内に向かって撓むと共に移動する。これにより、上記両突起部材37,37の各基部37aは上記係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに接近(当接含む)する。
【0038】
図1(b)中二点鎖線と図2とは、上記係止突起34の両突起部材37,37の間に対する螺子41のねじ込みが完了した状態を示している。そして、前記図1(a)中一点鎖線と図1(b)中実線とで示したように上記両突起部材37,37の間に螺子41をねじ込み始めてから、このねじ込みが完了するまで、この螺子41を更にねじ込むと、この螺子41からの、主にその径方向外方に向かう押動力により、上記両突起部材37,37はそれぞれその基部37aを中心として互いに離反するよう回動B,Bして、これら各突起部材37,37は上記係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに係止される。
【0039】
上記係止装置22により、車体2側に車両部品20を取り付ける取付作業をする場合には、まず、車体2側の係止孔35に車両部品20の係止突起34を嵌入して、車体2側に車両部品20の係止突起34を仮止めした状態にする(図1(a)中実線、図4)。次に、この係止突起34の両突起部材37,37の間にその両基部37a,37a側から螺子41をねじ込み始める。すると、この螺子41からの押動力により上記両突起部材37,37の各基部37a側は上記各貫通孔42内に向かって撓むと共に移動し、これにより、上記両突起部材37,37の各基部37aは上記係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに接近する(図1(a)中一点鎖線、図1(b)中実線)。更に、上記螺子41をねじ込むと、この螺子41からの押動力により上記両突起部材37,37はそれぞれその基部37aを中心として互いに離反するよう回動B,Bして、上記係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに係止され、これにより、車体2側への上記車両部品20の取り付けが終る。
【0040】
よって、上記取付作業では、上記係止突起34の両突起部材37,37の間に螺子41をねじ込む際のねじ込み始めにおいて、上記したように両突起部材37,37の各基部37a側は係止孔35の前、後孔縁部35a,35aに接近することから、その分、その後の螺子41のねじ込みによる上記両突起部材37,37の上記前、後孔縁部35a,35aへの係止は十分になされることとなる。この結果、車体2側への上記車両部品20の取付強度は十分に確保される。
【0041】
また、上記した車体2側への車両部品20の十分な取付強度の確保は、上記車両部品20の一部分に一対の貫通孔42,42を形成したことにより達成されるのであり、このため、上記した十分な取付強度の確保のために、前記「発明が解決しようとする課題」にて説明のように、車両部品20の一部分の厚さをより大きくしたり、螺子41をより長くしたりすることはしないで足り、また、螺子41の径寸法を大きくすることはしないで足りる。よって、その分、当該車両部品20の係止装置22の質量が過大になることが防止され、また、その形成作業が容易にでき、これは、生産性や生産コストの面で有益である。また、螺子41をねじ込むときの捻回トルクは小さいままで足りるため、上記取付作業は容易にできる。
【0042】
なお、以上は図示の例によるが、上記車両部品20は、ドアトリム、ガーニッシュなど車室3の内装材であってもよく、このような内装材などを車体2側に取り付けるためのクリップであってもよい。また、上記一対の突起部材37,37が並設される一方向は、車両1の幅方向(左右方向)であってもよく、車両1の上下方向であってもよく、傾斜方向であってもよい。
【0043】
また、上記係止突起34の突出方向Aにおける中途部の上記前後方向での幅寸法を、上記係止孔35の上記前後方向の孔幅寸法に比べほぼ同じとし、もしくは、わずかだけ小さくしてもよい。このようにすれば、上記係止孔35への係止突起34の嵌入が、より円滑に容易にできる。
【符号の説明】
【0044】
1 車両
2 車体
3 車室
9 バックドア
20 車両部品
21 ランプ
22 係止装置
34 係止突起
35 係止孔
35a 孔縁部
37 突起部材
37a 基部
38 隙間
39 溝
41 螺子
42 貫通孔
A 突出方向
B 回動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製車両部品の一部分の外面からその外方に向かって一体的に突出し、車体側に形成された係止孔に嵌入されて係止可能とされる係止突起を備え、この係止突起が、上記車両部品の一部分の外面に沿った一方向での前後方向に並設される前後一対の突起部材を有し、これら両突起部材の間にその両基部側から螺子をねじ込み可能とし、この螺子のねじ込みにより上記両突起部材がそれぞれその各基部を中心として互いに離反するよう回動して上記係止孔の前、後孔縁部に係止されるようにした車両部品の係止装置において、
上記両突起部材の両基部を上記前後方向から挟むよう上記車両部品の一部分に前後一対の貫通孔を形成したことを特徴とする車両部品の係止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−96486(P2013−96486A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239092(P2011−239092)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】