説明

車両骨格部材の補強構造

【課題】車両骨格部材に荷重が入力されて塑性変形する際における車両骨格部材の変形モードの制御を可能とすると共に、該荷重に対する反力を高めて、該車両骨格部材の変形を抑制することを目的とする。
【解決手段】サイドメンバ10及びフロアパネル14(車両骨格部材)の閉断面20内に固設される樹脂製の補強部材16が、フロアパネル14に沿った上段部16Bと、該上段部16Bに対して段差状に形成された下段部16Cとを有しているので、該フロアパネル14のうち、上段部16Bにより補強される領域と、下段部16Cにより補強される領域との境界部において、変形が生じ易くなっている。またサイドメンバ10及びフロアパネル14がその長手軸方向からの荷重を受けて塑性変形する際、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、該荷重受け部18Aと対向配置された縦壁部16D(荷重伝達端)に当接することで、該荷重に対する反力を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両骨格部材の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントサイドメンバの前後の直線部が段差状に連続する屈曲部に、該屈曲部の前後の曲折部にわたる長さの板状の硬質合成樹脂発泡材が密着している構造が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−217084号公報
【特許文献2】特開平11−342862号公報
【特許文献3】特開平4−310477号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来例における硬質合成樹脂発泡材は、車両の衝突の際に、衝突荷重によりフロントサイドメンバと共に塑性変形する。しかしながら、該従来例における硬質合成樹脂発泡材は、フロントサイドメンバの変形モードの制御に重点が置かれており、衝突荷重に対する反力については考慮されていない。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、車両骨格部材に荷重が入力されて塑性変形する際における車両骨格部材の変形モードの制御を可能とすると共に、該荷重に対する反力を高めて、該車両骨格部材の変形を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、閉断面を有すると共に、長手軸方向からの荷重による塑性変形時に圧縮側部位となる壁部を有する車両骨格部材と、前記閉断面内に固設され、前記壁部に沿った上段部と、該上段部に対して段差状に形成され該上段部よりも前記壁部から離間した下段部とを有する樹脂製の補強部材と、前記閉断面内に固設され、該下段部と前記閉断面の前記壁部との間に配置される荷重受け部を有する荷重伝達部材と、前記閉断面内に固設され、前記荷重受け部に対して前記長手軸方向に所定の隙間を持って対向配置される荷重伝達端と、を有している。
【0006】
請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造では、閉断面を有する車両骨格部材が、長手軸方向からの荷重による塑性変形時に圧縮側部位となる壁部を該閉断面に有しており、該閉断面内に配設される樹脂製の補強部材が、壁部に沿った上段部と、該上段部に対して段差状に形成され該上段部よりも壁部から離間した下段部とを有しており、該壁部からの距離が、上段部と下段部とで相違するので、該壁部のうち、上段部により補強される領域と、下段部により補強される領域との境界部において、変形が生じ易くなっている。従って、車両骨格部材がその長手軸方向からの荷重を受けて塑性変形する際には、閉断面の壁部のうち、補強部材の下段部側を変形起点とすることができる。このため、車両骨格部材に荷重が入力されて塑性変形する際における車両骨格部材の変形モードを制御することができる。
【0007】
また車両骨格部材の閉断面内には、荷重受け部を有する荷重伝達部材が固設されており、該荷重受け部が、補強部材の下段部と閉断面の壁部との間に配置されている。更に、車両骨格部材の閉断面内には、荷重伝達部材の荷重受け部に対して、車両骨格部材の長手軸方向に所定の隙間を持って対向配置される荷重伝達端が固設されている。従って、車両骨格部材がその長手軸方向からの荷重を受けて塑性変形する際、荷重伝達部材の荷重受け部が、該荷重受け部と対向配置された荷重伝達端に当接する。これにより、該荷重に対する反力を高めて、車両骨格部材の変形を抑制することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造において、前記荷重伝達端は、前記補強部材のうち前記上段部と前記下段部との境界に設けられた縦壁部である。
【0009】
請求項2に記載の車両骨格部材の補強構造では、荷重伝達端が、補強部材のうち上段部と下段部との境界に設けられた縦壁部であり、車両骨格部材がその長手軸方向からの荷重を受けて塑性変形する際には、該縦壁部に荷重伝達部材の荷重受け部が当接する。これにより、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力が高まるので、該車両骨格部材のそれ以上の変形を抑制することができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両骨格部材の補強構造において、前記縦壁部には、前記車両骨格部材の塑性変形時に、前記荷重伝達部材の前記荷重受け部と係合可能な係合部が設けられている。
【0011】
請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造では、補強部材の縦壁部に、車両骨格部材の塑性変形時に荷重伝達部材の荷重受け部と係合可能な係合部が設けられているので、車両骨格部材がその長手軸方向からの荷重を受けて塑性変形する際に、荷重伝達部材の荷重受け部は、係合部と係合した状態となる。これにより、荷重伝達部材の荷重受け部と、補強部材との当接状態が維持されるので、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造において、前記係合部は、前記縦壁部から前記荷重伝達部材側に突出して設けられた突起部であり、前記車両骨格部材の塑性変形時に、前記荷重伝達部材の前記荷重受け部が、前記突起部と前記下段部との間に入り込んで係合可能とされている。
【0013】
請求項4に記載の車両骨格部材の補強構造では、補強部材の縦壁部に設けられる係合部が、縦壁部から荷重伝達部材側に突出して設けられた突起部であり、車両骨格部材の塑性変形時に、荷重伝達部材の荷重受け部が、該突起部と補強部材の下段部との間に入り込んで係合する。これにより、荷重伝達部材の荷重受け部と、補強部材の縦壁部との当接状態が安定的に維持されるので、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造において、前記係合部として、前記車両骨格部材の塑性変形時に、前記荷重伝達部材の前記荷重受け部と嵌合可能な貫通孔が設けられている。
【0015】
請求項5に記載の車両骨格部材の補強構造では、補強部材の縦壁部に設けられる係合部として貫通孔が設けられているので、車両骨格部材の塑性変形時に、荷重伝達部材の荷重受け部が、該貫通孔と嵌合する。これにより、荷重伝達部材の荷重受け部と、補強部材の縦壁部との当接状態が安定的に維持されるので、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造において、前記荷重伝達端は、前記閉断面内の前記上段部側に固設された第2荷重伝達部材に設けられている。
【0017】
請求項6に記載の車両骨格部材の補強構造では、荷重伝達端が、閉断面内の上段部側に固設された第2荷重伝達部材に設けられており、車両骨格部材がその長手軸方向からの荷重を受けて塑性変形する際、補強部材の下段部側に位置する荷重伝達部材の荷重受け部が、補強部材の上段部側に位置する第2荷重伝達部材の荷重伝達端に当接する。これにより、該荷重に対する反力を高めて、車両骨格部材の変形を抑制することができる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車両骨格部材の補強構造において、前記車両骨格部材の前記閉断面は、車両のフロアパネルと、該フロアパネルの車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバとにより形成され、前記補強部材は、前記サイドメンバの屈曲部に設けられている。
【0019】
請求項7に記載の車両骨格部材の補強構造では、車両骨格部材の閉断面が、車両のフロアパネルと、該フロアパネルの車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバとにより形成され、補強部材が、サイドメンバの屈曲部に設けられているので、該サイドメンバに対する車両前後方向の荷重の入力時における、該屈曲部の強度・剛性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材に荷重が入力されて塑性変形する際における車両骨格部材の変形モードの制御を可能とすると共に、該荷重に対する反力を高めて、該車両骨格部材の変形を抑制することができる、という優れた効果が得られる。
【0021】
請求項2に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を高め、該車両骨格部材の変形を抑制することができる、という優れた効果が得られる。
【0022】
請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる、という優れた効果が得られる。
【0023】
請求項4に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる、という優れた効果が得られる。
【0024】
請求項5に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる、という優れた効果が得られる。
【0025】
請求項6に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を高めて、車両骨格部材の変形を抑制することができる、という優れた効果が得られる。
【0026】
請求項7に記載の車両骨格部材の補強構造によれば、車両骨格部材の長手軸方向からの荷重に対する反力を安定的に高めることができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0028】
[第1実施形態]
図1において、本実施の形態に係る車両骨格部材の補強構造S1は、例えばサイドメンバ10の屈曲部12における補強構造に係り、図2から図8に示されるように、車両骨格部材の一例たるサイドメンバ10及びフロアパネル14と、樹脂製の補強部材16と、荷重伝達部材18と、荷重伝達端の一例たる縦壁部16Dとを有している。
【0029】
サイドメンバ10及びフロアパネル14は、例えば略矩形の閉断面20を有する車両骨格部材であり、サイドメンバ10の長手軸方向からの荷重F(図1)による塑性変形時に圧縮側部位となる壁部を有している。屈曲部12において圧縮側部位となる壁部は、フロアパネル14である。
【0030】
具体的には、サイドメンバ10は、車両21(図1)のフロアパネル14の車両下側(下面)に結合され、車両前後方向に延びている。このサイドメンバ10は、例えば高張力鋼板をプレス成形することで、側壁部10A、下壁部10D及びフランジ10Bを有する例えば断面逆ハット形に形成されている。断面ハット形としたのは、曲げ剛性を高めるためである。そしてこのサイドメンバ10は、フランジ10Bにおいて、フロアパネル14の下面に、例えば溶接により接合されている。このフロアパネル14とサイドメンバ10とにより、例えば略矩形の閉断面20を有する車両骨格部材が構成されている。
【0031】
ここで、図1に示されるように、サイドメンバ10は、車両前後方向における中央部10Cの前後に、フロントサイドメンバ10F及びリヤサイドメンバ10Rを有して構成されている。フロントサイドメンバ10F及びリヤサイドメンバ10Rの車幅方向外側には、車輪24が配設されるようになっている。
【0032】
このフロントサイドメンバ10F及びリヤサイドメンバ10Rは、例えば何れも中央部10Cよりも車両上側に位置している。これに伴い、中央部10Cとフロントサイドメンバ10Fとの境界部には、屈曲部12,13が形成され、中央部10Cとリヤサイドメンバ10Rとの境界部には、屈曲部22,23が形成されている。屈曲部12,22の曲率中心(図示せず)は、該屈曲部12,22の車両上方側に位置し、屈曲部13,23の曲率中心(図示せず)は、該屈曲部13,23の車両下方側に位置している。
【0033】
車両21が例えば前面衝突して、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重F(図1)が入力され、該サイドメンバ10が塑性変形する際には、屈曲部12の車両上側、及び該屈曲部13の車両下側が夫々圧縮側部位となる。一方、車両21の例えば後面衝突時には、屈曲部22の車両上側、及び屈曲部23の車両下側が夫々圧縮側部位となる。従って、屈曲部12,22において圧縮側部位となる壁部は、共にフロアパネル14であり、屈曲部13,23において圧縮側部位となる壁部は、サイドメンバ10の下壁部10Dである。
【0034】
図2から図8において、樹脂製の補強部材16は、車両骨格部材の閉断面20内、即ちフロアパネル14とサイドメンバ10とにより形成された閉断面20内に固設されている。この補強部材16は、サイドメンバ10の例えば前側の屈曲部12に設けられている。また補強部材16は、例えば車両下方側に開口した断面略逆U字形に成形されており、サイドメンバ10の側壁部10Aと略平行な一対の側壁部16Aと、両側の該側壁部16Aの上縁同士を車幅方向に連結する上壁部16Uとを有している。補強部材16の側壁部16Aは、サイドメンバ10の側壁部10Aと車幅方向に離間して配置され、補強部材16の上壁部16Uはフロアパネル14から車両上下方向に離間して配置されている。
【0035】
また図3,図7に示されるように、補強部材16は、屈曲部12において圧縮側部位となる壁部であるフロアパネル14に沿った上段部16Bと、該上段部16Bに対して段差状に形成され該上段部16Bよりもフロアパネル14から離間した下段部16Cとを有している。上段部16Bと下段部16Cとでは、上壁部16Uの高さ位置が異なり、下段部16C側が上段部16B側よりも低くなっている。これにより、下段部16Cが上段部16Bに対して段差状に形成されている。
【0036】
図3において、補強部材16における上段部16Bと下段部16Cとの境界には、荷重伝達部材18に対する荷重伝達端としての縦壁部16Dが設けられている。具体的には、補強部材16には、サイドメンバ10の長手軸方向に沿って所定間隔でリブ26,27,28が設けられている。図4から図6に示されるように、このリブ26,27,28は、両側の側壁部16A及び上壁部16Uに夫々連結されている。リブ26は上段部16Bに設けられ、リブ28は下段部16Cに設けられている。そして、リブ27は、上段部16Bと下段部16Cとの境界に位置している。このリブ27のうち、下段部16C側の上壁部16Uと、上段部16B側の上壁部16Uとの間の領域が、荷重伝達部材18に対する荷重伝達端としての縦壁部16Dとなっている。この縦壁部16Dは、例えば屈曲部12の車両前方側の近傍に設定されている。
【0037】
図2から図8において、荷重伝達部材18は、例えば断面ハット形に形成されてサイドメンバ10の長手軸方向に延びる、例えば高張力鋼板製のリインフォースメントであり、プレス成形により製造され、上壁部18Uにおいて、フロアパネル14に接合されている。この荷重伝達部材18は、サイドメンバ10の長手軸方向における補強部材16の下段部16C側において閉断面20内に固設され、該下段部16Cと閉断面20の壁部、即ちフロアパネル14との間に配置される荷重受け部18Aを有している。
【0038】
この荷重受け部18Aは、荷重伝達部材18の前端を、フロアパネル14から車両下方に離れた位置、例えば荷重伝達部材18のフランジ部18Fと同等の高さ位置で、例えば車両下方に折り曲げることで、縦壁部16Dに相対する平面状に形成されている。また、図7,図8に示されるように、荷重受け部18Aは、荷重伝達部材18における他の部位よりも幅狭に構成されている。これは、高張力鋼板の成形性と、荷重伝達部材18の軽量化を考慮して、例えば両側のフランジ部18Fに相当する部分を省略したものである。更に荷重受け部18Aは、補強部材16の下段部16Cにおける上壁部16Uよりも車両上方側で、かつ補強部材16の上段部16Bにおける上壁部16Uよりも車両下方側に位置し、縦壁部16Dに対してサイドメンバ10の長手軸方向に対向している。即ち、荷重受け部18Aは、上段部16B側に設けられた荷重伝達端である縦壁部16Dに対して、サイドメンバ10の長手軸方向に所定の隙間30を持って対向配置されている。
【0039】
図3において、荷重受け部18Aと補強部材16の縦壁部16Dとの間の隙間30は、補強部材16と荷重伝達部材18との組付け時のばらつきと、サイドメンバ10の長手軸方向からの荷重Fによる塑性変形時に荷重受け部18Aと縦壁部16Dとが当接し、該荷重Fに対する反力が高まるタイミングを考慮して設定される。また隙間30を設けておくことで、通常時における異音の発生を抑制できるようになっている。
【0040】
図2から図8において、補強部材16は、閉断面20内に発泡部材32により結合されている。具体的には、発泡部材32は、閉断面20内におけるサイドメンバ10の側壁部10Aと補強部材16の側壁部16Aとの間に配置されている。また図3,図4に示されるように、発泡部材32は、補強部材16の下段部16Cに対応する領域において、該補強部材16の上壁部16Uと荷重伝達部材18との間に配置されている。
【0041】
更に図3,図6に示されるように、発泡部材32は、補強部材16の上段部16Bに対応する領域において、該補強部材16の上壁部16Uとフロアパネル14との間に配置されている。そして発泡部材32は、サイドメンバ10やフロアパネル14が、例えば塗装工程において加熱された際に発泡して固化し、補強部材16を閉断面20内に結合するように構成されている。
【0042】
なお、図7に示されるように、発泡部材32は、サイドメンバ10の長手軸方向に沿って、例えば連続的に設けられているが、荷重伝達部材18の荷重受け部18A及び補強部材16の縦壁部16Dに対応する領域については、該荷重受け部18Aと縦壁部16Dとがサイドメンバ10の長手軸方向に対向するように、発泡部材32が入り込まない構成となっている。
【0043】
この領域に発泡部材32が入り込まないようにするために、例えば次のような手段を用いることが可能である。上段部16B側においては、未発泡の発泡部材32を縦壁部16Dの車両前方側に離して配置しておき、該発泡部材32が発泡した際に、図示されるような縦壁部16D付近まで車両後方に膨張するようにする。下段部16C側においては、未発泡の発泡部材32を荷重受け部18Aの車両後方側に離して配置しておき、該発泡部材32が発泡した際に、図示されるような荷重受け部18A付近まで車両前方に膨張するようにする。もっとも、荷重受け部18Aは、上壁部18Uよりも補強部材16の上壁部16Uに近接し、その間隔が狭くなっているので、荷重受け部18Aの車両後方側の上壁部18U,16U間に配置された発泡部材32が発泡する際、該荷重受け部18Aと上壁部16Uとの間において、該発泡部材32の車両前方への膨張が抑制される。
【0044】
図3に示されるように、フロアパネル14における補強部材16の下段部16C側、特に縦壁部16Dの近傍は、上段部16B側よりも補強の度合いが小さい脆弱部34となっている。サイドメンバ10の長手軸方向からの荷重Fを受けた際には、該脆弱部34を変形起点として塑性変形が生ずるようになっている。
【0045】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図9(A)において、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造S1では、車両21(図1)が前面衝突し、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重Fが入力された際に、図9(B),(C)に示されるように、屈曲部12の車両上側が圧縮側となって断面塑性変形(面外変形)する。このとき、屈曲部12において、サイドメンバ10の車両上側に結合されているフロアパネル14が、閉断面20における圧縮側部位となって塑性変形する。
【0046】
また車両骨格部材の補強構造S1では、屈曲部12の閉断面20内に補強部材16が固設され、該樹脂製の補強部材16が、フロアパネル14に沿った上段部16Bと、該上段部16Bに対して段差状に形成され該上段部16Bよりもフロアパネル14から離間した下段部16Cとを有しており、フロアパネル14からの距離が、上段部16Bと下段部16Cとで相違するので、該フロアパネル14のうち、上段部16Bにより補強される領域と、下段部16Cにより補強される領域との境界部において、変形が生じ易くなっている。
【0047】
具体的には、フロアパネル14における補強部材16の下段部16C側、特に縦壁部16Dの近傍が、補強部材16や荷重伝達部材18による補強の度合いが比較的小さい脆弱部34となっている。補足すると、補強部材16の上段部16B側については、フロアパネル14は、発泡部材32により該上段部16B側の上壁部16Uと結合されて補強されている。一方、補強部材16の下段部16C側については、フロアパネル14には荷重伝達部材18が接合され、かつ該荷重伝達部材18は、発泡部材32により下段部16C側の上壁部16Uと結合されて補強されている。しかしながら、脆弱部34においては、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aとフロアパネル14との間において発泡部材32による結合がなされておらず、該荷重受け部18Aはフロアパネル14と離間しており、荷重伝達部材18によるフロアパネル14の補強はなされていない。
【0048】
従って、図9(B)に示されるように、サイドメンバ10及びフロアパネル14が、該サイドメンバ10の長手軸方向からの荷重Fを受けて塑性変形する際には、閉断面20におけるフロアパネル14のうち、補強部材16の下段部16C側に位置する脆弱部34を変形起点とすることができる。これにより、サイドメンバ10に長手軸方向の荷重Fが入力されて塑性変形する際における該サイドメンバ10及びフロアパネル14の変形モードを制御することができる。
【0049】
次に、閉断面20内において、サイドメンバ10の長手軸方向における補強部材16の下段部16C側の閉断面20内、具体的にはフロアパネル14の車両下側には、荷重受け部18Aを有する荷重伝達部材18が固設されている。この荷重受け部18Aは、補強部材16の下段部16Cとフロアパネル14との間に配置され、補強部材16の上段部16B側に設けられた荷重伝達端、即ち縦壁部16Dに対して、サイドメンバ10の長手方向に所定の隙間30を持って対向配置されている。
【0050】
従って、サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形が進行すると、補強部材16の下段部16C側に位置する荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、補強部材16の上段部16B側に位置する縦壁部16Dに当接する。これにより、荷重Fは、荷重伝達部材18を介して、より車両後方のサイドメンバ10及びフロアパネル14へ伝達される。荷重受け部18Aは、荷重伝達部材18の前端を車両下方に折り曲げることで、縦壁部16Dに相対する面状に形成されているので、効率的な荷重伝達が可能である。またこれに伴い、荷重Fに対する反力が高まるので、それ以降のサイドメンバ10及びフロアパネル14の屈曲部12における断面塑性変形(面外変形)を抑制することが可能である。これによって、サイドメンバ10への荷重Fの入力時における屈曲部12の強度・剛性を向上させることができる。
【0051】
[第2実施形態]
図10において、本実施の形態に係る車両骨格部材の補強構造S2では、荷重伝達部材18に対する荷重伝達端42Aが、閉断面20内の例えば車両前側の上段部16B側に固設された第2荷重伝達部材42に設けられている。この第2荷重伝達部材42は、例えば高張力鋼板をプレス成形して構成され、フロアパネル14に沿う一般部42Bと、該一般部42Bの後端に、車両下方側に折曲げ形成された面状の荷重伝達端42Aとを有している。荷重伝達端42Aの下端には、車両後方側に折曲げ形成された後端縁42Cが形成されている。この後端縁42Cは、例えば荷重伝達部材18の荷重受け部18Aと車両上下方向に重なる位置まで車両後方へ延びている。
【0052】
ここで、図11に示されるように、本実施形態に係る補強部材16では、脆弱部34として設定される領域に下段部16Cが設けられ、その前後は共に上段部16Bとされている。即ち、下段部16Cは、上段部16Bに対して、車両下方側に凹となる段差状に形成されている。第2荷重伝達部材42は、フロアパネル14と、補強部材16の車両前側の上段部16B及び下段部16Cとの間に配設され、一般部42Bにおいて該フロアパネル14の下面に接合されている。荷重伝達端42A及び後端縁42Cは、下段部16Cにより構成される凹部内の車両前方寄りに配置されている。
【0053】
一方、荷重伝達部材18は、第1実施形態と異なり、略平板状に形成された一般部18Bの前端に荷重受け部18Aを形成した構成となっている。図7,図8において、第1実施形態における荷重受け部18Aは、荷重伝達部材18における他の部位よりも幅狭に構成され、例えば車幅方向両側のフランジ部18Fに相当する部分が省略されている。これに対し、本実施形態では、荷重受け部18Aが、平板状の一般部18Bと等幅に形成され第1実施形態における荷重受け部18Aよりも幅広に構成されている。これにより、第2荷重伝達部材42から荷重伝達部材18への荷重伝達時における、荷重伝達端42Aと荷重受け部18Aとの当接範囲が大きくなるので、より効率的な荷重伝達が可能となっている。
【0054】
また本実施形態における荷重伝達部材18は、フロアパネル14と、補強部材16の下段部16C及び車両後側の上段部16Bとの間に配設され、一般部18Bにおいてフロアパネル14の下面に接合されている。荷重受け部18Aは、下段部16Cにより構成される凹部内の車両後方寄りに配置されている。荷重伝達部材18の荷重受け部18Aは、第2荷重伝達部材42の荷重伝達端42Aに対して、サイドメンバ10の長手軸方向に所定の隙間30を持って対向配置されている。
【0055】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0056】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図11において、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造S2では、車両21(図1)が前面衝突し、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重Fが入力された際に、屈曲部12の車両上側が圧縮側となって断面塑性変形(面外変形)する。このとき、屈曲部12において、サイドメンバ10の車両上側に結合されているフロアパネル14が、閉断面20における圧縮側部位となって塑性変形する。この際、脆弱部34を変形起点とすることで、サイドメンバ10及びフロアパネル14の変形モードを制御可能である。この点については第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0057】
サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形が進行すると、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、第2荷重伝達部材42の荷重伝達端42Aに当接する。これにより、荷重Fは、車両前側の第2荷重伝達部材42から、車両後側の荷重伝達部材18を介して、より車両後方のサイドメンバ10及びフロアパネル14へ伝達される。
【0058】
ここで、荷重受け部18Aを、樹脂製の補強部材16ではなく、高張力鋼板製の第2荷重伝達部材42に当接させることで、より効率的な荷重伝達が可能である。また荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、第2荷重伝達部材42における荷重伝達端42Aと後端縁42Cとの間の隅部に当接することで、より安定的な荷重伝達が可能となる。このようにして、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、第2荷重伝達部材42の荷重伝達端42Aに当接することで、荷重Fに対する反力が高まるので、それ以降のサイドメンバ10及びフロアパネル14の屈曲部12における断面塑性変形(面外変形)を抑制することが可能である。
【0059】
[第3実施形態]
図12において、本実施の形態に係る車両骨格部材の補強構造S3では、第2実施形態における第2荷重伝達部材42の形状が一部変更されている。荷重伝達部材18については、第2実施形態とは異なり、第1実施形態と同様の構成となっている。
【0060】
具体的には、第2荷重伝達部材42における荷重伝達端42Aが、車両側面視で車両後方側に凸に屈曲しており、その屈曲部42Dの稜線は、荷重伝達部材18における荷重受け部18Aよりも車両上側となる高さ位置に設定されている。これにより、サイドメンバ10の長手軸方向の荷重F(図1)が入力され、サイドメンバ10及びフロアパネル14が塑性変形した際に、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aは、第2荷重伝達部材42における屈曲部42Dの稜線の車両下側において荷重伝達端42Aと当接し、該屈曲部42Dと係合可能となっている。
【0061】
他の部分については、第1実施形態又は第2実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0062】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図13において、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造S3では、車両21(図1)が前面衝突し、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重Fが入力された際に、屈曲部12の車両上側が圧縮側となって断面塑性変形(面外変形)する。このとき、屈曲部12において、サイドメンバ10の車両上側に結合されているフロアパネル14が、閉断面20における圧縮側部位となって塑性変形する。この際、脆弱部34を変形起点とすることで、サイドメンバ10及びフロアパネル14の変形モードを制御可能である。この点については第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0063】
サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形が進行すると、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、第2荷重伝達部材42における屈曲部42Dの稜線の車両下側において荷重伝達端42Aと当接し、該屈曲部42Dと係合状態となる。具体的には、屈曲部42Dは、車両後方に凸に屈曲しているので、荷重受け部18Aは、荷重伝達端42Aと後端縁42Cとの境界部である、車両側面視で鋭角状の隅部に入り込んで、該屈曲部42Dと係合状態となる。このため、荷重受け部18Aが屈曲部42Dの稜線を越えて車両上方へ相対移動することが抑制される。
【0064】
このようにして、荷重Fは、車両前側の第2荷重伝達部材42から、車両後側の荷重伝達部材18を介して、より車両後方のサイドメンバ10及びフロアパネル14へ、効率的かつ安定的に伝達される。またこれによって、荷重Fに対する反力が高まるので、それ以降のサイドメンバ10及びフロアパネル14の屈曲部12における断面塑性変形(面外変形)を抑制することが可能である。
【0065】
[第4実施形態]
図14において、本実施の形態に係る車両骨格部材の補強構造S4では、補強部材16の縦壁部16Dに、サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形時に、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aと係合可能な係合部として、補強部材16の縦壁部16Dから荷重伝達部材18側に突出する突起部16Eが設けられている。この突起部16Eは、縦壁部16Dに、車両側面視で例えば台形のリブ状に形成され、車幅方向に沿って所定間隔で4箇所形成されている。荷重受け部18Aと突起部16Eとの間には、所定の隙間30が設定されている。荷重受け部18Aは、サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形時に、突起部16Eと下段部16Cとの間に入り込んで係合可能となっている。
【0066】
なお、突起部16Eの配置は、車幅方向における荷重受け部18Aの範囲を考慮して設定されるものであり、図示の例には限られない。また突起部16Eの形状についても、図示の例には限られない。
【0067】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0068】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図15において、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造S4では、車両21(図1)が前面衝突し、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重Fが入力された際に、屈曲部12の車両上側が圧縮側となって断面塑性変形(面外変形)する。このとき、屈曲部12において、サイドメンバ10の車両上側に結合されているフロアパネル14が、閉断面20における圧縮側部位となって塑性変形する。この際、脆弱部34を変形起点とすることで、サイドメンバ10及びフロアパネル14の変形モードを制御可能である。この点については第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0069】
サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形が進行すると、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、補強部材16における下段部16C側の上壁部16Uと、突起部16Eとの間に入り込み、該突起部16Eと係合した状態となる。これにより、荷重受け部18Aが補強部材16に対して車両上方へ相対移動することが抑制され、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aと、補強部材16との当接状態が維持される。
【0070】
このようにして、荷重Fは、補強部材16の上段部16B側から、車両後側の荷重伝達部材18を介して、より車両後方のサイドメンバ10及びフロアパネル14へ、安定的に伝達される。またこれによって、荷重Fに対する反力が高まるので、それ以降のサイドメンバ10及びフロアパネル14の屈曲部12における断面塑性変形(面外変形)を抑制することが可能である。
【0071】
[第5実施形態]
図16において、本実施の形態に係る車両骨格部材の補強構造S5では、補強部材16の縦壁部16Dに、係合部として、サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形時に荷重伝達部材18の荷重受け部18Aと嵌合可能な貫通孔16Hが設けられている。この貫通孔16Hの大きさ及び位置は、荷重受け部18Aが嵌合できるように、該荷重受け部18Aの位置、厚さ及び幅を考慮して設定される。荷重受け部18Aは、例えば平板状に形成されているので、貫通孔16Hの開口形状は、例えばスリット状の角孔となっている。貫通孔16Hが設けられている縦壁部16Dと荷重受け部18Aとの間には、所定の隙間30が設定されている。
【0072】
なお、荷重受け部18Aの形状は、これに限られるものではなく、貫通孔16Hとの嵌合性をより高めるために、車両側面視で例えば楔形に形成してもよい。また貫通孔16Hと同等の開口を有する溝(図示せず)を縦壁部16Dに設け、サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形時に、該溝と荷重受け部18Aとが嵌合するようにしてもよい。
【0073】
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
【0074】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図17において、本実施形態に係る車両骨格部材の補強構造S5では、車両21(図1)が前面衝突し、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重Fが入力された際に、屈曲部12の車両上側が圧縮側となって断面塑性変形(面外変形)する。このとき、屈曲部12において、サイドメンバ10の車両上側に結合されているフロアパネル14が、閉断面20における圧縮側部位となって塑性変形する。この際、脆弱部34を変形起点とすることで、サイドメンバ10及びフロアパネル14の変形モードを制御可能である。この点については第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0075】
サイドメンバ10及びフロアパネル14の塑性変形が進行すると、荷重伝達部材18の荷重受け部18Aが、補強部材16の縦壁部16Dに設けられている貫通孔16Hに入り込んで嵌合する。これにより、補強部材16と荷重伝達部材18との間の相対移動が規制され、該荷重伝達部材の荷重受け部18Aと、補強部材16の縦壁部16Dとの当接状態が安定的に維持される。
【0076】
このようにして、荷重Fは、補強部材16の上段部16B側から、車両後側の荷重伝達部材18を介して、より車両後方のサイドメンバ10及びフロアパネル14へ、安定的に伝達される。またこれによって、荷重Fに対する反力が高まるので、それ以降のサイドメンバ10及びフロアパネル14の屈曲部12における断面塑性変形(面外変形)を抑制することが可能である。
【0077】
(他の実施形態)
上記した各実施形態においては、補強部材16が、サイドメンバ10における前側の屈曲部12に設けられているものとしたが、これに限られず、サイドメンバ10における後側の屈曲部22にも、補強部材16を適用することが可能である。
【0078】
前側の屈曲部13及び後側の屈曲部23においては、サイドメンバ10の長手軸方向に荷重が入力された際の圧縮側部位が夫々車両下側、即ちサイドメンバ10の下壁部10Dとなるので、屈曲部13,23に補強部材16及び荷重伝達部材18等を設ける場合には、上記各実施形態とは天地が逆となる。
【0079】
この他、補強部材16や荷重伝達部材18等は、サイドメンバ10に限られず、ピラー等(図示せず)の他の車両骨格部材にも適用することが可能である。また補強部材16や荷重伝達部材18等は、車両骨格部材の屈曲部に設けられるものに限られず、荷重入力時に屈曲するように塑性変形する部位にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】車両骨格部材の補強構造を有する車両を示す側面図である。
【図2】図2から図9は、第1実施形態に係り、図2は、車両骨格部材の補強構造を示す拡大斜視図である。
【図3】車両骨格部材の補強構造を示す拡大縦断面図である。
【図4】車両骨格部材の補強構造を示す、図3における4−4矢視拡大縦断面図である。
【図5】車両骨格部材の補強構造を示す、図3における5−5矢視拡大縦断面図である。
【図6】車両骨格部材の補強構造を示す、図3における6−6矢視拡大縦断面図である。
【図7】車両骨格部材の補強構造を示す、拡大分解斜視図である。
【図8】車両骨格部材の補強構造を示す拡大斜視図である。
【図9】(A)通常時における車両骨格部材の補強構造を示す拡大縦断面図である。(B)サイドメンバの長手軸方向に荷重が入力された際に、屈曲部に設けられた脆弱部を変形起点として塑性変形が生じている状態を示す拡大縦断面図である。(C)塑性変形が進行し、荷重伝達部材の荷重受け部と、補強部材の縦壁部とが当接することで、荷重に対する反力が高まっている状態を示す拡大縦断面図である。
【図10】図10及び図11は、第2実施形態に係り、図10は、車両骨格部材の補強構造を示す拡大斜視図である。
【図11】サイドメンバの長手軸方向に荷重が入力された際に、屈曲部に設けられた脆弱部を変形起点として塑性変形が生じると共に、該塑性変形が進行し、荷重伝達部材の荷重受け部と、第2荷重伝達部材の荷重伝達端とが当接することで、荷重に対する反力が高まっている状態を示す拡大縦断面図である。
【図12】図12及び図13は、第3実施形態に係り、図12は、車両骨格部材の補強構造を示す拡大斜視図である。
【図13】サイドメンバの長手軸方向に荷重が入力された際に、屈曲部に設けられた脆弱部を変形起点として塑性変形が生じると共に、該塑性変形が進行し、荷重伝達部材の荷重受け部と第2荷重伝達部材の荷重伝達端とが当接して係合することで、荷重に対する反力が高まっている状態を示す拡大縦断面図である。
【図14】図14及び図15は、第4実施形態に係り、図14は、車両骨格部材の補強構造を示す拡大斜視図である。
【図15】サイドメンバの長手軸方向に荷重が入力された際に、屈曲部に設けられた脆弱部を変形起点として塑性変形が生じると共に、該塑性変形が進行し、荷重伝達部材の荷重受け部が補強部材の縦壁部に当接すると共に、該縦壁部に設けられた係合部と係合することで、荷重に対する反力が高まっている状態を示す拡大縦断面図である。
【図16】図16及び図17は、第5実施形態に係り、図16は、車両骨格部材の補強構造を示す拡大斜視図である。
【図17】サイドメンバの長手軸方向に荷重が入力された際に、屈曲部に設けられた脆弱部を変形起点として塑性変形が生じると共に、該塑性変形が進行し、荷重伝達部材の荷重受け部が、補強部材の縦壁部に設けられた貫通孔に嵌合して係合することで、荷重に対する反力が高まっている状態を示す拡大縦断面図である。
【符号の説明】
【0081】
10 サイドメンバ(車両骨格部材)
12 屈曲部
14 フロアパネル(車両骨格部材、壁部)
16 補強部材
16B 上段部
16C 下段部
16D 縦壁部(荷重伝達端)
16E 突起部(係合部)
16H 貫通孔(係合部)
18 荷重伝達部材
18A 荷重受け部
20 閉断面
21 車両
30 隙間
42 第2荷重伝達部材
42A 荷重伝達端
F 荷重
S1 車両骨格部材の補強構造
S2 車両骨格部材の補強構造
S3 車両骨格部材の補強構造
S4 車両骨格部材の補強構造
S5 車両骨格部材の補強構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉断面を有すると共に、長手軸方向からの荷重による塑性変形時に圧縮側部位となる壁部を有する車両骨格部材と、
前記閉断面内に固設され、前記壁部に沿った上段部と、該上段部に対して段差状に形成され該上段部よりも前記壁部から離間した下段部とを有する樹脂製の補強部材と、
前記閉断面内に固設され、該下段部と前記閉断面の前記壁部との間に配置される荷重受け部を有する荷重伝達部材と、
前記閉断面内に固設され、前記荷重受け部に対して前記長手軸方向に所定の隙間を持って対向配置される荷重伝達端と、
を有する車両骨格部材の補強構造。
【請求項2】
前記荷重伝達端は、前記補強部材のうち前記上段部と前記下段部との境界に設けられた縦壁部である請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造。
【請求項3】
前記縦壁部には、前記車両骨格部材の塑性変形時に、前記荷重伝達部材の前記荷重受け部と係合可能な係合部が設けられている請求項2に記載の車両骨格部材の補強構造。
【請求項4】
前記係合部は、前記縦壁部から前記荷重伝達部材側に突出して設けられた突起部であり、
前記車両骨格部材の塑性変形時に、前記荷重伝達部材の前記荷重受け部が、前記突起部と前記下段部との間に入り込んで係合可能とされた請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造。
【請求項5】
前記係合部として、前記車両骨格部材の塑性変形時に、前記荷重伝達部材の前記荷重受け部と嵌合可能な貫通孔が設けられている請求項3に記載の車両骨格部材の補強構造。
【請求項6】
前記荷重伝達端は、前記閉断面内の前記上段部側に固設された第2荷重伝達部材に設けられている請求項1に記載の車両骨格部材の補強構造。
【請求項7】
前記車両骨格部材の前記閉断面は、車両のフロアパネルと、該フロアパネルの車両下側に結合され車両前後方向に延びるサイドメンバとにより形成され、
前記補強部材は、前記サイドメンバの屈曲部に設けられている請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車両骨格部材の補強構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−64698(P2010−64698A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235077(P2008−235077)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(508036075)ゼフィロス インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】