説明

車両

【課題】走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することが可能な車両を提供する。
【解決手段】この車両(自動二輪車1)は、前輪5に舵角を付与する前輪操舵部材9と、後輪8に舵角を付与するとともに、後輪8に付与される舵角の大きさを走行する速度に応じて変化させる後輪操舵手段27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に関し、特に、前輪および後輪の両方を操舵することが可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、四輪車(車両)では、前輪だけでなく後輪も操舵する四輪操舵が実用化されている。また、二輪車(車両)においても、前輪だけでなく後輪も操舵する二輪操舵に関して、数多くの研究がなされている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、前輪の操舵角度(舵角)に応じて後輪も操舵する二輪車(車両)の後輪操舵装置(後輪操舵手段)が開示されている。この後輪操舵装置は、前輪を操舵する第1操舵軸(前輪操舵手段)と、第1操舵軸が回転するのに伴って前後方向に移動する第1タイロッドと、第1タイロッドが前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する第2タイロッドと、第2タイロッドが前後方向に移動するのに伴って回動するとともに、後輪を操舵するリアステアリングアームとを備えている。この上記特許文献1の二輪車の後輪操舵装置では、たとえば、第1操舵軸を右方向に回転させた際に、前輪が右方向に回動されるとともに、第1タイロッドが前方向に移動される。そして、第2タイロッドが前方向に移動されるとともに、リアステアリングアームが時計回りに回動されて、後輪が右方向に操舵される。すなわち、上記特許文献1の二輪車の後輪操舵装置は、前輪が一方側に操舵された際に、後輪も一方側に操舵されるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特公平7−25346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された構造では、後輪は、操舵された前輪の操舵角度(舵角)に対応した操舵角度が付与されるだけであり、後輪に二輪車(車両)の走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与するのが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することが可能な車両を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による車両は、前輪に舵角を付与する前輪操舵手段と、後輪に舵角を付与するとともに、後輪に付与される舵角の大きさを走行する速度に応じて変化させる後輪操舵手段とを備える。
【0008】
この一の局面による車両では、上記のように、前輪に舵角を付与する前輪操舵手段と、後輪に舵角を付与するとともに、後輪に付与される舵角の大きさを走行する速度に応じて変化させる後輪操舵手段とが設けられている。これにより、たとえば、直進性を向上させたい高速走行時には、前輪と後輪とを同じ方向に操舵することができる。また、車両を旋回させる低速走行時には、旋回性を向上させるために前輪と後輪とを異なる方向に操舵することができる。これにより、走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することができる。さらに、たとえば、高速走行時にレーンチェンジを行う場合には、前輪が付与された舵角の反対方向に後輪に舵角を付与するように構成することによって、走行軌跡を素早く変更することができる。
【0009】
上記一の局面による車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、前輪に付与された所定の舵角と後輪に付与された所定の舵角との比率を、走行する速度に応じて変化させるように構成されている。このように構成すれば、走行状態に応じた最適な舵角を、容易に、後輪に付与することができる。
【0010】
上記一の局面による車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、後輪に付与される舵角の大きさを走行する速度に応じて変化させる駆動源を含む。このように構成すれば、走行状態に応じた最適な舵角を、駆動源を用いて、容易に、後輪に付与することができる。
【0011】
この場合において、好ましくは、走行する速度を検出する車速センサと、車速センサにより検出された走行する速度に基づいて、駆動源の駆動量を算出するための演算部とをさらに備える。このように構成すれば、車速センサおよび演算部により、走行する速度に応じた最適な舵角を後輪に付与する際の駆動源の駆動量を容易に算出することができる。
【0012】
上記一の局面による車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角を付与するように構成されている。このように構成すれば、車両を旋回させる低速走行時に、旋回半径を十分に小さくすることができるので、旋回性を十分に向上させることができる。これにより、走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することができる。
【0013】
上記走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角が付与される車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、第1の速度から走行する速度が小さくなるのにしたがって、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪が付与される舵角が大きくなるように構成されている。このように構成すれば、走行する速度が第1の速度から小さくなるのにしたがって、旋回性を向上させていくことができるので、より走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することができる。
【0014】
上記走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角が付与される車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、走行する速度が第1の速度よりも大きい場合に、前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に後輪に対して舵角を付与するように構成されている。このように構成すれば、直進性を向上させたい高速走行時に、車両が前輪に付与された舵角の方向に傾くのを抑制することができるので、車両の重心が前輪に付与された舵角の方向に移動するのを抑制することができる。これにより、走行速度が高速である場合に、前輪に付与された舵角の方向にふらつくのを抑制することができるので、直進安定性を向上させることができる。
【0015】
上記走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角が付与される車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、走行する速度が第1の速度から大きくなるのにしたがって、前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に付与される後輪の舵角が大きくなるように構成されている。このように構成すれば、走行する速度が第1の速度より大きくなるのにしたがって、前輪に付与された舵角の方向に車両が傾くのを抑制することができるので、より走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することができる。
【0016】
上記走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角が付与される車両において、好ましくは、後輪が付与される舵角は、走行する速度が第1の速度よりも大きい第2の速度以上である場合に、前輪に所定の舵角が付与された方向と同じ方向の所定の舵角に維持されるように構成されている。このように構成すれば、後輪に付与される舵角が大きくなりすぎて、走行状態に応じた最適な舵角を後輪に付与することができなくなるのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による車両において、好ましくは、前輪を支持するとともに、前輪操舵手段が回動可能に取り付けられた前方フレームと、後輪を支持するとともに、前方フレームに前後方向に延びる軸線の回りに回動可能に取り付けられる後方フレームとをさらに備え、後輪操舵手段は、前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前後方向に揺動可能に取り付けられた揺動部材と、一方側が揺動部材に取り付けられるとともに、他方側が後方フレームに取り付けられている連結手段とを含む。このように構成すれば、前輪操舵手段が回動された際の回動力を、揺動部材および連結手段を介して後方フレームに伝達することができる。
【0018】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、揺動部材が前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前後方向に揺動されている場合に前輪操舵手段が操舵されるのに伴って、後輪に前輪に舵角が付与された方向と同じ方向、または、反対方向に舵角を付与するように構成されている。このように構成すれば、揺動部材を用いて、容易に、後輪に舵角を付与することができる。
【0019】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、揺動部材が前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前方に揺動された際に、前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に後輪に舵角を付与するとともに、揺動部材が前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して後方に揺動された際に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角を付与するように構成されている。このように構成すれば、揺動部材を前後方向に揺動させることによって、容易に、後輪に付与される舵角の方向を変更することができる。
【0020】
この場合において、好ましくは、連結手段は、連結手段の他方側が後方フレームに対して揺動するのに伴って、揺動部材を前後方向に揺動させるように構成されている。このように構成すれば、連結手段を揺動させることにより、容易に、揺動部材を前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前後方向に揺動させることができる。
【0021】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、後輪操舵手段は、一方側が連結手段に回動可能に取り付けられている接続部材と、接続部材の他方側が回動可能に取り付けられている回動レバーと、後方フレームに取り付けられ、駆動軸を中心に回動レバーを回動させるのに伴って接続部材を移動させるモータとをさらに含む。このように構成すれば、モータを駆動させることにより、回動レバーを回動させるとともに、接続部材を移動させて、連結部材を揺動させることができるので、モータの駆動力を用いて、容易に、揺動部材を前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前後方向に揺動させることができる。
【0022】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、前後方向に延びる軸線の延長線は、後輪と地面との接点近傍を通過する。このように構成すれば、前方フレームに対して後方フレームが回動する場合に、後輪は地面との接点近傍を中心に回動するので、後輪が地面に対して滑るのを抑制することができる。
【0023】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、前方フレームと後方フレームとの間に配置され、前方フレームと後方フレームとを互いに回動可能に支持する軸受部をさらに備える。このように構成すれば、軸受部により、後方フレームを前方フレームに対して前後方向に延びる軸線の回りにスムーズに回動させることができる。
【0024】
上記軸受を備える車両において、好ましくは、軸受部は、アンギュラ軸受である。このようなアンギュラ軸受を用いれば、前方フレームと後方フレームとの連結部分における前後方向に延びる軸線に沿った方向(スラスト方向)の剛性およびその前後方向に延びる軸線に垂直な方向(ラジアル方向)の剛性の両方を確保することができる。
【0025】
上記軸受がアンギュラ軸受である車両において、好ましくは、前方フレームは、ヘッドパイプを含み、ヘッドパイプは、ヘッドパイプから後方に突出するように形成され、前後方向に延びる軸線上に回動中心を有するとともに、アンギュラ軸受が取り付けられる外周面を有する第1軸受取付部を含み、後方フレームは、ヘッドパイプの第1軸受取付部に対向するように配置され、アンギュラ軸受が取り付けられる内周面を有する第2軸受取付部を含む。このように構成すれば、ヘッドパイプの第1軸受取付部および後方フレームの第2軸受取付部にアンギュラ軸受を取り付けることにより、後方フレームを前方フレームに対してより容易に回動させることができる。
【0026】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、前後方向に延びる軸線の延長線上以外の部分に重心が位置する。このように構成すれば、軸線に対して後方フレームを回動させることにより、容易に、重心を移動させることができる。
【0027】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、前後方向に延びる軸線は、前方フレームの後方の下方向に延びる。このように構成すれば、後方の下方向に延びる軸線の回りに後方フレームおよび後輪を回動することにより、容易に、後輪に舵角を付与することができる。
【0028】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、後方フレームが前方フレームに対して回動する角度を規制するための規制部材をさらに備える。このように構成すれば、後方フレームが前方フレームに対して回動しすぎるのを防止することができる。
【0029】
上記後輪操舵手段は揺動部材と連結手段とを含む車両において、好ましくは、前方フレームの前方に配置される前照灯をさらに備え、前照灯は、後方フレームに固定されている。このように構成すれば、前輪操舵手段に舵角が付与された場合にも、前照灯は後方フレームに対して固定されているので、車体の前方を照射することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。図2は、図1に示した第1実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。図3〜図12は、図1に示した第1実施形態による自動二輪車の構成を詳細に説明するための図である。なお、第1実施形態では、本発明の車両の一例として、自動二輪車について説明する。図中、FWDは、自動二輪車の走行方向の前方を示している。以下、図1〜図12を参照して、本発明の第1実施形態による自動二輪車の構造について詳細に説明する。
【0032】
本発明の第1実施形態による自動二輪車1では、図1に示すように、ヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3が配置されている。なお、ヘッドパイプ2は、本発明の「前方フレーム」の一例であり、メインフレーム3は、本発明の「後方フレーム」の一例である。また、メインフレーム3は、後方の下方向に延びるように形成されている。また、メインフレーム3には、シートレール(図示せず)が連結されている。これらのヘッドパイプ2、メインフレーム3およびシートレールによって、車体フレームが構成されている。
【0033】
また、ヘッドパイプ2の下方には、上下方向の衝撃を吸収するためのサスペンションを有する一対のフロントフォーク4が配置されている。この一対のフロントフォーク4の下部には、前輪5が回転可能に取り付けられている。また、前輪5には、自動二輪車1の走行する速度を検出する車速センサ6が配置されている。この車速センサ6は、後述する演算処理部28に接続されている。
【0034】
ここで、第1実施形態では、ヘッドパイプ2の後部の下部には、図2に示すように、後方の下方向に突出した円筒形状の接続軸部2aが一体的に形成されている。なお、接続軸部2aは、本発明の「第1軸受取付部」の一例である。また、メインフレーム3には、ヘッドパイプ2の接続軸部2aに挿入される貫通孔3aが設けられている。なお、貫通孔3aは、本発明の「第2軸受取付部」の一例である。また、ヘッドパイプ2の接続軸部2aの外周面とメインフレーム3の貫通孔3aの内周面との間には、アンギュラ軸受7が配置されている。これにより、ヘッドパイプ2は、接続軸部2aの前後方向に延びる中心線L1の回りに、メインフレーム3に対して回動することが可能となる。なお、ヘッドパイプ2の接続軸部2aの中心線L1は、本発明の「前後方向に延びる軸線」の一例であり、アンギュラ軸受7は、本発明の「軸受部」の一例である。また、アンギュラ軸受7は、その中心軸が、ヘッドパイプ2の接続軸部2aの前後方向に延びる中心線L1と実質的に同一になるように配置されている。また、前後方向に延びる中心線L1の延長線は、図1に示すように、後方の下方向(後方斜め下方向)に延びるとともに、後輪8と地面100との接点100a近傍を通過するように形成されている。また、運転者が乗車していない状態で、自動二輪車1の重心Gは、中心線L1の延長線よりも上側に配置されていることが望ましい。
【0035】
また、第1実施形態では、図2に示すように、ヘッドパイプ2の上部には、前輪操舵部材(ハンドル)9が配置されている。なお、前輪操舵部材9は、本発明の「前輪操舵手段」の一例である。この前輪操舵部材9は、ヘッドパイプ2の中心線L2を中心として回動可能に設けられている。なお、ヘッドパイプ2の中心線L2は、本発明の「前輪操舵手段の回動軸の軸線」の一例である。また、中心線L2は、図3に示すように、上方から見て、中心線L1上に配置されている。また、ヘッドパイプ2には、図2に示すように、ヘッドパイプ2の中心線L2を中心に回動する前輪操舵部材9の回動シャフト9aが回動可能に挿入されている。また、回動シャフト9aの下端部には、図2および図3に示すように、自動二輪車1の幅方向に平行で、かつ、中心線L2上にその中心軸が位置する取付穴部9bが形成されている。
【0036】
また、第1実施形態では、前輪操舵部材9の取付穴部9bには、揺動部材10が前輪操舵部材9に対して揺動可能に取り付けられている。また、揺動部材10の上部には、取付穴部10aが形成されており、取付穴部9bおよび取付穴部10aには、軸部材11が挿入されている。また、図3に示すように、軸部材11の中心軸L3は、取付穴部9bの中心軸と一致し、揺動部材10は、軸部材11の中心軸L3を中心に揺動するように構成されている。つまり、揺動部材10は、図4および図5に示すように、前輪操舵部材9の回動中心である中心線L2に対して軸部材11の回りに前後方向(A5方向およびB5方向)に揺動されるように構成されている。また、揺動部材10は、前輪操舵部材9の回動シャフト9aと共に中心線L2を中心に回動するように構成されている。これにより、揺動部材10が軸部材11の回りに中心線L2に対して前方向(A5方向)に揺動している際に、前輪操舵部材9を、中心線L2を中心に一方側に回動させた場合、揺動部材10の下端部を中心線L1よりも一方側(同方向側)に移動させることが可能となる。また、揺動部材10が軸部材11の回りに中心線L2に対して後方向(B5方向)に揺動している際に、前輪操舵部材9を、中心線L2を中心に一方側に回動させた場合、揺動部材10の下端部を中心線L1よりも他方側(他方向側)に移動することが可能となる。
【0037】
また、第1実施形態では、揺動部材10の下端部には、図2に示すように、前方連結部材12の前方部12aが揺動部材10の下端部に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、前方連結部材12の前方部12aには、ピロボール13が移動可能に取り付けられている。そして、ピロボール13の挿入孔には、ネジ部材14が挿入されているとともに、ネジ部材14は、揺動部材10の下端部に形成されているネジ取付穴10bに螺合されている。なお、前方連結部材12は、本発明の「連結手段」の一例である。また、前方連結部材12の後端部には、後方連結部材15の前端部が前方連結部材12の後端部に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、図3に示すように、前方連結部材12の後端部と後方連結部材15の前端部とには、それぞれ、軸受16が挿入されたベアリング取付部12bと軸挿入孔15aとが形成されており、軸受16と軸挿入孔15aとには、それぞれ、軸部材17が挿入されている。なお、後方連結部材15は、本発明の「連結手段」の一例である。
【0038】
また、第1実施形態では、後方連結部材15の後端部15bは、図2および図6に示すように、メインフレーム3に回動可能に取り付けられている。具体的には、図6に示すように、メインフレーム3と後方連結部材15の後端部15bとには、それぞれ、軸受18が挿入されたベアリング取付部3bと軸挿入孔15cとが形成されており、軸受18と軸挿入孔15cとには、それぞれ、軸部材19が挿入されている。また、後方連結部材15の略中間部分には、図2および図7に示すように、接続部材20が後方連結部材15に対して回動可能に取り付けられている。具体的には、接続部材20の一方側には、図7に示すように、ピロボール21が移動可能に取り付けられている。そして、ピロボール21の挿入孔には、ネジ部材22が挿入されているとともに、ネジ部材22は、後方連結部材15の略中間部分に形成されているネジ取付穴15dに螺合されている。
【0039】
また、第1実施形態では、接続部材20の他方側は、図2および図7に示すように、回動レバー部材23の一方側に回動可能に取り付けられている。具体的には、接続部材20の他方側には、図7に示すように、ピロボール24が移動可能に取り付けられている。そして、ピロボール24の挿入孔には、ネジ部材25が挿入されているとともに、ネジ部材25は、回動レバー部材23の一方側に形成されているネジ取付穴23aに螺合されている。なお、回動レバー部材23は、本発明の「回動レバー」の一例である。また、回動レバー部材23の他方側は、図2および図7に示すように、メインフレーム3に固定されているモータ26の駆動軸26aが嵌め込まれており、回動レバー部材23は、駆動軸26aが回動するのに伴って回動されるように構成されている。なお、揺動部材10、前方連結部材12、後方連結部材15、接続部材20、回動レバー部材23およびモータ26によって、後輪操舵手段27(図2参照)が構成されている。
【0040】
後輪操舵手段27を上記のように構成することによって、揺動部材10をA5方向またはB5方向に移動させることが可能となる。つまり、図4に示すように、モータ26の駆動軸26aがA1方向に回動するのに伴って回動レバー部材23がA1方向に回動した場合に、接続部材20は、矢印A2方向に移動されるように構成されている。これにより、後方連結部材15は、軸部材19の回りにA3方向に回動されるとともに、前方連結部12は、A4方向に移動されるように構成されている。これにより、揺動部材10は、軸部材11の回りに中心線L2に対して前方向(A5方向)に揺動される。また、図5に示すように、モータ26の駆動軸26aがB1方向に回動するのに伴って回動レバー部材23がB1方向に回動した場合に、接続部材20は、矢印B2方向に移動されるように構成されている。これにより、後方連結部材15は、軸部材19の回りにB3方向に回動されるとともに、前方連結部12は、B4方向に移動されるように構成されている。これにより、揺動部材10は、軸部材11の回りに中心線L2に対して前方向(B5方向)に揺動される。
【0041】
また、第1実施形態では、モータ26は、図1に示すように、演算処理部28に接続されている。また、演算処理部28は、車速センサ6に接続されており、車速センサ6により検知された自動二輪車1が走行する速度に基づいて駆動軸26aの回転量(駆動量)を算出するように構成されている。
【0042】
具体的には、演算処理部28は、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1(図8参照)よりも小さい場合に、モータ26の駆動軸26aがB1方向(図5参照)に回動されるように構成されている。また、演算処理部28は、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1(図8参照)から小さくなるのにしたがって、B1方向(図5参照)に回動されるモータ26の駆動軸26aの回転量が大きくなっていくように構成されている。また、演算処理部28は、自動二輪車1が走行する速度が所定の速度V0よりも小さい速度になった場合に、モータ26の駆動軸26aがB1方向(図5参照)に回動するのを停止するように構成されている。また、演算処理部28は、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1(図8参照)よりも大きい場合に、モータ26の駆動軸26aがA1方向(図4参照)に回動されるように構成されている。また、演算処理部28は、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1(図8参照)から大きくなるのにしたがって、A1方向(図4参照)に回動されるモータ26の駆動軸26aの回転量が大きくなっていくように構成されている。また、演算処理部28は、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1よりも大きい第2の速度V2(図8参照)になった場合に、モータ26の駆動軸26aがA1方向(図4参照)に回動するのを停止するように構成されている。
【0043】
ここで、第1実施形態では、後輪操舵手段27は、後輪8に付与される舵角の大きさを自動二輪車1が走行する速度に応じて変化させる機能を有する。具体的には、後輪操舵手段27は、前輪5に付与された所定の舵角と後輪8に付与された所定の舵角との比率(操舵比θ2/θ1および操舵比θ4/θ3)(図9および図11参照)を、自動二輪車1が走行する速度に応じて変化させるように構成されている。
【0044】
たとえば、図4に示すように、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1(図8参照)よりも大きい場合には、上記したように、揺動部材10は、A5方向に揺動されている。すなわち、揺動部材10に取り付けられているピロボール13の中心部13aは、中心線L2に対して所定の距離D1だけ前方向側に位置するように構成されている。そして、図9および図10に示すように、前輪操舵部材9を矢印R方向に回動した場合に、中心線L2に対して所定の距離D1(図4参照)だけ前方向側に位置するピロボール13の中心部13aも矢印R方向側に移動されるので、ピロボール13の中心部13aは、中心線L1よりも距離D2だけ矢印R方向側に位置するように構成されている。これにより、メインフレーム3を、中心線L1を中心にX1方向に回動させることが可能となるため、前輪5が矢印R方向側に回動した際の所定の舵角θ1に対応する矢印R方向側への所定の舵角θ2を後輪8に付与することが可能となる。
【0045】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27は、図8に示すように、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1から大きくなるのにしたがって、演算処理部28(図1参照)によって、A1方向(図4参照)に回動されるモータ26(図1参照)の駆動軸26aの回転量が大きくなっていくように構成されているため、前輪5(図1参照)に所定の舵角θ1が付与された方向と同じ方向に付与される後輪8(図1参照)の所定の舵角θ2が大きくなるように構成されている。すなわち、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1から大きくなるのにしたがって、前輪5に付与された所定の舵角と後輪8に付与された所定の舵角との比率(操舵比θ2/θ1)は、大きくなる。また、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1よりも大きい第2の速度V2になった場合に、演算処理部28(図1参照)によって、モータ26(図1参照)の駆動軸26aがA1方向(図4参照)に回動するのを停止するように構成されているため、前輪5(図1参照)に所定の舵角θ1が付与された方向と同じ方向の所定の舵角θ2に後輪8(図1参照)が維持されるように構成されている。すなわち、自動二輪車1が走行する速度が第2の速度V2よりも大きくなった場合には、前輪5に付与された所定の舵角と後輪8に付与された所定の舵角との比率(操舵比θ2/θ1)は、一定の比率で維持される。
【0046】
また、第1実施形態では、図5に示すように、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1(図8参照)よりも小さい場合には、上記したように、揺動部材10は、B5方向に揺動されている。すなわち、揺動部材10に取り付けられているピロボール13の中心部13aは、図5に示すように、中心線L2に対して所定の距離D3だけ後方向側に位置するように構成されている。そして、図11および図12に示すように、前輪操舵部材9を矢印R方向側に回動した場合に、中心線L2に対して所定の距離D3(図5参照)だけ後方向側に位置するピロボール13の中心部13aは、矢印L方向側に移動されるので、ピロボール13の中心部13aは、中心線L1よりも距離D4だけ矢印L方向側に位置するように構成されている。これにより、メインフレーム3を、中心線L1を中心にX2方向に回動させることが可能となるため、前輪5が矢印R方向側に回動した所定の舵角θ3に対応する矢印L方向への所定の舵角θ4を後輪8に付与することが可能となる。
【0047】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27は、図8に示すように、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1から小さくなるのにしたがって、演算処理部28(図1参照)によって、B1方向(図5参照)に回動されるモータ26(図1参照)の駆動軸26aの回転量が大きくなっていくように構成されているため、前輪5(図1参照)に所定の舵角θ3が付与された方向とは反対方向に付与される後輪8(図1参照)の所定の舵角θ4が大きくなるように構成されている。すなわち、自動二輪車1が走行する速度が第1の速度V1から小さくなるのにしたがって、前輪5に付与された所定の舵角と後輪8に付与された所定の舵角との比率(操舵比θ4/θ3)は、小さくなる。また、自動二輪車1が走行する速度が所定の速度V0よりも小さい速度になった場合に、演算処理部28(図1参照)によって、モータ26(図1参照)の駆動軸26aがB1方向(図5参照)に回動するのを停止するように構成されているため、前輪5(図1参照)に所定の舵角θ3が付与された方向とは反対方向の所定の舵角θ4に後輪8(図1参照)が維持されるように構成されている。すなわち、自動二輪車1が走行する速度が所定の速度V0よりも小さくなった場合には、前輪5に付与された所定の舵角と後輪8に付与された所定の舵角との比率(操舵比θ4/θ3)は、一定の比率で維持される。
【0048】
また、第1実施形態では、図7に示すように、メインフレーム3の前方およびヘッドパイプ2の後方には、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動しすぎるのを防止するための一対のストッパー29が設けられている。なお、ストッパー29は、本発明の「規制部材」の一例である。また、一対のストッパー29は、メインフレーム3が中心線L1の回りにヘッドパイプ2に対して時計回りまたは反時計回りに数度(10度未満)回動するとストッパー29に当接するように形成されている。
【0049】
また、ヘッドパイプ2の前方には、図1に示すように、前方を照射するヘッドライト30と、ヘッドパイプ2の前方を覆うフロントカウル31とが設けられている。なお、ヘッドライト30は、本発明の「前照灯」の一例である。また、ヘッドライト30とヘッドパイプ2との間には、フロントカウル31を支持するステー32が配置されている。このステー32の上側には、図示しない計器類などが取り付けられている。
【0050】
また、第1実施形態では、図2に示すように、ステー32は、メインフレーム3に固定されるとともに、ヘッドパイプ2の接続軸部2aの中心線L1を中心としてヘッドパイプ2に対して回動可能なようにヘッドパイプ2の支持部2bに支持されている。これにより、前輪操舵部材9に舵角が付与された場合にも、ヘッドライト30は、メインフレーム3に対して固定されているので、車体(メインフレーム3)の前方を照射することが可能となる。また、ステー32を、メインフレーム3に固定するとともに、ヘッドパイプ2の支持部2bにより回動可能に支持することによって、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動する場合に、ヘッドライト30を、容易に、ヘッドパイプ2に対して回動させることが可能となる。
【0051】
また、メインフレーム3の後方の下方向には、図1に示すように、エンジン33が取り付けられている。このエンジン33には、排気管(図示せず)が取り付けられている。この排気管は、マフラー34に連結されている。また、エンジン33の前方には、エンジン33を冷却するためのラジエータ35が設けられている。また、エンジン33とラジエータ35との間には、燃料タンク36が配置されている。
【0052】
また、メインフレーム3の後端部には、ピボット軸(図示せず)が設けられている。このピボット軸により、リヤアーム37の前端部が上下に揺動可能に支持されている。このリヤアーム37の後端部には、後輪8が回転可能に取り付けられている。つまり、後輪8は、リヤアーム37を介してメインフレーム3に取り付けられている。この後輪8は、垂直方向に対して傾斜することが可能なように、進行方向から見て、下面が円弧状の部分を有するいわゆるラウンドタイヤにより形成されている。また、前輪5も、後輪8と同様、ラウンドタイヤにより形成されている。また、メインフレーム3の上方には、シート38が配置されている。
【0053】
図13および図14は、図1に示した第1実施形態による自動二輪車の走行時の動作を説明するための平面図である。次に、図1、図4、図5および図8〜図14を参照して、本発明の第1実施形態による自動二輪車1の走行時の動作について説明する。
【0054】
通常、自動二輪車1が高速で走行される直進走行時には、運転者は、車体がふらつくことにより倒れようとするのを防止するために、前輪操舵部材9を操舵する。本発明の第1実施形態による自動二輪車1は、第1の速度V1(図8参照)よりも大きい速度で走行する高速走行時に、図13および図14に示した直進走行状態から、車体が右側に倒れるようにふらついて、図9および図10に示すように、前輪操舵部材9が右方向に操舵された場合、重心Gを、前輪操舵部材9の操舵方向側(右側)とは逆方向側(左側)に移動させる機能を有する。また、自動二輪車1は、前輪操舵部材9が右方向に操舵された場合、後輪8に右斜め方向の所定の舵角θ2(図9参照)が付与されて、車体が右側(矢印R方向側)に倒れるのを抑制する機能を有する。
【0055】
具体的には、自動二輪車1が第1の速度V1よりも大きい速度で走行していると前輪5に配置されている車速センサ6により検知された場合には、図1に示すように、車速センサ6に接続されている演算処理部28によって、モータ26の駆動軸26aがA1方向に回動される。これにより、図4に示すように、回動レバー部材23がA1方向に回動されて、接続部材20が矢印A2方向に移動される。そして、後方連結部材15が軸部材19の回りにA3方向に回動されるとともに、前方連結部12がA4方向に移動される。これにより、揺動部材10が軸部材11の回りに中心線L2に対して前方向(A5方向)に揺動される。すなわち、揺動部材10に取り付けられているピロボール13の中心部13aは、中心線L2に対して距離D1だけ前方向(A5方向)に移動される。なお、上記した自動二輪車1の動作は、自動二輪車1の走行中、前輪操舵部材9が前輪5に舵角を付与していない場合(直進している場合)にも行われる。
【0056】
そして、自動二輪車1が図4に示した後輪操舵手段27の状態で走行している際に、図13および図14に示した直進走行状態から、車体が右側(矢印R方向側)に倒れるようにふらついて、図9および図10に示すように、前輪操舵部材9が右方向(矢印R方向)に操舵された場合、揺動部材10に取り付けられているピロボール13の中心部13aは、進行方向(矢印FWD方向)に対して距離D2だけ右側(矢印R方向側)に移動される。この時、ピロボール13の中心部13aと共に前方連結部12および後方連結部13が右側(矢印R方向側)に移動される。これにより、メインフレーム3は、接続軸部2aの前後方向に延びる中心線L1を中心にX1方向に回動される。この時、中心線L1は、接続軸部2aから後方下側に延びるとともに、後輪8の接点100aを通過しているため、後輪8は、左側(矢印L方向側)に傾斜されるとともに右方向(矢印R方向)に舵角θ2が付与される。これにより、車体が右側(矢印R方向側)に倒れるのを抑制される。
【0057】
この場合、第1実施形態では、重心Gは、図1に示すように、中心線L1よりも上側に配置されているので、重心Gは、図9に示すように、中心線L1よりも左側に移動する。すなわち、重心Gは、前輪操舵部材9の操舵方向側(矢印R方向側)とは逆方向側(矢印L方向側)に移動する。これによっても、車体が右側(矢印R方向側)に倒れるのを抑制することが可能となる。これらの結果、比較的小さい舵角を付与するだけで、重心Gの移動および後輪8に舵角が付与されることにより、車体がふらついて倒れようとするのを抑制することが可能となる。これに対して、通常の自動二輪車において倒れるのを抑制するためには、重心Gを移動させにくいとともに、後輪にほとんど舵角が付与されないので、第1実施形態の自動二輪車1に比べて前輪操舵手段に、より大きい舵角を付与する必要がある。
【0058】
なお、この場合の後輪8の右斜め方向の舵角θ2は、前輪5の右斜め方向の舵角θ1よりも小さく、自動二輪車1の走行速度が第1の速度V1から第2の速度V2に達するまで、後輪8の右斜め方向の舵角θ2に対する前輪5の右斜め方向の舵角θ1の操舵比(θ2/θ1)は、大きくなるように構成されている。また、自動二輪車1の走行速度が第2の速度V2よりも大きい速度に達している場合には、後輪8の右斜め方向の舵角θ2に対する前輪5の右斜め方向の舵角θ1の操舵比(θ2/θ1)は、所定の比率で一定になるように構成されている。
【0059】
また、自動二輪車1を低速で走行させている際には、運転者は、車体を旋回させる場合など、前輪操舵部材9に大きい舵角を付与することがある。本発明の第1実施形態による自動二輪車1は、第1の速度V1よりも小さい速度で走行する低速走行時に、図13および図14に示した直進走行状態から、図11および図12に示すように、前輪操舵部材9が右方向に操舵された場合、重心Gを、前輪操舵部材9の操舵方向側(右側)に移動させる機能を有する。また、自動二輪車1は、後輪8に左斜め方向の舵角θ4(図11参照)が付与されて、車体の旋回性を向上させる機能を有する。
【0060】
具体的には、自動二輪車1が第1の速度V1よりも小さい速度で走行していると前輪5に配置されている車速センサ6により検知された場合には、図1に示すように、車速センサ6に接続されている演算処理部28によって、モータ26の駆動軸26aがB1方向に回動される。これにより、図5に示すように、回動レバー部材23がB1方向に回動されて、接続部材20が矢印B2方向に移動される。そして、後方連結部材15が軸部材19の回りにB3方向に回動されるとともに、前方連結部12がB4方向に移動される。これにより、揺動部材10が軸部材11の回りに中心線L2に対して後方向(B5方向)に揺動される。すなわち、揺動部材10に取り付けられているピロボール13の中心部13aは、中心線L2に対して距離D3だけ後方向(B5方向)に移動される。なお、上記した自動二輪車1の動作は、自動二輪車1の走行中、前輪操舵部材9が前輪5に舵角を付与していない場合(直進している場合)にも行われる。
【0061】
そして、自動二輪車1が図5に示した後輪操舵手段27の状態で走行している際に、図13および図14に示した直進走行状態から、図11および図12に示すように、前輪操舵部材9が右方向(矢印R方向)に操舵された場合、揺動部材10に取り付けられているピロボール13の中心部13aは、進行方向(矢印FWD方向)に対して距離D4だけ左側(矢印L方向側)に移動される。この時、ピロボール13の中心部13aと共に前方連結部12および後方連結部13が左側(矢印L方向側)に移動される。これにより、メインフレーム3は、接続軸部2aの前後方向に延びる中心線L1を中心にX2方向に回動される。この時、中心線L1は、接続軸部2aから後方下側に延びるとともに、後輪8の接点100aを通過しているため、後輪8は、右側(矢印R方向側)に傾斜されるとともに左方向(矢印L方向)に舵角θ4が付与される。これにより、前輪5の回転の中心軸C1と後輪8の回転の中心軸C2とが交わる角度を大きくすることが可能となるので、旋回半径を小さくすることが可能となる。すなわち、後輪8に舵角θ4とキャンバースラストが付加されて旋回半径が小さくなる。その結果、旋回性を向上させることが可能となる。
【0062】
この場合、第1実施形態では、重心Gは、図1に示すように、中心線L1よりも上側に配置されているので、重心Gは、図11に示すように、中心線L1よりも右側(矢印R方向側)に移動する。すなわち、重心Gは、前輪操舵部材9の操舵方向側(矢印R方向側)に移動する。これにより、車体を旋回する側(右側)に傾斜させやすくすることが可能となるので、旋回性を向上させることが可能となる。
【0063】
なお、この場合の後輪8の左斜め方向の舵角θ4は、前輪5の右斜め方向の舵角θ3よりも小さく、自動二輪車1の走行速度が第1の速度V1から所定の速度V0まで小さくなるのにしたがって、後輪8の左斜め方向の舵角θ4に対する前輪5の右斜め方向の舵角θ3の操舵比(θ4/θ3)は、小さくなるように構成されている。また、自動二輪車1の走行速度が第1の速度V1よりも小さい所定の速度V0よりも小さい場合には、後輪8の左斜め方向の舵角θ4に対する前輪5の右斜め方向の舵角θ3の操舵比(θ4/θ3)は、所定の比率で一定になるように構成されている。
【0064】
第1実施形態では、上記のように、前輪5に舵角を付与する前輪操舵部材9と、後輪8に舵角を付与するとともに、後輪8に付与される舵角の大きさを走行する速度に応じて変化させる後輪操舵手段27とを設けることによって、直進性を向上させたい高速走行時には、前輪5と後輪8とを同じ方向に操舵することができるとともに、自動二輪車1を旋回させる低速走行時には、旋回性を向上させるために前輪5と後輪8とを異なる方向に操舵することができる。これにより、走行状態に応じた最適な舵角を後輪8に付与することができる。
【0065】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27に、前輪5に付与された所定の舵角と後輪8に付与された所定の舵角との比率(操舵比θ2/θ1および操舵比θ4/θ3)を、走行する速度に応じて変化させるように構成することによって、走行状態に応じた最適な舵角を、容易に、後輪8に付与することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、走行する速度を検出する車速センサ6と、車速センサ6により検出された走行する速度に基づいて、モータ26の駆動軸26aの回転量を算出するための演算処理部28とを設けることによって、車速センサ6および演算処理部28により、走行する速度に応じた最適な舵角を後輪8に付与する際のモータ26の回転量(駆動量)を容易に算出することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27を、走行する速度が第1の速度V1よりも小さい場合に、前輪5に舵角θ3が付与された方向とは反対方向に後輪8に舵角θ4を付与するように構成することによって、自動二輪車1を旋回させる低速走行時に、旋回半径を十分に小さくすることができるので、旋回性を十分に向上させることができる。これにより、走行状態に応じた最適な舵角θ4を後輪8に付与することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27を、第1の速度V1から走行する速度が小さくなるのにしたがって、前輪5に舵角θ3が付与された方向とは反対方向に後輪8が付与される舵角θ4が大きくなるように構成することによって、走行する速度が第1の速度V1から小さくなるのにしたがって、旋回性を向上させていくことができるので、より走行状態に応じた最適な舵角θ4を後輪8に付与することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27を、走行する速度が第1の速度V1よりも大きい場合に、前輪5に舵角θ1が付与された方向と同じ方向に後輪8に対して舵角θ2を付与するように構成することによって、直進性を向上させたい高速走行時に、自動二輪車1が前輪5に付与された舵角θ1の方向に傾くのを抑制することができるので、自動二輪車1の重心Gが前輪5に付与された舵角θ1の方向に移動するのを抑制することができる。これにより、走行速度が高速である場合に、前輪5に付与された舵角θ1の方向にふらつくのを抑制することができるので、直進安定性を向上させることができる。
【0070】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27を、走行する速度が第1の速度V1から大きくなるのにしたがって、前輪5に舵角θ1が付与された方向と同じ方向に付与される後輪8の舵角θ2が大きくなるように構成することによって、走行する速度が第1の速度V1より大きくなるのにしたがって、前輪5に付与された舵角θ1の方向に自動二輪車1が傾くのを抑制することができるので、より走行状態に応じた最適な舵角θ2を後輪8に付与することができる。
【0071】
また、第1実施形態では、後輪8が付与される舵角θ2を、走行する速度が第1の速度V1よりも大きい第2の速度V2以上である場合に、前輪5に所定の舵角θ1が付与された方向と同じ方向の所定の舵角θ2に維持されるように構成することによって、後輪8に付与される舵角θ2が大きくなりすぎて、走行状態に応じた最適な舵角θ2を後輪8に付与することができなくなるのを抑制することができる。
【0072】
また、第1実施形態では、後輪操舵手段27に、前輪操舵部材9(ヘッドパイプ2)の中心線L2の軸線に対して前後方向に揺動可能に取り付けられた揺動部材10と、前方部12aが揺動部材10に取り付けられるとともに、後端部15bがメインフレーム3に取り付けられている前方連結部材12および後方連結部材15とを設けることによって、前輪操舵部材9が回動された際の回動力を、揺動部材10、前方連結部材12および後方連結部材15を介してメインフレーム3に伝達することができる。
【0073】
また、第1実施形態では、前後方向に延びる接続軸部2aの中心線L1の延長線を、後輪8と地面100との接点100a近傍を通過させることによって、ヘッドパイプ2に対してメインフレーム3が回動する場合、後輪8は地面100との接点100a近傍を中心に回動するので、後輪8が地面100に対して左右方向へ滑るのを抑制することができる。
【0074】
また、第1実施形態では、ヘッドパイプ2とメインフレーム3とを互いに回動可能に支持するアンギュラ軸受7を設けることによって、アンギュラ軸受7により、メインフレーム3をヘッドパイプ2に対して前後方向に延びる接続軸部2aの中心線L1の回りにスムーズに回動させることができる。また、アンギュラ軸受7を用いることによって、ヘッドパイプ2とメインフレーム3との連結部分における前後方向に延びる中心線L1に沿った方向(スラスト方向)の剛性およびその前後方向に延びる中心線L1に垂直な方向(ラジアル方向)の剛性の両方を確保することができる。
【0075】
また、第1実施形態では、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動する角度を規制するための一対のストッパー29を設けることによって、メインフレーム3がヘッドパイプ2に対して回動しすぎるのを防止することができる。
【0076】
(第2実施形態)
図15は、本発明の第2実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。図16および図17は、本発明の第2実施形態による自動二輪車の構成を詳細に説明するための図である。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、後輪操舵手段77の接続部材20が、回動レバー部材23ではなく歯車機構を用いて移動される例について説明する。
【0077】
この第2実施形態による自動二輪車の後輪操舵手段77では、図15および図16に示すように、その一方側が後方連結部材15に回動可能に取り付けられている接続部材20の他方側は、歯車部材73に回動可能に取り付けられている。具体的には、接続部材20の他方側には、図17に示すように、ピロボール74が移動可能に取り付けられている。そして、ピロボール74の挿入孔には、ネジ部材75が挿入されているとともに、ネジ部材75は、歯車部材73に形成されているネジ取付穴(図示せず)に螺合されている。この歯車部材73は、図15および図16に示すように、その一方側に取付穴部73aが形成されており、取付穴部73aを中心に回動可能にメインフレーム53に取り付けられている。また、歯車部材73の他方側には、歯車部73bが回動可能に形成されている。また、歯車部73bには、ウォーム76bが噛合されている。このウォーム76bは、メインフレーム53に固定されているモータ76の駆動軸76aに嵌め込まれており、駆動軸76aが回転するのに伴って回転されるように構成されている。なお、歯車部材73およびウォーム76bによって歯車機構が構成されている。
【0078】
また、第2実施形態では、図16に示すように、後輪操舵手段77に歯車機構を用いることによって、前方連結部材12および後方連結部材15を介して揺動部材10を揺動させることが可能となる。具体的には、モータ76の駆動軸76aがC0方向に回転するのに伴ってウォーム76bがC0方向に回転した場合に、歯車部材73は、取付穴部73aを中心としてC1方向に回動されるように構成されている。これにより、接続部材20をC2方向に移動させることが可能となる。これにより、後方連結部材15を回動させることが可能となるので、前方連結部材12を介して揺動部材10を回動させることが可能となる。また、モータ76の駆動軸76aがE0方向に回転するのに伴ってウォーム76bがE0方向に回転した場合に、歯車部材73は、取付穴部73aを中心としてE1方向に回動されるように構成されている。これにより、接続部材20をE2方向に移動させることが可能となる。これにより、後方連結部材15を回動させることが可能となるので、前方連結部材12を介して揺動部材10を回動させることが可能となる。
【0079】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
次に、図8、図16を参照して、本発明の第2実施形態による自動二輪車の走行時の動作について説明する。
【0081】
本発明の第2実施形態による自動二輪車では、図16に示すように、第1の速度V1(図8参照)よりも大きい速度で走行していると前輪5に配置されている車速センサ6により検知された場合には、車速センサ6に接続されている演算処理部28によって、モータ76の駆動軸76aがE0方向に回転される。そして、駆動軸76aがE0方向に回転されるのに伴ってウォーム76bがE0方向に回転される。これにより、歯車部材73が取付穴部73aを中心にE1方向に回動されて、接続部材20が矢印E2方向に移動される。
【0082】
また、第1の速度V1(図8参照)よりも小さい速度で走行していると前輪5に配置されている車速センサ6により検知された場合には、車速センサ6に接続されている演算処理部28によって、モータ76の駆動軸76aがC0方向に回転される。そして、駆動軸76aがC0方向に回転されるのに伴ってウォーム76bがC0方向に回転される。これにより、歯車部材73が取付穴部73aを中心にC1方向に回動されて、接続部材20が矢印C2方向に移動される。
【0083】
なお、第2実施形態のその他の動作は、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0085】
たとえば、上記実施形態では、車両の一例として自動二輪車を示したが、本発明はこれに限らず、前方フレームおよび後方フレームを備えた車両であれば、自転車、三輪車、ATV(All Terrain Vehicle;不整地走行車両)などの他の車両にも適用可能である。
【0086】
また、上記実施形態では、走行する速度が第1の速度よりも大きい場合に、前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に後輪に舵角を付与した例を示したが、本発明はこれに限らず、走行する速度が第1の速度よりも大きい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角を付与するようにしてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に後輪に舵角を付与した例を示したが、本発明はこれに限らず、走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に後輪に舵角を付与するようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ヘッドパイプとメインフレームとを互いに回動可能に支持するためにアンギュラ軸受を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、ヘッドパイプとメインフレームとを互いに回動可能に支持するためにテーパーローラ軸受などの他の軸受を用いてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、ヘッドパイプの軸部の中心線L1を後方の下方向に延びるとともに、後輪と地面との接点近傍を通過するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、ヘッドパイプの軸部の中心線L1を後方の下方向に延びるとともに、後輪と地面との接点近傍を通過しないように構成してもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、接続部材20を後方連結部材15に回動可能に取り付けることにより、前方連結部材12を介して揺動部材10にモータ26の駆動力が伝達されて、揺動部材10が前輪操舵部材9の回動軸の中心線L2の前後方向(A5方向およびB5方向)に揺動された例を示したが、本発明はこれに限らず、図18に示した第1実施形態の変形例による自動二輪車の後輪操舵手段127のように、接続部材120を揺動部材110に直接接続することによって、モータ126の駆動力を揺動部材110に伝達するようにしてもよい。この変形例による自動二輪車では、図18に示すように、ヘッドパイプ102の前側には、前方に突出するように平板状のブラケット102cが形成されている。また、ブラケット102cには、モータ126が固定されている。このモータ126の駆動軸126aには、回動レバー部材123が嵌め込まれている。また、回動レバー部材123には、接続部材120の一方側が回動可能に取り付けられており、接続部材120は、回動レバー部材123が回動することによって、F1方向およびH1方向に移動されるように構成されている。また、接続部材120の他方側は、揺動部材110の前方部に移動可能に取り付けられている。具体的には、揺動部材110の前方部には、ピロボール121が回動可能に取り付けられている。そして、ピロボール121の挿入孔には、ネジ部材122が挿入されているとともに、ネジ部材122は、揺動部材110の前方ネジ取付穴110cに螺合されている。これにより、揺動部材110は、F2方向およびH2方向に揺動されるように構成されている。すなわち、モータ126の駆動力を揺動部材110に伝達することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1実施形態による自動二輪車の全体構造を示した側面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。
【図3】図2の矢印P方向から見た図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による自動二輪車の揺動部材が前輪操舵部材の回動軸の中心線に対して前方に揺動した際のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による自動二輪車の揺動部材が前輪操舵部材の回動軸の中心線に対して後方に揺動した際のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。
【図6】図2の矢印Q方向から見た図である。
【図7】図2の矢印S方向から見た図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による自動二輪車の走行する速度と前輪に付与された所定の舵角および後輪に付与された所定の舵角の操舵比との関係を表したグラフである。
【図9】図1に示した第1実施形態による自動二輪車が第1の速度より大きい速度で走行している際に前輪操舵部材が右側に操舵された状態を示した平面図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による自動二輪車が第1の速度より大きい速度で走行している際に前輪操舵部材が右側に操舵された状態を示した平面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による自動二輪車が第1の速度より小さい速度で走行している際に前輪操舵部材が右側に操舵された状態を示した平面図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による自動二輪車が第1の速度より小さい速度で走行している際に前輪操舵部材が右側に操舵された状態を示した平面図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による自動二輪車の直進状態を示した平面図である。
【図14】図1に示した第1実施形態による自動二輪車の直進状態を示した平面図である。
【図15】本発明の第2実施形態による自動二輪車のヘッドパイプ周辺を拡大した側面図である。
【図16】本発明の第2実施形態による自動二輪車の構成を詳細に説明するための側面図である。
【図17】図15の矢印Y方向から見た図である。
【図18】本発明の第1実施形態の変形例による自動二輪車のヘッドパイプ周辺の側面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 自動二輪車(車両)
2、102 ヘッドパイプ(前方フレーム)
2a 接続軸部(第1軸受取付部)
3、53 メインフレーム(後方フレーム)
3a 貫通孔(第2軸受取付部)
5 前輪
6 車速センサ
7 アンギュラ軸受(軸受部)
8 後輪
9 前輪操舵部材(前輪操舵手段)
10、110 揺動部材
12 前方連結部材(連結手段)
15 後方連結部材(連結手段)
20 接続部材
23、123 回動レバー部材(回動レバー)
26、76、126 モータ(駆動源)
26a、76a、126a 駆動軸
27、77、127 後輪操舵手段
28 演算処理部(演算部)
29 ストッパー(規制部材)
30 ヘッドライト(前照灯)
100 地面
100a 接点
G 重心
L1 中心線(軸線)
L2 中心線(回動軸)
V1 第1の速度
V2 第2の速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪に舵角を付与する前輪操舵手段と、
後輪に舵角を付与するとともに、前記後輪に付与される舵角の大きさを走行する速度に応じて変化させる後輪操舵手段とを備える、車両。
【請求項2】
前記後輪操舵手段は、前記前輪に付与された所定の舵角と前記後輪に付与された所定の舵角との比率を、前記走行する速度に応じて変化させるように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記後輪操舵手段は、前記後輪に付与される舵角の大きさを前記走行する速度に応じて変化させる駆動源を含む、請求項1に記載の車両。
【請求項4】
前記走行する速度を検出する車速センサと、
前記車速センサにより検出された前記走行する速度に基づいて、前記駆動源の駆動量を算出するための演算部とをさらに備える、請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記後輪操舵手段は、前記走行する速度が第1の速度よりも小さい場合に、前記前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に前記後輪に舵角を付与するように構成されている、請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記後輪操舵手段は、前記第1の速度から前記走行する速度が小さくなるのにしたがって、前記前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に前記後輪が付与される舵角が大きくなるように構成されている、請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記後輪操舵手段は、前記走行する速度が前記第1の速度よりも大きい場合に、前記前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に前記後輪に対して舵角を付与するように構成されている、請求項5に記載の車両。
【請求項8】
前記後輪操舵手段は、前記走行する速度が前記第1の速度から大きくなるのにしたがって、前記前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に付与される前記後輪の舵角が大きくなるように構成されている、請求項5に記載の車両。
【請求項9】
前記後輪が付与される舵角は、前記走行する速度が前記第1の速度よりも大きい第2の速度以上である場合に、前記前輪に所定の舵角が付与された方向と同じ方向の所定の舵角に維持されるように構成されている、請求項5に記載の車両。
【請求項10】
前記前輪を支持するとともに、前記前輪操舵手段が回動可能に取り付けられた前方フレームと、
前記後輪を支持するとともに、前記前方フレームに前後方向に延びる軸線の回りに回動可能に取り付けられる後方フレームとをさらに備え、
前記後輪操舵手段は、
前記前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前後方向に揺動可能に取り付けられた揺動部材と、
一方側が前記揺動部材に取り付けられるとともに、他方側が前記後方フレームに取り付けられている連結手段とを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記後輪操舵手段は、前記揺動部材が前記前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前後方向に揺動されている場合に前記前輪操舵手段が操舵されるのに伴って、前記後輪に前記前輪に舵角が付与された方向と同じ方向、または、反対方向に舵角を付与するように構成されている、請求項10に記載の車両。
【請求項12】
前記後輪操舵手段は、前記揺動部材が前記前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して前方に揺動された際に、前記前輪に舵角が付与された方向と同じ方向に前記後輪に舵角を付与するとともに、前記揺動部材が前記前輪操舵手段の回動軸の軸線に対して後方に揺動された際に、前記前輪に舵角が付与された方向とは反対方向に前記後輪に舵角を付与するように構成されている、請求項10に記載の車両。
【請求項13】
前記連結手段は、前記連結手段の他方側が前記後方フレームに対して揺動するのに伴って、前記揺動部材を前記前後方向に揺動させるように構成されている、請求項12に記載の車両。
【請求項14】
前記後輪操舵手段は、
一方側が前記連結手段に回動可能に取り付けられている接続部材と、
前記接続部材の他方側が回動可能に取り付けられている回動レバーと、
前記後方フレームに取り付けられ、駆動軸を中心に前記回動レバーを回動させるのに伴って前記接続部材を移動させるモータとをさらに含む、請求項10に記載の車両。
【請求項15】
前記前後方向に延びる軸線の延長線は、前記後輪と地面との接点近傍を通過する、請求項10に記載の車両。
【請求項16】
前記前方フレームと前記後方フレームとの間に配置され、前記前方フレームと前記後方フレームとを互いに回動可能に支持する軸受部をさらに備える、請求項10に記載の車両。
【請求項17】
前記軸受部は、アンギュラ軸受である、請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記前方フレームは、ヘッドパイプを含み、
前記ヘッドパイプは、前記ヘッドパイプから後方に突出するように形成され、前記前後方向に延びる軸線上に回動中心を有するとともに、前記アンギュラ軸受が取り付けられる外周面を有する第1軸受取付部を含み、
前記後方フレームは、前記ヘッドパイプの第1軸受取付部に対向するように配置され、前記アンギュラ軸受が取り付けられる内周面を有する第2軸受取付部を含む、請求項17に記載の車両。
【請求項19】
前記前後方向に延びる軸線の延長線上以外の部分に重心が位置する、請求項10に記載の車両。
【請求項20】
前記前後方向に延びる軸線は、前記前方フレームの後方の下方向に延びる、請求項10に記載の車両。
【請求項21】
前記後方フレームが前記前方フレームに対して回動する角度を規制するための規制部材をさらに備える、請求項10に記載の車両。
【請求項22】
前記前方フレームの前方に配置される前照灯をさらに備え、
前記前照灯は、前記後方フレームに固定されている、請求項10に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−260316(P2008−260316A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102380(P2007−102380)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】