説明

車両

【課題】車両において、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保する。
【解決手段】車筐11上に支持部17により砲塔18を水平回転自在に支持する一方、車筐11の下部にサブフレーム20を固定し、このサブフレーム20に水平方向に沿った車軸24を回転自在に支持し、この車軸24の両端部に左右の車輪25を装着して構成し、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材31を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車筐上に砲塔が回転自在に支持される一方、前記車筐の下部にサブフレームを介して左右の車輪が装着された車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な特殊車両は、メインフレームの下部に設けられた駆動ローラ、アイドラ、トラックリンクなどからなる左右一対の走行装置によって走行自在となっており、この走行装置はメインフレーム内に搭載されたエンジンの駆動力によって駆動走行することができる。このメインフレームの上部には砲塔が水平に旋回自在に設けられており、この砲塔に砲身が上下に揺動自在に設けられている。
【0003】
ところで、このような上部に砲塔を装備した特殊車両では、山岳地帯だけでなく、コンクリート舗装路やアスファルト舗装路などの市街地においても、十分な走行機動性能が求められる。そのため、走行装置として、一般的な車両と同様に、複数の車輪を適用している。
【0004】
このような装輪特殊車両としては、一体ボディ構造(モノコック構造)、サブフレーム付き構造、シャーシフレーム構造が考えられる。一体ボディ構造は、前後車軸間にわたって連結したサブフレームを持たず、エンジン前部の支持及びサスペンションの一部を支持するメンバーを有する構造である。基本的に、応力をボディ全体に分散して受け持つことで、曲げやねじり剛性に優れることから車両重量を低減できる一方、衝突などにより大きく変形した場合には復元が困難であり、振動や騒音が車室内に侵入しやすい。
【0005】
サブフレーム付き構造は、モノコック構造のボディにフレームを組み付けた構造であり、両者が結合されることで十分な強度や剛性を得ることができ、エンジンや変速機などの動力駆動系及びサスペンションはすべてフレームに結合されており、路面からの入力が直接ボディに伝わらないために防振や防音に優れると共に、衝突時の衝撃をフレームに分担できるため、強度上に優れている一方、コストが高くなるために小型車には向かない。
【0006】
シャーシフレーム構造は、車両にかかる応力の大部分をフレームにて受け持ち、ボディは自身の剛性のみを確保できる程度に設計されており、トラックやバンタイプに適用されている。この場合、ボディにさほど応力が作用しないため、形状や材質を自由に選択できる一方、フレームのみで強度を持たせる構造であるため、重量が比較的重くなる。
【0007】
このような特殊車両の構造としては、下記特許文献に記載されたものがある。
【0008】
【特許文献1】特開平10−238996号公報
【特許文献2】特開2006−137408号公報
【特許文献3】特許第3172474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特殊車両は、一般的な車両と異なり、車体の上部に重量物である砲塔を有する一方で、走行機動性能を求められており、車体をより軽量な構造とする必要がある一方で、重量物である砲塔を十分に支持する構造が求められる。
【0010】
本発明は上述した課題を解決するものであり、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することのできる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための請求項1の発明の車両は、車筐上に支持部により砲塔が水平回転自在に支持される一方、前記車筐の下部にサブフレームが固定され、該サブフレームに水平方向に沿った車軸が回転自在に支持され、該車軸の両端部に左右の車輪が装着された車両において、前記車筐における前記支持部の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材が設けられることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の発明の車両では、前記第1補強部材は、前記支持部の両側に複数設けられることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明の車両では、前記第1補強部材は、前記車筐の上壁部と側壁部と下壁部に固定されることを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明の車両では、前記左右の車輪は左右のサスペンション装置により前記車筐に支持され、該車筐における前記左右のサスペンション装置の間に第2補強部材が設けられることを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明の車両では、前記第2補強部材はU字形状をなし、左右の側部が前記サスペンション装置の支持ブラケットに固定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明の車両によれば、車筐上に支持部により砲塔を水平回転自在に支持する一方、車筐の下部にサブフレームを固定し、このサブフレームに水平方向に沿った車軸を回転自在に支持し、この車軸の両端部に左右の車輪を装着して構成し、車筐における支持部の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材を設けるので、サブフレーム付ボディ構造とすることで、重量を低減することができる一方で、車両強度を向上することができ、第1補強部材を設けることで、車筐の強度を上げて砲塔の荷重及び反力を適正に受け止めることができ、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することができる。
【0017】
請求項2の発明の車両によれば、第1補強部材を支持部の両側に複数設けるので、第1補強部材により砲塔の荷重及び反力を支持部の周方向で分配して受け止めることとなり、荷重伝達経路を分散させることで、モノコック構造の効果を高めることができる。
【0018】
請求項3の発明の車両によれば、第1補強部材を車筐の上壁部と側壁部と下壁部に固定するので、第1補強部材と車筐とを複数位置で連結することで、車筐の強度がさらに向上し、砲塔の荷重及び反力を効率的に受け止めることができる。
【0019】
請求項4の発明の車両によれば、左右の車輪を左右のサスペンション装置により車筐に支持し、車筐における左右のサスペンション装置の間に第2補強部材を設けるので、車輪からサスペンション装置を介して車筐に作用する応力を第2補強部材が受け止めることで、車筐の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができる。
【0020】
請求項5の発明の車両によれば、第2補強部材をU字形状とし、左右の側部をサスペンション装置の支持ブラケットに固定するので、車筐とサスペンション装置と第2補強部材とを連結することで、車筐自体の剛性を向上することができ、第2補強部材をU字形状とすることで、車筐の曲げ剛性及びねじり剛性を効果的に向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る車両を表す側面図、図2は、実施例1の車両を表す平面図、図3は、実施例1の車両を表す縦断面図である。
【0023】
実施例1の車両において、図1乃至図3に示すように、車筐11は、モノコックボディ構造をなし、上壁部12と左右の側壁部13と左右の下壁部14と中央の支持壁部15を有している。上壁部12は、ほぼ水平をなし、その中央部に円形をなす開口部16が形成されている。そして、この車筐11における上壁部12の開口部16に支持部17を介して砲塔18が水平回転自在に支持されている。この砲塔18には、水平に延びて傾斜角度を変更可能な砲身19が装着されている。
【0024】
車筐11にて、上壁部12の左右両側には、左右の側壁部13が一体に形成され、この左右の側壁部13に左右の下壁部14が一体に形成されている。この左右の下壁部14には、中央の支持壁部15が一体に形成されている。そして、車筐11の支持壁部15に前後方向に沿ってサブフレーム20が固定されている。
【0025】
サブフレーム20は、前後に4つの支持部21を有し、この各支持部21にデファレンシャルギア22を介して左右の水平方向に沿ったドライブシャフト23が回転自在に支持され、このドライブシャフト23の各端部に左右の車軸24を介して車輪25が装着されている。また、サブフレーム20と車軸24とは懸架アーム26により連結されている。更に、車筐11には、エンジン及び変速機からなる駆動装置27が搭載されており、図示しないプロペラシャフトを介してデファレンシャルギア22と連結されている。この場合、車筐11の支持壁部15とデファレンシャルギア22との間にゴム製のマウント30を介装することで、防振及び防音性を確保している。
【0026】
また、車筐11の両側には、8つの車輪25に対応してストラットタワー28がそれぞれ固定されており、このストラットタワー28にサスペンション装置29が装着されている。このサスペンション装置29は、ショックアブソーバ及びコイルスプリングから構成されており、下端部が車軸24に連結されている。なお、図示しないが、各車輪25は、操舵可能となっている。
【0027】
このように構成された本実施例の車両にて、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材31が設けられている。この第1補強部材31は、支持部17の両側に複数(本実施例では、2個)設けられており、図2に詳細に示すように、砲塔18(支持部17)における車筐11の前後方向の長さを4等分した中間位置に設けられている。具体的に、第1補強部材31は、平板形状をなし、直立した状態で、車筐11の上壁部12と側壁部13と下壁部14の内面にほぼ直角をなして固定されている。
【0028】
従って、車筐11及び複数の第1補強部材31は、砲塔18の重量を周方向でほぼ均等に分配した状態で支持することができる。また、複数の第1補強部材31により車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性が高くなることで、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に分散して受け止めることができる。
【0029】
このように実施例1の車両にあっては、車筐11上に支持部17により砲塔18を水平回転自在に支持する一方、車筐11の下部にサブフレーム20を固定し、このサブフレーム20に水平方向に沿った車軸24を回転自在に支持し、この車軸24の両端部に左右の車輪25を装着して構成し、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材31を設けている。
【0030】
従って、車筐11にサブフレーム20を固定したボディ構造とすることで、重量を低減することができる一方で、車両強度を向上することができ、第1補強部材31を設けることで、車筐11の強度を上げて砲塔18の荷重及び反力を適正に受け止めることができ、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することができる。
【0031】
また、実施例1の車両では、第1補強部材31を支持部17の両側に複数設けている。従って、複数の第1補強部材31により砲塔18の荷重及び反力を支持部17の周方向で分配して受け止めることとなり、荷重伝達経路を分散させることで、モノコック構造の効果を高めることができる。
【0032】
また、実施例1の車両では、第1補強部材31を車筐11の上壁部12と側壁部13と下壁部14に固定している。従って、第1補強部材31と車筐11とを複数位置で連結することで、車筐11の強度がさらに向上し、砲塔18の荷重及び反力を効率的に受け止めることができる。
【実施例2】
【0033】
図4は、本発明の実施例2に係る車両を表す平面図、図5は、実施例2の車両を表す縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0034】
実施例2の車両において、図4及び図5に示すように、車筐11は、モノコックボディ構造をなし、上壁部12と左右の側壁部13と左右の下壁部14と中央の支持壁部15を有している。車筐11の上壁部12には、支持部17を介して砲塔18が水平回転自在に支持されており、この砲塔18に砲身19が装着されている。一方、車筐11は、支持壁部15に前後方向に沿ってサブフレーム20が固定されており、このサブフレーム20にマウント30を介してデファレンシャルギア22が固定され、このデファレンシャルギア22にドライブシャフト23が連結され、このドライブシャフト23に左右の車軸24を介して車輪25が装着されている。
【0035】
また、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材32が設けられている。この第1補強部材32は、支持部17の両側に複数設けられており、砲塔18(支持部17)における車筐11の前後方向の長さを4等分した中間位置に設けられている。具体的に、第1補強部材32は、2枚の平板をほぼ直角に連結することで、T型断面形状をなし、直立した状態で、車筐11の上壁部12と側壁部13と下壁部14の内面に固定されている。
【0036】
従って、車筐11及び複数の第1補強部材32は、砲塔18の重量を周方向でほぼ均等に分配した状態で支持することができる。また、複数の第1補強部材32により車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性が高くなることで、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に分散して受け止めることができる。
【0037】
このように実施例2の車両にあっては、車筐11上に支持部17により砲塔18を水平回転自在に支持する一方、車筐11の下部にサブフレーム20を固定し、このサブフレーム20に水平方向に沿った車軸24を回転自在に支持し、この車軸24の両端部に左右の車輪25を装着して構成し、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止めるT型断面形状をなす第1補強部材32を設けている。
【0038】
従って、車筐11にサブフレーム20を固定したボディ構造とすることで、重量を低減することができる一方で、車両強度を向上することができ、第1補強部材32を設けることで、車筐11の強度を上げて砲塔18の荷重及び反力を適正に受け止めることができ、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することができる。この場合、第1補強部材32をT型断面形状とすることで、車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性をより一層高めることができ、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に受け止め、車筐の変形を抑制することができる。
【実施例3】
【0039】
図6は、本発明の実施例3に係る車両を表す平面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0040】
実施例3の車両において、図6に示すように、車筐11は、モノコックボディ構造をなし、この車筐11には、支持部17を介して砲塔18が水平回転自在に支持されており、この砲塔18に砲身19が装着されている。また、車筐11の下部には、前後方向に沿ってサブフレーム20が固定されており、このサブフレーム20に車軸24を介して車輪25が装着されている。
【0041】
また、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材33が設けられている。この第1補強部材33は、支持部17の両側に複数設けられており、砲塔18(支持部17)における車筐11の前後方向の長さを4等分した中間位置に設けられている。具体的に、第1補強部材33は、2枚の平板をほぼ直角に連結することで、L型断面形状をなし、直立した状態で、車筐11の内面に固定されている。この場合、L型断面形状をなす第1補強部材33は、支持部17に干渉しないようにその周囲に配置している。
【0042】
従って、車筐11及び複数の第1補強部材33は、砲塔18の重量を周方向でほぼ均等に分配した状態で支持することができる。また、複数の第1補強部材33により車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性が高くなることで、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に分散して受け止めることができる。
【0043】
このように実施例3の車両にあっては、車筐11上に支持部17により砲塔18を水平回転自在に支持する一方、車筐11の下部にサブフレーム20を固定し、このサブフレーム20に水平方向に沿った車軸24を回転自在に支持し、この車軸24の両端部に左右の車輪25を装着して構成し、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止めるL型断面形状をなす第1補強部材33を設けている。
【0044】
従って、車筐11にサブフレーム20を固定したボディ構造とすることで、重量を低減することができる一方で、車両強度を向上することができ、第1補強部材33を設けることで、車筐11の強度を上げて砲塔18の荷重及び反力を適正に受け止めることができ、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することができる。この場合、第1補強部材33をL型断面形状とすることで、車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性をより一層高めることができ、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に受け止め、車筐の変形を抑制することができる。更に、第1補強部材33をL型断面形状とすることで、砲塔18の支持部17に干渉することなく配置することができ、設計の自由度を広げることができる。
【0045】
なお、上述した実施例1〜3では、第1補強部材31,32,33を、平板形状、T型断面形状、L型断面形状としたが、これらの形状に限定されるものではなく、円筒や各筒などのボックス形状などとしてもよい。
【実施例4】
【0046】
図7は、本発明の実施例4に係る車両を表す側面図、図8は、実施例4の車両を表す縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0047】
実施例4の車両において、図7及び図8に示すように、車筐11は、モノコックボディ構造をなし、上壁部12と左右の側壁部13と左右の下壁部14と中央の支持壁部15を有している。車筐11の上壁部12には、支持部17を介して砲塔18が水平回転自在に支持されており、この砲塔18に砲身19が装着されている。一方、車筐11は、支持壁部15に前後方向に沿ってサブフレーム20が固定されており、このサブフレーム20にマウント30を介してデファレンシャルギア22が固定され、このデファレンシャルギア22にドライブシャフト23が連結され、このドライブシャフト23に左右の車軸24を介して車輪25が装着されている。また、車筐11の両側には、8つの車輪25に対応してストラットタワー28が固定されており、このストラットタワー28にサスペンション装置29が装着されている。
【0048】
そして、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材31が設けられている。また、車筐11における左右のサスペンション装置29の間に第2補強部材41が設けられている。この第2補強部材41は、左右のサスペンション装置29の間に、前後方向に沿って4つ設けられている。具体的に、第2補強部材41は、U字形状をなし、下部が車筐11の支持壁部15に固定され、左右の側部がサスペンション装置29のストラットタワー(支持ブラケット)28に固定されている。
【0049】
従って、車筐11及び複数の第1補強部材31は、砲塔18の重量を周方向でほぼ均等に分配した状態で支持することができる。また、この第1補強部材31及び第2補強部材41により車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性が高くなることで、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に分散して受け止めることができる。更に、車両の落下や路面の凹凸などの走行時に車輪25からサスペンション装置29を介して車筐11に入力する突き上げ荷重及び突き下げ荷重を、第2補強部材41により適正に受け止めることができる。
【0050】
このように実施例4の車両にあっては、車筐11上に支持部17により砲塔18を水平回転自在に支持する一方、車筐11の下部にサブフレーム20を固定し、このサブフレーム20に水平方向に沿った車軸24を回転自在に支持し、この車軸24の両端部に左右の車輪25を装着して構成し、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材32を設けると共に、車筐11における左右のサスペンション装置29の間に第2補強部材41を設けている。
【0051】
従って、車筐11にサブフレーム20を固定したボディ構造とすることで、重量を低減することができる一方で、車両強度を向上することができ、第1補強部材31及び第2補強部材41を設けることで、車筐11の強度を上げて砲塔18の荷重及び射撃時の反力を適正に受け止めることができ、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することができる。また、車筐11に第2補強部材41を設けることで、車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができ、車輪25からサスペンション装置29を介して車筐11に作用する応力をこの第2補強部材41が受け止め、車筐11の変形を適正に抑制することができる。
【0052】
また、実施例4の車両では、第2補強部材41をU字形状とし、左右の側部をサスペンション装置29のストラットタワー28に固定している。従って、車筐11とサスペンション装置19と第2補強部材41とを連結することで、車筐11自体の剛性を向上することができ、第2補強部材11をU字形状とすることで、車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性を効果的に向上することができる。
【実施例5】
【0053】
図9は、本発明の実施例5に係る車両を表す側面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0054】
実施例5の車両において、図9に示すように、車筐11は、モノコックボディ構造をなし、この車筐11には、支持部17を介して砲塔18が水平回転自在に支持されており、この砲塔18に砲身19が装着されている。また、車筐11の下部には、サブフレーム20が固定されており、このサブフレーム20に左右の車軸24が回転自在に支持され、この車軸24に車輪25が装着されている。また、車筐11の両側には、8つの車輪25を支持するサスペンション装置29が装着されている。
【0055】
そして、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材31が設けられている。また、車筐11における左右のサスペンション装置29の間に第2補強部材42が設けられている。具体的に、第2補強部材42は、U字形状をなすと共にV型断面形状をなし、下部が車筐11の下部に固定され、左右の側部がサスペンション装置29のストラットタワー28に固定されている。
【0056】
従って、車筐11及び複数の第1補強部材31は、砲塔18の重量を周方向でほぼ均等に分配した状態で支持することができる。また、この第1補強部材31及び第2補強部材42により車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性が高くなることで、砲塔18の砲身19から弾を発射したときの反力を効果的に分散して受け止めることができる。更に、車両の落下や路面の凹凸などの走行時に車輪25からサスペンション装置29を介して車筐11に入力する突き上げ荷重を、第2補強部材42により適正に受け止めることができる。この場合、第2補強部材42がV型断面形状をなして車筐11に固定されることから、第2補強部材42自体の強度が向上する一方で、軽量化が可能となる。
【0057】
このように実施例5の車両にあっては、車筐11上に支持部17により砲塔18を水平回転自在に支持する一方、車筐11の下部にサブフレーム20を固定し、このサブフレーム20に水平方向に沿った車軸24を回転自在に支持し、この車軸24の両端部に左右の車輪25を装着して構成し、車筐11における支持部17の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材32を設けると共に、車筐11における左右のサスペンション装置29の間にV型断面形状をなす第2補強部材42を設けている。
【0058】
従って、車筐11にサブフレーム20を固定したボディ構造とすることで、重量を低減することができる一方で、車両強度を向上することができ、第1補強部材31及び第2補強部材42を設けることで、車筐11の強度を上げて砲塔18の荷重及び射撃時の反力を適正に受け止めることができ、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することができる。また、車筐11に第2補強部材42を設けることで、車筐11の曲げ剛性及びねじり剛性を向上することができ、車輪25からサスペンション装置29を介して車筐11に作用する応力をこの第2補強部材42が受け止め、車筐11の変形を適正に抑制することができる。そして、第2補強部材42をV型断面形状として車筐11に固定することで、第2補強部材42自体の強度を向上することができる一方で、軽量化を可能とすることができる。
【0059】
なお、上述した実施例4、5では、第2補強部材41,42を、I型断面形状またはV型断面形状としたが、この構造に限定されるものではなく、例えば、T型断面形状やコ字型断面形状、ボックス型断面形状などとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の車両は、軽量化と強度アップの両立を図ることで高い走行機動性能を確保することのできるようにしたものであり、いずれの種類の車両にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施例1に係る車両を表す側面図である。
【図2】実施例1の車両を表す平面図である。
【図3】実施例1の車両を表す縦断面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る車両を表す平面図である。
【図5】実施例2の車両を表す縦断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る車両を表す平面図である。
【図7】本発明の実施例4に係る車両を表す側面図である。
【図8】実施例4の車両を表す縦断面図である。
【図9】本発明の実施例5に係る車両を表す側面図である。
【符号の説明】
【0062】
11 車筐
17 支持部
18 砲塔
20 サブフレーム
22 デファレンシャルギア
24 車軸
25 車輪
26 懸架アーム
28 ストラットタワー(支持ブラケット)
29 サスペンション装置
31,32,33 第1補強部材
41,42 第2補強部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車筐上に支持部により砲塔が水平回転自在に支持される一方、前記車筐の下部にサブフレームが固定され、該サブフレームに水平方向に沿った車軸が回転自在に支持され、該車軸の両端部に左右の車輪が装着された車両において、前記車筐における前記支持部の周囲に上下方向の荷重を受け止める第1補強部材が設けられることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、前記第1補強部材は、前記支持部の両側に複数設けられることを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両において、前記第1補強部材は、前記車筐の上壁部と側壁部と下壁部に固定されることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の車両において、前記左右の車輪は左右のサスペンション装置により前記車筐に支持され、該車筐における前記左右のサスペンション装置の間に第2補強部材が設けられることを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項4に記載の車両において、前記第2補強部材はU字形状をなし、左右の側部が前記サスペンション装置の支持ブラケットに固定されることを特徴とする車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−260487(P2008−260487A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106413(P2007−106413)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】