車両
【課題】わずかな開き(ロックが外れた程度)でも、後方からの接近車両にドアが開くことを知らせることができ、前後ドアがある場合には、後ドアの陰になることを防止できるとともに、設置高さの差や、大きさ、形状の違いなどを配慮することで、遠近感を強調することを可能にする。
【解決手段】車体11前後方向に前側ドア13,13及び後側ドア15,15が配置され、前側ドア13,13及び後側ドア15,15の開放状態における後端部13a,13a,15a,15aに、前側ドア13,13及び後側ドア15,15が開放状態にあることを表示する第1のマーカ22,22及び第2のマーカ24,24が配置され、第1のマーカ22,22を第2のマーカ24,24よりも小さく形成し、車両10の前側ほど小さく表示された。
【解決手段】車体11前後方向に前側ドア13,13及び後側ドア15,15が配置され、前側ドア13,13及び後側ドア15,15の開放状態における後端部13a,13a,15a,15aに、前側ドア13,13及び後側ドア15,15が開放状態にあることを表示する第1のマーカ22,22及び第2のマーカ24,24が配置され、第1のマーカ22,22を第2のマーカ24,24よりも小さく形成し、車両10の前側ほど小さく表示された。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間に後方車両からドアの開閉状態が認識しやすくした車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の中には、夜間に後方から接近する他車両に、ドアの開閉状態が認識しやすく配慮したものが知られている。
この種の車両は、ドアの後方から視認可能な位置に、視認しやすい目印などを設けたものであった。
【0003】
このような車両として、開閉時に足元を照らすカーテシランプ(ドアやトランクの開閉に連動して点灯するランプ)や後方に向いた反射板を設けたものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【特許文献1】実開平3−107351号公報
【特許文献2】特開2002−2280公報
【特許文献3】特開2006−347390公報
【特許文献4】特開平10−151988号公報
【0004】
特許文献1の車両は、ドアが開放されたときに下方に照射される白色光発光部と、ドアが開放されたときに後方に照射される赤色光発光部とから構成されたカーテシランプを備えたものである。
特許文献2の車両は、前部を支点として開閉する前のドアと、後部を支点として開閉する後のドアとを備え、これらのドアを観音開きに配置することで、一つの車体側開口を開閉できるようにした車両のドア構造であり、前後のドアの開放時に後のドアの車両後方に面する部位に光源を設けたものである。
【0005】
特許文献3の車両は、後方車両から視認可能な照明装置をリンク機構を介してドアに連結し、ドアを開閉するときに照明装置を常に後方に指向するように構成したものである。
特許文献4の車両は、光軸を後方に向けて指向させる発光体と、この発光体を回転駆動するモータと、ドアの開度を検出するセンサと、このセンサの出力に応じてモータを駆動して発光体の光軸が車体と平行となるように制御する制御手段とから構成された後方警告灯を備えたものである。
【0006】
しかし、特許文献1の車両では、カーテシランプがドア内側よりに配置されているので、ある程度はドアを開けないと後方から見えない。すなわち、ドアの厚みの配慮が十分であるとは言えない。
特許文献2の車両では、観音開きに配置された前のドアのみを開閉したときには、後方車両からドアの開閉状態が認識しにくい。
特許文献3の車両では、後のドアが開いていると前のドアは陰になってしまい開閉の判断がつきにくいことがある。
特許文献4の車両では、照明(発光体)が、ドアの内側(車室側)に設置されているので、ドアを大きく開けないと後方から見えないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、わずかな開き(例えば、ロックが外れた程度)でも、後方からの接近車両にドアが開いていることを知らせることができ、前後ドアがある場合には、後ドアの陰になることを防止できるとともに、設置高さの差や、大きさ、形状の違いなどを配慮することで、遠近感を強調することができる車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体前後方向に配置される複数のドアと、これらの複数のドアの開放状態における後端部に配置され、ドアが開放状態にあることを表示するマーカとを備える車両において、マーカは、車両前側ほど小さく表示したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、ドアヒンジを軸に揺動可能なドアと、このドアの開放状態における後端部に配置されるマーカとを備える車両において、マーカは、ドアの開度に応じて反射領域が移動又は拡大することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカ位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカの表示範囲が拡大するよう構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、車体前後方向に複数のドアが配置され、これらの複数のドアの開放状態における後端部に、ドアが開放状態にあることを表示するマーカが配置される。マーカは、車両前側ほど小さく表示されたので、後方車両に、どのドアが開放されているのかを認識させやすくすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、車両に、ドアヒンジを軸に揺動可能なドアと、このドアの開放状態における後端部に配置されるマーカとを備える。マーカが、ドアの開度に応じて反射領域が移動又は拡大するので、後方車両に、ドアがどの程度開放されているのかを感覚的に認識させやすくすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、車体前後方向にスライドドアがスライド可能なように配置され、このスライドドアが開放状態にあることを表示するマーカがスライドドアの開放状態における後端部に配置される。スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカ位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されたので、後方車両に、スライドドアの開度を認識させ、注意を促すことができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、車体前後方向にスライドドアがスライド可能なように配置され、このスライドドアが開放状態にあることを表示するマーカがスライドドアの開放状態における後端部に配置される。スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカの表示範囲が拡大するよう構成されたので、後方車両に、スライドドアの開度を認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る第1実施例の車両の平面図であり、図2は図1に示される車両の背面図である。
図1及び図2に示されたように、車両10は、車体11にヒンジ(不図示)を介して開閉自在に取付けられ、車体11の前方に配置される左右の前側ドア13,13と、車体11にヒンジ(不図示)を介して開閉自在に取付けられ、車体11の後方に配置される左右の後側ドア15,15と、車体11後部に設けられた左右の反射板18,18とを備える。
【0017】
前側ドア13は、ドア本体21と、このドア本体21の後部に配置され、ドア13が開放状態にあることを表示する第1のマーカ22とからなる。
後側ドア15は、ドア本体23と、このドア本体23の後部に配置され、ドア15が開放状態にあることを表示する第2のマーカ24とからなる。
【0018】
第1・第2のマーカ22,24は、反射板で構成される。また、第1・第2のマーカ22,24は、それぞれドア本体21,23の後部の限りなく(可能な限り)外側に配置される。
【0019】
図2に示されるように、第1のマーカ22,22は、第2のマーカ24,24よりも小さく表示されるとともに、第2のマーカ24,24よりも高い位置に表示される。第2のマーカ24,24は、反射板18,18よりも高い位置に表示される。すなわち、反射板18,18、第2のマーカ24,24、第1のマーカ22,22の順でだんだん高い位置に表示される。
さらに、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の順でだんだん大きく表示される。
【0020】
図3は図1に示される車両の作用説明図である。
図1に示されたように、例えば、左右の後側ドア15,15が開放され、左右の前側ドア13,13が左右の後側ドア15,15よりも大きく開放された状態において、夜間暗闇で車両10の後方から見ると、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の順で上位に認識されるとともに、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の順で外方に認識される。
【0021】
すなわち、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18であることの相違や、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の遠近感が強調され、どのドア13,13,15,15(図1参照)が開こうとしているかの判断を素早くすることができる。
【0022】
第1実施例の車両10では、車体11前後方向に前側ドア13,13及び後側ドア15,15が配置され、前側ドア13,13及び後側ドア15,15の開放状態における後端部13a,13a,15a,15aに、前側ドア13,13及び後側ドア15,15が開放状態にあることを表示する第1のマーカ22,22及び第2のマーカ24,24が配置される。第1のマーカ22,22を第2のマーカ24,24よりも小さく形成し、車両10の前側ほど小さく表示されたので、後方車両にどのドア13,13,15,15が開放されているのかを認識させやすくすることができる。
【0023】
図4は本発明に係る第2実施例の車両の側面図であり、図5は図4に示される車両のスライドドアの側面図であり、図6は図4に示される車両のスライドドアの背面図であり、図7(a),(b)は図4に示される車両の背面図である。
図4に示されたように、車両30は、車体31の前方向に配置される左右の前側ドア33,33と、車体31にスライドレール34,34を介してスライド自在に取付けられた左右のスライドドア35,35と、車体31後部に設けられた左右の反射板38,38(図7参照)とを備える。
【0024】
スライドドア35は、ドア本体41と、このドア本体41に設けられたガラス窓42と、ドア本体41の後部に配置され、スライドドア35が開放状態にあることを表示するマーカ43とを備える。
図7に示されるように、マーカ43は、反射板38よりも高い位置に設定される。
【0025】
スライドレール34は、車体31前後方向に関して後方に向けて上方に指向させるとともに、車体31幅方向に関して後方に向けて外方に指向させて設けたレールである。従って、スライドドア35を後方に向けてスライドするときには、スライドドア35は、上方に移動されるとともに、外方にせり出される。なお、スライドドア35をスライドさせるために、例えば、電動モータでアシストしたり、スライドドア35の開放を滑らかにするダンパ機構を設けたものであってもよい。
【0026】
図7(a)において、左右のスライドドア35,35の開放状態が小さい場合(半開)が示され、路面からのマーカ43,43下面までの高さをH1、左右のスライドドア35,35間の幅をD1と表示する。図7(b)において、左右のスライドドア35,35の開放状態が大きい場合(全開)が示され、路面からのマーカ43,43下面までの高さをH2、左右のスライドドア35,35間の幅をD2と表示する。
【0027】
図7(a),(b)において、左右のスライドドア35,35は、図5に示されるように、上方に指向させるとともに外方に指向させたスライドレール34,34を介してスライド自在に取付けられているので、スライドドア35,35を後方へスライドさせるほど車体31前後方向に関して上方へ、且つ車体31幅方向に関して外方へ移動される。これにより、H1<H2、D1<D2の関係になり、マーカ43,43は、スライドドア35,35を後方へスライドさせるほど高く且つ外方に視認される。
【0028】
第2実施例の車両では、車体31前後方向にスライドドア35,35がスライド可能なように配置され、このスライドドア35,35が開放状態にあることを表示するマーカ43,43がスライドドア35,35の開放状態における後端部35a,35aに配置される。スライドドア35,35の開度が全開位置に近いほど、マーカ43,43位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されたので、後方車両に、スライドドア35,35の開度を認識させ、注意を促すことができる。
【0029】
図8は本発明に係る第3実施例の車両の平面図であり、図9は図8に示される車両の側面図である。
図8及び図9に示されたように、車両50は、車体51の前方向に配置される左右の前側ドア53,53と、車体51にスライドレール(不図示)を介してスライド自在に取付けられた左右のスライドドア55,55と、これらのスライドドア55,55に光を送る左右の第1発光体(光源)56,56及び左右の第2発光体(光源)57,57と、車体51後部に設けられた左右の反射板58,58(図12参照)とを備える。
【0030】
スライドドア55は、ドア本体61と、このドア本体61に設けられたガラス窓62と、ドア本体61の下部に配置され車体51側の第1の発光体56に臨むときに、スライドドア55が開放状態にあることを表示するための第1の導光路63と、ドア本体61の上部に配置され車体51側の第2の発光体57に臨むときに、スライドドア55が開放状態にあることを表示するための第2の導光路64とを備える。
【0031】
第1の発光体56は、第2の発光体57よりも車体51前後方向に関して前方に配置されるとともに、車体51高さ方向に関して下方に配置される。
第1の導光路63は、スライドドア55の開放状態が小さい状態から大きい状態に至るまで、第1の発光体56に臨むように形成されたものである。
第2の導光路64は、スライドドア55の開放状態が大きい状態に至るときに、第2の発光体57に臨むように形成されたものである。
【0032】
図10は図9の10−10線断面図であり、図11は図9の11−11線断面図である。
第1の導光路63は、第1の発光体56が入射される入射部66と、この入射部66から入射された光を車両後方に発光させる発光部67とを備え、この発光部67から発光される光が車両後方から認識される。すなわち、第1の導光路63の発光部67は第1のマーカである。
【0033】
第2の導光路64は、第1の導光路63と同様に、第2の発光体57が入射される入射部68と、この入射部68から入射された光を車両後方に発光させる発光部69とを備え、この発光部69から発光される光が車両後方から認識される。すなわち、第2の導光路64の発光部69は第2のマーカである。
【0034】
ここで、第1の導光路63の入射部66は、第2の導光路64の入射部69よりも長く形成される。これにより、先に説明したように、第1の導光路63は、スライドドア55(図9参照)の開放状態が小さい状態から大きい状態に至るまで、第1の発光体56から入射させた光を発光部に導光させることができる。
【0035】
図12(a),(b)は図8に示される車両の作用説明図である。
(a)において、左右のスライドドア55の開放状態が小さい場合(半開)が示され、この場合には、第1の発光体56,56(図9参照)に第1の導光路63,63の入射部66,66(図10参照)が臨むので、発光部である第1のマーカ67,67が車両後方から視認される。
【0036】
(b)において、左右のスライドドア55の開放状態が大きい場合(例えば、全開)が示され、この場合には、第1の導光路63,63の入射部66,66が第1の発光体56,56に臨んだままの状態にあり、第2の発光体57,57(図9参照)に第2の導光路64,64の入射部68,68が臨むので、発光部である第1のマーカ67,67及び第2のマーカ69,69が車両後方から視認される。
【0037】
第3実施例の車両50では、車体前後方向にスライドドア55,55がスライド可能なように配置され、スライドドア55,55が開放状態にあることを表示する第1マーカ67,67及び第2のマーカ68,68がスライドドア55,55の開放状態における後端部55a,55aに配置される。スライドドア55,55の開度が全開位置に近くなると、第1マーカ67,67及び第2のマーカ68,68が視認される。すなわち、スライドドア55,55の開度が全開位置に近いほど、マーカ67,67,69,69の表示範囲が拡大するよう構成されたので、後方車両に、スライドドア55,55の開度を認識させることができる。
【0038】
図13は本発明に係る第4実施例の車両の側面図であり、図14は図13に示される車両のドアの背面図であり、図15(a)〜(c)は図14のa−a断面図、b−b断面図及びc−c断面図である。
図13に示されたように、車両70は、車体71にドアヒンジ(軸)72,72を介して揺動可能に取付けられた前ドア73と、車体71にドアヒンジ(付図示)を介して揺動可能に取付けられた後ドア74とを備える。
【0039】
図14に示されたように、前ドア73(以下「ドア73」と記載する)は、ドア73の下部が構成されるドア本体76と、このドア本体76の上部に形成される窓枠77と、これらのドア本体76及び窓枠77との間で昇降するドアガラス78と、ドア73(ドア本体76)の後端部73aに配置され、後方から視認可能な第1〜第3のマーカ81〜83とから構成される。
【0040】
図15(a)に示されたように、第1のマーカ81は、ドア73の後端部73aの上部に配置されるとともに、ドア73の閉状態において、第1のマーカ81の反射面81aが車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に対して、第1〜第3のマーカの内で最も小さい角度θ1で配置される。
【0041】
図15(b)に示されたように、第2のマーカ82は、ドア73の後端部73aの上部に配置されるとともに、ドア73の閉状態において、第2のマーカ82の反射面82aが車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に対して、ドア73の閉状態にて第1〜第3のマーカ81〜83の内で中間の角度θ2で配置される。
【0042】
図15(c)に示されたように、第3のマーカ83は、ドア73の後端部73aの上部に配置されるとともに、ドア73の閉状態において、第3のマーカ83の反射面83aが車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に対して、第1〜第3のマーカ81〜83の内で最も大きな角度θ3で配置される。
【0043】
図16(a)〜(c)は図13に示される車両の作用説明図である。
(a)において、ドア73を車体中心線C1に対して図15(a)に示された角度θ1だけ開放すると、第1のマーカ81の反射面81aは車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に平面視で平行となる。すなわち、第1のマーカ81は後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドア73が開放状態であることと、又開放の程度が小さいことを知らせることができる。
【0044】
(b)において、ドア73を車体中心線C1に対して図15(b)に示された角度θ2だけ開放すると、第2のマーカ82の反射面82aは車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に平面視で平行となる。すなわち、第2のマーカ82は後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドア73が開放状態であることと、又開放の程度が中程度であることを知らせることができる。
【0045】
(c)において、ドア73を車体中心線C1に対して図15(c)に示された角度θ3だけ開放すると、第3のマーカ83の反射面83aは車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に平面視で平行となる。すなわち、第3のマーカ83は後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドア73が開放状態であることと、又開放の程度が大きいことを知らせることができる。
【0046】
図14に示される車両70では、ドアヒンジ72,72を軸に揺動可能なドア73と、このドア73の開放状態における後端部73aに配置されるマーカ81〜83とを備え、マーカ81〜83が、ドアの開度に応じて反射領域が移動するものであると言える。すなわち、マーカ81〜83が、ドア73の開度に応じて反射領域が移動するので、後方車両に、ドア73がどの程度開放されているのかを感覚的に認識させやすくすることができる。
【0047】
図17は本発明に係る第5実施例の車両の側面図であり、図18は図17に示される車両のドアの背面図であり、図19は図18に示される車両のドアに設けられるマークの正面図であり、図20は図19の20−20線断面図である。
図17に示されたように、車両90は、車体91にドアヒンジ(軸)92,92を介して揺動可能に取付けられた前ドア93と、車体91にドアヒンジ(付図示)を揺動可能に取付けられた後ドア94とを備える。
【0048】
図18に示されたように、前ドア93(以下「ドア93」と記載する)は、ドア93の下部が構成されるドア本体96と、このドア本体96の上部に形成される窓枠97と、これらのドア本体96及び窓枠97との間で昇降するドアガラス98と、ドア93(ドア本体96)の後端部93aに配置され、後方から視認可能なマーカ99とから構成される。
【0049】
マーカ99は、円板状を呈し、中心に設けられた第1のマーカ部101と、この第1のマーカ部101の外側に設けられた第2のマーカ部102と、この第2のマーカ部102の外側に設けられた第3のマーカ部103とから構成される。
【0050】
第1マーカ部101の反射面101aの反射角度α1は、第1〜第3のマーカ部101〜103の反射角度α1〜α3の中で最も小さく設定され、第3マーカ部103の反射面103aの反射角度α3は、第1〜第3のマーカ部101〜103の反射角度α1〜α3の中で最も大きく設定され、第2マーカ部102の反射面102aの反射角度α2は、第1・第3のマーカ部101,103の反射角度α1,α3の中間に設定される。
【0051】
第1〜第3のマーカ部101〜103の反射角度α1〜α3を設定する手法としては、例えば、フレネルレンズなどのように、第1〜第3のマーカ部101〜103それぞれに異なった角度を有する複数の波形面を形成し、この複数の波形面でそれぞれの反射角度を任意に設定することができる。
【0052】
図21(a)〜(c)は図17に示される車両の作用説明図である。
(a)において、ドア93を車体中心線C2に対して図20に示された角度α1程度だけ開放すると、反射角度が最も小さく設定された第1のマーカ部101が後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドアが開放状態であることと、又開放の程度が小さいことを知らせることができる。
【0053】
(b)において、ドア93を車体中心線C2に対して図20に示された角度α2程度だけ開放すると、反射角度が中間に設定された、第2のマーカ102が後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドアが開放状態であることと、又開放の程度が中程度であることを知らせることができる。
【0054】
(c)において、ドア93を車体中心線C2に対して図20に示された角度α3程度だけ開放すると、反射角度が最も大きく設定された第3のマーカ103が後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドアが開放状態であることと、又開放の程度が大きいことを知らせることができる。
【0055】
図18に示される車両では、車両90に、ドアヒンジ92を軸に揺動可能なドア93と、このドア93の開放状態における後端部に配置されるマーカ99とを備え、マーカ99が、ドア93の開度に応じて反射領域が拡大するものであると言える。すなわち、マーカ99が、ドア93の開度に応じて反射領域が拡大するので、後方車両に、ドア93がどの程度開放されているのかを感覚的に認識させやすくすることができる。
【0056】
尚、本発明に係る第1実施例の車両10は、図2に示すように、前側ドア13の第1のマーカ22は、後側ドア15の第2のマーカ24よりも小さく表示されたが、これに限るものではなく、形状を変えたマークであってもよい。これにより、前側ドアと後側ドアとの区別がさらにつきやすくなる。
【0057】
本発明に係る第1実施例の車両10は、図2に示すように、第1のマーカ22と第2のマーカ24とで大きさを変えたが、これに限るものではなく、色や形状を変えるものであってもよい。また、第1・第2のマーカ22,24を、発光体(照明装置)で構成したものであってもよい。この場合に、発光体の色、輝度、形状などを前側ドアと後側ドアで変えるようにしたものでもよい。これにより、前側ドアと後側ドアの視認性をさらに向上させることができる。
【0058】
本発明に係る第1実施例の車両10は、図2に示すように、第1のマーカ22を前側ドア13の後端部13aに設けたが、これに限るものではなく、例えば、窓枠の上部後端に設けるものであってもよい。これにより、さらに、後側ドアとの重なりを防止することができる。
【0059】
本発明に係る第2実施例の車両30において、マーカ43が、発光体(照明装置)で構成されたものであってもよい。この場合に、発光体の色、輝度、形状などを前側ドアと後側ドアで変えるようにしたものでもよい。これにより、前側ドアと後側ドアの視認性をさらに向上させることができる。
【0060】
本発明に係る第3実施例の車両50は、図12(a),(b)に示すように、発光部67,69を第1・第2のマーカとしたが、これに限るものではなく、発光部にフィルタ等を設けるものであってもよく、このフィルタに描いた図形を第1・第2のマーカとするものでもよい。この場合に、図形や色等を第1・第2のマーカで変えるようにしてもよい。
【0061】
本発明に係る第4,5実施例の車両70,90は、前ドアに第1〜第3のマーカ、マーカをそれぞれ設けたが、これに限るものではなく、ドアヒンジを軸に揺動可能なドアであればよく、例えば後ドアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る車両は、セダンやワゴンなどの乗用車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る第1実施例の車両の平面図である。
【図2】図1に示される車両の背面図である。
【図3】図1に示される車両の作用説明図である。
【図4】本発明に係る第2実施例の車両の側面図である。
【図5】図4に示される車両のスライドドアの側面図である。
【図6】図4に示される車両のスライドドアの背面図である。
【図7】図4に示される車両の背面図である。
【図8】本発明に係る第3実施例の車両の平面図である。
【図9】図8に示される車両の側面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】図8に示される車両の作用説明図である。
【図13】本発明に係る第4実施例の車両の側面図である。
【図14】図13に示される車両のドアの背面図である。
【図15】図14のa−a断面図、b−b断面図及びc−c断面図である。
【図16】図13に示される車両の作用説明図である。
【図17】本発明に係る第5実施例の車両の側面図である。
【図18】図17に示される車両のドアの背面図である。
【図19】図18に示される車両のドアに設けられるマークの正面図である。
【図20】図19の20−20線断面図である。
【図21】図17に示される車両の作用説明図である。
【符号の説明】
【0064】
10…車両、11…車体、13,15…ドア(前側・後側ドア)、13a,15a…後端部、22,24…第1・第2のマーカ、30…車両、31…車体、35…スライドドア、35a…後端部、43…マーカ、50…車両、51…車体、55…スライドドア、55a…後端部、67,69…第1・第2のマーカ(発光部)、70,90…車両、72,92…ドアヒンジ、73,93…ドア(前ドア)、81〜83…マーカ(第1〜第3のマーカ)、99…マーカ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、夜間に後方車両からドアの開閉状態が認識しやすくした車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の中には、夜間に後方から接近する他車両に、ドアの開閉状態が認識しやすく配慮したものが知られている。
この種の車両は、ドアの後方から視認可能な位置に、視認しやすい目印などを設けたものであった。
【0003】
このような車両として、開閉時に足元を照らすカーテシランプ(ドアやトランクの開閉に連動して点灯するランプ)や後方に向いた反射板を設けたものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【特許文献1】実開平3−107351号公報
【特許文献2】特開2002−2280公報
【特許文献3】特開2006−347390公報
【特許文献4】特開平10−151988号公報
【0004】
特許文献1の車両は、ドアが開放されたときに下方に照射される白色光発光部と、ドアが開放されたときに後方に照射される赤色光発光部とから構成されたカーテシランプを備えたものである。
特許文献2の車両は、前部を支点として開閉する前のドアと、後部を支点として開閉する後のドアとを備え、これらのドアを観音開きに配置することで、一つの車体側開口を開閉できるようにした車両のドア構造であり、前後のドアの開放時に後のドアの車両後方に面する部位に光源を設けたものである。
【0005】
特許文献3の車両は、後方車両から視認可能な照明装置をリンク機構を介してドアに連結し、ドアを開閉するときに照明装置を常に後方に指向するように構成したものである。
特許文献4の車両は、光軸を後方に向けて指向させる発光体と、この発光体を回転駆動するモータと、ドアの開度を検出するセンサと、このセンサの出力に応じてモータを駆動して発光体の光軸が車体と平行となるように制御する制御手段とから構成された後方警告灯を備えたものである。
【0006】
しかし、特許文献1の車両では、カーテシランプがドア内側よりに配置されているので、ある程度はドアを開けないと後方から見えない。すなわち、ドアの厚みの配慮が十分であるとは言えない。
特許文献2の車両では、観音開きに配置された前のドアのみを開閉したときには、後方車両からドアの開閉状態が認識しにくい。
特許文献3の車両では、後のドアが開いていると前のドアは陰になってしまい開閉の判断がつきにくいことがある。
特許文献4の車両では、照明(発光体)が、ドアの内側(車室側)に設置されているので、ドアを大きく開けないと後方から見えないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、わずかな開き(例えば、ロックが外れた程度)でも、後方からの接近車両にドアが開いていることを知らせることができ、前後ドアがある場合には、後ドアの陰になることを防止できるとともに、設置高さの差や、大きさ、形状の違いなどを配慮することで、遠近感を強調することができる車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体前後方向に配置される複数のドアと、これらの複数のドアの開放状態における後端部に配置され、ドアが開放状態にあることを表示するマーカとを備える車両において、マーカは、車両前側ほど小さく表示したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、ドアヒンジを軸に揺動可能なドアと、このドアの開放状態における後端部に配置されるマーカとを備える車両において、マーカは、ドアの開度に応じて反射領域が移動又は拡大することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカ位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカの表示範囲が拡大するよう構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、車体前後方向に複数のドアが配置され、これらの複数のドアの開放状態における後端部に、ドアが開放状態にあることを表示するマーカが配置される。マーカは、車両前側ほど小さく表示されたので、後方車両に、どのドアが開放されているのかを認識させやすくすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、車両に、ドアヒンジを軸に揺動可能なドアと、このドアの開放状態における後端部に配置されるマーカとを備える。マーカが、ドアの開度に応じて反射領域が移動又は拡大するので、後方車両に、ドアがどの程度開放されているのかを感覚的に認識させやすくすることができる。
【0014】
請求項3に係る発明では、車体前後方向にスライドドアがスライド可能なように配置され、このスライドドアが開放状態にあることを表示するマーカがスライドドアの開放状態における後端部に配置される。スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカ位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されたので、後方車両に、スライドドアの開度を認識させ、注意を促すことができる。
【0015】
請求項4に係る発明では、車体前後方向にスライドドアがスライド可能なように配置され、このスライドドアが開放状態にあることを表示するマーカがスライドドアの開放状態における後端部に配置される。スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカの表示範囲が拡大するよう構成されたので、後方車両に、スライドドアの開度を認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る第1実施例の車両の平面図であり、図2は図1に示される車両の背面図である。
図1及び図2に示されたように、車両10は、車体11にヒンジ(不図示)を介して開閉自在に取付けられ、車体11の前方に配置される左右の前側ドア13,13と、車体11にヒンジ(不図示)を介して開閉自在に取付けられ、車体11の後方に配置される左右の後側ドア15,15と、車体11後部に設けられた左右の反射板18,18とを備える。
【0017】
前側ドア13は、ドア本体21と、このドア本体21の後部に配置され、ドア13が開放状態にあることを表示する第1のマーカ22とからなる。
後側ドア15は、ドア本体23と、このドア本体23の後部に配置され、ドア15が開放状態にあることを表示する第2のマーカ24とからなる。
【0018】
第1・第2のマーカ22,24は、反射板で構成される。また、第1・第2のマーカ22,24は、それぞれドア本体21,23の後部の限りなく(可能な限り)外側に配置される。
【0019】
図2に示されるように、第1のマーカ22,22は、第2のマーカ24,24よりも小さく表示されるとともに、第2のマーカ24,24よりも高い位置に表示される。第2のマーカ24,24は、反射板18,18よりも高い位置に表示される。すなわち、反射板18,18、第2のマーカ24,24、第1のマーカ22,22の順でだんだん高い位置に表示される。
さらに、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の順でだんだん大きく表示される。
【0020】
図3は図1に示される車両の作用説明図である。
図1に示されたように、例えば、左右の後側ドア15,15が開放され、左右の前側ドア13,13が左右の後側ドア15,15よりも大きく開放された状態において、夜間暗闇で車両10の後方から見ると、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の順で上位に認識されるとともに、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の順で外方に認識される。
【0021】
すなわち、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18であることの相違や、第1のマーカ22,22、第2のマーカ24,24、反射板18,18の遠近感が強調され、どのドア13,13,15,15(図1参照)が開こうとしているかの判断を素早くすることができる。
【0022】
第1実施例の車両10では、車体11前後方向に前側ドア13,13及び後側ドア15,15が配置され、前側ドア13,13及び後側ドア15,15の開放状態における後端部13a,13a,15a,15aに、前側ドア13,13及び後側ドア15,15が開放状態にあることを表示する第1のマーカ22,22及び第2のマーカ24,24が配置される。第1のマーカ22,22を第2のマーカ24,24よりも小さく形成し、車両10の前側ほど小さく表示されたので、後方車両にどのドア13,13,15,15が開放されているのかを認識させやすくすることができる。
【0023】
図4は本発明に係る第2実施例の車両の側面図であり、図5は図4に示される車両のスライドドアの側面図であり、図6は図4に示される車両のスライドドアの背面図であり、図7(a),(b)は図4に示される車両の背面図である。
図4に示されたように、車両30は、車体31の前方向に配置される左右の前側ドア33,33と、車体31にスライドレール34,34を介してスライド自在に取付けられた左右のスライドドア35,35と、車体31後部に設けられた左右の反射板38,38(図7参照)とを備える。
【0024】
スライドドア35は、ドア本体41と、このドア本体41に設けられたガラス窓42と、ドア本体41の後部に配置され、スライドドア35が開放状態にあることを表示するマーカ43とを備える。
図7に示されるように、マーカ43は、反射板38よりも高い位置に設定される。
【0025】
スライドレール34は、車体31前後方向に関して後方に向けて上方に指向させるとともに、車体31幅方向に関して後方に向けて外方に指向させて設けたレールである。従って、スライドドア35を後方に向けてスライドするときには、スライドドア35は、上方に移動されるとともに、外方にせり出される。なお、スライドドア35をスライドさせるために、例えば、電動モータでアシストしたり、スライドドア35の開放を滑らかにするダンパ機構を設けたものであってもよい。
【0026】
図7(a)において、左右のスライドドア35,35の開放状態が小さい場合(半開)が示され、路面からのマーカ43,43下面までの高さをH1、左右のスライドドア35,35間の幅をD1と表示する。図7(b)において、左右のスライドドア35,35の開放状態が大きい場合(全開)が示され、路面からのマーカ43,43下面までの高さをH2、左右のスライドドア35,35間の幅をD2と表示する。
【0027】
図7(a),(b)において、左右のスライドドア35,35は、図5に示されるように、上方に指向させるとともに外方に指向させたスライドレール34,34を介してスライド自在に取付けられているので、スライドドア35,35を後方へスライドさせるほど車体31前後方向に関して上方へ、且つ車体31幅方向に関して外方へ移動される。これにより、H1<H2、D1<D2の関係になり、マーカ43,43は、スライドドア35,35を後方へスライドさせるほど高く且つ外方に視認される。
【0028】
第2実施例の車両では、車体31前後方向にスライドドア35,35がスライド可能なように配置され、このスライドドア35,35が開放状態にあることを表示するマーカ43,43がスライドドア35,35の開放状態における後端部35a,35aに配置される。スライドドア35,35の開度が全開位置に近いほど、マーカ43,43位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されたので、後方車両に、スライドドア35,35の開度を認識させ、注意を促すことができる。
【0029】
図8は本発明に係る第3実施例の車両の平面図であり、図9は図8に示される車両の側面図である。
図8及び図9に示されたように、車両50は、車体51の前方向に配置される左右の前側ドア53,53と、車体51にスライドレール(不図示)を介してスライド自在に取付けられた左右のスライドドア55,55と、これらのスライドドア55,55に光を送る左右の第1発光体(光源)56,56及び左右の第2発光体(光源)57,57と、車体51後部に設けられた左右の反射板58,58(図12参照)とを備える。
【0030】
スライドドア55は、ドア本体61と、このドア本体61に設けられたガラス窓62と、ドア本体61の下部に配置され車体51側の第1の発光体56に臨むときに、スライドドア55が開放状態にあることを表示するための第1の導光路63と、ドア本体61の上部に配置され車体51側の第2の発光体57に臨むときに、スライドドア55が開放状態にあることを表示するための第2の導光路64とを備える。
【0031】
第1の発光体56は、第2の発光体57よりも車体51前後方向に関して前方に配置されるとともに、車体51高さ方向に関して下方に配置される。
第1の導光路63は、スライドドア55の開放状態が小さい状態から大きい状態に至るまで、第1の発光体56に臨むように形成されたものである。
第2の導光路64は、スライドドア55の開放状態が大きい状態に至るときに、第2の発光体57に臨むように形成されたものである。
【0032】
図10は図9の10−10線断面図であり、図11は図9の11−11線断面図である。
第1の導光路63は、第1の発光体56が入射される入射部66と、この入射部66から入射された光を車両後方に発光させる発光部67とを備え、この発光部67から発光される光が車両後方から認識される。すなわち、第1の導光路63の発光部67は第1のマーカである。
【0033】
第2の導光路64は、第1の導光路63と同様に、第2の発光体57が入射される入射部68と、この入射部68から入射された光を車両後方に発光させる発光部69とを備え、この発光部69から発光される光が車両後方から認識される。すなわち、第2の導光路64の発光部69は第2のマーカである。
【0034】
ここで、第1の導光路63の入射部66は、第2の導光路64の入射部69よりも長く形成される。これにより、先に説明したように、第1の導光路63は、スライドドア55(図9参照)の開放状態が小さい状態から大きい状態に至るまで、第1の発光体56から入射させた光を発光部に導光させることができる。
【0035】
図12(a),(b)は図8に示される車両の作用説明図である。
(a)において、左右のスライドドア55の開放状態が小さい場合(半開)が示され、この場合には、第1の発光体56,56(図9参照)に第1の導光路63,63の入射部66,66(図10参照)が臨むので、発光部である第1のマーカ67,67が車両後方から視認される。
【0036】
(b)において、左右のスライドドア55の開放状態が大きい場合(例えば、全開)が示され、この場合には、第1の導光路63,63の入射部66,66が第1の発光体56,56に臨んだままの状態にあり、第2の発光体57,57(図9参照)に第2の導光路64,64の入射部68,68が臨むので、発光部である第1のマーカ67,67及び第2のマーカ69,69が車両後方から視認される。
【0037】
第3実施例の車両50では、車体前後方向にスライドドア55,55がスライド可能なように配置され、スライドドア55,55が開放状態にあることを表示する第1マーカ67,67及び第2のマーカ68,68がスライドドア55,55の開放状態における後端部55a,55aに配置される。スライドドア55,55の開度が全開位置に近くなると、第1マーカ67,67及び第2のマーカ68,68が視認される。すなわち、スライドドア55,55の開度が全開位置に近いほど、マーカ67,67,69,69の表示範囲が拡大するよう構成されたので、後方車両に、スライドドア55,55の開度を認識させることができる。
【0038】
図13は本発明に係る第4実施例の車両の側面図であり、図14は図13に示される車両のドアの背面図であり、図15(a)〜(c)は図14のa−a断面図、b−b断面図及びc−c断面図である。
図13に示されたように、車両70は、車体71にドアヒンジ(軸)72,72を介して揺動可能に取付けられた前ドア73と、車体71にドアヒンジ(付図示)を介して揺動可能に取付けられた後ドア74とを備える。
【0039】
図14に示されたように、前ドア73(以下「ドア73」と記載する)は、ドア73の下部が構成されるドア本体76と、このドア本体76の上部に形成される窓枠77と、これらのドア本体76及び窓枠77との間で昇降するドアガラス78と、ドア73(ドア本体76)の後端部73aに配置され、後方から視認可能な第1〜第3のマーカ81〜83とから構成される。
【0040】
図15(a)に示されたように、第1のマーカ81は、ドア73の後端部73aの上部に配置されるとともに、ドア73の閉状態において、第1のマーカ81の反射面81aが車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に対して、第1〜第3のマーカの内で最も小さい角度θ1で配置される。
【0041】
図15(b)に示されたように、第2のマーカ82は、ドア73の後端部73aの上部に配置されるとともに、ドア73の閉状態において、第2のマーカ82の反射面82aが車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に対して、ドア73の閉状態にて第1〜第3のマーカ81〜83の内で中間の角度θ2で配置される。
【0042】
図15(c)に示されたように、第3のマーカ83は、ドア73の後端部73aの上部に配置されるとともに、ドア73の閉状態において、第3のマーカ83の反射面83aが車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に対して、第1〜第3のマーカ81〜83の内で最も大きな角度θ3で配置される。
【0043】
図16(a)〜(c)は図13に示される車両の作用説明図である。
(a)において、ドア73を車体中心線C1に対して図15(a)に示された角度θ1だけ開放すると、第1のマーカ81の反射面81aは車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に平面視で平行となる。すなわち、第1のマーカ81は後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドア73が開放状態であることと、又開放の程度が小さいことを知らせることができる。
【0044】
(b)において、ドア73を車体中心線C1に対して図15(b)に示された角度θ2だけ開放すると、第2のマーカ82の反射面82aは車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に平面視で平行となる。すなわち、第2のマーカ82は後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドア73が開放状態であることと、又開放の程度が中程度であることを知らせることができる。
【0045】
(c)において、ドア73を車体中心線C1に対して図15(c)に示された角度θ3だけ開放すると、第3のマーカ83の反射面83aは車幅方向且つ車体上下方向の垂直面S1に平面視で平行となる。すなわち、第3のマーカ83は後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドア73が開放状態であることと、又開放の程度が大きいことを知らせることができる。
【0046】
図14に示される車両70では、ドアヒンジ72,72を軸に揺動可能なドア73と、このドア73の開放状態における後端部73aに配置されるマーカ81〜83とを備え、マーカ81〜83が、ドアの開度に応じて反射領域が移動するものであると言える。すなわち、マーカ81〜83が、ドア73の開度に応じて反射領域が移動するので、後方車両に、ドア73がどの程度開放されているのかを感覚的に認識させやすくすることができる。
【0047】
図17は本発明に係る第5実施例の車両の側面図であり、図18は図17に示される車両のドアの背面図であり、図19は図18に示される車両のドアに設けられるマークの正面図であり、図20は図19の20−20線断面図である。
図17に示されたように、車両90は、車体91にドアヒンジ(軸)92,92を介して揺動可能に取付けられた前ドア93と、車体91にドアヒンジ(付図示)を揺動可能に取付けられた後ドア94とを備える。
【0048】
図18に示されたように、前ドア93(以下「ドア93」と記載する)は、ドア93の下部が構成されるドア本体96と、このドア本体96の上部に形成される窓枠97と、これらのドア本体96及び窓枠97との間で昇降するドアガラス98と、ドア93(ドア本体96)の後端部93aに配置され、後方から視認可能なマーカ99とから構成される。
【0049】
マーカ99は、円板状を呈し、中心に設けられた第1のマーカ部101と、この第1のマーカ部101の外側に設けられた第2のマーカ部102と、この第2のマーカ部102の外側に設けられた第3のマーカ部103とから構成される。
【0050】
第1マーカ部101の反射面101aの反射角度α1は、第1〜第3のマーカ部101〜103の反射角度α1〜α3の中で最も小さく設定され、第3マーカ部103の反射面103aの反射角度α3は、第1〜第3のマーカ部101〜103の反射角度α1〜α3の中で最も大きく設定され、第2マーカ部102の反射面102aの反射角度α2は、第1・第3のマーカ部101,103の反射角度α1,α3の中間に設定される。
【0051】
第1〜第3のマーカ部101〜103の反射角度α1〜α3を設定する手法としては、例えば、フレネルレンズなどのように、第1〜第3のマーカ部101〜103それぞれに異なった角度を有する複数の波形面を形成し、この複数の波形面でそれぞれの反射角度を任意に設定することができる。
【0052】
図21(a)〜(c)は図17に示される車両の作用説明図である。
(a)において、ドア93を車体中心線C2に対して図20に示された角度α1程度だけ開放すると、反射角度が最も小さく設定された第1のマーカ部101が後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドアが開放状態であることと、又開放の程度が小さいことを知らせることができる。
【0053】
(b)において、ドア93を車体中心線C2に対して図20に示された角度α2程度だけ開放すると、反射角度が中間に設定された、第2のマーカ102が後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドアが開放状態であることと、又開放の程度が中程度であることを知らせることができる。
【0054】
(c)において、ドア93を車体中心線C2に対して図20に示された角度α3程度だけ開放すると、反射角度が最も大きく設定された第3のマーカ103が後方車両等の光を受け反射し、後方車両や歩行者などにドアが開放状態であることと、又開放の程度が大きいことを知らせることができる。
【0055】
図18に示される車両では、車両90に、ドアヒンジ92を軸に揺動可能なドア93と、このドア93の開放状態における後端部に配置されるマーカ99とを備え、マーカ99が、ドア93の開度に応じて反射領域が拡大するものであると言える。すなわち、マーカ99が、ドア93の開度に応じて反射領域が拡大するので、後方車両に、ドア93がどの程度開放されているのかを感覚的に認識させやすくすることができる。
【0056】
尚、本発明に係る第1実施例の車両10は、図2に示すように、前側ドア13の第1のマーカ22は、後側ドア15の第2のマーカ24よりも小さく表示されたが、これに限るものではなく、形状を変えたマークであってもよい。これにより、前側ドアと後側ドアとの区別がさらにつきやすくなる。
【0057】
本発明に係る第1実施例の車両10は、図2に示すように、第1のマーカ22と第2のマーカ24とで大きさを変えたが、これに限るものではなく、色や形状を変えるものであってもよい。また、第1・第2のマーカ22,24を、発光体(照明装置)で構成したものであってもよい。この場合に、発光体の色、輝度、形状などを前側ドアと後側ドアで変えるようにしたものでもよい。これにより、前側ドアと後側ドアの視認性をさらに向上させることができる。
【0058】
本発明に係る第1実施例の車両10は、図2に示すように、第1のマーカ22を前側ドア13の後端部13aに設けたが、これに限るものではなく、例えば、窓枠の上部後端に設けるものであってもよい。これにより、さらに、後側ドアとの重なりを防止することができる。
【0059】
本発明に係る第2実施例の車両30において、マーカ43が、発光体(照明装置)で構成されたものであってもよい。この場合に、発光体の色、輝度、形状などを前側ドアと後側ドアで変えるようにしたものでもよい。これにより、前側ドアと後側ドアの視認性をさらに向上させることができる。
【0060】
本発明に係る第3実施例の車両50は、図12(a),(b)に示すように、発光部67,69を第1・第2のマーカとしたが、これに限るものではなく、発光部にフィルタ等を設けるものであってもよく、このフィルタに描いた図形を第1・第2のマーカとするものでもよい。この場合に、図形や色等を第1・第2のマーカで変えるようにしてもよい。
【0061】
本発明に係る第4,5実施例の車両70,90は、前ドアに第1〜第3のマーカ、マーカをそれぞれ設けたが、これに限るものではなく、ドアヒンジを軸に揺動可能なドアであればよく、例えば後ドアであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係る車両は、セダンやワゴンなどの乗用車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る第1実施例の車両の平面図である。
【図2】図1に示される車両の背面図である。
【図3】図1に示される車両の作用説明図である。
【図4】本発明に係る第2実施例の車両の側面図である。
【図5】図4に示される車両のスライドドアの側面図である。
【図6】図4に示される車両のスライドドアの背面図である。
【図7】図4に示される車両の背面図である。
【図8】本発明に係る第3実施例の車両の平面図である。
【図9】図8に示される車両の側面図である。
【図10】図9の10−10線断面図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】図8に示される車両の作用説明図である。
【図13】本発明に係る第4実施例の車両の側面図である。
【図14】図13に示される車両のドアの背面図である。
【図15】図14のa−a断面図、b−b断面図及びc−c断面図である。
【図16】図13に示される車両の作用説明図である。
【図17】本発明に係る第5実施例の車両の側面図である。
【図18】図17に示される車両のドアの背面図である。
【図19】図18に示される車両のドアに設けられるマークの正面図である。
【図20】図19の20−20線断面図である。
【図21】図17に示される車両の作用説明図である。
【符号の説明】
【0064】
10…車両、11…車体、13,15…ドア(前側・後側ドア)、13a,15a…後端部、22,24…第1・第2のマーカ、30…車両、31…車体、35…スライドドア、35a…後端部、43…マーカ、50…車両、51…車体、55…スライドドア、55a…後端部、67,69…第1・第2のマーカ(発光部)、70,90…車両、72,92…ドアヒンジ、73,93…ドア(前ドア)、81〜83…マーカ(第1〜第3のマーカ)、99…マーカ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に配置される複数のドアと、これらの複数のドアの開放状態における後端部に配置され、前記ドアが開放状態にあることを表示するマーカとを備える車両において、
前記マーカは、車両前側ほど小さく表示したことを特徴とする車両。
【請求項2】
ドアヒンジを軸に揺動可能なドアと、このドアの開放状態における後端部に配置されるマーカとを備える車両において、
前記マーカは、前記ドアの開度に応じて反射領域が移動又は拡大することを特徴とする車両。
【請求項3】
車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、前記スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、
前記スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカ位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されることを特徴とする車両。
【請求項4】
車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、前記スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、
前記スライドドアの開度が全開位置に近いほど、前記マーカの表示範囲が拡大するよう構成されたことを特徴とする車両。
【請求項1】
車体前後方向に配置される複数のドアと、これらの複数のドアの開放状態における後端部に配置され、前記ドアが開放状態にあることを表示するマーカとを備える車両において、
前記マーカは、車両前側ほど小さく表示したことを特徴とする車両。
【請求項2】
ドアヒンジを軸に揺動可能なドアと、このドアの開放状態における後端部に配置されるマーカとを備える車両において、
前記マーカは、前記ドアの開度に応じて反射領域が移動又は拡大することを特徴とする車両。
【請求項3】
車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、前記スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、
前記スライドドアの開度が全開位置に近いほど、マーカ位置が上方又は車幅方向外方へ移動するよう構成されることを特徴とする車両。
【請求項4】
車体前後方向にスライド可能なスライドドアと、このスライドドアの開放状態における後端部に配置され、前記スライドドアが開放状態にあることを表示するマーカを備える車両において、
前記スライドドアの開度が全開位置に近いほど、前記マーカの表示範囲が拡大するよう構成されたことを特徴とする車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−143519(P2009−143519A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48068(P2008−48068)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]