車両
【課題】軽量化が可能で、エンジンやバッテリを含む電装品等の車載品の出し入れ、および組立正が簡便である車体フレームを提供する。
【解決手段】車体フレームは、左右一対のメインフレーム51Lと、左右の前輪懸架支持部と、第1クロス部53と、第2クロス部55と、前端が第1クロス部53に取り外し可能に取り付けられ、前端が第2クロス部55に取り外し可能に取り付けられるアッパーテンションパイプ56とから構成される。
【解決手段】車体フレームは、左右一対のメインフレーム51Lと、左右の前輪懸架支持部と、第1クロス部53と、第2クロス部55と、前端が第1クロス部53に取り外し可能に取り付けられ、前端が第2クロス部55に取り外し可能に取り付けられるアッパーテンションパイプ56とから構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体フレーム構造、特に不整地走行車両の車体フレーム構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
アッパフレームとロアフレームとダウンフレームとが、やぐら状に組まれた不整地走行車両の車体フレームが開示されている(例えば、特許文献1(図1、図2)参照。)。
【0003】
すなわち、特許文献1の図2に示されるように、車体フレーム(4)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)は、2本のアッパフレーム(31、31)と、ロアフレーム(32、32)と、ダウンフレーム(35、35)とからなる。
【0004】
このような車体フレーム構造であれば、特許文献1の図1に示されるエンジン(5)は、車体側方から出し入れされる。すなわち、フレーム間の隙間から、重量物であるエンジン(5)を、入れなければならないので、作業性の点で、改善の余地がある。
【0005】
また、アッパフレーム(31)が、左右に2本並べられていため、フレームの数が多く、車体フレームの構造が複雑になり、車体フレームの重量増加を招く。
そこで、軽量化が可能で、エンジン等の車載品の出し入れが簡便である車体フレーム構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−114617公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、軽量化が可能で、エンジンやバッテリを含む電装品等の車載品の出し入れ及び組立性が簡便である車体フレームを有する車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体フレームと、この車体フレームに取付けられ動力を発生する動力発生機関と、この動力発生機関で発生した出力を車輪に伝達する動力伝達装置とを有する車両において、
前記車体フレームは、前記動力発生機関の下方を車両前後方向に通過し後部が上方へ湾曲している、左右一対のメインフレームと、
前記メインフレームの前部から上方に延びるパイプ又はフレームで構成され前輪懸架装置を支持する、左右の前輪懸架支持部と、
前記左の前輪懸架支持部から前記右の前輪懸架支持部へ車幅方向に渡されている第1クロス部と、
前記左のメインフレームの後部の湾曲部から前記右のメインフレームの後部の湾曲部へ車幅方向に渡されている第2クロス部と、
前記動力発生機関の上方を車両前後方向に通過し、前端が前記第1クロス部に取り外し可能に取付けられ、後端が前記第2クロス部に取り外し可能に取付けられているアッパーテンションパイプと、からなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、前輪懸架支持部は、メインフレームから上方へ延びるフロントパイプ部と、このフロントパイプ部の上部とメインフレームとに斜めに渡ってフロントパイプ部を補強するフロントテンションブラケット部と、からなり、
左右一対のフロントパイプ部の上端が、第1クロス部で連結され、
この第1クロス部が車両前方から見て下に開くU字パイプ部で構成され、このU字パイプ部が左右のフロントパイプ部に連続し、
左右のフロントパイプ部とU字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、フロントパイプ部に、フロントクッションを取付けるフロントクッション取付部が設けられ、
第2クロス部に、リヤクッションの上部を取付けるリヤクッション取付部が設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明では、リヤクッションは、上部に対して下部が車両後方に位置するように斜めに配置され、斜めのリヤクッション軸に倣うように、アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成され、
フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明では、アッパーテンションパイプの数は1本であり、このようなアッパーテンションパイプは車体中心線上に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明では、第1クロス部に、ステアリングシャフトを支える前側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
アッパーテンションパイプの前端にステアリングシャフトを支える後側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
前側ステアリングシャフト軸受け部と後側ステアリングシャフト軸受け部とを車両前後方向に合わせることで、ステアリングシャフトが回転自在に支えられるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明では、左右のフロントテンションブラケットに、ステアリングシャフトの回転動作を補助するパワーステアリングユニットが締結されることで、このパワーステアリングユニットが左右のフロントテンションブラケットに挟持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明では、アッパーテンションパイプに、エアクリーナ、バッテリなどの補器類を支える補器類支持部と、イグニッションコイルなどの電装品を支える電装品支持部とを付属したことを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明では、メインフレームは、車両前後方向の中央部に対して前部が、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなり、車両前後方向の中央部に対して後部が、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなっていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明では、車両平面視で、左右のメインフレームの車幅方向の間隔が、中央部に対して前部及び後部が狭くなるように、左右のメインフレームに前部屈曲部及び後部屈曲部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、メインフレームと前輪懸架支持部により、側面視コ事情に形成された車体フレーム上に、車幅方向に延びる第1クロス部及び第2クロス部を渡して、車体フレームの剛性を確保した。その上で、第1クロス部及び第2クロス部に、アッパーテンションパイプを取り外し可能に連結した。エンジン等の車載品を載せるときに、アッパーテンションパイプを外しておくことで、重量物である車載品を上から車体フレーム内へ降ろすことができる。
したがって、本発明によれば、車載品の出し入れが簡便である車体フレームを有する車両が提供される。
【0019】
請求項2に係る発明では、前輪懸架支持部は、メインフレームから上方へ延びるフロントパイプ部と、このフロントパイプ部の上部とメインフレームとに斜めに渡ってフロントパイプ部を補強するフロントテンションブラケット部と、からなり、左右一対のフロントパイプ部の上端が、第1クロス部で連結されている。
フロントパイプ部を斜めのフロントテンションブラケット部で補強するため、前輪懸架支持部の車両長手方向での剛性を確保しつつ、前輪懸架支持部の軽量化を図ることができる。
【0020】
加えて、第1クロス部が車両前方から見て下に開くU字パイプ部で構成され、このU字パイプ部が左右のフロントパイプ部に連続し、左右のフロントパイプ部とU字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されている。
左右のフロントパイプ部とU字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されているため、前輪懸架支持部の構成部品点数を削減することができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、フロントパイプ部に、フロントクッションを取付けるフロントクッション取付部が設けられ、第2クロス部に、リヤクッションの上部を取付けるリヤクッション取付部が設けられる。
フロントクッションからの力が、第1クロス部を介して車体フレームに円滑に伝達され、リヤクッションからの力が、第2クロス部を介して車体フレームに円滑に伝達されるため、車体フレームの剛性が確保しやすくなる。
【0022】
請求項4に係る発明では、リヤクッションは、上部に対して下部が車両後方に位置するように斜めに配置され、斜めのリヤクッション軸に倣うように、アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成され、フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されている。
アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成されているため、リヤクッションからの力がアッパーテンションパイプに円滑に伝達される。同様に、フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されているため、フロントクッションからの力がアッパーテンションパイプに円滑に伝達される。
【0023】
請求項5に係る発明では、アッパーテンションパイプの数は1本であり、このようなアッパーテンションパイプは車体中心線上に設けられている。
アッパーテンションパイプの数は1本であるから、車体フレームの軽量化が図られる。
【0024】
請求項6に係る発明では、第1クロス部に、ステアリングシャフトを支える前側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、アッパーテンションパイプの前端にステアリングシャフトを支える後側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、前側ステアリングシャフト軸受け部と後側ステアリングシャフト軸受け部とを車両前後方向に合わせることで、ステアリングシャフトが回転自在に支えられるようにした。
第1クロス部を利用することにより、少ない部品点数で、容易にステアリングシャフトを支持することができる。
【0025】
請求項7に係る発明では、左右のフロントテンションブラケットに、ステアリングシャフトの回転動作を補助するパワーステアリングユニットが締結されることで、このパワーステアリングユニットが左右のフロントテンションブラケットに挟持される。
左右のフロントテンションブラケットを利用することにより、少ない部品点数で、容易にパワーステアリングユニットを支持することができる。
加えて、左右のフロントテンションブラケットに、予めパワーステアリングユニットを組み付けておくことが可能となり、前輪操舵装置のサブアセンブリーが可能となる。
【0026】
請求項8に係る発明では、アッパーテンションパイプに、エアクリーナ、バッテリなどの補器類を支える補器類支持部と、イグニッションコイルなどの電装品を支える電装品支持部とを付属した。
補器類、電装品などを集中配置することにより、サブアセンブリーが可能となる。
また、アッパーテンションパイプを外すことで、補器類、電装品などを一括した車体フレームから外すことができ、保守、点検が容易になる。
【0027】
請求項9に係る発明では、メインフレームは、車両前後方向の中央部に対して前部が、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなり、車両前後方向の中央部に対して後部が、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなっている。
剛性を確保するために、メインフレームの車両前後方向の中央部はフレームの高さ及び幅を大きくした。その他は、フレームの高さ及び幅を小さくした。
すなわち、フレーム剛性を確保しつつ、撓みを発生させて、車両の乗り味を向上させることができる。
【0028】
請求項10に係る発明では、車両平面視で、左右のメインフレームの車幅方向の間隔が、中央部に対して前部及び後部が狭くなるように、左右のメインフレームに前部屈曲部及び後部屈曲部が設けられている。
前方を狭くすることで、アライメントの調整が容易になり、後方を狭くすることで、鞍乗り車両における、ライディング居住性の確保が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】車両の左側面図である。
【図2】車両の平面図である。
【図3】車体カバーを外した状態の車両の左側面図である。
【図4】前輪の懸架装置を説明する側面図である。
【図5】前輪の懸架装置を説明する正面図である。
【図6】車体フレームの分解斜視図である。
【図7】車体フレームの斜視図である。
【図8】車体フレームの平面図である。
【図9】車体フレームの底面図である。
【図10】図9の変更図である。
【図11】車両後部の右側面図である。
【図12】補器類支持部と電装品支持部の配置図である。
【図13】補器類支持部の説明図である。
【図14】車両前部の左側面図である。
【図15】車両前部の右側面図である。
【図16】電装品支持部の拡大図である。
【図17】車両中間部の左側面図である。
【図18】図10の補足説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0031】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、車両10は、車体の前部下部に前輪11を備え、この前輪11の上方にフロントフェンダ12を備え、車体の後部下部に後輪13を備え、この後輪13に上方にリヤフェンダ14を備え、前輪11の上方にステアリングハンドル15を備え、このステアリングハンドル15の前にフロント荷台16を備え、ステアリングハンドル15の後方にシート17及びリヤ荷台18を備えている、小型車両である。
【0032】
車両10は、図2に示されるように、ステアリングハンドル15とシート17との間に左右のステップフロア19、19を備えて、シート17に座った乗員の足をステップフォロア19、19に載せることができるようにした鞍乗り型不整地走行車両である。また、車両10は、ステアリング軸26とシート17との間に配置されると共に後述するエアクリーナ(図3、符号23)を覆うフロントカバー20を備える。
【0033】
図3に示されるように、車両10は、車体フレーム21の中央にガソリンエンジン等の動力発生機関22を備え、車体フレーム21の上に備えたエアクリーナ23で吸入した空気に燃料を混合させて動力発生機関22で燃焼させ、排気ガスは動力発生機関22から延びる排気管24及びこの排気管24の後端に接続されているマフラー25を介して外へ排出し、得られた動力で車体フレーム21の前部下部に回転自在に取付けられる前輪11及び/又は車体フレーム21の後部下部に回転自在に取付けられる後輪13に伝達して走行し、車体フレーム21の前部上部に回転自在に取付けられているステアリング軸26及びこのステアリング軸26を回転させるステアリングハンドル15により転舵させることができる小型車両である。
【0034】
動力発生機関22は、ガソリンエンジン、ジーゼルエンジン、電動モータなどの駆動源であれば、種類は問わない。
【0035】
前輪11及び後輪13が、バルーンタイヤと称する広幅で低圧の特殊タイヤであるときには、路面の凹凸を低圧のタイヤが変形して吸収し、路面が軟弱であっても広幅のタイヤで沈み込みを抑えることができるため、このような車両10は、不整地走行車両と呼ばれる。
【0036】
なお、動力発生機関22で発生した動力は、図4に示すように、プロペラシャフトなどの動力伝達装置28で最終減速装置29へ伝達される。
そして、図5に示すように、動力は、最終減速装置29から車幅方向に延びるドライブシャフト31を介して前輪11に伝達され、前輪11が回転駆動される。
【0037】
前輪懸架装置40は、図5に示すように、車体フレーム21に上端が連結され下方へ延びるフロントクッション41と、このフロントクッション41の下部から下方へ延びるナックル支持部材42と、車幅方向に延びナックル支持部材42の下部を車体フレーム21に連結するロアアーム43と、ナックル支持部材42にキングピン軸44廻りに回転自在に取付けられ前輪11を支えるナックル45と、車幅方向に延びナックル45をキングピン軸44廻りに回転させるタイロッド46とからなる。
【0038】
このタイロッド46は、図4に示すように、パワーステアリングユニット47の出力軸に連結されている。このパワーステアリングユニット47は、想像線で示すフロントテンションブラケット58Lでボルト48、48により、締結される。
【0039】
車体フレーム21は、図6に示すように、第1クロス部53と第2クロス部55から、アッパーテンションパイプ56を取り外すことができることを構造的な特徴とする。このことにより、動力発生機械22等の車載品を載せるときに、アッパーテンションパイプ56を外しておくことで、重量物である車載品を上から車体フレーム21内へ降ろすことができる。
したがって、本発明によれば、車載品の出し入れが簡便である車体フレームを有する車両が提供される。
【0040】
また、アッパーテンションパイプ56に、エアクリーナ23やバッテリ78などの補器類を支える補器類支持部77と、イグニッションコイル79などの電装品を支える電装品支持部81とを付属した。補器類、電装品などを集中配置することにより、サブアセンブリーが可能となる。また、アッパーテンションパイプ56を外すことで、補器類、電装品などを一括した車体フレーム21から外すことができ、保守、点検が容易になる。
【0041】
このような作用効果を発揮しうる車体フレーム21の構造を、以下に詳しく説明する。
図7に示すように、車体フレーム21は、動力発生機関(図6、符号22)の下方を車両前後方向に通過し後部が上方へ湾曲している、左右一対のメインフレーム51L、51R(Lは乗員から見て左を示し、Rは同右示す添え字である。以下同じ)と、メインフレーム51L、51Rの前部から上方に延びるパイプ又はフレームで構成され前輪懸架装置(図5、符号40)を支持する、左右の前輪懸架支持部52L、52Rと、左の前輪懸架支持部52Lから右の前輪懸架支持部52Rへ車幅方向に渡されている第1クロス部53と、左のメインフレーム51Lの後部の湾曲部54Lから右のメインフレーム51Rの後部の湾曲部54Rへ車幅方向に渡されている第2クロス部55と、動力発生機関の上方を車両前後方向に通過し、前端が前記第1クロス部53に取り外し可能に取付けられ、後端が前記第2クロス部55に取り外し可能に取付けられているアッパーテンションパイプ56と、を主要素とする。
【0042】
アッパーテンションパイプ56は、後部が下向きに斜めに屈曲形成されている。
また、前輪懸架支持部52Lは、メインフレーム51Lから上方へ延びるフロントパイプ部57Lと、このフロントパイプ部57Lの上部とメインフレーム51Lとに斜めに渡ってフロントパイプ部57Lを補強するフロントテンションブラケット部58Lと、からなる。前輪懸架支持部52Rも、フロントパイプ部57Rとフロントテンションブラケット部58Rとからなる。
【0043】
このフロントテンションブラケット部58Lにパワーステアリングユニット(図4、符号47)を締結する際に用いるボルト穴62、62が設けられている。前輪懸架支持部52Rも、フロントパイプ部57Rとフロントテンションブラケット部58Rとからなる。
【0044】
そして、左右一対のフロントパイプ部57L、57Rの上端が、第1クロス部53で連結され、この第1クロス部53が車両前方から見て下に開くU字パイプ部59で構成され、このU字パイプ部59が左右のフロントパイプ部57L、57Rに連続し、左右のフロントパイプ部57L、57RとU字パイプ部59が一本の曲げパイプで構成されている。
左右のフロントパイプ部57L、57RとU字パイプ部59が一本の曲げパイプで構成されているため、前輪懸架支持部の構成部品点数を削減することができる。
【0045】
さらに、フロントパイプ部57L、57Rに、フロントクッション(図5、符号41)を取付けるフロントクッション取付部61が設けられている。
フロントクッション取付部61が第1クロス部53の近傍に設けられているため、フロントクッションからの力が、第1クロス部53を介して車体フレーム21に円滑に伝達される。
【0046】
また、ステアリングハンドル15から下へ延びるステアリングシャフト63は、図6に示す前側ステアリングシャフト軸受け部64と、後側ステアリングシャフト軸受け部65とで支承される。
前側ステアリングシャフト軸受け部64は第1クロス部53に設けられ、後側ステアリングシャフト軸受け部65は、アッパーテンションパイプ56の先端に設けられている。
そして、前側ステアリングシャフト軸受け部64に後側ステアリングシャフト軸受け部65を車両前後方向に合わせ、ボルト66、66で結合することで、軸受け構造が出来上がる。
【0047】
すなわち、第1クロス部53及びアッパーテンションパイプ56の先端を巧みに利用することにより、少ない部品点数で、容易にステアリングシャフト(図7、符号63)を支持することができる。
【0048】
また、図7に示すように、左右のメインフレーム51L、51Rの湾曲部54L、54Rの上端から、車両後方へリヤパイプ67L、67Rが延びており、リヤパイプ67L、67Rは、湾曲部54L、54Rの高さ方向中央から延ばされたリヤサブパイプ68L、68Rで補強されている。そして、車両側面視でリヤパイプ67L、67Rの先端が、アッパーテンションパイプ56の後端より車両前方へ延ばされている。すなわち、車両側面視でリヤパイプ67L、67Rの先端が、アッパーテンションパイプ56の後端に重なっている。
【0049】
アッパーテンションパイプ56は、車体フレームの平面図である図8に示すように、車体中心線上に1本設けられている。アッパーテンションパイプ56は左右2本を第1クロス部53と第2クロス部55とに渡すことは差し付けないが、1本にすることにより、次の効果が期待できる。
アッパーテンションパイプの数は1本であるから、車体フレームの軽量化が図られると共に、取付けや取り外しを考えると、1本の方が作業時間が短くなる。
【0050】
また、車体フレームの底面図(添え字LとRは逆になる。)である図9に示すように、左右のメインフレーム51L、51Rの車幅方向の間隔(外幅)は、中央部がW1であるのに対して前部の間隔がW2(W2<W1)及び後部の間隔W3(W3<W1)のごとく狭くなるように、左右のメインフレーム51L、51Rに前部屈曲部71及び後部屈曲部72が設けられている。
前方を狭くすることで、アライメントの調整が容易になり、後方を狭くすることで、鞍乗り車両における、ライディング居住性の確保が容易になる。
【0051】
さらには、図9の変更図である図10に示すように、メインフレーム51Lは、車両前後方向の中央部Cに対して前部Fを、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなるようにし、車両前後方向の中央部Cに対して後部Rが、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなるようにしてもよい。メインフレーム51Rも同様である。
【0052】
具体的には、図10の補足説明図である図18に示すように、メインフレーム51Lは、中央部Cが車幅方向外方に膨らみ、前部F及び後部Rが車幅中心に接近するように、全体的に湾曲している。そして、中央部Cのメインフレーム51Lの高さH1は大きく、前部Fの高さH2は小さく(H2<H1)し、後部Rの高さH3も小さく(H3<H1)とした。
また、中央部Cのメインフレーム51Lの幅W4は大きく、前部Fの幅W5は小さく(W5<W4)し、後部Rの幅W6も小さく(W6<W4)としてもよい。
【0053】
剛性を確保するために、メインフレーム51L、51Rの車両前後方向の中央部Cはフレームの高さ及び幅を大きくした。その他は、フレームの高さ及び幅を小さくした。
すなわち、フレーム剛性を確保しつつ、撓みを発生させて、車両の乗り味を向上させることができる。
【0054】
次に、リヤクッションの取付け形態を説明する。
図11に示すように、リヤクッション73は、上部がリヤクッション取付部76に取付けられる。このリヤクッション取付部76は、第2クロス部(図10、符号55)に設けられる。
【0055】
このようなリヤクッション73は、燃料タンク74の車両前方を通るように、上部に対して下部が車両後方(図では右が車両前方)に位置するように斜めに配置されている。なお、
そのため、リヤクッション軸75は、図7に示すように、アッパーテンションパイプ56の後部屈曲形状に倣う。すると、リヤクッション軸75の向きに作用するリヤクッションの負荷は、円滑にアッパーテンションパイプ56に伝達され、支承される。
また、フロントパイプ部の上部(第1クロス部53)は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されているため、フロントクッション取付部61から加えられるフロントクッションの負荷は円滑にアッパーテンションパイプ56に伝達され、支承される。
【0056】
次に、アッパーテンションパイプ56に載置する補器類や電装品の配置について詳しく説明する。
図12に示すように、ステアリングハンドル15より車両後方位置にて、アッパーテンションパイプ56に、板状の補器類支持部77が載せられ、この補器類支持部77にエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82が載せられている。このエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、車両後方側が、車両後方に向かうに連れて幅が狭くなるよう三角形状に絞られている。三角形状に絞ることで、乗員の足載せスペースを確保するようにした。
【0057】
また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、車体長手方向に延びる区画壁83で左右に区画されており、右の区画がエアクリーナ23を収納するエアクリーナ収納部84とされ、左の区画はバッテリ78及びこのバッテリ78より車両後方に配置される小電装品85を収納する電装品収納部86とされる。すなわち、アッパーテンションパイプ56に対してエアクリーナ収納部84とバッテリ78が、左右に振り分けられるので、重量バランスが良好になる。
【0058】
すなわち、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、1個の一体ボックスであるが、区画することで、エアクリーナ23、バッテリ78及び小電装品85を収納する箱である。
エアクリーナ23からは、コネクティングチューブ87が、車幅方向中央に配置されている1本のアッパーテンションパイプ56の車幅方向右側に延ばされている。
【0059】
また、1本のアッパーテンションパイプ56の後部に、板状の電装品支持部81が載せられている。この板状の電装品支持部81にイグニッションコイル79やACG(交流発電機用)カプラ88やチェンジスイッチカプラ89やバンクアングルセンサ107などが載せられている。
【0060】
そして、図13に示すように、メインハーネス91が電装品収納部86の下を通って、車体前後方向に延びる。
電装品収納部86には、バッテリ78が配置され、このバッテリ78の後方に小電装品85が配置されている。
小電装品85は、例えば、EPSヒューズ92、このEPSヒューズ92より車両後方に配置されるメインヒューズボックス93、このメインヒューズボックス93の車幅方向右に配置されるスタータマグネットスイッチ94、メインヒューズボックス93の車両後方に配置される燃料ポンプリレー95からなる。
【0061】
エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82のエアクリーナ収納部84の前部に吸気口105が設けられ、この吸気口105の下にレギュレータ106が配置され、このレギュレータ106の放熱フィン106aは上下方向に延びる形態で設けられている。吸気の流れ方向に放熱フィン106aの長手方向が合致しているため、吸気抵抗を低減することができ、放熱効率を向上させることができる。
また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、バッテリ82の下と、後端部82aとで、アッパーテンションパイプ56に締結固定されている。
さらに、バッテリ78の+端子98とEPSヒューズ92とスタータマグネットスイッチ94とはハーネス91bで繋がれており、バッテリ78の−端子99に車両長手方向に延びるハーネス91cが接続される。
【0062】
次に、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の形態を、左側面図と右側面図を用いて説明する。
図14に示すように、アッパーテンションパイプ56に、板状の補器類支持部77が載せられ、この補器類支持部77にエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82が載せられている。
このエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82にエアクリーナ23と共にバッテリ78が収納されているが、バッテリ78は、ヘッドパイプ96より車両後方で、シート17より前方で、動力発生機関22のシリンダ97より前方で、エアクリーナ23の車幅方向左側方(図では手前)に配置されている。
【0063】
バッテリ78の+端子98と−端子99は、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の上部、すなわち、リッド101の近傍に配置されている。
また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82に、小電装品85が配置されている。
すなわち、小電装品85は、EPSヒューズ92、このEPSヒューズ92より車両後方に配置されるメインヒューズボックス93、このメインヒューズボックス93の下に配置されるスタータマグネットスイッチ94、メインヒューズボックス93の車両後方に配置される燃料ポンプリレー95からなる。
【0064】
リッド101の下端と、その下の補器類支持部77との中間付近が、浸水上限ライン102に設定されている。なお、この浸水上限ライン102は、吸気口(図15、符号105)の下端に設定される。
浸水上限ライン102より上に、バッテリ78の+端子98と−端子99や、小電装品85の大部分が配置されるため、防水性を高めることができ、バッテリ78を含む電装品を非防水タイプのもので構成することができる。
また、補器類支持部77から下へホースステー103が延ばされ、このホースステー103でラジエータホース104が支持される。また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82にECU117(図6も参照)が配置される。
【0065】
従来の多くの車両では、バッテリがシート17の下等に配置されており、特にセンサ等の電装品が集中しやすいエンジン廻りとバッテリとの距離が離れてしまうため、ハーネスが長いという課題があった。
この点、この実施例では、バッテリ78が動力発生機関22の近傍に配置されるため、ハーネスを短くすることができる。さらに動力発生機関22の近傍に小電装品85も配置できるので、小電装品85も含めてハーネスを短くすることができる。
【0066】
また、従来の多くの車両では、バッテリを収納するバッテリ収納ケースを別途専用に設ける必要があるという課題があった。
この点、本実施例では、エアクリーナ23を収納するケース(エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82)にバッテリ78をも収納したので、バッテリ収納ケースを省くことができる。
また、動力発生機関22のシリンダより前方に、バッテリ78及エアクリーナ23を配置したので、動力発生機関22の熱の影響を受けにくくすることができる上、後輪が巻き上げる泥などがエアクリーナ23に入りにくくなり、好ましい。
【0067】
さらには、図12から明らかなように、車体中心の一方にエアクリーナ23が配置され、他方にバッテリ78が配置されているため、左右の重量バランスが取りやすくなる。
【0068】
エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、図15に示すように、車両前側(図15では右側)に、吸気口105を備えている。この吸気口105の下方にレギュレータ106が配置されている。吸気が直接的にレギュレータ106に当たって、冷却する効果を発揮する。
また、吸気口105がエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の前方に設けられているため、後輪13が巻き上げる泥が、ますます入りにくくなり、好ましい。
レギュレータ106はエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の前壁面に設けられたボスに、締結固定される。
【0069】
次に、小電装品85の配置について補足説明する。
図16に示すように、アッパ−テンションパイプ56に電装品支持部81が載せられ、この板状の電装品支持部81にイグニッションコイル79やACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89やバンクアングルセンサ107などが載せられている。
【0070】
なお、板状の電装品支持部81の後部は、燃料タンク74のステー108に支持される。燃料タンク74から延びる燃料ホース109は、電装品支持部81の左縁に設けられたガイド部に支持されて、車両前方へ延びている。
電装品支持部81で燃料ホース109が支持されるが、この支持部位がアッパ−テンションパイプ56に対して車幅方向左であれば、車幅方向右にメインハーネス91が配置される。燃料ホース109とメインハーネス91が、アッパ−テンションパイプ56に対して左右にバランス良く配置される。
【0071】
また、リヤパイプ67L、67Rの前端にシートキャッチャ111L、111Rが設けられ、右のシートキャッチャ111Rにメインハーネス91がクリップ112により支持される。さらに、メインハーネス91は、イグニッションコイル79の近傍位置にて、電装品支持部81にステー113を介して支持されている。このステー113はメインハーネス91が右のリヤパイプ67Rに向くように、車体長手軸に対して反時計方向に回転させ斜めに設けられている。結果、太いメインハーネス91を円滑に車幅方向に変位させることができる。
【0072】
また、電装品支持部81の車両後方に燃料タンク74が配置されている。燃料タンク74から離れた位置でハーネスが配索でき、作業性が高まる。
また、電装品支持部81の後部は、第2クロス部55とアッパーテンションパイプ56の後部との結合部を覆うように、第2クロス部55に沿うように車幅方向に広がっている。この広がった部位に、本例では、AGCカプラ88の後面から延びるハーネスやチェンジスイッチカプラ89の後面から延びるハーネスが載る。第2クロス部55とアッパーテンションパイプ56の後部との結合部は、溶接することにより、バリや突起が発生しやすい。しかし、結合部を電装品支持部81の後部でカバーすれば、バリや突起でハーネスや電装品などが傷む心配がない。
【0073】
また、板状の電装品支持部81をリヤパイプ67Lより、車両前方へ延ばし、メインハーネス91を、リヤパイプ67Rの前端と電装品支持部81の前端とで支持させるようにした。仮に、メインハーネスをクランク状に屈曲させながら車幅中央から車幅外側へ配索しようとすると、ハーネス長が長くなるばかりか、メインハーネスは比較的太いハーネスなので屈曲させにくく、組立性も悪いという課題がある。この点、本実施例は、上記構成により、メインハーネス91を強固に支持しながら、前記課題を解決することができる。
【0074】
また、電装品支持部81の前部左部に、車体カバーを取付けるカバーステー部114が設けられている。
すなわち、電装品支持部81は、車体カバーを支持する役割をも果たす。
【0075】
また、コネクティングチューブ87は、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82から車両後方へ延びるが、先ず、湾曲下降部116で車幅方向右へ湾曲しながら下がり、次に、車体中心側に配置されているスロットルボディ115の側方を通るようにして車両後方へ延び、続いて、略90°のターン部116で車体中心側に折り返され、先端がアッパーテンションパイプ56の下に差し込まれる。
ターン部116は、大径とされ、流路抵抗を低減するようにした。
すなわち、コネクティングチューブ87は、平面視で略J字を呈するようして、スロットルボディ115を囲うように巻いている。
【0076】
すなわち、図15に示すように、コネクティングチューブ87は、湾曲下降部116で下がり、先端がアッパーテンションパイプ56の下に差し込まれる。
また、図6に示すように、電装品支持部81は、アッパーテンションパイプ56の上端(上面)で支持されると共に、このアッパーテンションパイプ56の上端より低い位置に段部を形成し、この段部にイグニッションコイル79等の電装品を収納するようにした。
【0077】
そして、図16に示すように、アッパーテンションパイプ56に対して、一方(この例では車幅方向右側)にコネクティングチューブ87及びスロットルボディ115を配置し、他方(この例では車幅方向左側)に電装品支持部81を配置したので、スペースの有効活用が図れると共にスロットルボディ115が電装品支持部81に妨げられないので、スロットルボディ115の保守性を高めることができる。
さらに、排気管24は、板状の電装品支持部81の下に配置される。この電装品支持部81が遮熱板の役割を果たすため、イグニッションコイル79やACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89が熱的に保護される。
【0078】
図17に示すように、リヤパイプ67Lの前端にシートキャッチャ111Lが設けられ、シートキャッチャ111Lでシート17保持される。
さらに、イグニッションコイル79やACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89は、アッパーテンションパイプ56の上面より下位にあるため、シート17の下向き負荷を受ける心配がない。
【0079】
さらに、リヤパイプ67Lと重なる位置に、ACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89やバンクアングルセンサ107や燃料ホース109が配置されているため、これらにシート17の下向き負荷がかかる心配が、より少なくなる上、これらの電装品の保護効果を高めることができる。さらに、電装品支持部81をシート下の狭いスペースに効率よく設け、電装品を配置することができる。
【0080】
また、電装品支持部81の前部でステー113により、メインハーネス91が支持されている。電装品支持部81の下方に、スロットルボディ115が配置され、このスロットルボディ115の下方に排気管24が配置されている。
【0081】
尚、本発明の車体フレーム構造は、小型車両、特に不整地走行車両に好適であるが、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の車体フレーム構造は、不整地走行車両に好適である。
【符号の説明】
【0083】
10…車両、11…車輪(前輪)、21…車体フレーム、22…動力発生機関、23…エアクリーナ、28…動力伝達装置、40…前輪懸架装置、47…パワーステアリングユニット、51L、51R…メインフレーム、52L、52R…前輪懸架支持部、53…第1クロス部、54L、54R…メインフレーム後部の湾曲部、55…第2クロス部、57L、57R…フロントパイプ部、58L、58R…フロントテンションブラケット部、59…U字パイプ、61…フロントクッション取付部、63…ステアリングシャフト、64…前側ステアリングシャフト軸受け部、65…後側ステアリングシャフト軸受け部、71…前側屈曲部、72…後側屈曲部、73…リヤクッション、75…リヤクッション軸、76…リヤクッション取付部、77…補器類支持部、78…バッテリ、79…イグニッションコイル、81…電装品支持部、82…エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体フレーム構造、特に不整地走行車両の車体フレーム構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
アッパフレームとロアフレームとダウンフレームとが、やぐら状に組まれた不整地走行車両の車体フレームが開示されている(例えば、特許文献1(図1、図2)参照。)。
【0003】
すなわち、特許文献1の図2に示されるように、車体フレーム(4)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)は、2本のアッパフレーム(31、31)と、ロアフレーム(32、32)と、ダウンフレーム(35、35)とからなる。
【0004】
このような車体フレーム構造であれば、特許文献1の図1に示されるエンジン(5)は、車体側方から出し入れされる。すなわち、フレーム間の隙間から、重量物であるエンジン(5)を、入れなければならないので、作業性の点で、改善の余地がある。
【0005】
また、アッパフレーム(31)が、左右に2本並べられていため、フレームの数が多く、車体フレームの構造が複雑になり、車体フレームの重量増加を招く。
そこで、軽量化が可能で、エンジン等の車載品の出し入れが簡便である車体フレーム構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−114617公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、軽量化が可能で、エンジンやバッテリを含む電装品等の車載品の出し入れ及び組立性が簡便である車体フレームを有する車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体フレームと、この車体フレームに取付けられ動力を発生する動力発生機関と、この動力発生機関で発生した出力を車輪に伝達する動力伝達装置とを有する車両において、
前記車体フレームは、前記動力発生機関の下方を車両前後方向に通過し後部が上方へ湾曲している、左右一対のメインフレームと、
前記メインフレームの前部から上方に延びるパイプ又はフレームで構成され前輪懸架装置を支持する、左右の前輪懸架支持部と、
前記左の前輪懸架支持部から前記右の前輪懸架支持部へ車幅方向に渡されている第1クロス部と、
前記左のメインフレームの後部の湾曲部から前記右のメインフレームの後部の湾曲部へ車幅方向に渡されている第2クロス部と、
前記動力発生機関の上方を車両前後方向に通過し、前端が前記第1クロス部に取り外し可能に取付けられ、後端が前記第2クロス部に取り外し可能に取付けられているアッパーテンションパイプと、からなることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明では、前輪懸架支持部は、メインフレームから上方へ延びるフロントパイプ部と、このフロントパイプ部の上部とメインフレームとに斜めに渡ってフロントパイプ部を補強するフロントテンションブラケット部と、からなり、
左右一対のフロントパイプ部の上端が、第1クロス部で連結され、
この第1クロス部が車両前方から見て下に開くU字パイプ部で構成され、このU字パイプ部が左右のフロントパイプ部に連続し、
左右のフロントパイプ部とU字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明では、フロントパイプ部に、フロントクッションを取付けるフロントクッション取付部が設けられ、
第2クロス部に、リヤクッションの上部を取付けるリヤクッション取付部が設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明では、リヤクッションは、上部に対して下部が車両後方に位置するように斜めに配置され、斜めのリヤクッション軸に倣うように、アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成され、
フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明では、アッパーテンションパイプの数は1本であり、このようなアッパーテンションパイプは車体中心線上に設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明では、第1クロス部に、ステアリングシャフトを支える前側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
アッパーテンションパイプの前端にステアリングシャフトを支える後側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
前側ステアリングシャフト軸受け部と後側ステアリングシャフト軸受け部とを車両前後方向に合わせることで、ステアリングシャフトが回転自在に支えられるようにしたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明では、左右のフロントテンションブラケットに、ステアリングシャフトの回転動作を補助するパワーステアリングユニットが締結されることで、このパワーステアリングユニットが左右のフロントテンションブラケットに挟持されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明では、アッパーテンションパイプに、エアクリーナ、バッテリなどの補器類を支える補器類支持部と、イグニッションコイルなどの電装品を支える電装品支持部とを付属したことを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明では、メインフレームは、車両前後方向の中央部に対して前部が、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなり、車両前後方向の中央部に対して後部が、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなっていることを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明では、車両平面視で、左右のメインフレームの車幅方向の間隔が、中央部に対して前部及び後部が狭くなるように、左右のメインフレームに前部屈曲部及び後部屈曲部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に係る発明では、メインフレームと前輪懸架支持部により、側面視コ事情に形成された車体フレーム上に、車幅方向に延びる第1クロス部及び第2クロス部を渡して、車体フレームの剛性を確保した。その上で、第1クロス部及び第2クロス部に、アッパーテンションパイプを取り外し可能に連結した。エンジン等の車載品を載せるときに、アッパーテンションパイプを外しておくことで、重量物である車載品を上から車体フレーム内へ降ろすことができる。
したがって、本発明によれば、車載品の出し入れが簡便である車体フレームを有する車両が提供される。
【0019】
請求項2に係る発明では、前輪懸架支持部は、メインフレームから上方へ延びるフロントパイプ部と、このフロントパイプ部の上部とメインフレームとに斜めに渡ってフロントパイプ部を補強するフロントテンションブラケット部と、からなり、左右一対のフロントパイプ部の上端が、第1クロス部で連結されている。
フロントパイプ部を斜めのフロントテンションブラケット部で補強するため、前輪懸架支持部の車両長手方向での剛性を確保しつつ、前輪懸架支持部の軽量化を図ることができる。
【0020】
加えて、第1クロス部が車両前方から見て下に開くU字パイプ部で構成され、このU字パイプ部が左右のフロントパイプ部に連続し、左右のフロントパイプ部とU字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されている。
左右のフロントパイプ部とU字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されているため、前輪懸架支持部の構成部品点数を削減することができる。
【0021】
請求項3に係る発明では、フロントパイプ部に、フロントクッションを取付けるフロントクッション取付部が設けられ、第2クロス部に、リヤクッションの上部を取付けるリヤクッション取付部が設けられる。
フロントクッションからの力が、第1クロス部を介して車体フレームに円滑に伝達され、リヤクッションからの力が、第2クロス部を介して車体フレームに円滑に伝達されるため、車体フレームの剛性が確保しやすくなる。
【0022】
請求項4に係る発明では、リヤクッションは、上部に対して下部が車両後方に位置するように斜めに配置され、斜めのリヤクッション軸に倣うように、アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成され、フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されている。
アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成されているため、リヤクッションからの力がアッパーテンションパイプに円滑に伝達される。同様に、フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されているため、フロントクッションからの力がアッパーテンションパイプに円滑に伝達される。
【0023】
請求項5に係る発明では、アッパーテンションパイプの数は1本であり、このようなアッパーテンションパイプは車体中心線上に設けられている。
アッパーテンションパイプの数は1本であるから、車体フレームの軽量化が図られる。
【0024】
請求項6に係る発明では、第1クロス部に、ステアリングシャフトを支える前側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、アッパーテンションパイプの前端にステアリングシャフトを支える後側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、前側ステアリングシャフト軸受け部と後側ステアリングシャフト軸受け部とを車両前後方向に合わせることで、ステアリングシャフトが回転自在に支えられるようにした。
第1クロス部を利用することにより、少ない部品点数で、容易にステアリングシャフトを支持することができる。
【0025】
請求項7に係る発明では、左右のフロントテンションブラケットに、ステアリングシャフトの回転動作を補助するパワーステアリングユニットが締結されることで、このパワーステアリングユニットが左右のフロントテンションブラケットに挟持される。
左右のフロントテンションブラケットを利用することにより、少ない部品点数で、容易にパワーステアリングユニットを支持することができる。
加えて、左右のフロントテンションブラケットに、予めパワーステアリングユニットを組み付けておくことが可能となり、前輪操舵装置のサブアセンブリーが可能となる。
【0026】
請求項8に係る発明では、アッパーテンションパイプに、エアクリーナ、バッテリなどの補器類を支える補器類支持部と、イグニッションコイルなどの電装品を支える電装品支持部とを付属した。
補器類、電装品などを集中配置することにより、サブアセンブリーが可能となる。
また、アッパーテンションパイプを外すことで、補器類、電装品などを一括した車体フレームから外すことができ、保守、点検が容易になる。
【0027】
請求項9に係る発明では、メインフレームは、車両前後方向の中央部に対して前部が、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなり、車両前後方向の中央部に対して後部が、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなっている。
剛性を確保するために、メインフレームの車両前後方向の中央部はフレームの高さ及び幅を大きくした。その他は、フレームの高さ及び幅を小さくした。
すなわち、フレーム剛性を確保しつつ、撓みを発生させて、車両の乗り味を向上させることができる。
【0028】
請求項10に係る発明では、車両平面視で、左右のメインフレームの車幅方向の間隔が、中央部に対して前部及び後部が狭くなるように、左右のメインフレームに前部屈曲部及び後部屈曲部が設けられている。
前方を狭くすることで、アライメントの調整が容易になり、後方を狭くすることで、鞍乗り車両における、ライディング居住性の確保が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】車両の左側面図である。
【図2】車両の平面図である。
【図3】車体カバーを外した状態の車両の左側面図である。
【図4】前輪の懸架装置を説明する側面図である。
【図5】前輪の懸架装置を説明する正面図である。
【図6】車体フレームの分解斜視図である。
【図7】車体フレームの斜視図である。
【図8】車体フレームの平面図である。
【図9】車体フレームの底面図である。
【図10】図9の変更図である。
【図11】車両後部の右側面図である。
【図12】補器類支持部と電装品支持部の配置図である。
【図13】補器類支持部の説明図である。
【図14】車両前部の左側面図である。
【図15】車両前部の右側面図である。
【図16】電装品支持部の拡大図である。
【図17】車両中間部の左側面図である。
【図18】図10の補足説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0031】
本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、車両10は、車体の前部下部に前輪11を備え、この前輪11の上方にフロントフェンダ12を備え、車体の後部下部に後輪13を備え、この後輪13に上方にリヤフェンダ14を備え、前輪11の上方にステアリングハンドル15を備え、このステアリングハンドル15の前にフロント荷台16を備え、ステアリングハンドル15の後方にシート17及びリヤ荷台18を備えている、小型車両である。
【0032】
車両10は、図2に示されるように、ステアリングハンドル15とシート17との間に左右のステップフロア19、19を備えて、シート17に座った乗員の足をステップフォロア19、19に載せることができるようにした鞍乗り型不整地走行車両である。また、車両10は、ステアリング軸26とシート17との間に配置されると共に後述するエアクリーナ(図3、符号23)を覆うフロントカバー20を備える。
【0033】
図3に示されるように、車両10は、車体フレーム21の中央にガソリンエンジン等の動力発生機関22を備え、車体フレーム21の上に備えたエアクリーナ23で吸入した空気に燃料を混合させて動力発生機関22で燃焼させ、排気ガスは動力発生機関22から延びる排気管24及びこの排気管24の後端に接続されているマフラー25を介して外へ排出し、得られた動力で車体フレーム21の前部下部に回転自在に取付けられる前輪11及び/又は車体フレーム21の後部下部に回転自在に取付けられる後輪13に伝達して走行し、車体フレーム21の前部上部に回転自在に取付けられているステアリング軸26及びこのステアリング軸26を回転させるステアリングハンドル15により転舵させることができる小型車両である。
【0034】
動力発生機関22は、ガソリンエンジン、ジーゼルエンジン、電動モータなどの駆動源であれば、種類は問わない。
【0035】
前輪11及び後輪13が、バルーンタイヤと称する広幅で低圧の特殊タイヤであるときには、路面の凹凸を低圧のタイヤが変形して吸収し、路面が軟弱であっても広幅のタイヤで沈み込みを抑えることができるため、このような車両10は、不整地走行車両と呼ばれる。
【0036】
なお、動力発生機関22で発生した動力は、図4に示すように、プロペラシャフトなどの動力伝達装置28で最終減速装置29へ伝達される。
そして、図5に示すように、動力は、最終減速装置29から車幅方向に延びるドライブシャフト31を介して前輪11に伝達され、前輪11が回転駆動される。
【0037】
前輪懸架装置40は、図5に示すように、車体フレーム21に上端が連結され下方へ延びるフロントクッション41と、このフロントクッション41の下部から下方へ延びるナックル支持部材42と、車幅方向に延びナックル支持部材42の下部を車体フレーム21に連結するロアアーム43と、ナックル支持部材42にキングピン軸44廻りに回転自在に取付けられ前輪11を支えるナックル45と、車幅方向に延びナックル45をキングピン軸44廻りに回転させるタイロッド46とからなる。
【0038】
このタイロッド46は、図4に示すように、パワーステアリングユニット47の出力軸に連結されている。このパワーステアリングユニット47は、想像線で示すフロントテンションブラケット58Lでボルト48、48により、締結される。
【0039】
車体フレーム21は、図6に示すように、第1クロス部53と第2クロス部55から、アッパーテンションパイプ56を取り外すことができることを構造的な特徴とする。このことにより、動力発生機械22等の車載品を載せるときに、アッパーテンションパイプ56を外しておくことで、重量物である車載品を上から車体フレーム21内へ降ろすことができる。
したがって、本発明によれば、車載品の出し入れが簡便である車体フレームを有する車両が提供される。
【0040】
また、アッパーテンションパイプ56に、エアクリーナ23やバッテリ78などの補器類を支える補器類支持部77と、イグニッションコイル79などの電装品を支える電装品支持部81とを付属した。補器類、電装品などを集中配置することにより、サブアセンブリーが可能となる。また、アッパーテンションパイプ56を外すことで、補器類、電装品などを一括した車体フレーム21から外すことができ、保守、点検が容易になる。
【0041】
このような作用効果を発揮しうる車体フレーム21の構造を、以下に詳しく説明する。
図7に示すように、車体フレーム21は、動力発生機関(図6、符号22)の下方を車両前後方向に通過し後部が上方へ湾曲している、左右一対のメインフレーム51L、51R(Lは乗員から見て左を示し、Rは同右示す添え字である。以下同じ)と、メインフレーム51L、51Rの前部から上方に延びるパイプ又はフレームで構成され前輪懸架装置(図5、符号40)を支持する、左右の前輪懸架支持部52L、52Rと、左の前輪懸架支持部52Lから右の前輪懸架支持部52Rへ車幅方向に渡されている第1クロス部53と、左のメインフレーム51Lの後部の湾曲部54Lから右のメインフレーム51Rの後部の湾曲部54Rへ車幅方向に渡されている第2クロス部55と、動力発生機関の上方を車両前後方向に通過し、前端が前記第1クロス部53に取り外し可能に取付けられ、後端が前記第2クロス部55に取り外し可能に取付けられているアッパーテンションパイプ56と、を主要素とする。
【0042】
アッパーテンションパイプ56は、後部が下向きに斜めに屈曲形成されている。
また、前輪懸架支持部52Lは、メインフレーム51Lから上方へ延びるフロントパイプ部57Lと、このフロントパイプ部57Lの上部とメインフレーム51Lとに斜めに渡ってフロントパイプ部57Lを補強するフロントテンションブラケット部58Lと、からなる。前輪懸架支持部52Rも、フロントパイプ部57Rとフロントテンションブラケット部58Rとからなる。
【0043】
このフロントテンションブラケット部58Lにパワーステアリングユニット(図4、符号47)を締結する際に用いるボルト穴62、62が設けられている。前輪懸架支持部52Rも、フロントパイプ部57Rとフロントテンションブラケット部58Rとからなる。
【0044】
そして、左右一対のフロントパイプ部57L、57Rの上端が、第1クロス部53で連結され、この第1クロス部53が車両前方から見て下に開くU字パイプ部59で構成され、このU字パイプ部59が左右のフロントパイプ部57L、57Rに連続し、左右のフロントパイプ部57L、57RとU字パイプ部59が一本の曲げパイプで構成されている。
左右のフロントパイプ部57L、57RとU字パイプ部59が一本の曲げパイプで構成されているため、前輪懸架支持部の構成部品点数を削減することができる。
【0045】
さらに、フロントパイプ部57L、57Rに、フロントクッション(図5、符号41)を取付けるフロントクッション取付部61が設けられている。
フロントクッション取付部61が第1クロス部53の近傍に設けられているため、フロントクッションからの力が、第1クロス部53を介して車体フレーム21に円滑に伝達される。
【0046】
また、ステアリングハンドル15から下へ延びるステアリングシャフト63は、図6に示す前側ステアリングシャフト軸受け部64と、後側ステアリングシャフト軸受け部65とで支承される。
前側ステアリングシャフト軸受け部64は第1クロス部53に設けられ、後側ステアリングシャフト軸受け部65は、アッパーテンションパイプ56の先端に設けられている。
そして、前側ステアリングシャフト軸受け部64に後側ステアリングシャフト軸受け部65を車両前後方向に合わせ、ボルト66、66で結合することで、軸受け構造が出来上がる。
【0047】
すなわち、第1クロス部53及びアッパーテンションパイプ56の先端を巧みに利用することにより、少ない部品点数で、容易にステアリングシャフト(図7、符号63)を支持することができる。
【0048】
また、図7に示すように、左右のメインフレーム51L、51Rの湾曲部54L、54Rの上端から、車両後方へリヤパイプ67L、67Rが延びており、リヤパイプ67L、67Rは、湾曲部54L、54Rの高さ方向中央から延ばされたリヤサブパイプ68L、68Rで補強されている。そして、車両側面視でリヤパイプ67L、67Rの先端が、アッパーテンションパイプ56の後端より車両前方へ延ばされている。すなわち、車両側面視でリヤパイプ67L、67Rの先端が、アッパーテンションパイプ56の後端に重なっている。
【0049】
アッパーテンションパイプ56は、車体フレームの平面図である図8に示すように、車体中心線上に1本設けられている。アッパーテンションパイプ56は左右2本を第1クロス部53と第2クロス部55とに渡すことは差し付けないが、1本にすることにより、次の効果が期待できる。
アッパーテンションパイプの数は1本であるから、車体フレームの軽量化が図られると共に、取付けや取り外しを考えると、1本の方が作業時間が短くなる。
【0050】
また、車体フレームの底面図(添え字LとRは逆になる。)である図9に示すように、左右のメインフレーム51L、51Rの車幅方向の間隔(外幅)は、中央部がW1であるのに対して前部の間隔がW2(W2<W1)及び後部の間隔W3(W3<W1)のごとく狭くなるように、左右のメインフレーム51L、51Rに前部屈曲部71及び後部屈曲部72が設けられている。
前方を狭くすることで、アライメントの調整が容易になり、後方を狭くすることで、鞍乗り車両における、ライディング居住性の確保が容易になる。
【0051】
さらには、図9の変更図である図10に示すように、メインフレーム51Lは、車両前後方向の中央部Cに対して前部Fを、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなるようにし、車両前後方向の中央部Cに対して後部Rが、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなるようにしてもよい。メインフレーム51Rも同様である。
【0052】
具体的には、図10の補足説明図である図18に示すように、メインフレーム51Lは、中央部Cが車幅方向外方に膨らみ、前部F及び後部Rが車幅中心に接近するように、全体的に湾曲している。そして、中央部Cのメインフレーム51Lの高さH1は大きく、前部Fの高さH2は小さく(H2<H1)し、後部Rの高さH3も小さく(H3<H1)とした。
また、中央部Cのメインフレーム51Lの幅W4は大きく、前部Fの幅W5は小さく(W5<W4)し、後部Rの幅W6も小さく(W6<W4)としてもよい。
【0053】
剛性を確保するために、メインフレーム51L、51Rの車両前後方向の中央部Cはフレームの高さ及び幅を大きくした。その他は、フレームの高さ及び幅を小さくした。
すなわち、フレーム剛性を確保しつつ、撓みを発生させて、車両の乗り味を向上させることができる。
【0054】
次に、リヤクッションの取付け形態を説明する。
図11に示すように、リヤクッション73は、上部がリヤクッション取付部76に取付けられる。このリヤクッション取付部76は、第2クロス部(図10、符号55)に設けられる。
【0055】
このようなリヤクッション73は、燃料タンク74の車両前方を通るように、上部に対して下部が車両後方(図では右が車両前方)に位置するように斜めに配置されている。なお、
そのため、リヤクッション軸75は、図7に示すように、アッパーテンションパイプ56の後部屈曲形状に倣う。すると、リヤクッション軸75の向きに作用するリヤクッションの負荷は、円滑にアッパーテンションパイプ56に伝達され、支承される。
また、フロントパイプ部の上部(第1クロス部53)は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されているため、フロントクッション取付部61から加えられるフロントクッションの負荷は円滑にアッパーテンションパイプ56に伝達され、支承される。
【0056】
次に、アッパーテンションパイプ56に載置する補器類や電装品の配置について詳しく説明する。
図12に示すように、ステアリングハンドル15より車両後方位置にて、アッパーテンションパイプ56に、板状の補器類支持部77が載せられ、この補器類支持部77にエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82が載せられている。このエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、車両後方側が、車両後方に向かうに連れて幅が狭くなるよう三角形状に絞られている。三角形状に絞ることで、乗員の足載せスペースを確保するようにした。
【0057】
また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、車体長手方向に延びる区画壁83で左右に区画されており、右の区画がエアクリーナ23を収納するエアクリーナ収納部84とされ、左の区画はバッテリ78及びこのバッテリ78より車両後方に配置される小電装品85を収納する電装品収納部86とされる。すなわち、アッパーテンションパイプ56に対してエアクリーナ収納部84とバッテリ78が、左右に振り分けられるので、重量バランスが良好になる。
【0058】
すなわち、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、1個の一体ボックスであるが、区画することで、エアクリーナ23、バッテリ78及び小電装品85を収納する箱である。
エアクリーナ23からは、コネクティングチューブ87が、車幅方向中央に配置されている1本のアッパーテンションパイプ56の車幅方向右側に延ばされている。
【0059】
また、1本のアッパーテンションパイプ56の後部に、板状の電装品支持部81が載せられている。この板状の電装品支持部81にイグニッションコイル79やACG(交流発電機用)カプラ88やチェンジスイッチカプラ89やバンクアングルセンサ107などが載せられている。
【0060】
そして、図13に示すように、メインハーネス91が電装品収納部86の下を通って、車体前後方向に延びる。
電装品収納部86には、バッテリ78が配置され、このバッテリ78の後方に小電装品85が配置されている。
小電装品85は、例えば、EPSヒューズ92、このEPSヒューズ92より車両後方に配置されるメインヒューズボックス93、このメインヒューズボックス93の車幅方向右に配置されるスタータマグネットスイッチ94、メインヒューズボックス93の車両後方に配置される燃料ポンプリレー95からなる。
【0061】
エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82のエアクリーナ収納部84の前部に吸気口105が設けられ、この吸気口105の下にレギュレータ106が配置され、このレギュレータ106の放熱フィン106aは上下方向に延びる形態で設けられている。吸気の流れ方向に放熱フィン106aの長手方向が合致しているため、吸気抵抗を低減することができ、放熱効率を向上させることができる。
また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、バッテリ82の下と、後端部82aとで、アッパーテンションパイプ56に締結固定されている。
さらに、バッテリ78の+端子98とEPSヒューズ92とスタータマグネットスイッチ94とはハーネス91bで繋がれており、バッテリ78の−端子99に車両長手方向に延びるハーネス91cが接続される。
【0062】
次に、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の形態を、左側面図と右側面図を用いて説明する。
図14に示すように、アッパーテンションパイプ56に、板状の補器類支持部77が載せられ、この補器類支持部77にエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82が載せられている。
このエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82にエアクリーナ23と共にバッテリ78が収納されているが、バッテリ78は、ヘッドパイプ96より車両後方で、シート17より前方で、動力発生機関22のシリンダ97より前方で、エアクリーナ23の車幅方向左側方(図では手前)に配置されている。
【0063】
バッテリ78の+端子98と−端子99は、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の上部、すなわち、リッド101の近傍に配置されている。
また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82に、小電装品85が配置されている。
すなわち、小電装品85は、EPSヒューズ92、このEPSヒューズ92より車両後方に配置されるメインヒューズボックス93、このメインヒューズボックス93の下に配置されるスタータマグネットスイッチ94、メインヒューズボックス93の車両後方に配置される燃料ポンプリレー95からなる。
【0064】
リッド101の下端と、その下の補器類支持部77との中間付近が、浸水上限ライン102に設定されている。なお、この浸水上限ライン102は、吸気口(図15、符号105)の下端に設定される。
浸水上限ライン102より上に、バッテリ78の+端子98と−端子99や、小電装品85の大部分が配置されるため、防水性を高めることができ、バッテリ78を含む電装品を非防水タイプのもので構成することができる。
また、補器類支持部77から下へホースステー103が延ばされ、このホースステー103でラジエータホース104が支持される。また、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82にECU117(図6も参照)が配置される。
【0065】
従来の多くの車両では、バッテリがシート17の下等に配置されており、特にセンサ等の電装品が集中しやすいエンジン廻りとバッテリとの距離が離れてしまうため、ハーネスが長いという課題があった。
この点、この実施例では、バッテリ78が動力発生機関22の近傍に配置されるため、ハーネスを短くすることができる。さらに動力発生機関22の近傍に小電装品85も配置できるので、小電装品85も含めてハーネスを短くすることができる。
【0066】
また、従来の多くの車両では、バッテリを収納するバッテリ収納ケースを別途専用に設ける必要があるという課題があった。
この点、本実施例では、エアクリーナ23を収納するケース(エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82)にバッテリ78をも収納したので、バッテリ収納ケースを省くことができる。
また、動力発生機関22のシリンダより前方に、バッテリ78及エアクリーナ23を配置したので、動力発生機関22の熱の影響を受けにくくすることができる上、後輪が巻き上げる泥などがエアクリーナ23に入りにくくなり、好ましい。
【0067】
さらには、図12から明らかなように、車体中心の一方にエアクリーナ23が配置され、他方にバッテリ78が配置されているため、左右の重量バランスが取りやすくなる。
【0068】
エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82は、図15に示すように、車両前側(図15では右側)に、吸気口105を備えている。この吸気口105の下方にレギュレータ106が配置されている。吸気が直接的にレギュレータ106に当たって、冷却する効果を発揮する。
また、吸気口105がエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の前方に設けられているため、後輪13が巻き上げる泥が、ますます入りにくくなり、好ましい。
レギュレータ106はエアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82の前壁面に設けられたボスに、締結固定される。
【0069】
次に、小電装品85の配置について補足説明する。
図16に示すように、アッパ−テンションパイプ56に電装品支持部81が載せられ、この板状の電装品支持部81にイグニッションコイル79やACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89やバンクアングルセンサ107などが載せられている。
【0070】
なお、板状の電装品支持部81の後部は、燃料タンク74のステー108に支持される。燃料タンク74から延びる燃料ホース109は、電装品支持部81の左縁に設けられたガイド部に支持されて、車両前方へ延びている。
電装品支持部81で燃料ホース109が支持されるが、この支持部位がアッパ−テンションパイプ56に対して車幅方向左であれば、車幅方向右にメインハーネス91が配置される。燃料ホース109とメインハーネス91が、アッパ−テンションパイプ56に対して左右にバランス良く配置される。
【0071】
また、リヤパイプ67L、67Rの前端にシートキャッチャ111L、111Rが設けられ、右のシートキャッチャ111Rにメインハーネス91がクリップ112により支持される。さらに、メインハーネス91は、イグニッションコイル79の近傍位置にて、電装品支持部81にステー113を介して支持されている。このステー113はメインハーネス91が右のリヤパイプ67Rに向くように、車体長手軸に対して反時計方向に回転させ斜めに設けられている。結果、太いメインハーネス91を円滑に車幅方向に変位させることができる。
【0072】
また、電装品支持部81の車両後方に燃料タンク74が配置されている。燃料タンク74から離れた位置でハーネスが配索でき、作業性が高まる。
また、電装品支持部81の後部は、第2クロス部55とアッパーテンションパイプ56の後部との結合部を覆うように、第2クロス部55に沿うように車幅方向に広がっている。この広がった部位に、本例では、AGCカプラ88の後面から延びるハーネスやチェンジスイッチカプラ89の後面から延びるハーネスが載る。第2クロス部55とアッパーテンションパイプ56の後部との結合部は、溶接することにより、バリや突起が発生しやすい。しかし、結合部を電装品支持部81の後部でカバーすれば、バリや突起でハーネスや電装品などが傷む心配がない。
【0073】
また、板状の電装品支持部81をリヤパイプ67Lより、車両前方へ延ばし、メインハーネス91を、リヤパイプ67Rの前端と電装品支持部81の前端とで支持させるようにした。仮に、メインハーネスをクランク状に屈曲させながら車幅中央から車幅外側へ配索しようとすると、ハーネス長が長くなるばかりか、メインハーネスは比較的太いハーネスなので屈曲させにくく、組立性も悪いという課題がある。この点、本実施例は、上記構成により、メインハーネス91を強固に支持しながら、前記課題を解決することができる。
【0074】
また、電装品支持部81の前部左部に、車体カバーを取付けるカバーステー部114が設けられている。
すなわち、電装品支持部81は、車体カバーを支持する役割をも果たす。
【0075】
また、コネクティングチューブ87は、エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス82から車両後方へ延びるが、先ず、湾曲下降部116で車幅方向右へ湾曲しながら下がり、次に、車体中心側に配置されているスロットルボディ115の側方を通るようにして車両後方へ延び、続いて、略90°のターン部116で車体中心側に折り返され、先端がアッパーテンションパイプ56の下に差し込まれる。
ターン部116は、大径とされ、流路抵抗を低減するようにした。
すなわち、コネクティングチューブ87は、平面視で略J字を呈するようして、スロットルボディ115を囲うように巻いている。
【0076】
すなわち、図15に示すように、コネクティングチューブ87は、湾曲下降部116で下がり、先端がアッパーテンションパイプ56の下に差し込まれる。
また、図6に示すように、電装品支持部81は、アッパーテンションパイプ56の上端(上面)で支持されると共に、このアッパーテンションパイプ56の上端より低い位置に段部を形成し、この段部にイグニッションコイル79等の電装品を収納するようにした。
【0077】
そして、図16に示すように、アッパーテンションパイプ56に対して、一方(この例では車幅方向右側)にコネクティングチューブ87及びスロットルボディ115を配置し、他方(この例では車幅方向左側)に電装品支持部81を配置したので、スペースの有効活用が図れると共にスロットルボディ115が電装品支持部81に妨げられないので、スロットルボディ115の保守性を高めることができる。
さらに、排気管24は、板状の電装品支持部81の下に配置される。この電装品支持部81が遮熱板の役割を果たすため、イグニッションコイル79やACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89が熱的に保護される。
【0078】
図17に示すように、リヤパイプ67Lの前端にシートキャッチャ111Lが設けられ、シートキャッチャ111Lでシート17保持される。
さらに、イグニッションコイル79やACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89は、アッパーテンションパイプ56の上面より下位にあるため、シート17の下向き負荷を受ける心配がない。
【0079】
さらに、リヤパイプ67Lと重なる位置に、ACGカプラ88やチェンジスイッチカプラ89やバンクアングルセンサ107や燃料ホース109が配置されているため、これらにシート17の下向き負荷がかかる心配が、より少なくなる上、これらの電装品の保護効果を高めることができる。さらに、電装品支持部81をシート下の狭いスペースに効率よく設け、電装品を配置することができる。
【0080】
また、電装品支持部81の前部でステー113により、メインハーネス91が支持されている。電装品支持部81の下方に、スロットルボディ115が配置され、このスロットルボディ115の下方に排気管24が配置されている。
【0081】
尚、本発明の車体フレーム構造は、小型車両、特に不整地走行車両に好適であるが、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の車体フレーム構造は、不整地走行車両に好適である。
【符号の説明】
【0083】
10…車両、11…車輪(前輪)、21…車体フレーム、22…動力発生機関、23…エアクリーナ、28…動力伝達装置、40…前輪懸架装置、47…パワーステアリングユニット、51L、51R…メインフレーム、52L、52R…前輪懸架支持部、53…第1クロス部、54L、54R…メインフレーム後部の湾曲部、55…第2クロス部、57L、57R…フロントパイプ部、58L、58R…フロントテンションブラケット部、59…U字パイプ、61…フロントクッション取付部、63…ステアリングシャフト、64…前側ステアリングシャフト軸受け部、65…後側ステアリングシャフト軸受け部、71…前側屈曲部、72…後側屈曲部、73…リヤクッション、75…リヤクッション軸、76…リヤクッション取付部、77…補器類支持部、78…バッテリ、79…イグニッションコイル、81…電装品支持部、82…エアクリーナ兼バッテリ収納ボックス。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレームと、この車体フレームに取付けられ動力を発生する動力発生機関と、この動力発生機関で発生した出力を車輪に伝達する動力伝達装置とを有する車両において、
前記車体フレームは、
前記動力発生機関の下方を車両前後方向に通過し後部が上方へ湾曲している、左右一対のメインフレームと、
前記メインフレームの前部から上方に延びるパイプ又はフレームで構成され前輪懸架装置を支持する、左右の前輪懸架支持部と、
前記左の前輪懸架支持部から前記右の前輪懸架支持部へ車幅方向に渡されている第1クロス部と、
前記左のメインフレームの後部の湾曲部から前記右のメインフレームの後部の湾曲部へ車幅方向に渡されている第2クロス部と、
前記動力発生機関の上方を車両前後方向に通過し、前端が前記第1クロス部に取り外し可能に取付けられ、後端が前記第2クロス部に取り外し可能に取付けられているアッパーテンションパイプと、からなることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記前輪懸架支持部は、前記メインフレームから上方へ延びるフロントパイプ部と、このフロントパイプ部の上部と前記メインフレームとに斜めに渡って前記フロントパイプ部を補強するフロントテンションブラケット部と、からなり、
左右一対のフロントパイプ部の上端が、前記第1クロス部で連結され、
この第1クロス部が車両前方から見て下に開くU字パイプ部で構成され、このU字パイプ部が前記左右のフロントパイプ部に連続し、
前記左右のフロントパイプ部と前記U字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記フロントパイプ部に、フロントクッションを取付けるフロントクッション取付部が設けられ、
前記第2クロス部に、リヤクッションの上部を取付けるリヤクッション取付部が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両。
【請求項4】
前記リヤクッションは、上部に対して下部が車両後方に位置するように斜めに配置され、斜めのリヤクッション軸に倣うように、前記アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成され、
前記フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両。
【請求項5】
前記アッパーテンションパイプの数は1本であり、このようなアッパーテンションパイプは車体中心線上に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両。
【請求項6】
前記第1クロス部に、ステアリングシャフトを支える前側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
前記アッパーテンションパイプの前端に前記ステアリングシャフトを支える後側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
前側ステアリングシャフト軸受け部と後側ステアリングシャフト軸受け部とを車両前後方向に合わせることで、前記ステアリングシャフトが回転自在に支えられるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両。
【請求項7】
前記左右のフロントテンションブラケットに、前記ステアリングシャフトの回転動作を補助するパワーステアリングユニットが締結されることで、このパワーステアリングユニットが前記左右のフロントテンションブラケットに挟持されていることを特徴とする請求項6項記載の車両。
【請求項8】
前記アッパーテンションパイプに、エアクリーナ、バッテリなどの補器類を支える補器類支持部と、イグニッションコイルなどの電装品を支える電装品支持部とを付属したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両。
【請求項9】
前記メインフレームは、車両前後方向の中央部に対して前部が、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなり、車両前後方向の中央部に対して後部が、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両。
【請求項10】
車両平面視で、前記左右のメインフレームの車幅方向の間隔が、中央部に対して前部及び後部が狭くなるように、前記左右のメインフレームに前部屈曲部及び後部屈曲部が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の車両。
【請求項1】
車体フレームと、この車体フレームに取付けられ動力を発生する動力発生機関と、この動力発生機関で発生した出力を車輪に伝達する動力伝達装置とを有する車両において、
前記車体フレームは、
前記動力発生機関の下方を車両前後方向に通過し後部が上方へ湾曲している、左右一対のメインフレームと、
前記メインフレームの前部から上方に延びるパイプ又はフレームで構成され前輪懸架装置を支持する、左右の前輪懸架支持部と、
前記左の前輪懸架支持部から前記右の前輪懸架支持部へ車幅方向に渡されている第1クロス部と、
前記左のメインフレームの後部の湾曲部から前記右のメインフレームの後部の湾曲部へ車幅方向に渡されている第2クロス部と、
前記動力発生機関の上方を車両前後方向に通過し、前端が前記第1クロス部に取り外し可能に取付けられ、後端が前記第2クロス部に取り外し可能に取付けられているアッパーテンションパイプと、からなることを特徴とする車両。
【請求項2】
前記前輪懸架支持部は、前記メインフレームから上方へ延びるフロントパイプ部と、このフロントパイプ部の上部と前記メインフレームとに斜めに渡って前記フロントパイプ部を補強するフロントテンションブラケット部と、からなり、
左右一対のフロントパイプ部の上端が、前記第1クロス部で連結され、
この第1クロス部が車両前方から見て下に開くU字パイプ部で構成され、このU字パイプ部が前記左右のフロントパイプ部に連続し、
前記左右のフロントパイプ部と前記U字パイプ部が一本の曲げパイプで構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両。
【請求項3】
前記フロントパイプ部に、フロントクッションを取付けるフロントクッション取付部が設けられ、
前記第2クロス部に、リヤクッションの上部を取付けるリヤクッション取付部が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両。
【請求項4】
前記リヤクッションは、上部に対して下部が車両後方に位置するように斜めに配置され、斜めのリヤクッション軸に倣うように、前記アッパーテンションパイプの後部が下向きに斜めに屈曲形成され、
前記フロントパイプ部の上部は、下より上が車両後方に位置するように屈曲形成されていることを特徴とする請求項3記載の車両。
【請求項5】
前記アッパーテンションパイプの数は1本であり、このようなアッパーテンションパイプは車体中心線上に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車両。
【請求項6】
前記第1クロス部に、ステアリングシャフトを支える前側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
前記アッパーテンションパイプの前端に前記ステアリングシャフトを支える後側ステアリングシャフト軸受け部が設けられ、
前側ステアリングシャフト軸受け部と後側ステアリングシャフト軸受け部とを車両前後方向に合わせることで、前記ステアリングシャフトが回転自在に支えられるようにしたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両。
【請求項7】
前記左右のフロントテンションブラケットに、前記ステアリングシャフトの回転動作を補助するパワーステアリングユニットが締結されることで、このパワーステアリングユニットが前記左右のフロントテンションブラケットに挟持されていることを特徴とする請求項6項記載の車両。
【請求項8】
前記アッパーテンションパイプに、エアクリーナ、バッテリなどの補器類を支える補器類支持部と、イグニッションコイルなどの電装品を支える電装品支持部とを付属したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両。
【請求項9】
前記メインフレームは、車両前後方向の中央部に対して前部が、前に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなり、車両前後方向の中央部に対して後部が、後に行くにしたがってフレームの高さ及び幅が小さくなっていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の車両。
【請求項10】
車両平面視で、前記左右のメインフレームの車幅方向の間隔が、中央部に対して前部及び後部が狭くなるように、前記左右のメインフレームに前部屈曲部及び後部屈曲部が設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−143857(P2011−143857A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7334(P2010−7334)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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