説明

車体のエンジンコンパートメント構造

【課題】安価なコストで、入力荷重に対して高い剛性を確保することができる車体のエンジンコンパートメント構造の提供を図る。
【解決手段】エンジンコンパートメント1を、これに設けた前側環状骨格部33と後側環状骨格部35とに前後に分割し、前後方向骨格部材となるフードリッジメンバ3の結合部47に、車幅方向に対向的に段差状に形成されるとともに、各端末が閉塞された閉断面に形成されて互いに車幅方向に重ね合わされて配置される一対の締結部100,101と、これら締結部100,101の先端から前記締結部100,101の重ね合わせ面102と平行に突出されて相手側骨格部材の外側面に重ね合わされるフランジ部103,104と、を設け、これら締結部100,101を車幅方向に締結するとともに、フランジ部103,104を相手側骨格部材に結合することにより、締結部100,101の閉側面同士の結合部分で荷重を負担して結合部47の結合強度を十分に確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンコンパートメントを車体前後方向に分割し、この分割部分が着脱可能に締結される車体のエンジンコンパートメント構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジンコンパートメントは、例えば車体前部に配置されており、車体前端に設けられたシュラウドメンバ、車体側部に配設された上部側のフードリッジメンバおよび下部側のサイドメンバ、これらのフードリッジメンバおよびサイドメンバの後端に配設されたダッシュパネルなどによって画成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これらのフードリッジメンバとサイドメンバは、それぞれ車両前後方向に沿って延設され、かつ上下方向に所定の間隔をおいて配置されている。
【特許文献1】特開平5−85407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来例では、エンジンコンパートメントに対して上下方向の荷重が入力された場合に、主に、フードリッジメンバやサイドメンバなどの骨格部材によって前記荷重を受ける。従って、エンジンコンパートメントの剛性を高く保持するために、フードリッジメンバなどの骨格部材の板厚を厚くしたり、高強度の材質のものを用いたりすることにより、部品コストが向上してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、安価なコストで、入力荷重に対して高い剛性を確保することができる車体のエンジンコンパートメント構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にあっては、車体に設けられたエンジンコンパートメントの上部側に配置されて車両前後方向に延在する上部骨格部材と、該上部骨格部材の下方に配置されて車両前後方向に延在する下部骨格部材と、これら上部骨格部材および下部骨格部材の前端部同士を連結する前側連結部材と、上部骨格部材および下部骨格部材の後端部同士を連結する後側連結部材と、前記前側連結部材および前記後側連結部材の間に配置されて上下方向に延び前記上部骨格部材および前記下部骨格部材を上下に連結する第1の骨格部材と、により該第1の骨格部材を境としてそれぞれ側面視で環状に構成される前側環状骨格部と後側環状骨格部とを、エンジンコンパートメントの前後に分割し、少なくとも、このエンジンコンパートメントの前後に分割されて前後方向に突き合わせて結合される骨格部材の各端部に、車幅方向に対向的に段差状に形成されるとともに、各端末が閉塞されて互いに車幅方向に重ね合わせて配置される締結部と、これら締結部の少なくとも一方から前記締結部の重ね合わせ面と平行に突出されて相手側骨格部材の外側面に重ね合わされるフランジ部と、を設け、これら締結部を前記重ね合わせ部分で車幅方向に締結するとともに、前記フランジ部を相手側骨格部材に締結したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンジンコンパートメントの前部と後部に、側面視で環状に構成された前側環状骨格部と後側環状骨格部とをそれぞれ形成しているため、車体のエンジンコンパートメント部分の剛性、特に上下方向の入力荷重に対する剛性を大幅に向上させることができる。従って、エンジンコンパートメントの構成部材の板厚を薄くすることができ、車両重量の低減およびコスト低減を図ることができる。
【0008】
また、エンジンコンパートメントが前記前側環状骨格部と前記後側環状骨格部とに前後に分割されているので、エンジンコンパートメントに搭載されるエンジンやその冷却装置およびサスペンションやステアリング装置等の各装置を、エンジンコンパートメントの分割状態で組み付けることができるため、前記各装置の搭載作業が容易になるとともに、車両の組立効率を向上させることができる。
【0009】
更に、前後分割したエンジンコンパートメントを結合するにあたって、前後方向に突き合わせて結合される骨格部材の各端部から突設した閉断面の締結部を、車幅方向に重ね合わせて、車幅方向に締結するとともに、締結部の少なくも一方から前記締結部の重ね合わせ面と平行に突出したフランジ部を相手側骨格部材に締結することにより、締結部とフランジ部との2段構えで双方の骨格部材を締結することができ、この閉断面同士の締結部の結合により該結合部分の剛性が高まるとともに、該結合部分で荷重を受け持つことができてフランジ部の締結面にかかる負荷を減少できるため、結合剛性を十分に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。なお、以下の実施形態においては、車体前部にエンジンコンパートメントを設けた車体構造の例について説明する。
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態による車体のエンジンコンパートメント構造の斜視図である。
【0012】
車体前部には、内部にエンジン等の車両部品を搭載するためのエンジンコンパートメント1(エンジンルーム)が設けられている。該エンジンコンパートメント1の左右両側の上部には、車両前後方向に沿って左右一対のフードリッジメンバ3,3が延設されており、該フードリッジメンバ3,3の前端には、下方に向けて前側連結部材5,5が延びている。
【0013】
また、フードリッジメンバ3の下方で、エンジンコンパートメント1の下端部には、平面視略H字状のサスペンションメンバ7が配設されている。該サスペンションメンバ7は、車体の左右両側に前後方向に沿って延びる側部9,9と、該側部9,9の後端同士を左右に橋渡す連結部11とから一体に形成されている。側部9の前端9aが前記前側連結部材5の下端に締結されており、側部9の後端9bが後述する取付部材13に取り付けられている。
【0014】
そして、フードリッジメンバ3の中間部とサスペンションメンバ7とは、ジョイントメンバ15(上下方向骨格部材)によって連結されている。該ジョイントメンバ15は、車両前方からみて正面視略J字状に湾曲しており、上端15aはフードリッジメンバ3の車幅方向内側の側面に締結され、下端15bはサスペンションメンバ7の側部9の中間部分に締結されている。
【0015】
更に、フードリッジメンバ3とサスペンションメンバ7との高さ方向の間には、車両前後方向に沿って延びるサイドメンバ17,19が配設されている。該サイドメンバ17,19は前後に2分割されており、前側サイドメンバ17は、前側連結部材5とジョイントメンバ15とを前後方向に沿って連結している。また、後側サイドメンバ19は、ジョイントメンバ15とダッシュパネル下部の前記取付部材13とを連結している。この取付部材13は、ダッシュパネル23の下部に配設され、ピラー部材21に繋がっている。
【0016】
つまり、前記サスペンションメンバ7の後端9bおよび後側サイドメンバ19は、取付部材13とピラー部材21とを含む後側連結部材6を介して、フードリッジメンバ3に繋がっている。
【0017】
また、エンジンコンパートメンバ1の後端には、ダッシュパネル23が配設されており、該ダッシュパネル23を介してエンジンコンパートメント1と車両室内とが画成されている。ダッシュパネル23の上部には、車幅方向に沿ってカウルボックス25が延設され、該カウルボックス25の左右両端は、左右のピラー部材21,21同士を橋渡ししている。また、カウルボックス25の左右両端とジョイントメンバ15の上端との間には、ストラットパネル27が配設されている。
【0018】
尚、フードリッジメンバ3の前端同士は、車幅方向に延びる支持メンバ29によって連結され、前側連結部材5の下端同士は、取付メンバ31によって連結されている。
【0019】
図2は、図1の側面図である。
【0020】
エンジンコンパートメント1を車体側方から見ると、前部と後部とにそれぞれ前側環状骨格部33と後側環状骨格部35とが形成されている。具体的には、前側環状骨格部33は、フードリッジメンバ3の略前半部分と、サスペンションメンバ7の略前半部分と、前側連結部材5と、ジョイントメンバ15と、から構成されて側面視略台形状に形成されている。
【0021】
また、後側環状骨格部35は、フードリッジメンバ3の略後半部と、サスペンションメンバ7の略後半部と、ジョイントメンバ15と、後側連結部材6と、から構成されて側面視略矩形状に形成されている。
【0022】
図3は図1のエンジンコンパートメントを前後に分解した状態の分解斜視図、図4は図3の分割した前側エンジンコンパートメントにエンジン等を組み付けた状態の分解斜視図である。
【0023】
ここで、前記前側環状骨格部33と前記後側環状骨格部35は、図3に示すようにエンジンコンパートメント1の前後に分割され、図4に示すように、分割した前側エンジンコンパートメント37にエンジン51等の車両部品39を搭載したのち、前側エンジンコンパートメント37を後側エンジンコンパートメント41と取付部材13に締結させることにより、車体前部の組付作業が完了する。
【0024】
前記エンジンコンパートメント1を前後に分割するにあたって、該エンジンコンパートメント1を前後に連結する骨格部材として、フードリッジメンバ3と、サスペンションメンバ7の側部9と、サイドメンバ17,19と、が存在し、本実施形態ではフードリッジメンバ3が前後に2分割されて、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45とによって構成されている。前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部47は、ジョイントメンバ15の上端15aと前側フードリッジメンバ43との連結部49の後側に設定されている。
【0025】
一方、前記サスペンションメンバ7は分割されておらず、サスペンションメンバ7の側部9の後端9bが前記取付部材13に締結されている。そして、後側サイドメンバ19の後端部は前記取付部材13に支持されており、前端部が後述するようにジョイントメンバ15に締結可能に構成されている。
【0026】
また、前記サイドメンバ17,19は、後側サイドメンバ19がジョイントメンバ15との連結部から分割され、この後側サイドメンバ19がジョイントメンバ15の上下方向中間部に締結可能に構成される。
【0027】
図5はフードリッジメンバの分割部分の斜視図、図6は分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図である。
【0028】
ここで、図5,図6に示すようにエンジンコンパートメント1の前後に分割されて前後方向に突き合わせて結合される骨格部材、つまり、本実施形態では前記フードリッジメンバ3の前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45の結合部47となる各端部に、車幅方向に対向的に段差状に形成されるとともに、各端末が閉塞されて互いに車幅方向に重ね合わせて配置される一対の締結部100,101と、これら締結部100,101の先端から前記締結部100,101の重ね合わせ面102と平行に突出されて相手側骨格部材の外側面に重ね合わされるフランジ部103,104と、が設けられている。
【0029】
ここで、前側フードリッジメンバ43に設けられる締結部を前側締結部100と称し、後側フードリッジメンバ45に設けられる締結部を後側締結部101と称するとともに、前側締結部100から突設されるフランジ部を前側フランジ部103と称し、後側締結部101から突設されるフランジ部を後側フランジ部104と称するものとする。
【0030】
前記前側締結部100は前側フードリッジメンバ43の車幅方向内方に設けられるとともに、前記後側締結部101は後側フードリッジメンバ45の車幅方向外方に設けられ、それぞれの締結部100,101の車幅方向の厚さw1,w2は、前側フードリッジメンバ43および後側フードリッジメンバ45の車幅方向幅W1,W2の略半分となり、各締結部100,101の重ね合わせ面102は前側フードリッジメンバ43および後側フードリッジメンバ45の断面中心C上に配置される。勿論、前側フードリッジメンバ43および後側フードリッジメンバ45は、1つのフードリッジメンバ3を前後に分割したものでそれぞれの一般部分の断面形状は同一となっている。
【0031】
また、前記前側フランジ部103は前側締結部100の車幅方向内側面を延長して突出させることにより形成され、前記後側フランジ部104は後側締結部101の車幅方向外側面を延長して突出させることにより形成される。
【0032】
そして、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45とを締結する際には、図6に示すように前側締結部100と後側締結部101とを互いに車幅方向に重ね合わせて、これら両締結部100,101をメインボルト105およびメインナット106により車幅方向に締結し、かつ、前側フランジ部103を相手側骨格部材である後側フードリッジメンバ45の車幅方向内面にサイドボルト107およびサイドナット108により締結するとともに、後側フランジ部104を相手側骨格部材である前側フードリッジメンバ43の車幅方向外面にサイドボルト107およびサイドナット108により締結する。
【0033】
このとき、前記メインボルト105が前側締結部100と後側締結部101を貫通する部分には、メインナット106の締付けにより両締結部100,101の潰れを防止するためにカラー109が嵌合されている。
【0034】
また、締結部100,101およびフランジ部103,104を締結した際に、両締結部100,101の閉止端100a,101aと相手側骨格部材の対向閉止端45a,43aとの間に所定間隔Sが設けられ、相互干渉による塗装剥離を防止している。
【0035】
次いで、本実施形態によるエンジンコンパートメント1の組付手順について説明する。
【0036】
まず、図4に示すように分割した前側エンジンコンパートメント37に、エンジン51と、サスペンション53と、図外のステアリングラックと、ラジエータ55と、ヘッドランプ79とを予め組み付ける。
【0037】
次に、このエンジン51等の車両部品39を組み付けた前側エンジンコンパートメント37を、後側エンジンコンパートメント41および取付部材13に締結する。これにより車体前部の組付作業が完了する。
【0038】
図7は第1実施形態によるエンジンコンパートメントに下方に向かう荷重が入力された後の変形状態を示す車体前部の側面図、図8は環状骨格部が設けられないエンジンコンパートメントに下方に向かう荷重が入力された後の変形状態を比較例として示す車体前部の側面図である。
【0039】
本実施形態によるエンジンコンパートメント1には、前述したように環状骨格部33,35が形成されて車体前部の剛性が向上している。このため、図7に示すように車体前部に下方に向けて荷重Fが入力された場合に、この荷重Fを環状骨格部33,35によって確実に受け止めるので、車体前部の下方への変形量は小さくなる。
【0040】
一方、図8に示した比較例に係るエンジンコンパートメント2には、本実施形態のような環状骨格部が設けられていない。従って、車体前部に下方への荷重Fが入力された場合に、この荷重Fをエンジンコンパートメント2で確実に受け止めることはできず、図8に示すように車体前部の下方への変形量が大きくなる。
【0041】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0042】
本実施形態のエンジンコンパートメント構造によれば、車体に設けられたエンジンコンパートメント1の上部側に配置され、車両前後方向に延設されたフードリッジメンバ3(上部骨格部材)と、該フードリッジメンバ3の下方に配置され、車両前後方向に延在されたサスペンションメンバ7(下部骨格部材)と、これらのフードリッジメンバ3およびサスペンションメンバ7の前端部同士を連結する前側連結部材5と、フードリッジメンバ3およびサスペンションメンバ7の後端部同士を連結する後側連結部材6と、前記前側連結部材5および前記後側連結部材6の間に配置されて上下方向に延び、前記フードリッジメンバ3およびサスペンションメンバ7を上下に連結するジョイントメンバ15(第1の骨格部材)とにより、前記エンジンコンパートメント1の前部と後部に、側面視で環状に構成された前側環状骨格部33と後側環状骨格部35とをそれぞれ形成している。
【0043】
このように、エンジンコンパートメント1に前側環状骨格部33および後側環状骨格部35を形成しているため、エンジンコンパートメント1の剛性が大幅に向上する。また、エンジンコンパートメント1を構成する各部材の板厚を薄くして軽量化を図っても、従来構造と同等の剛性を維持することができる。
【0044】
前記フードリッジメンバ3(上部骨格部材)とサスペンションメンバ7(下部骨格部材)との間に、前後方向に延びるサイドメンバ17,19(第2の骨格部材)を配設し、該サイドメンバ17,19によって、前記前側環状骨格部33と前記後側環状骨格部35との少なくもいずれか一方の環状部分が上下に区画されているため、エンジンコンパートメント1の剛性が更に向上する。
【0045】
また、前記前側環状骨格部33を前記後側環状骨格部35に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部33における前側フードリッジメンバ43(上部骨格部材)を、ジョイントメンバ5(第1の骨格部材)との連結部49の後側で分割して後側環状骨格部41の後側フードリッジメンバ45(上部骨格部材)に結合させることともに、サスペンションメンバ7(下部骨格部材)の後端部9bを後側連結部材6に結合させている。
【0046】
このため、前側環状骨格部33を含む前側エンジンコンパートメント37に、ヘッドランプ79、エンジン51、サスペンション53、ラジエータ55およびステアリングラック等の車両部品39を予め組み付けることができるので、車両組立工程を大幅に簡素化することができる。また、後側エンジンコンパートメント41がない状態でも、前記車両部品39を前側エンジンコンパートメント37に組み付けることができるため、車両部品39の搭載作業が非常に容易になる。
【0047】
また、本実施形態ではエンジンコンパートメント1の前後に分割されたフードリッジメンバ3の突き合わせ端部に車幅方向に対向的に段差状に設けた閉断面の前側締結部100と後側締結部101とを、車幅方向に重ね合わせて、メインボルト105,メインナット106により互いに車幅方向に締結するとともに、前側締結部100と後側締結部101との先端部から突設した前側フランジ部103と後側フランジ部104を、後側フードリッジメンバ45と前側フードリッジメンバ43の外側面に重ね合わせて、サイドボルト107,サイドボルト108により互いに締結することにより、両締結部100,101と両フランジ部103,104との2段構えで双方のフードリッジメンバ43,45を締結することができる。
【0048】
このため、閉断面同士の締結部100,101の結合により該結合部分の剛性が高まるとともに、該結合部分で荷重を受け持つことができてフランジ部103,104と相手骨格部材の締結面にかかる負荷を減少できるので、結合剛性を十分に確保することができる。
【0049】
図9は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図9は分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図である。
【0050】
図9に示す第2実施形態の車体のエンジンコンパートメント構造は、基本的に第1実施形態と略同様の構成となり、エンジンコンパートメント1が前側環状骨格部33と後側環状骨格部35とに前後に分割され、この分割の際にフードリッジメンバ3が前後に2分割される。そして、分割したフードリッジメンバ3の前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45の各端部に、閉断面の前側締結部100および後側締結部101が車幅方向に対向的に段差状に設けられるとともに、これら締結部100,101の先端から前側フランジ部103および後側フランジ部104が設けられている。
【0051】
ここで、本実施形態では、互いに車幅方向に重ね合わせて締結される前記締結部100,101の厚さw1,w2をそれぞれの対向方向で異にし、それぞれの重ね合わせ面102を、分割されたフードリッジメンバ3の断面中心Cからオフセット(オフセット量f)させてある。
【0052】
このとき、前記重ね合わせ面102の断面中心Cからのオフセット方向は、前記フードリッジメンバ3が通常入力される荷重により曲げ変形を受けた際の圧縮側としてある。
【0053】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0054】
本実施形態のエンジンコンパートメント構造によれば、前側締結部100と後側締結部101の重ね合わせ面102をフードリッジメンバ3の断面中心Cから曲げ変形の圧縮側にオフセットさせたので、前側締結部100と後側締結部101の重ね合わせ方向、つまり、本実施形態では車幅方向の荷重が作用してフードリッジメンバ3が曲げ変形される際に、前記重ね合わせ面102によって圧縮荷重を受け持つことができる。従って、前記重ね合わせ面102によって曲げモーメントの伝達に寄与できるので、前側フランジ部103および後側フランジ104への荷重入力を減少させることができる。
【0055】
図10〜図12は前記第1実施形態の第1〜第3変形例を示し、それぞれ第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図10〜図12はそれぞれ分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図である。尚、図10〜図12では、前側締結部100を前側フードリッジメンバ43の車幅方向外方に設け、後側締結部101を後側フードリッジメンバ45の車幅方向内方に設けた場合をそれぞれ示す。
【0056】
図10の第1変形例では、締結部100,101の先端から突設されたフランジ部を前側締結部100または後側締結部101のいずれか一方に設けたもので、本変形例では後側締結部101の先端から突設される後側フランジ部104のみを設けて第1実施形態と同様の作用効果が得られるようにしている。
【0057】
図11の第2変形例では、メインボルト105Aを短縮して前側締結部100と後側締結部101の重ね合わせ面102とを貫通させて、メインナット106Aで締付け固定してある。尚、後側締結部101の外側面にはメインナット106Aを挿通するための開口部101bが形成されている。また、本変形例にあっても短縮したカラー109Aが用いられる。
【0058】
従って、この第2変形例にあっても前側締結部100と後側締結部101とをメインボルト105A,メインナット106Aを介して締結できるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0059】
図12の第3変形例では、メインボルト105Bを更に短縮して前側締結部100と後側締結部101の重ね合わせ面102を貫通させて、メインナット106Bで締め付け固定してある。尚、前側締結部100および後側締結部101の外側面には、メインボルト105Bの挿通穴100bおよびメインナット106Bの挿通穴101bが形成されている。
【0060】
従って、この第3変形例にあっても前側締結部100と後側締結部101とをメインボルト105B,メインナット106Bを介して締結できるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、本変形例ではカラーを廃止できる。
【0061】
次に、本発明の第3実施形態による車体のエンジンコンパートメント構造について説明する。ただし、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0062】
図13は、第3実施形態による車体のエンジンコンパートメントを前後に分割した分解斜視図である。
【0063】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、エンジンコンパートメント1が前後に分割されて、前側エンジンコンパートメント57と後側エンジンコンパートメント59とから構成されている。また、車体側部に形成された環状骨格部についても、前後に分割されている。しかしながら、前記第1実施形態と比較すると、前側エンジンコンパートメント57と後側エンジンコンパートメント59との結合部の位置が異なっており、以下、具体的に説明する。
【0064】
フードリッジメンバ3は前後に2分割されており、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部61は、ジョイントメンバ1の上端15aと前側フードリッジメンバ43との連結部49の後側に設定されている。また、サスペンションメンバ7においては、側部9が前後に2分割されており、側部9の前部側63と後部側65とが締結可能に構成されている。これらの前部側63と後部側65との結合部66は、ジョイントメンバ15の下端と側部9の前部側63との連結部64の後側に設定されている。そして、後側サイドメンバ19の後端は前記取付部材13に支持されており、前端がジョイントメンバ15に締結可能に構成されている。
【0065】
また、本実施形態にあっても前記フードリッジメンバの分割部分、つまり、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部61に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することができる。更に、サスペンションメンバの分割部分、つまり、側部9の前部側63と後部側65との結合部66にあっても、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することができる。
【0066】
次いで、本実施形態によるエンジンコンパートメントの組付手順について説明する。
【0067】
まず、図14に示すように、分割した前側エンジンコンパートメント57にエンジン51と、ラジエータ55と、ヘッドランプ79とを組み付け、後側エンジンコンパートメント59にサスペンション53および図外のステアリングラックを組み付ける。
【0068】
その後、前側エンジンコンパートメント57を後側エンジンコンパートメント59に締結することにより、車体前部の組付作業が完了する。
【0069】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0070】
本実施形態のエンジンコンパートメント構造によれば、前側環状骨格部33を後側環状骨格部35に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部33における前側フードリッジメンバ43(上部骨格部材)を、ジョイントメンバ15(第1の骨格部材)との連結部49の後側で分割して後側環状骨格部35の後側フードリッジメンバ45に結合させるとともに、前側環状骨格部33におけるサスペンションメンバ7(下部骨格部材)を、ジョイントメンバ15との連結部64の後側で分割して後側環状骨格部35のサスペンションメンバ65(下部骨格部材)に結合させている。
【0071】
このため、前側環状骨格部33を含む前側エンジンコンパートメント57にエンジン51やラジエータ55等の車両部品を予め組み付ける一方、後側環状骨格部35を含む後側エンジンコンパートメント59にサスペンション53やステアリングラック等の車両部品を組み付けることができるので、車両組付工程を大幅に簡素化することができる。また、後側エンジンコンパートメント59が無い状態でも、前記車両部品を前側エンジンコンパートメント57および後側エンジンコンパートメント59に組み付けることができるため、車両部品の搭載作業が非常に容易になる。
【0072】
また、本実施形態にあってもフードリッジメンバの結合部61やサスペンションメンバの結合部66に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することにより、第1実施形態(第1〜第3変形例を含む)若しくは第2実施形態と同様に締結部分の結合剛性を高めることができる。
【0073】
次いで、本発明の第4実施形態による車体のエンジンコンパートメント構造について説明する。ただし、前記第1,第3実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0074】
図15は、第4実施形態による車体のエンジンコンパートメントを前後に分割した状態の分解斜視図である。
【0075】
本実施形態においても、第1,第3実施形態と同様にエンジンコンパートメント1が前後に分割されて、前側エンジンコンパートメント67と後側エンジンコンパートメント69とから構成されている。また、車体側部に形成された環状骨格部についても、前後に分割されている。しかしながら、前記第1,第3実施形態と比較すると、前側エンジンコンパートメント67と後側エンジンコンパートメント69との結合部の位置が異なっており、以下、具体的に説明する。
【0076】
本実施形態において、フードリッジメンバ3が前後に2分割されており、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部71は、ジョイントメンバ15と後側フードリッジメンバ45との連結部73の前側に設定されている。また、サスペンションメンバ7は、側部9が前後に2分割されており、その結合部75はジョイントメンバ1と側部9の後部側65との連結部77の前側に設定されている。そして、前側サイドメンバ17は前記前側連結部材5に支持されており、後端部がジョイントメンバ15に締結可能に構成されている。
【0077】
また、本実施形態にあっても前記フードリッジメンバの分割部分、つまり、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部71に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することができる。更に、サスペンションメンバの分割部分、つまり、側部9の前部側63と後部側65との結合部75にあっても、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することができる。
【0078】
次いで、本実施形態によるエンジンコンパートメントの組付手順について説明する。
【0079】
図16に示すように、分割した前側エンジンコンパートメント67にラジエータ55やヘッドランプ9を組み付け、後側エンジンコンパートメント69にサスペンション53および図外のステアリングラックを組み付ける。
【0080】
その後、前側エンジンコンパートメント67を後側エンジンコンパートメント69に締結することにより、車体前部の組付作業が完了する。
【0081】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0082】
本実施形態のエンジンコンパートメント構造によれば、前側環状骨格部33を後側環状骨格部35に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部33における前側フードリッジメンバ43(上部骨格部材)を、ジョイントメンバ15(第1の骨格部材)との連結部73の前側で分割して後側環状骨格部35の後側フードリッジメンバ45に結合させるとともに、前側環状骨格部33におけるサスペンションメンバ63(下部骨格部材)を、ジョイントメンバ15との連結部77の前側で分割して後側環状骨格部35のサスペンションメンバ65(下部骨格部材)に結合させている。
【0083】
このため、前側環状骨格部33を含む前側エンジンコンパートメント67にヘッドランプ79やラジエータ55等の車両部品を予め組み付ける一方、後側環状骨格部35を含む後側エンジンコンパートメント69にエンジン51、サスペンション53およびステアリングラック等の車両部品を組み付けることができるので、車両組付工程を大幅に簡素化することができる。
【0084】
また、ジョイントメンバ15を後側エンジンコンパートメント69に予め組み付けたため、後側エンジンコンパートメント69の形状凍結性が向上し、ストラットパネル27の取付位置の精度が安定する。
【0085】
更に、本実施形態にあってもフードリッジメンバの結合部71やサスペンションメンバの結合部75に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することにより、第1実施形態(第1〜第3変形例を含む)若しくは第2実施形態と同様に締結部分の結合剛性を高めることができる。
【0086】
次いで、本発明の第5実施形態による車体のエンジンコンパートメント構造について説明する。ただし、前記第1〜第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0087】
図17は、本発明の第5実施形態による車体のエンジンコンパートメントを前後に分割した状態の分解斜視図である。
【0088】
本実施形態においても、第1〜第4実施形態と同様に、エンジンコンパートメントが前後に分割されて、前側エンジンコンパートメント81と後側エンジンコンパートメント83とから構成されている。また、車体側部に形成された環状骨格部についても、前後に分割されている。しかしながら、前記第1〜第4実施形態と比較すると、前側エンジンコンパートメント81と後側エンジンコンパートメント83との結合部の位置が異なっており、以下具体的に説明する。
【0089】
本実施形態において、フードリッジメンバが前後に2分割されて、前側フードリッジメンバ43お後側フードリッジメンバ4とから構成されている。前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部71は、ジョイントメンバ15と後側フードリッジメンバ45との連結部73の前側に設定されている。また、サスペンションメンバは分割されておらず、サスペンションメンバの側部9の後端9bがダッシュパネル23a下部の取付部材13に締結されている。そして、前側サイドメンバ17は、前記前側連結部材5に支持されており、後端部がジョイントメンバ15に締結可能に構成されている。
【0090】
次いで、本実施形態によるエンジンコンパートメントの組付手順について説明する。
【0091】
まず、図18に示すように、分割した前側エンジンコンパートメント8に、エンジン51と、サスペンション53と、図外のステアリングラックと、ラジエータ55と、ヘッドランプ79とを予め組み付ける。
【0092】
次に、このエンジン等を組み付けた前側エンジンコンパートメント81を、後側エンジンコンパートメント83および取付部材13に締結する。これにより、車体前部の組付作業が完了する。
【0093】
また、本実施形態にあっても前記フードリッジメンバの分割部分、つまり、前側フードリッジメンバ43と後側フードリッジメンバ45との結合部71に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することができる。
【0094】
以下に、本実施形態による作用効果を説明する。
【0095】
本実施形態のエンジンコンパートメント構造によれば、前側環状骨格部33を後側環状骨格部35に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部33における前側フードリッジメンバ43(上部骨格部材)を、ジョイントメンバ15(第1の骨格部材)との連結部73の前側で分割して後側環状骨格部3の後側フードリッジメンバ45に結合させるとともに、サスペンションメンバ7(下部骨格部材)の後端部を後側連結部材6に結合させている。
【0096】
このため、前側環状骨格部33を含む前側エンジンコンパートメント81にヘッドランプ79、エンジン51、ラジエータ55およびステアリングラック等の車両部品を予め組み付けることができるので、車両組付工程を大幅に簡素化することができる。また、後側エンジンコンパートメント83が無い状態で、前記車両部品を前側エンジンコンパートメント81に組み付けることができるため、車両部品の搭載作業が非常に容易になる。
【0097】
また、ジョイントメンバ15を後側エンジンコンパートメント83に予め組み付けたため、後側エンジンコンパートメント83の形状凍結性が向上し、ストラットパネル27の取付位置の精度が安定する。
【0098】
更に、本実施形態にあってもフードリッジメンバの結合部71に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することにより、第1実施形態(第1〜第3変形例を含む)若しくは第2実施形態と同様に締結部分の結合剛性を高めることができる。
【0099】
尚、本発明は前述した実施形態に限定されること無く、本発明の技術思想に基づいて種々の変更が可能であり、例えば、前記実施形態においては、エンジンコンパートメント1を車体前部に配置した例について説明したが、このエンジンコンパートメント1を車体後部に配置しても良い。また、後側サイドメンバ19と後側連結部材6との結合に、図6または図9若しくは図10〜図12のいずれかに記載した締結構造を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1実施形態による車体のエンジンコンパートメント構造の斜視図。
【図2】図1の側面図。
【図3】図1のエンジンコンパートメントを前後に分解した状態の分解斜視図。
【図4】図3の分割した前側エンジンコンパートメントにエンジン等を組み付けた状態の分解斜視図。
【図5】フードリッジメンバの分割部分の斜視図。
【図6】フードリッジメンバの締結部分の断面図
【図7】本発明の第1実施形態によるエンジンコンパートメントに下方に向かう荷重が入力された後の変形状態を示す車体前部の側面図。
【図8】環状骨格部が設けられないエンジンコンパートメントに下方に向かう荷重が入力された後の変形状態を比較例として示す車体前部の側面図。
【図9】本発明の第2実施形態による分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図。
【図10】第1実施形態の第1変形例の分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図。
【図11】第1実施形態の第2変形例の分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図。
【図12】第1実施形態の第3変形例の分割したフードリッジメンバの締結部分の断面図。
【図13】本発明の第3実施形態による車体のエンジンコンパートメントを前後に分割した分解斜視図。
【図14】図13の分解した前側エンジンコンパートメントにエンジンおよびラジエータを組み付け、後側エンジンコンパートメントにサスペンションおよびステアリングラックを組み付けた状態の分解斜視図。
【図15】本発明の第4実施形態による車体のエンジンコンパートメントを前後に分割した状態の分解斜視図。
【図16】図15の分割した前側エンジンコンパートメントにラジエータを組み付け、後側エンジンコンパートメントにエンジン、サスペンションおよびステアリングラックを組み付けた状態の分解斜視図。
【図17】本発明の第5実施形態による車体のエンジンコンパートメントを前後に分割した状態の分解斜視図。
【図18】図17の分解した前側エンジンコンパートメントにエンジン等を組み付けた状態の分解斜視図。
【符号の説明】
【0101】
1 エンジンコンパートメント
3 フードリッジメンバ(上部骨格部材)
5 前側連結部材
6 後側連結部材
7 サスペンションメンバ(下部骨格部材)
15 ジョイントメンバ(第1の骨格部材)
17 前側サイドメンバ(第2の骨格部材)
19 後側サイドメンバ(第2の骨格部材)
33 前側環状骨格部
35 後側環状骨格部
43 前側フードリッジメンバ(上部骨格部材)
45 後側フードリッジメンバ(上部骨格部材)
47,61,66,71,75 結合部
49,64,73,77 連結部
100,101 締結部
100a,101a 締結部の先端面
102 重ね合わせ面
103,104 フランジ部
C フードリッジメンバの断面中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたエンジンコンパートメントの上部側に配置されて車両前後方向に延在する上部骨格部材と、該上部骨格部材の下方に配置されて車両前後方向に延在する下部骨格部材と、これら上部骨格部材および下部骨格部材の前端部同士を連結する前側連結部材と、上部骨格部材および下部骨格部材の後端部同士を連結する後側連結部材と、前記前側連結部材および前記後側連結部材の間に配置されて上下方向に延び前記上部骨格部材および前記下部骨格部材を上下に連結する第1の骨格部材と、により該第1の骨格部材を境としてそれぞれ側面視で環状に構成される前側環状骨格部と後側環状骨格部とを、エンジンコンパートメントの前後に分割し、
少なくとも、このエンジンコンパートメントの前後に分割されて前後方向に突き合わせて結合される骨格部材の各端部に、車幅方向に対向的に段差状に形成されるとともに、各端末が閉塞されて互いに車幅方向に重ね合わせて配置される締結部と、これら締結部の少なくとも一方から前記締結部の重ね合わせ面と平行に突出されて相手側骨格部材の外側面に重ね合わされるフランジ部と、を設け、
これら締結部を前記重ね合わせ部分で車幅方向に締結するとともに、前記フランジ部を相手側骨格部材に締結したことを特徴とする車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項2】
前記締結部の車幅方向の厚さをそれぞれの対向方向で異にし、その重ね合わせ面を、骨格部材の断面中心から車幅方向にオフセットさせたことを特徴とする請求項1に記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項3】
前記上部骨格部材と前記下部骨格部材との間に、前後方向に延びる第2の骨格部材を配設し、該第2の骨格部材によって前記前側環状骨格部および前記後側環状骨格部の少なくともいずれか一方の環状部分が上下に区画されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項4】
前記上部骨格部材はフードリッジメンバであり、前記下部骨格部材はサスペンションメンバであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項5】
前記第1の骨格部材はジョイントメンバであり、前記第2の骨格部材はサイドメンバであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項6】
前記前側環状骨格部を後側環状骨格部に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部における上部骨格部材を、第1の骨格部材との連結部の後側で分割して後側環状骨格部の上部骨格部材に結合せるとともに、下部骨格部材の後端部を後側連結部材に結合させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項7】
前記前側環状骨格部を後側環状骨格部に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部における上部骨格部材を、第1の骨格部材との連結部の後側で分割して後側環状骨格部の上部骨格部材に結合させるとともに、前側環状骨格部における下部骨格部材を、第1の骨格部材との連結部の後側で分割して後側環状骨格部の下部骨格部材に結合させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項8】
前記前側環状骨格部を前記後側環状骨格部に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部における上部骨格部材を、第1の骨格部材との連結部の前側で分割して後側環状骨格部の上部骨格部材に結合させるとともに、前側環状骨格部における下部骨格部材を、第1の骨格部材との連結部の前側で分割して後側環状骨格部の下部骨格部材に結合させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車体のエンジンコンパートメント構造。
【請求項9】
前記前側環状骨格部を前記後側環状骨格部に対して分割して別体で構成し互いに結合させる構造とし、前側環状骨格部における上部骨格部材を、第1の骨格部材との連結部の前側で分割して後側環状骨格部の上部骨格部材に結合させるとともに、下部骨格部材の後端部を後側連結部材に結合させたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車体のエンジンコンパートメント構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2008−68667(P2008−68667A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246964(P2006−246964)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】