車体のルーフ構造
【課題】本発明は、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入を抑制することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る車体のルーフ構造は、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレール20と、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメント41と、ルーフリインフォースメント41とルーフサイドレール20とを連結するマウンチングブラケット45とを備える車体のルーフ構造であって、上方へ凸な形状のマウンチングブラケット45の頂部分からそのマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結周辺部の間には、所定の側面衝突荷重が加わることで、マウンチングブラケット45の車幅方向の変形、あるいはルーフリインフォースメント41に対するマウンチングブラケット45の相対変位を促す剛性低下部が設けられている。
【解決手段】本発明に係る車体のルーフ構造は、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレール20と、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメント41と、ルーフリインフォースメント41とルーフサイドレール20とを連結するマウンチングブラケット45とを備える車体のルーフ構造であって、上方へ凸な形状のマウンチングブラケット45の頂部分からそのマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結周辺部の間には、所定の側面衝突荷重が加わることで、マウンチングブラケット45の車幅方向の変形、あるいはルーフリインフォースメント41に対するマウンチングブラケット45の相対変位を促す剛性低下部が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメントと、前記ルーフリインフォースメントと前記ルーフサイドレールとを連結するマウンチングブラケットとを備える車体のルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体のルーフ構造に関する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された車体のルーフ構造は、図12に示すように、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレール101と、左右のルーフサイドレール101間に掛け渡されて車体のルーフパネル102を支えるルーフリインフォースメント104と、前記ルーフリインフォースメント104と前記ルーフサイドレール101とを連結するマウンチングブラケット106とを備えている。
車体に対して屋根を組付ける場合には、先ず、左右のルーフサイドレール101に対してマウンチングブラケット106の基端部106kがボルト止めされる。次に、ルーフパネル102とルーフリインフォースメント104とが左右のルーフサイドレール101間に上方からセットされ、そのルーフリインフォースメント104とマウンチングブラケット106の先端部106sとがボルト止めされる。これにより、ルーフサイドレール101とルーフリインフォースメント104とがマウンチングブラケット106によって連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−254225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の車両が側面衝突されて、図12の白矢印に示すように、センタピラー107に対して衝突荷重Fが加わると、その衝突荷重がセンタピラー107からルーフサイドレール101に伝わり、マウンチングブラケット106を介してルーフリインフォースメント104とに伝わるようになる。このとき、ルーフサイドレール101とマウンチングブラケット106の連結部位C1と、マウンチングブラケット106とルーフリインフォースメント104との連結部位C2とが高さ方向に寸法Hだけずれているため、前記連結部位C2に対して図12の反時計方向(白矢印参照)の曲げモーメントが入力される。
これにより、マウンチングブラケット106がルーフリインフォースメント104の接合面から離れる方向に変形(口開き変形)し、ボルト破断が起こることがある。前記ボルトが破断すると、マウンチングブラケット106とルーフリインフォースメント104との連結が解除されるため、センタピラー107、ルーフサイドレール101の車室内への進入量が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメントと、前記ルーフリインフォースメントと前記ルーフサイドレールとを連結するマウンチングブラケットとを備える車体のルーフ構造であって、上方へ凸な形状のマウンチングブラケットの頂部分からそのマウンチングブラケットと前記ルーフリインフォースメントとの連結周辺部の間には、所定の側面衝突荷重が加わることで、前記マウンチングブラケットの車幅方向の変形、あるいは前記ルーフリインフォースメントに対する前記マウンチングブラケットの相対変位を促す剛性低下部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、剛性低下部が側面衝突荷重を受けて変形等することで、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位に入力される曲げモーメントを小さくできる。これにより、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位の連結状態が保持されるようになる。このように、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結状態が保持されるため、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入を抑えることができる。
【0008】
請求項2の発明によると、請求項1の発明において、剛性低下部は、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結周辺部において、これらの相対変位を許容する手段を備えていることを特徴とする。
これにより、マウンチングブラケットがルーフリインフォースメントに対して側面衝突荷重の方向に変位可能になり、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントの連結部位に入力される曲げモーメントを小さくできる。この結果、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位の連結状態が確保される。
【0009】
請求項3の発明によると、請求項1の発明において、剛性低下部は、マウンチングブラケットの頂部分の変形を促す手段を備えていることを特徴とする。
これにより、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位に入力される曲げモーメントを効率的に小さくできる。
【0010】
請求項4の発明によると、請求項1の発明において、剛性低下部は、マウンチングブラケットの連結周辺部の変形を促す手段、あるいはルーフリインフォースメントの連結周辺部の変形を促す手段を備えていることを特徴とする。
これにより、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位に入力される曲げモーメントを効率的に小さくできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係るルーフ構造を備える車体の模式斜視図である。
【図2】図1のII-II矢視拡大断面図である。
【図3】(A)は実施形態1に係る車体のルーフ構造を表す平面図、(B)は(A)のB-B矢視拡大断面図、(C)は(A)のC-C矢視拡大断面である。
【図4】(A)は実施形態1に係る車体のルーフ構造を表す斜視図、(B)(C)はマウンチングブラケット及びルーフリインフォースメントの異なる方向から見た斜視図、(D)は(A)のD‐D矢視拡大断面図である。
【図5】(A)は実施形態1に係る車体のルーフ構造のマウンチングブラケット及びルーフリインフォースメントに側面衝突荷重が加わったときの様子を示す断面図、(B)は従来のルーフ構造のマウンチングブラケット及びルーフリインフォースメントに側面衝突荷重が加わったときの様子を示す断面図である。
【図6】(A)(B)は実施形態1の変形例に係る車両のルーフ構造の異なる方向から見た斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は実施形態1の変形例に係る車体のルーフ構造の要部縦断面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る車体のルーフ構造を備える車体の屋根部の模式斜視図である。
【図9】実施形態2に係るルーフ構造を備える車体の屋根部を室内側から見た模式斜視図である。
【図10】(A)は図8、図9のX-X矢視断面図、(B)は(A)のBR部及びその近傍の拡大図、(C)は(B)のC−C矢視図である。
【図11】実施形態2に係る車体のルーフ構造の作用を示す縦断面図である。
【図12】従来の車体のルーフ構造を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、図1から図7に基づいて本発明の実施形態1に係る車体のルーフ構造について説明する。
ここで、図中の前後左右及び上下は、車体の前後左右及び上下に対応している。
【0014】
<車体のルーフ構造の概要ついて>
車体10の屋根部分には、図1に示すように、車幅方向両側の位置に前後方向に延びるルーフサイドレール20が設けられている。
ルーフサイドレール20は、図2(図1のII-II矢視拡大断面図)に示すように、パネル状のルーフサイドレールインナ22と、ルーフサイドレールアウタ25と、そのルーフサイドレールアウタ25の内側に接合されるルーフサイドレールリインフォース24とから構成されている。そして、ルーフサイドレールインナ22の両端縁に形成されたフランジ部22fとルーフサイドレールアウタ25の両端縁に形成されたフランジ部25fとが接合されることで筒状のルーフサイドレール20が形成される。
ルーフサイドレール20は、図1に示すように、前端部がフロントピラー(図示省略)により支持されており、中央部がセンタピラー30、後端部がリヤピラー39により支持されている。センタピラー30は、図2に示すように、センタピラーインナ32とセンタピラーリインフォース34とにより筒状に形成されている。そして、センタピラーインナ32の上端部がルーフサイドレールインナ22の車幅方向内側面に接合されており、センタピラーリインフォース34の上端部がルーフサイドレールアウタ25の車幅方向表側に接合されている。
なお、センタピラーリインフォース34の車幅方向外側は、アウタパネル36によって覆われている。
【0015】
ルーフサイドレール20の車幅方向内側には、図2等に示すように、カーテンエアバックのインフレータ15が取り付けられている。インフレータ15はエアバックを膨らますための円筒状の部材であり、ルーフサイドレール20に沿ってそのルーフサイドレール20とほぼ同じ高さ位置に配置されている。
また、車幅方向両側(左右)のルーフサイドレール20間には、車幅方向に延びるルーフリインフォースメント41と、そのルーフリインフォースメント41の両端部を左右のルーフサイドレール20にそれぞれ連結するためのマウンチングブラケット45とが設けられている。そして、ルーフリインフォースメント41上に固定された支持ブラケット43s(図2参照)によってルーフパネル43が支持されている。
【0016】
<マウンチングブラケット45について>
マウンチングブラケット45は、カーテンエアバックのインフレータ15を高さ方向に回避した状態で、ルーフリインフォースメント41をルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22に連結する部材である。
マウンチングブラケット45は、図2〜図4等に示すように、前記インフレータ15を上方から囲うように、上方へ凸な略半筒状に形成されたブラケット本体部450と、そのブラケット本体部450の周方向一端側(ルーフサイドレール20側)に形成された第1フランジ部451と、前記ブラケット本体部450の周方向他端側(ルーフリインフォースメント41側)に形成された第2フランジ部452とから構成されている。
【0017】
ブラケット本体部450は、図3(A)の平面図に示すように、第1フランジ部451側の長さ寸法(前後寸法)が第2フランジ部452側の長さ寸法(前後寸法)よりも大きく設定されている。そして、ブラケット本体部450の後端側(図3(A)において左端側)で第1フランジ部451と第2フランジ部452との後端が揃えられている。このため、ブラケット本体部450の前端(図3(A)において右端)は、平面視において第1フランジ部451側から第2フランジ部452にかけて図示後方に傾斜するように形成されている。そして、ブラケット本体部450の後端縁と前端縁とに、図4(D)等に示すように、断面略台形状に折り曲げ成形された突条部450b,450fがブラケット本体部450の周方向に延びるように形成されている。ここで、突条部450b,450fは、第1フランジ部451の位置から第2フランジ部452の位置まで連続して設けられており、ブラケット本体部450の頂部分T(図3(C)参照)に近づくにつれて凹凸が小さくなるように設定されている。このため、ブラケット本体部450の頂部分Tは他の部分よりも剛性が低下しており、ブラケット本体部450の頂部分Tは第1フランジ部451と第2フランジ部452間で潰れ易くなっている。
【0018】
マウンチングブラケット45の第1フランジ部451は、そのマウンチングブラケット45をルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22にボルト止めするための部分である。
第1フランジ部451は、図3(C)に示すように、ルーフサイドレールインナ22の車幅方向内側面に面接触が可能なように、ルーフサイドレールインナ22の傾斜に合わせてブラケット本体部450の接線方向に延びるように形成されている。さらに、第1フランジ部451は、図3(A)、図4(C)に示すように、切欠き部451cによって前後に長い前部と前後に短い後部とに分割されており、前部に二つのボルト孔451h、後部に一つのボルト孔451hが形成されている。
そして、第1フランジ部451の前端のボルト孔451hと後端のボルト孔451hとがそれぞれ突条部450f,450bの位置に形成されている。
【0019】
マウンチングブラケット45の第2フランジ部452は、ルーフリインフォースメント41を下方から支えるとともに、そのマウンチングブラケット45をルーフリインフォースメント41にボルト止めするための部分である。
第2フランジ部452は、図3(C)に示すように、ルーフリインフォースメント41の下面に面接触が可能なように、ブラケット本体部450に対して半径方向に折り曲げ形成されている。さらに、第2フランジ部452は、図3(A)、図4(B)等に示すように、切欠き部452cによって前部と後部とに分割されている。そして、第2フランジ部452の前部と後部とがそれぞれ突条部450f,450bの位置に設けられている。第2フランジ部452の前部と後部には、それぞれボルト孔452hが形成されている。
【0020】
<ルーフリインフォースメント41について>
ルーフリインフォースメント41は、ルーフパネル43等を支えるとともに、車体10が側面衝突荷重を受けたときにルーフサイドレール20及びセンタピラー30を車幅内側方向から支える部材である。ルーフリインフォースメント41には、図3(A)等に示すように、長手方向の一端側から他端側まで延びる三本の突条41tと、それらの突条41t間に設けられた直線溝41mとが形成されており、横断面形状が略波形に形成されている。これにより、側面衝突荷重に対するルーフリインフォースメント41の強度が向上するようになっている。
ルーフリインフォースメント41の長手方向両端部は、他の部分よりも若干幅広に形成されており、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452が下方から固定されるフランジ部410となっている。
ルーフリインフォースメント41のフランジ部410には、前後方向における略中央位置に半円状の切欠き部412が形成されている。そして、前記切欠き部412の前側に位置するフランジ部410の突条41tと、その切欠き部412の後側に位置するフランジ部410の突条41tとに、図4(B)等に示すように、ボルト孔410hが形成されている。フランジ部410のボルト孔410hは、図3(B)に示すように、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452のボルト孔452hと重なるように位置決めされている。
【0021】
<マウンチングブラケット45等の組付けについて>
マウンチングブラケット45は、図3(C)に示すように、そのマウンチングブラケット45の第1フランジ部451のボルト孔451h(図3(A)参照)をルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22のボルト孔(図示省略)に合わせ、第1フランジ部451とルーフサイドレールインナ22とをボルト止めすることで、ルーフサイドレール20に固定される。これにより、インフレータ15はマウンチングブラケット45によって上方から囲われるようになる。
次に、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452に対してルーフリインフォースメント41のフランジ部410が載せられて、互いのボルト孔410h,452hが合わせられる。この状態で、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452とルーフリインフォースメント41のフランジ部410とがボルト&ナットBRにより連結されることで、ルーフリインフォースメント41がマウンチングブラケット45に固定される。
前述のように、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452には、切欠き部452cが形成されており、ルーフリインフォースメント41のフランジ部410にも切欠き部412が形成されている。このため、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41とが連結された状態で、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との間には開口Hが形成されるようになる。
ここで、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452の曲げ強度は、前記ボルト&ナットBRによるマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結強度よりも小さく設定されている。
【0022】
<本実施形態に係るルーフ構造を備える車体の動作について>
本実施形態に係るルーフ構造を備える車体10に対して側面衝突荷重F(図1の白矢印参照)が加わると、その衝突荷重Fがセンタピラー30からルーフサイドレール20に伝わる。そして、図5(A)に示すように、ルーフサイドレール20からマウンチングブラケット45を介してルーフリインフォースメント41に加わるようになる。このとき、ルーフサイドレール20とマウンチングブラケット45の連結部位Zと、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位(ボルト&ナット)BRとが高さ方向に位置ずれしているため、前記連結部位(ボルト&ナット)BRに対して図5(A)において反時計方向の曲げモーメントが加わるようになる。
しかし、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452の強度は、ボルト&ナットBRによるマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結強度よりも小さく設定されているため、前記曲げモーメントによりマウンチングブラケット45の第2フランジ部452が変形するようになる。さらに、マウンチングブラケット45のブラケット本体部450の頂部分Tは、第1フランジ部451と第2フランジ部452間で潰れ易く形成されているため、衝突荷重Fにより頂部分Tが潰れるようになる。これにより、図5(B)に示すように、マウンチングブラケット45の強度が高い場合のように、マウンチングブラケット45の接合面45sがルーフリインフォースメント41の接合面41sから離れる方向に口開き変形してボルト&ナットBRが破断するようなことがなくなる。
この結果、車両側面衝突時におけるセンタピラー30等の車室内への進入を抑制できるようになる。
即ち、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452、及びブラケット本体部450の頂部分Tが本発明における剛性低下部に相当する。また、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452とその近傍、及びルーフリインフォースメント41のフランジ部410とその近傍等が本発明のマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41の連結周辺部に相当する。
【0023】
<本実施形態に係る車体のルーフ構造の長所について>
本実施形態に係る車体のルーフ構造によると、車体10に対する側面衝突荷重Fがルーフサイドレール20を介してマウンチングブラケット45及びルーフリインフォースメント41に加わったときに、マウンチングブラケット45が変形することで、そのマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位BRの連結状態が保持される。このように、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結状態が解除されないため、車両側面衝突時におけるセンタピラー30等の車室内への進入を抑えることができる。
即ち、マウンチングブラケット45の剛性低下部が側面衝突荷重を受けて変形可能なため、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位BRに入力される曲げモーメントを小さくできる。この結果、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位の連結状態が確保される。
【0024】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、実施形態1では、図4等に示すように、マウンチングブラケット45の前端縁と後端縁とに周方向に延びる突条部450f,450bを形成する例を示した。しかし、図6(A)(B)に示すように、突条部450cをマウンチングブラケット45の中央部に周方向に延びるように形成し、突条部450cから外れた位置に剛性低下部である第2フランジ部452を設ける構成でも可能である。これにより、第2フランジ部452がさらに変形し易くなる。
また、実施形態1では、図4(D)に示すように、ブラケット本体部450の頂部分Tで突条部450f,450bを浅く形成して剛性低下部とする例を示した。しかし、図6(B)に示すように、マウンチングブラケット45の第1フランジ部451の切欠き部451cを大きくして、ブラケット本体部450の頂部分Tの剛性を低下させることも可能である。
【0025】
さらに、図7(A)に示すように、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452とブラケット本体部450との境界位置453にマウンチングブラケット45の軸方向(前後方向)に延びるビード453mを形成し、この部分を剛性低下部とすることも可能である。また、図7(B)に示すように、ビード453mの代わりに部分的にスリット453sを形成することも可能である。
さらに、図7(C)に示すように、ルーフリインフォースメント41のフランジ部410の近傍位置415にルーフリインフォースメント41の幅方向(車両前後方向)に延びるビード415mを設け、この部分を剛性低下部とすることも可能である。
【0026】
[実施形態2]
以下、図8から図11に基づいて本発明の実施形態2に係る車体のルーフ構造について説明する。
本実施形態に係る車体のルーフ構造は、屋根に窓Wが設けられているパノラマルーフ構造の車両に本発明を適用した例であり、実施形態1の場合とマウンチングブラケット60とルーフリインフォースメント70との構成が相違している。なお、実施形態1の車体のルーフ構造において説明した部材と等しい部材については同符号を付して説明を省略する。
ルーフリインフォースメント70は、ルーフパネル43を支える窓枠条の部材であり、図10(A)に示すように、断面溝状に形成された外枠部72と突条状に形成された内枠部74とから構成されている。
マウンチングブラケット60は、図10(A)等に示すように、断面略逆U字形に形成されたブラケット本体部62と、そのブラケット本体部62の周方向一端側(ルーフサイドレール20側)に形成された第1フランジ部64と、前記ブラケット本体部62の周方向他端側(ルーフリインフォースメント70側)に形成された第2フランジ部66とから構成されている。そして、マウンチングブラケット60の第1フランジ部64がルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22にボルト止め可能なように構成されている。
【0027】
マウンチングブラケット60の第2フランジ部66はルーフリインフォースメント70の外枠部72を下方から支えるとともに、そのマウンチングブラケット60を外枠部72にボルト&ナットにより固定する部分である。第2フランジ部66には、図10(B)(C)に示すように、ルーフリインフォースメント70の外枠部72のボルト孔72bに対応する位置に車幅方向に延びる長穴66bが形成されている。そして、ルーフリインフォースメント70の外枠部72のボルト孔72bがマウンチングブラケット60の第2フランジ部66の長穴66bに合わされた状態で、ルーフリインフォースメント70の外枠部72とマウンチングブラケット60の第2フランジ部66とがボルト&ナットBRにより固定される。
【0028】
このように、マウンチングブラケット60の第2フランジ部66に車幅方向に延びる長穴66bが形成されているため、図11に示すように、衝突荷重Fがルーフサイドレール20を介してマウンチングブラケット60に加わったときに、マウンチングブラケット60が長穴66bの働きでルーフリインフォースメント70に対して衝突荷重Fの方向に変位可能となる。このため、マウンチングブラケット60とルーフリインフォースメント70との連結部位(ボルト&ナットBR)に入力される曲げモーメントを小さくできる。この結果、マウンチングブラケット60とルーフリインフォースメント70との連結状態が確保されるようになる。
なお、マウンチングブラケット60の第2フランジ部66に長穴66bを形成し、ルーフリインフォースメント70の外枠部72にボルト孔72bを形成する例を示したが、外枠部72に長穴、第2フランジ部66にボルト孔を形成するようにしても良い。
さらに、上方へ凸に形成されたマウンチングブラケットの頂部分からルーフリインフォースメントとの連結周辺部の間に、実施形態1及び実施形態1の変形例、ならびに実施形態2として各種例示した剛性低下分の少なくとも一つを形成することによっても、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入量を抑制できる。
【符号の説明】
【0029】
20・・・・ルーフサイドレール
30・・・・センタピラー
41・・・・ルーフリインフォースメント
415m・・ビード(剛性低下部)
45・・・・マウンチングブラケット
450・・・ブラケット本体部
T・・・・・頂部分(剛性低下部)
452・・・第2フランジ部(剛性低下部)
453s・・スリット(剛性低下部)
453m・・ビード(剛性低下部)
60・・・・マウンチングブラケット
70・・・・ルーフリインフォースメント
BR・・・・ボルト&ナット
BR・・・・連結部位
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメントと、前記ルーフリインフォースメントと前記ルーフサイドレールとを連結するマウンチングブラケットとを備える車体のルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体のルーフ構造に関する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1に記載された車体のルーフ構造は、図12に示すように、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレール101と、左右のルーフサイドレール101間に掛け渡されて車体のルーフパネル102を支えるルーフリインフォースメント104と、前記ルーフリインフォースメント104と前記ルーフサイドレール101とを連結するマウンチングブラケット106とを備えている。
車体に対して屋根を組付ける場合には、先ず、左右のルーフサイドレール101に対してマウンチングブラケット106の基端部106kがボルト止めされる。次に、ルーフパネル102とルーフリインフォースメント104とが左右のルーフサイドレール101間に上方からセットされ、そのルーフリインフォースメント104とマウンチングブラケット106の先端部106sとがボルト止めされる。これにより、ルーフサイドレール101とルーフリインフォースメント104とがマウンチングブラケット106によって連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−254225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の車両が側面衝突されて、図12の白矢印に示すように、センタピラー107に対して衝突荷重Fが加わると、その衝突荷重がセンタピラー107からルーフサイドレール101に伝わり、マウンチングブラケット106を介してルーフリインフォースメント104とに伝わるようになる。このとき、ルーフサイドレール101とマウンチングブラケット106の連結部位C1と、マウンチングブラケット106とルーフリインフォースメント104との連結部位C2とが高さ方向に寸法Hだけずれているため、前記連結部位C2に対して図12の反時計方向(白矢印参照)の曲げモーメントが入力される。
これにより、マウンチングブラケット106がルーフリインフォースメント104の接合面から離れる方向に変形(口開き変形)し、ボルト破断が起こることがある。前記ボルトが破断すると、マウンチングブラケット106とルーフリインフォースメント104との連結が解除されるため、センタピラー107、ルーフサイドレール101の車室内への進入量が大きくなる。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメントと、前記ルーフリインフォースメントと前記ルーフサイドレールとを連結するマウンチングブラケットとを備える車体のルーフ構造であって、上方へ凸な形状のマウンチングブラケットの頂部分からそのマウンチングブラケットと前記ルーフリインフォースメントとの連結周辺部の間には、所定の側面衝突荷重が加わることで、前記マウンチングブラケットの車幅方向の変形、あるいは前記ルーフリインフォースメントに対する前記マウンチングブラケットの相対変位を促す剛性低下部が設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、剛性低下部が側面衝突荷重を受けて変形等することで、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位に入力される曲げモーメントを小さくできる。これにより、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位の連結状態が保持されるようになる。このように、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結状態が保持されるため、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入を抑えることができる。
【0008】
請求項2の発明によると、請求項1の発明において、剛性低下部は、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結周辺部において、これらの相対変位を許容する手段を備えていることを特徴とする。
これにより、マウンチングブラケットがルーフリインフォースメントに対して側面衝突荷重の方向に変位可能になり、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントの連結部位に入力される曲げモーメントを小さくできる。この結果、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位の連結状態が確保される。
【0009】
請求項3の発明によると、請求項1の発明において、剛性低下部は、マウンチングブラケットの頂部分の変形を促す手段を備えていることを特徴とする。
これにより、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位に入力される曲げモーメントを効率的に小さくできる。
【0010】
請求項4の発明によると、請求項1の発明において、剛性低下部は、マウンチングブラケットの連結周辺部の変形を促す手段、あるいはルーフリインフォースメントの連結周辺部の変形を促す手段を備えていることを特徴とする。
これにより、マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結部位に入力される曲げモーメントを効率的に小さくできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態1に係るルーフ構造を備える車体の模式斜視図である。
【図2】図1のII-II矢視拡大断面図である。
【図3】(A)は実施形態1に係る車体のルーフ構造を表す平面図、(B)は(A)のB-B矢視拡大断面図、(C)は(A)のC-C矢視拡大断面である。
【図4】(A)は実施形態1に係る車体のルーフ構造を表す斜視図、(B)(C)はマウンチングブラケット及びルーフリインフォースメントの異なる方向から見た斜視図、(D)は(A)のD‐D矢視拡大断面図である。
【図5】(A)は実施形態1に係る車体のルーフ構造のマウンチングブラケット及びルーフリインフォースメントに側面衝突荷重が加わったときの様子を示す断面図、(B)は従来のルーフ構造のマウンチングブラケット及びルーフリインフォースメントに側面衝突荷重が加わったときの様子を示す断面図である。
【図6】(A)(B)は実施形態1の変形例に係る車両のルーフ構造の異なる方向から見た斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は実施形態1の変形例に係る車体のルーフ構造の要部縦断面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る車体のルーフ構造を備える車体の屋根部の模式斜視図である。
【図9】実施形態2に係るルーフ構造を備える車体の屋根部を室内側から見た模式斜視図である。
【図10】(A)は図8、図9のX-X矢視断面図、(B)は(A)のBR部及びその近傍の拡大図、(C)は(B)のC−C矢視図である。
【図11】実施形態2に係る車体のルーフ構造の作用を示す縦断面図である。
【図12】従来の車体のルーフ構造を表す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態1]
以下、図1から図7に基づいて本発明の実施形態1に係る車体のルーフ構造について説明する。
ここで、図中の前後左右及び上下は、車体の前後左右及び上下に対応している。
【0014】
<車体のルーフ構造の概要ついて>
車体10の屋根部分には、図1に示すように、車幅方向両側の位置に前後方向に延びるルーフサイドレール20が設けられている。
ルーフサイドレール20は、図2(図1のII-II矢視拡大断面図)に示すように、パネル状のルーフサイドレールインナ22と、ルーフサイドレールアウタ25と、そのルーフサイドレールアウタ25の内側に接合されるルーフサイドレールリインフォース24とから構成されている。そして、ルーフサイドレールインナ22の両端縁に形成されたフランジ部22fとルーフサイドレールアウタ25の両端縁に形成されたフランジ部25fとが接合されることで筒状のルーフサイドレール20が形成される。
ルーフサイドレール20は、図1に示すように、前端部がフロントピラー(図示省略)により支持されており、中央部がセンタピラー30、後端部がリヤピラー39により支持されている。センタピラー30は、図2に示すように、センタピラーインナ32とセンタピラーリインフォース34とにより筒状に形成されている。そして、センタピラーインナ32の上端部がルーフサイドレールインナ22の車幅方向内側面に接合されており、センタピラーリインフォース34の上端部がルーフサイドレールアウタ25の車幅方向表側に接合されている。
なお、センタピラーリインフォース34の車幅方向外側は、アウタパネル36によって覆われている。
【0015】
ルーフサイドレール20の車幅方向内側には、図2等に示すように、カーテンエアバックのインフレータ15が取り付けられている。インフレータ15はエアバックを膨らますための円筒状の部材であり、ルーフサイドレール20に沿ってそのルーフサイドレール20とほぼ同じ高さ位置に配置されている。
また、車幅方向両側(左右)のルーフサイドレール20間には、車幅方向に延びるルーフリインフォースメント41と、そのルーフリインフォースメント41の両端部を左右のルーフサイドレール20にそれぞれ連結するためのマウンチングブラケット45とが設けられている。そして、ルーフリインフォースメント41上に固定された支持ブラケット43s(図2参照)によってルーフパネル43が支持されている。
【0016】
<マウンチングブラケット45について>
マウンチングブラケット45は、カーテンエアバックのインフレータ15を高さ方向に回避した状態で、ルーフリインフォースメント41をルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22に連結する部材である。
マウンチングブラケット45は、図2〜図4等に示すように、前記インフレータ15を上方から囲うように、上方へ凸な略半筒状に形成されたブラケット本体部450と、そのブラケット本体部450の周方向一端側(ルーフサイドレール20側)に形成された第1フランジ部451と、前記ブラケット本体部450の周方向他端側(ルーフリインフォースメント41側)に形成された第2フランジ部452とから構成されている。
【0017】
ブラケット本体部450は、図3(A)の平面図に示すように、第1フランジ部451側の長さ寸法(前後寸法)が第2フランジ部452側の長さ寸法(前後寸法)よりも大きく設定されている。そして、ブラケット本体部450の後端側(図3(A)において左端側)で第1フランジ部451と第2フランジ部452との後端が揃えられている。このため、ブラケット本体部450の前端(図3(A)において右端)は、平面視において第1フランジ部451側から第2フランジ部452にかけて図示後方に傾斜するように形成されている。そして、ブラケット本体部450の後端縁と前端縁とに、図4(D)等に示すように、断面略台形状に折り曲げ成形された突条部450b,450fがブラケット本体部450の周方向に延びるように形成されている。ここで、突条部450b,450fは、第1フランジ部451の位置から第2フランジ部452の位置まで連続して設けられており、ブラケット本体部450の頂部分T(図3(C)参照)に近づくにつれて凹凸が小さくなるように設定されている。このため、ブラケット本体部450の頂部分Tは他の部分よりも剛性が低下しており、ブラケット本体部450の頂部分Tは第1フランジ部451と第2フランジ部452間で潰れ易くなっている。
【0018】
マウンチングブラケット45の第1フランジ部451は、そのマウンチングブラケット45をルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22にボルト止めするための部分である。
第1フランジ部451は、図3(C)に示すように、ルーフサイドレールインナ22の車幅方向内側面に面接触が可能なように、ルーフサイドレールインナ22の傾斜に合わせてブラケット本体部450の接線方向に延びるように形成されている。さらに、第1フランジ部451は、図3(A)、図4(C)に示すように、切欠き部451cによって前後に長い前部と前後に短い後部とに分割されており、前部に二つのボルト孔451h、後部に一つのボルト孔451hが形成されている。
そして、第1フランジ部451の前端のボルト孔451hと後端のボルト孔451hとがそれぞれ突条部450f,450bの位置に形成されている。
【0019】
マウンチングブラケット45の第2フランジ部452は、ルーフリインフォースメント41を下方から支えるとともに、そのマウンチングブラケット45をルーフリインフォースメント41にボルト止めするための部分である。
第2フランジ部452は、図3(C)に示すように、ルーフリインフォースメント41の下面に面接触が可能なように、ブラケット本体部450に対して半径方向に折り曲げ形成されている。さらに、第2フランジ部452は、図3(A)、図4(B)等に示すように、切欠き部452cによって前部と後部とに分割されている。そして、第2フランジ部452の前部と後部とがそれぞれ突条部450f,450bの位置に設けられている。第2フランジ部452の前部と後部には、それぞれボルト孔452hが形成されている。
【0020】
<ルーフリインフォースメント41について>
ルーフリインフォースメント41は、ルーフパネル43等を支えるとともに、車体10が側面衝突荷重を受けたときにルーフサイドレール20及びセンタピラー30を車幅内側方向から支える部材である。ルーフリインフォースメント41には、図3(A)等に示すように、長手方向の一端側から他端側まで延びる三本の突条41tと、それらの突条41t間に設けられた直線溝41mとが形成されており、横断面形状が略波形に形成されている。これにより、側面衝突荷重に対するルーフリインフォースメント41の強度が向上するようになっている。
ルーフリインフォースメント41の長手方向両端部は、他の部分よりも若干幅広に形成されており、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452が下方から固定されるフランジ部410となっている。
ルーフリインフォースメント41のフランジ部410には、前後方向における略中央位置に半円状の切欠き部412が形成されている。そして、前記切欠き部412の前側に位置するフランジ部410の突条41tと、その切欠き部412の後側に位置するフランジ部410の突条41tとに、図4(B)等に示すように、ボルト孔410hが形成されている。フランジ部410のボルト孔410hは、図3(B)に示すように、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452のボルト孔452hと重なるように位置決めされている。
【0021】
<マウンチングブラケット45等の組付けについて>
マウンチングブラケット45は、図3(C)に示すように、そのマウンチングブラケット45の第1フランジ部451のボルト孔451h(図3(A)参照)をルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22のボルト孔(図示省略)に合わせ、第1フランジ部451とルーフサイドレールインナ22とをボルト止めすることで、ルーフサイドレール20に固定される。これにより、インフレータ15はマウンチングブラケット45によって上方から囲われるようになる。
次に、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452に対してルーフリインフォースメント41のフランジ部410が載せられて、互いのボルト孔410h,452hが合わせられる。この状態で、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452とルーフリインフォースメント41のフランジ部410とがボルト&ナットBRにより連結されることで、ルーフリインフォースメント41がマウンチングブラケット45に固定される。
前述のように、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452には、切欠き部452cが形成されており、ルーフリインフォースメント41のフランジ部410にも切欠き部412が形成されている。このため、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41とが連結された状態で、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との間には開口Hが形成されるようになる。
ここで、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452の曲げ強度は、前記ボルト&ナットBRによるマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結強度よりも小さく設定されている。
【0022】
<本実施形態に係るルーフ構造を備える車体の動作について>
本実施形態に係るルーフ構造を備える車体10に対して側面衝突荷重F(図1の白矢印参照)が加わると、その衝突荷重Fがセンタピラー30からルーフサイドレール20に伝わる。そして、図5(A)に示すように、ルーフサイドレール20からマウンチングブラケット45を介してルーフリインフォースメント41に加わるようになる。このとき、ルーフサイドレール20とマウンチングブラケット45の連結部位Zと、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位(ボルト&ナット)BRとが高さ方向に位置ずれしているため、前記連結部位(ボルト&ナット)BRに対して図5(A)において反時計方向の曲げモーメントが加わるようになる。
しかし、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452の強度は、ボルト&ナットBRによるマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結強度よりも小さく設定されているため、前記曲げモーメントによりマウンチングブラケット45の第2フランジ部452が変形するようになる。さらに、マウンチングブラケット45のブラケット本体部450の頂部分Tは、第1フランジ部451と第2フランジ部452間で潰れ易く形成されているため、衝突荷重Fにより頂部分Tが潰れるようになる。これにより、図5(B)に示すように、マウンチングブラケット45の強度が高い場合のように、マウンチングブラケット45の接合面45sがルーフリインフォースメント41の接合面41sから離れる方向に口開き変形してボルト&ナットBRが破断するようなことがなくなる。
この結果、車両側面衝突時におけるセンタピラー30等の車室内への進入を抑制できるようになる。
即ち、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452、及びブラケット本体部450の頂部分Tが本発明における剛性低下部に相当する。また、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452とその近傍、及びルーフリインフォースメント41のフランジ部410とその近傍等が本発明のマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41の連結周辺部に相当する。
【0023】
<本実施形態に係る車体のルーフ構造の長所について>
本実施形態に係る車体のルーフ構造によると、車体10に対する側面衝突荷重Fがルーフサイドレール20を介してマウンチングブラケット45及びルーフリインフォースメント41に加わったときに、マウンチングブラケット45が変形することで、そのマウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位BRの連結状態が保持される。このように、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結状態が解除されないため、車両側面衝突時におけるセンタピラー30等の車室内への進入を抑えることができる。
即ち、マウンチングブラケット45の剛性低下部が側面衝突荷重を受けて変形可能なため、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位BRに入力される曲げモーメントを小さくできる。この結果、マウンチングブラケット45とルーフリインフォースメント41との連結部位の連結状態が確保される。
【0024】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、実施形態1では、図4等に示すように、マウンチングブラケット45の前端縁と後端縁とに周方向に延びる突条部450f,450bを形成する例を示した。しかし、図6(A)(B)に示すように、突条部450cをマウンチングブラケット45の中央部に周方向に延びるように形成し、突条部450cから外れた位置に剛性低下部である第2フランジ部452を設ける構成でも可能である。これにより、第2フランジ部452がさらに変形し易くなる。
また、実施形態1では、図4(D)に示すように、ブラケット本体部450の頂部分Tで突条部450f,450bを浅く形成して剛性低下部とする例を示した。しかし、図6(B)に示すように、マウンチングブラケット45の第1フランジ部451の切欠き部451cを大きくして、ブラケット本体部450の頂部分Tの剛性を低下させることも可能である。
【0025】
さらに、図7(A)に示すように、マウンチングブラケット45の第2フランジ部452とブラケット本体部450との境界位置453にマウンチングブラケット45の軸方向(前後方向)に延びるビード453mを形成し、この部分を剛性低下部とすることも可能である。また、図7(B)に示すように、ビード453mの代わりに部分的にスリット453sを形成することも可能である。
さらに、図7(C)に示すように、ルーフリインフォースメント41のフランジ部410の近傍位置415にルーフリインフォースメント41の幅方向(車両前後方向)に延びるビード415mを設け、この部分を剛性低下部とすることも可能である。
【0026】
[実施形態2]
以下、図8から図11に基づいて本発明の実施形態2に係る車体のルーフ構造について説明する。
本実施形態に係る車体のルーフ構造は、屋根に窓Wが設けられているパノラマルーフ構造の車両に本発明を適用した例であり、実施形態1の場合とマウンチングブラケット60とルーフリインフォースメント70との構成が相違している。なお、実施形態1の車体のルーフ構造において説明した部材と等しい部材については同符号を付して説明を省略する。
ルーフリインフォースメント70は、ルーフパネル43を支える窓枠条の部材であり、図10(A)に示すように、断面溝状に形成された外枠部72と突条状に形成された内枠部74とから構成されている。
マウンチングブラケット60は、図10(A)等に示すように、断面略逆U字形に形成されたブラケット本体部62と、そのブラケット本体部62の周方向一端側(ルーフサイドレール20側)に形成された第1フランジ部64と、前記ブラケット本体部62の周方向他端側(ルーフリインフォースメント70側)に形成された第2フランジ部66とから構成されている。そして、マウンチングブラケット60の第1フランジ部64がルーフサイドレール20のルーフサイドレールインナ22にボルト止め可能なように構成されている。
【0027】
マウンチングブラケット60の第2フランジ部66はルーフリインフォースメント70の外枠部72を下方から支えるとともに、そのマウンチングブラケット60を外枠部72にボルト&ナットにより固定する部分である。第2フランジ部66には、図10(B)(C)に示すように、ルーフリインフォースメント70の外枠部72のボルト孔72bに対応する位置に車幅方向に延びる長穴66bが形成されている。そして、ルーフリインフォースメント70の外枠部72のボルト孔72bがマウンチングブラケット60の第2フランジ部66の長穴66bに合わされた状態で、ルーフリインフォースメント70の外枠部72とマウンチングブラケット60の第2フランジ部66とがボルト&ナットBRにより固定される。
【0028】
このように、マウンチングブラケット60の第2フランジ部66に車幅方向に延びる長穴66bが形成されているため、図11に示すように、衝突荷重Fがルーフサイドレール20を介してマウンチングブラケット60に加わったときに、マウンチングブラケット60が長穴66bの働きでルーフリインフォースメント70に対して衝突荷重Fの方向に変位可能となる。このため、マウンチングブラケット60とルーフリインフォースメント70との連結部位(ボルト&ナットBR)に入力される曲げモーメントを小さくできる。この結果、マウンチングブラケット60とルーフリインフォースメント70との連結状態が確保されるようになる。
なお、マウンチングブラケット60の第2フランジ部66に長穴66bを形成し、ルーフリインフォースメント70の外枠部72にボルト孔72bを形成する例を示したが、外枠部72に長穴、第2フランジ部66にボルト孔を形成するようにしても良い。
さらに、上方へ凸に形成されたマウンチングブラケットの頂部分からルーフリインフォースメントとの連結周辺部の間に、実施形態1及び実施形態1の変形例、ならびに実施形態2として各種例示した剛性低下分の少なくとも一つを形成することによっても、車両側面衝突時におけるセンタピラー等の車室内への進入量を抑制できる。
【符号の説明】
【0029】
20・・・・ルーフサイドレール
30・・・・センタピラー
41・・・・ルーフリインフォースメント
415m・・ビード(剛性低下部)
45・・・・マウンチングブラケット
450・・・ブラケット本体部
T・・・・・頂部分(剛性低下部)
452・・・第2フランジ部(剛性低下部)
453s・・スリット(剛性低下部)
453m・・ビード(剛性低下部)
60・・・・マウンチングブラケット
70・・・・ルーフリインフォースメント
BR・・・・ボルト&ナット
BR・・・・連結部位
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメントと、前記ルーフリインフォースメントと前記ルーフサイドレールとを連結するマウンチングブラケットとを備える車体のルーフ構造であって、
上方へ凸な形状のマウンチングブラケットの頂部分からそのマウンチングブラケットと前記ルーフリインフォースメントとの連結周辺部の間には、所定の側面衝突荷重が加わることで、前記マウンチングブラケットの車幅方向の変形、あるいは前記ルーフリインフォースメントに対する前記マウンチングブラケットの相対変位を促す剛性低下部が設けられていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項2】
請求項1に記載された車体のルーフ構造であって、
前記剛性低下部は、前記マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結周辺部において、これらの相対変位を許容する手段を備えていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項3】
請求項1に記載された車体のルーフ構造であって、
前記剛性低下部は、前記マウンチングブラケットの頂部分の変形を促す手段を備えていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項4】
請求項1に記載された車体のルーフ構造であって、
前記剛性低下部は、前記マウンチングブラケットの連結周辺部の変形を促す手段、あるいはルーフリインフォースメントの連結周辺部の変形を促す手段を備えていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項1】
車体の幅方向両側で前後方向に延びるルーフサイドレールと、車体のルーフパネルを支えるルーフリインフォースメントと、前記ルーフリインフォースメントと前記ルーフサイドレールとを連結するマウンチングブラケットとを備える車体のルーフ構造であって、
上方へ凸な形状のマウンチングブラケットの頂部分からそのマウンチングブラケットと前記ルーフリインフォースメントとの連結周辺部の間には、所定の側面衝突荷重が加わることで、前記マウンチングブラケットの車幅方向の変形、あるいは前記ルーフリインフォースメントに対する前記マウンチングブラケットの相対変位を促す剛性低下部が設けられていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項2】
請求項1に記載された車体のルーフ構造であって、
前記剛性低下部は、前記マウンチングブラケットとルーフリインフォースメントとの連結周辺部において、これらの相対変位を許容する手段を備えていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項3】
請求項1に記載された車体のルーフ構造であって、
前記剛性低下部は、前記マウンチングブラケットの頂部分の変形を促す手段を備えていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【請求項4】
請求項1に記載された車体のルーフ構造であって、
前記剛性低下部は、前記マウンチングブラケットの連結周辺部の変形を促す手段、あるいはルーフリインフォースメントの連結周辺部の変形を促す手段を備えていることを特徴とする車体のルーフ構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−28216(P2013−28216A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164099(P2011−164099)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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