説明

車体の屋根構造

【課題】断面が略Z形のスティフナの両端部を、上下方向の寸法が異なる2種類のルーフボウに結合することができる車体の屋根構造を提供する。
【解決手段】上下方向の寸法が異なるルーフボウ40,50間に、断面が略Z形のスティフナ35が配置されている。ルーフボウ40に取付けられたブラケット70Aは、スティフナ35の上フランジ60を支持する上壁部71と、スティフナ35の縦フランジ61に沿う縦壁部72と、スティフナ35の下フランジ62を支持する下壁部73とを有している。下壁部73は、底部73aと、底部73aよりも一段高い段差部73bとを含んでいる。底部73aは、上下方向の寸法W5が大きいルーフボウ50の下面壁50dに対応した高さに形成されている。段差部73bは、上下方向の寸法W2が小さいルーフボウ40の下面壁40dよりも高い位置に形成されている。ブラケット70Aの上壁部71と段差部73bとがルーフボウ40の上下方向の壁40bに溶接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば大型バス等の車両のルーフ部に適用される車体の屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大型バス等の車両に適用される従来の屋根構造の一例では、ルーフ部の両側部に配置され車体前後方向に延びる左右一対のサイドルーフレールと、これらサイドルーフレール間に車体前後方向に間隔をなして配置され車体の幅方向に延びる複数のルーフボウと、ルーフボウに取付けられ車体の前後方向に延びる複数のスティフナなどを備えている。そしてこれらスティフナによって、車室の天井を構成する内張材などを取付けるようにしている。(例えば下記の特許文献1参照)
また大型観光バスでは乗客の見晴らしを良くするために、客室の床面を高くしたいわゆるハイデッカー車(high deck body)が採用されることがある。しかし床面位置が高くなると、天井が高くなり、車両重心位置も高くなるなど、走行安定性に影響が生じることが考えられる。そのため車体を軽くして車体の剛性を大きくすることが望まれている。
【0003】
そこでルーフ部の軽量化を図るために、ルーフ部の剛性分布の最適化を解析することにより、比較的大きな剛性が必要とされる箇所には断面の大きな角パイプからなるルーフボウを配置し、比較的剛性が小さくてよい箇所に断面の小さな角パイプからなるルーフボウを配置することが考えられている。
【特許文献1】実公昭63−33741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のようにサイズが異なる複数種類のルーフボウは、それぞれの下面の高さが異なるため、2種類のルーフボウ間にスティフナを配置する場合に、共通形状のブラケットを用いると、スティフナの両端部の高さが揃わなくなる。そこでスティフナの両端部の高さを同じにするために、スティフナの一方の端部に高さ調整用の加工部を形成することが行なわれている。
【0005】
しかし大型バスのルーフ部には長さが異なるスティフナが多数使用されるため、スティフナごとに高さ調整用の加工部を形成すると、多くの種類のスティフナが必要となり、スティフナの製作や部品管理のために多くの労力とコストがかかってしまう。このためスティフナの種類を可能な限り少なくすることが望まれている。
【0006】
従って本発明の目的は、上下方向の寸法が異なる前後のルーフボウに、スティフナの両端部を結合することができる車体の屋根構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の屋根構造は、車体のルーフ部の両側部に設けられ車体前後方向に延在する一対のサイドルーフレールと、前記一対のサイドルーフレール間で車体幅方向に延在し、車体前後方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが閉断面構造をなしかつ互いに上下方向の寸法が異なる少なくとも2種類のルーフボウと、前記2種類のルーフボウ間に車体幅方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが車体前後方向に延在し、上フランジと下フランジおよびこれらフランジ間に設けられた縦フランジを有する断面略Z形のスティフナと、前記2種類のルーフボウの前記スティフナを結合する部位にそれぞれ取付けられたブラケットとを有している。
【0008】
前記ブラケットは、前記スティフナの前記上フランジを支持する上壁部と、前記スティフナの前記縦フランジに沿う縦壁部と、前記スティフナの前記下フランジを支持する下壁部とを有し、前記下壁部は、前記2種類のルーフボウのうち上下方向の寸法が大きい方のルーフボウの下面壁に対応した高さに形成されて前記スティフナの前記下フランジを上方から重ねた状態で固定する底部と、前記ルーフボウ寄りの端部に前記底部よりも一段高く形成され、前記2種類のルーフボウのうち上下方向の寸法が小さい方のルーフボウの下面壁よりも高い位置に設けられた段差部とを含み、前記ブラケットの前記上壁部と前記段差部とを上下方向の寸法が小さい方のルーフボウの上下方向に沿う壁に溶接する。
【0009】
本発明の1つの形態では、前記ブラケットの前記底部に、前記スティフナの前記下フランジを前記縦壁部との間で挟むことにより前記スティフナの車体幅方向の位置を規制する曲げ部が設けられている。この構成によれば、スティフナの前記下フランジを前記曲げ部と前記縦壁部との間で挟むことにより該スティフナの車体幅方向の位置を規制することができる。
【0010】
また前記曲げ部の上端を前記縦壁部側に曲げることにより、前記スティフナが前記ブラケットにスポット溶接される際に、前記スティフナの下フランジが前記ブラケットの下壁部から離れることを抑制できるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の屋根構造によれば、車体のルーフ部の軽量化のために複数種類のルーフボウが使用される場合に、上下方向の寸法が互いに異なる2種類のルーフボウ間に配置されるスティフナの両端部をそれぞれブラケットを介してルーフボウに結合することができ、しかもスティフナの両端部の高さを揃えることができる。このため上下方向の寸法が互いに異なるルーフボウが使用されても、これらルーフボウに結合されるスティフナの下面の高さが揃うため、スティフナに取付ける内張材などの車内側の部品を体裁良く支持することができる。そしてこのスティフナは、従来のようにスティフナの一方の端部に高さ調整用の加工部を形成する必要がなく、長手方向に断面が変化しない材料を所望長さに切断して用いることができる。
【0012】
請求項2の屋根構造によれば、ブラケットにスティフナを溶接する際に、予めルーフボウに取付けられているブラケットに対してスティフナの車体幅方向の位置を規制することができ、スティフナをルーフボウの所定位置に結合することができる。
請求項3の屋根構造によれば、スティフナの上フランジをブラケットの上壁部にスポット溶接する際に、スティフナの下フランジがブラケットの下壁部から浮き上がってしまうことを防止でき、下フランジとブラケットの下壁部とを確実にスポット溶接することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の第1の実施形態に係る屋根構造について、図1から図6を参照して説明する。
図1は、車両10の一例として大型バスを示している。この車両10の車体11の上部に、本発明に係る屋根構造を備えたルーフ部12が設けられている。ルーフ部12は、骨組構体13と、骨組構体13の外側に設けられたルーフパネル14などによって構成されている。
【0014】
図2は、ルーフ部12を構成する骨組構体13の一部を示している。骨組構体13は、車体11の前後方向に延在する左右一対のサイドルーフレール20,21と、上下方向に延びる複数のウインドピラー22を含んでいる。サイドルーフレール20,21は、車体11の両側部に設けられ、それぞれが矩形断面の金属パイプからなり、閉断面構造をなしている。
【0015】
車体11の一方の側部に設けられたウインドピラー22の上端は、一方のサイドルーフレール20に結合されている。車体11の他方の側部に設けられたウインドピラー22の上端は、他方のサイドルーフレール21に結合されている。
【0016】
サイドルーフレール20,21間に、互いにサイズが異なる2種類のルーフボウユニット31,32が車体11の前後方向(図2に矢印Xで示す方向)に間隔をあけて交互に配置されている。これら2種類のルーフボウユニット31,32は、車体11の幅方向(図2に矢印Yで示す方向)に延びている。これ以降、矢印Xで示す方向を車体前後方向と呼び、矢印Yで示す方向を車体幅方向と呼ぶ。ルーフボウユニット31,32間に、車体前後方向に延びる複数のスティフナ(stiffener)35が配置されている。スティフナ35は、車体幅方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0017】
前記2種類のルーフボウユニット31,32のうち一方のルーフボウユニット31は、サイドルーフレール20,21のウインドピラー22が設けられていない個所において、サイドルーフレール20,21の上面側に配置されている。これ以降、一方のルーフボウユニット31を第1のルーフボウユニットと呼ぶ。
【0018】
前記2種類のルーフボウユニット31,32のうち他方のルーフボウユニット32は、サイドルーフレール20,21のウインドピラー22が設けられている個所、すなわち大きな剛性が必要とされる箇所において、サイドルーフレール20,21の上面側に配置されている。これ以降、このルーフボウユニット32を第2のルーフボウユニットと呼ぶ。
【0019】
第1のルーフボウユニット31と第2のルーフボウユニット32のそれぞれの一方の端部が、一方のサイドルーフレール20に結合されている。ルーフボウユニット31,32のそれぞれの他方の端部が、他方のサイドルーフレール21に結合されている。
【0020】
第1のルーフボウユニット31は、車体幅方向に延在するパイプ状の第1のルーフボウ40と、閉断面構造の第1のサイドルーフクロスボウ41(図2に示す)とによって構成されている。
【0021】
図3に示されるように第1のルーフボウ40は、矩形断面の金属パイプ、例えば一辺の長さW1,W2が40mmの断面がほぼ正方形の角パイプからなり、上面壁40aと、上下方向に沿う前側の壁40bと、後側の壁40cと、下面壁40dとを有し、閉断面構造をなしている。
【0022】
第1のサイドルーフクロスボウ41(図2に示す)は、車体11の側方から見て、上部から下部に向って扇形に広がる形状をなしている。第1のサイドルーフクロスボウ41の下部の幅W3は、第1のルーフボウ40の幅W1よりも大きい。第1のサイドルーフクロスボウ41の上部は、第1のルーフボウ40の車体幅方向の端部に溶接によって結合されている。第1のサイドルーフクロスボウ41の下部は、サイドルーフレール20に溶接によって結合されている。
【0023】
第2のルーフボウユニット32は、前記第1のルーフボウユニット31と比較してサイズが大きい点を除き、基本的な構成は第1のルーフボウユニット31と共通である。第2のルーフボウユニット32は、車体幅方向に延在するパイプ状の第2のルーフボウ50と、閉断面構造の第2のサイドルーフクロスボウ51(図2に示す)とによって構成されている。
【0024】
第2のルーフボウ50は、第1のルーフボウ40よりも外形寸法の大きい矩形断面の金属パイプによって構成されている。例えば第2のルーフボウ50は一辺の長さW4,W5が50mmの断面がほぼ正方形の角パイプからなり、上面壁50aと、上下方向に沿う前側の壁50bと、後側の壁50cと、下面壁50dとを有している。スティフナ35の高さH(図3に示す)は、第2のルーフボウ50の上下方向の寸法W5と同等である。
【0025】
第2のサイドルーフクロスボウ51(図2に示す)は、車体11の側方から見て、上部から下部に向って扇形に広がる形状をなしている。第2のサイドルーフクロスボウ51の下部の幅W6(図2に示す)は、第1のサイドルーフクロスボウ41の幅W3よりも大きい。第2のサイドルーフクロスボウ51の上部は、第2のルーフボウ50の車体幅方向の端部に溶接によって結合されている。第2のサイドルーフクロスボウ51の下部は、サイドルーフレール20に溶接によって結合されている。
【0026】
以上説明した第1のルーフボウユニット31と、第2のルーフボウユニット32との間に、車体前後方向に延びる複数のスティフナ35が配置されている。これらのスティフナ35は、車体幅方向に間隔をあけて互いに略平行に配置されている。各スティフナ35はそれぞれ、略水平方向に延びる上フランジ60と、上下方向に延びる縦フランジ61と、縦フランジ61の下端から略水平方向に延びる下フランジ62とを備え、断面が略Z形をなしている。
【0027】
図3において右半分に示されている一方のスティフナ35は、第1のルーフボウ40の前側の壁40bに取付けられた第1のブラケット70Aと、第2のルーフボウ50の後側の壁50cに取付けられた第2のブラケット80Aとを介して、ルーフボウ40,50に結合されている。
【0028】
図3において左半分に示されている他方のスティフナ35は、第1のルーフボウ40の後側の壁40cに取付けられた第2のブラケット80Bと、第2のルーフボウ50の前側の壁50bに取付けられた第1のブラケット70Bとを介して、ルーフボウ40,50に結合されている。第1のブラケット70A,70Bは互いに共通の形状である。第2のブラケット80A,80Bも互いに共通の形状であるが、それぞれ第1のブラケット70A,70Bとは左右対称な形状をなしている。
【0029】
以下に、第1のルーフボウ40の前側の壁40bに取付けられている第1のブラケット70Aと、第2のルーフボウ50の後側の壁50cに取付けられている第2のブラケット80Aを代表して説明する。
【0030】
第1のブラケット70Aは、水平方向に延びる上壁部71と、上下方向に延びる縦壁部72と、縦壁部72の下端から水平方向に延びる下壁部73とを有し、断面が略Z形となっている。上壁部71は、スティフナ35の上フランジ60を支持することができるように、水平方向に延びている。
【0031】
下壁部73は、スティフナ35の下フランジ62を支持するための底部73aと、底部73aよりも一段高い段差部73bとを備えている。底部73aは、第2のルーフボウ50の下面壁50dと対応した高さ(底部73aと下面壁50dとが略面一)に形成され、略水平方向に延びている。
【0032】
段差部73bは、第1のブラケット70Aの端部、すなわちルーフボウ40寄りの端部に形成されている。段差部73bは下壁部73よりも例えば10mm以上高い位置に形成され、上壁部71と段差部73bとを第1のルーフボウ40の上下方向に沿う壁40bに溶接することができるようになっている。図4中の符号P1は、その溶接部を示している。このブラケット70Aは、スティフナ35が溶接される前に、予め第1のルーフボウ40に溶接されている。
【0033】
図3から図5に示すように、ブラケット70Aの上壁部71の上からスティフナ35の上フランジ60を重ね、かつ、ブラケット70Aの下壁部73の底部73aの上からスティフナ35の下フランジ62を重ね、さらにスティフナ35の縦フランジ61をブラケット70Aの縦壁部72に沿わせることにより、ブラケット70Aに対するスティフナ35の位置決めをなすことができる。
【0034】
そしてブラケット70Aの上壁部71とスティフナ35の上フランジ60とを、溶接部P2においてスポット溶接によって結合する。また、ブラケット70Aの下壁部73の底部73aとスティフナ35の下フランジ62とを、溶接部P3においてスポット溶接する。こうしてスティフナ35の一方の端部35aが、ブラケット70Aを介して第1のルーフボウ40に結合される。
【0035】
図3と図6に示されるように、第2のブラケット80Aは、水平方向に延びる上壁部81と、上下方向に延びる縦壁部82と、縦壁部82の下端から水平方向に延びる下壁部83とを有し、断面が略Z形となっている。上壁部81は、スティフナ35の上フランジ60を支持することができるように、水平方向に延びている。第2のブラケット80Aの上下方向の寸法は、第1のブラケット70Aの上下方向の寸法と同じである。
【0036】
下壁部83は、スティフナ35の下フランジ62を支持するための底部83aと、底部83aよりも一段高い段差部83bとを備えている。底部83aは、第2のルーフボウ50の下面壁50dと対応した高さ(底部83aと下面壁50dとが略面一)に形成され、略水平方向に延びている。
【0037】
段差部83bは、第2のブラケット80Aの端部、すなわちルーフボウ50寄りの端部に形成されている。段差部83bは下壁部83よりも例えば10mm以上高い位置に形成されている。そして上壁部81と段差部83bとが、第2のルーフボウ50の上下方向に沿う壁50cに溶接されている。図6中の符号P5は、その溶接部の一部を示している。このブラケット80Aは、スティフナ35が溶接される前に、予め第2のルーフボウ50に溶接されている。
【0038】
図3と図6に示すように、ブラケット80Aの上壁部81の上からスティフナ35の上フランジ60を重ね、かつ、ブラケット80Aの下壁部83の底部83aの上からスティフナ35の下フランジ62を重ね、さらにスティフナ35の縦フランジ61をブラケット80Aの縦壁部82に沿わせることにより、ブラケット80Aに対するスティフナ35の位置決めをなすことができる。
【0039】
そしてブラケット80Aの上壁部81とスティフナ35の上フランジ60とを、溶接部P6においてスポット溶接によって結合する。また、ブラケット80Aの下壁部83の底部83aとスティフナ35の下フランジ62とを、溶接部P7においてスポット溶接する。こうしてスティフナ35の他方の端部35bがブラケット80Aを介して第2のルーフボウ50に結合される。
【0040】
なお、図3において左半分に示された他方のスティフナ35は、その一方の端部35aが第1のブラケット70Bを介してルーフボウ50に結合され、スティフナ35の他方の端部35bが第2のブラケット80Bを介してルーフボウ40に結合されている。これらブラケット70B,80Bの構成は、前記ブラケット70A,80Aと共通である。
【0041】
以上説明したように本実施形態では、ルーフ部12の軽量化を図るために、第1のルーフボウ40の幅と上下方向の寸法W1,W2を、第2のルーフボウ50の幅と上下方向の寸法W4,W5よりも小さくしている。このため第1のルーフボウ40の下面壁40dの高さと、第2のルーフボウ50の下面壁50dの高さとが互いに異なっている。しかし、これら2種類のサイズのルーフボウ40,50に、上下方向の寸法が共通の第1のブラケット70A,70Bと第2のブラケット80A,80Bを介して、それぞれのスティフナ35の両端部35a,35bを結合することができるとともに、スティフナ35の両端部35a,35bの高さを揃えることができる。
【0042】
このためスティフナ35の下方に配置されるトリム材などの内張材を、高さが揃っているスティフナ35によって体裁良く支持することができる。またスティフナ35は、その全長にわたって長手方向各部の断面形状が一定(略Z形の断面)であるから、予め長尺に製作しておいたスティフナ用のZ材を、スティフナ35の要求長さに応じて切断するだけでそのまま使用することができる。
【0043】
よって、各種長さのスティフナ35に対応することができ、スティフナ35の製造や在庫管理等が容易となる。しかも断面が略Z形のスティフナ35とブラケット70A,70B,80A,80Bを用いているため、従来のハット形断面のスティフナおよびブラケットと比較して、ルーフ部12を軽量化することができるという利点もある。
【0044】
さらに、第1のルーフボウ40の上面壁40aと、第2のルーフボウ50の上面壁50aと、スティフナ35の上フランジ60の上面とを、それぞれ略面一にしたことにより、ルーフパネル14の溶接が容易となり、ルーフパネル14とスティフナ35との溶接品質を容易に確保することができる。
【0045】
図7と図8は、本発明の第2の実施形態に係るブラケット70´,80´を示している。この実施形態の場合、第1のブラケット70´の下壁部73の底部73aの側縁に、スティフナ35の下フランジ62を位置決めするための曲げ部90が形成されている。曲げ部90の先端(上端)は、縦壁部72と曲げ部90との間で下フランジ62を保持することができるように、縦壁部72に向けて少し曲がった形状となっている。
【0046】
スティフナ35の下フランジ62を、縦壁部72と曲げ部90との間に挿入することにより、ブラケット70´に対するスティフナ35の車体幅方向の位置、すなわちルーフボウ40に対するスティフナ35の位置を規制することができる。また、縦壁部72と曲げ部90とによって下フランジ62を押さえることができるため、上側の溶接部P2をスポット溶接する際、溶接ガンによって上フランジ60と上壁部71とがクランプされた状態において、下フランジ62がブラケット70´の下壁部83から離れてしまうことを防止できる。このため下側の溶接部P3も確実にスポット溶接することができる。
【0047】
第2のブラケット80´の下壁部83にも、前記ブラケット70´の曲げ部90と同様の目的で、曲げ部91が形成されている。この第2の実施形態(図7と図8)の構成と作用については、前記曲げ部90,91以外は第1の実施形態と共通であるため、両者に共通の符号を付して説明を省略する。
【0048】
なお本発明を実施するに当たって、サイドルーフレール、ルーフボウ、スティフナ、ブラケットをはじめとして、本発明の構成要素の構造及び配置等を適宜に変更して実施できることは言うまでもない。例えばルーフボウのサイズが2種類以上あってもよい。また、車体の態様についても前記実施形態に制約されることはなく、種々に変更して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両のルーフ部を一部破断して示す斜視図。
【図2】図1に示されたルーフ部の一部を拡大して示す斜視図。
【図3】図2に示されたルーフ部の一部の車体前後方向に沿う断面図。
【図4】図2に示されたルーフ部のルーフボウとスティフナとの結合部を示す斜視図。
【図5】図3中のF5−F5線に沿う断面図。
【図6】図3中のF6−F6線に沿う断面図。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るブラケットを備えたルーフ部の一部の斜視図。
【図8】図7に示されたルーフ部の一部の車体幅方向に沿う断面図。
【符号の説明】
【0050】
11…車体
12…ルーフ部
20,21…サイドルーフレール
35…スティフナ
40…第1のルーフボウ
50…第2のルーフボウ
60…上フランジ
61…縦フランジ
62…下フランジ
70A,70B…第1のブラケット
71…上壁部
72…縦壁部
73…下壁部
73a…底部
73b…段差部
80A,80B…第2のブラケット
81…上壁部
82…縦壁部
83…下壁部
83a…底部
83b…段差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のルーフ部の両側部に設けられ車体前後方向に延在する一対のサイドルーフレールと、
前記一対のサイドルーフレール間で車体幅方向に延在し、車体前後方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが閉断面構造をなしかつ互いに上下方向の寸法が異なる少なくとも2種類のルーフボウと、
前記2種類のルーフボウ間に車体幅方向に間隔をあけて複数配置され、それぞれが車体前後方向に延在し、上フランジと下フランジおよびこれらフランジ間に設けられた縦フランジを有する断面略Z形のスティフナと、
前記2種類のルーフボウの前記スティフナを結合する部位にそれぞれ取付けられたブラケットとを有し、
前記ブラケットは、
前記スティフナの前記上フランジを支持する上壁部と、
前記スティフナの前記縦フランジに沿う縦壁部と、
前記スティフナの前記下フランジを支持する下壁部とを有し、
前記下壁部は、
前記2種類のルーフボウのうち上下方向の寸法が大きい方のルーフボウの下面壁に対応した高さに形成されて前記スティフナの前記下フランジを上方から重ねた状態で固定する底部と、
前記ルーフボウ寄りの端部に前記底部よりも一段高く形成され、前記2種類のルーフボウのうち上下方向の寸法が小さい方のルーフボウの下面壁よりも高い位置に設けられた段差部とを含み、
前記ブラケットの前記上壁部と前記段差部とを上下方向の寸法が小さい方のルーフボウの上下方向に沿う壁に溶接したことを特徴とする車体の屋根構造。
【請求項2】
前記ブラケットの前記底部に、前記スティフナの前記下フランジを前記縦壁部との間で挟むことにより前記スティフナの車体幅方向の位置を規制する曲げ部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車体の屋根構造。
【請求項3】
前記曲げ部の上端を前記ブラケットの前記縦壁部側に曲げることにより、前記スティフナが前記ブラケットにスポット溶接される際に前記スティフナの下フランジが前記ブラケットの下壁部から離れることを抑制できるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の車体の屋根構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−89756(P2010−89756A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264468(P2008−264468)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】