説明

車体上部構造

【課題】部品点数や車体重量の増大を抑えつつ、側面衝突用のエアバッグが展開したときのガーニッシュの車室内への倒れ込みを防止する。
【解決手段】ルーフサイドレール102から下方に延びるセンタピラー105の車室内側CIには、ガーニッシュ111が設けられる。ヘッドライニング106は、ガーニッシュ111の上端部111Aに引っ掛かってそこから車室内側CIに延展している。ヘッドライニング106は、ルーフサイドレール102に取り付けられるエアバッグ202を覆い隠す。ガーニッシュ111でのセンタピラー105側の面からは、枝部111Bが延びている。枝部111Bは、エアバッグ202に対面している。枝部111Bの先端111Bdは、ルーフサイドレール102から延出する延出部112に設けられた引掛部113に引っ掛かる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルーフサイドレールに取り付けられた側面衝突用のエアバッグを収納するための車体上部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、特許文献2には、車体上部構造に関する発明が開示されている。このうち、特許文献1に記載の発明は、自動車の車体に上部に位置するルーフサイドレールに設けられた側面衝突用のエアバッグ装置を収納するための車体上部構造に関するものである。
【0003】
側面衝突用のエアバッグ装置が設けられた従来の車体上部構造について、例を挙げて以下に説明する。図8は、従来の車体上部構造901の一例の正面断面図である。この例では、車体上部構造901に、側面衝突用のエアバッグ装置902が設けられる。このエアバッグ装置902は、前方座席から後方座席に至る車体前後方向に長いエアバッグ903が、上下方向に折り畳まれた状態で車室内側からルーフサイドレール904に沿って取り付けられ、ヘッドライニング905により覆い隠されて構成される。また、車体上部構造901では、センタピラー906が、ルーフサイドレール904の略中央から下方に延びている。
【0004】
図8に示す例での車体上部構造901の各部を、以下に述べる。センタピラー906は、センタピラーインナ907とセンタピラーアウタ908とで構成され、センタピラー906の上端がルーフサイドレール904に結合される。ルーフサイドレール904は、ルーフサイドレールインナ909とルーフサイドレールアウタ910とで構成される。ルーフサイドレールアウタ910とセンタピラーアウタ908とは、一体に形成される。ルーフサイドレールインナ909の下方フランジ部909Aと、センタピラーインナ907の上方フランジ部907Aとは、溶接等にて結合される。
【0005】
車体上部構造901を構成するルーフ911は、ルーフアウタパネル912と、ルーフインナパネル913と、ルーフレインフォースメント914とで構成される。ルーフレインフォースメント914は、ルーフインナパネル913の下面側で、車体前後方向でセンタピラーアウタ908に一致する位置に設けられ、車幅方向に延びる長尺をなす。ルーフアウタパネル912の車両外側フランジ部912Aと、ルーフサイドレールアウタ910の上方フランジ部910Aと、ルーフインナパネル913の車両外側端部913Aと、ルーフレインフォースメント914の車両外側フランジ部914Aと、ルーフサイドレールインナ909の上方フランジ部909Bとは、溶接等にて結合される。ルーフコーナガセット915は、ルーフサイドレールインナ909とルーフレインフォースメント914とのそれぞれに、ボルト・ナット916、917を用いて締結される。
【0006】
エアバッグ903は、折り畳まれた状態でルーフサイドレールインナ909に取付けられ、車室内側からヘッドライニング905により覆われる。ヘッドライニング905の下端部905Aは、センタピラーインナ907の車室内側に取付けられたガーニッシュ918の上端部918Aに車室外側から引っ掛かり、車室内側に突出しないようにされている。
【0007】
ガーニッシュ918における上端部918Aよりも若干下方の箇所からは、突部918Bが、センタピラー906に向けて延びる。突部918Bの頂部918Cは、センタピラーインナ907に固定される。センタピラーインナ907に対するガーニッシュ918の頂部918Cの固定は、一般に、ガーニッシュ918の裏面側(センタピラーインナ907側)に設けられたクリップを用いて留めることによりなされている。ここで、ガーニッシュ918の上端部918Aの上端から突部918Bまでの部分は、ヘッドライニング905の下端部905Aを引っ掛けるための係合部918Dとして機能する。
【0008】
車体に対して側面衝突が起きると、車体に設けられたインフレータ(図示せず)が作動する。インフレータが作動して発せられたガスは、エアバッグ903のガス導入口(図示せず)からエアバッグ903内に導入される。これにより、エアバッグ903は、膨張する。膨張したエアバッグ903は、ヘッドライニング905の下端部905Aを車室内側に押し開いて車室内に展開する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−200812号公報
【特許文献2】特開2006−192998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図8に示す車体上部構造901には、ガーニッシュ918の突部918B及び係合部918D並びにセンタピラーインナ907に囲われた空隙Xが形成されている。エアバッグ903が展開すると、空隙Xに入り込み、ガーニッシュ918の係合部918Dを車室内側に押し出し、上述したクリップ留めによる係合力を打ち破って、ガーニッシュ918をセンタピラー906から引き剥がしてしまう。このようにエアバッグ903が展開する際にガーニッシュ918が車室内側に倒れるおそれがある。
【0011】
ここで、特許文献1に記載されているように、突部918B(特許文献1における脚部12)の先端部を上側に曲折させ、この曲折した部分をセンタピラーに対してボルト・ナット等の締結手段で締結して、ガーニッシュ918をセンタピラー906から外れないようにすることが考えられる。また、特許文献2に記載のルーフサイドレールリインフォースメント28のように、ルーフサイドレール904の内部に補強部材919を配置してルーフサイドレール904やセンタピラー906の剛性を高めることも考えられる。さらには、ルーフレインフォースメント914やセンタピラー906の幅(ゲージ)を大きくし、車体上部構造901の全体の剛性を高めることも考えられる。しかしながら、上記のいずれの手段を用いても、車体上部構造901の部品点数や車体重量の大幅な増大を余儀なくされる。
【0012】
また、エアバッグ903をガーニッシュ918の上端部918Aから車室内側に離れた箇所に配置して、膨張したエアバッグ903が空隙Xに入り込む前にエアバッグ903がヘッドライニング905を車室内側に押し開くようにすることも考えられる。この場合、ガーニッシュ918の上端部918Aとエアバッグ903の断面中心との間の距離D1や、ヘッドライニング905の下端部905Aとセンタピラー906との間の距離D2を検討しなければならず、このために、車体上部構造901での構造設計の自由度に制約が生じてしまう。
【0013】
本発明の目的は、上記の点を鑑みてなされたものであって、部品点数や車体重量の増大を抑えつつ、側面衝突用のエアバッグが展開したときのガーニッシュの車室内への倒れ込みを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の車体上部構造は、ルーフサイドレールと、前記ルーフサイドレールから下方に延びるセンタピラーと、前記センタピラーの車室内側に設けられるガーニッシュと、前記ガーニッシュの上端部に引っ掛かってそこから車室内側に延展し、前記ガーニッシュの上端部よりも上方に位置させて前記ルーフサイドレールに取り付けられたエアバッグを覆い隠すヘッドライニングと、前記ガーニッシュでの前記センタピラー側の面から延び、前記エアバッグに対面する枝部と、前記ルーフサイドレールから下方に延出する延出部と、前記延出部に設けられ、前記枝部の先端が引っかかる引掛部と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エアバッグが膨らんで展開するときにエアバッグが枝部を押しても、枝部は引掛部に引っ掛かって動かず、エアバッグはヘッドライニングを押し開いて車室内に展開する。したがって、部品点数や車体重量の増大を抑えつつ、側面衝突用のエアバッグが展開したときにガーニッシュが車室内への倒れ込むことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一の実施の形態での、車体上部構造を車室内側から見た図である。
【図2】第一の実施の形態での、車体上部構造の正面要部断面図である。
【図3】第一の実施の形態での、図1のP部分を拡大して示す図である。
【図4】第一の実施の形態での、エアバッグ装置が作動した後の状態での、図2に対応する断面図である。
【図5】第二の実施の形態での、図2に対応する断面図である。
【図6】第二の実施の形態での、図2に対応する図である。
【図7】第二の実施の形態での、エアバッグが枝部を押し下げた状態での車体上部構造の正面要部断面図である。
【図8】従来の車体上部構造の一例の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の一形態を、図1ないし図4に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。図1は、車体上部構造101を車室内側から見た図である。図1では、ルーフサイドレール102、フロントピラー103、リアピラー104、センタピラー105等の主要部分が示され、その他は省略されている。車体上部構造101は、車体前後方向に延びるルーフサイドレール102を有する。ルーフサイドレール102からは、車体前方CFに位置するフロントピラー103と、車体後方CRに位置するリアピラー104と、これらの間に位置しルーフサイドレール102の略中央から下方に延びるセンタピラー105とが延出する。ルーフサイドレール102、フロントピラー103、リアピラー104及びセンタピラー105は、いずれも、車室内側CI(インナ側、図2も参照)の部材と車室外側CO(アウタ側、図2も参照)の部材により、閉断面構造をなしている。ルーフサイドレール102は、ルーフサイドレールインナ102Aとルーフサイドレールアウタ102Bとからなる。センタピラー105は、センタピラーインナ105Aとセンタピラーアウタ105Bとからなる。
【0018】
図2は、車体上部構造101の正面要部断面図である。図3は、図1のP部分を拡大して示す図である。図2は、図3のA−A線断面図に相当する。図3では、ルーフサイドレール102等の主要部分が示され、ボルト・ナット110は二点鎖線で示され、その他は省略されている。車体上部構造101には、側面衝突用のエアバッグ装置201が取り付けられる。エアバッグ装置201は、エアバッグ202と、インフレータ(図示せず)とを有する。エアバッグ202は、前方座席(図示せず)から後方座席(図示せず)に至る車体前後方向(車体前方CFと車体後方CRとを結ぶ方向)に長い。エアバッグ202は、上下方向に折り畳まれた状態で、留具(図示せず)を用いて、車室内側CIからルーフサイドレール102に沿うように、エアバッグ202の上端部の数カ所をルーフサイドレール102に固定させて取り付けられる。エアバッグ202には、ガス導入口(図示せず)が形成される。ガス導入口には、車体に配置されたインフレータから発生するガスが導入できるようになっている。
【0019】
車体上部構造101は、ルーフサイドレール102、フロントピラー103、リアピラー104、センタピラー105、ヘッドライニング106の他、ルーフ107と、ルーフレインフォースメント107Cと、ルーフコーナガセット108と、ガーニッシュ111とを有する。
【0020】
センタピラー105は、センタピラーインナ105Aとセンタピラーアウタ105Bとで構成され、センタピラー105の上端がルーフサイドレール102に結合される。ルーフサイドレール102は、ルーフサイドレールインナ102Aとルーフサイドレールアウタ102Bとで構成される。ルーフサイドレールインナ102Aでの車室外側CO側の面で上下方向の中腹部分には、センタピラーインナ105Aの上方フランジ部105Aaが、溶接等にて結合される。また、ルーフサイドレールアウタ102Bとセンタピラーアウタ105Bとは、一体に形成される。
【0021】
ルーフ107は、ルーフインナパネル107Aと、ルーフアウタパネル107Bとで構成される。ルーフレインフォースメント107Cは、ルーフインナパネル107Aの下面側で、車体前後方向でセンタピラーアウタ105Bに一致する位置に設けられ、車幅方向に延びる長尺をなす。ルーフアウタパネル107Bの車両外側フランジ部107Baと、ルーフサイドレールアウタ102Bの上方フランジ部102Baと、ルーフインナパネル107Aの車両外側端部107Aaと、ルーフレインフォースメント107Cの車側フランジ部107Caと、ルーフサイドレールインナ102Aの上方フランジ部102Aaとは、溶接等にて結合される。ルーフコーナガセット108は、ルーフサイドレールインナ102Aとルーフレインフォースメント107Cとのそれぞれに、ボルト・ナット109、110を用いて締結される。
【0022】
ヘッドライニング106は、弾性を有する素材で形成され、板状をなし、ルーフレインフォースメント107Cよりも下方でルーフ107(ルーフインナパネル107A、ルーフアウタパネル107B)と平行に延展し、車室の天井を構成する。ヘッドライニング106の端部106Aは、この端部106A以外の部分よりも薄肉化している領域であって、下方に曲がっている。ヘッドライニング106の端部106Aは、折り畳まれた状態でルーフサイドレールインナ102Aに取付けられたエアバッグ202を、車室内側CIから覆う。なお、エアバッグ202は、ガーニッシュ111の上端部111A(後述)及びヘッドライニング106の端部106Aの先端106B(後述)のいずれよりも上方となる位置で、ルーフサイドレールインナ102Aに取り付けられる。また、ヘッドライニング106は、端部106A以外の部分が固定されていて、端部106A及びその先端106Bは固定されていない。この端部106Aの長さは、後述する枝部111Bよりも長く、特に、枝部111Bを構成する第1部111Baよりも長い。そして、ヘッドライニング106の端部106Aの先端106Bは、ガーニッシュ111の上端部111Aに車室外側COから引っ掛かり、車室内側CIに突出しないようにされている。
【0023】
ガーニッシュ111は、上下方向に長尺をなす部材である。ガーニッシュ111は、その枝部111B(後述)の付根部111BYよりも下方の部分が、ガーニッシュ111の裏面側(センタピラー105側)に設けられたクリップ(図示せず)を用いて、クリップ留めによってセンタピラー105の車室内側CIに取付けられ、センタピラー105に対して固定される。なお、ガーニッシュ111における付根部111BYよりも上方の部分は、センタピラー105に対して固定されていない。
【0024】
ガーニッシュ111の上端部111Aよりも若干下方の箇所(付根部111BY)からは、枝部111Bが、センタピラー105に向けて延びる。枝部111Bは、ガーニッシュ111における車室外側COの面(センタピラー105側の面)から延びる第1部111Baと、この第1部111Baの先端から屈曲してエアバッグ202に向けて延びる第2部111Bbと、この第2部111Bbの先端から屈曲してセンタピラー105に向けて延びる第3部111Bcとから構成される。第3部111Bcは、折り畳まれたエアバッグ202と若干の隙間S1を設けて対面する。第3部111Bcの先端111Bdは、引掛部113(後述)に引っ掛かる。また、第3部111Bcにおいてエアバッグ202と対面する面111Beは、膨張するエアバッグ202を受け止める。ここに、第3部111Bcは、特許請求の範囲でいうところの「接触部」に対応することになる。なお、第3部111Bcは、エアバッグ202の展開方向を規制する案内面としての役割を果たす。また、第2部111Bbは、第3部111Bcにおける先端111Bdとは反対側の端部から屈曲してエアバッグ202から遠ざかるよう延びており、支持部として機能する。
【0025】
第3部111Bcにおいてエアバッグ202と対面する面111Beは、略平坦な形状をなしている。また、ガーニッシュ111の上端部111Aの先端は、この面111Beの延長線XLよりも下方に位置する。
【0026】
ルーフサイドレールインナ102Aについて説明する。ルーフサイドレールインナ102Aからは、延出部112が、下方に向かってセンタピラーインナ105Aに沿うように延出する。延出部112の下縁付近で車体前後方向の略中央には、引掛部113が形成される。本実施の形態では、引掛部113は、ルーフサイドレール102と一体をなしており、延出部112を車室内側CIに押し出して形成される。なお、別の実施の形態として、引掛部113は、延出部112に突起状の別の部材を溶接等により接合させて設けても良い。
【0027】
上記のような車体上部構造101を有する車体において、車体への側面衝突が起きると、インフレータ(図示せず)が作動し、インフレータから発生したガスがエアバッグ202のガス導入口(図示せず)から導入され、エアバッグ202が膨張する。
【0028】
エアバッグ202は、膨張すると、ヘッドライニング106の端部106Aと枝部111Bの第3部111Bcとの両方に接触し、これらを押す。このとき、枝部111Bの先端111Bdは、引掛部113に引っ掛かって、下方に動かなくなる。また、第3部111Bcと第2部111Bbとの境界部分にかかる力は、第2部111Bbの延びる方向に作用して、枝部111Bの第1部111Baを下方に動かそうとする。他方、ヘッドライニング106の端部106Aは、先端106Bがガーニッシュ111の上端部111Aに引っ掛かっている以外に動きが遮られず、且つ、枝部111Bの第1部111Baよりも長く構成されている。このため、エアバッグ202が膨張すると、ヘッドライニング106の端部106Aが枝部111Bよりも先に動き、ヘッドライニング106の端部106Aが車室側に動いて開く。
【0029】
図4は、エアバッグ装置201が作動した後の状態での、図2に対応する断面図である。ヘッドライニング106の端部106Aが車室側に開くと、ヘッドライニング106の端部106Aの先端106Bとガーニッシュ111の上端部111Aとの間の隙間S2が拡大し、この隙間S2からエアバッグ202が迫り出す。このとき、ガーニッシュ111の上端部111Aの先端は、第3部111Bcでの面111Beの延長線XLよりも下方に位置し、これにより、ガーニッシュ111の上端部111Aはエアバッグ202に干渉しにくい。
【0030】
このように、本実施の形態では、エアバッグ装置201が作動してエアバッグ202が膨らんで展開するときにエアバッグ202が枝部111Bを押そうとしても、枝部111Bは引掛部113に引っ掛かって動かず、エアバッグ202はヘッドライニング106を押し開いて車室内に展開する。したがって、部品点数や車体重量の増大を抑えつつ、側面衝突用のエアバッグ202が展開したときにガーニッシュ111が車室内への倒れ込むことを防止できる。
【0031】
さらに、本実施の形態では、枝部111Bに第2部111Bb(支持部)と第3部111Bc(接触部)とが含まれ、エアバッグ202が膨張して第3部111Bcを押す力が引掛部113に抑えられ、その分の力が第3部111Bcを伝って第1部111Baにかかる。また、ヘッドライニング106の端部106Aは、枝部111Bよりも動きやすい。その結果、エアバッグ202が膨張すると、枝部111Bが動くよりも先にヘッドライニング106の端部106Aが押し開かれてエアバッグ202が車室内に展開し、ガーニッシュ111を車室内への倒れ込ませるよう展開させることを防ぐことができる。
【0032】
さらに、本実施の形態では、枝部111Bの先端111Bdを引っ掛けるための引掛部113がルーフサイドレール102と一体に形成されているので、エアバッグ202が膨張して枝部111Bが引掛部113を押し下げても、引掛部113が壊れて外れてしまうようなことがない。
【0033】
さらに、本実施の形態では、引掛部113が延出部112を車室内側CIに押し出して形成されるので、従来の車体構造においても、大幅な設計変更を伴わずにエアバッグ202によるガーニッシュ111の車室内への倒れ込みの防止を実現できる。
【0034】
実施の別の一形態を、図5及び図6に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。本実施の形態において、第一の実施の形態と同一の部分には、同一の符号を付し、説明を省略する。図5は、図2に対応する断面図である。図6は、図2に対応する図である。図6では、ルーフサイドレール102等の主要部分が示され、ボルト・ナット110は二点鎖線で示され、その他は省略されている。本実施の形態では、引掛部113が、延出部112の下縁よりも上方で車体前後方向の略中央に形成される。これにより、引掛部113は、図5に示すように、断面視にて台形状に見える。これにより、延出部112において引掛部113よりも下方には、近接部114が形成される。近接部114は、引掛部113よりもセンタピラーインナ105Aに近接している。近接部114は、延出部112の下縁に沿って、延出部112における車体前後方向一杯に設けられる。
【0035】
本実施の形態においても、車体への側面衝突が起きると、インフレータ(図示せず)が作動し、インフレータから発生したガスがエアバッグ202のガス導入口(図示せず)から導入され、エアバッグ202が膨張する。エアバッグ202は、膨張すると、第一の実施の形態で述べたように、ヘッドライニング106の端部106Aと枝部111Bの第3部111Bcとの両方に接触し、ヘッドライニング106の端部106Aが枝部111Bよりも先に動き、ヘッドライニング106の端部106Aが車室側に開いて、エアバッグ202が車室内に迫り出す。このように、本実施の形態においても、第一の実施の形態と同様に、エアバッグ装置201が作動してエアバッグ202が膨らんで展開するときにエアバッグ202が枝部111Bを押しても、枝部111Bは引掛部113に引っ掛かって動かず、エアバッグ202はヘッドライニング106を押し開いて車室内に展開する。したがって、部品点数や車体重量の増大を抑えつつ、側面衝突用のエアバッグ202が展開したときにガーニッシュ111が車室内への倒れ込むことを防止できる。
【0036】
図7は、エアバッグ202が枝部111Bを押し下げた状態での車体上部構造の正面要部断面図である。さらに、本実施の形態では、図7に示すように、延出部112において引掛部113よりも下方に近接部114が形成されている。ここで、エアバッグ202が勢い良く膨らんで枝部111Bの先端111Bdが引掛部113を強く押し、仮に引掛部113が動いたとしても、近接部114が、センタピラーインナ105Aに接触して引掛部113の動きを抑える。これにより、エアバッグ202は、ヘッドライニング106の端部106Aを車室側に一層強く押して開き、車室内に迫り出す。このように、本実施の形態によれば、エアバッグ202の膨張による枝部111Bの動きが抑えられ、エアバッグ202によるガーニッシュ111の車室内への倒れ込みがさらに確実に防止される。
【符号の説明】
【0037】
101 車体上部構造
102 ルーフサイドレール
105 センタピラー
106 ヘッドライニング
111 ガーニッシュ
111A ガーニッシュの上端部
111B 枝部
111Bb 第2部(支持部)
111Bc 第3部(接触部)
111Bd 枝部(接触部)の先端
112 延出部
113 引掛部
201 エアバッグ装置
202 エアバッグ
CI 車室内側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフサイドレールと、
前記ルーフサイドレールから下方に延びるセンタピラーと、
前記センタピラーの車室内側に設けられるガーニッシュと、
前記ガーニッシュの上端部に引っ掛かってそこから車室内側に延展し、前記ガーニッシュの上端部よりも上方に位置させて前記ルーフサイドレールに取り付けられたエアバッグを覆い隠すヘッドライニングと、
前記ガーニッシュでの前記センタピラー側の面から延び、前記エアバッグに対面する枝部と、
前記ルーフサイドレールから下方に延出する延出部と、
前記延出部に設けられ、前記枝部の先端が引っかかる引掛部と、
を備える車体上部構造。
【請求項2】
前記枝部は、
一方の端部が前記引掛部に引っ掛かり、前記エアバッグに対面する接触部と、
前記接触部の他方の端部から前記エアバッグから遠ざかるよう延びる支持部と、
を有する、請求項1記載の車体上部構造。
【請求項3】
前記引掛部は、前記ルーフサイドレールと一体をなしている、
請求項1又は2記載の車体上部構造。
【請求項4】
前記引掛部は、前記延出部を車室内側に押し出して形成される、
請求項1から3のいずれか一に記載の車体上部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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