説明

車体下部の取付部構造

【課題】車両走行時に補強手段と車体骨格部材との接合部に剥離方向の荷重が作用するのを抑えて効率的に車体骨格部材へ荷重を伝達することができる車体下部の取付部構造を得る。
【解決手段】取付ブラケット40は、リヤフロアパネル22とリヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30との間に板厚方向に挟まれた合わせ部46を備えている。また、取付ブラケット40において合わせ部46の車幅方向内側の端部から車両下方側へ延設された一端部48は、リヤフロアサイドメンバ24の車幅方向外側の縦壁部26の内面26Aに重ね合わせられて接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体フロアの上面側の被取付部材が取り付けられる車体下部の取付部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両においては、例えばシート等のような重量物の支持部を補強する場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような構造としては、例えば、シートブラケットがフロアパネル及びクロスメンバ(補強手段)にスポット溶接されると共に、クロスメンバの外側面とサイドメンバ(車体骨格部材)の縦壁部の外面とがスポット溶接されている構造がある。このような構造では、例えば、悪路等の車両走行時にサイドメンバが車両上方側へ変位した場合、重量物であるシートの支持部は慣性によってその位置で留まろうとするので当該支持部には車両下方側への荷重が作用する。
【特許文献1】特開2002−104248公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、支持部に作用する車両下方側への荷重によってクロスメンバの外側面がサイドメンバ側とは反対側へ傾倒しようとすると、サイドメンバの縦壁部の外面等に対してクロスメンバの外側面の上部等を剥離させようとする剥離方向の荷重が作用してしまい、効率的にサイドメンバへ荷重を伝達することができない。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、車両走行時に補強手段と車体骨格部材との接合部に剥離方向の荷重が作用するのを抑えて効率的に車体骨格部材へ荷重を伝達することができる車体下部の取付部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載する本発明の車体下部の取付部構造は、車室フロア下面を構成する車体フロアと、前記車体フロアの下面側に配置されて車両前後方向に沿って延在し、車両正面視での断面形状がハット形状に形成されて前記車体フロアとの間に閉断面部を形成する車体骨格部材と、前記車体フロアの下面側で前記車体骨格部材の車幅方向一方側に配置されて前記車体フロアの上面側の被取付部材及び前記車体フロアに固定され、前記車体フロアと前記車体骨格部材のフランジ部との間に板厚方向に挟まれた合わせ部を備えると共に、前記合わせ部の車幅方向他方側の端部から車両下方側へ延設された一端部が前記車体骨格部材の車幅方向一方側の縦壁部の内面に重ね合わせられて接合された補強手段と、を有する。
【0006】
請求項1に記載する本発明の車体下部の取付部構造によれば、車室フロア下面を構成する車体フロアの下面側には、車両前後方向に沿って延在する車体骨格部材が配置されており、この車体骨格部材は車両正面視での断面形状がハット形状に形成されて車体フロアとの間に閉断面部を形成している。さらに車体フロアの下面側で車体骨格部材の車幅方向一方側には補強手段が配置されており、この補強手段は車体フロアの上面側の被取付部材及び車体フロアに固定されている。このため、例えば、車両が悪路等を走行して車体骨格部材が車両上方側へ変位した場合には、補強手段において被取付部材及び車体フロアに固定された部位は慣性によってその位置で留まろうとして車両下方側への荷重を受ける。
【0007】
ここで、補強手段は、車体フロアと車体骨格部材のフランジ部との間に板厚方向に挟まれた合わせ部を備えると共に、合わせ部の車幅方向他方側の端部から車両下方側へ延設された一端部が車体骨格部材の車幅方向一方側の縦壁部の内面(閉断面部の内側となる面)に重ね合わせられて接合されている。このため、補強手段において被取付部材及び車体フロアに固定された部位が車両下方側への荷重を受けた場合、補強手段の一端部に対しては車体骨格部材の車幅方向一方側の縦壁部の内面側へ傾倒させる方向の荷重が作用する。これにより、補強手段の一端部と車体骨格部材の車幅方向一方側の縦壁部の内面との接合部には圧縮荷重が作用するので、前記一端部と前記縦壁部の内面との接合部に作用する剥離方向の荷重が抑えられる。また、前記一端部が前記縦壁部の内面へ面接触状態で荷重を伝えるので、荷重が効率的に車体骨格部材へ伝達される。
【0008】
請求項2に記載する本発明の車体下部の取付部構造は、請求項1記載の構成において、前記補強手段は前記車体骨格部材とは別体で構成されている。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車体下部の取付部構造によれば、補強手段は車体骨格部材とは別体で構成されている。このため、車体骨格部材の板厚を全体的に又は部分的に厚くしなくても、別体の補強手段の板厚設定によって、車体下部の被取付部材の取付部に必要な強度及び剛性が確保され、被取付部材側からの荷重入力時には、車体骨格部材の縦壁部の内面へ安定的に荷重が伝達される。
【0010】
請求項3に記載する本発明の車体下部の取付部構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記合わせ部は前記車体骨格部材のフランジ部にのみ接合されている。
【0011】
請求項3に記載する本発明の車体下部の取付部構造によれば、補強手段の合わせ部は車体骨格部材のフランジ部にのみ接合されている。このため、車両走行時に車体骨格部材が車両下方側への荷重を受けた場合に、合わせ部から強度部材でない車体フロアへの不要な荷重の伝達が抑えられる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車体下部の取付部構造によれば、車両走行時に補強手段と車体骨格部材との接合部に剥離方向の荷重が作用するのを抑えて効率的に車体骨格部材へ荷重を伝達することができるという優れた効果を有する。
【0013】
請求項2に記載の車体下部の取付部構造によれば、別体の補強手段の板厚設定によって、車体下部の取付部に必要な強度及び剛性を確保することができ、被取付部材側からの荷重入力時には車体骨格部材の縦壁部の内面へ安定的に荷重を伝達することができるという優れた効果を有する。
【0014】
請求項3に記載の車体下部の取付部構造によれば、車体骨格部材が車両下方側への荷重を受けた場合に車体フロア側への荷重負荷を抑えることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係る車体下部の取付部構造について図1〜図5を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車幅方向内側を示している。
【0016】
図1に示されるように、車室内には、リヤシート10(後席となるセカンドシート、サードシートであり、本実施形態では一例としてサードシート)が配設されている。リヤシート10は、乗員が着座するシートクッション12と、このシートクッション12の後端部に起立状態で配置されたシートバック14と、このシートバック14の上端部に配置され乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を含んで構成されている。
【0017】
リヤシート10におけるシートクッション12の下面側には、リヤシート10を構成する被取付部材としてのシートブラケット18(図3参照)が取り付けられている。図3に示されるシートブラケット18は、シート部品であり、車体フロアとしてのリヤフロアパネル22の上面22A側に配設されている。リヤフロアパネル22は、車体下部20において車室フロア下面を構成している。なお、シートブラケット18の近傍部位が車体下部20におけるリヤシート10(シートブラケット18)の取付部20Aとなっている。
【0018】
図1に示されるように、リヤフロアパネル22の下面22B側には、車幅方向の両サイドに左右一対の車体骨格部材としてのリヤフロアサイドメンバ24(縦メンバ)が配置されて車両前後方向に沿って延在している。図2及び図3に示されるように、リヤフロアサイドメンバ24は、車両正面視での断面形状がハット形状に形成されており、左右一対の縦壁部(側壁部)26、27及び底壁部28によって車両下方側へ凸状に突出すると共に、左右フランジ部30、31がリヤフロアパネル22の下面22B側にスポット溶接等により結合されている。これにより、リヤフロアサイドメンバ24は、リヤフロアパネル22との間に閉断面部34を形成している。また、フランジ部30には、シートブラケット18(図3参照)の締結固定用のウエルドナット36A(広義には「締結具」として把握される要素である。)を配設させる空間を確保するために、湾曲凹状の切欠部30Aが形成されている。
【0019】
リヤフロアパネル22の下面22B側でリヤフロアサイドメンバ24の車幅方向一方側(図2及び図3では車幅方向外側)には、補強手段としての取付ブラケット40が配置されている。この取付ブラケット40は、リヤフロアサイドメンバ24とは別体で構成されており、車両正面視での断面形状が概ね逆L字形状(屈曲板状)に形成されてリヤフロアサイドメンバ24よりも板厚が厚く設定された強度部材とされている。
【0020】
取付ブラケット40は、リヤフロアパネル22の下面22B側に沿って配置された上板部42を備えている。上板部42は、リヤフロアサイドメンバ24におけるフランジ部30の切欠部30Aを車両上方側から覆っており、一般面が車幅方向及び車両前後方向を含む面を面方向として配置され、車両前後方向の中間部が車幅方向外側へ膨出した形状とされている(図2参照)。なお、上板部42の車幅方向外側の端縁部は強度確保のために車両下方側へ折り返されている。
【0021】
上板部42において車幅方向外側の部位はシートブラケット18(図3参照)の締結固定用の被締結部44とされており、この被締結部44は、リヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30に重ね合わせられていない。被締結部44の中央部には、シートブラケット18の締結用とされるボルト挿通孔44Aが貫通形成されると共に、被締結部44の下面側には、ボルト挿通孔44Aの外周部にウエルドナット36Aが予め固着されている。
【0022】
図3に示されるように、ウエルドナット36Aには、シートブラケット18のボルト挿通孔18A、リヤフロアパネル22のボルト挿通孔22C及び取付ブラケット40のボルト挿通孔44Aを貫通するボルト36B(広義には「締結具」として把握される要素である。)が螺合されている。すなわち、ボルト36B及びウエルドナット36Aは、シートブラケット18、リヤフロアパネル22及び取付ブラケット40の被締結部44に締結荷重を作用させるための締結手段とされている。このように、取付ブラケット40は、リヤフロアパネル22の上面22A側のシートブラケット18及びリヤフロアパネル22にボルト36B及びウエルドナット36Aで締結されることにより固定されている。
【0023】
上板部42において車幅方向内側の部位はリヤフロアパネル22とリヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30との間に板厚方向に挟まれた合わせ部46とされている。換言すれば、リヤフロアパネル22、取付ブラケット40の合わせ部46及びリヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30は三層構造を形成している。合わせ部46は、リヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30にのみスポット溶接(図2参照、スポット溶接部(接合部)を符号「38A」で示し、打点を「×」印で示す)により接合されており、リヤフロアパネル22には接合されていない。
【0024】
また、図2に示されるように、取付ブラケット40は、合わせ部46の車幅方向内側(車幅方向他方側)の端部から屈曲されて車両下方側へ延設された一端部48を備えている。合わせ部46と一端部48との境界を成す折れ部50は、直線状に延在しており、リヤフロアパネル22における縦壁部26とフランジ部30との境界を成す稜線32Aに沿って(略車両前後方向に沿って)かつ稜線32Aの車両上方側に配置されている。取付ブラケット40の一端部48は、リヤフロアサイドメンバ24の車幅方向外側(車幅方向一方側)の縦壁部26の内面26A(閉断面部34の内側となる面)に重ね合わせられており、当該縦壁部26の内面26Aに面接触状態でスポット溶接(スポット溶接部(接合部)を符号「38B」で示し、打点を「×」印で示す)により接合されている。
【0025】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0026】
図3に示されるように、リヤフロアパネル22の下面22B側でリヤフロアサイドメンバ24の車幅方向一方側(図3では車幅方向外側)には取付ブラケット40が配置されており、この取付ブラケット40は、リヤフロアパネル22の上面22A側のシートブラケット18及びリヤフロアパネル22にボルト36B及びウエルドナット36Aで締結されることにより固定されている。このため、例えば、車両が悪路等を走行した際に路面入力(車両上方側への突き上げ力)に起因して、図4に示されるように、リヤフロアサイドメンバ24が車両上方側(矢印U方向)へ変位(変位前のリヤフロアサイドメンバ24の底壁部28の位置を二点鎖線で示す)した場合には、シートブラケット18及びリヤフロアパネル22に固定された取付ブラケット40の被締結部44は慣性によってその位置で留まろうとして車両下方側への荷重Fを受ける。
【0027】
ここで、取付ブラケット40は、リヤフロアパネル22とリヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30との間に板厚方向に挟まれた合わせ部46を備えると共に、合わせ部46の車幅方向内側(車幅方向他方側)の端部から車両下方側へ延設された一端部48がリヤフロアサイドメンバ24の車幅方向外側(車幅方向一方側)の縦壁部26の内面26Aに重ね合わせられて接合されている。このため、シートブラケット18及びリヤフロアパネル22に固定された取付ブラケット40の被締結部44が車両下方側への荷重Fを受けた場合、取付ブラケット40の一端部48に対してはリヤフロアサイドメンバ24の車幅方向外側(車幅方向一方側)の縦壁部26の内面26A側へ傾倒させる方向の荷重Aが作用する。
【0028】
これにより、取付ブラケット40の一端部48とリヤフロアサイドメンバ24の車幅方向外側(車幅方向一方側)の縦壁部26の内面26Aとの接合部(スポット溶接部38B(図2参照))には圧縮荷重が作用するので、一端部48と縦壁部26の内面26Aとの接合部(スポット溶接部38B(図2参照))に作用する剥離方向の荷重が抑えられる。また、一端部48が縦壁部26の内面26Aへ面接触状態で荷重Aを伝えるので、荷重が効率的にリヤフロアサイドメンバ24側へ伝達される。
【0029】
また、本実施形態に係る車体下部の取付部構造では、取付ブラケット40はリヤフロアサイドメンバ24とは別体で構成されている。このため、リヤフロアサイドメンバ24の板厚を全体的に又は部分的に厚くしなくても、別体の取付ブラケット40の板厚設定によって、車体下部20のシートブラケット18の取付部20Aに必要な強度及び剛性が確保され、シートブラケット18側(換言すれば、重量物であるリヤシート10(図1参照)側)からの荷重入力時には、リヤフロアサイドメンバ24の縦壁部26の内面26Aへ安定的に荷重が伝達される。また、取付ブラケット40を別体にすることで、軽量化及び低コスト化(歩留まり改善)を図るうえでも有利になる。
【0030】
一方、車両走行時に図5に示されるように、例えば、リヤフロアサイドメンバ24が車両下方側への荷重fを受けた場合、リヤフロアサイドメンバ24は車両下方側へ変位しようとする。このとき、シートブラケット18及びリヤフロアパネル22に固定された取付ブラケット40の被締結部44が慣性によってその位置で留まろうとし、取付ブラケット40の上板部42に対しては、合わせ部46の折れ部50側を引き下げるような荷重が作用する。これに対し、取付ブラケット40の合わせ部46は、リヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30にのみスポット溶接(スポット溶接部38A(図2参照))で接合されてリヤフロアパネル22とは接合されていないので、合わせ部46から強度部材でないリヤフロアパネル22への不要な荷重の伝達が抑えられる。
【0031】
ちなみに、例えば、取付ブラケット40の合わせ部46がリヤフロアパネル22にも接合されているような変形例の構造を適用すると、取付ブラケット(40)の上板部(42)に対して合わせ部(46)の折れ部(50)側を引き下げるような荷重が作用した場合、合わせ部(46)とリヤフロアパネル(22)との接合部に剥離方向の荷重が作用してリヤフロアパネル(22)へ一部荷重が伝達されてしまうので、本実施形態の構成がより好ましい。
【0032】
また、対比構造と比較しながらさらに補足説明すると、例えば、リヤフロアサイドメンバ(車体骨格部材)のフランジ部が取付ブラケット(補強手段)の上板部(42)の車幅方向他方側の部位とリヤフロアパネルとの間に板厚方向に挟まれた三枚重ねの状態でスポット溶接された対比構造であって、取付ブラケットにおいて上板部(42)の車幅方向他方側の端部から車両下方側へ延設された一端部がリヤフロアサイドメンバの車幅方向一方側の縦壁部の外面(閉断面部の外側となる面)に重ね合わせられて接合されたような対比構造では、リヤフロアパネルとリヤフロアサイドメンバ(車体骨格部材)のフランジ部との接合部に剥離方向の荷重が作用してリヤフロアパネルへ一部荷重が伝達されてしまう。これに対して、本実施形態に係る車体下部の取付部構造では、合わせ部46からリヤフロアパネル22への荷重の伝達が抑えられる。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る車体下部の取付部構造によれば、車両走行時に取付ブラケット40とリヤフロアサイドメンバ24との接合部に剥離方向の荷重が作用するのを抑えて効率的にリヤフロアサイドメンバ24へ荷重を伝達することができる。その結果として、リヤシート10の取付部20Aの耐久強度も向上する。
【0034】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、図1に示されるリヤシート10のシートブラケット18が車体下部20に取り付けられる場合を例に挙げて説明したが、被取付部材は、例えば、フロントシートのシートブラケット、シートスライドレール(レールブラケット)、車両荷室における収納凹部の開口部を開閉可能に覆うデッキボード等のような他の被取付部材であってもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、車体骨格部材がリヤフロアサイドメンバ24である場合を説明したが、車体骨格部材としては、例えば、フレーム構造の車両(所謂フレーム付き車)におけるサイドレール等のような他の車体骨格部材を適用してもよい。
【0036】
また、上記実施形態では、車体フロアがリヤフロアパネル22である場合を説明したが、車体フロアとしては、例えば、フロントフロアパネルのような他の車体フロアを適用してもよい。
【0037】
さらに、上記実施形態では、補強手段としての取付ブラケット40はリヤフロアサイドメンバ24とは別体で構成されているが、補強手段は、例えば、リヤフロアサイドメンバ(24)のフランジ部(30)の一部が延設されて折り返されることによって取付ブラケット40と同様の位置に配設された補強部等のような他の補強手段であってもよい。また、フランジ部(30)の一部を延設させて補強部を形成する構造では、例えば、フランジ部(30)の本体と前記補強部とが突き合わされた状態でFSW(Friction Stir Welding、テーラードブランク)により差厚結合で接合されてもよい。
【0038】
さらにまた、上記実施形態では、取付ブラケット40とリヤフロアサイドメンバ24との接合は、スポット溶接とされているが、取付ブラケット(補強手段)とリヤフロアサイドメンバ(車体骨格部材)との接合は、他の溶接(アーク溶接、プラグ溶接等)や締結手段による締結等のような他の接合形態であってもよい。
【0039】
なお、上記実施形態では、合わせ部46はリヤフロアサイドメンバ24のフランジ部30にのみ接合されており、リヤフロアパネル22への荷重伝達を抑える観点からはこのような構成が好ましいが、合わせ部は、リヤフロアサイドメンバ(車体骨格部材)のフランジ部とリヤフロアパネル(車体フロア)との両者に接合されてもよい。
【0040】
なお、上記実施形態では、合わせ部46の車幅方向他方側の端部から延設された部位全体がリヤフロアサイドメンバ24の車幅方向一方側の縦壁部26の内面26Aに重ね合わせられており、このような構成が荷重伝達性の観点からは好ましいが、例えば、合わせ部(46)の車幅方向他方側の端部から延設された部位の一部にリヤフロアサイドメンバ(24)の車幅方向一方側の縦壁部(26)の内面(26A)に重ね合わせられていない部分が含まれるような構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る車体下部の取付部構造が適用された車体下部及びリヤシートを示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車体下部の取付部構造の要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車体下部の取付部構造の要部を示す縦断面図である。図2の3−3線に沿った断面図に相当する。
【図4】リヤフロアサイドメンバが車両上方側へ変位した状態を示す断面図である。
【図5】リヤフロアサイドメンバが車両下方側へ変位した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
18 シートブラケット(被取付部材)
20 車体下部
20A 取付部
22 リヤフロアパネル(車体フロア)
24 リヤフロアサイドメンバ(車体骨格部材)
26 縦壁部
26A 内面
30 フランジ部
34 閉断面部
40 取付ブラケット(補強手段)
46 合わせ部
48 一端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室フロア下面を構成する車体フロアと、
前記車体フロアの下面側に配置されて車両前後方向に沿って延在し、車両正面視での断面形状がハット形状に形成されて前記車体フロアとの間に閉断面部を形成する車体骨格部材と、
前記車体フロアの下面側で前記車体骨格部材の車幅方向一方側に配置されて前記車体フロアの上面側の被取付部材及び前記車体フロアに固定され、前記車体フロアと前記車体骨格部材のフランジ部との間に板厚方向に挟まれた合わせ部を備えると共に、前記合わせ部の車幅方向他方側の端部から車両下方側へ延設された一端部が前記車体骨格部材の車幅方向一方側の縦壁部の内面に重ね合わせられて接合された補強手段と、
を有する車体下部の取付部構造。
【請求項2】
前記補強手段は前記車体骨格部材とは別体で構成されている請求項1記載の車体下部の取付部構造。
【請求項3】
前記合わせ部は前記車体骨格部材のフランジ部にのみ接合されている請求項1又は請求項2に記載の車体下部の取付部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−89730(P2010−89730A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264028(P2008−264028)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】