説明

車体下部構造

【課題】車両側突時における搭載物の損傷を抑制することが課題である。
【解決手段】車体下部構造10では、フロアパネル26の車両下側に、搭載物20が搭載されており、フロアパネル26の車両上側には、車両幅方向に延びるフロアクロスメンバ24が設けられている。フロアクロスメンバ24の車両幅方向外側の端部は、ロッカ12に結合されており、このフロアクロスメンバ24の車両幅方向内側の端部は、トンネル部14に結合されている。また、このフロアクロスメンバ24の車両幅方向中間部は、ロッカ12と搭載物20との間でそれぞれ車両前後方向に延びるフロアリインフォースメント16及び中間リインフォースメント18にそれぞれ結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネル部を含むフロアパネルの車両下側に燃料タンクが配置された下部車体構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−83193号公報
【特許文献2】特開2000−264256号公報
【特許文献3】実開平6−27452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようにフロアパネルの車両下側に例えば燃料タンク等の搭載物が搭載されている場合には、車両側突時における搭載物の損傷を抑制できることが要求される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、車両側突時における搭載物の損傷を抑制することができる車体下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車体下部構造は、車室の床部を構成するフロアパネルにおける車両幅方向外側の端部に設けられて車両前後方向に延びると共に、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成すロッカと、前記フロアパネルの車両幅方向中央部に車両上側に膨出して形成され、車両前後方向に延びるトンネル部と、前記フロアパネルにおける前記ロッカと前記トンネル部との中間部に設けられて車両前後方向に延びると共に、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成すフロアリインフォースメントと、前記フロアパネルにおける前記ロッカと前記フロアリインフォースメントとの中間部に設けられて車両前後方向に延びると共に、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成す中間リインフォースメントと、前記フロアパネルの車両下側に搭載されると共に、前記フロアリインフォースメントよりも車両幅方向内側に配置された搭載物と、前記フロアパネルの車両上側に設けられて車両幅方向に延び、車両幅方向外側の端部が前記ロッカ及び前記ロッカから立設されたピラーの少なくとも一方に結合されると共に、車両幅方向中間部が前記フロアリインフォースメント及び前記中間リインフォースメントにそれぞれ結合されたフロアクロスメンバと、を備えている。
【0007】
この車体下部構造によれば、フロアパネルの車両下側には、搭載物が搭載されており、フロアパネルの車両上側には、車両幅方向に延びるフロアクロスメンバが設けられている。フロアクロスメンバの車両幅方向外側の端部は、ロッカ及びピラーの少なくとも一方に結合されており、このフロアクロスメンバの車両幅方向中間部は、ロッカと搭載物との間でそれぞれ車両前後方向に延びるフロアリインフォースメント及び中間リインフォースメントにそれぞれ結合されている。
【0008】
従って、車両側突時には、ロッカに入力された側突荷重を、フロアクロスメンバを通じてフロアリインフォースメント及び中間リインフォースメントに伝達することができる。これにより、側突荷重を、ロッカ、フロアリインフォースメント、及び、中間リインフォースメントの三本の骨格によって効率良く車両前後方向に伝達することができる。この結果、側突荷重が搭載物に伝達されることを抑制することができるので、車両側突時における搭載物の損傷を抑制することができる。
【0009】
請求項2に記載の車体下部構造は、請求項1に記載の車体下部構造において、前記ロッカの上部を構成するロッカアッパと、前記フロアリインフォースメントの上部を構成するフロアリインフォースメントアッパと、前記中間リインフォースメントの上部を構成する中間リインフォースメントアッパとが、フロアパネルアッパに一体に形成され、前記ロッカの下部を構成するロッカロアと、前記フロアリインフォースメントの下部を構成するフロアリインフォースメントロアと、前記中間リインフォースメントの下部を構成する中間リインフォースメントロアとが、前記フロアパネルアッパと共に前記フロアパネルを構成するフロアパネルロアに一体に形成された構成とされている。
【0010】
この車体下部構造によれば、ロッカアッパと、フロアリインフォースメントアッパと、中間リインフォースメントアッパとは、フロアパネルアッパに一体に形成されており、ロッカロアと、フロアリインフォースメントロアと、中間リインフォースメントロアとは、フロアパネルロアに一体に形成されている。従って、部品点数の増加を抑制することができるので、組み付け工数を削減することができる。
【0011】
請求項3に記載の車体下部構造は、請求項1又は請求項2に記載の車体下部構造において、前記フロアリインフォースメントが、前記フロアパネルにおける前記ロッカと前記トンネル部との中央部に設けられた構成とされている。
【0012】
この車体下部構造によれば、フロアリインフォースメントは、フロアパネルにおけるロッカとトンネル部との中央部に設けられている。これにより、ロッカ、フロアリインフォースメント、及び、中間リインフォースメントの三本の骨格が車両幅方向により近づいて配置されるので、ロッカに入力された側突荷重を、フロアクロスメンバを通じてフロアリインフォースメント及び中間リインフォースメントにより効率良く伝達することができる。
【0013】
また、フロアリインフォースメントが、フロアパネルにおけるロッカとトンネル部との中央部に設けられることにより、トンネル部とフロアリインフォースメントとの間のスペースを確保することができる。これにより、搭載物の配置の自由度を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の車体下部構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車体下部構造において、前記フロアクロスメンバの車両前後方向の配置位置が、前記搭載物の前端部と後端部との間とされた構成とされている。
【0015】
この車体下部構造によれば、フロアクロスメンバの車両前後方向の配置位置が、搭載物の前端部と後端部との間とされている。従って、上述の如くフロアクロスメンバに伝達された側突荷重をフロアリインフォースメント及び中間リインフォースメントに伝達させることで、この側突荷重を搭載物に対して迂回させることができる。これにより、側突荷重が搭載物に伝達されることをより一層効果的に抑制することができる。
【0016】
請求項5に記載の車体下部構造は、請求項4に記載の車体下部構造において、前記フロアパネルに、車両上側に膨出し、前記搭載物を収容する収容部が形成され、前記フロアクロスメンバに、車両下側から切り欠かれて、内側に前記収容部が配置された切欠部が形成された構成とされている。
【0017】
この車体下部構造によれば、フロアクロスメンバには、車両下側から切り欠かれた切欠部が形成されており、この切欠部の内側には、フロアパネルに車両上側へ膨出して形成され搭載物を収容する収容部が配置されている。従って、フロアクロスメンバと収容部(搭載物)との干渉を抑制することができるので、フロアクロスメンバの車両上側の出っ張りを抑えてフロアパネルの位置を低く(低床化)できると共に、収容部の容量を確保でき、且つ、搭載物の車両下側への出っ張りを抑えることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上詳述したように、本発明によれば、車両側突時における搭載物の損傷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る車体下部構造が適用された車体の平面図である。
【図2】図1の2−2線断面図である。
【図3】図1に示されるフロアクロスメンバ及びその周辺部の斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車体下部構造の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0021】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(右側)をそれぞれ示している。
【0022】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係る車体下部構造10は、ロッカ12と、トンネル部14と、フロアリインフォースメント16と、中間リインフォースメント18と、搭載物20と、収容部22と、フロアクロスメンバ24とを備えて構成されている。なお、車体下部構造10は、車両幅方向中央部を中心として左右対称に構成されている。従って、以下では、車体下部構造10について片側(右側)の構成のみ説明し反対側(左側)の構成についての説明を省略する。
【0023】
フロアパネル26は、車室の床部を構成しており、ロッカ12は、このフロアパネル26における車両幅方向外側の端部に設けられ、車両前後方向に延びている。このロッカ12は、図2に示されるように、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成しており、車両上下方向に分割されたロッカアッパ28及びロッカロア30を有している。
【0024】
ロッカアッパ28は、ロッカ12の上部を構成しており、車両上側に凸を成している。一方、ロッカロア30は、ロッカ12の下部を構成しており、車両下側に凸を成している。ロッカアッパ28及びロッカロア30の車両幅方向外側には、車両幅方向外側に向けて延出するフランジ32,34がそれぞれ形成されている。このフランジ32とフランジ34とは、互いに車両上下方向に重ね合わされた状態で例えばスポット溶接等の溶接により結合されている。
【0025】
また、ロッカアッパ28及びロッカロア30の車両幅方向内側には、車両幅方向内側に向けて延出するフランジ36,38がそれぞれ形成されている。このフランジ36とフランジ38とは、互いに車両上下方向に重ね合わされた状態で例えばスポット溶接等の溶接により結合されている。
【0026】
ロッカ12の車両幅方向外側には、このロッカ12に沿って車両前後方向に延びるサイドアウタパネル40が設けられている。このサイドアウタパネル40の上端部40Aは、ロッカアッパ28の上壁部28Aに結合されており、サイドアウタパネル40の下端部40Bは、ロッカロア30の下壁部30Aに結合されている。
【0027】
トンネル部14は、フロアパネル26のうち後述するフロアパネルアッパ60の車両幅方向中央部に形成されている。このトンネル部14は、車両上側に膨出して形成されており、車両前後方向に延びている。
【0028】
フロアリインフォースメント16は、フロアパネル26におけるロッカ12とトンネル部14との中間部(より具体的には、中央部)に設けられており、車両前後方向に延びている。このフロアリインフォースメント16は、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成しており、車両上下方向に分割されたフロアリインフォースメントアッパ42及びフロアリインフォースメントロア44を有している。
【0029】
フロアリインフォースメントアッパ42は、フロアリインフォースメント16の上部を構成しており、車両上側に凸を成している。一方、フロアリインフォースメントロア44は、フロアリインフォースメント16の下部を構成しており、車両下側に凸を成している。
【0030】
フロアリインフォースメントアッパ42及びフロアリインフォースメントロア44の車両幅方向外側には、車両幅方向外側に向けて延出するフランジ46,48がそれぞれ形成されている。このフランジ46とフランジ48とは、互いに車両上下方向に重ね合わされた状態で例えばスポット溶接等の溶接により結合されている。
【0031】
また、フロアリインフォースメントアッパ42及びフロアリインフォースメントロア44の車両幅方向内側には、車両幅方向内側に向けて延出するフランジ50,52がそれぞれ形成されている。このフランジ50とフランジ52とは、互いに車両上下方向に重ね合わされた状態で例えばスポット溶接等の溶接により結合されている。
【0032】
中間リインフォースメント18は、フロアパネル26におけるロッカ12とフロアリインフォースメント16との中間部に設けられており、車両前後方向に延びている。この中間リインフォースメント18及び上述のフロアリインフォースメント16は、図1に示されるように、車体前部に設けられたフロントサイドメンバ54の車両後側に配置されている。
【0033】
中間リインフォースメント18は、図2に示されるように、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成しており、車両上下方向に分割された中間リインフォースメントアッパ56及び中間リインフォースメントロア58を有している。
【0034】
中間リインフォースメントアッパ56は、中間リインフォースメント18の上部を構成しており、車両上側に凸を成している。一方、中間リインフォースメントロア58は、中間リインフォースメント18の下部を構成しており、車両下側に凸を成している。
【0035】
中間リインフォースメントアッパ56は、上述のフランジ36を介してロッカアッパ28と接続されると共に、上述のフランジ50を介してフロアリインフォースメントアッパ42と接続されている。一方、中間リインフォースメントロア58は、上述のフランジ38を介してロッカロア30と接続されると共に、上述のフランジ52を介してフロアリインフォースメントロア44と接続されている。
【0036】
また、フロアパネル26は、より具体的には、フロアパネルアッパ60とフロアパネルロア62とを有して構成されている。フロアパネルアッパ60は、フロアパネル26における車両幅方向一端側から他端側に亘って延在されている。このフロアパネルアッパ60には、上述のロッカアッパ28と、フロアリインフォースメントアッパ42と、中間リインフォースメントアッパ56と、フランジ36,46,50とが一体に形成されている。
【0037】
一方、フロアパネルロア62は、フロアパネル26における車両幅方向外側の一部を構成しており、フロアパネルアッパ60の車両下側に設けられている。このフロアパネルロア62には、上述のロッカロア30と、フロアリインフォースメントロア44と、中間リインフォースメントロア58と、フランジ38,48,52とが一体に形成されている。
【0038】
収容部22は、フロアパネルアッパ60に車両上側に膨出して形成されている。この収容部22は、トンネル部14とフロアリインフォースメント16との間(より具体的には、トンネル部14と後述するフランジ24Iとの間)に形成されている。この収容部22の上壁部22Aは、トンネル部14の上壁部14Aよりも車両下側に位置している。そして、収容部22の上壁部22Aにおける車両幅方向内側の端部は、トンネル部14の側壁部14Bに接続されており、これにより、収容部22の内部空間は、トンネル部14の内部空間と連通されている。
【0039】
この収容部22における車両幅方向外側の端部には、車両上下方向に延びる側壁部22Bが形成されており、収容部22の内部空間は、この側壁部22Bにおいて終端されている。また、この収容部22は、図1に示されるように、フロアパネル26上に設けられた前席64及び後席66のうち後席66の車両下側に収まる大きさ及び配置とされている。
【0040】
搭載物20は、例えば、燃料タンクや燃料電池等の重量物とされており、図2に示されるように、フロアパネル26の車両下側に搭載されている。この搭載物20は、トンネル部14を車両幅方向に跨った状態で、トンネル部14及び収容部22によって形成された内部空間に収容されており、フロアリインフォースメント16よりも車両幅方向内側に配置されている。
【0041】
フロアクロスメンバ24は、フロアパネル26の車両上側に設けられており、車両幅方向に延びている。図1に示されるように、このフロアクロスメンバ24の車両前後方向の寸法は、搭載物20の車両前後方向の寸法よりも短くされており、このフロアクロスメンバ24の車両前後方向の配置位置は、搭載物20の前端部20Aと後端部20Bとの間とされている。このフロアクロスメンバ24は、図3に示されるように、車両上下方向に延び車両前後方向に向かい合う一対の側壁部24A,24Aと、この一対の側壁部24A,24Aの上端部を接続する上壁部24Bとを有しており、車両上側に凸を成している。
【0042】
なお、このフロアクロスメンバ24は、車両前後方向中央部を中心とした面対称に構成されている。従って、以下では、フロアクロスメンバ24について片側(後側)の構成のみ説明し反対側(前側)の構成についての説明を省略する。
【0043】
側壁部24Aにおける車両幅方向外側の端部には、車両後側に向けて延出するフランジ24Cが形成されており、上壁部24Bにおける車両幅方向外側の端部には、車両幅方向外側に向けて延出するフランジ24Dが形成されている。図2に示されるように、フランジ24Cは、ロッカアッパ28における車両幅方向内側の側壁部28Bに例えばスポット溶接等の溶接により結合されており、フランジ24Dは、ロッカアッパ28の上壁部28Aに例えばスポット溶接等の溶接により結合されている。
【0044】
一方、図3に示されるように、側壁部24Aにおける車両幅方向内側の端部には、車両後側に向けて延出するフランジ24Eが形成されており、上壁部24Bにおける車両幅方向内側の端部には、車両幅方向内側に向けて延出するフランジ24Fが形成されている。フランジ24Eは、トンネル部14の側壁部14Bに例えばスポット溶接等の溶接によりそれぞれ結合されており、フランジ24Fは、トンネル部14の上壁部14Aに例えばスポット溶接等の溶接により結合されている。
【0045】
また、フロアクロスメンバ24(より具体的には、側壁部24A)における収容部22と対応する部分には、車両下側から切り欠かれた切欠部68が形成されている。この切欠き68は、フロアクロスメンバ24における車両幅方向内側の端部24Gから後述するフランジ24Iに至るまでの範囲に形成されており、車両下側及び車両幅方向内側に開口されている。そして、この切欠部68の内側には、収容部22が配置されている。
【0046】
また、このフロアクロスメンバ24には、車両幅方向内側から外側に順に、上述の収容部22、フランジ46、フロアリインフォースメント16、フランジ50、中間リインフォースメント18、及び、フランジ36と対応する位置にフランジ24H〜24Mがそれぞれ形成されている。各フランジ24H〜24Mは、側壁部24Aから車両後側に向けて延出されている。
【0047】
そして、フランジ24Hは、収容部22の上壁部22A及び車両幅方向内側の側壁部22Bと結合されており、フランジ24Iは、フランジ46と結合されている。また、フランジ24Jは、フロアリインフォースメントアッパ42の上壁部42Aと結合されており、フランジ24Kは、フランジ50と結合されている。さらに、フランジ24Lは、中間リインフォースメントアッパ56の上壁部56Aと結合されており、フランジ24Mは、フランジ36と結合されている。各フランジ24H〜24Mの結合には、例えばスポット溶接等の溶接が用いられている。
【0048】
なお、フランジ24C,24Dは、フロアクロスメンバ24における車両幅方向外側の端部の一例であり、フランジ24E,24Fは、フロアクロスメンバ24における車両幅方向内側の端部の一例である。また、フランジ24J,24Lは、フロアクロスメンバ24における車両幅方向中間部の一例である。
【0049】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0050】
以上詳述したように、本発明の一実施形態に係る車体下部構造10によれば、フロアパネル26の車両下側には、図2に示されるように、搭載物20が搭載されており、フロアパネル26の車両上側には、車両幅方向に延びるフロアクロスメンバ24が設けられている。フロアクロスメンバ24の車両幅方向外側の端部(フランジ24C,24D)は、ロッカ12に結合されており、このフロアクロスメンバ24の車両幅方向中間部(フランジ24J,24L)は、ロッカ12と搭載物20との間でそれぞれ車両前後方向に延びるフロアリインフォースメント16及び中間リインフォースメント18にそれぞれ結合されている。
【0051】
従って、車両側突時には、ロッカ12に入力された側突荷重を、フロアクロスメンバ24を通じてフロアリインフォースメント16及び中間リインフォースメント18に伝達することができる。これにより、側突荷重を、ロッカ12、フロアリインフォースメント16、及び、中間リインフォースメント18の三本の骨格によって効率良く車両前後方向に伝達することができる。この結果、側突荷重が搭載物20に伝達されることを抑制することができるので、車両側突時における搭載物20の損傷を抑制することができる。
【0052】
しかも、この車体下部構造10によれば、フロアリインフォースメント16は、フロアパネル26におけるロッカ12とトンネル部14との中央部(真ん中)に設けられている。これにより、ロッカ12、フロアリインフォースメント16、及び、中間リインフォースメント18の三本の骨格が車両幅方向により近づいて配置されるので、ロッカ12に入力された側突荷重を、フロアクロスメンバ24を通じてフロアリインフォースメント16及び中間リインフォースメント18により効率良く伝達することができる。
【0053】
また、図1に示されるように、フロアクロスメンバ24の車両前後方向の配置位置は、搭載物20の前端部20Aと後端部20Bとの間とされている。従って、上述の如くフロアクロスメンバ24に伝達された側突荷重をフロアリインフォースメント16及び中間リインフォースメント18に伝達させることで、この側突荷重を搭載物20に対して迂回させることができる。これにより、側突荷重が搭載物20に伝達されることをより一層効果的に抑制することができる。
【0054】
また、上述の如くフロアリインフォースメント16が、フロアパネル26におけるロッカ12とトンネル部14との中央部に設けられることにより、トンネル部14とフロアリインフォースメント16との間のスペースを確保することができる。これにより、収容部22の形状の自由度、ひいては、搭載物20の配置の自由度を向上させることができる。
【0055】
また、図2に示されるように、ロッカアッパ28と、フロアリインフォースメントアッパ42と、中間リインフォースメントアッパ56とは、フロアパネルアッパ60に一体に形成されており、ロッカロア30と、フロアリインフォースメントロア44と、中間リインフォースメントロア58とは、フロアパネルロア62に一体に形成されている。従って、部品点数の増加を抑制することができるので、組み付け工数を削減することができる。
【0056】
また、フロアクロスメンバ24には、車両下側から切り欠かれた切欠部68が形成されており、この切欠部68の内側には、フロアパネル26に車両上側へ膨出して形成され搭載物20を収容する収容部22が配置されている。従って、フロアクロスメンバ24と収容部22(搭載物20)との干渉を抑制することができるので、フロアクロスメンバ24の車両上側の出っ張りを抑えてフロアパネル26の位置を低く(低床化)できると共に、収容部22の容量を確保でき、且つ、搭載物20の車両下側への出っ張りを抑えることができる。
【0057】
また、上述のように、ロッカ12に入力された側突荷重を、フロアクロスメンバ24を通じてフロアリインフォースメント16及び中間リインフォースメント18に伝達することができるので、ロッカ12やトンネル部14に補強部材を追加する必要性を無くすことができる。これにより、ロッカ12やトンネル部14の構造を簡素化できると共に、車体を軽量化することができる。
【0058】
[補足説明]
上述の如く、側突荷重を、ロッカ12、フロアリインフォースメント16、及び、中間リインフォースメント18の三本の骨格によって効率良く車両前後方向に伝達することができるより具体的な内容を、以下に補足する。
【0059】
1.ロッカ12、フロアリインフォースメント16、及び、中間リインフォースメント18の三本の骨格にフロアクロスメンバ24が結合されているので、これらの三本の骨格の互いの距離が車両側突時に縮小することが抑制される。従って、側突荷重を、この三本の骨格によって効率良く車両前後方向に伝達することができる。
【0060】
2.車両側突時に、ロッカ12、フロアリインフォースメント16、及び、中間リインフォースメント18の三本の骨格が曲げ変形された場合には、ロッカ12とフロアリインフォースメント16との間に曲げ変形時の周長差に伴うせん断力が作用する。ところが、このロッカ12とフロアリインフォースメント16との間には中間リインフォースメント18が存在するため、上述のせん断力に対する耐力が確保される。これにより、車両側突時に、三本の骨格が必要以上に曲げ変形されることが抑制されるので、側突荷重を、この三本の骨格によって効率良く車両前後方向に伝達することができる。
【0061】
3.車両側突時に、ロッカ12及びフロアリインフォースメント16の骨格が曲げ変形された場合には、それぞれの骨格の中心に曲げ中心が位置される。ところが、このロッカ12とフロアリインフォースメント16との間には、中間リインフォースメント18が存在するため、三本の骨格の中心に曲げ中心が位置する。従って、このことによっても、車両側突時に、三本の骨格が必要以上に曲げ変形されることが抑制されるので、側突荷重を、この三本の骨格によって効率良く車両前後方向に伝達することができる。
【0062】
なお、三本の骨格が車両幅方向に隣接されることで、中間リインフォースメント18が隣り合うロッカ12及びフロアリインフォースメント16によるせん断に対して強くなる。しかも、側面衝突時に三本の骨格が近づくことがフロアクロスメンバ24により抑制されるので、上述のせん断に対して強くなる効果を向上させることができる。
【0063】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0064】
上述の本発明の一実施形態において、収容部22の上壁部22Aは、トンネル部14の上壁部14Aよりも車両下側に位置されており、この上壁部14Aとの間に段差を有していたが、上壁部14Aと同じ高さに位置されていても良い。つまり、収容部22の上壁部22A及びトンネル部14の上壁部14Aは、車両幅方向に連続する水平な平面を形成していても良い。
【0065】
また、フロアクロスメンバ24、収容部22、及び、搭載物20は、後席66と車両前後方向にオーバーラップする位置(図1に示されるセンターピラーP2とリアピラーP3との間の位置)に設けられていたが、車両前後方向のどの位置に設けられていても良い。
【0066】
例えば、図4に示されるように、フロアクロスメンバ24、収容部22、及び、搭載物20は、ロッカ12から立設されたピラー80(例えば、図1に示されるフロントピラーP1、センターピラーP2、及び、リアピラーP3のいずれか)と車両前後方向にオーバーラップする位置に設けられても良い。
【0067】
また、この場合に、図4に示されるように、側壁部24Aにおける車両幅方向外側の端部に形成されたフランジ24Cは、ピラー80の下部を構成するピラーロア82のうちピラーロアインナ84における車両幅方向内側の側壁部84Aに結合されていても良い。また、上壁部24Bにおける車両幅方向外側の端部に形成されたフランジ24Dも側壁部84Aに結合されていても良い。
【0068】
なお、この図4に示されるピラーロア82は、ピラーロアインナ84及びピラーロアアウタ86を有して構成されており、ピラー80の上部を構成するピラーアッパ88は、ピラーアッパインナ90及びピラーアッパアウタ92を有して構成されている。
【0069】
ピラーロアインナ84における車両幅方向内側の側壁部84Aは、ロッカアッパ28における車両幅方向内側の側壁部28Bに結合されており、ピラーロアアウタ86における車両幅方向外側の側壁部86Aは、ロッカアッパ28における車両幅方向外側の側壁部28Cに結合されている。このピラーロアインナ84及びピラーロアアウタ86は、上述の如くロッカアッパ28と結合されることにより、このロッカアッパ28を含むフロアパネルアッパ60とサブアッセンブリ化されていても良い。
【0070】
また、上述の本発明の一実施形態において、フランジ24C,24Dは、ロッカアッパ28における車両幅方向内側の側壁部28B、及び、ピラーロアインナ84における車両幅方向内側の側壁部84Aの両方に結合されていても良い。
【0071】
また、フロアリインフォースメント16は、フロアパネル26におけるロッカ12とトンネル部14との中央部(真ん中)に設けられていたが、ロッカ12とトンネル部14との中間部であれば、中央部から車両幅方向にずれた位置に設けられていても良い。
【0072】
また、搭載物20は、トンネル部14を車両幅方向に跨いで配置されていたが、フロアリインフォースメント16よりも車両幅方向内側に配置されていれば、トンネル部14を車両幅方向に跨いでいなくても良い(トンネル部14とフロアリインフォースメント16との間に配置されていても良い)。
【0073】
また、フロアクロスメンバ24の車両幅方向内側の端部(フランジ24E,24F)は、トンネル部14に結合されていたが、例えば、フロアパネル26(フロアパネルアッパ60)におけるフロアリインフォースメント16とトンネル部14との中間部に結合されていても良い。
【0074】
また、フロアクロスメンバ24の車両前後方向の配置位置は、搭載物20の前端部20Aと後端部20Bとの間とされていたが、搭載物20の前端部20Aと後端部20Bとの間から車両前後方向にずれていても良い。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0076】
10 車体下部構造
12 ロッカ
14 トンネル部
16 フロアリインフォースメント
18 中間リインフォースメント
20 搭載物
20A 前端部
20B 後端部
22 収容部
24 フロアクロスメンバ
24C フランジ(車両幅方向外側の端部の一部)
24D フランジ(車両幅方向外側の端部の一部)
24E フランジ(車両幅方向内側の端部の一部)
24F フランジ(車両幅方向内側の端部の一部)
24J フランジ(車両幅方向中間部の一部)
24L フランジ(車両幅方向中間部の一部)
26 フロアパネル
28 ロッカアッパ
30 ロッカロア
42 フロアリインフォースメントアッパ
44 フロアリインフォースメントロア
56 中間リインフォースメントアッパ
58 中間リインフォースメントロア
60 フロアパネルアッパ
62 フロアパネルロア
68 切欠部
80 ピラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の床部を構成するフロアパネルにおける車両幅方向外側の端部に設けられて車両前後方向に延びると共に、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成すロッカと、
前記フロアパネルの車両幅方向中央部に車両上側に膨出して形成され、車両前後方向に延びるトンネル部と、
前記フロアパネルにおける前記ロッカと前記トンネル部との中間部に設けられて車両前後方向に延びると共に、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成すフロアリインフォースメントと、
前記フロアパネルにおける前記ロッカと前記フロアリインフォースメントとの中間部に設けられて車両前後方向に延びると共に、車両幅方向に沿って切断した断面が閉断面状を成す中間リインフォースメントと、
前記フロアパネルの車両下側に搭載されると共に、前記フロアリインフォースメントよりも車両幅方向内側に配置された搭載物と、
前記フロアパネルの車両上側に設けられて車両幅方向に延び、車両幅方向外側の端部が前記ロッカ及び前記ロッカから立設されたピラーの少なくとも一方に結合されると共に、車両幅方向中間部が前記フロアリインフォースメント及び前記中間リインフォースメントにそれぞれ結合されたフロアクロスメンバと、
を備えた車体下部構造。
【請求項2】
前記ロッカの上部を構成するロッカアッパと、前記フロアリインフォースメントの上部を構成するフロアリインフォースメントアッパと、前記中間リインフォースメントの上部を構成する中間リインフォースメントアッパとは、フロアパネルアッパに一体に形成され、
前記ロッカの下部を構成するロッカロアと、前記フロアリインフォースメントの下部を構成するフロアリインフォースメントロアと、前記中間リインフォースメントの下部を構成する中間リインフォースメントロアとは、前記フロアパネルアッパと共に前記フロアパネルを構成するフロアパネルロアに一体に形成されている、
請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記フロアリインフォースメントは、前記フロアパネルにおける前記ロッカと前記トンネル部との中央部に設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
前記フロアクロスメンバの車両前後方向の配置位置が、前記搭載物の前端部と後端部との間とされている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車体下部構造。
【請求項5】
前記フロアパネルには、車両上側に膨出し、前記搭載物を収容する収容部が形成され、
前記フロアクロスメンバには、車両下側から切り欠かれて、内側に前記収容部が配置された切欠部が形成されている、
請求項4に記載の車体下部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−107470(P2013−107470A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253077(P2011−253077)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】