車体側部構造
【課題】窓枠の剛性(強度)を保ち、かつ、重量の増加を抑えることができる車体側部構造を提供する。
【解決手段】車体側部構造10は、フロントピラーアッパ25、サブピラー26、ルーフサイドレールおよびフロントピラーロアで窓枠24の前縁部25、後縁部26、上縁部および下縁部を形成する。前縁部25、後縁部26、上縁部19および下縁部27の各縁部により窓枠24が略矩形状に形成されている。さらに、前縁部25および上縁部19が交差する前上角部28が第1補強部材32で補強され、後縁部26および下縁部27が交差する後下角部29が第2補強部材33で補強されている。
【解決手段】車体側部構造10は、フロントピラーアッパ25、サブピラー26、ルーフサイドレールおよびフロントピラーロアで窓枠24の前縁部25、後縁部26、上縁部および下縁部を形成する。前縁部25、後縁部26、上縁部19および下縁部27の各縁部により窓枠24が略矩形状に形成されている。さらに、前縁部25および上縁部19が交差する前上角部28が第1補強部材32で補強され、後縁部26および下縁部27が交差する後下角部29が第2補強部材33で補強されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部の前方側に窓枠が前縁部、後縁部、上縁部および下縁部の各縁部で略矩形状に形成された車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体側部構造として、フロントピラーに三角形窓枠を備え、三角形窓枠の全周を補強ブラケットで補強するように構成したものが知られている。
三角形窓枠の全周を補強ブラケットで補強することにより、車体前方からの衝撃荷重でフロントピラーが変形することを抑えることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
なお、三角形窓枠は、通常セダンタイプの車両に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のなかには、ハイトワゴンのようにセダンタイプの車両に比べて窓枠が大きく形成されたものがある。この大きな窓枠を補強するために、特許文献1と同様に窓枠の全周に補強ブラケットを設けることが考えられる。
なお、ハイトワゴンとは、車体前部にボンネットを備えた、全高の大きなキャビンを持つ軽乗用車である。
【0005】
しかし、大きな窓枠の全周に補強ブラケットを設けるためには、補強ブラケットを大きく形成する必要がある。
このため、補強ブラケットの重量が増してしまい、そのことが車体側部構造の重量(すなわち、車体重量)を抑える妨げになる。
【0006】
本発明は、窓枠の剛性を保ち、かつ、重量の増加を抑えることができる車体側部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体側部の前方側で上下方向に延出して窓枠の前縁部を構成するフロントピラーアッパと、該フロントピラーアッパの後方で上下方向に延出して前記窓枠の後縁部を構成するサブピラーと、前記フロントピラーアッパの上端と前記サブピラーの上端を連結するよう車体前後方向に延びて前記窓枠の上縁部を構成するルーフサイドレールと、前記フロントピラーアッパの下端と前記サブピラーの下端を連結して前記窓枠の下縁部を構成するフロントピラーロアと、を備え、前記前縁部、前記後縁部、前記上縁部および前記下縁部の各縁部により、車体側部の前方側に前記窓枠が略矩形状に形成された車体側部構造であって、前記前縁部および前記上縁部が交差する前上角部を補強する第1補強部材と、前記後縁部および前記下縁部が交差する後下角部を補強する第2補強部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、車体側部の前方側に窓枠を前縁部、後縁部、上縁部および下縁部で略矩形状(詳しくは、略平行四辺形状)に形成することにより、前縁部および上縁部で前上角部が形成され、後縁部および下縁部で後下角部が形成される。
この車両に前方から衝撃荷重が入力した場合、前上角部および後下角部を互いに離れる方向に移動させようとする力が作用する。
換言すれば、前上角部を軸にして前縁部および上縁部が互いに近づく方向に移動する力が作用する。さらに、後下角部を軸にして後縁部および下縁部が互いに近づく方向に移動する力が作用する。
【0009】
ところで、窓枠は、通常、車幅方向に沿った内面を有している。
そこで、請求項1において、前縁部および上縁部が交差する前上角部を第1補強部材で補強し、後縁部および下縁部が交差する後下角部を第2補強部材で補強するようにした。
よって、第1補強部材および第2補強部材で窓枠の内面を窓枠の中心側から支えることが可能である。
【0010】
請求項2は、前記窓枠を構成する前記各縁部は、車幅方向に対向する第1面部と、該第1面部の前記窓枠の中心側の端部から車幅方向へ向けて張り出された第2面部と、前記第1面部および前記第2面部が交差する部位に形成された稜線部と、を備え、前記第1補強部材および第2補強部材は、前記第1面部を覆う第1被覆面部と、前記第2面部を覆う第2被覆面部と、前記稜線部を覆う稜線被覆部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3は、前記各縁部は、前記第2面部の車幅方向外側から前記窓枠の中心に向けて張り出された窓枠フランジを備え、前記第1補強部材と第2補強部材のうち少なくともどちらか一方は、前記第2被覆面部から前記窓枠の中心に向けて前記窓枠フランジに沿うように張り出された補強フランジを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4は、前記補強フランジは、前記フロントピラーアッパの上端に設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項5は、前記前縁部および前記後縁部で前記窓枠の縦辺が形成され、かつ、前記上縁部および前記下縁部で前記窓枠の横辺が形成され、前記第1補強部材および前記第2補強部材は、前記縦辺を覆う縦辺被覆部と前記横辺を覆う横辺被覆部との長さの比が、前記縦辺と前記横辺との長さの比に等しいことを特徴とする。
【0014】
ここで、窓枠を縦辺および横辺で略矩形状に形成した場合、辺の長さ寸法を大きくした方が辺の変形が大きくなる。
そこで、請求項5において、縦辺(前縁部および後縁部)を覆う縦辺被覆部と、横辺(上縁部および下縁部)を覆う横辺被覆部との長さの比を、縦辺と横辺との長さの比に等しくなるようにした。
なお、縦辺被覆部および横辺被覆部は各補強部材(第1補強部材、第2補強部材)に備えられている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、前縁部および上縁部が交差する前上角部を第1補強部材で補強し、後縁部および下縁部が交差する後下角部を第2補強部材で補強するようにした。
第1補強部材および第2補強部材で窓枠の内面を窓枠の中心側から支えることができる。
よって、車両に前方から衝撃荷重が入力した場合に、前縁部および上縁部が前上角部を軸にして互いに近づく方向に移動することを第1補強部材で効率よく抑えることができる。
同様に、後縁部および下縁部が後下角部を軸にして互いに近づく方向に移動することを第2補強部材で効率よく抑えることができる。
【0016】
これにより、前上角部を第1補強部材で補強し、かつ、後下角部を第2補強部材で補強することで、窓枠の全域を補強することなく窓枠の剛性(強度)を保つことができる。
さらに、窓枠の一部を補強するだけで窓枠の剛性を保つことができるので、補強部材による重量の増加を抑えることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、窓枠を構成する各縁部の第2面部に第2被覆面部を窓枠の内面を窓枠の中心側から支えることができる。
よって、車両に前方から衝撃荷重が入力した場合に、第2面部を第2被覆面部で効率よく支えることができる。
これにより、前縁部および上縁部が前上角部を軸にして互いに近づく方向に移動することや、後縁部および下縁部が後下角部を軸にして互いに近づく方向に移動することを第2被覆面部で好適に抑えることができる。
【0018】
ところで、第1面部および第2面部が交差する部位を稜線部とすることで、第1面部、第2面部および稜線部で各縁部を断面略く字形に形成できる。
このように、各縁部に稜線部を備えて各縁部を断面略く字形に形成することで各縁部の剛性を確保できる。
【0019】
加えて、第1面部を第1被覆面部で覆い、第2面部を第2被覆面部で覆い、稜線部を稜線被覆部で覆うようにした。
これにより、各縁部の稜線部を第1補強部材および第2補強部材で補強することができるので、各縁部の剛性をより好適に確保できる。
【0020】
請求項3に係る発明では、第2面部の車幅方向外側から窓枠の中心に向けて窓枠フランジを張り出させることにより、第2面部および窓枠フランジが交差する部位にフランジ稜線部を形成できる。
さらに、補強フランジを窓枠フランジに沿わせて張り出させることにより、補強フランジを窓枠フランジに設けることができる。
よって、窓枠フランジを補強フランジで補強することができる。
【0021】
さらに、第2被覆面部に補強フランジを備えることで、第2被覆面部および補強フランジでフランジ稜線部を覆うことができる。
よって、第2被覆面部および補強フランジの交差部でフランジ稜線部を補強することができる。
このように、窓枠フランジを補強フランジで補強し、かつ、フランジ稜線部を交差部で補強することで、窓枠の剛性をさらに好適に確保できる。
【0022】
請求項4に係る発明では、フロントピラーアッパの上端に補強フランジを設けた。
よって、車体側面視で車体側部の前端、かつ上端となる前上角部の近傍に補強フランジを設けることができる。これにより、前上角部を補強フランジで補強して車体側部の剛性を高めることができる。
【0023】
ここで、フロントピラーアッパで形成される前縁部は長さ寸法が大きく形成されている。このため、前縁部の上端近傍に設けられた前上角部に比較的大きな応力が集中しやすい。よって、前上角部を補強フランジで補強することで窓枠の剛性(強度)を効率よく高めることが可能である。
【0024】
請求項5に係る発明では、縦辺(前縁部および後縁部)を覆う縦辺被覆部と、横辺(上縁部および下縁部)を覆う横辺被覆部との長さの比を、縦辺と横辺との長さの比に等しくなるようにした。
これにより、例えば、「長い方の辺」を「長い被覆部」で覆うことができるので、縦辺や横辺を補強部材でより好適に補強できるので、窓枠の剛性をさらに好適に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る車体側部構造を備えた車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車体側部構造を示す斜視図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図2の窓枠の上半部および第1補強部材を示す斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図2の窓枠の下半部および第2補強部材を示す斜視図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図4の窓枠の上半部および第1補強部材を分解した状態を示す分解斜視図である。
【図9】図6の窓枠の下半部および第2補強部材を分解した状態を示す分解斜視図である。
【図10】車両前方から衝撃荷重が窓枠に伝えられる例を説明する図である。
【図11】窓枠に伝えられた荷重を第1補強部材および第2補強部材で支える例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0027】
実施例に係る車体側部構造10について説明する。
図1、図2に示すように、車両MVは、車体の側部を構成する車体側部構造10と、車体側部構造10に設けられたフロントサイドドア22と、センタピラー16およびリヤピラー17に設けられたリヤスライドドア23とを備えている。
【0028】
車体側部構造10は、床部を形成するフロアパネル12と、フロアパネル12の外側部に沿って車体前後方向に延出されたサイドシル13と、サイドシル13の前端13aから立ち上げられたフロントピラー14と、サイドシル13の中央部13bから立ち上げられたセンタピラー16と、サイドシル13の後端13cから立ち上げられたリヤピラー17とを備えている。
【0029】
さらに、車体側部構造10は、フロントピラー14の上端14aからリヤピラー17の上端17aまで延出されたルーフサイドレール18と、ルーフサイドレール18に設けられたルーフパネル21とを備えている。
フロントピラー14およびセンタピラー16間にフロントサイドドア22が設けられている。また、センタピラー16およびリヤピラー17間にリヤスライドドア23が設けられている。
【0030】
図3に示すように、フロントピラー14は、フロントピラー14の上半部(車体側部の前方側)14bに設けられた窓枠24と、窓枠24に設けられた補強手段31とが備えられている。
窓枠24は、フロントピラーアッパ25、サブピラー26、ルーフサイドレール18のレール前部19およびフロントピラーロア27で略矩形状(詳しくは、略平行四辺形状)に形成されている。
【0031】
フロントピラーアッパ25は、車体側部の前方側において車体後方に向けて上り勾配となるように上下方向に延出されている。
このフロントピラーアッパ25は窓枠24の前縁部を構成する部位である。
以下、フロントピラーアッパ25を前縁部25として説明する。
【0032】
図4、図5に示すように、前縁部25は、前縁アウタ25Aおよび前縁インナ25Bで閉断面状に形成されている。
前縁インナ25Bは、第1前面部(第1面部)35、第2前面部(第2面部)36、前稜線部(稜線部)37、前内窓枠フランジ(窓枠フランジ)38、前内フランジ稜線部(フランジ稜線部)39、前外窓枠フランジ41、および前外フランジ稜線部42を有する。
【0033】
第1前面部35は、車幅方向(矢印A方向)に対向するように設けられた略平坦な帯状の部位である。
第2前面部36は、第1前面部35のうち窓枠24の中心(以下、窓枠中心という)48(図3参照)側の端部35aから車幅方向へ張り出すように折り曲げられた略平坦な帯状の部位である。
【0034】
前稜線部37は、第1前面部35および第2前面部36が交差する部位で折り曲げられることにより、車室15側に突出するように形成された断面凸状の部位である。
よって、第1前面部35、第2前面部36および前稜線部37で前縁部25が断面略く字形に形成されている。
このように、前縁部25に前稜線部37を備えて前縁部25を断面略く字形に形成することで前縁部25の剛性を確保することができる。
【0035】
前内窓枠フランジ38は、第2前面部36の車幅方向外側の端部36aから窓枠中心48(図3参照)に向けて張り出すように折り曲げられた突出片である。
第2前面部36から前内窓枠フランジ38を張り出させることで、第2前面部36および前内窓枠フランジ38が交差する部位に前内フランジ稜線部39が形成されている。
前内フランジ稜線部39は、車室外20側に突出するように形成された断面凸状の部位である。
【0036】
前外窓枠フランジ41は、第1前面部35の前端35cから車室15側に向けて張り出されている。
前外フランジ稜線部42は、前外窓枠フランジ41および第1前面部35が交差する部位に車室外20側に突出するように形成された断面凸状の部位である。
【0037】
図3に示すように、サブピラー26は、前縁部25の車体後方に所定間隔をおいて設けられ、車体後方に向けて上り勾配となるように上下方向に延出されている。
このサブピラー26は窓枠24の後縁部を構成する部位である。
以下、サブピラー26を後縁部26として説明する。
【0038】
図6、図7に示すように、後縁部26は、後縁アウタ26Aおよび後縁インナ26Bで閉断面状に形成されている。
後縁インナ26Bは、第1後面部(第1面部)43、第2後面部(第2面部)44、後稜線部(稜線部)45、後窓枠フランジ(窓枠フランジ)46、および後フランジ稜線部47を有する。
後縁部26は、前縁部25と同様に形成された縁部であり、第1後面部43、第2後面部44、後稜線部45、後窓枠フランジ46および後フランジ稜線部47の詳しい説明を省略する。
【0039】
図3に示すように、ルーフサイドレール18は、レール前部19が、前縁部25の上端25aと後縁部26の上端26aを連結するように車体前後方向に略水平に延出されている。
さらに、ルーフサイドレール18は、レール前部19の後部が、後縁部26の上端26aからセンタピラー16の上端16aを経てリヤピラー17の上端17aまで延出されている(図2参照)。
このルーフサイドレール18のレール前部19は、窓枠24の上縁部を構成する部位である。
以下、ルーフサイドレール18のレール前部19を上縁部19として説明する。
【0040】
図4に示すように、上縁部19は、上縁アウタ19Aおよび上縁インナ19Bで閉断面状に形成されている。
上縁インナ19Bは、第1上面部(第1面部)51、第2上面部(第2面部)52、上稜線部(稜線部)53、上内窓枠フランジ(窓枠フランジ)54、および上外窓枠フランジ55を有する。
上縁部19は、前縁部25と同様に形成された縁部であり、第1上面部51、第2上面部52、上稜線部53、上窓枠フランジ54および上外窓枠フランジ55の詳しい説明を省略する。
【0041】
図3に示すように、フロントピラーロア27は、前縁部25の下端25bとサブピラー26の下端26bを連結するように車体前後方向に略水平に延出されている。
このフロントピラーロア27は、窓枠24の下縁部を構成する部位である。
以下、フロントピラーロア27を下縁部27として説明する。
【0042】
図6に示すように、下縁部27は、下縁アウタ27Aおよび下縁インナ27Bで閉断面状に形成されている。
下縁インナ27Bは、第1下面部(第1面部)56、第2下面部(第2面部)57、下稜線部(稜線部)58、および下窓枠フランジ(窓枠フランジ)59を有する。
下縁部27は、前縁部25と同様に形成された縁部であり、第1下面部56、第2下面部57、下稜線部58および下窓枠フランジ59の詳しい説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、前縁部25、後縁部26、上縁部19および下縁部27の各縁部により窓枠24が略矩形状に形成されている。
この窓枠24は、前縁部25および上縁部19が交差する角部に設けられた前上角部28と、後縁部26および下縁部27が交差する角部に設けられた後下角部29とを有する。
ここで、前縁部25および後縁部26は、窓枠24の縦辺を形成する部位である。
また、上縁部19および下縁部27は、窓枠24の横辺を形成する部位である。
【0044】
この窓枠24に補強手段31が設けられている。
補強手段31は、前上角部28を補強する第1補強部材32と、後下角部29を補強する第2補強部材33とを備えている。
【0045】
図4、図8に示すように、第1補強部材32は、前縁部(窓枠24の縦辺)25の上端25aを覆う前縦辺被覆部(縦辺被覆部)62と、上縁部(窓枠24の横辺)19の前部19aを覆う上横辺被覆部(横辺被覆部)63と、前上角部28を覆う前上角被覆部64とを有する。
前縦辺被覆部62、上横辺被覆部63および前上角被覆部64で第1補強部材32が平面視略く字状に形成されている(図3参照)。
【0046】
前縦辺被覆部62は、第1前面部35の上端35bを覆う第1前被覆面部(第1被覆面部)71と、第2前面部36の上端36bを覆う第2前被覆面部(第2被覆面部)72と、前稜線部37の上端37aを覆う前稜線被覆部(稜線被覆部)73とを有する。
【0047】
さらに、前縦辺被覆部62は、第2前被覆面部72に一対の補強フランジ(補強フランジ)74を有する。
一対の補強フランジ74は、第2前被覆面部72の車幅方向内側の端部72aから窓枠中心48(具体的には、後縁部26)に向けて、前内窓枠フランジ38に沿うように張り出されている。
一対の補強フランジ74を前内窓枠フランジ38に設けることで、前内窓枠フランジ38を一対の補強フランジ74で補強することができる。
【0048】
さらに、第2前被覆面部72に一対の補強フランジ74を備えることで、第2前被覆面部72および一対の補強フランジ74で前内フランジ稜線部39を覆うことができる。
よって、第2前被覆面部72および一対の補強フランジ74の交差部75で前内フランジ稜線部39を補強することができる。
このように、前内窓枠フランジ38を一対の補強フランジ74で補強し、かつ、前内フランジ稜線部39を交差部75で補強することで、窓枠24の剛性を好適に確保できる。
【0049】
さらに、前縁部25の上端25aに一対の補強フランジ74を設けることで、車体側面視で車体側部構造10の前端、かつ上端となる前上角部28の近傍に一対の補強フランジ74を設けることができる。
これにより、前上角部28を一対の補強フランジ74で補強して車体側部構造10の剛性を高めることができる。
【0050】
ここで、前縁部25は長さ寸法が大きく形成されている。このため、前縁部25の上端25a近傍に設けられた前上角部28に比較的大きな応力が集中しやすい。
よって、前上角部28を一対の補強フランジ74で補強することで窓枠24の剛性(強度)を効率よく高めることが可能である。
【0051】
上横辺被覆部63は、第1上面部51の前端51aを覆う第1上被覆面部(第1被覆面部)77と、第2上面部52の前端52aを覆う第2上被覆面部(第2被覆面部)78と、上稜線部53の前端53aを覆う上稜線被覆部(稜線被覆部)79とを有する。
【0052】
このように、前縦辺被覆部62の第1前被覆面部71、第2前被覆面部72および前稜線被覆部73で、第1前面部35の上端35b、第2前面部36の上端36bおよび前稜線部37の上端37aをそれぞれ覆うようにした。
さらに、上横辺被覆部63の第1上被覆面部77、第2上被覆面部78および上稜線被覆部79で、第1上面部51の前端51a、第2上面部52の前端52aおよび上稜線部53の前端53aをそれぞれ覆うようにした。
【0053】
よって、前稜線部37の上端37aおよび上稜線部53の前端53aを第1補強部材32で補強することができる。
これにより、前縁部25および上縁部19(すなわち、窓枠24)の剛性を好適に確保できる。
【0054】
ここで、図3に示すように、窓枠24の縦辺を形成する前縁部25は、窓枠24の横辺を形成する上縁部19と比べて長さ寸法が大きい。このため、「長い方の辺」となる前縁部25は上縁部19と比べて変形しやすい。
そこで、前縦辺被覆部62と上横辺被覆部63との長さの比を、前縁部25と上縁部19との長さの比に等しくなるように設定した。
【0055】
よって、前縦辺被覆部62は、前縁部25に対応させて「長い被覆部」に形成されている。
これにより、前縁部25を前縦辺被覆部62で覆うことにより、前縁部25および上縁部19を第1補強部材32で好適に補強して窓枠24の剛性を好適に確保できる。
【0056】
図6、図9に示すように、第2補強部材33は、後縁部(窓枠24の縦辺)26の下端26bを覆う後縦辺被覆部(縦辺被覆部)66と、下縁部27の後端27aを覆う下横辺被覆部(横辺被覆部)67と、後下角部29を覆う後下角被覆部68とを有する。
後縦辺被覆部66、下横辺被覆部67および後下角被覆部68で第2補強部材33が平面視略L字状に形成されている(図3参照)。
【0057】
後縦辺被覆部66は、第1後面部43の下端43aを覆う第1後被覆面部(第1被覆面部)81と、第2後面部44の下端44aを覆う第2後被覆面部(第2被覆面部)82と、後稜線部45の下端45aを覆う後稜線被覆部(稜線被覆部)83とを有する。
【0058】
下横辺被覆部67は、第1下面部56の後端56aを覆う第1下被覆面部(第1被覆面部)85と、第2下面部57の後端57aを覆う第2下被覆面部(第2被覆面部)86と、下稜線部58の後端58aを覆う下稜線被覆部(稜線被覆部)87とを有する。
【0059】
このように、後縦辺被覆部66の第1後被覆面部81、第2後被覆面部82および後稜線被覆部83で、第1後面部43の下端43a、第2後面部44の下端44aおよび後稜線部45の下端45aをそれぞれ覆うようにした。
さらに、下横辺被覆部67の第1下被覆面部85、第2下被覆面部86および下稜線被覆部87で、第1下面部56の後端56a、第2下面部57の後端57aおよび下稜線部58の後端58aをそれぞれ覆うようにした。
よって、後稜線部45の下端45aおよび下稜線部58の後端58aを第2補強部材33で補強することができる。
これにより、後縁部26および下縁部27(すなわち、窓枠24)の剛性を好適に確保できる。
【0060】
ここで、図3に示すように、窓枠24の縦辺を形成する後縁部26は、窓枠24の横辺を形成する下縁部27と比べて長さ寸法が大きい。このため、「長い方の辺」となる後縁部26は下縁部27と比べて変形しやすい。
そこで、後縦辺被覆部66と下横辺被覆部67との長さの比を、後縁部26と下縁部27との長さの比に等しくなるように設定した。
よって、後縦辺被覆部66は、後縁部26に対応させて「長い被覆部」に形成されている。
これにより、後縁部26を後縦辺被覆部66で覆うことにより、後縁部26および下縁部27を第2補強部材33で好適に補強して窓枠24の剛性を好適に確保できる。
【0061】
つぎに、窓枠24に車両MVの前方から衝撃荷重F1が入力する例を図10〜図11に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、車両MVの前方から衝撃荷重F1が入力することにより、衝撃荷重F1の一部F2がフロントサイドフレームおよびアウトリガーを経てサイドシル13に荷重F3として伝わる。
一方、衝撃荷重F1の残りの荷重F4がアッパメンバーを経て窓枠24の前下交差部24aに伝わる。
【0062】
図10(b)に示すように、前下交差部24aに伝わった荷重F4が、前縁部25に荷重F5として伝わり、下縁部27に荷重F6として伝わる。
前縁部25に伝わった荷重F5が上縁部19に荷重F7として伝わり、下縁部27に伝わった荷重F6の一部が後縁部26に荷重F8として伝わる。
【0063】
ここで、窓枠24は前縁部25および上縁部19で前上角部28が形成され、後縁部26および下縁部27で後下角部29が形成されている。
よって、前下交差部24aに荷重F4が伝えられることにより、前上角部28および後下角部29を互いに離れる方向(すなわち、矢印B方向)に移動させようとする力が作用する。
【0064】
換言すれば、前上角部28を軸にして前縁部25および上縁部19が互いに近づく方向(矢印C方向)に移動する力が作用する。
さらに、後下角部29を軸にして後縁部26および下縁部27が互いに近づく方向(矢印D方向)に移動する力が作用する。
【0065】
ここで、窓枠24は、車幅方向に沿った内面(すなわち、第2前面部36、第2後面部44、第2上面部52および第2下面部57)を有している。
そこで、前縁部25および上縁部19が交差する前上角部28を第1補強部材32で補強した。さらに、後縁部26および下縁部27が交差する後下角部29を第2補強部材33で補強した。
【0066】
図11(a)に示すように、第1補強部材32の第2前被覆面部72で第2前面部36を窓枠中心48(図10(b)参照)側から覆うことができる。
また、第1補強部材32の第2上被覆面部78で第2上面部52を窓枠中心48側から覆うことができる。
【0067】
よって、前下交差部24aに荷重F4(図10(a)参照)が伝えられた場合に、第2前面部36を第1補強部材32の第2前被覆面部72で効率よく支えることができる。
同様に、第2上面部52を第1補強部材32の第2上被覆面部78で効率よく支えることができる。
これにより、前縁部25および上縁部19が前上角部28を軸にして互いに近づく方向に移動することを第1補強部材32で好適に抑え、窓枠24の剛性を高めることができる。
【0068】
図11(b)に示すように、第2補強部材33の第2後被覆面部82で第2後面部44を窓枠中心48(図10(b)参照)側から覆うことができる。
また、第2補強部材33の第2下被覆面部86で第2下面部57を窓枠中心48側から覆うことができる。
【0069】
よって、前下交差部24aに荷重F4(図10(a)参照)が伝えられた場合に、第2後面部44を第2補強部材33の第2後被覆面部82で効率よく支えることができる。
同様に、第2下面部57を第2補強部材33の第2下被覆面部86で効率よく支えることができる。
これにより、後縁部26および下縁部27が後下角部29を軸にして互いに近づく方向に移動することを第2補強部材33で好適に抑え、窓枠24の剛性を高めることができる。
【0070】
このように、図10(b)に示すように、前上角部28を第1補強部材32で補強し、かつ、後下角部29を第2補強部材33で補強することで、窓枠24の全域を補強することなく窓枠24の剛性(強度)を保つことができる。
さらに、窓枠24の一部を補強するだけで窓枠24の剛性を保つことができるので、補強手段31(第1補強部材32、第2補強部材33)による重量の増加を抑えることができる。
【0071】
なお、本発明に係る車体側部構造は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、第1補強部材32の第2前被覆面部72に補強フランジ74を備えた例について説明したが、これに限らないで、第1補強部材32の第2上被覆面部78や第2補強部材33に補強フランジを備えることも可能である。
【0072】
また、前記実施例で示した車体側部構造10、窓枠24、前縁部25、上縁部19、後縁部26、下縁部27、第1補強部材32および第2補強部材33などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、車体側部の前方側に窓枠が前縁部、後縁部、上縁部および下縁部の各縁部で略矩形状に形成された車体側部構造を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0074】
10…車体側部構造、19…上縁部(ルーフサイドレールのレール前部)、24…窓枠、25…前縁部(フロントピラーアッパ)、25a…フロントピラーアッパの上端、25b…フロントピラーアッパの下端、26…後縁部(サブピラー)、26a…サブピラーの上端、26b…サブピラーの下端、27…下縁部(フロントピラーロア)、28…前上角部、29…後下角部、31…補強手段、32…第1補強部材、33…第2補強部材、35…第1前面部(第1面部)、36…第2前面部(第2面部)、37,45,53,58…前、後、上、下の稜線部(稜線部)、38,46,54,59…前、後、上、下の窓枠フランジ(窓枠フランジ)、43…第1後面部(第1面部)、44…第2後面部(第2面部)、48…窓枠中心(窓枠の中心)、51…第1上面部(第1面部)、52…第2上面部(第2面部)、56…第1下面部(第1面部)、57…第2下面部(第2面部)、62,66…前、後の縦辺被覆部(縦辺被覆部)、63,67…上、下の横辺被覆部(横辺被覆部)、71…第1前被覆面部(第1被覆面部)、72…第2前被覆面部(第2被覆面部)、73,83,79,87…前、後、上、下の稜線被覆部(稜線被覆部)、74…一対の補強フランジ(補強フランジ)、77…第1上被覆面部(第1被覆面部)、78…第2上被覆面部(第2被覆面部)、81…第1後被覆面部(第1被覆面部)、82…第2後被覆面部(第2被覆面部)、85…第1下被覆面部(第1被覆面部)、86…第2下被覆面部(第2被覆面部)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部の前方側に窓枠が前縁部、後縁部、上縁部および下縁部の各縁部で略矩形状に形成された車体側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体側部構造として、フロントピラーに三角形窓枠を備え、三角形窓枠の全周を補強ブラケットで補強するように構成したものが知られている。
三角形窓枠の全周を補強ブラケットで補強することにより、車体前方からの衝撃荷重でフロントピラーが変形することを抑えることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
なお、三角形窓枠は、通常セダンタイプの車両に適用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両のなかには、ハイトワゴンのようにセダンタイプの車両に比べて窓枠が大きく形成されたものがある。この大きな窓枠を補強するために、特許文献1と同様に窓枠の全周に補強ブラケットを設けることが考えられる。
なお、ハイトワゴンとは、車体前部にボンネットを備えた、全高の大きなキャビンを持つ軽乗用車である。
【0005】
しかし、大きな窓枠の全周に補強ブラケットを設けるためには、補強ブラケットを大きく形成する必要がある。
このため、補強ブラケットの重量が増してしまい、そのことが車体側部構造の重量(すなわち、車体重量)を抑える妨げになる。
【0006】
本発明は、窓枠の剛性を保ち、かつ、重量の増加を抑えることができる車体側部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体側部の前方側で上下方向に延出して窓枠の前縁部を構成するフロントピラーアッパと、該フロントピラーアッパの後方で上下方向に延出して前記窓枠の後縁部を構成するサブピラーと、前記フロントピラーアッパの上端と前記サブピラーの上端を連結するよう車体前後方向に延びて前記窓枠の上縁部を構成するルーフサイドレールと、前記フロントピラーアッパの下端と前記サブピラーの下端を連結して前記窓枠の下縁部を構成するフロントピラーロアと、を備え、前記前縁部、前記後縁部、前記上縁部および前記下縁部の各縁部により、車体側部の前方側に前記窓枠が略矩形状に形成された車体側部構造であって、前記前縁部および前記上縁部が交差する前上角部を補強する第1補強部材と、前記後縁部および前記下縁部が交差する後下角部を補強する第2補強部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
ここで、車体側部の前方側に窓枠を前縁部、後縁部、上縁部および下縁部で略矩形状(詳しくは、略平行四辺形状)に形成することにより、前縁部および上縁部で前上角部が形成され、後縁部および下縁部で後下角部が形成される。
この車両に前方から衝撃荷重が入力した場合、前上角部および後下角部を互いに離れる方向に移動させようとする力が作用する。
換言すれば、前上角部を軸にして前縁部および上縁部が互いに近づく方向に移動する力が作用する。さらに、後下角部を軸にして後縁部および下縁部が互いに近づく方向に移動する力が作用する。
【0009】
ところで、窓枠は、通常、車幅方向に沿った内面を有している。
そこで、請求項1において、前縁部および上縁部が交差する前上角部を第1補強部材で補強し、後縁部および下縁部が交差する後下角部を第2補強部材で補強するようにした。
よって、第1補強部材および第2補強部材で窓枠の内面を窓枠の中心側から支えることが可能である。
【0010】
請求項2は、前記窓枠を構成する前記各縁部は、車幅方向に対向する第1面部と、該第1面部の前記窓枠の中心側の端部から車幅方向へ向けて張り出された第2面部と、前記第1面部および前記第2面部が交差する部位に形成された稜線部と、を備え、前記第1補強部材および第2補強部材は、前記第1面部を覆う第1被覆面部と、前記第2面部を覆う第2被覆面部と、前記稜線部を覆う稜線被覆部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3は、前記各縁部は、前記第2面部の車幅方向外側から前記窓枠の中心に向けて張り出された窓枠フランジを備え、前記第1補強部材と第2補強部材のうち少なくともどちらか一方は、前記第2被覆面部から前記窓枠の中心に向けて前記窓枠フランジに沿うように張り出された補強フランジを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項4は、前記補強フランジは、前記フロントピラーアッパの上端に設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項5は、前記前縁部および前記後縁部で前記窓枠の縦辺が形成され、かつ、前記上縁部および前記下縁部で前記窓枠の横辺が形成され、前記第1補強部材および前記第2補強部材は、前記縦辺を覆う縦辺被覆部と前記横辺を覆う横辺被覆部との長さの比が、前記縦辺と前記横辺との長さの比に等しいことを特徴とする。
【0014】
ここで、窓枠を縦辺および横辺で略矩形状に形成した場合、辺の長さ寸法を大きくした方が辺の変形が大きくなる。
そこで、請求項5において、縦辺(前縁部および後縁部)を覆う縦辺被覆部と、横辺(上縁部および下縁部)を覆う横辺被覆部との長さの比を、縦辺と横辺との長さの比に等しくなるようにした。
なお、縦辺被覆部および横辺被覆部は各補強部材(第1補強部材、第2補強部材)に備えられている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、前縁部および上縁部が交差する前上角部を第1補強部材で補強し、後縁部および下縁部が交差する後下角部を第2補強部材で補強するようにした。
第1補強部材および第2補強部材で窓枠の内面を窓枠の中心側から支えることができる。
よって、車両に前方から衝撃荷重が入力した場合に、前縁部および上縁部が前上角部を軸にして互いに近づく方向に移動することを第1補強部材で効率よく抑えることができる。
同様に、後縁部および下縁部が後下角部を軸にして互いに近づく方向に移動することを第2補強部材で効率よく抑えることができる。
【0016】
これにより、前上角部を第1補強部材で補強し、かつ、後下角部を第2補強部材で補強することで、窓枠の全域を補強することなく窓枠の剛性(強度)を保つことができる。
さらに、窓枠の一部を補強するだけで窓枠の剛性を保つことができるので、補強部材による重量の増加を抑えることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、窓枠を構成する各縁部の第2面部に第2被覆面部を窓枠の内面を窓枠の中心側から支えることができる。
よって、車両に前方から衝撃荷重が入力した場合に、第2面部を第2被覆面部で効率よく支えることができる。
これにより、前縁部および上縁部が前上角部を軸にして互いに近づく方向に移動することや、後縁部および下縁部が後下角部を軸にして互いに近づく方向に移動することを第2被覆面部で好適に抑えることができる。
【0018】
ところで、第1面部および第2面部が交差する部位を稜線部とすることで、第1面部、第2面部および稜線部で各縁部を断面略く字形に形成できる。
このように、各縁部に稜線部を備えて各縁部を断面略く字形に形成することで各縁部の剛性を確保できる。
【0019】
加えて、第1面部を第1被覆面部で覆い、第2面部を第2被覆面部で覆い、稜線部を稜線被覆部で覆うようにした。
これにより、各縁部の稜線部を第1補強部材および第2補強部材で補強することができるので、各縁部の剛性をより好適に確保できる。
【0020】
請求項3に係る発明では、第2面部の車幅方向外側から窓枠の中心に向けて窓枠フランジを張り出させることにより、第2面部および窓枠フランジが交差する部位にフランジ稜線部を形成できる。
さらに、補強フランジを窓枠フランジに沿わせて張り出させることにより、補強フランジを窓枠フランジに設けることができる。
よって、窓枠フランジを補強フランジで補強することができる。
【0021】
さらに、第2被覆面部に補強フランジを備えることで、第2被覆面部および補強フランジでフランジ稜線部を覆うことができる。
よって、第2被覆面部および補強フランジの交差部でフランジ稜線部を補強することができる。
このように、窓枠フランジを補強フランジで補強し、かつ、フランジ稜線部を交差部で補強することで、窓枠の剛性をさらに好適に確保できる。
【0022】
請求項4に係る発明では、フロントピラーアッパの上端に補強フランジを設けた。
よって、車体側面視で車体側部の前端、かつ上端となる前上角部の近傍に補強フランジを設けることができる。これにより、前上角部を補強フランジで補強して車体側部の剛性を高めることができる。
【0023】
ここで、フロントピラーアッパで形成される前縁部は長さ寸法が大きく形成されている。このため、前縁部の上端近傍に設けられた前上角部に比較的大きな応力が集中しやすい。よって、前上角部を補強フランジで補強することで窓枠の剛性(強度)を効率よく高めることが可能である。
【0024】
請求項5に係る発明では、縦辺(前縁部および後縁部)を覆う縦辺被覆部と、横辺(上縁部および下縁部)を覆う横辺被覆部との長さの比を、縦辺と横辺との長さの比に等しくなるようにした。
これにより、例えば、「長い方の辺」を「長い被覆部」で覆うことができるので、縦辺や横辺を補強部材でより好適に補強できるので、窓枠の剛性をさらに好適に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る車体側部構造を備えた車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車体側部構造を示す斜視図である。
【図3】図2の3矢視図である。
【図4】図2の窓枠の上半部および第1補強部材を示す斜視図である。
【図5】図4の5−5線断面図である。
【図6】図2の窓枠の下半部および第2補強部材を示す斜視図である。
【図7】図6の7−7線断面図である。
【図8】図4の窓枠の上半部および第1補強部材を分解した状態を示す分解斜視図である。
【図9】図6の窓枠の下半部および第2補強部材を分解した状態を示す分解斜視図である。
【図10】車両前方から衝撃荷重が窓枠に伝えられる例を説明する図である。
【図11】窓枠に伝えられた荷重を第1補強部材および第2補強部材で支える例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は運転者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0027】
実施例に係る車体側部構造10について説明する。
図1、図2に示すように、車両MVは、車体の側部を構成する車体側部構造10と、車体側部構造10に設けられたフロントサイドドア22と、センタピラー16およびリヤピラー17に設けられたリヤスライドドア23とを備えている。
【0028】
車体側部構造10は、床部を形成するフロアパネル12と、フロアパネル12の外側部に沿って車体前後方向に延出されたサイドシル13と、サイドシル13の前端13aから立ち上げられたフロントピラー14と、サイドシル13の中央部13bから立ち上げられたセンタピラー16と、サイドシル13の後端13cから立ち上げられたリヤピラー17とを備えている。
【0029】
さらに、車体側部構造10は、フロントピラー14の上端14aからリヤピラー17の上端17aまで延出されたルーフサイドレール18と、ルーフサイドレール18に設けられたルーフパネル21とを備えている。
フロントピラー14およびセンタピラー16間にフロントサイドドア22が設けられている。また、センタピラー16およびリヤピラー17間にリヤスライドドア23が設けられている。
【0030】
図3に示すように、フロントピラー14は、フロントピラー14の上半部(車体側部の前方側)14bに設けられた窓枠24と、窓枠24に設けられた補強手段31とが備えられている。
窓枠24は、フロントピラーアッパ25、サブピラー26、ルーフサイドレール18のレール前部19およびフロントピラーロア27で略矩形状(詳しくは、略平行四辺形状)に形成されている。
【0031】
フロントピラーアッパ25は、車体側部の前方側において車体後方に向けて上り勾配となるように上下方向に延出されている。
このフロントピラーアッパ25は窓枠24の前縁部を構成する部位である。
以下、フロントピラーアッパ25を前縁部25として説明する。
【0032】
図4、図5に示すように、前縁部25は、前縁アウタ25Aおよび前縁インナ25Bで閉断面状に形成されている。
前縁インナ25Bは、第1前面部(第1面部)35、第2前面部(第2面部)36、前稜線部(稜線部)37、前内窓枠フランジ(窓枠フランジ)38、前内フランジ稜線部(フランジ稜線部)39、前外窓枠フランジ41、および前外フランジ稜線部42を有する。
【0033】
第1前面部35は、車幅方向(矢印A方向)に対向するように設けられた略平坦な帯状の部位である。
第2前面部36は、第1前面部35のうち窓枠24の中心(以下、窓枠中心という)48(図3参照)側の端部35aから車幅方向へ張り出すように折り曲げられた略平坦な帯状の部位である。
【0034】
前稜線部37は、第1前面部35および第2前面部36が交差する部位で折り曲げられることにより、車室15側に突出するように形成された断面凸状の部位である。
よって、第1前面部35、第2前面部36および前稜線部37で前縁部25が断面略く字形に形成されている。
このように、前縁部25に前稜線部37を備えて前縁部25を断面略く字形に形成することで前縁部25の剛性を確保することができる。
【0035】
前内窓枠フランジ38は、第2前面部36の車幅方向外側の端部36aから窓枠中心48(図3参照)に向けて張り出すように折り曲げられた突出片である。
第2前面部36から前内窓枠フランジ38を張り出させることで、第2前面部36および前内窓枠フランジ38が交差する部位に前内フランジ稜線部39が形成されている。
前内フランジ稜線部39は、車室外20側に突出するように形成された断面凸状の部位である。
【0036】
前外窓枠フランジ41は、第1前面部35の前端35cから車室15側に向けて張り出されている。
前外フランジ稜線部42は、前外窓枠フランジ41および第1前面部35が交差する部位に車室外20側に突出するように形成された断面凸状の部位である。
【0037】
図3に示すように、サブピラー26は、前縁部25の車体後方に所定間隔をおいて設けられ、車体後方に向けて上り勾配となるように上下方向に延出されている。
このサブピラー26は窓枠24の後縁部を構成する部位である。
以下、サブピラー26を後縁部26として説明する。
【0038】
図6、図7に示すように、後縁部26は、後縁アウタ26Aおよび後縁インナ26Bで閉断面状に形成されている。
後縁インナ26Bは、第1後面部(第1面部)43、第2後面部(第2面部)44、後稜線部(稜線部)45、後窓枠フランジ(窓枠フランジ)46、および後フランジ稜線部47を有する。
後縁部26は、前縁部25と同様に形成された縁部であり、第1後面部43、第2後面部44、後稜線部45、後窓枠フランジ46および後フランジ稜線部47の詳しい説明を省略する。
【0039】
図3に示すように、ルーフサイドレール18は、レール前部19が、前縁部25の上端25aと後縁部26の上端26aを連結するように車体前後方向に略水平に延出されている。
さらに、ルーフサイドレール18は、レール前部19の後部が、後縁部26の上端26aからセンタピラー16の上端16aを経てリヤピラー17の上端17aまで延出されている(図2参照)。
このルーフサイドレール18のレール前部19は、窓枠24の上縁部を構成する部位である。
以下、ルーフサイドレール18のレール前部19を上縁部19として説明する。
【0040】
図4に示すように、上縁部19は、上縁アウタ19Aおよび上縁インナ19Bで閉断面状に形成されている。
上縁インナ19Bは、第1上面部(第1面部)51、第2上面部(第2面部)52、上稜線部(稜線部)53、上内窓枠フランジ(窓枠フランジ)54、および上外窓枠フランジ55を有する。
上縁部19は、前縁部25と同様に形成された縁部であり、第1上面部51、第2上面部52、上稜線部53、上窓枠フランジ54および上外窓枠フランジ55の詳しい説明を省略する。
【0041】
図3に示すように、フロントピラーロア27は、前縁部25の下端25bとサブピラー26の下端26bを連結するように車体前後方向に略水平に延出されている。
このフロントピラーロア27は、窓枠24の下縁部を構成する部位である。
以下、フロントピラーロア27を下縁部27として説明する。
【0042】
図6に示すように、下縁部27は、下縁アウタ27Aおよび下縁インナ27Bで閉断面状に形成されている。
下縁インナ27Bは、第1下面部(第1面部)56、第2下面部(第2面部)57、下稜線部(稜線部)58、および下窓枠フランジ(窓枠フランジ)59を有する。
下縁部27は、前縁部25と同様に形成された縁部であり、第1下面部56、第2下面部57、下稜線部58および下窓枠フランジ59の詳しい説明を省略する。
【0043】
図3に示すように、前縁部25、後縁部26、上縁部19および下縁部27の各縁部により窓枠24が略矩形状に形成されている。
この窓枠24は、前縁部25および上縁部19が交差する角部に設けられた前上角部28と、後縁部26および下縁部27が交差する角部に設けられた後下角部29とを有する。
ここで、前縁部25および後縁部26は、窓枠24の縦辺を形成する部位である。
また、上縁部19および下縁部27は、窓枠24の横辺を形成する部位である。
【0044】
この窓枠24に補強手段31が設けられている。
補強手段31は、前上角部28を補強する第1補強部材32と、後下角部29を補強する第2補強部材33とを備えている。
【0045】
図4、図8に示すように、第1補強部材32は、前縁部(窓枠24の縦辺)25の上端25aを覆う前縦辺被覆部(縦辺被覆部)62と、上縁部(窓枠24の横辺)19の前部19aを覆う上横辺被覆部(横辺被覆部)63と、前上角部28を覆う前上角被覆部64とを有する。
前縦辺被覆部62、上横辺被覆部63および前上角被覆部64で第1補強部材32が平面視略く字状に形成されている(図3参照)。
【0046】
前縦辺被覆部62は、第1前面部35の上端35bを覆う第1前被覆面部(第1被覆面部)71と、第2前面部36の上端36bを覆う第2前被覆面部(第2被覆面部)72と、前稜線部37の上端37aを覆う前稜線被覆部(稜線被覆部)73とを有する。
【0047】
さらに、前縦辺被覆部62は、第2前被覆面部72に一対の補強フランジ(補強フランジ)74を有する。
一対の補強フランジ74は、第2前被覆面部72の車幅方向内側の端部72aから窓枠中心48(具体的には、後縁部26)に向けて、前内窓枠フランジ38に沿うように張り出されている。
一対の補強フランジ74を前内窓枠フランジ38に設けることで、前内窓枠フランジ38を一対の補強フランジ74で補強することができる。
【0048】
さらに、第2前被覆面部72に一対の補強フランジ74を備えることで、第2前被覆面部72および一対の補強フランジ74で前内フランジ稜線部39を覆うことができる。
よって、第2前被覆面部72および一対の補強フランジ74の交差部75で前内フランジ稜線部39を補強することができる。
このように、前内窓枠フランジ38を一対の補強フランジ74で補強し、かつ、前内フランジ稜線部39を交差部75で補強することで、窓枠24の剛性を好適に確保できる。
【0049】
さらに、前縁部25の上端25aに一対の補強フランジ74を設けることで、車体側面視で車体側部構造10の前端、かつ上端となる前上角部28の近傍に一対の補強フランジ74を設けることができる。
これにより、前上角部28を一対の補強フランジ74で補強して車体側部構造10の剛性を高めることができる。
【0050】
ここで、前縁部25は長さ寸法が大きく形成されている。このため、前縁部25の上端25a近傍に設けられた前上角部28に比較的大きな応力が集中しやすい。
よって、前上角部28を一対の補強フランジ74で補強することで窓枠24の剛性(強度)を効率よく高めることが可能である。
【0051】
上横辺被覆部63は、第1上面部51の前端51aを覆う第1上被覆面部(第1被覆面部)77と、第2上面部52の前端52aを覆う第2上被覆面部(第2被覆面部)78と、上稜線部53の前端53aを覆う上稜線被覆部(稜線被覆部)79とを有する。
【0052】
このように、前縦辺被覆部62の第1前被覆面部71、第2前被覆面部72および前稜線被覆部73で、第1前面部35の上端35b、第2前面部36の上端36bおよび前稜線部37の上端37aをそれぞれ覆うようにした。
さらに、上横辺被覆部63の第1上被覆面部77、第2上被覆面部78および上稜線被覆部79で、第1上面部51の前端51a、第2上面部52の前端52aおよび上稜線部53の前端53aをそれぞれ覆うようにした。
【0053】
よって、前稜線部37の上端37aおよび上稜線部53の前端53aを第1補強部材32で補強することができる。
これにより、前縁部25および上縁部19(すなわち、窓枠24)の剛性を好適に確保できる。
【0054】
ここで、図3に示すように、窓枠24の縦辺を形成する前縁部25は、窓枠24の横辺を形成する上縁部19と比べて長さ寸法が大きい。このため、「長い方の辺」となる前縁部25は上縁部19と比べて変形しやすい。
そこで、前縦辺被覆部62と上横辺被覆部63との長さの比を、前縁部25と上縁部19との長さの比に等しくなるように設定した。
【0055】
よって、前縦辺被覆部62は、前縁部25に対応させて「長い被覆部」に形成されている。
これにより、前縁部25を前縦辺被覆部62で覆うことにより、前縁部25および上縁部19を第1補強部材32で好適に補強して窓枠24の剛性を好適に確保できる。
【0056】
図6、図9に示すように、第2補強部材33は、後縁部(窓枠24の縦辺)26の下端26bを覆う後縦辺被覆部(縦辺被覆部)66と、下縁部27の後端27aを覆う下横辺被覆部(横辺被覆部)67と、後下角部29を覆う後下角被覆部68とを有する。
後縦辺被覆部66、下横辺被覆部67および後下角被覆部68で第2補強部材33が平面視略L字状に形成されている(図3参照)。
【0057】
後縦辺被覆部66は、第1後面部43の下端43aを覆う第1後被覆面部(第1被覆面部)81と、第2後面部44の下端44aを覆う第2後被覆面部(第2被覆面部)82と、後稜線部45の下端45aを覆う後稜線被覆部(稜線被覆部)83とを有する。
【0058】
下横辺被覆部67は、第1下面部56の後端56aを覆う第1下被覆面部(第1被覆面部)85と、第2下面部57の後端57aを覆う第2下被覆面部(第2被覆面部)86と、下稜線部58の後端58aを覆う下稜線被覆部(稜線被覆部)87とを有する。
【0059】
このように、後縦辺被覆部66の第1後被覆面部81、第2後被覆面部82および後稜線被覆部83で、第1後面部43の下端43a、第2後面部44の下端44aおよび後稜線部45の下端45aをそれぞれ覆うようにした。
さらに、下横辺被覆部67の第1下被覆面部85、第2下被覆面部86および下稜線被覆部87で、第1下面部56の後端56a、第2下面部57の後端57aおよび下稜線部58の後端58aをそれぞれ覆うようにした。
よって、後稜線部45の下端45aおよび下稜線部58の後端58aを第2補強部材33で補強することができる。
これにより、後縁部26および下縁部27(すなわち、窓枠24)の剛性を好適に確保できる。
【0060】
ここで、図3に示すように、窓枠24の縦辺を形成する後縁部26は、窓枠24の横辺を形成する下縁部27と比べて長さ寸法が大きい。このため、「長い方の辺」となる後縁部26は下縁部27と比べて変形しやすい。
そこで、後縦辺被覆部66と下横辺被覆部67との長さの比を、後縁部26と下縁部27との長さの比に等しくなるように設定した。
よって、後縦辺被覆部66は、後縁部26に対応させて「長い被覆部」に形成されている。
これにより、後縁部26を後縦辺被覆部66で覆うことにより、後縁部26および下縁部27を第2補強部材33で好適に補強して窓枠24の剛性を好適に確保できる。
【0061】
つぎに、窓枠24に車両MVの前方から衝撃荷重F1が入力する例を図10〜図11に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、車両MVの前方から衝撃荷重F1が入力することにより、衝撃荷重F1の一部F2がフロントサイドフレームおよびアウトリガーを経てサイドシル13に荷重F3として伝わる。
一方、衝撃荷重F1の残りの荷重F4がアッパメンバーを経て窓枠24の前下交差部24aに伝わる。
【0062】
図10(b)に示すように、前下交差部24aに伝わった荷重F4が、前縁部25に荷重F5として伝わり、下縁部27に荷重F6として伝わる。
前縁部25に伝わった荷重F5が上縁部19に荷重F7として伝わり、下縁部27に伝わった荷重F6の一部が後縁部26に荷重F8として伝わる。
【0063】
ここで、窓枠24は前縁部25および上縁部19で前上角部28が形成され、後縁部26および下縁部27で後下角部29が形成されている。
よって、前下交差部24aに荷重F4が伝えられることにより、前上角部28および後下角部29を互いに離れる方向(すなわち、矢印B方向)に移動させようとする力が作用する。
【0064】
換言すれば、前上角部28を軸にして前縁部25および上縁部19が互いに近づく方向(矢印C方向)に移動する力が作用する。
さらに、後下角部29を軸にして後縁部26および下縁部27が互いに近づく方向(矢印D方向)に移動する力が作用する。
【0065】
ここで、窓枠24は、車幅方向に沿った内面(すなわち、第2前面部36、第2後面部44、第2上面部52および第2下面部57)を有している。
そこで、前縁部25および上縁部19が交差する前上角部28を第1補強部材32で補強した。さらに、後縁部26および下縁部27が交差する後下角部29を第2補強部材33で補強した。
【0066】
図11(a)に示すように、第1補強部材32の第2前被覆面部72で第2前面部36を窓枠中心48(図10(b)参照)側から覆うことができる。
また、第1補強部材32の第2上被覆面部78で第2上面部52を窓枠中心48側から覆うことができる。
【0067】
よって、前下交差部24aに荷重F4(図10(a)参照)が伝えられた場合に、第2前面部36を第1補強部材32の第2前被覆面部72で効率よく支えることができる。
同様に、第2上面部52を第1補強部材32の第2上被覆面部78で効率よく支えることができる。
これにより、前縁部25および上縁部19が前上角部28を軸にして互いに近づく方向に移動することを第1補強部材32で好適に抑え、窓枠24の剛性を高めることができる。
【0068】
図11(b)に示すように、第2補強部材33の第2後被覆面部82で第2後面部44を窓枠中心48(図10(b)参照)側から覆うことができる。
また、第2補強部材33の第2下被覆面部86で第2下面部57を窓枠中心48側から覆うことができる。
【0069】
よって、前下交差部24aに荷重F4(図10(a)参照)が伝えられた場合に、第2後面部44を第2補強部材33の第2後被覆面部82で効率よく支えることができる。
同様に、第2下面部57を第2補強部材33の第2下被覆面部86で効率よく支えることができる。
これにより、後縁部26および下縁部27が後下角部29を軸にして互いに近づく方向に移動することを第2補強部材33で好適に抑え、窓枠24の剛性を高めることができる。
【0070】
このように、図10(b)に示すように、前上角部28を第1補強部材32で補強し、かつ、後下角部29を第2補強部材33で補強することで、窓枠24の全域を補強することなく窓枠24の剛性(強度)を保つことができる。
さらに、窓枠24の一部を補強するだけで窓枠24の剛性を保つことができるので、補強手段31(第1補強部材32、第2補強部材33)による重量の増加を抑えることができる。
【0071】
なお、本発明に係る車体側部構造は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、第1補強部材32の第2前被覆面部72に補強フランジ74を備えた例について説明したが、これに限らないで、第1補強部材32の第2上被覆面部78や第2補強部材33に補強フランジを備えることも可能である。
【0072】
また、前記実施例で示した車体側部構造10、窓枠24、前縁部25、上縁部19、後縁部26、下縁部27、第1補強部材32および第2補強部材33などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、車体側部の前方側に窓枠が前縁部、後縁部、上縁部および下縁部の各縁部で略矩形状に形成された車体側部構造を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0074】
10…車体側部構造、19…上縁部(ルーフサイドレールのレール前部)、24…窓枠、25…前縁部(フロントピラーアッパ)、25a…フロントピラーアッパの上端、25b…フロントピラーアッパの下端、26…後縁部(サブピラー)、26a…サブピラーの上端、26b…サブピラーの下端、27…下縁部(フロントピラーロア)、28…前上角部、29…後下角部、31…補強手段、32…第1補強部材、33…第2補強部材、35…第1前面部(第1面部)、36…第2前面部(第2面部)、37,45,53,58…前、後、上、下の稜線部(稜線部)、38,46,54,59…前、後、上、下の窓枠フランジ(窓枠フランジ)、43…第1後面部(第1面部)、44…第2後面部(第2面部)、48…窓枠中心(窓枠の中心)、51…第1上面部(第1面部)、52…第2上面部(第2面部)、56…第1下面部(第1面部)、57…第2下面部(第2面部)、62,66…前、後の縦辺被覆部(縦辺被覆部)、63,67…上、下の横辺被覆部(横辺被覆部)、71…第1前被覆面部(第1被覆面部)、72…第2前被覆面部(第2被覆面部)、73,83,79,87…前、後、上、下の稜線被覆部(稜線被覆部)、74…一対の補強フランジ(補強フランジ)、77…第1上被覆面部(第1被覆面部)、78…第2上被覆面部(第2被覆面部)、81…第1後被覆面部(第1被覆面部)、82…第2後被覆面部(第2被覆面部)、85…第1下被覆面部(第1被覆面部)、86…第2下被覆面部(第2被覆面部)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体側部の前方側で上下方向に延出して窓枠の前縁部を構成するフロントピラーアッパと、
該フロントピラーアッパの後方で上下方向に延出して前記窓枠の後縁部を構成するサブピラーと、
前記フロントピラーアッパの上端と前記サブピラーの上端を連結するよう車体前後方向に延びて前記窓枠の上縁部を構成するルーフサイドレールと、
前記フロントピラーアッパの下端と前記サブピラーの下端を連結して前記窓枠の下縁部を構成するフロントピラーロアと、を備え、
前記前縁部、前記後縁部、前記上縁部および前記下縁部の各縁部により、車体側部の前方側に前記窓枠が略矩形状に形成された車体側部構造であって、
前記前縁部および前記上縁部が交差する前上角部を補強する第1補強部材と、
前記後縁部および前記下縁部が交差する後下角部を補強する第2補強部材と、を備えることを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記窓枠を構成する前記各縁部は、
車幅方向に対向する第1面部と、
該第1面部の前記窓枠の中心側の端部から車幅方向へ向けて張り出された第2面部と、
前記第1面部および前記第2面部が交差する部位に形成された稜線部と、を備え、
前記第1補強部材および第2補強部材は、
前記第1面部を覆う第1被覆面部と、
前記第2面部を覆う第2被覆面部と、
前記稜線部を覆う稜線被覆部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記各縁部は、
前記第2面部の車幅方向外側から前記窓枠の中心に向けて張り出された窓枠フランジを備え、
前記第1補強部材と第2補強部材のうち少なくともどちらか一方は、
前記第2被覆面部から前記窓枠の中心に向けて前記窓枠フランジに沿うように張り出された補強フランジを備えることを特徴とする請求項2記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記補強フランジは、前記フロントピラーアッパの上端に設けたことを特徴とする請求項3記載の車体側部構造。
【請求項5】
前記前縁部および前記後縁部で前記窓枠の縦辺が形成され、かつ、前記上縁部および前記下縁部で前記窓枠の横辺が形成され、
前記第1補強部材および前記第2補強部材は、
前記縦辺を覆う縦辺被覆部と前記横辺を覆う横辺被覆部との長さの比が、前記縦辺と前記横辺との長さの比に等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体側部構造。
【請求項1】
車体側部の前方側で上下方向に延出して窓枠の前縁部を構成するフロントピラーアッパと、
該フロントピラーアッパの後方で上下方向に延出して前記窓枠の後縁部を構成するサブピラーと、
前記フロントピラーアッパの上端と前記サブピラーの上端を連結するよう車体前後方向に延びて前記窓枠の上縁部を構成するルーフサイドレールと、
前記フロントピラーアッパの下端と前記サブピラーの下端を連結して前記窓枠の下縁部を構成するフロントピラーロアと、を備え、
前記前縁部、前記後縁部、前記上縁部および前記下縁部の各縁部により、車体側部の前方側に前記窓枠が略矩形状に形成された車体側部構造であって、
前記前縁部および前記上縁部が交差する前上角部を補強する第1補強部材と、
前記後縁部および前記下縁部が交差する後下角部を補強する第2補強部材と、を備えることを特徴とする車体側部構造。
【請求項2】
前記窓枠を構成する前記各縁部は、
車幅方向に対向する第1面部と、
該第1面部の前記窓枠の中心側の端部から車幅方向へ向けて張り出された第2面部と、
前記第1面部および前記第2面部が交差する部位に形成された稜線部と、を備え、
前記第1補強部材および第2補強部材は、
前記第1面部を覆う第1被覆面部と、
前記第2面部を覆う第2被覆面部と、
前記稜線部を覆う稜線被覆部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の車体側部構造。
【請求項3】
前記各縁部は、
前記第2面部の車幅方向外側から前記窓枠の中心に向けて張り出された窓枠フランジを備え、
前記第1補強部材と第2補強部材のうち少なくともどちらか一方は、
前記第2被覆面部から前記窓枠の中心に向けて前記窓枠フランジに沿うように張り出された補強フランジを備えることを特徴とする請求項2記載の車体側部構造。
【請求項4】
前記補強フランジは、前記フロントピラーアッパの上端に設けたことを特徴とする請求項3記載の車体側部構造。
【請求項5】
前記前縁部および前記後縁部で前記窓枠の縦辺が形成され、かつ、前記上縁部および前記下縁部で前記窓枠の横辺が形成され、
前記第1補強部材および前記第2補強部材は、
前記縦辺を覆う縦辺被覆部と前記横辺を覆う横辺被覆部との長さの比が、前記縦辺と前記横辺との長さの比に等しいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の車体側部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−112075(P2013−112075A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258265(P2011−258265)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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