説明

車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造

【課題】 フロアトンネルに荷重を効率的に分散してフロアサイドメンバに対する負担を軽減し、エンジンおよびその配管、ペダル類あるいはステアリングシャフト等と干渉しないので、レイアウトの自由度を確保することができる車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造を提供する。
【解決手段】 フロントサイドメンバ5相互間に車幅方向に配設されるダッシュクロスメンバ12を両側部分121と中央部分122とに3分割し、前記両側部分121をダッシュパネル4の前面4F側に接合するとともに、これら両側部分121の外側端部121cを車体前方側に傾斜させて、それぞれ前記フロントサイドメンバ5に接合し、前記中央部分122を上記ダッシュパネル4の後面4R側に接合するとともに該中央部分122と前記両側部分121の接続部の断面が前記ダッシュパネル4の前後面で連続するように前記ダッシュクロスメンバ12の両側部分121と中央部分122の接続部を形成した構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体前部にエンジンルームを備えた自動車では、エンジンルームと車室内とをダッシュパネルによって仕切り、このダッシュパネルの両側にダッシュサイドパネルが設けられている。ダッシュパネルの下部は、車室床面を画成するフロアパネルに接合され、ダッシュパネルの下部中央には、フロアパネルの車幅方向の中央部分に車体の前後方向に上方に向けて突出するフロアトンネルが設けられている。エンジンルームの両側には通常、フロントサイドメンバが設けられ、このフロントサイドメンバに連続するフロアサイドメンバがフロアパネル下面側に配設されている。そして、ダッシュパネル部分の補強のためにダッシュクロスメンバが車幅方向に配設されている(例えば、特許文献1〜7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−264906号公報
【特許文献2】特開2010−6154号公報
【特許文献3】特開2008−168687号公報
【特許文献4】特開2005−206108号公報
【特許文献5】特開平9−109928号公報
【特許文献6】特開2002−362419号公報
【特許文献7】特開2008−68826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術によると、前方からバンパに荷重がかかる場合、フロントサイドメンバを経由して、フロアサイドメンバおよびサイドシルへの経路の他に、ダッシュパネルからダッシュクロスメンバに伝わりフロアトンネルに伝達される経路も荷重分散している。このため、フロアトンネルへの荷重分散を増やしてフロアサイドメンバへの負担を軽くするには、ダッシュクロスメンバの剛性向上(閉断面積増加や板厚増加)が必要になり、周辺レイアウトへの圧迫と重量増加が懸念される。
【0005】
また、エンジンルームと車室内を隔離するダッシュパネルは、振動騒音を遮蔽する役割を持つ。このダッシュパネル単品を剛性向上するためには、全体を凸曲面に成形したり、板厚増加が考えられるが、周辺レイアウトへの圧迫と重量増加が懸念される。さらに、局所的な凹凸形状はプレスの絞り深さが深くなり、成形性が悪化する。
【0006】
またさらに、ダッシュパネル前面には、エンジンおよびエンジンの配管が隣接しており、配管レイアウトの自由度を確保するには空間自由度を必要とする。エンジンおよびエンジンの配管のためにダッシュパネルを逃がす形状とすると、ダッシュパネルの形状が複雑になり、剛性の低下も懸念される。また、局所的な凹凸形状はプレスの絞り深さが深くなり、成形性が悪化する。ダッシュクロスメンバがある場合は、ダッシュクロスメンバの前後への膨らみ分も周辺レイアウトから回避する必要があり、更にダッシュパネルの形状が複雑になる。
【0007】
さらに、ダッシュパネル後面には、運転席のペダル類やステアリングシャフト貫通穴が設けられており、ペダル類やステアリングシャフトレイアウトの自由度を確保するには空間自由度を必要とする。このペダル類レイアウトのためにダッシュパネルを逃がす形状とすると、ダッシュパネルの形状が複雑になり、剛性の低下も懸念される。また、ダッシュクロスメンバがある場合は、ダッシュクロスメンバの前後への膨らみ分も周辺レイアウトから回避する必要があり、更にダッシュパネルの形状が複雑になる。これにより、局所的な凹凸形状、プレスの絞り深さが深くなり、成形性が悪化する。
【0008】
本発明は、上記課題を解決し、フロアトンネルに荷重を効率的に分散してフロアサイドメンバに対する負担を軽減し、エンジンおよびその配管、ペダル類あるいはステアリングシャフト等と干渉しないので、レイアウトの自由度を確保することができる車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、車室前部を仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、前記ダッシュパネルに連続して車室の下面を形成するフロアパネルと、このフロアパネルの車幅方向の中央部分を車室内側に膨出させることにより車体の前後方向に形成されたフロアトンネル部とを備えた車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造であって、前記フロントサイドメンバ相互間に車幅方向に配設されるダッシュクロスメンバを両側部分と中央部分とに3分割し、前記両側部分を前記ダッシュパネルの前面側に接合するとともに、これら両側部分の外側端部を車体前方側に傾斜させて、それぞれ前記フロントサイドメンバに接合し、前記中央部分を上記ダッシュパネルの後面側に接合するとともに該中央部分と前記両側部分の接続部の断面が前記ダッシュパネルの前後面で連続するように前記ダッシュクロスメンバの両側部分と中央部分の接続部を形成したことにある。
【0010】
また、本発明は、前記ダッシュクロスメンバの中央部分の上下フランジを介して前記ダッシュパネルの後面側に接合するとともに、該ダッシュクロスメンバの中央部分の下側フランジを前記フロアトンネル部の前端に設けられた前端フランジとともに前記ダッシュパネルの後面に3枚重ねで接合したことにある。
さらに、本発明は、前記ダッシュクロスメンバの両側部分を前記フロントサイドメンバとの接合部からほぼ水平に車幅方向に延設し、前記ダッシュパネルを挟んで前記ダッシュクロスメンバの両側部分と中央部分とで形成する閉断面の中心線は曲率半径の大きな曲線となり、前記ダッシュクロスメンバの両側部分を前記ダッシュパネルの車体後方に折れ曲がる上下の折れ線に重なる位置に接合したことにある。
またさらに、本発明は、前記ダッシュクロスメンバの中央部分に合わせて前記ダッシュパネルの後面を車室内側に突出させて形成し、この突出部に沿って前記ダッシュクロスメンバの中央部分を車室内側に湾曲させて形成したことにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、次のような効果を奏することができる。
フロントサイドメンバ相互間に車幅方向に配設されるダッシュクロスメンバを両側部分と中央部分とに3分割し、前記両側部分をダッシュパネルの前面側に接合するとともに、これら両側部分の外側端部を車体前方側に傾斜させて、それぞれ前記フロントサイドメンバに接合し、前記中央部分を前記ダッシュパネルの後面側に接合するとともに該中央部分と前記両側部分の接続部の断面が前記ダッシュパネルの前後面で連続するように前記ダッシュクロスメンバの両側部分と中央部分の接続部を形成したので、フロントサイドメンバに加わる荷重は、ダッシュクロスメンバの両側部分からダッシュパネルの後面側の中央部分へと伝わりフロアトンネル部に伝達することができる。前記ダッシュクロスメンバは、両側部分の外側が前方に突出し、中央部分が車体後方に突出しているので、フロントサイドメンバに加わる荷重をフロアトンネル部を通して車体後方に伝達しやすくなり、ダッシュパネルの構成は単純なままにできることから、荷重の分散とダッシュパネルの剛性の確保を図ることができる。ダッシュクロスメンバの中央部分は、エンジンおよびエンジンの配管と干渉しないので、レイアウトの自由度を確保することができる。ダッシュクロスメンバの両側部分は、ペダル類やステアリングシャフト等と干渉しないので、レイアウトの自由度を確保することができる。前方からの大きな荷重で、エンジン等がダッシュパネルに向けて後退するとき、ダッシュクロスメンバの中央部分と、後方のフロアトンネル部の構造で、荷重を受け止めることができる。
【0012】
また、ダッシュクロスメンバの中央部分の上下フランジを介してダッシュパネルの後面側に接合するとともに、該ダッシュクロスメンバの中央部分の下側フランジをフロアトンネル部の前端に設けられた前端フランジとともに前記ダッシュパネルの後面に3枚重ねで接合したので、フロアトンネル部への荷重分散が確実に行われる。
さらに、前記ダッシュクロスメンバの両側部分を前記フロントサイドメンバとの接合部からほぼ水平に車幅方向に延設し、前記ダッシュパネルを挟んで前記ダッシュクロスメンバの両側部分と中央部分とで形成する閉断面の中心線は曲率半径の大きな曲線となり、前記ダッシュクロスメンバの両側部分を前記ダッシュパネルの車体後方に折れ曲がる上下の折れ線に重なる位置に接合したので、局所的な剛性のばらつきがなく、荷重の伝達効率が良くなる。
またさらに、ダッシュクロスメンバの中央部分に合わせてダッシュパネルの後面を車室内側に突出させて形成し、この突出部に沿ってダッシュクロスメンバの中央部分を車室内側に湾曲させて形成したので、フロアトンネル部へ効率良く荷重を伝えることができる。ダッシュパネルの後面を車室内側に突出させて形成するので、ダッシュパネルの面剛性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態による車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造を示す車体後方から見た斜視図である。
【図2】図1の車体前方から見た斜視図である。
【図3】図1のダッシュパネルを車室内側から見た正面図である。
【図4】図2のダッシュパネルを車体前方から見た正面図である。
【図5】図3の平面図である。
【図6】(a)は図4のA−A線断面図である。(b)は図3のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図6は、本発明の実施の形態による車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造を示したものである。
【0015】
本発明の実施の形態による車両は、図1ないし図6に示すように、車体1前部の構造が、車室前部をエンジンルーム2と車室3内とに仕切るダッシュパネル4と、このダッシュパネル4から前方に延びる左右一対のフロントサイドメンバ5と、前記ダッシュパネル4に連続して車室3の下面を形成するフロアパネル6と、このフロアパネル6の車幅方向の中央部分に車室3内側に膨出させることにより車体1の前後方向に形成された横断面ハット形のフロアトンネル部7とを備えて構成されている。
【0016】
ダッシュパネル4は上部側4aを略垂直の壁面に形成し、下部側4bを後方に向けて斜め下方の斜面に形成しており、その先を前記フロアパネル6に接合している。このダッシュパネル4の両側部にはダッシュサイドパネル8が接合されて車室3内側壁面が形成され、ダッシュパネル4とダッシュサイドパネル8の下部側相互間には、外側にホイールハウス9を形成する湾曲面9aが室内側に膨出して形成されている。ダッシュサイドパネル8の下端部には、前記フロアパネル6の外側フランジ部が接合されるサイドシル部10が車体後方に向けて設けられている。
【0017】
前記左右一対のフロントサイドメンバ5の後端部には、前記フロアパネル6の下面側に車体前後方向に配設される左右一対のフロアサイドメンバ11の前端が接合されている。このフロントサイドメンバ5は、後端部5aが下方向に湾曲するとともにダッシュサイドパネル8の下端部を通過してフロアサイドメンバ11の前端部に接合されている。前記フロントサイドメンバ5相互間には、両端部側面をダッシュパネル4の前面に接合されたダッシュクロスメンバ12が設けられている。
【0018】
ダッシュクロスメンバ12は、両側部分121と中央部分122とに3分割されて形成されており、両側部分121を前記ダッシュパネル4の前面4F側に接合するとともに中央部分122を前記ダッシュパネル4の後面4R側に接合して、該中央部分12bと前記両側部分121の各接続部の断面が前記ダッシュパネル4の前後面で連続するように構成されている。ダッシュクロスメンバ12の両側部分121と中央部分122は、図6(a)(b)に示すように上下方向断面が略ハット形の断面に形成されており、これら両側部分121と中央部分122は、上下のフランジ部121a,121b,122a,122bを介して前記ダッシュパネル4の前後面4F,4Rに接合されている。前記両側部分121は前記ダッシュパネル4の前面4F側に上下のフランジ部121a,121bを介して接合されるとともに、これら両側部分121の外側端部121c側を車体前方側に出るように僅かに傾斜させて、それぞれ前記フロントサイドメンバ5の後端部5a側および内側面に接合している。
【0019】
前記ダッシュパネル4の後面4R側の中央部には、車室3内側に突出させて形成し、車体後方側に向けて横断面台形状に膨出する突出部41が設けられており、この突出部41に沿って前記中央部分122は、後方に向けて台形状に突出するように中央の両側の両端部122cを車体後方に向けて徐々に近づくように傾斜させて形成されている。一方、前記ダッシュパネル4の後面4R側の突出部41に対応する前面4F側の中央部には、突出部41の裏側の凹部42が形成されている。
ダッシュクロスメンバ12の中央部分122は、下側フランジ122bを前記フロアトンネル部7の前端に設けられた前端フランジ7aとともに前記ダッシュパネル4の後面4Rに3枚重ねで接合されている(図6(b)参照)。
【0020】
前記ダッシュクロスメンバ12の両側部分121を前記フロントサイドメンバ5との接合部からほぼ水平に車幅方向に延設して前記凹部42内の斜面に沿って前記突出部41の裏側に延設している。前記ダッシュパネル4を挟んで前記ダッシュクロスメンバ12の両側部分121と中央部分122とで形成する閉断面の中心線は曲率半径の大きな曲線となるように形成されている。
前記ダッシュクロスメンバ12の両側部分121は、前記フロアトンネル部7の前端フランジ部7aの接合部に対応する前記ダッシュパネル4の前面4Fの凹部42内の斜面にかけて接合フランジ121a,121bを接合し組付けられている。前記ダッシュクロスメンバ12の両側部分121は、前記ダッシュパネル4の車体後方に折れ曲がる上面4aと下面4bの境になる上下の折れ線Lに重なる位置に接合している。なお、エンジンルーム2には、エンジン13およびその配管14,15等が配設されており、車室3内には、図示しないハンドルあるいはブレーキおよびアクセル等のペダル類が配設されている。
【0021】
上記実施の形態によると、前方からの衝撃荷重が車体前部に加わった場合、前部両側のフロントサイドメンバ5に衝撃が伝わる。このフロントサイドメンバ5に伝達された衝撃荷重は、フロントサイドメンバ5の基端部からダッシュパネル4に伝わるとともに、フロントサイドメンバ5からダッシュクロスメンバ12の両側部分121に伝達される。ダッシュクロスメンバ12の両側部分121に伝わる荷重は、両側部分121の外側端部121cが前方に突出し、中央部分122が車体後方に突出し、両側部分121を前記ダッシュパネル4の前面4F側に接合している。また、ダッシュクロスメンバ12の中央部分122を前記ダッシュパネル4の後面4R側に接合して、該中央部分12bと前記両側部分12aの各接続部の断面が前記ダッシュパネル4の前後面で連続するように構成され、ダッシュクロスメンバ12の両側部分121と中央部分122のつながり方が閉断面変化が小さく、あたかも一本のダッシュクロスメンバのように形成されていることから、局所的な剛性のばらつきがなく、荷重がダッシュパネル4の前面4F側の両側部分121からダッシュパネル4の後面4R側の中央部分122へと効率良く伝わり、フロアトンネル部7に伝達することができる。
【0022】
したがって、前記ダッシュクロスメンバ12は、両側部分122の外側が前方に突出し、フロントサイドメンバ5に加わる荷重を、フロアトンネル部7を通して車体後方に伝達しやすくなり、ダッシュパネル4の構成は単純なままにできることから、荷重の分散とダッシュパネル4の剛性の確保を図ることができる。ダッシュクロスメンバ12の中央部分122は、エンジンルーム2内のエンジンおよびエンジンの配管と干渉しないので、レイアウトの自由度を確保することができる。ダッシュクロスメンバ12の両側部分121は、ペダル類やステアリングシャフト等と干渉しないので、レイアウトの自由度を確保することができる。前方からの大きな荷重で、エンジン等がダッシュパネル4に向けて後退するとき、ダッシュクロスメンバ12の中央部分122と、後方のフロアトンネル部7の構造で、荷重を受け止めることができる。
【0023】
また、ダッシュクロスメンバ12の中央部分122の上下フランジ122a、122bを介してダッシュパネル4の後面4R側に接合するとともに、該ダッシュクロスメンバ12の中央部分122の下側フランジ122bをフロアトンネル部7の前端に設けられた前端フランジ7aとともに前記ダッシュパネル4の後面4Rに3枚重ねで接合できるので、フロアトンネル部7への荷重分散が確実に行われる。
さらに、ダッシュクロスメンバ12の両側部分121をフロントサイドメンバ5との接合部からほぼ水平に車幅方向に延設し、ダッシュパネル4を挟んで前記ダッシュクロスメンバ12の両側部分121と中央部分122とで形成する閉断面の中心線は曲率半径の大きな曲線となり、ダッシュクロスメンバ12の両側部分121をダッシュパネル4の車体後方に折れ曲がる上下の折れ線Lに重なる位置に接合したので、局所的な剛性のばらつきがなく、ダッシュパネル4の折れ部周辺は、平面状よりも剛性があり、この折れ部とダッシュクロスメンバ12の剛性が協働し、真っ直ぐにフロアトンネル部7へと剛性がつながることから、フロントサイドメンバ5に加わる荷重を効率良くフロアトンネル部7へ分散することができる。
またさらに、ダッシュクロスメンバ12の中央部分122に合わせてダッシュパネル4の後面4Rを車室3内側に突出させて形成し、この突出部に沿ってダッシュクロスメンバ12の中央部分122を車室3内側に湾曲させて形成したので、フロアトンネル部7へ効率良く荷重を伝えることができる。また、ダッシュパネル4の後面4Rを車室3内側に突出させて形成しているので、ダッシュパネル4の面剛性を向上することができる。
【0024】
なお、本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、ダッシュクロスメンバ12は、両側部分121と中央部分122の3分割に形成し、両側部分121はダッシュパネル4の前面4F側に、中央部分122はダッシュパネル4の後面4R側に接合して、両側部分121と中央部分122の断面が連続するように形成したが、この接続部分の断面は特に限定されるものではなく、任意の形状で接続することもできる。等、その他、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0025】
1 車体
2 エンジンルーム
3 車室
4 ダッシュパネル
4F 前面
4R 後面
5 フロントサイドメンバ
6 フロアパネル
7 フロアトンネル部
8 ダッシュサイドパネル
11 フロアサイドメンバ
12 ダッシュクロスメンバ
121 両側部分
122 中央部分
121a,121b,122a,122b フランジ部
121c 外側端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室前部を仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方に延びる左右一対のフロントサイドメンバと、前記ダッシュパネルに連続して車室の下面を形成するフロアパネルと、このフロアパネルの車幅方向の中央部分を車室内側に膨出させることにより車体の前後方向に形成されたフロアトンネル部とを備えた車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造であって、前記フロントサイドメンバ相互間に車幅方向に配設されるダッシュクロスメンバを両側部分と中央部分とに3分割し、前記両側部分を前記ダッシュパネルの前面側に接合するとともに、これら両側部分の外側端部を車体前方側に傾斜させて、それぞれ前記フロントサイドメンバに接合し、前記中央部分を上記ダッシュパネルの後面側に接合するとともに該中央部分と前記両側部分の接続部の断面が前記ダッシュパネルの前後面で連続するように前記ダッシュクロスメンバの両側部分と中央部分の接続部を形成したことを特徴とする車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造。
【請求項2】
前記ダッシュクロスメンバの中央部分の上下フランジを介して前記ダッシュパネルの後面側に接合するとともに、該ダッシュクロスメンバの中央部分の下側フランジを前記フロアトンネル部の前端に設けられた前端フランジとともに前記ダッシュパネルの後面に3枚重ねで接合したことを特徴とする請求項1に記載の車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造。
【請求項3】
前記ダッシュクロスメンバの両側部分を前記フロントサイドメンバとの接合部からほぼ水平に車幅方向に延設し、前記ダッシュパネルを挟んで前記ダッシュクロスメンバの両側部分と中央部分とで形成する閉断面の中心線は曲率半径の大きな曲線となり、前記ダッシュクロスメンバの両側部分を前記ダッシュパネルの車体後方に折れ曲がる上下の折れ線に重なる位置に接合したことを特徴とする請求項1または2に記載の車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造。
【請求項4】
前記ダッシュクロスメンバの中央部分に合わせて前記ダッシュパネルの後面を車室内側に突出させて形成し、この突出部に沿って前記ダッシュクロスメンバの中央部分を車室内側に湾曲させて形成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車体前部におけるダッシュクロスメンバの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−112162(P2013−112162A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260158(P2011−260158)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】