説明

車体前部構造

【課題】車体前部の剛性の低下及び操縦安定性の悪化を招くことなしに、ラジエータやコンデンサを保護することを可能にする。
【解決手段】車体前後方向に配置されるフロントサイドフレーム13,14と、フロントサイドフレーム13,14の前端に配置され、ラジエータ22などの冷却機器を搭載する正面視矩形枠状のフロントバルクヘッド21とを有する車体前部構造において、フロントバルクヘッド21は、その縦方向メンバ41,42の中央部が、フロントサイドフレーム13,14に前後方向の荷重により変形又は破断可能に連結され、縦方向メンバ41,42の上部及び下部の前方に、車体前方からの荷重を縦方向メンバ41,42に伝達する荷重伝達部材(ヘッドライト24,45及びフロントバンパ26)が配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前後方向にフロントサイドフレームが配置され、このフロントサイドフレームの前端にフロントバルクヘッドが配置される車体前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車体前部構造として、フロントバルクヘッドの前面に、エンジン冷却用のラジエータや、エアコン用のコンデンサが配置されたものが知られている。
この種の車体前部構造は、横方向メンバと縦方向メンバで矩形の枠状に形成されたフロントバルクヘッドでラジエータやコンデンサを支持するようにしたものであった。
【0003】
このような車体前部構造として、車両の軽衝突時にラジエータを保護するように配慮されたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特開2004−322837公報
【特許文献2】特開2001−187588公報
【0004】
特許文献1の車体前部構造は、バンパビームとフロントサイドフレームの前端との間に、車両の軽衝突時に潰れるように構成したクラッシュボックスが設けられ、ラジエータやコンデンサから構成されるユニットがフロントバルクヘッドに載置され、このバルクヘッドが取付部材を介してバンパビーム側に取付けられ、車両の軽衝突時に、バンパビームとラジエータユニットとの間隔を保ったまま、バンパビーム及びラジエータユニットを後退できるようにしたものである。
【0005】
特許文献2の車体前部構造は、フロントバルクヘッドの上方側部材にラジエータが係止される上側挿入孔が設けられ、フロントバルクヘッドの下方側部材にラジエータが係止される下側挿入孔が設けられ、ラジエータに前方から所定以上の外力が作用した場合に、ラジエータが下端を中心に上端が後方に回転できるようにしたものである。
【0006】
しかし、特許文献1の車体前部構造では、フロントサイドフレームとフロントバルクヘッドとが連結されていないので、車体前部の剛性が低いという問題があり、車両の走行中に、路面の凹凸や旋回で左右のフロントサイドフレームにねじれが生じ(左右のフロントサイドフレームが首を振り)、操縦安定性を損なうことがあった。
【0007】
特許文献2の車体前部構造では、フロントバルクヘッドにラジエータが係止される上側挿入孔若しくは下側挿入孔が設けられたので、特許文献1の車体前部構造と同様に、車体前部の剛性の低下を招いていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、車体前部の剛性の低下及び操縦安定性の悪化を招くことなしに、ラジエータやコンデンサを保護することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車体前後方向に配置されるフロントサイドフレームと、このフロントサイドフレームの前端に配置され、ラジエータなどの冷却機器を搭載する正面視矩形枠状のフロントバルクヘッドとを有する車体前部構造において、フロントバルクヘッドは、その縦方向メンバの中央部が、フロントサイドフレームに前後方向の荷重により変形又は破断可能に連結され、縦方向メンバの上部及び下部の前方に、車体前方からの荷重を縦方向メンバに伝達する荷重伝達部材が配置されたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、縦方向メンバが、フロントサイドフレームに前側板状部材及び後側板状部材を介して連結されるものであり、フロントサイドフレームと前側板状部材との連結箇所と、縦方向メンバと前側板状部材との連結箇所とが、左右方向にオフセットされたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、フロントサイドフレームと後側板状部材の連結箇所と、縦方向メンバと後側板状部材との連結箇所とが、上下方向にオフセットされたことを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、縦方向メンバの上部の荷重伝達部材がヘッドライトであり、縦方向メンバの下部の荷重伝達部材がフロントバンパであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、車体前後方向にフロントサイドフレームが配置され、ラジエータなどの冷却機器を搭載する正面視矩形枠状のフロントバルクヘッドがフロントサイドフレームの前端に配置される。
フロントバルクヘッドは、その縦方向メンバの中央部が、フロントサイドフレームに前後方向の荷重により変形又は破断可能に連結され、縦方向メンバの上部及び下部の前方に、車体前方からの荷重を縦方向メンバに伝達する荷重伝達部材が配置された。
従って、軽衝突時の荷重は、荷重伝達部材により、縦方向メンバの上部と下部を後方へ押し、縦方向メンバのフロントサイドフレームとの連結部分を後方へ変形または破断して、フロントバルクヘッドをそのまま後方へ移動させる。これにより、ラジエータなどの冷却機器(ラジエータやコンデンサ)への損傷を軽減できる。さらに、フロントバルクヘッドはフロントサイドフレームと通常時は連結されているので、車体剛性の低下を起こすことはない。この結果、操縦安定性を損なうことを回避している。
【0014】
請求項2に係る発明では、縦方向メンバが、フロントサイドフレームに前側板状部材及び後側板状部材を介して連結される。
フロントサイドフレームと前側板状部材との連結箇所と、縦方向メンバと前側板状部材との連結箇所とが、左右方向にオフセットされたので、前側板状部材は前後方向に対しては変形しやすく、上下方向及び左右方向に対しては変形しにくくすることができる。これにより、軽衝突時に前後方向の荷重の伝達を許容できるとともに、上下方向及び左右方向に対しては車体剛性の向上に寄与させることができる。
【0015】
請求項3に係る発明では、フロントサイドフレームと後側板状部材の連結箇所と、縦方向メンバと後側板状部材との連結箇所とが、上下方向にオフセットされたので、後側板状部材は前後方向に対しては変形しやすく、上下方向及び左右方向に対しては変形しにくくすることができる。これにより、軽衝突時に前後方向の荷重の伝達を許容できるとともに、上下方向及び左右方向に対しては車体剛性の向上に寄与させることができる。
【0016】
請求項4に係る発明では、縦方向メンバの上部の荷重伝達部材がヘッドライトであり、縦方向メンバの下部の荷重伝達部材がフロントバンパであるので、従来部品のヘッドライトやフロントバンパでフロントバルクヘッドの押し込み部品として代用することができる。これにより、車体構造を大幅に変更する必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車体前部構造を採用した車両の斜視図であり、図2は図1に示された車体前部構造の上部を示す平面図であり、図3は図1に示された車体前部構造の下部を示す平面図である。
【0018】
図1〜図3に示されたように、車体前部構造は、車体前後方向に延ばされた左右のフロントサイドフレーム13,14(符号14は図4参照)と、これらのフロントサイドフレーム13,14の前端にそれぞれ左の前側・後側板状部材15,17及び右の前側・後側板状部材16,18(図6参照)を介して取付けられる正面視矩形枠状のフロントバルクヘッド21と、このフロントバルクヘッド21の前面に配置されるラジエータ22及びコンデンサ23と、フロントバルクヘッド21の前方上部に配置されるヘッドライト24,25と、フロントバルクヘッド21の前方下部に配置されるフロントバンパ26とから構成され、フロントバルクヘッド21の後方にエンジン27が配置される。
【0019】
左右のフロントサイドフレーム13,14は、略同一構造のフレームであり、左右の前側板状部材15,16は、略左右対称の板部材であり、左右の後側板状部材17,18は、略左右対称の板部材である。
後述するように、ヘッドライト24,25は、フロントバルクヘッド21を後方に移動させる上部の荷重伝達部材に相当し、フロントバンパ26は、フロントバルクヘッド21を後方に移動させる下部の荷重伝達部材に相当する。
【0020】
図4は図1に示された車体前部構造のラジエータ及びコンデンサの上部を示す斜視図であり、図5は図1に示された車体前部構造のラジエータ及びコンデンサの下部を示す斜視図である。
【0021】
図4及び図5に示されたように、ラジエータ22は、エンジン27を冷却する冷却機器であり、上部がフロントバルクヘッド21の上の横方向メンバ43にブラケット31,31(一方の31不図示)で取付けられ、下部がフロントバルクヘッド21の下板部材45に嵌め込まれる。
【0022】
コンデンサ23は、車室温度を調整する冷却機器であり、上部がフロントバルクヘッド21の上の横方向メンバ43にブラケット32,32(一方の32不図示)で取付けられ、下部がフロントバルクヘッド21の下板部材45に嵌め込まれる。
【0023】
図5に示されたように、左右のフロントサイドフレーム13,14(13は図1参照)は前端に前側板状部材15,16(15は図1参照)を介して衝撃吸収作用をなすエクステンション33,33(一方の33は図13(a)参照)が取付けられる。
【0024】
フロントバンパ26は、左右のフロントサイドフレーム13,14にエクステンション33,33を介して渡されるバンパビーム35と、このバンパビーム35の前面に設けられるバンパフェース36(図1参照)と、このバンパフェース36の左右下部に取付けられ、フロントバルクヘッド21の縦方向メンバ41,42(符号42は図6参照)を押圧する左右のバンパブラケット37,37(図1参照)から構成される。
【0025】
図6は図1に示された車体前部構造のフロントバルクヘッドの斜視図であり、図7は図1に示された車体前部構造の前側板状部材及び後側板状部材の斜視図であり、図8は図1に示された車体前部構造の前側板状部材の説明図であり、図9は図1に示された車体前部構造の後側板状部材の説明図である。
【0026】
フロントバルクヘッド21は、左右のフロントサイドフレーム13,14にそれぞれ左の前側・後側板状部材15,17(図1参照)及び右の前側・後側板状部材16,18を介して取付けられる左右の縦方向メンバ41,42と、これらの左右の縦方向メンバ41,42の上端に渡された上の横方向メンバ43と、左右の縦方向メンバ41,42の下端に渡された下の横方向メンバ44と、この下の横方向メンバ44に設けられ、車体前側に延出する舌片状の下板部材45とからなる。
【0027】
図6及び図7に示されたように、右の前側板状部材16は、縦方向メンバ42の側面に車幅外方に指向させて取付けられる部材であり、フロントサイドフレーム14の前端に取付けられる本体部52と、この本体部52から曲げ形成され、縦方向メンバ42の側面に取付けられる曲げ部54とが形成される。
【0028】
本体部52は、フロントサイドフレーム14と前側板状部材16との連結箇所であり、曲げ部54は、縦方向メンバ42と前側板状部材16との連結箇所であり、図8に示されるように、本体部52は、曲げ部54の位置から、車幅方向(左右方向)に関して寸法L1だけオフセットされて形成される。
【0029】
なお、左の前側板状部材15(図1参照)は、左の縦方向メンバ41と左のフロントサイドフレーム13との間に介在される部材であって、右の前側板状部材16に左右対称の部材であり、本体部51と、曲げ部53とを備える。
【0030】
右の後側板状部材18は、縦方向メンバ42の側面の上下方向に沿わせて設けられる長手の部材であり、上下端部に設けられ、縦方向メンバ42に取付けられる縦方向メンバ取付部62,62と、中央部に設けられ、フロントサイドフレーム14に取付けられるフロントサイドフレーム取付部64とが形成される。
【0031】
図9に示されるように、フロントサイドフレーム取付部64は、縦方向メンバ取付部62,62に対して前後方向にL2だけオフセットされて形成されるとともに、上下方向に関して高さ寸法h1,h1だけオフセットされる(ずらされて形成される)。
なお、左の後側板状部材17(図1参照)は、左の縦方向メンバ41と左のフロントサイドフレーム13との間に介在される部材であって、右の後側板状部材18と左右対称の部材であり、縦方向メンバ取付部61,61と、フロントサイドフレーム取付部63とが形成される。
【0032】
図1及び図6に示されたように、車体前部構造では、車体前後方向にフロントサイドフレーム13,14が配置され、ラジエータ22などの冷却機器を搭載する正面視矩形枠状のフロントバルクヘッド21がフロントサイドフレーム13,14の前端に配置される。
フロントバルクヘッド21は、その縦方向メンバ41,42の中央部が、フロントサイドフレーム13,14に前後方向の荷重により変形又は破断可能に連結され、縦方向メンバ41,42の上部及び下部の前方に、車体前方からの荷重を縦方向メンバ41,42に伝達する荷重伝達部材(ヘッドライト24,25及びフロントバンパ26)が配置された。
【0033】
従って、軽衝突時の荷重は、荷重伝達部材24〜26により、縦方向メンバ41,42の上部と下部を後方へ押し、縦方向メンバ41,42のフロントサイドフレーム13,14との連結部分を後方へ変形または破断して、フロントバルクヘッド21をそのまま後方へ移動させる。これにより、ラジエータ22などの冷却機器(ラジエータ22やコンデンサ23)への損傷を軽減できる。さらに、フロントバルクヘッド21はフロントサイドフレーム13,14と通常時は連結されているので、車体剛性も悪化しない。この結果、操縦安定性も損なわない。
【0034】
図8及び図9に示されたように、縦方向メンバ42は、フロントサイドフレーム14に前側板状部材16及び後側板状部材18を介して連結される。
フロントサイドフレーム14と前側板状部材16との連結箇所(本体部)52と、縦方向メンバ42と前側板状部材16との連結箇所(曲げ部)54とが、左右方向に寸法L1だけオフセットされたので、前側板状部材16は、前後方向に対しては変形しやすく、上下方向及び左右方向に対しては変形しにくくすることができる。これにより、軽衝突時に前後方向の荷重の伝達を許容できるとともに、上下方向及び左右方向に対しては車体剛性の向上に寄与させることができる。
【0035】
図9に示されたように、フロントサイドフレーム14と後側板状部材18の連結箇所(フロントサイドフレーム取付部)64と、縦方向メンバ42と後側板状部材18との連結箇所(縦方向メンバ取付部)62,62とが、上下方向に寸法h1,h1だけオフセットされたので、後側板状部材18は、前後方向に対しては変形しやすく、上下方向及び左右方向に対しては変形しにくくすることができる。これにより、軽衝突時に前後方向の荷重の伝達を許容できるとともに、上下方向及び左右方向に対しては車体剛性の向上に寄与させることができる。
【0036】
図1及び図6に示されたように、縦方向メンバ41,42の上部の荷重伝達部材がヘッドライト24,25であり、縦方向メンバ41,42の下部の荷重伝達部材がフロントバンパ26であるので、従来部品のヘッドライト24,25やフロントバンパ26でフロントバルクヘッド21の押し込み部品として代用することができる。これにより、車体構造を大幅に変更する必要はない。
【0037】
図10は図1に示された車体前部構造に作用する外力の位置を示す作用説明図であり、図11(a),(b)は車体上部に軽衝突が生じた場合の車体前部構造の変形の様子を示す作用説明図であり、図12(a),(b)は車体下部に軽衝突が生じた場合の車体前部構造の変形の様子を示す作用説明図であり、図13(a)〜(c)は車体中間部に軽衝突が生じた場合の車体前部構造の変形の様子を示す作用説明図である。
【0038】
図10に示される白抜き矢印Aの位置に軽衝突が発生する場合の車体前部構造の変化が図11(a),(b)に示され、図11(a)において、障害物69が矢印a1の如くヘッドライト24に接近し、軽衝突が発生すると、ヘッドライト24に荷重が加わり、ヘッドライト24は車体後方に後退する。
【0039】
図11(b)において、ヘッドライト24は、加わった荷重をフロントバルクヘッド21の縦方向メンバ41に荷重伝達し、図1に示された前側板状部材15及び後側板状部材17は車体後方に変形され、フロントバルクヘッド21はフロントサイドフレーム13に対して後退することができる。この結果、ラジエータ22及びコンデンサ23もフロントバルクヘッド21とともに、後退することができるので、ラジエータ22及びコンデンサ23の破損を防止することができる。
【0040】
図10に示される白抜き矢印Bの位置に軽衝突が発生する場合の車体前部構造の変化が図12(a),(b)に示され、図12(a)において、障害物69が矢印a3の如くバンパフェース36の下部に接近し、軽衝突が発生すると、バンパフェース36に荷重が加わり、バンパフェース36は車体後方に後退する。
【0041】
図12(b)において、バンパフェース36は、バンパブラケット37を介して加わった荷重をフロントバルクヘッド21の縦方向メンバ41に荷重伝達し、図1に示された前側板状部材15及び後側板状部材17は車体後方に変形され、フロントバルクヘッド21はフロントサイドフレーム13(図1参照)に対して矢印a4の如く後退することができる。この結果、ラジエータ22及びコンデンサ23もフロントバルクヘッド21とともに、後退することができるので、ラジエータ22及びコンデンサ23の破損を防止することができる。
【0042】
図10に示される白抜き矢印Cの位置に軽衝突が発生する場合の車体前部構造の変化が図13(a),(b)に示され、図13(c)に比較例の車体前部構造が示される。
図13(a)において、障害物69が矢印a5の如くバンパビーム35の高さに接近し、軽衝突が発生すると、バンパビーム35に荷重が加わる。
【0043】
図13(b)において、バンパビーム35は、エクステンション33で衝撃の吸収が行われる。バンパビーム35に荷重が加わる場合でもバンパフェース36(図1参照)を同時に車体後方に押し下げる。すなわち、図12(b)で説明したように、バンパフェース36は、バンパブラケット37を介して加わった荷重をフロントバルクヘッド21の縦方向メンバ41に荷重伝達し、図1に示された前側板状部材15及び後側板状部材17は車体後方に変形され、フロントバルクヘッド21はフロントサイドフレーム13に対して矢印a6の如く後退することができる。この結果、ラジエータ22及びコンデンサ23もフロントバルクヘッド21ともに、後退することができるので、ラジエータ22及びコンデンサ23の破損を防止することができる。
【0044】
図13(c)において、比較例の車体前部構造では、障害物119の軽衝突が発生した場合に、フロントサイドフレーム113にエクステンション114を介して渡したバンパビーム115(若しくはバンパフェース)の車体後方移動で、フロントバルクヘッド111は、車体後方には後退することはできない構造なので、例えば、軽衝突においても、フロントバルクヘッド111に取付けたラジエータ122やコンデンサ123は破損することがある。
【0045】
尚、本発明に係る車体前部構造は、図3に示すように、バンパフェース36に別体のバンパブラケット37を取付けたが、これに限るものではなく、バンパブラケットと同一機能部品をバンパフェースから延出するようにしたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係る車体前部構造は、小型のセダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る車体前部構造を採用した車両の斜視図である。
【図2】図1に示された車体前部構造の上部を示す平面図である。
【図3】図1に示された車体前部構造の下部を示す平面図である。
【図4】図1に示された車体前部構造のラジエータ及びコンデンサの上部を示す斜視図である。
【図5】図1に示された車体前部構造のラジエータ及びコンデンサの下部を示す斜視図である。
【図6】図1に示された車体前部構造のフロントバルクヘッドの斜視図である。
【図7】図1に示された車体前部構造の前側板状部材及び後側板状部材の斜視図である。
【図8】図1に示された車体前部構造の前側板状部材の説明図である。
【図9】図1に示された車体前部構造の後側板状部材の説明図である。
【図10】図1に示された車体前部構造に作用する外力の位置を示す作用説明図である。
【図11】車体上部に軽衝突が生じた場合の車体前部構造の変形の様子を示す作用説明図である。
【図12】車体下部に軽衝突が生じた場合の車体前部構造の変形の様子を示す作用説明図である。
【図13】車体中間部に軽衝突が生じた場合の車体前部構造の変形の様子を示す作用説明図である。
【符号の説明】
【0048】
13,14…フロントサイドフレーム、15,16…前側板状部材、17,18…後側板状部材、21…フロントバルクヘッド、22…冷却機器(ラジエータ)、23…冷却機器(コンデンサ)、24,25…上部の荷重伝達部材(ヘッドライト)、26…下部の荷重伝達部材(フロントバンパ)、41,42…縦方向メンバ、51,52…連結箇所(本体部)、53,54…連結箇所(曲げ部)、61,62…連結箇所(縦方向メンバ取付部)、63,64…連結箇所(フロントサイドフレーム取付部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前後方向に配置されるフロントサイドフレームと、このフロントサイドフレームの前端に配置され、ラジエータなどの冷却機器を搭載する正面視矩形枠状のフロントバルクヘッドとを有する車体前部構造において、
前記フロントバルクヘッドは、その縦方向メンバの中央部が、前記フロントサイドフレームに前後方向の荷重により変形又は破断可能に連結され、前記縦方向メンバの上部及び下部の前方に、車体前方からの荷重を前記縦方向メンバに伝達する荷重伝達部材が配置されたことを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記縦方向メンバは、前記フロントサイドフレームに前側板状部材及び後側板状部材を介して連結されるものであり、
前記フロントサイドフレームと前記前側板状部材との連結箇所と、前記縦方向メンバと前記前側板状部材との連結箇所とが、左右方向にオフセットされたことを特徴とする請求項1記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記フロントサイドフレームと前記後側板状部材の連結箇所と、前記縦方向メンバと前記後側板状部材との連結箇所とが、上下方向にオフセットされたことを特徴とする請求項2記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記縦方向メンバの上部の前記荷重伝達部材がヘッドライトであり、前記縦方向メンバの下部の前記荷重伝達部材がフロントバンパであることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の車体前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−280152(P2009−280152A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−136459(P2008−136459)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】