説明

車体前部構造

【課題】車両が正面衝突した際の衝突エネルギーを効率よく吸収して、車体前部が車室側に後退するのを抑制することができる車体前部構造を提供すること。
【解決手段】フロントサイドフレーム2は、車体前部1aに設置され、車体1の前後方向に延びる左右一対の部材からなる。フロントサイドフレーム2は、モータルームMRの前部から車体フロアFに向けて下方に傾斜する傾斜部を有する下部分岐フレーム21と、下部分岐フレーム21から分岐されて傾斜部の上方に配置され、曲がって形成された部材からなる上部分岐フレーム22と、を備えている。上部分岐フレーム22は、モータルームMRの周辺に配置されたフレームに連結された複数の支柱4により支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部構造に関し、特に、車両が重度の正面衝突した際のフロントサイドフレームのエネルギー吸収性を向上させた車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の車体前部には、車体の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームが設けられている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された自動車のパワーユニット車室内侵入防止構造は、フロントサイドフレームを上側フレームと下側フレームとに分岐させて、自動車が正面衝突した際に、下側フレームに設けたフロントマウントによりパワーユニットの前部を押し上げ、パワーユニットを積極的に回転させてトーボードの下方へ落し込ませる構造になっている。
【0004】
このパワーユニット車室内侵入防止構造では、車体前方向に向けて略Y字状に二股に分かれたフロントサイドフレームの下側フレームが、前下がりに斜めに形成されていることによって、分岐部が側面視して略への字状に変形することで、パワーユニットを落下し易くして、パワーユニットの車室内侵入防止を図っている。
【0005】
また、特許文献2に記載の自動車の車体前部構造は、自動車が正面衝突した際に、フロントサイドフレームに入力された前方からの衝突荷重を、より効果的にフロントピラへと伝達されるようにするために、フロントサイドフレームが、サスペンションタワー部付近で複数の結合メンバに分岐されている。
【0006】
この車体前部構造では、自動車が重度の正面衝突した際に、フロントサイドフレームにかかった衝突荷重を複数の結合メンバに分割させてフロントピラの上下に伝達させることにより、衝突荷重を受け止める構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3400566号公報(段落[0019]、図1及び図5)
【特許文献2】特開2008−137507号公報(図1、図2及び図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、自動車の車体前部構造では、車両が重度の正面衝突した際に、さらに、衝突エネルギー(衝突荷重)を効率よく吸収して、車体前部が車室側に後退する後退量を低減させて、車室が変形するのを抑制することが望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題点を解決するために創案されたものであり、車両が重度の正面衝突した際の衝突エネルギーを効率よく吸収して、車体前部が車室側に後退するのを抑制することができる車体前部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、車体前部に設置され、車体の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを備えた車体前部構造において、前記フロントサイドフレームは、モータルームの前部から車体フロアに向けて下方に傾斜する傾斜部を有する下部分岐フレームと、前記下部分岐フレームから分岐されて前記傾斜部の上方に配置され、曲がって形成された部材からなる上部分岐フレームと、を備え、前記上部分岐フレームは、前記モータルームの周辺に配置されたフレームに連結された複数の支柱により支持されていることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、フロントサイドフレームは、下部分岐フレームと、この下部分岐フレームから分岐した上部分岐フレームと、を備えていることによって、車両が正面衝突したときにフロントサイドフレームにかかった衝突エネルギーが、下部分岐フレームと上部分岐フレームとに二分されてしっかりと支持されるため、その二本の分岐フレームに分散される分岐部よりも車体前方側の部位が軸圧潰する。
その後、フロントサイドフレームのその二本のフレーム部材は、上部分岐フレームが複数の支柱でしっかりと支持されていることにより、下側の下部分岐フレーム、上側の上部分岐フレームの順に軸圧潰して折れ変形するため、衝突荷重に対して安定した高い反力を発生する。
上部分岐フレームは、曲がった状態に形成されていることによって、衝突荷重が負荷されると、屈曲変形して衝突エネルギーを吸収する。さらに、上部分岐フレームは、モータルームの周辺に配置されたフレームに連結された複数の支柱で支持されていることにより、支柱によって前後方向への移動が抑制されて、フロントサイドフレームが車室側への侵入するように変形するのを抑制することができる。
これにより、フロントサイドフレームは、従来の自動車よりも車体前後方向の長さを短く形成することができると共に、たとえ、その長さを従来よりも短く形成したとしても、従来の自動車の車体フレーム構造と同等の衝突エネルギーの吸収バランスを有しており、衝突時に、車体前部が車室側へ後退して侵入するように変形するのを抑制することができる。
【0012】
また、前記上部分岐フレームは、屈曲部を介して前記屈曲部の前側に設けられた前メンバ部と、前記屈曲部の後側に設けられた後メンバ部と、から形成された略L字状、または、略U字状の部材からなることが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、上部分岐フレームは、車両が正面衝突した際に、衝突エネルギーで屈曲部が変形して屈曲することによって、衝突エネルギーを吸収してフロントサイドフレームが車室側へ侵入するように変形するのを抑制することができる。
【0014】
また、前記支柱は、少なくとも前記屈曲部を支持していることが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、支柱は、屈曲部を支持していることによって、屈曲部の折れ変形を時間的に遅らせて、フロントサイドフレームの前端部を軸圧壊するように変形させることができる。
【0016】
また、前記支柱は、前記前メンバを支持していることが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、支柱は、前メンバを支持していることによって、下部分岐フレームを上部分岐フレームより太い部材で形成することを可能にして、下部分岐フレーム側の軸圧壊を上部分岐フレームの折れ変形より優先させることができる。そして、自動車が正面衝突した際に、フロントサイドフレームから分岐した上部分岐フレームと下部分岐フレームとの二本のフレーム部材が変形する構造にすることが可能となる。
【0018】
また、前記下部分岐フレームの傾斜部の縦断面は、前記フロントサイドフレームの前記傾斜部の前方に位置する傾斜前方部の縦断面よりも太く形成されていることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、フロントサイドフレームは、下部分岐フレームの傾斜部の縦断面が、フロントサイドフレームの前部の縦断面よりも太く形成されていることによって、傾斜部の前後が折れ変形するのを抑制することができるため、エネルギー吸収量の高い軸圧潰する変形が可能となる。
【0020】
また、前記支柱は、一端部がダンパベースに接合され、他端部が前記屈曲部に接合されていることが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、支柱は、一端部がダンパベースに接合され、他端部が屈曲部に接合されていることによって、ダンパベースを支持しているため、ダンパベースを補強して車体前部の剛性を向上させることができる。
【0022】
また、前記フロントサイドフレームは、前記モータルームの車体前側に配置されたフロントバルクヘッドに連結された前端部と、前記前端部の車体後方側に配置され、前記下部分岐フレームと前記上部分岐フレームとに分岐する分岐部と、車幅方向に向けて延設されたクロスメンバ、または、車体前後方向に延設されたフロアフレームに連結された後端部と、前記後端部の車体前側に配置され、前記下部分岐フレームと前記上部分岐フレームとが接合される結合部と、を有していることが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、車両が正面衝突した際に、フロントサイドフレームの前端部に衝突荷重がかかると、フロントサイドフレームは、衝突エネルギーが、分岐部で下部分岐フレームと上部分岐フレームとに分離されてそれぞれに負荷される。下部分岐フレームでは、傾斜部が軸圧潰して衝突エネルギーを吸収する。上部分岐フレームは、屈曲部が折れ曲がることによって衝突エネルギーを吸収する。
このようにフロントサイドフレームは、下部分岐フレームと上部分岐フレームとの二本のフレーム部材が軸圧潰及び折れ曲がって変形することにより、車体前後方向にバランスよく衝突エネルギーを吸収する。このため、フロントサイドフレームは、正面衝突時に車室側に後退して侵入する侵入量を軽減して、車室が変形するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、車両が正面衝突した際の衝突エネルギーを効率よく吸収して、車体前部が車室側に後退するのを抑制することができる車体前部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る車体前部構造を示す要部概略斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車体前部構造におけるフロントサイドフレームの設置状態を示す概略拡大側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車体前部構造におけるフロントサイドフレームの設置状態を示す概略平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車体前部構造における車体左側のフロントサイドフレームの設置状態を示す要部概略斜視図である。
【図5】(a)は図4のX−X線拡大断面図、(b)は図4のY−Y線拡大断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車体前部構造におけるフロントサイドフレームの設置状態を示す要部概略拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る車体前部構造におけるフロントサイドフレームの設置状態を示す概略正面図である。
【図8】比較例の車両が重度の正面衝突をした際にフロントサイドフレームが変形する状態を時間差的に示した図であり、(a)は衝突初期時の変形状態を示す概略側面図、(b)は衝突中期時の変形状態を示す概略側面図、(c)は衝突終期時の変形状態を示す概略側面図である。
【図9】本発明の車体前部構造の車両が重度の正面衝突をした際にフロントサイドフレームが変形する状態を時間差的に示した図であり、(a)は衝突初期時の変形状態を示す概略側面図、(b)は衝突中期時の変形状態を示す概略側面図、(c)は衝突終期時の変形状態を示す概略側面図である。
【図10】本発明及び比較例のフルラップ衝突時の車体前部構造の変位量と車両の加速度の関係をそれぞれ示す減速度特性グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜図10を参照して、本発明の実施形態に係る車体前部構造を説明する。
なお、車両Cの進行方向を「前」、後退方向を「後」、「鉛直上方側を「上」、鉛直下方側を「下」、車幅方向を「左」、「右」として説明する。
【0027】
≪車両の構成≫
まず、本発明の実施形態に係る車体前部構造を説明する前に、本発明が適用される車両Cについて説明する。
図1に示すように、車両Cは、車体前部1aにモータルームMRを有し、このモータルームMRに隔壁部6を介在して車室R(客室)が配設された自動車であり、例えば、FR(フロントエンジン・リヤドライブ)や四輪駆動の乗用車等である。
なお、車両Cは、モータルームMRにエンジン等のパワーユニット(図示省略)がある自動車であればその形式・種類は特に限定されない。以下、FRの乗用車の場合を例に挙げて本発明を説明する。
【0028】
≪車体の構成≫
図1に示すように、車体1は、車両Cの全体を形成するためのものであって、例えば、フロントサイドフレーム2等の種々の金属製車体フレームと、不図示のボンネット、フェンダパネル等の金属製車体パネルと、樹脂製または金属製からなるバンパフェイス(図示省略)等を主に備えている。
車体1の車体前部1aには、車体1の骨格をそれぞれ形成するフロントバルクヘッド7、アッパメンバ9、フロントピラアッパ10、ロアメンバ11、フロントサイドフレーム2、支柱4、ダンパベース23、フロントピラサポート12、前側フロントピラロア13、後側フロントピラロア14、フロントガラスサポートフレーム15、トンネルフレーム16、クロスメンバ17(図7参照)、フロアフレーム18、サイドシル5等が略左右対称(左右一対)に設置されている。
車体前部1aは、略左右対称であるため、以下、車体1の左側を主に説明して、車体1の右側の説明を適宜省略する。
【0029】
≪モータルームの構成≫
図1に示すように、モータルームMRは、パワーユニット(図示省略)が配置される収納空間であり、その周辺に設置されたフレームとパネル部材とによって形成されている。モータルームMRは、その前側にフロントバルクヘッド7、バンパー(図示せず)等が配設され、その後方側に隔壁部6、クロスメンバ17(図7参照)、フロントガラスサポートフレーム15等が設置され、その上方の左右に車体前後方向に向けて配置された一対のバンパビームエクステンション81(図2参照)、アッパメンバ9、フロントピラアッパ10が設置され、その下方の左右に車体1の前後方向に向けて配置された一対のフロントサイドフレーム2が設置され、フロントサイドフレーム2とアッパメンバ9等との間に複数の支柱4が連結されている。
モータルームMR及びフロントサイドフレーム2は、車両Cが重度の正面衝突をした際に押し潰されて衝突エネルギーを吸収するクラッシュストロークを形成する。
なお、特許請求の範囲に記載された「モータルームの周辺に配置されたフレーム」とは、アッパメンバ9、フロントピラアッパ10、フロントサイドフレーム2等である。
【0030】
≪フロントバルクヘッドの構成≫
フロントバルクヘッド7は、モータルームMRの車体前側に全体が車幅方向に向けて配置されたフレーム部材であり、ラジエータ(図示省略)の外周部を囲むように配置されている。フロントバルクヘッド7は、それぞれ後記するバルクヘッドアッパ7aと、バルクヘッドサイドステイ7bと、バルクヘッドアッパサイドフレーム7cと、バルクヘッドロア7dと、が略四角形状に連結されてなる。
【0031】
図1に示すように、バルクヘッドアッパ7aは、略枠状のフロントバルクヘッド7の上側部位を形成するフレーム部材である。
バルクヘッドサイドステイ7bは、バルクヘッドアッパ7aの左右両端部からフロントサイドフレーム2の前端部2aの車体内側側面に向けて垂下して配置され、フロントバルクヘッド7の左右側部位を形成するフレーム部材である。
バルクヘッドアッパサイドフレーム7cは、バルクヘッドアッパ7aの左右両端部に連設された平面視して円弧状のフレーム部材であり、その後方側にアッパメンバ9が車体後方に向けて延設されている。
バルクヘッドロア7dは、フロントバルクヘッド7の下側部位を形成するフレーム部材であり、バルクヘッドアッパ7aに対向してその下側に平行に配置されている。
【0032】
≪アッパメンバ、フロントピラアッパ及びロアメンバの構成≫
アッパメンバ9は、モータルームMRの車体側部上側に車体前後方向に向けて配置されたフレーム部材であり、前端がバルクヘッドアッパサイドフレーム7cに連結され、後端がフロントピラアッパ10に連結されている。
フロントピラアッパ10は、不図示のフロントガラスの左右側部に配置されるフレーム部材であり、後端がルーフ側面部に配置されたサイドレール3に連結されている。
ロアメンバ11は、上端がアッパメンバ9とバルクヘッドアッパサイドフレーム7cとの連結部位の下面に連結され、下端がフロントサイドフレーム2の前端部2aの外側側面に連結されたフレーム部材である。
【0033】
≪パワーユニットの構成≫
不図示のパワーユニットは、例えば、エンジンと、トランスミッションとを備えて構成され、フロントサイドフレーム2のマウントブラケット部2jに不図示のマウント部材及びサブフレームを介在させてモータルームMR内に設置されている。
【0034】
≪フロントサイドフレームの構成≫
図2に示すように、フロントサイドフレーム2は、車体前部1aの一部を形成する左右一対のフレーム部材であり、例えば、剛性を有する断面略ロ字状のスチール製角パイプ材等から形成されている。フロントサイドフレーム2は、それぞれ後記する前端部2aと、傾斜前方部2bと、分岐部2cと、補強部2dと、傾斜部2eと、屈曲部2fと、前メンバ部2gと、後メンバ部2hと、結合部2iと、マウントブラケット部2jと、後端部2kと、上部分岐フレーム22と、下部分岐フレーム21と、を有している。
フロントサイドフレーム2は、前端部2aから分岐部2cまで、及び、結合部2iから後端部2kまでが一つの角筒状部材によって形成され、分岐部2cから結合部2iまでの間が、その下側部分を形成する下部分岐フレーム21と、その上側部分を形成する上部分岐フレーム22との二つの角筒状部材で略O脚状に形成されている。
図3に示すように、フロントサイドフレーム2は、平面視して、車体前部1aのバンパビーム8の左右端部から車体後方に向けて延設され、後端部2kがクロスメンバ17及びフロアフレーム18に連続する状態に溶接されている。フロントサイドフレーム2及びアッパメンバ9の車体外側には、フェンダパネル(図示省略)が設けられている。
【0035】
図2に示すように、前端部2aは、フロントサイドフレーム2の前端部位である。前端部2aは、前面に、衝突時に衝突エネルギーで潰れることによって衝撃を吸収するバンパビームエクステンション81がボルト締めされ、内側側面にフロントバルクヘッド7のバルクヘッドサイドステイ7bが連結され、外側側面にロアメンバ11が固定されている。
【0036】
傾斜前方部2bは、側面視して前端部2aから車体後方に向けて水平に配置された角筒状部材によって形成され、上面にマウントブラケット部2jが接合されている。
分岐部2cは、1つの角筒状部材で形成された傾斜前方部2bの後方端が、下部分岐フレーム21と上部分岐フレーム22との二つに分離して二股状に分かれた部位である。
補強部2dは、分岐部2cの補強部位であり、二股状に接合された下部分岐フレーム21と上部分岐フレーム22との内側接合部位に溶接された三角形の厚板部材からなる。
【0037】
図4に示すように、傾斜部2eは、分岐部2cから下方向へ傾斜して配置された傾斜部位である。この傾斜部2eは、フロントサイドフレーム2において、分岐部2cから左右のサイドシル5(図2参照)間に架設されたクロスメンバ17(図7参照)に向けて配置され、主に下部分岐フレーム21と、後端部2kとから形成されている。
屈曲部2fは、略への字状に折れるように曲がって形成された部位であり、上部分岐フレーム22の中間部位に形成されている。
【0038】
前メンバ部2gは、分岐部2cと屈曲部2fとの間を形成する角筒部位であり、分岐部2cから屈曲部2fに向けて僅かに上昇するように斜めに配置されている。
後メンバ部2hは、屈曲部2fと結合部2iとの間を形成する角筒部位であり、屈曲部2fから結合部2iに向けて下方向へ傾斜するように配置されている。
結合部2iは、上部分岐フレーム22の後メンバ部2hの後端と、下部分岐フレーム21とが結合される溶接部位であり、後端部2kの車体前側に配置されている。
【0039】
マウントブラケット部2jは、マウント部材(図示省略)を設置するための部位であって、傾斜前方部2bの上面に溶接された金属製厚板部材からなる。
後端部2kは、フロントサイドフレーム2の後端部位であり、結合部2iの後方に連続して配置されている。後端部2kには、車幅方向に向けて延設されたクロスメンバ17が溶接されている。なお、後端部2kは、車体前後方向に延設されたフロアフレーム18の前端に連結させてもよい。
【0040】
<下部分岐フレームの構成>
図4に示すように、下部分岐フレーム21は、分岐部2cと結合部2iとの間の下側部分を形成するフレーム部材であり、斜め直線状に形成されて、傾斜部2eを主に形成している。つまり、下部分岐フレーム21は、側面視して、モータルームMRの前側の側端部中央から車体フロアF(図1参照)に向けて下方に傾斜する傾斜部2eを形成している。
図5(a)、(b)に示すように、下部分岐フレーム21の傾斜部2eの縦断面S1は、フロントサイドフレーム2の前端部2aの縦断面S2よりも太く形成されている。前端部2aは、断面形状が略正方形に形成されて角筒状になっている。これに対して下部分岐フレーム21の傾斜部2eは、断面形状が略長方形で、横長の角筒状に形成され、断面積及び全周の長さが前端部2aの断面積及び全周の長さよりも大きく、太く強度がある。
【0041】
<上部分岐フレームの構成>
図4に示すように、上部分岐フレーム22は、下部分岐フレーム21に対して、前端が分岐部2cから二股状に分離し、屈曲部2fを介して、後端が結合部2iで結合されて、下部分岐フレーム21の上側に三角形を形成するように配置された角筒状部材である。換言すると、上部分岐フレーム22は、屈曲部2fを介し前メンバ部2gと後メンバ部2hとから形成された略L字状、または、略U字状のフレーム部材からなり、傾斜部2e上に配置されている。なお、上部分岐フレーム22は、下部分岐フレーム21の上面または側面に接合される。上部分岐フレーム22の前端部及び後端部は、モータルームMRの周辺に配置されたフレームに連結された複数の支柱4によって支持されている。
【0042】
≪支柱の構成≫
図2に示すように、支柱4は、フロントサイドフレーム2を主に支持する筒状の連結フレーム部材であり、車体1を形成するフレーム部材間に溶接によって介在した状態に固定される。この支柱4は、それぞれ後記する第1支柱41と、第2支柱42と、第3支柱43と、第4支柱44と、第5支柱45と、第6支柱46と、第7支柱47(図2参照)と、を含め、上部分岐フレーム22の周辺に設置された複数のフレーム部材からなる。この支柱4は、少なくとも屈曲部2fと、前メンバ部2gと、を支持している。
【0043】
図4及び図6に示すように、第1支柱41は、上端がアッパメンバ9に連結され、下端が第2支柱42の中間部位に連結されて、第2支柱42の中間部位の外側側面からアッパメンバ9の下面に向けて斜め外側上方に延びている。図2及び図3に示すように、第1支柱41は、側面視及び平面視して、下端から上端に亘って車体前側方向に斜めに配置されている。
【0044】
図2に示すように、第2支柱42は、上端がダンパベース23の車体中央側の前端部位に接合され(図4及び図6参照)、下端が前メンバ部2gの上面に接合されている。第2支柱42は、側面視して下端から上端に亘って斜め後方に向けて配置されている。
第3支柱43(支柱4)は、上端(一端)がダンパベース23に接合され、下端(他端)が屈曲部2fに接合されている。図2及び図6に示すように、第3支柱43は、側面視及び正面視して略垂直に配置されている。
【0045】
図3及び図4に示すように、第4支柱44は、一端がダンパベース23の車体中央側の前端部位に接合され(図4及び図6参照)、他端が中央上部補強フレーム63とフロントガラスサポートフレーム15との連結箇所に接合されている。図3に示すように、第4支柱44は、平面視して一端から他端に亘って車体中央部に向けて後方向に斜めに配置されている。図7に示すように、第4支柱44は正面視して一端から他端に亘って車体中央部に向けて略水平に配置されている。
【0046】
図2に示すように、第5支柱45は、下端が第6支柱46の前端部位と屈曲部2fとの結合部位の上面に接合され、上端がフロントピラサポート12の上端部に接合されている。図6に示すように、第5支柱45は、平面視して下端から上端に亘って車体外側上部に向けて斜めに配置されている。
【0047】
図2に示すように、第6支柱46は、前端が屈曲部2fの上部に連結され、後端がフロントピラサポート12と前側フロントピラロア13との連結箇所に接合されている。図2〜図4及び図6に示すように、第6支柱46は、側面視して前端から後部に亘って車体中央部側から車体外側後方に向けて水平に配置されている。
【0048】
図2、図3、図6及び図7に示すように、第7支柱47は、前端が結合部2iの車体外側側面に接合され、後端がサイドシル5の先端内側面に接合されている。第7支柱47は、側面視して前端から後部に亘って車体中央部側から車体外側後方に向けて斜め水平に配置されている。
【0049】
≪ダンパベースの構成≫
ダンパベース23は、フロントサスペンション(図示省略)の上部を支える部材であり、例えば、平面視して外周部を下側に向けて折曲形成した略四角形の厚板状の部材からなる。ダンパベース23は、アッパメンバ9の後端部位のモータルームMRの上部側部に連結されている。ダンパベース23は、車体中心側の前後の下面に、第2支柱42及び第3支柱43が連結され、車体中心側の後部の側面に第4支柱44が連結されている。
【0050】
≪フロントピラサポートの構成≫
図2に示すように、フロントピラサポート12は、前端がフロントピラアッパ10の前端部下面に連結され、後端が後側フロントピラロア14の中間部下側寄りの前面に連結されている。フロントピラサポート12は、側面視して、上端から下端に亘って車体後方へ斜めに下がるように配置されて、アッパメンバ9に連結したフロントピラアッパ10の連結部近傍を支持している。
【0051】
≪前側フロントピラロアの構成≫
前側フロントピラロア13は、上端がフロントピラアッパ10の中間部下面に連結されて、下端がサイドシル5の先端に連結され、中間部がフロントピラサポート12の中間部及び第6支柱46の後端に接合されている。つまり、前側フロントピラロア13は、フロントピラサポート12に対してX字状に交差して配置されている。前側フロントピラロア13、フロントピラサポート12及びフロントピラ補強部材14aは、オフセット衝突に対応して補強されたフレーム部材である。前側フロントピラロア13は、側面視して、上端から下端に亘って車体後方へやや斜めに下方に向けて配置されて、フロントピラアッパ10の中間部及び第6支柱46の後端を支持している。
【0052】
≪後側フロントピラロアの構成≫
図2に示すように、後側フロントピラロア14は、上端がサイドレール3の前端部下面に連結されて、下端がサイドシル5の先端上部に連結されている。後側フロントピラロア14は、側面視して、上端から下端に亘って車体前方へやや斜め下方に向けて配置され、この後側フロントピラロア14と前側フロントピラロア13とフロントピラアッパ10とで、略三角形の枠体を形成するように連結されている。
この後側フロントピラロア14の前側中間部位には、フロントピラ補強部材14a,14bと前記フロントピラサポート12が、前記三角形の枠体部位に前後方向に向けて架設するように配置されている。フロントピラ補強部材14bは、前端がフロントピラアッパ10と前側フロントピラロア13との連結部位に接合され、後端が後側フロントピラロア14の中間部位の前面に連結されて、全体が側面視して水平に配置されている。
フロントピラ補強部材14bは、前端が前側フロントピラロア13の上部後面に連結され、後端が後側フロントピラロア14の中間部位の前面に連結されて、全体が側面視してフロントピラ補強部材14aに対して略平行に配置されている。
【0053】
≪隔壁部の構成≫
図1に示すように、隔壁部6は、モータルームMRと車室Rとを仕切る部材であり、ダッシュボード本体61と、ダッシュボードアッパメンバ62と、中央上部補強フレーム63と、中央下部補強フレーム64と、ダッシュボードセンタ支柱65と、を備えている。
図3に示すように、ダッシュボード本体61は、鋼板等の金属製板部材を折曲加工して形成されたパネル状部材であり、車幅方向に向けて設置されている。
ダッシュボードアッパメンバ62は、ダッシュボード本体61の上部を保持する筒状のフレーム部材であり、左右のフロントピラアッパ10間に架設されている。
【0054】
図6に示すように、中央上部補強フレーム63は、ダッシュボードアッパメンバ62の下方にアーチ状に形成されたフレーム部材であり、下端がフロントサイドフレーム2の結合部2iの上面に連結され、上端が第4支柱44とダッシュボードアッパメンバ62との連結部に接合されている。中央上部補強フレーム63は、ダッシュボード本体61の前側中央部に設置されてダッシュボード本体61を保持している。
中央下部補強フレーム64は、正面視してトンネル部と中央上部補強フレーム63に間にアーチ状に配置されたフレーム部材であり、下端がフロントサイドフレーム2の結合部2iの車体内面側に連結され、上端がダッシュボードセンタ支柱65の下端に接合されている。中央下部補強フレーム64は、ダッシュボード本体61の前側中央下部に設置されてダッシュボード本体61を保持している。
ダッシュボードセンタ支柱65は、上端が中央上部補強フレーム63の中央部に連結され、下端が中央下部補強フレーム64の中央部に連結されて、正面視して垂直に配置されている。
【0055】
≪フロントガラスサポートフレームの構成≫
図1に示すフロントガラスサポートフレーム15は、不図示のフロントガラスの下端部を支持する筒状部材であり、左右のフロントピラアッパ10間に架設されている。
【0056】
≪トンネルフレームの構成≫
図1及び図6に示すトンネルフレーム16は、車室Rの床部中央部に設置されるトンネル部の左右端部に車両前後方向に向けて延設される左右一対の金属製中空部材からなる。2本のトンネルフレーム16は、例えば、不図示の架設部材によってハシゴ状のラダーフレーム構造になっていて、その前端に設置されたクロスメンバ17及びダッシュボード本体61のダッシュボードロア部61aをしっかりと連結して保持している。
前記トンネル部は、フロアトンネルとも言われる強度を備えた床部中央部位であり、正面視して断面略下向きコ字形状(トンネル形状)に形成された金属製板部材と、トンネルフレーム16と、トンネル部の車室R側を覆う樹脂材(図示せず)とで形成されている。
【0057】
≪クロスメンバの構成≫
図6及び図7に示すクロスメンバ17は、車体1に対して略左右方向に配置される筒状フレーム部材であり、ダッシュロアクロスメンバとも言われる。クロスメンバ17は、左右のトンネルフレーム16の前端と、トンネルフレーム16の左右前端部から車体外側へ離間した位置にあるフロントサイドフレーム2の後端部2kと、サイドシル5の前端部位とに連結されて支えられ、ダッシュボードロア部61aの下方に設置されている。
【0058】
≪フロアフレーム及び車体フロアの構成≫
図1に示すように、フロアフレーム18は、車体フロアFのフロアパネルを保持するためのフレーム部材であり、車室R内に床面に配置されている。フロアフレーム18は、前端がダッシュボードロア部61a(図3参照)に連結され、車体中央部側がトンネルフレーム16に連結され、車体外側が左右のサイドシル5の車室側側面に溶接されている。
車体フロアFは、車室Rの床面に敷設された金属製板部材から主に形成されている。
【0059】
≪サイドシルの構成≫
サイドシル5は、先端が、前側フロントピラロア13及び後側フロントピラロア14の下端部に直交して設置されて、クロスメンバ17及び車体フロアFの左右端部を支持するフレーム部材である。このサイドシル5は、例えば、断面ロ字状の中空フレーム部材からなり、車体前後方向に沿って延設されている。
【0060】
≪車体前部構造の作用≫
次に、図8〜図10を主に各図を参照しながら本発明の実施形態に係る車体前部構造の作用を、車両Cが他車と重度の正面衝突(前面衝突)した場合を例に挙げて、比較例と比較して説明する。
【0061】
<比較例の車両が重度の正面衝突をした場合の説明>
図8は、比較例の車両が重度の正面衝突をした際にフロントサイドフレームが変形する状態を時間差的に示した図であり、(a)は衝突初期時の変形状態を示す概略側面図、(b)は衝突中期時の変形状態を示す概略側面図、(c)は衝突終期時の変形状態を示す概略側面図である。図9は、本発明の車体前部構造の車両が重度の正面衝突をした際にフロントサイドフレームが変形する状態を時間差的に示した図であり、(a)は衝突初期時の変形状態を示す概略側面図、(b)は衝突中期時の変形状態を示す概略側面図、(c)は衝突終期時の変形状態を示す概略側面図である。図10は、本発明及び比較例のフルラップ衝突時の車体前部構造の変位量と車両の加速度の関係をそれぞれ示す減速度特性グラフである。図10において、横軸はフロントサイドフレームの変位量、縦軸は加速度(減速度)である。
【0062】
図8(a)に示すように、比較例の車両のフロントサイドフレーム200は、本発明のフロントサイドフレーム2(図9(a)参照)よりも太くて重量が重い一本の部材を左右一対に配置してなる。
【0063】
比較例の車両が走行中に他車と重度の正面衝突をした場合、まず、衝突初期時には、図8(a)に示すように、車両前端部のバンパビーム100が他車によって後側方向に押圧されて、フロントサイドフレーム200の前端部210が軸圧潰される。
図8(b)に示すように、衝突中期時には、さらにフロントサイドフレーム200の前端部210が軸圧潰されて圧縮される。
図8(c)に示すように、衝突終期時には、さらにフロントサイドフレーム200が後方側へ押圧されて前端部210が下降しながら後退し、フロントサイドフレーム200の中央部220及び後端部230が上昇しながら後退して軸圧潰される。
【0064】
このように、比較例の車両の場合、一本のフレーム部材からなるフロントサイドフレーム200は、前端部210から略S字のように変形しながら潰れるように変形する。したがって、比較例の車両のフロントサイドフレーム200は、潰れることによって衝突エネルギーを吸収するために、前後方向の長さが長いフレーム部材にする必要がある。
【0065】
<本発明の車両が重度の正面衝突をした場合の説明>
本発明の車両Cが走行中に他車と重度の正面衝突をした場合、まず、衝突初期時には、図9(a)に示すように、車両前端部のバンパビーム8が他車によって後側方向に押圧されて、バンパビームエクステンション81を介してフロントサイドフレーム2の前端部2a、傾斜前方部2b及び分岐部2cが軸圧潰される。このように衝突初期時のフロントサイドフレーム2は、分岐した下部分岐フレーム21と上部分岐フレーム22との二本のフレーム部材で衝突荷重を分担してしっかりと支えているため、分岐部2cよりも先に前側の前端側部位のみが軸圧潰される。
【0066】
図9(b)に示すように、衝突中期時には、さらに下部分岐フレーム21の傾斜部2eの中央部位が軸圧潰される。この場合、上部分岐フレーム22は、複数の支柱4でしっかりと支持されていることにより、下側の下部分岐フレーム21が上側の上部分岐フレーム22よりも先に軸圧潰して折れ変形する。
【0067】
図9(c)に示すように、衝突終期時には、さらに下部分岐フレーム21の傾斜部2eの中央部位が軸圧潰されて圧縮され、上部分岐フレーム22の屈曲部2fが折れ変形する。なお、フロントサイドフレーム2は、下部分岐フレーム21の傾斜部2eと上部分岐フレーム22の屈曲部2fまでの間の隙間間隔L(図9(b)参照)の長さによって、潰れる時間及び潰れ量調整することが可能である。
【0068】
フロントサイドフレーム2は、下部分岐フレーム21の上部に屈曲形状の上部分岐フレーム22が複数の支柱4(図2参照)で支えられた状態で接合されているので、衝突荷重に対して安定した高い反力(G)を発生することができる。このため、フロントサイドフレーム2は、結合部2iから後端部2kに亘る後側部位が殆ど変形しないので、車室R側への侵入を抑制して車室Rが変形するのを防止することができる。
【0069】
図10に示すように、フロントサイドフレーム2のオフセット衝突したときの変位量H1は、比較例のフロントサイドフレーム200の変位量H2よりも、前後方向の長さを短く形成しているにも係わらず、変位量H3分だけ短い距離(クラッシュストローク)で衝突エネルギーを吸収する。
車両Cがフルラップ衝突した場合に、車両Cに加速度Gが発生する。フロントサイドフレーム2は、変位量H1分潰され(変形し)、フロントサイドフレーム2で段差的に衝突エネルギーE1,E2が吸収される。そのエネルギー吸収バランスE1/E2は、比較例と同等である。また、本発明の最大加速度G1及び平均加速度G2は、比較例の最大化速度g1及び平均加速度g2よりも、それぞれ加速度G(減速度)が大きく、衝突時の反力が大きい。
【0070】
これにより、フロントサイドフレーム2は、比較例と比較して短いフレーム部材であっても、衝突エネルギーの吸収性がよいので、モータルームMR周辺のレイアウトの自由度を向上させることができると共に、フロントサイドフレーム2の長さが短くなった分だけ車両Cの軽量化に寄与することができる。
【0071】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0072】
前記実施形態では、フロントサイドフレーム2、上部分岐フレーム22、支柱4やその他のフレーム部材を角筒状フレームで形成した場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、それらのフレーム部材は、円筒形状や、断面コ、C,H、U、L字状等の型鋼材やプレス成形品であってもよい。それらのフレーム部材は、剛性の高い材料であればよく、アルミニウム合金等の軽合金や樹脂材料からなるものであっても構わない。
【0073】
また、フロントサイドフレーム2は、図5に示すような断面形状のものに限定されるものではなく、必要性に応じて適宜に横幅、高さ、太さ、厚さを変更しても構わない。
また、各部材同士の接合方法は、溶接方法に限定されるものではなく、接着、機械式接合など、公知の接合方法の中から適宜選択すればよいことはいうまでもない。
なお、フロントサイドフレーム2に連結させる支柱4の本数及び接合位置は、適宜に変更しても構わない。
【符号の説明】
【0074】
1 車体
1a 車体前部
2 フロントサイドフレーム(フレーム)
2a 前端部
2b 傾斜前方部
2c 分岐部
2e 傾斜部
2f 屈曲部
2g 前メンバ部
2h 後メンバ部
2i 結合部
2k 後端部
4 支柱
7 フロントバルクヘッド
9 アッパメンバ(フレーム)
17 クロスメンバ(フレーム)
18 フロアフレーム
21 下部分岐フレーム
22 上部分岐フレーム
23 ダンパベース
41 第1支柱(支柱)
42 第2支柱(支柱)
43 第3支柱(支柱)
44 第4支柱(支柱)
45 第5支柱(支柱)
46 第6支柱(支柱)
47 第7支柱(支柱)
C 車両
F 車体フロア
R 車室
S1 傾斜部の縦断面
S2 傾斜前方部の縦断面
MR モータルーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部に設置され、車体の前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを備えた車体前部構造において、
前記フロントサイドフレームは、モータルームの前部から車体フロアに向けて下方に傾斜する傾斜部を有する下部分岐フレームと、
前記下部分岐フレームから分岐されて前記傾斜部の上方に配置され、曲がって形成された部材からなる上部分岐フレームと、を備え、
前記上部分岐フレームは、前記モータルームの周辺に配置されたフレームに連結された複数の支柱により支持されていることを特徴とする車体前部構造。
【請求項2】
前記上部分岐フレームは、屈曲部を介して前記屈曲部の前側に設けられた前メンバ部と、前記屈曲部の後側に設けられた後メンバ部と、から形成された略L字状、または、略U字状の部材からなることを特徴とする請求項1に記載の車体前部構造。
【請求項3】
前記支柱は、少なくとも前記屈曲部を支持していることを特徴とする請求項2に記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記支柱は、前記前メンバ部を支持していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車体前部構造。
【請求項5】
前記下部分岐フレームの傾斜部の縦断面は、前記フロントサイドフレームの前記傾斜部の前方に位置する傾斜前方部の縦断面よりも太く形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車体前部構造。
【請求項6】
前記支柱は、一端部がダンパベースに接合され、他端部が前記屈曲部に接合されていることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の車体前部構造。
【請求項7】
前記フロントサイドフレームは、前記モータルームの車体前側に配置されたフロントバルクヘッドに連結された前端部と、
前記前端部の車体後方側に配置され、前記下部分岐フレームと前記上部分岐フレームとに分岐する分岐部と、
車幅方向に向けて延設されたクロスメンバ、または、車体前後方向に延設されたフロアフレームに連結された後端部と、
前記後端部の車体前側に配置され、前記下部分岐フレームと前記上部分岐フレームとが接合される結合部と、を有していることを特徴とする請求項2乃至請求項6に記載の車体前部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−148695(P2012−148695A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9565(P2011−9565)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】