説明

車体外装部品の取付シール構造

【課題】車体外装部品が車体パネルから離間する方向に移動した場合でも、車体パネルの挿入孔の止水性を確保できる車体外装部品の取付シール構造を得る。
【解決手段】ルーフパネル14と取付脚部24との間には取付脚部24に設けられたクッション部材28が配置される。位置決めピン26の外周側には環状のシール部32が設けられ、シール部32とクッション部材28とが薄肉のブリッジ部34で一体化される。取付脚部24が矢印F1方向に移動し、クッション部材28もこれに伴って矢印F1方向に移動しても、ブリッジ部34が変形し、シール部32はルーフパネル14から離れない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車体に車体外装部品をシールして取り付ける車体外装部品の取付シール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シール部材として役立つ下敷によって支足本体を下側から掴むようにしたルーフレールの支足が記載されている。
【0003】
ところで、車体外装部品を車体パネルに取り付ける場合、車体パネルの挿入孔に、車体外装部品から突設された挿入ピン等の挿入部材を挿入して、位置決め等を行うことがある。このような構造では、挿入孔の止水性を確保して、挿入孔からの水分の浸入を防止することが望まれる。
【0004】
しかし、このように車体パネルの挿入孔に車体外装部品の挿入部材を挿入する構造に、特許文献1のシール部材(下敷)を単に適用してしまうと、たとえばルーフレームが車体パネルから離間する方向に移動した場合に、シール部材が車体パネルから離れ、止水性を維持できなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−43651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、車体外装部品が車体パネルから離間する方向に移動した場合でも、車体パネルの挿入孔の止水性を確保できる車体外装部品の取付シール構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明では、車体外装部品に設けられ、車体パネルの挿入孔に挿入される挿入部材と、前記車体外装部品に設けられ前記車体パネルの間に配置されるクッション部材と、前記挿入部材の周囲に設けられ、前記車体パネルとの間がシールされるシール部と、前記シール部と前記クッション部材との間に設けられて前記シール部を前記クッション部材と一体化し、前記クッション部材よりも低剛性とされた低剛性部と、を有する。
【0008】
この車体外装部品に取り付けシール構造では、車体パネルの挿入孔に、車体外装部品の挿入部材が挿入されることで、たとえば、車体外装部品が車体パネルに位置決めされる。また、車体外装部品と車体パネルの間にはクッション部材が配置され、クッション作用が発揮される。
【0009】
挿入部材の周囲に設けられたシール部は、車体パネルとの間が密着されるので、シール部と車体パネルとの間での止水性が確保される。シール部とクッション部材とは、クッション部材よりも低剛性とされた低剛性部により一体化されているので、車体外装部品が車体パネルから離間する方向に移動した場合でも、この力の一部が低剛性部の変形により吸収されてシール部に作用する。シール部を車体パネルから離間させる方向の力が緩和されるので、車体パネルとの密着状態を維持でき、止水性も維持できる。たとえば、クッション部材が車体パネルから離間した位置に永久変形した後も、止水性を維持できる。
【0010】
なお、低剛性部がクッション部材よりも「低剛性」であるとは、クッション部材の一般部、すなわちクッション部材として、車体外装部品と車体パネルとの間でクッション作用を奏している部分よりも低剛性であることを言う。
【0011】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記クッション部材と前記シール部との間に間隙が設定され、前記低剛性部が、前記間隙において前記クッション部材と前記キャップ部材とに掛け渡されたブリッジ部、を含んでいる。
【0012】
これにより、低剛性部を簡単な構造で設けることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記低剛性部が、前記クッション部材と前記シール部との間で前記クッション部材よりも薄肉とされた薄肉部、を含んでいる。
【0014】
これにより、低剛性部を簡単な構造で設けることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明において、前記シール部を前記車体パネルに接着させる接着部材、を有する。
【0016】
接着部材によって、シール部が車体パネルに接着させるので、シール部によってより確実に止水することが可能になる。
【0017】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の発明において、前記シール部と前記車体外装部品の間に設けられ、前記接着部材を車体パネルに押し付ける押付部材、を有する。
【0018】
押付部材によって接着部材を車体パネルに対し押し付けることで、接着部材の車体パネルへの接着力をより高く確保することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記押付部材が、前記シール部と前記車体外装部品との設定隙よりも厚く形成され、シール部と車体外装部品のいずれか一方に固定された弾性部材である。
【0020】
弾性部材は、シール部と車体外装部品との設定隙よりも厚く形成されているので、シール部と車体外装部品との間で圧縮され、その反力で接着部材を車体パネルに押し付ける力を得られる。
【0021】
また、弾性部材は、シール部と車体外装部品のいずれか一方に固定されており、両方には固定されていないので、車体外装部品を車体パネルから離間させる方向の力が弾性部材を介してシール部に作用しない。これによって、シール部の止水性を高く確保することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項5に記載の発明において、前記押付部材が、前記シール部と前記車体外装部品との設定隙よりも長い突出長でシール部から車体外装部品に向けて突出された凸部である。
【0023】
凸部は、シール部と車体外装部品との設定隙よりも長い突出長とされているので、シール部と車体外装部品との間で圧縮され、その反力で接着部材を車体パネルに押し付ける力を得られる。
【0024】
また凸部は、でシール部から車体外装部品に向けて突出されているので、車体外装部品を車体パネルから離間させる方向の力が弾性部材を介してシール部に作用しない。これによって、シール部の止水性を高く確保することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記構成としたので、車体外装部品が車体パネルから離間する方向に移動した場合でも、車体パネルの挿入孔の止水性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る車体外装部品であるルーフラックを示す斜視図である。
【図2】本発明に係るルーフラックの取付脚部を拡大して示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態の取付シール構造が適用されたルーフラックの取付脚部を示す図2のIII−III線断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の取付シール構造において通常状態の位置決めピン及びその近傍を拡大して示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の取付シール構造においてシール部材及びその近傍を示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の取付シール構造において外力が作用した状態での位置決めピン及びその近傍を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の取付シール構造における別の例を示すシール部材及びその近傍の平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態の取付シール構造におけるさらに別の例を示すシール部材及びその近傍の平面図である。
【図9】(A)は本発明の第1実施形態の取付シール構造におけるさらに別の例を示すシール部材及びその近傍の断面図であり、(B)は(A)のリブ部及びその近傍を拡大して示す断面図である。
【図10】比較例の取付シール構造において通常状態の位置決めピン及びその近傍を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図3には、本発明の一実施形態の車体外装部品の取付シール構造(以下、「取付シール構造」という)12が示されている。この取付シール構造12では、図1に示すように、車体外装部品、すなわち車体の外側に取り付けられる部品として、車体のルーフパネル14に取り付けられるルーフラック22を対象としている。
【0028】
ルーフラック22は、ルーフパネル14への取り付け状態で車両前後方向に延在される略長尺状に形成されている。ルーフラック22には、ルーフパネル14に接触する複数(本実施形態では長手方向両端部及び略中央部で合計3つ)の取付脚部24が設定されている。取付脚部24は、ルーフパネル14への取りつけの台座として作用する。なお、本実施形態における3つの取付脚部24は、ルーフパネル14の形状等に応じてそれぞれ異なる構造とされているが、基本的な作用は同一であるので、以下では、1つの取付脚部24(図1において右側の取付脚部)を例に挙げて説明する。
【0029】
図4にも詳細に示すように、取付脚部24は、ルーフパネル14のパネル表面14Sと対向する対向面24Sを有しており、取付脚部24における対向面24Sの反対側(車両への取り付け状態で外側)は脱着可能なカバー24Cで覆われるようになっている。対向面24Sの所定位置には挿通孔25が形成されている。また、ルーフパネル14には、ルーフラック22の取り付け状態で挿通孔25に対応する位置に締結孔16が形成されると共に、締結ナット20が取り付けられている。したがって、本実施形態では、カバー24Cを取付脚部24から取り外した状態で、挿通孔25と締結孔16(締結ナット20)とを位置あわせし、ルーフラック22のさらに外側から締結ナット20に締結ボルト18を締め込んで、ルーフラック22がルーフパネル14に固定状態で取り付けられる。その後、カバー24Cを取付脚部24に装着して、締結ボルト18等を覆う。なお、取付脚部24をルーフパネル14に取り付ける構造はこれに限定されず、たとえば、フールパネル14からスタッドボルトを突出させ、このスタッドボルトをルーフラック22に形成した挿通孔に挿通した後、締結ナットをスタッドボルトに締めつける構造でもよい。
【0030】
取付脚部24からは、略円柱状に形成された1又は複数本(本実施形態では1本)の位置決めピン26が突設されている。これに対し、ルーフパネル14には、位置決めピン26が挿入される位置決め孔44が形成されている。位置決めピン26及び位置決め孔44はそれぞれ、本発明の挿入部材及び挿入孔の一例であり、本実施形態では特に、位置決めピン26を位置決め孔44に挿入することで、ルーフラック22をルーフパネル14に対し位置決めできるようにしているものである。位置決めピン26の先端側には、外径を先端に向かって漸減させたテーパー部26Tが形成されており、位置決め孔44への挿入が容易になっている。
【0031】
ルーフパネル14のパネル表面14Sと取付脚部24の対向面24Sとの間には隙間SP1が構成されているが、この隙間SP1には、取付脚部24に設けられたクッション部材28が配置されている。クッション部材28は、弾性変形する材料によって、隙間SP1の間隔D1よりも薄い所定の厚みT1に形成されている。通常状態では、クッション部材28とルーフパネル14との間にはさらに微小な隙間が生じているが、取付脚部24がルーフパネル14に対し接近すると、クッション部材28がパネル表面14Sと対向面24Sとの間で圧縮され、クッション作用が発揮される。なお、このように、クッション部材28が所定の厚みT1を有し、クッション作用を奏する部位をクッション部材28の一般部28Gと称する。
【0032】
位置決めピン26は、クッション部材28と同一材料で構成された略円筒状のキャップ部30によって覆われており、さらに、キャップ部30の取付脚部24側(図4では上側)からは、位置決めピン26から見て外周側に向かって、環状のシール部32が一体で延出されている。シール部32もルーフパネル14のパネル表面14Sと取付脚部24の対向面24Sとの間に位置している。キャップ部30及びシール部32は、一般部28Gと略同程度の厚みを有している。なお、キャップ部30にも、位置決めピン26のテーパー部26Tに対応したテーパー部30Tが形成されており、位置決め孔44への挿入が容易になっている。
【0033】
図5にも示すように、シール部32とクッション部材28との間には、位置決めピン26の軸線方向に見て環状の間隙SP2が構成されているが、シール部32とクッション部材28には、1又は複数(本実施形態では周方向に均等に4本)のブリッジ部34が掛け渡されており、このブリッジ部34によってシール部32とクッション部材28とが連結され、一体化されている。特に本実施形態では、クッション部材28から、ブリッジ部34を経てシール部32及びキャップ部30がすべて一体で成形されており、全体として、一体的なクッション部材を構成している。そして、図4からも分かるように、ブリッジ部34の厚みT2は、一般部28Gの厚みよりも薄くされており、本発明に係る低剛性部となっている。
【0034】
シール部32には、ルーフパネル14の間の位置に、位置決めピン26を取り囲む環状の接着部材36が配置され、シール部32がルーフパネル14に対し接着されている。本実施形態では、接着部材36としては、両面接着テープを用いているが、これに限定されず、シール部32をルーフパネル14に確実に密着させた状態に維持できればよい。たとえば、接着剤を直接的にシール部32に塗布しルーフパネル14と接着してもよい。この接着部材36によってシール部32のルーフパネル14に対する接着性が確保され、これらの間の止水性も確保されている。
【0035】
シール部32と取付脚部24の間には、位置決めピン26を取り囲む環状のスポンジゴム38が配置されている。スポンジゴム38は本発明の弾性部材(押付部材)の例であり、自然状態(厚み方向に変形していない状態)の厚みは、ルーフラック22がルーフパネル14に取り付けられた通常状態におけるシール部32と取付脚部24との設定隙D2よりも厚くされている。そして、スポンジゴム38は、シール部32と取付脚部24の双方に接触している。したがってスポンジゴム38は、取付脚部24とシール部32で厚み方向に挟まれて弾性的に圧縮され、その反力により、シール部32をルーフパネル14に取り付ける力を発揮している。
【0036】
また、スポンジゴム38は、シール部32と取付脚部24のいずれか一方(本実施形態では取付脚部24)にのみ取り付けられている。これにより、取付脚部24がシール部32から離間する方向に移動したとき、この方向の力がシール部32には作用しないようになっている。
【0037】
次に、本実施形態の取付シール構造12の作用を説明する。
【0038】
図3及び図4に示すように、本実施形態の取付シール構造12では、位置決めピン26が位置決め孔44に挿入されて、ルーフパネル14の所定位置にルーフラック22が位置決めされる。そして、締結ボルト18及び締結ナット20により、ルーフラック22がルーフパネル14に固定状態で取り付けられる。
【0039】
このようにしてルーフラック22がルーフパネル14に取り付けられるとき、締結ボルト18と締結ナット20との締結力及び重力により、取付脚部24はルーフパネル14に押し付けられるが、クッション部材28とルーフパネル14との間には隙間が生じているので、上記の締結力及び重力では、接着部材36をルーフパネル14に押し付けることができない。
【0040】
しかし、本実施形態では、スポンジゴム38が取付脚部24とシール部32との間に接触配置されており、ルーフラック取付時に弾性圧縮されたスポンジゴム38の反力が、シール部32をルーフパネル14に向かって押し付ける力として作用する。すなわち、この反力を用いることで、接着部材36によってシール部32をルーフパネル14に接着する力が確保できる。なお、この反力は、初期状態の一定期間においてシール部32をルーフパネル14に押し付けることができれば十分であり、接着部材36の接着力でシール部32がルーフパネル14に接着された後は、スポンジゴム38が押付力をシール部32に作用させていなくてもよい。たとえば、スポンジゴム38は一定期間経過後に、圧縮状態で永久変形してしまってもよい。
【0041】
このようにしてルーフラック22がルーフパネル14に取り付けられると、取付脚部24の対向面24Sとルーフパネル14のパネル表面14Sとの間(隙間SP1)にクッション部材28が位置することになるので、たとえば、取付脚部24がルーフパネル14に接近した場合には、クッション部材28が厚み方向に圧縮されてクッション作用を発揮する。
【0042】
ルーフパネル14に取り付けられたルーフラック22に対し、ルーフパネル14を離間させる方向(図6に示す矢印F1方向)の外力が作用することがある。この外力により、取付脚部24も矢印F1方向に引っ張られ、ルーフパネル14から離れようとする。ここで、図10には比較例の取付シール構造112として、本願に係る低剛性部が設けられていない(すなわち、クッション部材28が一般部28Gからシール部32まで一定の厚みで連続している)構造のものが示されている。なお、比較例では、これ以外は、本実施形態と同一の構成とされる。
【0043】
比較例の取付シール構造112では、上記と同様にルーフパネル14を離間させる方向の外力(矢印F1参照)が作用すると、これが直接的にシール部32に作用するため、シール部32に過大な負荷がかかるおそれがある。
【0044】
これに対し、本実施形態では、クッション部材28とシール部32とが、クッション部材28よりも低剛性のブリッジ部34で結合されて一体化されている。したがって、図6に示すように、取付脚部24が矢印F1方向に移動し、クッション部材28もこれに伴って矢印F1方向に移動しても、ブリッジ部34が変形するために、シール部32を矢印F1方向に移動させる力(クッション部材28から作用する引張力)はこのブリッジ部34に変形によって吸収され、僅かとなる。しかも、シール部32は、接着部材36によりルーフパネル14に接着されて固定されている。したがって、シール部32は上記した矢印F1方向の僅かな力が作用しても、ルーフパネル14から離れることはない。このため、シール部32が位置決めピン26の周囲でルーフパネル14に密着し、位置決め孔44及びその周囲の止水性を確保した状態を維持できる。
【0045】
なお、スポンジゴム38は、シール部32と取付脚部24のいずれか一方(本実施形態では取付脚部24)にのみ取り付けられている。このため、上記の外力が作用しても、シール部32をルーフパネル14から引き離す力がスポンジゴム38からシール部32に作用しない。これによっても、シール部32が位置決めピン26の周囲でルーフパネル14に密着した状態、すなわち止水性を確保した状態を維持できる。
【0046】
なお、スポンジゴム38は、シール部32と取付脚部24に対し取り付けられていない(固定されていない)ようになっていてもよいが、この場合には、たとえばルーフラック22を車体パネル24に取り付ける前の段階で、スポンジゴム38が位置ズレするおそれがある。これに対し、スポンジゴム38をシール部32と取付脚部24のいずれか一方に取り付けておくと、位置ズレしなくなる。
【0047】
上記では、本発明の低剛性部として、シール部32とクッション部材28との間の4本のブリッジ部34を挙げたが、ブリッジ部34の本数はこれに限定されず、たとえば、図7に示すように、3本でもよいし、2本あるいは5本以上でもよい。いずれにしても、ブリッジ部34を形成することで、低剛性部を簡単な構造で設けることができる。
【0048】
また、低剛性部は、これらのブリッジ部34に限定されない。たとえば、低剛性部のさらに他の例として、図8に示すように、シール部32とクッション部材28との間に環状の間隙SP2(図5及び図7参照)は構成せず、一般部28Gよりも薄肉の環状薄肉部40で連結した構造でもよい。この環状薄肉部40も、シール部32とクッション部材28及びキャップ部30と一体成形でき、低剛性部の構造としても簡単なものとなる。また、図5及び図6に示したように、シール部32とクッション部材28との間の間隙SP2において単にブリッジ構造とするのみで、厚みは一般部28Gと同程度とした構成でも、低剛性部とすることが可能である。
【0049】
クッション部材28とシール部32(さらにはキャップ部30まで)は、かならずしも低剛性部(ブリッジ部34あるいは環状薄肉部40)で一体に成形されている必要はなく、たとえば、クッション部材28とシール部32と別体で成形しておき、ブリッジ部34や環状薄肉部40を後工程でクッション部材28及びシール部32に接合してもよい。ただし、上記実施形態のように、クッション部材28とシール部32とを一体成形すると、後工程でこれらを一体化する必要がなく、部品点数としても少なくなるので好ましい。
【0050】
さらに、本発明の押付部材としても、上記のスポンジゴム38に限定されない。すなわち、弾性を有すると共に、厚みが設定隙D2(図4参照)よりも厚く形成されている部材であれば、取付脚部24とシール部32で厚み方向に挟まれて弾性的に圧縮され、その弾性反力が生じるので、シール部32をルーフパネル14に取り付ける力を発揮できる。
【0051】
さらに、押付部材は、シール部32と別体である必要はなく、たとえば、図9に示すように、シール部32から取付脚部24の対向面24Sに向かって突出されたリブ部42であってもよい。このリブ部42は、本発明の凸部の例であり、自然状態(変形したいない状態)で、二点鎖線で示すように、設定隙D2よりも高い高さH1を有している。このため、取付脚部24とシール部32で厚み方向に挟まれて、先端部分が弾性的に圧縮され、その弾性反力によって、シール部32をルーフパネル14に押し付ける力を発揮できる。なお、リブ部42は、シール部32に沿って周方向に連続して(環状に)形成されていてもよいし、周方向に不連続に形成されていてもよい。
【0052】
なお、スポンジゴム38の場合と同様に、初期状態の一定期間においてリブ部42はシール部32をルーフパネル14に押し付けることができれば十分である。たとえば、リブ部42は一定期間経過後に、圧縮状態で永久変形してしまってもよい。そして、リブ部42はシール部32に形成されているので、取付脚部24をルーフパネル14から離間させる方向の力は、シール部32に作用せず、シール部32による止水性を確保した状態を維持できる。
【0053】
また、上記では、本発明に係る車体外装部品としてルーフラック22を挙げているが、車体外装部品はこれに限定されず、要するに、止水することが望まれる構造(シール構造)の部分を有し、少なくともこのシール構造部分に外力が作用するような車体外装部品であれば、外力に起因するシール性の低下を抑制して、止水性を確保できる。車体外装部品の挿入部材としても、上記の位置決めピンに限定されず、車体パネル側に形成された挿入孔に挿入される部材であればよい。
【符号の説明】
【0054】
12 取付シール構造
14 ルーフパネル(車体パネル)
22 ルーフラック(車体外装部品)
24 車体パネル
24 取付脚部
26 位置決めピン(挿入部材)
28 クッション部材
28G 一般部
30 キャップ部
32 シール部
34 ブリッジ部(薄肉部、低剛性部)
36 接着部材
38 スポンジゴム(弾性部材、押付部材)
40 環状薄肉部(薄肉部、低剛性部)
42 リブ部(凸部、押付部材)
44 位置決め孔(挿入孔)
SP2 間隙
D2 設定隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体外装部品に設けられ、車体パネルの挿入孔に挿入される挿入部材と、
前記車体外装部品に設けられ前記車体パネルの間に配置されるクッション部材と、
前記挿入部材の周囲に設けられ、前記車体パネルとの間がシールされるシール部と、
前記シール部と前記クッション部材との間に設けられて前記シール部を前記クッション部材と一体化し、前記クッション部材よりも低剛性とされた低剛性部と、
を有する車体外装部品の取付シール構造。
【請求項2】
前記クッション部材と前記シール部との間に間隙が設定され、
前記低剛性部が、前記間隙において前記クッション部材と前記キャップ部材とに掛け渡されたブリッジ部、を含んでいる請求項1に記載の車体外装部品の取付シール構造。
【請求項3】
前記低剛性部が、前記クッション部材と前記シール部との間で前記クッション部材よりも薄肉とされた薄肉部、を含んでいる請求項1又は請求項2に記載の車体外装部品の取付シール構造。
【請求項4】
前記シール部を前記車体パネルに接着させる接着部材、を有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車体外装部品の取付シール構造。
【請求項5】
前記シール部と前記車体外装部品の間に設けられ、前記接着部材を車体パネルに押し付ける押付部材、を有する請求項4に記載の車体外装部品の取付シール構造。
【請求項6】
前記押付部材が、前記シール部と前記車体外装部品との設定隙よりも厚く形成され、シール部と車体外装部品のいずれか一方に固定された弾性部材である請求項5に記載の車体外装部品の取付シール構造。
【請求項7】
前記押付部材が、前記シール部と前記車体外装部品との設定隙よりも長い突出長でシール部から車体外装部品に向けて突出された凸部である請求項5に記載の車体外装部品の取付シール構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−57088(P2011−57088A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209399(P2009−209399)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】