説明

車体後部構造

【課題】車両の低床化を図り、室内空間を確保し、トレーリングアームを採用しても低床によって操縦安定性を確保することができ、低床を採用してもホイールベースが短く、低床を採用しても後面に加わる荷重をサイドシル及びミッドクロスメンバーに伝えて分散させ吸収することができる車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部構造11は下部のサイドシル16に管状のリヤフレーム18が接合され後懸架装置23を支持している。リヤフレーム18は、サイドシルの後部に接合される前部側に傾斜したキックアップ部31と、キックアップ部の内方へ突出するかまくら形状に成形されてトレーリングアーム32が連結されるブラケット72とを備える。リヤフレームの前部はキックアップ部及びサイドシルに接続している三角底辺111を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の側壁に含まれる左右下部のサイドシルに車室の後床に含まれるリヤフレームが接合され、この接合部の近傍のリヤフレームに後懸架装置が連結された車体後部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車は、車体に懸架装置が取付けられている。例えば、車体後部であるリヤフレームに後懸架装置を取付ける構造において、リヤフレームの変形防止を目的とするサスブラケットを採用し、このサスブラケットに後懸架装置を連結しているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録番号第2580188号公報(第4頁、図1)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図9は、従来の技術の基本構成を説明する図であり、従来の下部車体構造201は、サイドシル202にリヤフレーム203が接合され、リヤフレーム203が上方に伸びるキックアップ部204にサスブラケット205が取付けられ、サスブラケット205及びリヤフレーム203にサスペンションフレーム206が取付けられているので、サスブラケット205によって、キックアップ部204の変形を防止することができる。
【0004】
しかし、特許文献1の下部車体構造201では、サイドシル202を用いた床の高さを一般的な高さにする必要があり、サイドシルを低くした低床な車体に採用し難い。
例えば、後懸架装置として、トレーリングアームを採用した場合、車両の長さ方向に長いトレーリングアームの前端の取付け位置は、車輪の高さに対応して比較的、高く設定するのが望ましく、サスブラケット205に取付けるには、サイドシル202やリヤフレーム203の地面からの高さが高くなり、車両の低床化を図り難いという問題がある。
【0005】
また、特許文献1では、低床を採用した場合、サスペンションフレーム206に取付けられたトレーリングアームは後方に伸びて、結果的に、後輪の位置が後方に移動して、ホイールベースが長くなるという問題がある。
【0006】
さらに、後面衝突の際の強度確保の点からサイドシル202に取付けられるリヤフレーム203の前部207の長さを長くする必要がある。その結果、前部207が車室内に飛出し、床に膨らみが生じて室内空間が狭くなる。その上、後輪の位置をそのままにトレーリングアームを採用した場合、トレーリングアームの前端を取付けるサスペンションフレーム206が前に移動し、室内空間が狭くなるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、トレーリングアームを採用しても低床によって操縦安定性を確保することができ、低床を採用してもホイールベースが短く、低床を採用しても後面に加わる荷重をサイドシル及びミッドクロスメンバーに伝えて分散させ吸収することができ、車両の低床化を図り、室内空間を確保した車体後部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体のサイドシルにリヤフレームが接合され、リヤフレームが後懸架装置を支持している車体後部構造において、リヤフレームは、サイドシルの後部に接合される前部側に傾斜したキックアップ部が成形され、キックアップ部の内方へ突出するかまくら形状内に、後懸架装置のトレーリングアームを収納することを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、リヤフレームの前部は、サイドシルの後部に接合される三角形状であり、キックアップ部に連なるとともに、サイドシルに接続している三角底辺を備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、リヤフレームの前部は、キックアップ部前に配置されてサイドシル間に取付けられたミッドクロスメンバーの下方を通すことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、トレーリングアームを収納するブラケットは、トレーリングアームの端が揺動自在に固定されるトレーリングアームブラケットと、トレーリングアームブラケットに一端が取付けられたカラーナットと、カラーナットの他端が支持されるとともにトレーリングアームブラケットに沿って配置されたトレーリングアーム取付け補強板と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、車体のサイドシルにリヤフレームが接合され、リヤフレームが後懸架装置を支持している車体後部構造において、リヤフレームは、サイドシルの後部に接合される前部側に傾斜したキックアップ部が成形され、キックアップ部の内方へ突出するかまくら形状内に、後懸架装置のトレーリングアームを収納するので、リヤフレームのキックアップ部内に後懸架装置のトレーリングアームに形成された前連結端が取付けられ、トレーリングアームを採用しても、後輪の位置(ホイールベース)を後方へ移動させることなく、リヤフレームの地面からの高さを低くすることができる。その結果、トレーリングアームを採用しても低床によって操縦安定性を確保することができるという利点がある。
【0013】
また、リヤフレームのキックアップ部内に後懸架装置のトレーリングアームに形成された前連結端が取付けられているので、キックアップ部の後方に取付けたものに比べ、後輪を前方に配置することができる。その結果、低床を採用してもホイールベースを短くすることができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、リヤフレームの前部は、サイドシルの後部に接合される三角形状であり、キックアップ部に連なるとともに、サイドシルに接続している三角底辺を備えているので、車両の後面に荷重が加わると、リヤバンパを介した力はリヤフレームからキックアップ部に伝わり、最後に、三角形状の三角底辺からサイドシルに確実に伝わる。従って、低床を採用しても車両の後面に加わる荷重をサイドシルに確実に伝えて分散させ吸収することができるという利点がある。
【0015】
また、リヤフレームの前部は、サイドシルの後部に接合される三角形状であり、キックアップ部に連なるとともに、サイドシルに接続している三角底辺を備えているので、三角形状によって、車室内への膨らみが小さく、車両の低床化を図ることができるとともに、室内空間を確保することができる。
【0016】
請求項3に係る発明では、リヤフレームの前部は、キックアップ部前に配置されてサイドシル間に取付けられたミッドクロスメンバーの下方を通すので、車両の後面に荷重が加わると、リヤバンパを介した力はリヤフレームからキックアップ部に伝わり、最後に、リヤフレームの前部からサイドシルに確実に伝わる。
【0017】
また、リヤフレームの前部は、車室の後部に配置されてサイドシル間に取付けられたミッドクロスメンバーの下方を通すので、ミッドクロスメンバーはリヤフレームで分断されることがない。よって、車両の側面に荷重が加わると、力はサイドシルからミッドクロスメンバーに確実に伝わる。従って、低床を採用しても車両の側面に加わる荷重をミッドクロスメンバーに確実に伝えて分散させ吸収することができるという利点がある。
【0018】
さらに、ミッドクロスメンバーに後部座席が搭載される。リヤフレームは後部座席乗員の足元空間への膨らみが小さく、車両の低床化を図ることができるとともに、室内空間を確保することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、トレーリングアームを収納するブラケットは、トレーリングアームの端が揺動自在に固定されるトレーリングアームブラケットと、トレーリングアームブラケットに一端が取付けられたカラーナットと、カラーナットの他端が支持されるとともにトレーリングアームブラケットに沿って配置されたトレーリングアーム取付け補強板と、からなるので、車両の後面に荷重が加わると、リヤバンパを介した力はリヤフレームからキックアップ部に伝わるとともに、キックアップ部内に取付けられたブラケット(トレーリングアーム取付部)を構成しているトレーリングアームブラケットとカラーナットとトレーリングアーム取付け補強板に伝わるので、トレーリングアームの端を取り込む開口部を形成しても、キックアップ部の強度を高めることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車体後部構造の透視図である。
図2は、本発明の車体後部構造の概要説明図であり、後から見上げた状態を示している。
【0021】
車体後部構造11は、車両12の車体13に採用され、車室14の側壁をなすサイドボデー15の下部であるサイドシル16と、車室14の床をなすアンダボデー17の後部に配置されたリヤフレーム18と、車室14の後部19に配置されてサイドシル16間に取付けられたミッドクロスメンバー21と、アンダボデー17のフロアパネル22と、を備え、リヤフレーム18に後懸架装置23が取付けられている。
【0022】
図中、24はミッドクロスメンバー21に搭載され後部座席、25はリヤフレーム18に取付けられたリヤバンパ、26はリヤパネル、27はここでは車室14に含めた荷室、28は後懸架装置23に支持された後輪である。
【0023】
後懸架装置23は、リヤフレーム18のキックアップ部31に一端が揺動自在に連結されたトレーリングアーム32を有する。
【0024】
サイドシル16は、管状で、車室14の内方に配置されているサイドシルインナ35と、サイドシルインナ35に接合されて車室14の外方に配置されたサイドシルアウター36と、からなる。
サイドシルインナ35は、断面U字状で、下方に向く下壁37(図7も参照)と、下壁37に連なる内縦壁38と、内縦壁38に連なり下壁37に対向して上方を向く上壁39とからなる。
サイドシルアウター36は、サイドシルインナ35とほぼ同様で、上・下壁、外壁(内縦壁38に対向する壁)からなる。
【0025】
リヤフレーム18は、サイドシル16の内側であるサイドシルインナ35に接続している前端部41が形成され、前端部41に連ねて上方に向かって伸び、傾斜しているキックアップ部31が形成され、キックアップ部31に連ねサイドシル16より高い位置にほぼ水平に配置されたリヤ部42が形成されている。44はフロアパネル22に含めたリヤフロアパンである。
【0026】
前端部41は、傾斜との境界である前端45に三角形状の前端結合部46(図3も参照)が形成された部位である。
【0027】
ミッドクロスメンバー21は、サイドシル16に固定される左右端部51,52が形成され、下方へ向けて配置されている下辺53が形成され、下辺53に連なり前方へ向いて配置された前辺54(図5も参照)が形成され、下辺53に連なり後方へ向いて配置された後辺55が形成され、前辺54に連なり上辺56(図5も参照)が形成されている。
【0028】
図3は、本発明の車体後部構造とトレーリングアームとの関係を説明する図であり、左後方から見上げた状態を示している。
トレーリングアーム32は、本体61の一端がリヤフレーム18に連結される前連結端62であり、前連結端62を支点に後輪とともに上下に揺動する比較的、後に長い部材である。前連結端62は、円環部63と、円環部63にゴム部材64を介して固定された締結部材71と、からなり、締結部材71がキックアップ部31に形成されているブラケット(トレーリングアーム取付部)72にボルト73で締結されている。
【0029】
図4は、本発明の車体後部構造の平面図であり、左のサイドシルと左のリヤフレームの接合を示している。図1を併用して説明する。
車体後部構造11は、具体的には、左のサイドシル16にミッドクロスメンバー21の左端部51がスポット溶接で固定され、ミッドクロスメンバー21の下方を通してミッドクロスメンバー21の下辺53にキックアップ部31の前端45並びに三角形状の前端結合部46がスポット溶接で結合され、三角形状の前端結合部46が左のサイドシル16のサイドシルインナ35にスポット溶接で結合され、三角形状の前端結合部46とミッドクロスメンバー21にフロアパネル22が取付けられている。
【0030】
ミッドクロスメンバー21には、車室14の床中央に配置され、フロアパネル22を下で支持しているフロアメンバー76の後端が結合されている。
【0031】
なお、右のサイドシル16(図1参照)と右のリヤフレーム18の接合は左のサイドシル16と左のリヤフレーム18の接合と同様である。
【0032】
図5は、本発明の車体後部構造の斜視図であり、サイドシル16とリヤフレーム18とミッドクロスメンバー21の接合の関係を示している。また、キックアップ部31内に取付けられたブラケット(トレーリングアーム取付部)72を、リヤフロアパン44を一部破断にして示している。図1を併用して説明する。
【0033】
サイドシル16はまた、地面からの高さが低く(図1参照)、低位に配置されている。
リヤフレーム18はまた、地面からの高さが低く、且つ、サイドシル16より高位に配置されている。
【0034】
ミッドクロスメンバー21は、具体的には、低位な車室14のフロアパネル22と高位な荷室27のリヤフロアパン44とを接続する高さHmのフレームであり、左端部51がサイドシル16の上壁39に当接するまで傾斜状に高さを低くしている。また、下辺53がサイドシル16の高さHs(図7参照)の約50%の位置に配置されている。
右端部52(図1参照)は、左端部51と同様である。
【0035】
図6は、本発明の車体後部構造が備えるリヤフレーム及びブラケットの分解図である。
図7は、図4の7−7線断面図であり、リヤフレーム内に配置されたトレーリングアーム用のブラケットとの関係を示している。
図8は、図4の8−8線断面図であり、リヤフレーム内に配置されたトレーリングアーム用のブラケットの断面を示している。図3及び図5を併用して説明する。
【0036】
キックアップ部31は、主に、傾斜底辺81と、傾斜底辺81に連なるとともに、サイドシル16の内縦壁38及びリヤフロアパン44に接合している外辺82と、外辺82に対向するとともに傾斜底辺81に連なり、且つ、前端がミッドクロスメンバー21に接合し、さらに、上端がリヤフロアパン44に接合している内辺83と、からなる。
傾斜底辺81には、トレーリングアーム32の前連結端62を通す開口部84が開いている。
【0037】
ブラケット(トレーリングアーム取付部)72は、トレーリングアームブラケット86(図3も参照)と、カラーナット87と、トレーリングアーム取付け補強板88と、からなる。
【0038】
トレーリングアームブラケット86は、トレーリングアーム32の締結部材71が直接当接して締結部材71からの面圧を受ける締結座板部91が成形され、締結座板部91にトレーリングアーム32との干渉を避けるために上方に向けて押出された第1かまくら部92が成形されたものである。
締結座板部91は、三角形状の前端結合部46に接合する第1前板部94と、ボルト73(図1参照)を通す径で開けられた取付け孔95とを有し、キックアップ部31の傾斜底辺81、外辺82、三角形状の前端結合部46及びリヤ部42にスポット溶接で結合している。
【0039】
トレーリングアーム取付け補強板88は、トレーリングアームブラケット86に固定されたカラーナット87に固定している補強本体部97が成形され、補強本体部97に第1かまくら部92を収納するために上方に向けて押出された第2かまくら部98が成形されたものである。
【0040】
補強本体部97は、締結座板部91の上方にほぼ平行に配置された板で、三角形状の前端結合部46に接合する第2前板部101と、トレーリングアームブラケット86の取付け孔95と同心にカラーナット87を通す径で開けられた取付け孔102とを有し、キックアップ部31の外辺82、内辺83、三角形状の前端結合部46及びリヤ部42にスポット溶接で結合している。
【0041】
カラーナット87は、円筒状の本体部105にボルト73に対応しためねじが形成され、本体部105の一端にトレーリングアームブラケット86の裏に固定している端面が形成され、本体部105の他端にトレーリングアーム取付け補強板88の裏に固定しているフランジ106が形成されている。
【0042】
前端結合部46は、ミッドクロスメンバー21の下に通してサイドシル16に達するリヤフレーム18の前の部位で、フロアパネル22に平行な断面形状が三角形状であり、ブラケット(トレーリングアーム取付部)72に接合している三角底辺111と、三角底辺111に連なり車両外方側に成形され、サイドシル16を構成するサイドシルインナ35の下壁37にスポット溶接で結合している溶接代部112と、三角底辺111に連なり車両内方側に成形され、フロアパネル22に底面及びミッドクロスメンバー21の下辺53に接合している内側壁113と、からなる。
【0043】
内側壁113は、高さをHfに設定された部位である。高さHfはサイドシル16の高さHsの約50%である。
なお、前端結合部46は、断面形状が三角形としたが、三角形は一例であり、四角形など多角形でも可能である。
【0044】
サイドシル16は、詳しくは、厚さ(高さ)Hfの前端結合部46を結合するために、高さがHsに形成されている。つまり、一般的なサイドシルに比べ、下方(矢印a1の方向)に高さhだけ伸して高さHsに設定したものである。
【0045】
次に、本発明の車体後部構造11の作用を説明する。
図1及び図2に示しているように、車体後部構造11では、サイドシル16は地面からの高さが低い低床であって、サイドシル16間にミッドクロスメンバー21を接合していても、高さh(図7参照)だけ下方に伸したサイドシル16及び三角形状の前端結合部46によって、サイドシル16及びミッドクロスメンバー21にリヤフレーム18を所望の範囲だけ接合することができるとともに、車室内へのリヤフレーム18の膨らみを小さくすることができる。
その結果、車両12の低床化を図ることができるとともに、室内空間を確保することができ、且つ、サイドシル16並びにミッドクロスメンバー21に対するリヤフレーム18の取付け強度を高めることができる。
【0046】
また、図1〜図3に示しているように、車体後部構造11では、リヤフレーム18のキックアップ部31内に後懸架装置23のトレーリングアーム32に形成された前連結端62が取付けられているので、トレーリングアーム32を採用しても、後輪28の位置(ホイールベース)を後方へ移動させることなく、サイドシル16の地面からの高さを低くすることができる。その結果、トレーリングアーム32を採用しても低床によって操縦安定性を確保することができる。
【0047】
さらに、図1〜図3に示しているように、車体後部構造11では、リヤフレーム18のキックアップ部31内に後懸架装置23のトレーリングアーム32に形成された前連結端62が取付けられているので、キックアップ部31の後方に取付けたものに比べ、後輪28を前方に配置することができる。その結果、低床を採用してもホイールベースを短くすることができる。
【0048】
図1〜図8に示しているように、車体後部構造11では、サイドシル16は地面からの高さが低い低床であって、サイドシル16間にミッドクロスメンバー21を接合していても、高さh(図7参照)だけ下方に伸したサイドシル16及び三角形状の前端結合部46によって、サイドシル16及びミッドクロスメンバー21にリヤフレーム18を所望の接合面積の範囲だけ接合することができる。その結果、車両12の後面116(図1参照)に荷重Fが加わると、リヤバンパ25を介した力はリヤフレーム18のリヤ部42を矢印a2のように伝わって、キックアップ部31に矢印a3のように伝わり、最後に、三角形状の前端結合部46からサイドシル16に確実に矢印a4(図4や図5も参照)のように伝わるとともに、ミッドクロスメンバー21に矢印a5(図4や図5参照)のように伝わる。従って、低床を採用しても車両12の後面116に加わる荷重をサイドシル16及びミッドクロスメンバー21に確実に伝えて分散させ吸収することができる。
【0049】
また、車体後部構造11では、図1や図8のように、リヤバンパ25を介した力はリヤフレーム18のリヤ部42を矢印a2のように伝わって、キックアップ部31に矢印a3のように伝わるとともに、キックアップ部31内に取付けられたブラケット(トレーリングアーム取付部)72を構成しているトレーリングアームブラケット86とカラーナット87とトレーリングアーム取付け補強板88に矢印a6、a7のように伝わるので、キックアップ部31の強度を高めることができる。
【0050】
リヤフレーム18では、キックアップ部31を構成している傾斜底辺81に開口部84を開けても、ブラケット(トレーリングアーム取付部)72によって、キックアップ部31の強度を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の車体後部構造は、低床であり、後懸架装置にトレーリングアームを採用した四輪車に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の車体後部構造の透視図
【図2】本発明の車体後部構造の概要説明図
【図3】本発明の車体後部構造とトレーリングアームとの関係を説明する図
【図4】本発明の車体後部構造の平面図
【図5】本発明の車体後部構造の斜視図
【図6】本発明の車体後部構造が備えるリヤフレーム及びブラケットの分解図
【図7】図4の7−7線断面図
【図8】図4の8−8線断面図
【図9】従来の技術の基本構成を説明する図
【符号の説明】
【0053】
11…車体後部構造、14…車室、16…サイドシル、18…リヤフレーム、19…車室の後部、21…ミッドクロスメンバー、23…後懸架装置、31…キックアップ部、32…トレーリングアーム、72…ブラケット(トレーリングアーム取付部)、86…トレーリングアームブラケット、87…カラーナット、88…トレーリングアーム取付け補強板、111…三角底辺。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のサイドシルにリヤフレームが接合され、リヤフレームが後懸架装置を支持している車体後部構造において、
前記リヤフレームは、前記サイドシルの後部に接合される前部側に傾斜したキックアップ部が成形され、キックアップ部の内方へ突出するかまくら形状内に、前記後懸架装置のトレーリングアームを収納することを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記リヤフレームの前部は、サイドシルの後部に接合される三角形状であり、前記キックアップ部に連なるとともに、前記サイドシルに接続している三角底辺を備えていることを特徴とする請求項1記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記リヤフレームの前部は、前記キックアップ部前に配置されて前記サイドシル間に取付けられたミッドクロスメンバーの下方を通すことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記トレーリングアームを収納するブラケットは、トレーリングアームの端が揺動自在に固定されるトレーリングアームブラケットと、トレーリングアームブラケットに一端が取付けられたカラーナットと、カラーナットの他端が支持されるとともに前記トレーリングアームブラケットに沿って配置されたトレーリングアーム取付け補強板と、からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車体後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−290665(P2007−290665A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−123657(P2006−123657)
【出願日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】